アルファ粒子計測の為の強集束大電流 ヘリウム正イオン源開発

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アルファ粒子計測の為の強集束大電流
ヘリウム正イオン源開発
Development of strongly-focusing and high-intensity He+ ion source
小渕 隆1, 木崎雅志1, 勝部良憲2、神藤勝啓3, 岡本 敦1, 北島純男1, 笹尾眞實子1,
津守克嘉4, 金子 修4, 榊田創5, 木山 学5、平野洋一5、和田 元2
東北大工1、同志社大2、原子力機構3、核融合研4、産総研5
Takashi KOBUCHI1, Masashi KISAKI1, Yoshinori KATSUBE2, Katsuhiro SHINTO3, Atsushi OKAMOTO1,
Sumio KITAJIMA1, Mamiko SASAO1, Katsuyoshi TSUMORI4, Osamu KANEKO4,
Hajime SAKAKITA5, Satoru KIYAMA5, Yoichi HIRANO5 and Motoi WADA2
Tohoku Univ.1, Doshisya Univ.2, JAEA3, NIFS4, AIST5
燃焼プラズマ中のアルファ粒子計測用として、強集束大電流のヘリウム正イオン源の開発[1]、およ
びその性能評価と共に評価システムの開発を行っている。2電子移行荷電交換反応を用いたヘリウム中
性粒子ビームによるアルファ粒子の中性化法は、燃焼プラズマ中のアルファ粒子計測法の一つとして検
討され、ITER で十分な信号強度(S/N 比)を得る為に、10 mA、1-1.5 MeV のヘリウム中性粒子ビームが
必要とされている[2]。 また中性粒子ビームは、ヘリウム負イオンの自然脱離法による生成を想定して
いる為、中性粒子ビームと同程度の負イオンビームの生成が必要である。この負イオン生成は、アルカ
リ金属ガスとヘリウム正イオンの二重荷電交換反応を利用する為、負イオン生成の反応断面積を考慮す
ると 10-20 keV 程度の比較的低エネルギーのビームが必要である。また負イオンの生成効率、中性粒子
への変換効率、アルファ粒子と中性粒子との反応効率等を考慮するとアンペアクラスの正イオンビーム
電流が必要となる。
開発されたイオン源はフィラメントを用いたバケットタイプのイオン源で、ビーム集束の為に湾曲
型電極を採用している。またイオンビームはφ100 mm の領域から引き出された 301 個のビームレットで
形成されている。
ビームの径サイズはビームターゲットの温度上昇分布を IR カメラで観測し評価を行っ
ている。ビーム焦点はビームターゲットを移動させ、ビーム径の軸方向の変化から評価を行っている。
ビーム電流は加速電極と減速電極に流れる電流の差から評価を行っている。その結果、10 kW のアーク
パワーで 2-3 A のビーム電流が 0.1 s のビームパルスで得られることが確認されている。ビームの焦点
は電極より約 500 mm の位置で確認され、焦点位置の径サイズは約 30 mm が得られている[3,4]。これら
の値はビームシステムの要求値をほぼ満たしている。
一方計測ビームとして 10 s のビーム生成を予定しており、今後はビーム生成の長パルス化が課題と
なる。しかしながら焦点位置よりも下流のビーム形状において大きな歪みがあることが確認された。ア
ークプラズマの点弧時間の長さに対して歪みの度合いが変化するため、熱負荷に対する電極の歪みに因
るものと判断される。湾曲型電極の歪みはビーム焦点位置の移動を招き、ビーム強度の劣化などが予想
される。従って長パルス化の実現には電極の歪み抑制が必要不可欠である。その抑制方法として輻射熱
の抑制(プラズマ生成の最適化)や入熱の制限(保護板の設置等)が挙げられ、これらの効果について
議論を行う。
[1] K. Shinto et al., Proceedings of EPAC 2006, Edinburgh, Scotland, 1726
[2] M. Sasao et al., nuclear Fusion 35 (1995) 1619
[3] M. Kisaki et al., Rev. Sci. Instrum. 79 (2008) 02C113
[4] T. Kobuchi et al., Rev. Sci. Instrum. (in press)