中学校 第3学年 数学科 学習指導案

中学校 第3学年 数学科 学習指導案
日 時:平成17年
指導者:
場所:
1 単元名
月
日(
)第
限
三平方の定理
2 単元(題材)の目標
<数学への関心・意欲・態度>
・直角三角形の3つの辺をそれぞれ1辺とする正方形の面積の間の関係について関心をもち,その関係をいろいろな
直角三角形で調べようとする。
・三平方の定理を利用していろいろな問題を解こうとする。
<数学的な見方や考え方>
・いくつかの直角三角形について,辺の長さに着目して考察し,三平方の定理を見いだすことができる。
・三平方の定理の定理について,直角三角形の辺の関係ととらえたり,各辺を1辺とする正方形の面積の関係ととらえ
たりすることができる。
・いろいろな図形の中に直角三角形を見出し,三平方の定理を利用できる形に導くことができる。
<数学的な表現・処理>
・直角三角形の2辺の長さから,残りの辺の長さを求めることができる。
・3辺の長さからその三角形が直角三角形かどうか判断することができる。
・三平方の定理を利用して,図形の長さや面積,体積を求めることができる。
・2点の座標から2点間の距離を求めたり,円の接線の長さを求めたりすることができる。
<数量,図形などについての知識・理解>
・三平方の定理を理解している。
・三平方の定理の逆を理解している。
・特別な直角三角形の辺の比を理解している。
3 指導に当たって
(1)教材観
「三平方の定理」が中学校図形教材として,最後に登場することになる。第1学年においては「平面図形」「空間図形」の単
元を通して空間における直線や平面の位置関係や平面図形の運動による空間図形の構成を通して、多様な見方を学習し
てきている。第2学年においては数学的な推論を通して、三角形や平行四辺形などの平面図形の性質について学習してき
ている。第3学年においては前単元の「相似な図形」で論証したり,相似な図形の性質をもとに平行線と線分の比の関係な
どを調べたり,長さを求めたりしてきた。
「三平方の定理」は,中学校の教材の中でも大変美しく,味わいのある定理である。定理そのもの教材としての価値の重
要性だけでなく,その応用場面が豊富である。平面図形や空間図形に定理を活用することにより,生徒が三平方の定理の
有用性を感じ,興味を持って取り組むことができると考える。
また,2年の図形指導では論証を中心としたものであったのに対し,ここでは計量の内容も含まれており,計算がともな
うから,具体的な作業を通して図形の性質を考察することになる。証明の記述が苦手な生徒に対して図形の学習に興味・
関心をもたせるのに役立つ教材でもある。
(2)生徒観
男子 18 名、女子 17名、計 35 名。少人数学習を実施しており、習熟度による分割(生徒による選択)を行っている。
[かもめコース]
この単元では既習内容である平方根や二次方程式の計算が不可欠であるが,その技能や理解が不十分である生徒が
多い。問題解決の中で,計算技能を補いながら進めていきたい。スモールステップで確認しながら,丁寧に式をかかせ,途
中の過程を大事にしていきたい。
[はやぶさコース]
平方根や二次方程式の計算力はほぼ定着している。しかし,結果ばかりにとらわれがちで,なぜそうなるかを説明する
ことは苦手である。既習事項から新しいことを導き出し,自己解決できることを目標にし,単元にわたって応用力を育ててい
きたい。三平方の定理のよさ,および実用性が実感できるように工夫し,定理そのものの理解と同時に,計量の手段として
応用ができるようにさせたい。
(3)指導観
本単元の学習内容は多様で,幾何学的な内容と字を使った式を利用した証明,二次方程式などのような代数的な内容が
組み合わさっているため,学習が進むにつれて生徒の興味・関心が薄れがちになりやすい。
そこで,三平方の定理の導入においては,操作的活動を取り入れながら,三平方の定理に近づけていきたい。今まで学
習してきた図形の多様な見方から、直角三角形の3辺をそれぞれ1辺とする正方形の面積に着目し、その面積の関係に一
定の関係があることから直角三角形の辺の長さの関係につなげていくようにする。また,三平方の定理には証明方法がい
ろいろあることでも有名であるので,その証明方法にも興味関心を持たせたい。三平方の定理の応用においても操作的な
活動をより多く取り入れ,平面図形や空間図形の中から直角三角形を見つけて対角線の長さや面積,体積を求めるなどで
きるだけ生徒自ら試行錯誤しながら問題解決をしていくような学習を促せたい。
図形の計量をするにあたって,生徒の習熟の程度に差があるので,この単元の最初から習熟度別の少人数授業(1C2
T)を実施する。また,三平方の定理の習熟に際しては,小テストを適宜に行い,その結果をもとに復習すべき部分を個別
に指導する。
三平方の定理を利用していく問題解決を通して、図形の性質のもつ美しさをも感得させたい。
5 本時の学習(第2次第1時)〔かもめコース〕
(1)小単元(題目等)名 平面図形への応用
(2)本時のねらい
・平面図形の中に直角三角形を見出し,三平方の定理を利用することができる。
(3)本時の評価規準
②平面図形の中に直角三角形を見出し,三平方の定理を利用することができる。(見方・考え方)
③三平方の定理を使って,三角形の高さや面積を求めることができる。(表現・処理)
(4)準備・資料等
ワークシート,マッチ棒、提示用磁石
(5)本時の展開
時間
学習活動
指導上の留意点
評価(観点,方法等)
・問題を把握する。
5
問題 12本のマッチ棒があります。12本全部使っていろいろな三角形を作ります。
面積が最も大きくなるのはどんな三角形でしょうか。
・何通り三角形が作れるか ・考える時間を確保する。
予想する。
・つまずいている生徒には机間指導
・実際にマッチ捧を操作し
15
で一緒に考える。
三角形を作る。
・三角形の決定条件から,全部で三
角形が3通りしかできないことを知
らせる。向きが違うもの,裏返しのも
のは同じ三角形とみなすことにす
る。
・直角三角形かどうかを三平方の定
・面積が大きいのはどれか 理の逆から説明させる。
予想する。
・できた三角形をすべて発
表し、確認する。
正三角形(4・4・4)
二等辺三角形(5・5・2)
直角三角形(3・4・5)
25
・実際に1つずつ面積を求
めていく。
・面積の求め方を考える。
①直角三角形
・三角形の面積を求める公式を思い
出させる。
・面積が求めやすいものから求める
ように促す。
■評価の観点【②見方・考え方】
・図形の中に直角三角形を ・三角形の面積を求めるには高さが 高さが必要であることに気づき,三平方の
定理を使うために,直角三角形を見出して
必要であることを気づかせる。
見つける。
・三平方の定理を利用して高さを求 いる。〔行動観察〕
②正三角形
・高さ x²+2²=4²
A=図に高さをかき入れている。
めさせる。
x>0よりx=2√3
・つまずいている生徒には個別に指 Cへの手だて:高さをかき入れてみるよう
面積 4×2√3÷2=4√3
に促す。
導する。
・正三角形と同様に二等辺三角形の
③二等辺三角形
・高さ x²+1²=5²
■評価の観点【③表現・処理】
面積を求めさせる。
・面積 3×4÷2=6
x>0よりx=2√6
5
三平方の定理を使って,三角形の高さを
・6,4√3,2√6の大小を比べる方 求めている。〔行動観察〕
A=三平方の定理を使って方程式をたて,
・一番大きいのは正三角形 法を気づかせる。
それが解ける。
であることを確認する。
・正三角形の面積が一番大きいこと Cへの手だて:斜辺を確認させ,三平方の
定理を使って立式できるように援助す
が分かり,次回の特別な三角形の
る。
辺の比の学習につなげる。
・本時のまとめをする。
面積 2×2√6÷2=2√6
5 本時の学習(第2次第1時)〔はやぶさコース〕
(1)小単元(題目等)名 平面図形への応用
(2)本時のねらい
・平面図形の中に直角三角形を見出し,三平方の定理を利用することができる。
(3)本時の評価規準
②平面図形の中に直角三角形を見出し,三平方の定理を利用することができる。(見方・考え方)
③三平方の定理を使って,三角形の高さや面積を求めることができる。(表現・処理)
(4)準備・資料等
ワークシート,マッチ棒、提示用磁石
(5)本時の展開
時間
学習活動
指導上の留意点
評価(観点,方法等)
考える時間を確保し,予想を立てさ
・問題を把握する。
5
せる。
問題 12本のマッチ棒があります。12本全部使っていろいろな三角形を作ります。
面積が最も大きくなるのはどんな三角形でしょうか。
15
・実際にマッチ捧を操作し,
三角形を作る。
正三角形(4・4・4)
二等辺三角形(5・5・2)
直角三角形(3・4・5)
・できた三角形をすべて発
表する。
・自由に考えさせる。
・つまずいている生徒には机間指導
で一緒に考える。
・三角形の決定条件にふれ,全部で
三角形が3通りしかできないことを
気づかせる。
25
・面積が大きいのはどれか
予想する。
・面積を実際に求める方法
を考える。
・図形の中に直角三角形を
見つける
・自分の考えを発表する。
直角三角形
・三角形の面積を求めるには高さが
■評価の観点【②見方・考え方】
必要であることを気づかせる。
・面積 3×4÷2=6
高さが必要であることに気づき,三平方の
・面積が求めやすいものから求める 定理を使うために,直角三角形を見出して
いる。〔行動観察〕
ように促す。
A=図に高さをかき入れている。
Cへの手だて:高さをかき入れてみるよう
・つまずいている生徒には個別に指
導する。
に促す。
正三角形
■評価の観点【③表現・処理】
・高さ x²+2²=4²
三平方の定理を使って,三角形の高さや
面積を求めている。〔行動観察〕
x>0よりx=2√3
A=三平方の定理を使って,高さや面積を
面積 4×2√3÷2=4√3
二等辺三角形
・高さ x²+1²=5²
求められる。
・6,4√3,2√6の大小を比べる方
Cへの手だて:斜辺を確認させ,三平方の
法を気づかせる。
x>0よりx=2√6
面積 2×2√6÷2=2√6
・正三角形の面積が一番大きいこと
・一番大きいのは正三角形 が分かり,次回の特別な三角形の
辺の比の学習につなげる。
であることを確認する。
5
・本時のまとめをする。
・確認問題をする。
定理を使って立式できるように援助す
る。
4 単元の指導・評価計画(総時数14時間)
次
かもめ
はやぶさ
1
1
小単元名及び目標
〔三平方の定理〕
1 三平方の定理
授業形態
希望別習熟度別1C2T
かもめコース
主な学習活動
0.5
1
見方・考え方
表現・処理
直角三角形の3つの辺の長さの間にはどの 直角三角形の3つの辺をそれぞれ いくつかの直角三角形について考察
はやぶさコース ような関係があるか調べる。
・直角三角形の3つの辺をそれぞれ1辺とする
正方形の面積の間の関係について,作業を通し
関心意欲態度
1辺とする正方形の面積の関係に
知識・理解
三平方の定理が言える。
し,三平方の定理を発見する。
ついて調べようとしている。
三平方の定理の証明を考える。
て関心を持ち,調べることができる。
三平方の定理をいろいろな方法で 三平方の定理のいろいろな証明方法
進んで証明しようとする。
を考えることができる。
・三平方の定理の証明ができる。
1.5
1
・直角三角形の2辺の長さを知って,残りの辺の
三平方の定理を使って,直角三角形の辺
長さを計算によって求めることができる。
の長さを求める。
三平方の定理を進んで活用し
三平方の定理を使って直角三角形
て,直角三角形の辺の長さを求
の辺の長さを求めることができる。
めようとする。
1
1
1
1
1
1
2 三平方の定理の逆
三角形の3辺の長さの間にどのような関係
・三平方の定理の逆を理解できる。
があれば,その三角形が直角三角形にな
三角形であるかどうかを判断するこ
・3辺の長さから,直角三角形かどうか判断する
るか調べる。
とができる。
ことができる。
三平方の定理の逆を使って,直角 三平方の定理の逆を理解する。
基本の問題
[三平方の定理の応用]
三平方の定理を使って,平面図形の部分
平面図形の中に直角三角形を見出 三平方の定理を使って,三角形の
1 平面図形への応用
の長さや面積の求め方を考える。
し,三平方の定理を利用すること 高さや面積を求めることができ
ができる。
・三角形の高さと面積を求めることができる。
1
1
る。
・特別な直角三角形の辺の比が言え,それを用
正方形の対角線,正三角形の高さを通し
特別な三角形の辺の比を利用し
特別な三角形の3辺の比を理解
いることができる。
て特別な三角形の辺の比を調べる
て長さを求めることができる
している。
・2 点の座標から,2 点間の距離を求めることが
1
1
1
1
できる。
2点の座標から2点間の距離や円の接線
座標平面上の問題で,図の中に補
2点の座標から2点間の距離や
・円の接線の長さを求めることができる。
の長さの求め方を考える。
助線を入れて直角三角形を見出す
円の接線の長さを求めることが
ことができる。
できる。
2空間図形への応用
直方体の対角線の長さの求め方を考え
三平方の定理の有用性に関心を
直方体の対角線の長さの求める
・空間内に直角三角形を見出す工夫をし,三平
る。
もとうとする。
ことができる。
方の定理を利用して問題を解決することができ
1
1.5
る。
角錐や円錐の高さや体積などの求め方を
三平方の定理を利用して角錐や
・直角三角形の対角線,角錐,円錐の高さを求
考える。
円錐の高さや体積を求めること
ができる
めその体積を計算することができる。
1
1
3いろいろな問題への応用
いろいろな問題の解決に三平方
三平方の定理を利用して,最短距
・三平方の定理を利用して,いろいろな問題を解
の定理を利用しようとする。
離の問題や方程式ができる問題を
解くことができる。
くことができる。
1
0.5
2
2
基本の問題
章の問題
プリント
演習