キャリア形成支援のためのキャリア・ポートフォリオの開発

キャリア形成支援のためのキャリア・ポートフォリオの開発
○金澤昭代 木田菊恵 近藤佐地子 真鍋理絵 斉藤雅美 岡本美鈴 (徳島大学病院 )
大山隆志 (スピードレッドKK)
はじめに
目的
方法
2010年からキャリアパスの構築を機に、個人のレベル別に教育情報を管理するキャリア手帳を作成し、新人及び若手看護師の実績
管理を開始した。既存のキャリア開発支援システム(以下CDSS)では、教育のPDCAサイクル(P:レディネス調査、教育計画、D:研修受
講、eラーニング閲覧、自己学習 、C:研修評価、クリニカルラダー評価、A:教育方法)を回し、教育の実績を管理できていた。今回、上記
機能の先行開発に加え、個々の看護職の能力を尊重し、当院のキャリアパスに応じた3段階6レベルのキャリアアップへ支援するために、
教育情報と職務経験や資格などの職員管理情報を一元管理して評価できるシステムへ改変し、看護職のキャリアプロセスを可視化する
キャリア・ポートフォリオを開発したので、その経緯を紹介する。
1)全看護職員の人事管理データと教育情報データを統合したデータ活用により、効率的に個人のキャリアップ支援を実施する。
2)人的資源の基礎データを継続管理することで,看護の質を効率的 かつ着実に向上させる。
3)キャリアを自己管理できるデータベースの作成とキャリアを目指すプロセスが可視化できるシステムを構築する。
ポートフォリオシステムの構築に際しては、看護職員のデータベースである人事管理情報と教育情報を管理するデータを以下の4項目に
留意して統合し、両者を一元管理できることを基本方針とした。
1)院内看護職集合教育の申込み受講歴は、CDSS内で自動ポイント加算する。
2)外部の研修参加歴や実績評価(目標管理など)は個人が発生源入力し、上司の承認によりポイント化され、能力評価、情意評価とともに業
績評価を行うデータとする。
3)勤続年数、経験分野や個人のキャリアとなる取得資格、活動歴、目標到達度への軌跡などが分かる総合的なデータベースとする。
キャリアの蓄積
999999
徳島知恵子
キャリア部門
1985.4.4
999999
[email protected]
実績評価
能力評価
情意評価
結果
考察
キャリアを蓄積する画面として、研修実績情報、資格・免許・会員に関する情報、院外活動の履歴や目標管理の達成度合いを各看護師
で確認できる画面を作成した。 図-1に示す個人が発生源入力した画面は、図-2の個人ポートフォリオ確認画面に連動している。個人ポー
トフォリオ画面は、上司が承認する評価後のポイントを自動的に加算できる画面となった。 研修ファイルも保存でき、研修内容の振り返り
ができる。履歴詳細は、1画面で表示できないため履歴ボタンを作成し、各項目の履歴詳細がわかる画面とした。個人のキャリア・ポートフ
ォリオが閲覧できるようになり、上司による個人の目標管理時等のヒアリング時に活用できるものとなった。(図-3上司による評価画面)
看護職員が共通のキャリア開発を目標とし、そのための支援ツールやシステムを活用することで、専門職としてのキャリアアップを考える
機会を創出することができた。このことは、今後のチーム看護の効率化と高度化に繋がるものと期待できる。
看護職員のキャリア取得状況を一元管理するシステムの構築はできたが、今後、看護部全体と各部署のキャリアアップ計画をシミュレー
トできる画面の構築と、看護職員がキャリア開発の体系的な道筋を確認できる画面へとバージョンアップしていく必要がある。