福井ヨーガ瞑想の会(第 10 回) 2007 年 4 月 8 日 国際交流会館 第3章 精神集中 「精神集中とは、心(チッタ)を特定の対象物に長時間固定することである。」 (ヨーガ・スートラⅢ―1) 瞑想は集中力が高まった時に可能となる。 集中することで意志力が強くなり、安らぎと エネルギー、鋭い洞察力と力強い発言力、他者にポジティブな影響を与えるパワー、そして 喜びと素晴らしい声を得ることができる。心は自分に従い、自分の思い通りにコントロール できるようになる。 心の 5 つの状態 心の機能がどのように揺れ動くかで、集中の過程を理解する。 1. ムダー :眠い、体が痛いなどと考えているタマス的な心の状態 2. クシプタ :色々な事を考えて心が乱れているラジャス的な心の状態 3. ヴィクシプタ:自分の内側に集中しようと苦闘している状態 4. エカーグラタ:心がサットヴァの状態で、ひとつのものに集中した状態 5. ニローダ :心理作用が停止し究極の喜びを経験している深く瞑想した状態 瞑想のし始めはムダーかクシプタの状態で、心は軽率に愚かな結論に飛び付いており、 あらゆることを深く理解することができない。 誰もが、ある程度の集中力は持っているが、文明の発達により集中力を弱めている。 一つの対象物に心的エネルギーのすべてを注ぎ込む方法を学ぶ必要がある。 心が集中すれば集中するほど一点に向かうパワーが生まれる。例えば、ダムの水門から 噴出する水流、拡大鏡で集められた太陽光の力のように 心の機能:心は何かに専念する力はあっても、一度にひとつのことしか理解できない。 心は一度にひとつの感覚にしか接続できないため見ているとか、聞いているとかのどちら かで、両方同時はあり得ないのである。心が素早く移動するので両方同時に知覚している ように感じているだけである。 人生のさまざまな状況で心をひとつのことに集中する訓練をする。 感覚 感覚を内側に向ける練習をしなければ、瞑想の境地に到達することはできません。感覚 は心のエネルギーが流れる通り道で、エネルギーが無駄に外側に流れないようにするため には、感覚器官をコントロールする必要があります。このコントロールを「プラティーヤ ーハーラ」と呼び、ラージャ・ヨーガの第 5 段階に当たります。 プラティーヤーハーラはラジャスとタマスの印象から心を取り戻すことで成り立ち、こ れらの影響を受けません。これは心の断食である。 プラティーヤーハーラは心をポジティブな感覚で満たすことを意味します。花・木・空・ 炎・神のイメージなど神聖なシンボルを見つめることで、心にサットヴァを与えます。 精神を高める印象に毎日触れるようにしましょう。 1 集中のエクササイズ リンゴに集中:色、形、大きさを思い浮かべ、更にヘタや皮、果肉や種など別のパーツ をイメージする。決められた時間、リンゴのことだけを考える。別のことを考え出 した時は心をリンゴに引き戻す。まずは 1〜2 分から始めて、徐々に 10 分まで延ばす。 花に集中する:花が咲き乱れる庭の中の一輪の花、その花の色、質感、形、香りなどを 想像し、できるだけ長い間、意識を集中する。 音に集中する:例えば、時計の音に集中、心が離れるようなら、引き戻して集中。また いくつか混ざった音の中から 1 つの音に集中。 自然に集中する:空に浮かぶ雲、広い大空に心を開放、波の音、近くのものと遠くのも のを選び、集中先を移動する。 読書に集中する:本の 2〜3 ページをできるだけ集中して読む。読み終わったら内容をど れだけ記憶しているか確認して、自分の集中力を試してみる。 抽象的な性質に集中する:例えば、「思いやり」について考えてみる。その性質の価値 を自分がどれだけ意識しているか、日常生活でどのようにし実行しているか考えてみ る。迷ったら最初に戻る。自分は完全な思いやりのある人間だと想像する。 ローソクの炎のトラータカ(凝視)する:クリアと呼ばれる 6 つの浄化法のひとつであ る。まず、安定座法で座る。ローソクを目の高さの位置で手の届かない場所に置く。 部屋を暗くし、風が入らないようにしてローソクの炎を安定させる。心と体をリラッ クスさせる。2〜3 分間、呼吸を整える。両目を開けて炎に 1 分間集中する。できるだ け瞬きはしない。心がさまよっても炎を眺め続ける。その後、両目を閉じて眉間の位 置で炎を思い浮かべる。少しずつ集中している時間を延ばし、最終的には 30 分まで延 ばす。ローソクがなくても炎を鮮明に思い浮かべることができるようになる。脳と神 経中枢を刺激し、視覚を強化し、不安定な心を落ち着かせ、集中にとても役立つ。 肖像画をトラータカする:楽な姿勢で座る。インスピレーションを与えてくれる肖像画 や神聖がシンボルを目の前に置く。その像を凝視し、それから眼を閉じ、心の中もし くは眉間の位置にその像想い描きます。その像が消えかかったら、再び眼を開いてそ の像を凝視する。数秒後に目を閉じる、これを繰り返す。 困難な作業に集中する:自分がやりたくないと思う作業に集中。面白くなさそうだと思 う事柄や状況に専念しそこに新しいもの発見し興味を抱くようにする。 集中を発達させる秘訣 ・ 気晴らしをするための思考を減らすこと。 ・ 状況のポジティブな面を見るようにすること。 ・ 節度を超えることはしないこと。 ・ どんな仕事もできるだけ集中して取り組むこと。 ・ 性急に結論に結び付けないこと。 ・ リラックスする方法を学ぶこと。 ・ 常に明るさと我慢と忍耐力を持つこと。 どんなことがあっても決して練習をあきらめないこと。 「集中の練習を規則正しく続ける者に、不可能なことはない」(シヴァナンダ師) 2
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