Ⅰ 人材育成基本方針策定の目的

Ⅰ
1
人材育成基本方針策定の目的
自治体を取り巻く環境と人材育成の必要性
市役所の能力が一層問われる時代
地方分権一括法の施行により、地域のことは地域が決めるという原則が明確にな
りました。これにより、これまでの全国一律の行政から地域の特性に合わせた行政
が可能となりましたが、このことは同時に、自治体の能力差による地域間格差を生
み出しています。つまり、市役所(市職員)の能力が人吉市のまちづくりにこれま
で以上に大きな影響を与える「市役所の能力が問われる時代」になったといえます。
これまでの手法が通用しない社会
社会経済情勢の急激な変化により、蓄積された解決策に頼るという従来の手法は
通用しなくなっています。また、前例のない少子高齢社会や人口減少社会の出現に
より、私たちは新たな解決策を見つけ出さなければなりません。
さらに、市民の価値観が多様化・細分化し新たな市民ニーズが出現する中、縮小
する財政状況のもとではこれまでのように予算の支出を伴った事業ではなく、お金
のかからない解決策・官民の役割分担の見直しが必要となっています。
激変する地方自治制度・公務員制度
公的サービスの担い手は、これまでの行政による独占から民間企業・NPO へと拡
散しています。この流れは、国・地方の厳しい財政事情の中、事務事業の廃止・民
間委託の推進・職員の削減などによる公共部門の縮小、指定管理者制度・市場化テ
ストなど民間参入の拡大とあいまって更に進んでいくと思われます。
また、公務員制度についても、地方公務員法改正による勤務形態の多様化、能力
と実績による評価制度の導入を柱とした公務員制度改革など急激な変化にさらされ
ています。
これらのことから
◆
市役所の組織及びその職員に対し、行政経営能力・政策形成能力など多様
かつ高度な能力が要請されている。
◆
新たな自治体像、市職員としての「あるべき姿」を考え、創り出していか
なければならない。
―
1
―
2
人材育成基本方針の位置づけ、策定の目的
(1)
位置づけ
人材育成基本方針は、市の最上位計画である総合計画・実施計画を実現し、市の
目標を達成できる「人材」を育成するためのマスタープランとなります。
【総合計画】
都市像の明確化
と政策の実現により
市民満足度を最大化
【中期財政計画】 【行政経営計画書】
行政サービスを安定的
市民の視点での行政
に提供できる財政健全性
サ―ビス、効率・効果
の確保
的な行政システム
【人材育成基本方針】
新しい時代の自治体経営を担える
人材育成(意識改革・能力向上)
(2)
策定の目的
人材育成基本方針は、「目指すべき職員像」「必要とされる能力」を明確にするこ
とで、「職員像に沿った人材」「能力を身につけた人材」を育成するための手法と取
り組みを体系的に整備し、計画的に実施することを目的とします。
また、 人材育成
=
研修
ではなく、職場風土・任用配置といった人事制度全
般を含む職場の各場面でのトータルな人材育成を目指します。
目指すべき職
人材育成のた
育成のための
市の目標を達
員像の明確化
めの指針の設
手法と取り組
成できる「人
定
みの整備
材」の育成
―
2
―
Ⅱ
1
本市の現状と課題
組織風土と職員の意識
今回の方針策定にあたり、平成 16 年 11 月に職場風土・職員の意識の把握を目的と
して職員アンケートを実施しました。そこで明らかになった本市の現状と課題は次の
とおりです。
チームワークが良く、自由な雰囲気がある職場
職場のチームワークについての質問では、80%の職員が問題解決や目標達成のため
のチームワークがとれていると感じています。また、89%の職員が自由に発言したり
議論できる雰囲気があると答え、87%の職員が相談できる上司・同僚がいると答える
など、お互い顔を知っている小さな組織ならではの人間関係の良好さが感じられます。
高いやりがいと愛着
現在の仕事にやりがい(充実感・達成感)を感じているかとの質問に対しては、78%
の職員が肯定的に答え、また、同じく 78%の職員が現在の仕事に愛着を持っていると
答えています。
性別による格差感
昇任や配置、担当業務について性別の「格差がない」と感じている職員は 43%にと
どまり、他の設問と比較しても否定的意見が高い割合を占めています。回答者の属性
別にみると、部長・次長の 60%、課長級職員の 63%が「格差がない」と答えているの
に比較して、女性職員は 68%がそう思わないと回答するなど、業務を割り当てる管理
職層と他の職員との間に意識の差が感じられます。
若いうちに様々な部署を
人事制度に関する設問として、将来の処遇について質問しています。その結果、20
歳代の 53%、30 歳代の 48%がそれぞれ「各部署経験後に考える」と保留しているの
に対し、40 歳代での保留は 23%と、40 歳前までの経験でその後の方向性が決められ
る傾向がみられます。能力開発手段として有効なものを問う設問でも、54%の職員が
「若いうちに様々な部署を経験すること」と回答しているように、20 歳代・30 歳代の
うちに短期間で様々な経験を積ませ、40 歳代から得意分野の仕事に取り組ませる人事
異動の検討が必要に思われます。
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3
―
能力・実績主義に対する考え
公務員制度改革の流れの中、能力主義の考え方が導入されようとしていますが、市
の職員はそのことをどう考えているか尋ねています(複数回答)。昇任については、6
割を超える職員が能力重視と回答し、年功を重視すべきとする意見(31%)の 2 倍の
割合となっています。一方で、給料の決定については年功 43%、能力 44%と同程度の
回答となっており、昇任や配置は能力で、給料の決定は年功・能力双方を考慮した処
遇を希望しているように感じられます。このことは、勤務評定を何に活用すべきかと
いう設問においても同様の傾向が見られます。
チームワーク重視の反面、低い改革指向
高い業績をあげる職員の能力についての設問で、どのような職員像を目指すべきか
を尋ねています。現時点の職員については、コミュニケーションやリーダーシップ、
責任感といった組織内部を統率する能力が重視されていますが、一方でコスト意識、
市民満足や業務改善を重視する意見は少なく、組織内部の協調を重視しコスト削減や
改革指向が低いという現状がみてとれます。
一方、5 年後の求められる能力については、現時点と異なり業務改善や市民満足が
上位になるなど、現在進められている行政改革の取り組みが徐々に職員に浸透してい
るように感じられます。
強
み
弱
み
○
チームワークの良さ
○
低いコスト意識
○
自由に発言できる雰囲気
○
市民満足度や改革改善に対する
○
仕 事に 対す る 高い やり が いを
意識の低さ
持っている
○
性別による格差感が高い
=
人事制度への意識
=
○
若いうちに様々な部署を異動し、職務経験を
積むことによる成長を望む。
○
昇任は年功よりも能力重視。給料の決定につ
いては、能力によるものと年功によるものが拮
抗。
―
4
―
2
人材育成の課題
人吉市役所の人材育成の課題として、以下の3点が考えられます。
①
職場の教育力の不足
年1,2回の研修よりも、日常業務の中での経験、上司や先輩から受ける指導・
助言が効果的であることは当然であり、各職場での人材育成の重要性は今も変わ
っていません。しかし、最も研修効果のあがる職場での教育は個々の職員の意識
と能力に依存し、組織としての体系だった取り組みはなされていません。
また、本市の職場風土としてチームワークの良さや自由に発言できる雰囲気は
認められますが、以前と比べ、口やかましく後輩職員を指導したり、お互いの仕
事について議論し質を高めるという雰囲気は希薄になっているように思えます。
管理職の人材育成についての責任の明確化や、職場内研修の実施による切磋琢
磨し仕事の質を高めあう風土づくりを進める必要があります。
②
職員の意欲に基づく能力開発
従来行ってきた年齢・職階による階層別研修は、職員の均質化・底上げが目的
であり、画一的行政サービスを提供していた時代には一定の効果をあげてきまし
た。しかし、研修意欲の低い職員には効果は薄く、逆に意欲の高い職員にとって
は、研修機会が奪われるというデメリットがありました。
これからは、まず自分自身のやりたい仕事・役割を考え、そこに必要な能力を
自主的に身につけていく自律型の職員を育てることが重要であり、そのためにも、
職員の自主性に応じた人材育成に転換する必要があります。
③
育成目標の明確化と人材育成と人事制度のリンク
職員の間に共通した「目指すべき職員像」がないため、どのような能力を身に
つけ研鑽していくべきか不明確であり、能力開発に向け目標を持った取り組みが
できない状況にあります。
これからの人吉市を担う職員としての「職員像」「そのために必要な能力」を明
確にし、体系立てた人材育成メニューの整備を進めていく必要があります。
また、人事異動などの人事制度と人材育成との連携が制度化されていないこと
から、人事制度の各場面を生かした人材育成への取り組みを進めていかなければ
なりません。
《人材育成の課題》
◆職場の教育力の向上、職場内研修の
実施
◆画一的研修から、職員個々の意欲に
応える研修への転換
◆育成目標の明確化、人事制度と人材
育成との連携
―
5
―
Ⅲ
1
どのような「人材」を目指すのか
求められる人材とは
(1)
市民の求める人材
市民が求める市職員とはどのようなものか、平成 13 年 9 月に実施した「行政改革市
民意識調査」をもとに考えてみました。(カッコ内の%は複数回答によるもの)
市役所や市職員に対する印象
最も多かったのは、接遇や応対に関するものでした。「親切な対応をしてくれる」
(1位:45%)、
「事務処理がてきぱきしている」
(3位:23%)と高い評価がある反
面、「サービス精神が足りない」(4位:22%)との批判もありました。
また、意識改革に関するものとして、
「前例や慣習にとらわれすぎる」
(2位:24%)
という意見もありました。
市の組織や職員に改めてほしいこと
多かったものは、市民参画に関すること、コスト削減に関すること、意識改革に
関することの3点でした。
市民参画に関することでは、「市民への情報公開」(1位:27%)、「市民の意見を
取り上げて欲しい」(4位:20%)との意見が出されています。
コスト削減に関する意見も多く、「公費支出のチェック」(2位:24%)、「職員数
を減らす」(3位:23%)と、税金の使途についての厳しい市民の目が現れています。
意識改革に関しては、前項の設問同様「前例主義的発想をやめる」(5位:18%)
との意見が寄せられました。
以上のことから、市民が求める職員の資質・能力として、次の4点が挙げられま
す。
市民の求める職員の資質・能力
◇ 窓口や市民と接する際の「接客」「的確な応対」
◇ 情報公開や市民の意見を集めるなどの「市民参画」
◇ 前例にとらわれない「改革指向」
◇ 税金を有効に使う「コスト意識」
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6
―
(2)
職員の考える「成果をあげる職員像」
では、職員はどのような人材を思い描いているのでしょうか。平成 16 年 11 月
に実施した「人材育成基本方針策定に係る職員意識調査」で、現在と5年後の高
い業績をあげる職員の能力について質問しています。上位5つについては、次の
とおりです。(5つ以内の複数選択)
【現在】
順
位
必要能力
行
動
例
選択
率
1
コミュニケーション
コミュニケーションをとり、働きやすい職場づ
くりや職場の活性化に前向きに取り組んでいる
48%
2
リーダーシップ
率先して行動し、皆が同じ目標に向けて働くよ
うリーダーシップを発揮している
44%
3
責任感
責任感が強く、自分で決断でき、問題がおこっ
ても他人のせいにしない
43%
4
交渉力
人との交渉がうまく、自分の考えを上手に相手
に伝え、納得させている
37%
5
先見性
長期的な視野・先見性を持ち、先手を打って行
動している
32%
5
柔軟性
状況の変化に対応し、柔軟かつ的確に仕事のや
り方や方向性を変えている
32%
【5年後】
順
必要能力
位
行
動
例
選択
率
1
改革指向
従来のやり方にこだわらず、むしろ積極的に業
務改善や改革に取り組んでいる
51%
2
コミュニケーション
コミュニケーションをとり、働きやすい職場づ
くりや職場の活性化に前向きに取り組んでいる
42%
2
先見性
長期的な視野・先見性を持ち、先手を打って行
動している
42%
4
柔軟性
状況の変化に対応し、柔軟かつ的確に仕事のや
り方や方向性を変えている
37%
5
顧客満足指向
市民満足を第一に対応している
32%
現在と 5 年後を比較して最も特徴的なのは、改革指向と市民満足指向の2項目
の重要度の違いです。「従来のやり方にこだわらず、むしろ積極的に業務改善や改
革に取り組んでいる」という行動は、現時点では重要度 10 位(25%)ですが、5
年後の重要度は 1 位(51%)となっています。また、「市民満足を第一に対応して
いる」という行動についても、現時点の 15 位(15%)から 5 位(32%)にあがって
います。今後の職員の能力として、これら「改革指向」と「市民満足指向」の2
点を重視している職員の意識が表れています。
―
7
―
2
人吉市の目指す職員像
市民の期待・要求に応え、これからの人吉市を担える人材を育成するため、職員
ひとり一人が自己形成の目標とすべき職員像、人材育成の到達点として次の5つを
「目指すべき職員像」として定義します。
◇
郷土愛にあふれ、市民の視点で、市民とともにまちづくりを進める職員
・郷土に対する愛情と誇りを持ち、歴史や文化を学び、郷土のことをよく学ん
でいます。
・市民の意見に積極的に耳を傾け、市民の立場で、市民と共に考え行動できま
す。
・市民にわかりやすい言葉で説明し、納得を得ることができます。
・業務以外の場面でも、町内会や子ども会など地域活動に積極的に参加し貢献
しています。
◇
全体の奉仕者としての使命と責任感を持ち、公平・丁寧な対応ができる職員
・全体の奉仕者としての使命感・責任感を持ち、公務員としての倫理観を常に
自覚しています。
・常に公平・丁寧・親切な応対を心がけ、実行します。
◇
優れた経営感覚とコスト意識を持ち、前例にとらわれず、常に改革を心がけ
る職員
・優れた経営感覚とコスト意識を持ち、広い視野で総合的な判断ができます。
・前例や慣習にとらわれず目的を最も効果的に達成できる手段を考え、前任者
の仕事に一工夫を加えるなど、常に改革・改善を心がけます。
◇
幅広い知識を持ち、多様な市民ニーズに応じた政策立案ができる職員
・担当業務に関する知識のみならず、市行政全般についての知識を備え、多様
な市民の相談に対応できます。
・市民ニーズを見極め、利用可能な資源や自己の強み弱みを踏まえた、効果的
な施策を立案・実施できる能力を持ちます。
・先見性を持ち、時代の流れに即した将来のビジョンが描けます。
◇
向上心があり、人の心がつかめる人間性豊かな職員
・自己の果たすべき役割と必要な能力を理解し、自己研鑽に努め、常に目標を
持って行動します。
・相手の気持ちを理解し、相手の共感を得ることができます。
―
8
―
Ⅳ
1
人材育成に関する基本的考え方
人材育成の指針
私たちを取り巻く急激な変化に対応し、市の使命・目標の達成に貢献できる「目指
すべき職員」を育成するにあたっては、
「時代の変化に挑戦する職員を育てる」ことを
人材育成の指針とします。
これは、今後最も必要とされる、そして今の人吉市役所職員に不足している「改革
心」に重点を置き、やる気を持って自ら考え・行動する職員を育成すること、変化に
振り回されるのではなく変化に挑戦しビジョンを持って行動する職員を育てることで、
職員自らが「目指すべき職員」に向け自己研鑽を積む職場風土を創り出すことを目指
すためです。
社会経済情勢の変化
市職員の強みを生かす
地方自治をめぐる制度改革
改革意識とやる気を引き出す
=
人材育成の指針
=
時代の変化に挑戦する職員を
育てる!!
「目指すべき職員像」に沿った人材
2
□
市民に夢を与えることができるまちづくり
□
親しみと信頼を感じ、気軽に利用できる市役所
□
職員のやる気を爆発させる職場
人材育成を進めるための役割
人材育成は総務課だけの仕事ではありません。職員が最も多くのことを学ぶ場所は、
市民と接し、業務を遂行する各職場であり、一番の講師は所属する職場の上司・先輩・
同僚です。
―
9
―
また、いくら周囲が様々なアドバイスをしても、職員自身が自覚と意欲を持って自
己研鑽に努めなければ、その効果は期待できません。
これらのことから、人材育成を進める役割を「職員」「職場」「人事担当部署」それ
ぞれに定め、お互いがその役割分担を果たす中で相乗効果を高めていきます。
職員の役割と責務
職員は、自治体職員として自ら時代に即応した「職員像」を考え、その姿に向か
って自己研鑽に努めなければなりません。プロの自治体職員としての自覚を持ち、
自らの「職員像」に向かって、自発的に研修への参加、自己啓発への取り組みを進
めてください。
職場の役割と責務
職場は人材を育成する基盤です。特に管理職は、各職場の人材育成の責任者とし
て大きな役割を果たさなければなりません。自ら率先して自己啓発に励むことはも
とより、部下職員の学習意欲を高め、成長につながる職務配分と機会の付与に努め
てください。
また、各職場を構成する職員は、後輩の育成や職場内研修の実施など互いに切磋
琢磨する雰囲気づくりを進めてください。
人事担当部署の役割と責務
組織の経営資源として「人材」の果たす重要性を認識し、人事制度を含む各場面
をとおして、職員一人ひとりがその能力を高め力を発揮できる仕組みづくりを進め
ていく必要があります。
また、人材育成を進めるための方向性を明確に示し、職員が自己研鑽を図るため
の基盤整備、意欲を高める施策の充実を図るなど総合的な支援を行っていきます。
職
員
職
自ら時代に即応した「職員
場
人材育成の中心は職場であ
相乗効果
像」を考え、自己研鑽に努
める。
り、課長は育成の責任者。
互いに育てあう職場づくり。
育成方針の決定、意識づくりを進める。
人事担当
研修基盤の整備、職員・職場の支援。
部
人事制度を通じた育成、能力を活かし
署
やる気を引き出すシステムづくり
―
10
―
Ⅴ
1
人材育成のための具体的取り組み
人事制度
(1)
人材育成型人事異動の実施
能力期に応じた人事異動
(1) 能力育成期(概ね20歳代の職員)
〜 基礎づくりと成功体験を積む時期 〜
市役所職員としての基礎づくりの時期である20歳代の期間は、OJT など業務
を通じて基礎的能力を高めるとともに、様々な部署を経験する中で、広い視野の
獲得と自己の適性を発見していくことが望まれます。
異動期間は3年程度とし、企画立案・事業の実施・窓口業務等異なった分野の
業務を経験する人事異動を行います。
(2) 能力開発期(概ね30歳代の職員)
〜 チャレンジと自己発見の時期 〜
入庁後10年程度経過し、基礎的な業務遂行能力を身につけた30歳代は、よ
り高度な業務や新たな分野にチャレンジできる時期です。また、自身の強み・弱
みや適性を把握し、市職員としてどのような役割を果たしていきたいのかを考え
る期間ともなります。
異動希望制度等を活用しながら5年程度の周期で異動し、じっくりと知識・経
験を積み上げるような人事異動を行います。
(3) 能力充実期(概ね40歳代の職員)
〜 実力を発揮し経験に厚みを加える時期
〜
30歳代までの実務経験から自らの適性を判断し、部門の管理運営を行う管理
職(ライン職)を目指すのか、特定分野の専門知識や技能を生かし業務の推進に
あたるスタッフ職を目指すのか選択する時期となります。これまで身につけてき
た業務遂行能力を発揮するとともに、各職における必要な能力開発と経験の積み
あげを行い、市役所の中核としての役割を担うことが求められます。
異動希望制や係長昇任試験などを活用しながら、適性に合わせた職務経験を積
み、得意分野での能力の発揮を目指した異動を行います。
(4) 能力発揮期(概ね50歳代の職員)
〜 成果を挙げ市民に大きく貢献する時期
〜
ライン職またはスタッフ職としてその職位における使命と責任を果たし、市民
の福祉向上につながる具体的成果を挙げることを求められる時期となります。
職員それぞれの得意分野を生かし、その能力を最大限発揮できることを目指し
た異動を行います。
―
11
―
【能力期ごとの人事異動】
20歳
30歳
40歳
50歳
60歳
採用
退職
能力育成期
能力開発期
能力充実期
能力発揮期
様々な部署を経験
し視野を広げると
ともに、基礎的能
成力を育成する。
自己の適性を発見
する。
より高度な仕事に
チャレンジ。適性
を把握し、将来果
たすべき役割を考
える。得意分野を
伸ばす。
適性に応じてライ
ン職かスタッフ職
を選択。各職に必
要な能力の開発と
経験の積み上げを
行う。
職位における使命
と責任を果たす。
成果を求められる
立場となる。
《異動パターン》
3年程度で異動し
異なった分野の業
務を経験する
5年程度で異動し
知識・経験を積み
あげる
必要な経験の積み
上げ、得意分野で
の実力発揮ができ
る部署への配置
得意分野を生かし
て実力が発揮でき
る部署への配置
異動希望制の導入
職員が市役所職員としてどのような仕事をし、市民に貢献していくのかを自ら
考え、そのための必要な知識・経験を積み能力を発揮できるよう、異動希望制を
導入します。各部署は職務内容と必要な知識・能力を、職員側はやりたい仕事と
自己の能力を提示し、総務課においてマッチング作業を行うとともに、職員が希
望する部署で求められる知識・能力を獲得できる研修制度を整備します。
また、異動希望を出す際や自分自身の将来の職歴を考える際の参考となるよう、
各課・係の業務内容や求める職員像・能力をグループウエアで公表します。
企画提案型異動
職員のやる気を引き出し持てる能力を発揮させる機会として、自ら事業計画を
立案し自ら担当者として仕事をする企画提案型の人事異動を検討します。
◆
企画提案型異動の例・・・庁内ベンチャー制度(福岡市)
福岡市では、事業を提案した職員に事業の実施まで担当させることにより、職員のや
る気・意欲を引き出し、人材育成を図るため、平成 16 年度から庁内ベンチャー制度を
実施しています。
同制度では、1次審査で応募した全職員に対し事業アイデアのプレゼンテーションを
してもらい、事業に込められた「思い」や「熱意」を審査に反映させます。1次審査を
通過した職員に対しては、企画部門の課長がサポートし企画書を作成。三役に対しプレ
ゼンテーションを行い、経営会議で事業化の最終決定を行っています。
16 年度については、39 件の事業アイデアが集まり、最終的には人権のまちづくり館
に勤務する 20 代の女性保健師 2 名が提案した「医療費分析に基づく地域特性に応じた
効果的な生活習慣病予防対策」が採択されました。その2名は、17 年 4 月に所管部署に
異動し、事業推進を担当しています。
―
12
―
複線型人事制度
職員の生き方・価値観が多様化する中、従来のように皆が管理職を目指すので
はなく、専門的知識や蓄積された経験を生かし、現場で活躍するスタッフ職を再
評価する動きが増えています。
また、行政評価や人事評価システムの導入等により、管理職に対しこれまで以
上に高い組織運営能力が求められていることから、管理職を上下関係のヒエラル
キーで捉えるのではなく、部門を運営する専門職として考え、その職務に適した
能力を保持する職員を配置することが益々重要となっています。
決裁ラインの管理職・スペシャリストとして貢献するスタッフ職の双方で、職
種にかかわらず、個々の職員の能力と適性に応じて職員が活躍できる複線型人事
について検討します。
=
複線型人事制度イメージ
=
《ライン職》
《スタッフ職》
組織マネージメントの専門職
業務の専門職
《幹部職員》
《管理職》
《専任職》
部門の統括者として施策・
特定分野の専門家として
業務の運営を行い、幹部を
技術的助言を行い、幹部を
補佐する(課長・局長)
補佐する
《監督職》
《専任スタッフ職》
係を統括し、施策・業務の運営を行
自身の強みを生かし、豊富な
うほか、高度な知識経験に基づいて
職務経験と知識に基づき担当
担当業務を推進(係長〜課長補佐)
業務の遂行にあたる(主席)
《スタッフ職》
担当業務を持ち、日常業務の遂行や専任スタッフの業務を補佐する(主事・技師、
主任)
技術職員の人事異動
○
土木技師、保健師の実務経験
土木技師については、若い時期から維持工事、建設改良工事、管工事、農業土
木など各分野を経験し、幅広い知識と視野を身につることができるようジョブ・
ローテーション型の人事異動を行います。
保健師についても、配置部署を従来の健康部門に限ることなく、福祉部門を含
―
13
―
めた各部署を異動する中で、スペシャリストとしての幅広い知識・経験を身につ
けることのできる人事異動を行います。
○
技術職員の事務職経験
土木・建築技師、保健師等の技術職員が、一定期間実務を経験し専門的知識・
技術を蓄積した後(30歳代)に、2年程度事務職を経験し、市行政についての
幅広い視野を獲得できるような人事異動を行います。
女性職員の積極的登用
ここ10年間の女性職員の採用割合は40%となり、各職場での女性職員の活
躍が益々期待される状況となっています。その一方で、各課の事務分担を見ると、
女性職員の与えられる事務は未だに窓口事務や庶務事務など特定分野の業務に偏
った例が散見され、人材育成に必要な幅広い実務経験の蓄積ができない状況も見
うけられます。
女性職員の人事異動については、主要事業や全庁的な調整を行う部署などこれ
まで以上に幅広い職務分野に配置を行い、多様な実務経験が積めるような異動を
行うとともに、管理・監督職の意識改革、女性職員自身の意識の向上に取り組み
ます。
―
14
―
(2)
人材育成・組織活性化型人事評価制度の導入
人材育成・組織の活性化を目的とした人事評価制度を導入します。評価制度は能
力評価と目標による管理を取り入れた業績評価の二本立てとし、これらの評価制度
を使って、組織内のコミュニケーションの活性化と組織目標の統合による効率・効
果的な行政推進を図ります。
【目標(最終目標)】
段】
【目
標】
【手
段】
【目
標】
【手
段】
組織 目標 の 共 有化 ・コ ミ ュニケ ーシ ョン の活 性 化
【手
市民サービスの向上
職員と組織の活性化
配置・任用
人材育成
給与上の処遇
能力と特性を生か
期待役割を果たせ
貢献度に応じた昇
した職員配置、任用
る人材を育成
給・勤勉手当
能
力
評
価
目
業
績
評
価
標
に
よ
る
管
理
能力評価
職務ごとの「求められる役割と能力」を明示し、それらの職務遂行能力がどの
レベルにあるかを評価する能力評価を実施します。
評価項目及び評価基準は広く公表し、各職位にある職員が能力開発をしていく
指針とするとともに、評価結果を上司が面談のうえ説明し、部下職員の「気づき」
と指導・助言の場として活用します。
◆
能力評価の手法
能力評価の手法として、最近コンピテンシーという考え方が取り入れられています。
これは「特定の職務において継続的に高い成果をあげている人材(ハイパフォーマー)
の行動特性」と言われているものです。ハイパフォーマーのあげる成果が、どのような
行動から生み出されているかを把握し、その行動を支えている能力を評価指標とする方
法です。具体的な行動を判断基準にしていることからより客観的な指標となるほか、能
力開発の指針としても活用されています。
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15
―
目標による管理と業績評価
組織目標の明確化と共有化を進め、職員が同じ目標に向かった仕事をするととも
に、目標設定や評価の過程で組織内のコミュニケーションを活発にし、PDCAサ
イクル*に基づいた仕事を行う組織を目指す「目標による管理」を導入します。
また、これによりひとり一人の職員としても、業務遂行や能力開発について目標
を持って仕事を進めることができるよう、目標による管理を活用した業績評価を行
い、人材育成に活用します。
※
PDCAサイクル
plan(立案・計画),do(実施),check(検証・評価),action(改善・見直し)の頭文字を取った
もの。行政政策や企業の事業評価にあたって計画から見直しまでを一環して行い,さらにそれを次
の計画・事業にいかそうという考え方。
《目標管理のサイクル》
目標の設定
目標の遂行
(Plan)
(Do)
課題の発見
成果の確認
業績
(Action)
(Check)
評価へ
《目標の設定例》
市のビジ
ョン
市
政策
長
面談
部の組織
部長の業
目標
務目標
手段
部
施策
長
面談
課の組織
課長の業
目標
務目標
課
事業
手段
長
面談
係の組織
係長の業
目標
務目標
業務
係
長
360度評価
前記2つの評価制度を補足する手法として、同僚・部下からの評価を行う360
度評価の活用を検討します。360度評価は、ややもすれば上司が部下職員に迎合
するとの批判もありますが、上司にとっては貴重な気づきの機会として活用できる
メリットもあることから、その特性を人材育成に生かせる手法を考えます。
―
16
―
2
職場の教育力
管理職、監督職の意識改革と教育力
管理・監督職の職員に対し、人材育成の重要性と職場の教育的役割についての
理解を進め、各担当部署の人材育成の責任者として、部下職員を育成するために
必要な知識・技術の習得を促し、またそのための支援を行います。
また、人事評価の中で、職場における人材育成を管理・監督職の能力評価項目
として位置づけます。
《管理・監督職の役割》
組織目標の明確化、
目標設定の支援、日常
部下職員への徹底
業務でのアドバイス
部下職員の能力把
握、育成計画の作成
研修受講や自己啓発
成長につながる職務経
への取り組みを推奨
験の付与(業務分担)
◆
管理・監督職のコミュニケーション能力
各評価制度の前提として、上司と部下職員の十分なコミュニケーションが重要となり
ます。
能力評価を例にあげれば、単に行動を観察し評価するのではなく、評価時点までの間
に上司が十分な助言・指導を行い育成することが求められますし、評価結果を伝える際
も、単に結果を告げるだけでなく、どの行動をどう判断し評価したのか、今後どの点を
改善していけばいいのかなど、部下職員の能力開発につながる助言をする必要がありま
す。
そのためにも、管理・監督職のコミュニケーション能力の向上と評価制度に関する理
解が重要になってきます。
課・係単位の学習する組織づくり
課・係内において定期的にミーティングを実施し、業務についての勉強会や現
在行っている仕事の状況や課題について情報共有や意見交換を行う場を設けるこ
とや、仕事の検証を行う職場風土づくりを進めます。
また、職場単位の提案・改善運動を進め、職場の活性化や市民サービスの向上
に取り組む事例を発表する場をつくります。
=
取り組み例
=
①
職場研修マニュアルの作成
―
17
―
職場研修を進めるための手法や事例等を紹介する職場研修マニュアルを作成
し、グループウエア等を活用して情報提供を行います。
②
職場研修支援制度
モデル部署を指定し、職場研修の進め方や業務改善の手法等をアドバイスす
るアドバイザーを派遣します。
③
事例発表会の開催
職場単位での提案・改善運動を進めるため、各部署が事例発表を行う事例発
表会の開催を検討します。
互いに育てあう風土づくり
各職場で人材育成の核となるコーチを育成し、個々の職員や職場単位の学習へ
の適切な助言と支援を進めます。
各職場の OJT については、これまで各職場の対応に任せてきたところですが、
統一した体制と教育の質を確保するため、担当職員の指名や指導方法の研修など、
OJT 体制の整備を行います。
また、主査・副査制のシステム化により、担当者不在の際にも応対できる体制
をとるほか、職員の研修への参加しやすい環境づくりを進めます。
各部の人材育成会議の設置
部単位で部内職員の育成を進めるため、各部に人材育成会議を設置し、各部の
必要とする人材の明確化、育成・配置計画の作成、組織内での自主的学習の実施
など計画的な人材育成を進めます。
―
18
―
3
研修制度の再構築
(1)
研修の目標
職員研修については、基本方針の目指す「時代の変化に挑戦する職員の育成」を進
め、目指すべき職員像に求められる能力の習得と組織の活性化を図ることを目標とし
ます。
(2)
研修計画策定の指針
○
自発的学習意欲に応え、職員が個々に必要とする能力開発の機会を提供する
○
能力育成期・能力開発期など、職員それぞれの能力期に合わせた研修を行う
○
任用・配置、人事評価など他の人事制度との相乗効果による育成を目指す
(3)
研修システムと体系
人材育成のための研修システム
《キャリアプランの作成》
やりたい仕事・なりたい職に沿
ったキャリアプラン*の作成と、
そのために必要な能力の理解
《目標設定》
《研
○伸ばしたい能力に応じた自分自身の
○自分自身の研修計画に基づき、研修
研修受講計画を作成。
を受講。
○業務を通じた能力開発についても併
○自己啓発メニューの活用や自主研
せて目標を立てる。
究グループ活動への参加。
《課題発見》
《評
○評価に基づき、自分の強み・弱みを
中で自分の能力を自己評価し、上司
○希望する職務に必要な能力と、現在
※
価》
○人事評価(能力評価・目標管理)の
把握する。
の能力との
修》
差
との面談の中で確定する。
を把握する。
○能力開発についての助言を受ける。・
キャリアプラン
職務能力獲得や就職に関する長期的な将来設計。ここでは市役所職員としてのキャリアプランを
言い、どのような仕事をするか、役割を果たすか(職位)、どうやって技能や経験を獲得するかと
いう計画。
―
19
―
研修体系
自己啓発
助成・支援制度
自主的な学習グループや政策研究グループへの支援、資格取得の通
信教育など自己啓発のための情報提供・助成など。
集合研修
基本研修
各職位・年齢ごとの基礎的能力習得や気づきを得ることを目的とし
た研修(初任職員研修、接客研修など)
能力開発研修
職位・業務に必要な各分野の能力を習得するための研修(企画計画
研修、交渉力研修、法制執務研修など)
全体研修
意識改革、公務員倫理の涵養、広い視野の獲得等を目的とした研修
(行政改革研修、人権研修、歴史・科学などの教養研修など)
派遣研修
県庁、各種研修所等への派遣研修
県庁への 1 年間の派遣研修、市町村アカデミー等での実務研修、海
外研修、国内研修など
(4)
研修内容の見直し
バイキング式研修
職員がやりたい仕事・役割に応じた能力を自発的に習得できるように、これま
での指名式の階層別研修を縮小し、自主選択による研修制度を基本とします。
そのためにも、各職位に必要な能力とその基準、各職員の能力評価の結果を開
示するとともに、必要能力に対応した多様な研修メニューの整備を行います。
キャリアデザイン研修
能力開発の必要性を実感し自ら学ぼうとする意欲がなければ、十分な研修効果
をあげることはできません。
これまでの自分の経歴(キャリア)を振り返り、自分の能力等を自己分析し、
自らの仕事を中心とした将来像を描くキャリアデザイン研修を実施することで、
主体的に自己啓発や選択研修に取り組む意欲を高めます。
研修形態の多様化
従来型の講座形式の研修だけではなく、プロジェクトチームによる課題解決型
研修、先進自治体や民間企業との交流を通じた研修など、従来の形態にこだわら
ない柔軟な研修メニューを取り入れていきます。
―
20
―
=
取り組み例
=
①
プロジェクトチーム型研修
研修スタイルのひとつとして、プロジェクトチームの活動をとおして特定の
能力を高める「プロジェクトチーム型」の研修を実施します。
課題を設定し、その解決策をまとめ上げる作業のほか、作業過程で必要な知
識・技術(プロジェクトマネジメントやワークショップ技法など)を習得する
メニューを織り込むなど、実際の作業を体験する中での効果的な研修を目指し
ます。
②
交流による人材育成
従来の県への研修生派遣のほか、他自治体、市外郭団体、NPO、民間企業
との人的交流による研修制度を検討します。
また、
「(先進自治体へ)どんどん(研修に)出て行く、
(先進自治体から)ど
んどん(人吉に)来てもらう」を合言葉に、外部との積極的交流による視野の
拡大・意識改革を進めます。
③
自前講師の育成・活用
特定の分野で高い知識・技能を持つ職員を積極的に育成し、職員研修の講師
として活用します。講師となる職員は、研修を受け持つことで知識・技能をよ
り高めることができ、また職場としても多様な研修メニューの整備に役立てる
ことができます。
新規採用職員研修の充実
新規採用職員に対し、いち早く職場にとけこみ、基礎的な事務処理の知識と
市役所職員としての自覚を持たせるため、これまで以上にきめ細やかな研修体
制を整備します。
=
取り組み例
=
①
新規採用職員と先輩職員による伴走研修
新規採用職員ごとに指導・相談を担当する「伴走職員」を任命し、日常的な
フォロー体制をとります。伴走職員については、新規採用職員育成のための基
礎的知識と技術を身につける講習を受講するとともに、定期的な事例検討を行
うなど、伴走職員に対する支援体制も整備します。
②
新規採用職員技能到達度チェックリストの作成
入庁1,2年目の職員として必要な知識・技能・接遇(身だしなみ含む)等
の項目とレベルをまとめ、自分自身の到達度を把握できるチェックリストを作
成します。チェックリストは、本人の自己評価・伴走職員や直属の上司の評価
を併せて実施し、お互いの話し合いの中で課題を把握します。
③
フォローアップ研修の実施
新規採用職員の研修については初年度に毎月1回の研修を実施していますが、
その研修と併せて、一定期間の実務経験後フォローアップ研修を実施します。
フォローアップ研修では入庁当時の初心を思い出し、当時習った社会人とし
―
21
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てのマナーがどの程度身についているかを確認するとともに、それぞれが抱え
る課題をテーマに討論し考えさせる内容のものとします。
自己啓発支援
学習意欲に基づく自発的学習ほど効果的な研修はないことから、向上心の高
い職員の自己啓発を支援する取り組みを行います。
=
取り組み例
=
①
通信教育等への助成
職務に関連する資格試験の受験費用や通信教育等の教材費について、その一
部を助成する制度の創設や、通信教育等のメニューについて情報提供するなど
自己啓発のための環境整備を行います。
②
自主研究グループ等への支援
従来行っている自主研究グループ助成制度や自学自習支援制度の積極的な活
用と、自主的な学習グループの育成を進め、市役所内での自己啓発に対する意
識の向上を目指します。
③
短期研修への自主参加について、職務専念義務免除の活用。
業務知識の習得や市役所職員としての資質向上を目的として、自費により研
修会等へ参加する職員については、職務専念義務の免除を行う等受講しやすい
環境づくりを進めます。
④
研修成果のグループウエアへの公表
海外研修、国内研修、市町村アカデミーなどの派遣研修に関する復命書や、
自主研究グループなどの活動報告をグループウエアに掲載し、情報の共有や自
己啓発意識の高揚を図ります。
職員提案制度の活用
市の直面する課題に関する解決策、業務に関する改善案等を提案する職員提案
制度を活用し、個々の職員や組織が常に議論しアイデアを競い合う職場づくりを
進めます。
出された提案については、プレゼンテーションの場を設けたり職員による投票
を行うなど広く職員間に周知するほか、楽しい雰囲気でアイデアを出し合う仕組
みを取り入れます。また、政策審議会や行政経営会議に諮り、可能な限り施策化
を目指します。
研修マイレージ制度の導入
職員の自己啓発を応援し、組織として能力開発を積極的に進める職場風土づく
りを進めるため、研修への参加・自主学習・職員提案制度への提案によりポイン
トが貯まる「研修マイレージ制度」を導入します。ポイントの数は研修ごとにそ
れぞれ設定し、一定数貯めた職員に対しては、市町村アカデミーや国内研修等へ
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―
の優先的派遣を行います。
人事制度と研修の連携
配置・任用は、それぞれの適性・能力に合わせて行うものであることから、人
事・研修が連携した相乗効果の見込める制度を検討します。
=
取り組み例
①
昇任との連携
=
係長職、課長職に必須の能力を整理し、昇任前に当該能力形成を目的とした
研修受講を推奨します。既に昇任している管理・監督職についても、一定期間
内の受講を促します。
②
人事評価との連携
評価項目の中に、自己啓発や自主研究グループ等の活動、研修参加状況など
自己開発への意欲を評価する項目を加えます。
研修情報の提供、研修ニーズの把握
○
研修情報の提供
研修受講に対する意欲の向上・意識改革を進めるため、グループウエアを活用
して研修案内や研修内容の紹介、派遣研修の報告書、自主研修グループの報告書
等を掲載するなど積極的に情報発信を行います。また、職員が研修受講を計画し
やすいように、年度当初に年間研修計画の配布を行います。
○
研修ニーズの把握
研修担当部署の提供する研修メニューが受講する職員のニーズに対応している
か、能力形成に実質的に貢献できているかを検証するため、定期的に研修ニーズ
を把握するための調査を行います。
また、各研修の実施の際には、研修内容・研修効果・講義のわかりやすさ等を
受講者が評価する効果測定を行います。
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