2次攻略のための1次知識 ⑫ 人的資源管理論 ~人事

2次攻略のための1次知識 ⑫ 人的資源管理論 ~人事システム・人事サブシステム編~
主任講師 加藤
雄士
我々は、これまで中小企業診断士試験の第1次試験対策で 7 科目もの幅広い学習を続け
てきた。その中で、様々な資源の有効活用について(つまり経営管理について)学習して
きた。読者の方々にも、そのことを思い返して欲しい。たとえば、モノという経営資源に
関する管理、あるいはカネという経営資源に関する管理、技術という経営資源に関する管
理、そしてヒトという経営資源に関する管理・・・。テーラー、ファヨールから始まった
経営管理は、約 100 年の間に、様々な管理手法を生み出してきた。ところで、ヒトという
経営資源の管理について「人的資源管理」というテーマのもとに体系的に教えられるよう
になったのはまだ最近のことである。
1981 年、ハーバード・ビジネススクールでは人的資源管理(ヒューマン・リソース・マ
ネジメント)という「課目」
(しかもいきなり「必修課目」として)を初めて開設した。そ
こで使われてきたテキストには以下のような書き出しがある。
「従来、多くの企業で財務的資源やその他の資源を効果的にマネジメントしていくことを
学んできた。資本の効果的な調達をたしかなものにするために、多くの時間、分析、努力
が費やされてきた。投資された資本に対して最大の効果をあげるための最新の方法が作ら
れてきた。しかし、現実を見ると、多くの企業でヒューマンリソースは十分に活用されて
おらず、十分に採用されていないように観察される。ところで、生産性、品質、労使関係
に著しい向上を図っていくことが比較的低い資本投下で実現していることを考えると、ヒ
ューマン・リソース・マネジメントをすぐれたものにしていくことによって生まれる将来
の利益は究めて大きい。」(ハーバード・ビジネススクールテキスト『ハーバードで教える
人材戦略』生産性出版を一部加筆修正)
確かに、お金やモノを管理する方法はかなり進化を遂げ、その科学的な手法がいくつも
生み出されてきた。それに対して、ヒト(人的資源)という経営資源の管理についてはま
だ未知な点が多い。その一方で、今日の企業を取り巻く環境は激変し、企業の中で働く人々
はさらに多様性を増している。こうした人々をいかに管理するか、まさに企業の腕のみせ
どころとなっている。このように人的資源管理は非常に重要なテーマとなってきている。
さて、今回は、人事システムの1要素である能力開発から入り、福利厚生制度などの人
事サブシステム、さらには、高年齢労働者、女性労働者、研究開発技術者、非正規社員、
外部社員といった多様な人材の活用まで見ていきたい。このように様々な人材をいかに動
かし、事業ビジョンを実現していくのか、そのためにはどのような施策を講じたらよいの
か。しっかりと基本知識を学習して欲しい。
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雄士
能力開発の具体的方法について説明せよ。
能力開発は、①OJT(職場内教育訓練)(上司や先輩が日常の仕事を通じて職務に関す
る知識・技能・態度などを直接指導・育成する)
、②Off-JT(職場外教育訓練)(企業内
研修の実施や社外教育機関への派遣などのように日常業務を離れて実施する)
、③自己啓発
(自己の職能を自主的かつ主体的な努力と挑戦意欲を持って開発するすべての活動)の 3
本柱からなる。
これ以外にも、④多くの職務経験による能力開発(CDP)も行われる。
ところで、能力開発としてOJT(職場内教育訓練)を提案するときには、
「OJTを実
施する」という解答よりは、
「計画的、体系的にOJTを実施する」という解答の方が具体
性をアピールできる。
また、人材調達の方法について、①採用による企業外部からの調達と並んで、②従業員
の能力開発による内部育成を挙げられることもある。関連事項としてつなげておいて欲し
い。このようにキーワードをいろいろな文脈で使えるようになって欲しい。
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教育訓練体系について説明せよ。
教育訓練体系は、①階層別教育訓練(経営者訓練、上級管理者訓練、中級者訓練、監督
者訓練、一般社員訓練、新人社員訓練など)と、②職能別教育訓練(営業、製造、研究開
発、事務などについて、上級専門訓練、中級専門訓練、初級専門訓練など)の 2 本柱があ
り、そのほかに③課題別教育訓練(企業の重要課題を遂行するため、重点的・組織的に展
開される教育)などがある。
解答作成において、単に「教員訓練を実施すべきである」と書くよりも「監督者と一般職
員とに対象を分けて階層別の教育訓練を実施すべきである」と書く方がより具体性が出る。
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能力開発や教育訓練は、主に個人を対象としたものであるが、これに対して組織を
対象にしたものとしてどのようなものがあるか?
組織開発が該当し、QCサークル活動などが該当する。組織開発とは、組織の潜在的な
活力を引き出すための理論や手法の総称のことを言い、コーチングやファシリテーション
も、もとを正せば組織開発の技法の一部と位置づけることもある。
100 人事サブシステムについてはどのようなものがあるのか述べなさい。
就業管理、福利厚生管理、労働安全・衛生管理、労使関係管理などがある。
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101 福利厚生制度について体系的に説明しなさい。
福利厚生制度は、法定福利厚生制度と、法定外福利厚生制度に分けることができる。法
定福利厚生制度とは、企業が実施することを法律によって課されている施策である。具体
的には、①健康保険、②厚生年金保険、③雇用保険、④労働災害保険などである。法定外
福利厚生制度とは、福利厚生制度における法定福利厚生制度以外の部分を指し、企業自ら
の経営の観点に基づいて任意に実施する施策である。具体的には、①住宅施策、②生活援
助施策、③金融施策、④慶弔見舞金施策、⑤共済施策、⑥団体保険施策、⑦文化・体育・
レクリエーション施策、⑧自己啓発援助施策などの費用を負担する施策がある。企業はこ
れらの費用について、全額あるいは従業員と按分して負担する。
(奥林康司著『入門人的資源管理』中央経済社)
102 福利厚生制度に関する施策の最近の変化について 4 点指摘しなさい。
第 1 に、法定外福利厚生制度のように企業が任意に実施する施策については、企業がそ
の一部を外部の企業にアウトソーシングする割合が増加している点である。具体的に、ア
ウトソーシングすることの多い施策は、
「食堂の運営」「社宅・独身寮の管理」である。
第 2 に、企業が従業員に提供する施策において、彼(女)らの自律化を援助する方向に
変わりつつあるということである。それ以前の従業員の労働生活全般に対する経済的な援
助をするという基本的な考え方に変化が生じてきている。
第 3 に、従業員の家庭生活への援助が増えていることである。育児、高齢化、家族が抱
える身体障害者の看護や介護に対応するために、それらを援助する施策が増加しているこ
とである。具体的には、企業は育児休業制度や託児所設置、介護休業制度や介護費補助な
どの施策である。(奥林康司著『入門人的資源管理』中央経済社)(女性社員の活用につい
ては、中小企業白書でここ数年よく取り上げられている。こうした具体的な制度を指摘で
きるようにしておきたい。)
第 4 に、従来の画一的なメニューに代わり、カフェテリア・プラン(自らの好みによっ
て自由にメニュー=施策を選択できるように意図されている制度。従業員がより柔軟に福
利厚生制度を利用できるように意図されている。
)を採用する企業も増加している。
なお、成果主義だから、福利厚生はいらないというのではなく、セーフティへネットと
しての福利厚生も必要となる点にも留意されたい。
(高橋俊介著『ヒューマン・リソース・
マネジメント』ダイヤモンド社)
103 企業が女性労働者を積極的に活用するメリットを 2 点指摘しなさい。
①女性労働者を積極的に活用することで、企業のイメージアップ、就職希望者の増加、潜
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在的能力を持つ女性労働者の獲得といった間接的利益を含めた先行者利益を享受するこ
とができる。
②女性が新しい視点を提供してくれる。すなわちこれまでにない新しいものの見方、考え
方を提供してくれる可能性が高い。
104 女性労働者の活用を推進するためにどのような措置が必要となるか、3 点指摘しなさ
い。
①一定数の女性労働者を確保することが必要である。
女性労働者が少数であると、周りが抱くステレオタイプに合わせた役割を演じてしまう
ことになる。なお、2006 年版中小企業白書(第 3 部)には、管理職に占める女性の割合の
指標を普及させることが有益であると書かれている。
②理解力のあるメンター(職場の良き指導者)が必要である。
女性労働者が孤立したり、1 人で問題を抱え込んだりすることを防ぐためには、理解力の
ある上司やメンターの存在が重要となる。
③仕事生活と仕事を離れた生活を両立できるような支援制度が必要である。
先に書いたような育児休業や介護休業制度、フレックスタイム制度や裁量労働制のよう
な柔軟な労働時間制度が必要となる。
(奥林康司著『入門人的資源管理』中央経済社)
この外にも 2006 年版中小企業白書には、職場に子供を連れてこられる環境を整備するこ
とで仕事と育児は両立しやすくなると書いてある。
105 高年労働者の活用を推進するためにはどのような措置を講ずればよいか。具体的に 3
点指摘せよ。
①物理的作業環境の改善。
加齢により、筋力等身体的機能が低下しているので、肉体的負荷を軽減する機械の導入、
危険を予防する装置の導入等が必要となる。
②職務再設計。
肉体的負荷の大きい仕事は若年労働者が担当し、高度な判断力が必要な仕事は高年齢労
働者が担当するという職務再設計も効果的である。
③半日勤務等の短時間労働、高年齢労働者同士のワーク・シェアリング。
(奥林康司著『入門人的資源管理』中央経済社)
なお、大企業など他社で就業していた者(いわゆる企業等OB人材のこと。今後、団塊
世代が退職時期をむかえることで増加する)を活用することで今までになかったノウハウ
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を得る可能性が生じる。その際に、各地の商工会議所に設置された「企業等 OB 人材マッ
チング地域協議会」を活用しOB人材の情報を収集すると良い。
(
『2005 年版中小企業白書』205 ページ~206 ページ)
106 研究開発技術者を対象とした人的資源管理の仕組み(制度)にはどのようなもの
があるか。4 点指摘せよ。
①デュアル・ラダー。
マネジャーへの昇進階梯とは別に、専門性によって昇進できる階梯(ラダー)を設け(「テ
クニカル・ラダー」を設け)、優秀な研究開発技術者を優遇する制度である。
②社内ベンチャー制度。
優れたアイデアを発案した研究開発技術者がリーダーとなって社内ベンチャーを立ち上
げ、自律的な研究開発と事業化ができる制度である。
③発明・特許への報奨金制度(の充実)
。
④内的報酬となる諸制度(勤務時間の制約が少ない裁量制勤務等)
。
(奥林康司著『入門人的資源管理』中央経済社)
107 若年者の職場への定着率向上についてのポイント(2006年版中小企業白書で指摘
されたもの)を 2 点挙げなさい。
①若年者の入社後のイメージギャップをできるだけ少なくするためには、募集・採用段階
において「入社後にどのような業務を行うのか」という業務内容に関する情報だけでなく、
「入社後にどのように成長してくのか」という育成手法に関する情報について伝える必要
がある。
②若年者の定着率を高め、企業業績をプラスに導くためには、採用後に明確な育成方針を
掲げて職業能力やヤル気を高めたり、若年者が働きやすい雰囲気づくりを行ったりするこ
とが効果を生む。
(
『2006 年版中小企業白書』214 ページ)
108 雇用形態の多様化に関係して、企業でどのような施策が行われているか具体的な例を
挙げなさい。
①雇用契約期間の柔軟な運用
2004 年 3 月からすべての職種で 3 年契約、高度専門職では 5 年契約が可能となっている
ことから、柔軟な雇用形態が検討されている。
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②契約社員、パートタイマーの活用
基幹的職務、専門性が高い職務への契約社員の活用が急速に進展している。流通業など
では、パートタイマーの戦力化、店長登用などでは、パートタイマーをどんどんキャリア
アップさせていこうという動きが出ている。
③顧客接点の非正規社員化の試み
顧客接点は、ブランド構築上 1 番重要な部分だが、大企業などでは正社員ではなくなっ
てきている。正社員の人材マネジメントだけ考えていたら、ブランド構築もできない。非
正社員あるいはアウトソーサーの部分も考える必要がある。たとえば、コールセンターで
も「うちのブランドのポジショニングはこうだから、コールセンターでもうちのブランド
を意識した上で、ここまでは徹底してください。
」というようなインストラクションを明確
に行う必要がある。
単純に正社員より安いからということでは、非正社員の活用に限界が出てくる。今後は、
単純な人件費削減効果でなく、非正社員を戦略的に使っていくことを考えなければならな
い。(高橋俊介著『ヒューマン・リソース・マネジメント』ダイヤモンド社を、一部加筆修正)
このテーマに関しては、2003 年事例Ⅰ第 2 問で、アルバイト・パートの活用に関する具
体的テーマが出題されている。今後も出題の可能性がある。
109 『2005 年版中小企業白書』では、過半数の企業でパートへの教育が行われていると
書かれている。具体的に行っている教育の内容について述べなさい。
①基礎的な業務のスキルについての教育
②一般的なマナーや接遇についての教育
③専門的な業務のスキルについての教育
このうち専門的な業務のスキルについての教育を実施している企業が少ないのが実態で
はあるが、正社員と同じ職務を担当しているパートがいる企業では、こうした教育をする
必要がある。人材投資促進税制の活用を通じて、積極的に人材投資をしていく必要がある。
(
『2005 年版中小企業白書』215 ページ~216 ページ)
なお、2003 年事例Ⅰ第 3 問(設問 2)では、
「単純作業や手順の決まっている定型的作業
などマニュアル教育が可能な仕事以外を、アルバイト・パートに教育することはかなり困
難である。」という1文が入っていた。いろいろな出題をイメージしておいて欲しい。
110 外部人材を活用する上で、どこにどう使うのかという基本原則を明確にする必要があ
る。どこにどう使ったら良いか基本原則について説明しなさい。
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法的規制緩和により、外部人材、派遣やアウトソーシングも増大の方向に向かっている。
企業としては、どういうところに何を使ったらいいのかという基本原則を明らかにしてお
く必要がある。
①コンサル・契約社員の活用
たとえば、オペレーションのプロセスデザインのノウハウだけ欲しければ、コンサルや
契約社員を活用する。ある期間だけ集中的に作業をしてもらえばよい。
②下請外注や海外拠点の活用
プロセスは自社のものをそのまま使い、オペレーションコストを下げたいだけなら、下
請外注か海外拠点へ出す。
③アウトソーサーの活用
プロセスデザインの標準化とオペレーションコストの削減、両方を望むなら、アウトソ
ーシングを活用する。アウトソーサーは、プロセスデザインも自分たちのノウハウで1つ
の標準化したプロセスに変えてしまう。そこで、メリットが出て非常に安くなる。逆に言
うと、プロセスなどは相手に任せなければならない。
④派遣の活用
プロセスは自社のもので、オペレーションも基本的には自分でマネジメントしたいとい
うとき、人材だけ出してもらうのが派遣である。派遣は、マネジメントフィーを別にとら
れるので高くつくが、波動対応できるということが利点となる。
(高橋俊介著『ヒューマン・リソース・マネジメント』ダイヤモンド社を、一部加筆修正)
上記は、一次テキストや中小企業白書には出てこない用語が出てくるが、いろいろな言
葉に慣れてもらうということを狙ってこのまま記述した。どのような場面で、どのような
外部人材の活用を提案したら良いのかをイメージしておいて欲しい。
111 人事システムの上位概念である「組織・人材ビジョン」とはどのようなものなのか、
説明しなさい。
どんなお客さん(だれ)に、どんな価値(なに)を提供し、どのように儲けるか(どの
ように提供するか)という「事業ビジョン」(あるいは「事業ドメイン」)が決まったら、
次に決めるべきは、
「組織・人材ビジョン」である。
「組織・人材ビジョン」とは、価値を創造し、提供し、それを儲けにつなげるのは、ど
のような人材の、どのような行動なのか、それを生み出す組織や人材マネジメントはどう
あらねばならないのかを決めていくことである。
組織の中の、どんな能力・経験・意識・意欲を持った人が、どんなふうに行動すること
によって、その価値がお客様に提供されるのか。その価値提供は、誰の知恵であり、誰の
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どんな行動なのか。そういう人が働いている組織は、どんなイメージか。そうした組織・人
材ビジョンがイメージできるかどうか。それらを具体的な提案に落とし込むことができる
かどうか。
(高橋俊介著『ヒューマン・リソース・マネジメント』ダイヤモンド社を、一部加筆修正した。)
これまでは、事業ドメイン→人事ポリシー→人事システム→人事サブシステムというパ
ラダイムでずっと説明してきた。それに対して、今回は、人事システムの上位概念として、
「事業ビジョン」、
「組織・人材ビジョン」という概念を紹介することにした。こうした視
点で事例を考えていただきたいと思う。必ずや事例の見方が変わってくるだろう。
人的資源管理について、思いのほか分量が多くなってしまった。さぞかし受験生は辟易
しているだろうと思ったが、少しして思い直した。この程度の専門用語もしっかり整理で
きてなくて、経営コンサルタントになろうということ自体が論外と思えたからだ。我々は
中小企業診断士という肩書きを手にいれるだけのために学習しているのではない(仮にそ
ういう人がいるとしたら、中小企業診断士試験に合格して欲しくはないと思う。合格者の
席が1席無駄になり、社会の損害になると思うからである)
。あくまでも、実務の世界で実
際に中小企業を診断し、助言できる能力の養成を図っているのである。最低限の専門用語
も身につけないままで専門家になろうという甘すぎる考えは払拭しなければならない。も
し、医者になろうという人でそのような人がいたとしたら、あなたは何と思うだろうか。
あなたが患者ならばどう考えるだろうか。おそらく許せない、信じられない、と憤慨する
であろう。中小企業診断士の学習にも同じことが言える。専門家になるために必要な学習
というものがあるはずである。
ところで、
「人」の面については、最近の中小企業白書でもよく取り上げられている。今
回の原稿の中でもいくつか取り上げたが、女性の活用、高齢者の活用、専門人材の活用、
アルバイト・パートの活用、中途採用などの箇所をチェックしておいて欲しい。
※本原稿は、㈱日本マンパワーの一次試験対策のテキストを参考に作成している。
その他に引用した文献は次のものがある。
・ハーバード・ビジネススクールテキスト『ハーバードで教える人材戦略』生産性出版
・高橋俊介著『人材マネジメント論』東洋経済
・高橋俊介著『ヒューマン・リソース・マネジメント』ダイヤモンド社
・奥林康司著『入門人的資源管理』中央経済社
・中小企業庁編『中小企業白書2006年版』㈱ぎょうせい
・中小企業庁編『中小企業白書2005年版』㈱ぎょうせい
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