愛媛 大学 農 学 部 農 場 報 告 (Buli Exp Farm Col A8r,Ehime l)niv)16!85-92(1995) 輸 入 自由化 と柑福産業 麻 野 尚 延 * 1 .1ま じ め に 肉 の輸 入制限は、わ が 国 の貿易 不公正 の象徴 とされ、 日米農産物交渉 の度 ご とに集中的 柑橘類 と1 ‐ 一 な攻 撃 を受けた。 こ うして 日米牛村 1 5 年戦 争 が展開 され、そ の結果 は 寸刻 みに身を 削 られ る よ うな 輸入枠 の拡 大 で あ った。遂 には8 8 年 6 月 の交渉 に よ り、生鮮 オ レンジは9 1 年度 以降 自由化、 オ レンジ ジ ュー スは9 2 年度以降 白山化 とな った。牛 肉に つい て も同様 で交渉 の度 に増枠 され、9 1 年度 か ら自由 一 i:に 屈す る形 で 日本側 の 方的な後退 に終始 し、 譲歩す 化 とな った。 この よ うに │ 1 米牛柑戦争 は、外ナ る形 で終結 した。 この柑桶類 の輸 入 自由化 が 、国内村橘産業 に どの よ うな影響を チえたか につ いて報 ( 1す 予る。 2.輸 入 の実態 村稲類 の輸入 社は、輸入枠 の拡 大 につ れ て活実 に増加 した。し か し生 鮮 オ レンジ は 、 自由化 ス ケ │ り、輸入枠 を余す結果 とな った。以前 の ジュールが 決定 した8 8 年度 以降 は 、輸入実績 が輸入枠 を ド│ 口 /1・ ー よ うに輸 入実績 を確保す るために、 無 理を して輸 入をす る必要 もな くな り、 く経済 ベ スでの輸 入 1 由化 スケジ ュール決定 の8 8 年以 降 は 、実 質 自由化 の 状 態 とな って い とな ったた めで ある。 つ ま リド 111拍 た。それ ばか りか 十 化初年度 の9 1 年は、 アメ リカの寒波 に よ り輸 入量が前年 の5 7 % に 急減 した。国 丘とが少 な く、押1 質も良 か った こ ともあ って、全般 に空 前 の高価格 とな った。9 2 年以 産 の柑橋類 も/ 1 1 た 降 は輸 入 上が1 7 万 t と 、伊 予村│ 、人 朔、 甘夏村│ などの生産 景 に匹敵す る 章 とな り、柑稲類 量 の2 0 % を 超 えて い る。 万 t と 、1 呵 産村十 稲総 / l i 産 / P休 ‐では5 0 ー ー /li鮮 央災 では6 3 年に バ ナナ、6 4 年に レモ ン、7 1 年に グ レ プ フル ツが 内由化 されてお り、 これ ら が│ I L い とな って/ 1 i 鮮 火災全体 では輸入 堅: が急激 に増加 した。 9 3 年におけ る4 1 鮮央笑類 の 輸 入 撃: は1 6 4 ー ー 万 t を 超 え、わがI J では技大 の 1 1 産地で あ るみかんを もオ バ して い る ( 第 1 表 ) 。こ うしてい まや / 1 鮮災実全体 の3 5 % を L ' F め るに4 っ てい る。 輸 入 果突 は 、I H 産 ー ー l り、実質 白 化 前の8 0 年か ら輸入 堅: が輸入枠 を ド[ 口 橘数央汁 では 、 グ レー プ フル ツジ ュ ス も1 4 1 山 ー 山化 の状態 で あ った, こ れ に対 しオ レンジジ ュ スは、 輸入枠 の拡大 に応 じて活実 に輸 入 社を仲ば し 原央汁 不足か ら、輸入枠 を て きた。そ加ク ばか りか8 4 年の みかん/ l i 産 壮の激減、l l l l高騰 l 格 の際 には L I I 産 」た よ うに 5 万 6 千 k 2 と前 1 由化初年度 の9 2 年には、堰 を t 7っ 拡大 しての緊急輪入す ら実施 してい る。 ド を オ ー バ ー して い る. 年対比 1 5 6 % に 急用 した。9 3 年には さらに増加 し、6 万 k ι 央汁類 では8 9 年に非村隔 果汁 が、9 0 年には りん ご、 が ど う、 パ イナ ップル 果汁 が 白山化 された。そ -85- の結 果、 9 0 年以 降 これ らを 卜 いに央汁類 の輸入 は急増 して い る。9 3 年には栄汁類全体 の輸 入実績 は1 4 │し 性を も超 え ・のみか ん / l i1ガ に達 してい る。 この 最はl i 鮮央災換算 では1 5 0 万t に 相 肖 し、l l 内 万 9千 kど る社であ る。 第 1 友 生 鮮 火災 の 輸 入災績 府イ │ '75 '80 '85 '86 '87 '88 '89 '90 '91 '92 '93 オ レ ン ジ lト イ 前 レモン ・ライム ー ′レーアフル ナ ド と価 数社 パインアッブル ナ ド ill面 数 予 革始m ′、 数 占│ 最 準和f 数 社 単価 数 報: 22 148 64 230 147 21 894 54 54 70 1,190 71 135 01 188 135 32 726 60 105 87 1,159 95 82 1,205 143 教 壮 76 195 14 211 121 55 680 106 129 117 141 26 135 182 18 765 83 145 75 1,405 112 123 142 28 133 205 07 775 69 145 72 1,482 104 115 142 19 133 235 01 760 73 138 68 1,481 106 128 144 12 163 275 16 774 78 135 69 1,531 116 145 144 04 174 157 48 758 80 128 65 1,405 122 82 220 89 231 261 29 803 78 138 52 1,472 120 1,531 116 1,643 90 112 172 114 93 151 245 29 777 85 127 57 165 105 89 156 237 00 913 58 121 48 資料 :大 蔵 省 『H本 貿易月報』。 輸 入央災 ・果汁 の増大 は 国産果実 の消費 を使食 し、生産 を圧迫す る。 しか し輸入品 の脅威 は、 半に │1鮮オ レンジ 、特 に ジュースの価格 で ある。 ′ そ の ☆的な側面 ばか りでは な い。最大 の脅威 はそのfllll格 の輸 入価杵 をみ ると、年度 に よる価格 の変動 は少 な く、概 して硬 直的 で あ る。そ の なか で84年、91年 が 突 出 して 高価株 で あ った。 これは、国産柑橘類 の 品薄 に よる高価格 で あ る。 輸入果実 も当然 の こ と 格 は、異な る動 きを示 した。 オ レ なが ら、lj野 内需給 を反映 した価格構成 とな る。 これ に対 し果 汁 の1晰 安定 で ある。それ は仕産 量 の変動 に よる帝 ンジジ ュー スに 限 らず果汁 の 国際価格 は 、変動 が激 し くイく 給 関係 の不安定 ばか りでな く、最近 では為替相場 の変動 が大 きな要因 とな ってい る。 輸入枠 の存在 に よる品お感 か ら輸入価格 は 高騰 の傾 向を辿 り、85年には ゼ肖た り647円にまで達 した 。 そ の 年 の 為 替 レー トは 、1ド ル が239円であ った。9月 に 開催 された G5の プラザ 合意 に よ り円高 が急速 に進展 し、 1」 986年 には169円、90年には14引 とな った。さらに93年には100円台に まで進 み、円高 の 記録を吏新 し た。 円高 に よって86年には264円と、 前年 の41%に 急落 して い る。93年は輸入 聾:の増大 と円 高 に よ り、 176円と対 前年比 60%、 最高 で あ った85年の27%で あ る (第 2友 )。 流 が アメ リカか らブ 輸 入価格 の低 下は 円高 が 大きな要因 とな って い るが、そ旅,と並んで輸入先 の 1二 ー ラジルに代 わ った こ とがある。 ブ ラジル産 は生産 壮増大 に よる価 格 安 に 加 え、 タ ン カ 輸送 、 性橋 コス トの 削減 で村1対 ー バ 港 、鹿 島港 の 専用 タ ミナルに タンク設置 な ど、 いわゆ る ル クシ ステ ムに よる 的 に安 くな った。93年 5ナ」に 11橋港 に雌揚 げ された9,243k2(Bttx 65°のオ レンジ果汁 の比 車は1.32 い う驚 異的な安価 で あ で あ り、1万 2,000tに 相 Hl)の ブラジル産央汁 の価格 は、1ゼ 当た り1291lJと ` 50∼200円とされ てお り、それを も る。わがIJの搾汁 11場の製造原価 は、原料価格を除 き 1ゼ 名た り上 卜lHIる 価格 で あ る。 lj 商占 わが1呵でのみかん災 汁搾汁 事業 の存在忘義 は、本 米的 には 青央 市場 で 商品化 で きな い桝物 lTFに ー か らス タ トした搾 で きな い桝物 果災 の 商「 iri化 riを付 lyする こ とにあ る。商:iFl化 Miを持 たせ、 付加価竹 卜米 も、 /1i産壮の増 大 ・過宋」 11産に よる価株暴落 を契機 と して 、 市場 出荷物 の需給調整 を し、価格 汁 j千 の保品Fをす るとい う機能 を果たす もの とな った。79年の よ うに 大 桜作 の浮揚 と安定 を図 り、最低lllli杵 L産 壮 でノ 出 産 社の2 8 % ま で搾汁 章を増加 し、逆 に8 4 年の よ うに イ │を F 杵が 楽落 の年 には 、1 0 0 万t 、4 二 果突竹 社 の 8 % ま で搾汁量 を減少 させた ( 第 3 友 ) 。搾汁量 が需 要 ‖ が 少 な く竹 F 格1 巧 +騰 〔の年 には 、1 6 万t 、 / 1 i た ltiを す る。 こ うして搾汁 事業 は 、 み か ん の需 給 調稚 をす る調整 1 1 1│口 旬 るときには 、原災汁 を1 )雅保管 を災た していた。 白山化 に よる輸 入央汁 の増 大 は 、 桂 弁、安 令 介、 バ イパ ス、 さらにはJ l l池的な機能 まった。 の1 キ こ うした搾】│ ' l f 米 機能 を、棋底 か ら破壊 して L ン i 給J l l 桂 ー 第 2 友 ブ 」― スの輸 入突絞及 びオ レンジジ ュ スの輸 入価格 府 キイ │ をォレンジ レモン ・ ライム 1蕊 12岩 グレープ フル ー ツ ぶ どう アップル 1,941 (単 、円/ 2 ) 位 :kと オレンジ そ の他 りん ご 価 格 4,818 182 2,567 1 , 1 1 3 320 3,610 11,404 373 647 665 762 1,640 ハイン 3,813 5,207 3,904 361 6,823 35,107 3,205 5,867 3,466 329 4,410 29,937 264 3,199 8,748 3,828 516 6,105 33,206 254 3,781 11,089 5,423 428 3,956 3,946 39,772 391 14,868 4,316 66,966 368 7,960 11,062 7,489 623 10,083 11,731 7,539 5 034 42,724 4,736 110,915 403 4,454 9,465 11,562 8 300 37,454 9,062 115,975 266 5,242 14,092 10,448 5 027 31,851 7,697 130,190 294 6,368 13.417 12,115 4 759 44,921 6.468 148,960 176 通関統計』。 資料 : 大 蔵 省 『1 1 本貿易年報』、 『 レンジ は i : : オ 災汁価格 冷凍濃縮 品 の価格。 平 第 3 友 み か ん の 用途別 仕 向け 昼 イ li産 │′│を床 拍5 1 み 拍6 1 獅 岳i 生 食 4 鋭幻 &0 1銘 1争齢‖ 督 1棚 1盟 │1樹」 用 争i 話 果 加 工 工 カロ 才 十 位 :千 t、 %) (半 │ 缶詰 比 果汁 率 占│ 2,884.2 224.6 537.0 762.3 6 . 1 14.7 20.8 2,302.4 292.4 1,006.5 1,299.5 8 . 1 27.8 35.9 1,984.2 297.8 589.6 888.0 20.4 30.7 1,673.5 149.2 161.0 310,7 7 . 4 8 . 0 15.5 1,768.4 199.4 496.0 695。9 8 . 0 1 9 . 9 27.9 1 , 5 1 6 . 2 130.0 500.9 631.2 6 . 0 23.1 29.1 33.0 24.1 10.3 1,665.0 157 4 672.3 830.1 6 . 3 26.7 1,495.2 145.0 326.5 481.2 7 . 7 16.3 1,462.9 139.4 393.5 533.2 6 . 9 1 9 . 5 26.5 1,287.9 109 3 242.8 352.3 6 . 614.7 21.3 7 . 4 1 2 . 6 20.1 1,249,3 117.5 199.4 317.0 1,285.4 104.8 281.1 386.0 6 . 2 1 6 . 7 23.5 1,239.5 78 8 160.6 239.5 5 . 3 1 0 . 8 16.1 係統 占1 資料』 お よび 日本脚去崖 協連資料。 資料 : │ 1 木果汁農 協迎 i 災汁1 関 にャムを含 る。 i : : 加 l i l iはlジ マ に も波 及 して きた。 オ レンジジ ュースの輸入 の意義、N l 体の経常 │ ' 1 題 l i 産/ r l u 体 そ の こ とは さらに ′ 率 を維持 して い た。 l t 1ガ者1 切 以 前には 、′ 体 は原料水盤 を確保 し、原 果汁 の9 7 ∼9 8 % と 高 い r i i 布 ││′│ │ 1 化 /li産 /1iた 者団体 の歳大 の強 みであ った。み │【 雄 で た, ろとl l Hに 寺、原 果汁 の独 i F i は それf よ 者i 可 キ 体 の維常 り -87- かん生産 童 の減少 に よる原料基盤 の 喪失、輸入 自由化 に よる原央汁供給源 の 出現 に よって 、生産者団 体搾汁 工場 の強 みは消失 して しまった。それば か りか、需給調整機能 を果た しなが らの工場経常 とい う、背反す る苛酷 な課題 を 背負 うこ ととな った。 3.消 費 の動 向 化鮮果 実 の 消費量 は 、7 3 年にはみかん2 3 . l k g 、柑橘類計 2 7 . 4 k g 、呆 災 合 言1 5 4 . 6 k g と最 高 を記録 し た。果実全体 の うち、み かんの L t i め る比 率 は4 2 % で あ る。 つ ま りこの時期 の消費形態 は 、 みかん 中心 の少, マ i 日多哉消費型 で あ る。その年 を境 に 高度経済成 長 も終馬 し、低成長時代 に移 った。果 実類 の消 一 費 も減退 に 転 じ、長期低落 の 途 を辿 って い る。 9 3 年 に おけ る消費 貴 は 、 み か ん6 . 9 地 、村 橘類 計 1 1 . 5 蛇、果災 合計3 2 . 7 k g である。最 高年 と比 較すれ ば、それぞれ3 0 % 、 4 2 % 、 6 0 % で あ る。 みかんの 消費減退 が特 に顕著 で 、果実全体 の うちみ かんの 占め る比 率 は2 1 % に 低落 した。現在 の消費形態 は 、 多品 日少 聾: 消費型 で あ る ( 第 4 麦 ) 。 この よ うに 消費絶対量 の洛 ち込 みが 、柑桶産 業 危機 の 根 源 で あ り、消 費 の多, 7 1 日 分化 が経営対応選択肢 の多岐化 とな った。 第 4 麦 果 実 の 1 人 ヽ た り年 間購 入童 '73 '75 '80 '85 '86 '87 '88 '89 '90 '91 '92 '93 夏 柑 レモ ン オレンジ 7 ル ーツ 他 の 柑 橘類 柑 橘類 計 りん ご 物 計 みかん (単位 :kg) 果 合 暦午 グレープ 23.1 2 2 0 , 4 1 . 7 27.4 4 . 9 54.6 20.0 2 . 1 0 , 3 2 . 4 24.8 4 . 5 49 7 14.5 1 . 4 0 . 4 3 . 2 19.5 5 . 0 41.6 9 . 6 1 . 3 0 . 4 3 . 5 14.8 4 . 6 36.4 9 . 3 1 . 0 0 . 4 3 . 5 14.2 4 . 8 36.4 9 . 4 1 2 0 . 4 0 . 9 0 , 8 2 . 0 14.7 5 。 1 37.6 0 . 7 2 . 3 14.5 5 . 5 36.8 9 , 0 1 . 1 0 . 4 1 . 0 8 . 1 0 . 7 0.4 1 . 1 0 . 7 1 . 9 129 5 . 2 34.4 7 . 8 0 8 0 . 3 0 . 6 0 . 8 1 . 8 12.1 5 . 2 33.8 7 . 0 0 . 8 0 . 2 1 . 1 0 . 5 2 , 0 1 1 . 6 5 . 2 32.3 7 1 0 . 7 0 2 1 . 1 0 . 8 1 . 7 H . 6 4 . 8 32.5 6 . 9 0 . 6 0 2 1 . 0 0 . 9 1 . 9 11.5 5 . 5 32.7 う 家計 調査年報』. 資料 :総 務庁 廿 内 け る果汁搾汁車 業 の本格化、果 汁 輸 入 の 増 大 に 伴 って 増 加 して き 央汁飲料 の消費 登は 、l F s lにお 調 びを示 し、柑橘央汁 8 . 4 セ、央 災飲料 1 6 . 2 ゴに達 し た。 1 人 村 4 た り年 間消費 量は 、8 9 年まではl F tな仲 た 。本 類 の11i有 li橘 率 は5 2 % で ある。 この年次 を ピー クと して 消費 は減少傾 向に 転 じ、9 3 年には村橘類 ‐1 2 . 0 2 、 「 5 . 8 セ、8 9 年対比 6 9 % 、 果災飲料 / r体 ] 7 4 % に 減少 した。消費 の減少率 は 柑 橘 類 が 大 き く、 十 1 橘類 央汁 の消費減退 で ある。 イ 率 は4 9 % に 低 下した。 つ ま り央実飲料消費減退 の 1 1 閃は 、本 従 って l l i丁 この期間 は l F l 内 供給 は 十分 で あ った。そればか りか8 9 年には非柑桶央汁、 9 0 年には りん ご ・ぶ ど う 。 パ イナ ップル 央汁、 9 2 年にはオ レンジジ ュースが 自由化 され、輸 入は急 増 してい る。 こ うした供給 事 様、消費 は既 に飽和状態 に達 したので あ 情 の なか での 、 一方的な消費減選 で ある。 衆汁 もl i 鮮果実 1 司 泥 果 ジ 0 る ン る (第 5友 )(j 題 であ lLNI産 柑 橋 果汁 に とって消 費 事:全体 の減少 に も増 して深刻な のが 、 ブ レン ド規制撤廃 │1増 J産 村十 橘央汁 との泥 合義務 で あ り、 オ レ 合規制 ・ブ レン ド規制 とは、 輸入 オ レンジジ ュー スの 卜 -88- 汁 の比率 で 表示す る。従 前 は輸入 登の5 0 % は オ レンジ果汁比 5 0 % ま で 、残 り5 0 % は オ レンジ果 汁 比 でで あ った。8 8 年の H 米 交渉 の結果、8 8 年度 以降規制 が緩和 され、9 0 年度 か らは規制 が撤廃 さ 90° 0/ま れた。8 4 年にはみかん 単独 が6 1 % を 占め 、み かんを主体 にオ レンジを ブ レン ドした ものが3 9 % で あ っ た。 規竹け 緩和 の進展 に応 じて、みかん単独 の ウエ イ トは低 下した。特 に9 0 年以降 は 、 みかん 半独 の製 品 は急激 に減少 し、9 3 年には使 か全 体 の 6 % を 占め るに過 ぎな くな った。それ に対 し、 オ レンジを主 体 にみかん をブ レン ドした ものが4 4 % を r ' めるにこ った。輸入 オ レンジ単独 の 製 品 も2 5 % に 増 大 し た。全体的な消費減退 の なか でのみかん 半独果汁 の減少、輸 入 オ レンジジ ュースの ウエ イ トの増大、 特 に輸入 オ レン ジジ ュー ス単独 の増加 で あ る。 第 5友 果 実飲料 の 1人 ヽた り午 問消費量 '80 '85 '86 '87 '88 '89 '90 '91 '92 '93 位 :ゼ ) パイン アップル フル ー ツ 0.49 0.15 0,04 0.52 6.53 0.51 0.49 0.32 0.32 1,36 12.62 2.35 0.87 0.42 0.54 0.76 0.93 13.67 2.53 0.90 0.43 0.43 0.82 1.13 14.11 8.32 2.96 0.99 0.56 0.41 0。98 1.50 15.72 8.16 3.20 1,13 イ li次 柑 橘 '75 (単 グレープ りん こ ぶ どう 4.47 0.58 0.28 8.13 1.49 7.80 7.86 も も そ の他 合 計 0.55 0.36 1.05 1.56 16.01 8 . 4 1 3.47 1 . 1 0 0.56 0.32 0.93 1.41 16.21 7.76 3.32 0.94 0.70 0.37 0.75 1.17 15.01 7.34 3.26 0 . 8 1 0.66 0.33 0.69 1.08 14.19 6.55 3.14 0.74 0.64 0.29 0.74 1.06 13.17 5.82 3.03 0.55 0.53 0.30 0.70 1.02 11.96 果実 の流通便覧』。 資料 : 果 実流通研究会 『 │ 1 本央汁農 協連 『央汁関係資料』。 注 :製!Tl容 量 ベ ー ス。 この よ うに輸入 の ウエ イ トが 高 まるにつ れ て、国内 での価格形成 は輸入品 の価格水準 で決定 され る こ ととな った。 代表 的な ものが 、市場 を完全 に制覇 されて い る レモ ンで あ る。レ モ ンの価絡 はサ ンキ ス トレモ ンに よって決定 され 、それ が 国内価格 の 水準を形成 して い る。 も し何 らか のア クシデ ン トに よって輸 入が減 少 した 場合、「 J 内 価椎 は暴騰 し、急遂放任 の 散在樹 か ら採収 して 出荷す るとい う事態 で あ る。呆汁 の坊合 は輸入品 占右率 が 高 い だけに、 こ うした現象が鮮 明 で ある。輸入量 の増大 ・価格 の低務 に よ り、国内原 果汁価格 は 、製造 コス トや 原料価格 に関係 な く、輸入原果汁価格 との 関係 で決 定 され る。原果汁 ばか りでな く、川下 の 消費段階 で も輸入物 の増大、価格支配 の現象 が顕在化 してい る。9 2 年4 月 、 白由化記念 セ ール として大 手 ス ーパ ーが1 , 0 0 0 m パ ι ック1 9 8 円で販売 した バ レンシア オ レンジジ ュース 1 0 0 は、以後 四度 にわた る1 0 円の価格引 き下げ で1 5 8 円で販売 されて い る。国産 品 との 価格売 ばか りで な く、牛乳、ミ ネ ラル ウ ォー タ ー よ りも安 く、 バ ブル崩壊 に よる消費者 の節約 ム ー ド に もマ ッチ し、好 調な売れ行 きを示 してい る。 これが価格水準を形成 し、国産果汁 の値崩れ、乱売合 戦 の 要因 とな り、 さらには牛乳消費減退 、 肉牛f r l iの 格低落 に まで波及 してい る。 オ レンジジ ュー ス輸 入 自由化 は 、 半に柑橘産業 ばか りでな く、わ が 四 の農業全般 に影響を及ぼす もの とな って い る。 4.価 格 の形 成 9 1 年 4 月 、 オ レンジ生果 の輸入 が 自由化 された。 白由化前 か ら輸入貴が輸入枠 を下 匝1 るとい う実質 -89- と 前の 1 有 価 格 とな っ 的な ド1 山化状態 に あ った。京浜 市場 の9 0 年度 みかん価格 は 、l k g ヽた り2 3 3 1 l J 午 」 録 を 吏新 した。中晩本 も│」 「 様 で、 この期耐1 1 隅〔 た, さ らに l r i 由 化 初年度 で あ る9 1 年の価格 は 、2 7 6 1 1と記 は 高l l l 鉄 史新 した 。 この よ うにオ レンジの輸 入 白山化 は 静かなネ開け とな り、生産者 にはオ レン i iを 己 生産 で 十分対処 で きるとい う山負があ った。 ジ l r i l恐 l i たと高r T l 質 らず、適 1 に 経: ′ 1 1るに足 化 オ レンジジ ュー ス ピ i 由化 は 、 こ う した 安堵感 と期待感 を根底か ら獲 した。 9 2 年産 みかん入 荷 社は 前 類 も6 4 % に 盤 │「 年 に対比 してやや 増加 しただけであ るが、 価格 は 1 9 6 円と7 1 % に 基洛 している。中晩ホ 山i で其午 だ った ものの、 異常気象 に よる品質低 下、不況 に よる消費減 落 した。 続 いて9 3 年度 は 、 / l i 産 退 、 ジュー ス │1′由化 に よる価格 ド支 え機能 の 喪失 な どの要因 で 、1 8 5 円とさらな る安値 に 見舞 わ れ て に 、 しか も安l l l l輸入 しまった。 大 1 土 l で され るオ レンジジ ュースに は 、コ ス ト的 に 人 刀打 ち で きず 、 ジュー ス 1 1 場 は搾汁 性を抑 えた。行 き場 を失 った桝物 みかんは安値 市況 の 市場 に殺到 し、それが また を掛け るとい う忠循環 とな った。 安値 に 抽 ' 十 気味 で、 こ うした 事態 が 予測 され た こ とか ら、 9 3 年た みかん の 開花後 予想生産 圭は1 6 5 万t と 過乗」 二中心 の生産体制 を打 ち出 していた。 摘果 の徹 l i 産出荷安定協議会 は 、生産総量 の 調雑 と/ 4食 全 回果実 ′ 底 に よって1 5 万t 生 産調整 を し、全国 の総生産量 を1 5 0 万t に 抑 えるとともに 、加 工 仕 向量2 6 万t 、 う ち果汁 1 5 万t 、 行 詰 1 1 万t に す る とい うもので ある。販売価格 は 、 1 蛇 当た り2 0 0 円を 目標 と した。 こ れ を受け て農 水省は、果振法 に基 づ き同趣 旨の生産 出荷安定指針を公友 した。 各産地 では摘果 を徹底 動 を展 開 した。 総生産 童 し、生産 調整 とともに加 工原料 みかん ゼ ロ作戦、樹 L 選 果 に よる品質 向 1 1 運 は1 4 9 万t と 日標通 りとな った。果汁 は1 6 万t 、缶話 は 8 万 t 、加工仕 向量 は2 4 方 t と ほぼ 田標通 りで あ る。 この よ うに 生産 調整を実施 し、し か もそれ が H 標 通 り達成 で きた に も拘 らず、安1 生に 見舞われ たの で あ る。異常気象 に よる, V i 質 低 下とい う特異現象 に よる安値 に加 え、輸入 自由化 に よる価格 支配、加 は 、構造的安 の複合現象 で あ る。 従 ってそれッ 工に よる ド支え機能 の 喪失、央汁 の在庫圧 力 に よる安1 れ 値 で あ る。 産品価格 の低迷 は、みかん、村橋 ド1 化、輸 入 軽: の増大 で 、輸入品 に よる価格水準 の形成 、1 呵 輸入 1 竹 類 に 限定 され るものではな く、農産物全般 に共通す る現 象 で あ る。かぼち ゃ、 た まね ぎ、 しょうが、 がない。I J 産価格 が上 昇すれ ば、 問髪 を入れず外 国産 が流入す るとい ね, んこん 、 たけの こ と枚挙 のH 技 ・ うパ タ ー ンで あ る。野菜作 で も自由に輸入 されて くる体制 では、 上方硬 直的 安値安定的 なl m 格形式 で 、経常対応 が 一層 困難 に な って い る。 5.対 応 の方 向 オ レンジ2 0 % 、 オ レンジジュー 11鮮 の なか で 、 ガ ッ ト ・ウル グアイラウ ン ドに よる′ この よ うな , l Tこ 沙 ス 1 5 % の 一 般関税率 のづ│ き ドげは、輸入価格 の低 下とい う数値 で表示 で きる友 面的な打撃 を ケえ るば か りで な く、それ以 1 1 に 農家 の心配的な意気消沈 に よ り、l i 産意欲 を減退 させ るものであ る。現に央 汁原料 みかん比 率 が 高 い産地 では 、果樹 園 の 子抜 き作業 が 多 くな り、荒廃化 の傾 向 も見受け られ る。 こ うした事態 に対処す るためには、 高品質化 ・低 コス ト化 に徹 してい く以外 に 方法 はな い。外観 重 ー ・ 質に優れ、 内容 の あるもので な くてはな らな い 。 そ れ は 精 度 駿度 、 フ レ 視 ばか りではな くL I I I的 バ ーで 友現 され る食味 で あ り、食! マ ! としての安全性 で あ り、新鮮性 で あ る。 こ う した特色 を共備 した を発揮 で き る果実 で なければ、成熟段階 に あ る消費者 の関 融 産 果実 との 商l i的差別化 個性 的果災、外 1 呵 る こ とは不 H f 能で あ る。 心 を繋 ぎ 1 1 1 め 1 1 産のためには 、 ハ ウス、高雌、根群制限、 マルチ な どの栽培管理技術 山F の方法 がある。だ │,質 高占 -90- が 妓 人 の 要件 は 、それぞれ の産地 がそのた地 に適す る優秀な品種 を導 入 し、道地適産 の大原則 に添 っ る通 り、 高品質 1 1 産のために て特 色 あ る商1 1 1 1′ る技術 はない と言わ加す li産 を す る こ とであ る。1 1 1 , I T勝 lに │よ F ] T T l開発 を ・台成す る こ とである。 優 良品種 とい って も日進月歩 で あ り、 、そ の産地 に道す る優 良高 段階 におけ る最適品T F T j、斉 と木1 去 i ・系統 不良園をうと へ ( 極 的 に 品柱更新 を してい く産地 の努力 が必要 で あ る十 ・高l l t l実現 たた ここで反 省す べ きは 、従 前の対応策 が │ 石 卜 1'j質 ド 格 にのみ偏 して いた こ とであ る。確 か あ に 買 いや は、高r i l ,と│ ? は つの 対応路線 では あ り得 るが 、 パ ブル崩壊後 の節約的消費フ に そオ 質 IJ時 「 ふ│」 ー す い1 ‖ F 格、リ ー ズサ ブル な価格、値 ごろ感 を求め るよ うにな った。 輸入果実 の増加1 による価格水準形 の実現 と1 司 を助 長 した 。高1lキ 成が、そ の傾 1 化 l質 時 に、低 コス ト化 が要請 され る所 以 で ある。 また消費 ばか りで な く、内容本位 の 商品選択 についての理 解 と協力 を得 る必 要 が あ る。 者に対 して も外観 l T 4 祝 ー そ のためには セ ンタ に よる非破壊選別技術 の 申新 で、外観 に よらず とも安心 して 買 える体制 の準備 か 先決 で あ る― ‐ │ : たのためには 、規模拡大 が提 噌 され る傾 向が ある。農政審 が9 3 年 9 月 に示 した柑橘経営 低 ヨス ト′ の炭 喫 も、蘇地栽培 で傾斜地用多 日的管理休系を利用 した場合 4 1 1 a として い る。し か し子作 業 が 多 く、機械化 一 貫作業体系 が先成 していない柑橘作経営 では 、稲作経常 の よ うに 単純 な スケ ール メ リッ トは現われ難 い。果樹 では 品質 問価格と が 大 き く、限度以上の規模拡大 は加 工原料生産 とな り、デ メ リ ッ トす らが現わね″ る。柑稲作経営 の規模 の限界 は 、家族労働 力 1 人 当 た り l h a が 限度 で あ る。 園内 ム 能 な限 りの機械化作業 に よって 作 米道 の 開設、多 │ 1 的スプ リンク ラ ーの 設にな どの園地基盤整備 、 H 」 労働効率 を 高 め るとともに、楽 し く作 業 で きる体制が必要 で ある。 さらに l h a の 規模 で、経営 が成 り / l i 活 、 がで きる よ うな もの を1 1 産す る こ とである。1 陀 当た り価格 2 0 0 円 、 1 0 a 当 た り半収 2 . 5 ∼ 1ち 3 . O t 、 粗i 収入5 0 ∼6 0 万円 が一 応 の指標 で あ る。 こ うした高品質村橘 の′ li産 体制 は 、必然的 に果汁原料用 の高品質化、高品質呆汁 の4 i たともな る。 1 の活路 は 見出だ せず 、新技術 の 開発 に よって新鮮 さ 果汁 に つい て も、 コス ト競争一 点張 りでは 困産 , ギ と安 令 性 を「 訴求点 として 前に1 に押 し出 した新 商∴ FTを 創造 し、商品差別化 を図 って い く必要がある。 対応 の 方向は産地 の ド1 助努力ば か りで な く、 これ らを政 策的 ・制度的 に バ ックア ップす べ き課題 も 種 に よる呆樹 1 共 │ の店返 り、果汁工場再編整備 、消費拡大対策 な 多 い. 園 地米盤 の整備、改植 ・, │ │ ,更新 どがそれ, であ る。 さらに 、加 I : 原料用 果実価格安定対策事業を整備拡充す る こ とであ る。加 r i 原料用 みかん の うち 果汁原料用 につ いては7 2 年か ら、行詰原料用 につ いては7 3 年か らl m 格保 証制度 が実施 さ てい る。 また8 8 年に、オ レンジジ ュース 自由化 ス ケジュール決定 の 事後対策 として創設 された 、呆 ねブ 金制度が実施 されて い る ( 第 6 災 ) 。み かん価格 は加 正に よって下支え られ、 汁原料み かんの特別 r l t 給 加 11原 料 みかんl l l lは 制度 に よって最低保証 されて い る。 また特別補給金制度 は 、外 問 格この価格保 1 に 子 効 に機能 してい る。 しか しこの制度 は 8 々i 岡の時隈 産 果汁 の 人 祉流 人 の なか で も、不 卜分な が らもイす 朴 F i であ り、9 5 年度 で終結す る。 この制度 を整備拡 充 し、価格安定方策を請ず る こ とが、村稲産業 の 健全 な永続 に とって必 要不 " r 欠で ある。 -91- 料用みかんの平均取づ1価格および基準価格 (単 位 :円/kg) 第 6表 加 11原 年産 缶 ` F均 取 引 価 '75 '79 '80 '84 '85 '86 '87 '88 '89 '90 '91 '92 '93 格 詰 原 料 保証基準 価 格 用 ム 古 呆 ナ 村 准│ 原 歳低 基 準 平均取 引 保証基準 技低 水 準 日標 取 引 価 価 価 価 価 格 格 格 格 17.95 格 25 96 22.51 12.62 30 94 27.90 31.34 37.12 26.37 31.35 44.21 30.86 29,42 37.12 26 37 29.17 44.39 32.95 63.34 37.53 26.78 44.96 42.38 33.05 44.79 37.53 26.78 46.27 42.38 33.05 42.45 37.53 26.78 46.80 42.38 33.05 24.62 37.53 26.78 32.23 42.38 33.05 19,15 28.48 24.62 37.53 26.78 27.73 42.38 25.43 35.26 24.61 24.98 39.47 14.51 23.84 37.41 33.19 22.44 29.94 36.56 9.88 19.21 56.86 30,78 20.03 19.79 33.64 9.75 19.08 29.66 28.37 17.62 12.77 30.73 9,75 19.08 11.66 26.25 15.50 9.97 27 82 9.75 19.08 果樹統計』 お よび愛媛県 果実基金 協会資料 、愛媛県 の実績。 資料 :日 本 園去農協連 『 参 考 文 献 へ 愛媛大学 経営農学研究』 ( 1 ) 麻 野 尚延 : 「 オ レンジ果汁輸入 自由化 の実態 と国内柑橘産業 の影響」 『 94年 3月 。 ( 2 ) 麻 野 尚延 : 「 関税率引 き下げ と村橘産業 の対応J 『農林統 計調査』農林統計協 会、 9 4 年 3 月 。 ― 週 刊農林』 ( 3 ) 麻 野 尚延 : 「 村橘 の経営展望 と政策展開 の基本方 向 農政審報告 の経営展 望 と課題」 『 農林 出版社 、9 4 年 1 月 5 日 。 -92-
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