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皆さんの先輩は・・・ 「わが青春の記録」
(生徒生活体験発表会)
「わが青春の記録」という文集は、東京都高等学校定時制通信制生徒生活体験発表会で発表された生活体験
の記録です。
東京都高等学校定時制通信制生徒生活体験発表会は、昭和 28 年から 63回を数える歴史と伝統を持つ大会
です。文集には、真剣に生きようと努力している高校生の姿がつづられています。
その一つ一つが、挫折や困難を乗り越え、自己実現を図ろうとすることの大切さとすばらしさを教えてくれ
ます。代表として、平成 27年度の文集から、村上さんと小笹さんのお話の一部を抜粋します。
「完璧はもういらない」
都立大江戸高等学校 3年 村上 奈津季
大江戸高校のことを知ったきっかけは、中学校のカウンセラーさんでした。私はそもそも、チャレン
ジスクールという制度すら知らなかったので、不登校の生徒を受け入れる学校があると聞いたときには
とても驚きました。
委員会は文化祭委員に立候補しました。文化祭委員として働くことは、私にたくさんの人と関わり合
う機会を与えてくれました。そして、多くの人と出会った中でも、一際目立っていたのが、同じクラス
のMさんです。ある日私が「Mさんみたいに人を動かせる力があったらな。羨ましい。」と彼女に言う
と、「私だって、あなたの相手の気持ちになって考えるところや周りのことを考えて行動できる思いや
りが羨ましい。あなたのようになりたい。」そう言ってくれました。私は彼女と向き合っていく中で、
自分の良いところ、悪いところを知るようになったのです。私はとてもプライドが高く、何でも一人で
できると、自分を過大評価していたということを知りました。誰にも家庭の問題を打ち明けられず、助
けを求めることもできず、いつの間にか一人で抱え込むことも当たり前になっていたのです。相手に心
を開き、真正面からぶつかって話してみる。裏切られることもあります。しかし、逃げずに向き合った
ことで、私は、一人で完璧にこなすことなんてできるわけないんだ、完璧を目指さなくてもいいんだ、
楽にしていてもいいんだ、という大事なことに気付くことができました。
それからというもの、私はアルバイトをしながらも生徒会に所属し、忙しくても充実した日々を送り
ました。今は大江戸高校の生徒会長として、卒業までに悔いが残らないよう、日々奮闘しています。
「変化」
都立町田高等学校
4年 小笹
幹太
自分の身体を震わす戦慄のような出来事によって、私は大きな変化を余儀なくされた。
私は最初、全日制高校に入学した。当時の私は人の目ばかりを気にして、周囲に流されることが多か
った。そのような私は、高校二年の夏、問題を起こしてしまった。軽はずみな行動が多くの人に迷惑を
掛けることになった。私は、後悔、反省、時には自分自身を恨み、罪悪感に押し潰されそうな日々を送
った。
高校2年の9月、東京都立町田高等学校定時制に転入。私の新たな環境でのスタートだ。
全日制でやり残した思いもあり、学校生活に対しても、なんでも嫌がらず、チャレンジすることを意
識して取り組んだ。そこで軟式野球部に入部し、資格取得や学校の勉強にも力を入れた。
4年生になって、全国大会を目指せる大会。そして、同点で迎えた最終回。相手の攻撃。相手に攻め
入られ、結果的に集中力が切れた私たちの弱さが出てしまい、サヨナラ負けをしてしまった。しかし、
そこから得たものも大きかった。目標に向かって努力する過程が大事なんだ、自分たちにはまだまだ弱
いところがあるんだと気付くことができた。現在、最後の大会で優勝することを目標に、練習に取り組
んでいる。
このように、定時制に転入してから努力してきた。全日制時代の先生や定時制で出会った先生たちに
よって、自分自身が変化したと思えるようになった。だからこそ、自分自身を変えてくれたことに対し
て、感謝の気持ち、恩返ししたいと思い、私のように迷った人を支えられる教員を目指そうと思った。
そのためにも、進学し、教員免許を取るためにこれからも努力しなければならない。今は、自分の夢に
向かって、全力で歩み続けていきたい。
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