民法Ⅴ(家族法)

民法Ⅴ(家族法)
授業科目
小野 義美
担当者
授業科目群
履修条件
学習の目標
法律基本
必修・選択の別
必修
開講年次・学期
2年次・前期
特にないが、1年次に履修済みの民法科目をしっかり復習しておくこと。
民法Ⅴ(家族法)は、法律基本科目として、民法・家族法(親族・相続編)
に関する諸問題について、基礎的理解能力を身につけるとともに、実務的・
応用的問題解決能力の向上をも目指して設定される科目であり、判例や事例
問題を中心にして双方向的・多方向的方法により学習を深めることを目的と
する。
第 1回
家族法の基本原理
第 2回
婚姻(成立と効果)
第 3回
婚約・内縁
第 4回
離婚(成立と効果)
第 5回
実親子関係(1)嫡出子
第 6回
実親子関係(2)非嫡出子
第 7回
養親子関係
第 8回
親権・後見
第9回
扶養
第 10 回
相続法の基本原理・相続人
第 11 回
相続分
第 12 回
相続の承認・放棄、遺産分割、相続回復請求
第 13 回
遺言
第 14 回
遺贈・遺留分
第 15 回
総括と補充
教科書
1.内田
貴『民法Ⅳ・親族相続(補訂版)』(東京大学出版会、2004 年)
主な参考文献
1.川井他編『講座・現代家族法1~6巻』(日本評論社、1991 年)
授業の計画
2.大村敦志『家族法(第3版)』(有斐閣、2010 年)
3.二宮周平『家族法(第3版)』(新世社、2009 年)
4.高橋他『民法7親族・相続(第 2 版)』(有斐閣、2007 年)
5.家族法判例百選(第1~7 版)(有斐閣、1973~2008 年)
試験・成績評価
成績は、定期試験 70%及び平常点(授業への出席・発言、小テスト)30%で
の方法
総合評価する。
科
目
民法Ⅴ(家族法)
担
当 小野 義美
者
第1 回
全 15 回
家族法の基本原理
事例(授業内容)
(1) 戦後家族法改革はどのような経緯と内容で行われたか。それはどのように評価すべきか。
(2) 現行家族法の基本原理はどのようなものか。
(3) 現在における家族法改革の背景と課題は何か。また、取り組み状況はどうか。
要点
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
(6)
明治身分法の基本構造
戦後家族法改革の経緯・内容と意義・評価
現行家族法の基本原理
現在の家族法改革の背景と課題
取り組み状況
民法改正要綱の内容
関係条文
明治民法 725~1146 条、現行民法 725~1044 条
キーワード
明治身分法、戦後家族法改革、家族法の基本原理、男女協同参画、民法改正要綱
必ず予習すべき文献・判例
(1)川島武宜『日本社会の家族的構成』(岩波現代文庫、2000 年)
(2)法制審議会民法部会「民法の一部を改正する法律案要綱案」(ジュリスト 1084-126)
参考資料(さらに理解を深めるために学習するのが望ましい文献等)
(1)我妻栄編『戦後における民法改正の経過』(日本評論新社、1956 年)
(2)福島瑞穂『結婚と家族』(岩波新書、1992 年)
(3)二宮周平『家族法改正を考える』(日本評論社、1993 年)
(4)婚姻法改正を考える会編『ゼミナール・婚姻法改正』(日本評論社、1995 年)
(5)内閣府男女協同参画局『男女共同参画基本計画』(財務省印刷局、2001、2006 年)
科
目
民法Ⅴ(家族法)
担
当 小野 義美
者
第2 回
全 15 回
婚姻(成立と効果)
事例(授業内容)
(1) 甲男は、結婚の約束の下に乙女と肉体関係を継続し、乙の4度目の妊娠に際し出産を励まし、自ら出生子
丙に命名した。ところがその後、甲は他女と結婚することになり、乙との関係を絶とうとしたが、せめて
丙に嫡出子たる地位を与えたいと乙に懇請され、すぐ離婚することを条件に婚姻届を出した。甲は他女と
挙式同棲したが、乙は離婚しようとしない。甲は乙との婚姻の無効を主張しうるか。
(2) 結婚した A・B には未成熟の子 C がいる。初めは夫婦円満であったが、そのうち A はバーの女性 D と懇
意になり、ついに家を出てアパートを借り、D と同棲するにいたった。A は月給 30 万円をすべて D に渡
している。B は内職によるわずかの収入で C を養育している。B は A に対し生活費をどの程度請求でき
るか。また、BはDに対し慰謝料請求をなしうるか。
(3) 妻 B は友人にすすめられて、夫 A の収入に比して著しく高額な温水器を C 店より購入した。C から代金
請求をされた A はその代金の支払い責任があるか。
要点
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
(6)
婚姻の成立要件にはどのようなものがあるか。
婚姻意思とは何か。仮装婚姻の効力をどのように考えるか。
婚姻の身分的効果にはどのようなものがあるか。
夫婦間の扶養義務の根拠、性質、内容をどのように考えるか。
夫婦の財産関係についてどのように考えるか。
日常家事債務とは何か。連帯責任をどのように考えるか。
関係条文
民法 731~740 条、742 条、750~762 条
キーワード
婚姻の成立要件、婚姻意思、仮装婚姻、婚姻の身分的効果、生活保持義務、夫婦財産、日常家事債務、連帯責任
必ず予習すべき文献・判例
(1)内田 貴『民法Ⅳ・親族相続(補訂版)』(東京大学出版会、2004 年)17~86 頁。
(2)最判昭和 44・10・31 民集 23 巻 10 号 1894 頁、判例時報 577 号 67 頁。
(3)門司簡判昭和 61・3・28 判例タイムズ 612 号 57 頁。
参考資料(さらに理解を深めるために学習するのが望ましい文献等)
(1)中川 淳「最判昭和 44・10・31 判例解説」(家族法判例百選(第 5 版))4 頁。
(2)前田陽一「最判昭和 44・10・31 判例解説」(家族法判例百選(第 7 版))4 頁。
(3)右近健男「最判昭和 44・10・31 判例解説」(民法の基本判例(第 2 版))197 頁。
科
目
民法Ⅴ(家族法)
担
当
者
小野 義美
第3 回
全 15 回
婚約・内縁
事例(授業内容)
(1) A 男 B 女は学生時代から交際していたが、ひそかに将来を誓い、以後、肉体関係を継続している。二人
の関係は双方の両親もまったく知らない。ところが、A は就職後、会社の上司の娘と結婚することになり、
B との関係を一方的に解消してしまった。B は A に対しいかなる責任を追及しうるか。
仮に、A から B に結納金として 50 万円が渡されていた場合、A は B に対し、その返還を請求しうるか。
(2) X 女は、Y 男と結婚式を挙げて、事実上の夫婦として同棲したが、家業と家事に追われ、X は健康を害し
てしまった。医療費に窮した X は Y に請求できるか。
その後、X は実家に戻って療養することにしたところ、しばらくして、Y は内縁関係を一方的に破棄した。
X は Y に対して不法行為を理由として慰謝料を請求することができるか。
(3) X女はA男(農林漁業団体職員)と昭和 5 年 9 月に婚姻し、4人の子どもをもうけたが、昭和 27 年 5 月
ごろからAはB女と親密になり、同棲するに至った。AはXに対し別居の前提として自己の恩給(以前、
警察職員であった)をXが直接受給すること、末子が 18 才になるまで養育費を支払うことを内容とする
承諾書を作成した。Aは昭和 43 年 8 月に死亡したが、その間BはAの勤務先の健康保険や税法上の扶養
親族において妻として扱われ、Aの葬儀もBによって行われた。Xは昭和 45 年 6 月、Y(共済組合理事
長)に対しAに係る遺族給付の支給を申立てたが却下されたため、その決定の取消及び遺族給付金の支払
いを求めて提訴した。Xの請求は認められるか。
要点
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
(6)
(7)
婚約の成立のための意思を認めうるか。また、結納交換などの慣習的儀式は不要か。
婚約破棄責任の法的構成および内容をどう考えるか。
結納の法的性質は何か。また、婚約破棄責任者は結納の返還請求ができるか。
内縁は法的に保護されるか。その法的構成をどのように考えるか。
内縁の効果をどのように考えるか。準婚理論とは何か。
内縁破棄の法的責任をどのように考えるか。
重婚的内縁は保護されるか。
関係条文
民法 415、709、710、752、760 条
キーワード
婚約、結納、婚約破棄責任、結納の返還請求、内縁、準婚理論、内縁破棄責任、重婚的内縁
必ず予習すべき文献・判例
(1)内田 貴『民法Ⅳ・親族相続(補訂版)』86~90、141~162 頁。
(2)大民連判大正 4・1・26 民録 21 輯 49 頁、家族法判例百選(新版)11 頁。
(3)大判昭和 6・2・20 新聞 3240 号 4 頁、家族法判例百選(新版)8 頁。
(4)最判昭和 39・9・4 民集 18 巻 7 号 1394 頁、家族法判例百選(第 3 版)10 頁。
(5)最判昭和 33・4・11 判例時報 147 号 4 頁。
(6)最判昭和 58・4・14 判時 1124 号 181 頁。
参考資料(さらに理解を深めるために学習するのが望ましい文献等)
(1)太田武男「結納(増補)」(一粒社、1986 年)
(2)武井正臣「最判昭和 39・9・4 判例解説」(家族法判例百選(第 3 版))10 頁。
(3)川井 健「内縁の保護」(現代家族法体系 7)1頁以下。
(4)二宮周平「内縁」(星野編「民法講座7」)55 頁。
(5)木幡文徳「最判昭和 33・4・11 判例解説」(家族法判例百選(第 5 版))52 頁。
(6)中井美雄「最判昭和 58・4・14 判例解説」(家族法判例百選(第 6 版))44 頁。
(7)嵩 さやか「最判昭和 58・4・14 判例解説」(家族法判例百選(第 7 版))48 頁。
科
目
民法Ⅴ(家族法)
担
当
者
小野 義美
第4 回
全 15 回
離婚(成立と効果)
事例(授業内容)
(1) AB 夫婦は A の病気療養により生活保護を受給していたが、B に収入があり、それを届け出なければ不正
受給に当たると告げられた。そこで、A は不正受給を免れる方便として協議離婚届を提出した。しかし、
その後も AB の事実上の夫婦関係は維持されている。AB の協議離婚は有効か。
(2) X 男 Y 女は昭和 12 年に婚姻、子がなかったので昭和 23 年に訴外 Z 女の長女、次女を養子としたが、翌
24 年頃 X が Z と継続していた不貞を Y が知ってから不和を生じ、同年 8 月に X が Z と同棲し、今日に
至っている。X は昭和 26 年に離婚請求をしたが、有責配偶者の離婚請求であるとして敗訴し、昭和 59
年再度離婚調停を申し立てたが不調に終わったので、離婚訴訟を提起した。X の離婚請求は認められるか。
(3) X 男と Y 女は子 A の親権者を Y と定めて協議離婚した。その後、Y は B 男と再婚し、A は B と養子縁
組した。X は少なくとも年 2 回 A と面接させることを求めてきた。X の請求は認められるか。
(4) X女はY男と昭和 35 年 6 月婚姻届をなし、1 子をもうけたが、その後昭和 40 年 2 月に離婚判決がなさ
れた。判決において、離婚原因としてはYに相当の責任があること、子の親権者をYと定めること、財産
分与としてYからXへ整理タンス1棹、水屋1個を分与することが定められた。Xはその後、Yに対し、
Yの虐待のため離婚をやむなくされたことによる精神的苦痛に対する慰謝料を請求できるか。
要点
(1) 離婚の種類と手続はどのようになっているか。
(2) 離婚意思をどのように考えるか。仮装離婚は有効か。
(3) 離婚原因にはどのようなものがあるか。破綻主義とは何か。
(4) 有責配偶者の離婚請求は認められるか。
(5) 離婚の身分的効果にはどのようなものがあるか。
(6) 子の保護はどのように図られるか。面接交渉権とは何か。
(7) 離婚の財産的効果にはどのようなものがあるか。
(8) 財産分与と離婚慰謝料との関係をどのように考えるか。
関係条文
民法 763~771 条
キーワード
協議離婚、裁判離婚、離婚意思、仮装離婚、離婚原因、破綻主義、有責配偶者の離婚請求、面接交渉、財産分与
必ず予習すべき文献・判例
(1)内田 貴『民法Ⅳ・親族相続(補訂版)』91~140 頁。
(2)最判昭和 57・3・26 判例時報 1041 号 66 頁、判例タイムズ 469 号 184 頁。
(3)最判昭和 62・9・2 判例時報 1243 号 3 頁。
(4)最決昭和 59・7・6 判例時報 1131 号 79 頁。
(5)最判昭和 46・7・23 判例時報 640 号 3 頁。
参考資料(さらに理解を深めるために学習するのが望ましい文献等)
(1)石川 稔「最判昭和 57・3・26 判例解説」(家族法判例百選(第 5 版))26 頁。
(2)右近健雄「最判昭和 62・9・2 判例解説」(家族法判例百選(第 6 版))28 頁。
(3)石田敏明「最決昭和 59・7・6 判例解説」(家族法判例百選(第 5 版))108 頁。
(4)川田 昇「面接交渉権」(『民法の争点Ⅰ』)370 頁。
(5)若林昌子「面接交渉権」(『現代家族法体系Ⅲ』)223 頁。
(6)二宮孝富「有責配偶者の離婚請求」(『講座・現代家族法 2 夫婦』)217 頁。
(7)吉本俊雄「最判昭和 46・7・23 判例解説」(家族法判例百選(第 6 版))34 頁。
(8)常岡史子「最判昭和 46・7・23 判例解説」(家族法判例百選(第 7 版))36 頁。
科
目
民法Ⅴ(家族法)
担
当
者
小野 義美
第5 回
全 15 回
実親子関係(1)嫡出子
事例(授業内容)
(1) X 男は A 女と婚姻し、届出後 149 日目に A は子 Y を未熟児で出産したが、XA の子として届け出た。し
かし、その後、X は A が Y を懐胎当時 A と性関係はなく、Y は自分の子ではないとして、嫡出否認の訴
を提起した。X の訴えは正当か。
(2) (1)の場合で、婚姻届以前に X・A が1年以上内縁関係を継続していた場合はどうか。
(3) A 男 B 女は昭和 21 年に婚姻したが、24 年には別居するに至った。B 女は昭和 25 年 9 月頃から Y 男と
肉体関係を持つようになり、昭和 26 年 10 月には A と協議離婚した。その後 B は昭和 27 年 3 月に X を
出生し、非嫡出子として出生届をした。そこで、X から Y に対し認知請求した。X の訴えは認められる
か。
要点
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
(6)
(7)
(8)
嫡出推定はどのような場合になされるか。
推定されない嫡出子とはどのような場合の子のことか。
内縁関係が先行する場合、民法 772 条は類推適用できるか。
夫婦関係が形骸化している場合、民法 772 条の適用があるか。
嫡出否認の訴とは何か。その要件、手続はどのようなものか。
親子関係不存在確認の訴とは何か。その要件、手続はどのようなものか。
準正の要件、効果はどのようなものか。
離婚後 300 日問題とは何か。
関係条文
民法 772 条~778、789 条、人事訴訟法 2、41 条
キーワード
嫡出子、嫡出推定、推定されない嫡出子、推定の及ばない子、嫡出否認の訴、親子関係不存在確認の訴、準正
必ず予習すべき文献・判例
(1)内田 貴『民法Ⅳ・親族相続(補訂版)』163~184 頁。
(2)大民連判昭和 15・1・23 民集 19 巻 1 号 54 頁(家族法判例百選(第 1 版))76 頁。
(3)最判昭和 41・2・15 民集 20 巻 2 号 202 頁(家族法判例百選(第 5 版))60 頁。
(4)最判昭和 44・5・29 民集 23 巻 6 号 1064 頁(家族法判例百選(第 5 版))62 頁。
参考資料(さらに理解を深めるために学習するのが望ましい文献等)
(1)高野竹三郎「大判昭和 15・1・23 判例解説」(家族法判例百選(第 1 版))76 頁。
(2)平井宜雄「最判昭和 41・2・15 判例批評」(法学協会雑誌 84 巻 1 号)179 頁。
(3)中川 淳「最判昭和 41・2・15 判例批評」(判例タイムズ 337 号)81 頁。
(4)水辺芳郎「最判昭和 41・2・15 判例解説」(家族法判例百選(第 5 版))60 頁。
(5)松倉耕作「最判昭和 44・5・29 判例解説」(家族法判例百選(第 5 版))62 頁。
科
目
民法Ⅴ(家族法)
担
当
者
小野 義美
第6 回
全 15 回
実親子関係(2)非嫡出子
事例(授業内容)
(1) A 男の情婦 X 女は Y 男を産んだが、養父母の反対で自らの戸籍に入籍できず、他人夫婦の嫡出子として
出生届をしてもらった。Y は長じて A 夫婦の養子となり、現在、A の家業を継いで社会的名声を博して
いる。ところが、最近になり、Y が社会的対面が悪いとして X は自分の母親ではないと言い出したので、
X は Y との親子関係存在確認の訴を提起した。認められるか。
(2) (1)の場合で、A が Y を A 夫婦の嫡出子として出生届をなした場合、認知の届出の効力を有するか。
(3) A 女は B 男と内縁関係にあったが、昭和 50 年 11 月初めに B が失踪した。翌 51 年 2 月に A は X を出産
したので、A は自ら保管していた B の署名、捺印のある婚姻届と、B 名義で作成した X の出生届を某区
役所に提出し、その後、B の親族の了解の下に B との協議離婚届を出した。ところが、昭和 53 年 12 月
になって、警察からの身元照会により、B が失踪直後に死亡していたことが判明し、上記婚姻届、出生届、
協議離婚届はすべて無効とされた。そこで、A は X の法定代理人として昭和 54 年 5 月に検察官を相手と
して B の認知を求める訴を提起した。認められるか。
(4) 認知請求権の放棄は認められるか。
要点
(1)母子関係の成立のためには認知が必要か。
(2)虚偽の嫡出子出生届は認知届けの効力を持つか。
(3)認知の訴の要件は何か。死後認知の訴の期間の起算点をどのように考えるか。
(4)認知請求権の放棄は認められるか。
関係条文
民法 779~788 条、人事訴訟法 42 条
キーワード
認知、母の認知、虚偽の嫡出子出生届、認知届、認知の訴、死後認知、提訴期間、認知請求権の放棄
必ず予習すべき文献・判例
(1)内田 貴『民法Ⅳ・親族相続(補訂版)』185~208 頁。
(2)最判昭和 37・4・27 民集 16 巻 7 号 1247 頁(家族法判例百選(第 6 版)56 頁。
(3)最判昭和 53・2・24 民集 32 巻 1 号 110 頁、判例時報 883 号 25 頁。
(4)最判昭和 57・3・19 民集 36 巻 3 号 432 頁(家族法判例百選(第 4 版)84 頁。
(5)最判昭和 37・4・10 民集 16 巻 4 号 693 頁(家族法判例百選(第 5 版)84 頁。
参考資料(さらに理解を深めるために学習するのが望ましい文献等)
(1)米倉 明「最判昭和 37・4・10 判例解説」(家族法判例百選(第 5 版)84 頁。
(2)石井美智子「最判昭和 37・4・27 判例解説」(家族法判例百選(第 6 版)56 頁。
(3)梶村太市「最判昭和 53・2・24 判例解説」(家族法判例百選(第 6 版)52 頁。
(4)岩志和一郎「最判昭和 53・2・24 判例解説」(家族法判例百選(第 7 版)54 頁。
(5)山口純夫「最判昭和 57・3・19 判例解説」(家族法判例百選(第 4 版)84 頁。
科
目
民法Ⅴ(家族法)
担
当
者
小野 義美
第7 回
全 15 回
養親子関係
事例(授業内容)
(1) 70 歳近くの A は、永年世話になった謝意と自己の死後における供養を託したいとの気持ちから 43 歳の
姪 Y を養子としたが、縁組当時、A・Y 間に偶発的な情交関係が何度かあったことが認められる。A の死
後、A の実子 X が A・Y の縁組は公序良俗に違反して無効であり、遺贈の目的を達成するための手段に
すぎなかったとして、縁組の無効を主張する。X の主張は正当か。
(2) Y は A・B 間の婚外子として生まれたため、C・D の嫡出子として届け出られた。その後、C・D の代諾
により、B の承諾のもとに E・F の養子となり、E・F の離婚後も E と 30 余年に亘り養親子関係を継続
してきた。ところが、E の実子 X は E・Y を相手に養子縁組無効確認の訴を提起した。これに対し Y は
E に対し縁組を追認する旨の書面による意思表示をした。E・Y の養子縁組の効力はどうなるか。
(3) B 女は協議離婚後妻子ある E と親しくなり、A を出産したが、E には父としての愛情がなく認知しよう
としない。生活保護を受けて生活していた B は実子に恵まれない X1、X2 夫婦が養子を求めていること
を知り、生後 3 ヶ月の A を養子に出した。その後、B は F と親しくなって婚姻し、B はクラブのホステ
スをしている。X1、X2 は健康で夫婦仲がよく、経済的にも安定しているし、A もなついている。X1、
X2 は特別養子制度が施行されたのを知り、A の将来の幸福のために実の親子関係に近いものとしたいと
思い特別養子縁組の申立をした。この申立は認められるか。
要点
(1)養子縁組の成立要件、手続、効果はどのようなものか。
(2)縁組意思をどのように理解すべきか。妾養子は有効か。
(3)藁の上からの養子とはどういうものか。
(4)表見代諾人による代諾縁組の効力はどうなるか。
(5)無効な縁組の追認は可能か。
(6)特別養子縁組の成立要件、手続、効果はどのようなものか。
関係条文
民法 90 条、116 条、792~817 条、817 条の2~817 条の 10
キーワード
養子縁組、縁組意思、妾養子、代諾縁組、無権代理、追認、特別養子
必ず予習すべき文献・判例
(1)内田 貴『民法Ⅳ・親族相続(補訂版)』247~278 頁。
(2)最判昭和 46・10・22 民集 25 巻 7 号 985 頁、判例時報 648 号 66 頁。
(3)最判昭和 39・9・8 民集 18 巻 7 号 1423 頁、判例時報 388 号 31 頁。
(4)名古屋高決平成 1・10・17 家月 42 巻 2 号 181 頁、家月 42 巻 2 号 181頁。
参考資料(さらに理解を深めるために学習するのが望ましい文献等)
(1)高橋忠次郎「最判昭和 46・10・22 判例解説」(家族法判例百選(第 4 版)90 頁。
(2)若林昌子「最判昭和 39・9・8 判例解説」(家族法判例百選(第 6 版)92 頁。
(3)青竹美佳「最判昭和 39・9・8 判例解説」(家族法判例百選(第 7 版)74 頁。
(4)石川恒夫「名古屋高決平成 1・10・17 判例解説」(家族法判例百選(第 5 版)98 頁。
(5)加藤永一「養子縁組の追認と民法 116 条但書の類推適用の有無」(法学 30 巻 2 号)306 頁。
科
目
民法Ⅴ(家族法)
担
当
者
小野 義美
第8 回
全 15 回
親権・後見
事例(授業内容)
(1)母 A はその未成年の子Xら 4 人と本件不動産を共同所有していたが、知人Bから、連帯保証人となって本
件不動産に抵当権を設定することを懇願されたので、自らは共有者の一員として、子らについてはその代理
人としてBの債務につき各連帯保証契約を締結し、さらに、その債務を担保するため本件不動産全部につい
て抵当権を設定し、登記がなされた。債権者Cは本件不動産について抵当権を実行し、Yが競落し所有権移
転登記がなされた。Xらは利益相反行為による無効を理由にYの登記の抹消請求をなしうるか。
(2)Y は妻と裁判離婚し、3 人の子の親権者として指定されたが、生業にも就かず飲酒に耽り、二女の未成年の
子 A に対し性的暴力を繰り返した。A は耐え切れずついに家出をし、中学校の教諭に救助を求め、児童福
祉法により児童相談所に一時保護された。Y は親権をたてにとり A の引取りを強引に要求してきた。そこ
で、児童相談所長 X は Y の A に対する親権の喪失をする旨の審判を求めた。X の請求は認められるか。
要点
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
親権の内容は何か。
利益相反行為とは何か、どのように判断するか。
親権の喪失はどのような場合に認められるか。親権喪失の請求権者は誰か。
未成年後見の開始原因、後見の内容は何か。
成年後見制度の意義、内容はどのようなものか(民法Ⅰの再確認)。
関係条文
民法 818~837 条、838~842 条
キーワード
親権、利益相反行為、親権喪失、児童相談所、未成年後見、成年後見
必ず予習すべき文献・判例
(1)内田 貴『民法Ⅳ・親族相続(補訂版)』209~246、283~290 頁。
(2)最判昭和 43・10・8 民集 22 巻 10 号 2172 頁(家族法判例百選(第 6 版)80 頁)
(3)東京家審昭和 54・5・16 家庭裁判月報 32 巻1号 166 頁(家族法判例百選(第 5 版)122 頁)
(4)東京高決昭和 56・9・2 家庭裁判月報 34 巻 11 号 24 頁(家族法判例百選(第 5 版)124 頁)
参考資料(さらに理解を深めるために学習するのが望ましい文献等)
(1)角紀代恵「最判昭和 43・10・8 判例解説」(家族法判例百選(第 6 版))80 頁。
(2)来本笑子「東京家審昭和 54・5・16 判例解説」(家族法判例百選(第 5 版))122 頁。
(3)大森政輔「東京高決昭和 56・9・2 判例解説」(家族法判例百選(第 5 版))124 頁。
(4)福永礼二「最判平 4・12・10 判例解説」(家族法判例百選(第 6 版))88 頁。
科
目
民法Ⅴ(家族法)
担
当
者
小野 義美
第9 回
全 15 回
扶 養
事例(授業内容)
(1) 肺結核のため療養所にいた無収入の X は生活保護として医療扶助および生活扶助を受けていたが、実兄
から月額 1500 円の仕送りを受けることになったので、社会福祉事務所長はその仕送りのうち 600 円を日
用品費に充当させて生活扶助を廃止し、残額を医療費として X に負担させる旨の保護変更決定をした。
この決定は正当か。
(2) X(妹)は Y(兄)の家に同居していた母 A を、父や Y が引き止めるのを聞かず自宅へ連れ帰り扶養・
看護した。その後、Y らが A を迎えに来たこともあったが、断った。のちに、X は A の療養・看護に要
した費用の半額を Y に不当利得として求償した。認められるか。
要点
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
公的扶助と私的扶養の関係をどう捉えるべきか。
扶養請求の要件は何か。
扶養義務者は誰がなるか。
扶養の方法にはどのようなものがあるか。
過去の扶養料の求償は認められるか。
関係条文
民法 877~881 条、生活保護法 4 条
キーワード
公的扶助、私的扶養、扶養、扶養権利者、扶養義務者、扶養の方法、過去の扶養料の求償
必ず予習すべき文献・判例
(1)内田 貴『民法Ⅳ・親族相続(補訂版)』291~302 頁。
(2)最大判昭和 42・5・24 民集 21 巻 5 号 1043 頁(社会保障法判例百選(第 1 版))6 頁。
(3)最判昭和 26・2・13 民集5巻 3 号 47 頁(家族法判例百選(第 3 版))158 頁。
(4)東京高決昭和 61・9・10 判例時報 1210 号 56 頁、判例タイムス 637 号 189 頁。
参考資料(さらに理解を深めるために学習するのが望ましい文献等)
(1)中村睦男「最大判昭和 42・5・24 判例解説」(社会保障法判例百選(第 1 版))6 頁。
(2)河野正輝「最大判昭和 42・5・24 判例解説」(社会保障法判例百選(第 2 版))8 頁。
(3)深谷松男「最判昭和 26・2・13 判例解説」(家族法判例百選(新増補版))176 頁。
(4)神谷笑子「最判昭和 26・2・13 判例解説」(家族法判例百選(第 3 版))158 頁。
(5)野沢紀雅「東京高決昭和 61・9・10 判例解説」(家族法判例百選(第 6 版))96 頁。
科
目
民法Ⅴ(家族法)
担
当
者
小野 義美
第 10 回
全 15 回
相続法の基本原理・相続人
事例(授業内容)
(1) 現行相続法の基本原理は何か。相続の根拠は何か。
(2) 相続人の種類と順位はどのように決定されるか。
(3) 相続人不存在の場合の相続財産の帰属はどうなるか。
要点
(1)現行相続法の基本原理・構造はなにか。
(2)相続の根拠についてどのように考えるか。
(3)相続人の種類と順位はどのようになっているか。
(4)代襲相続とは何か。
(5)相続欠格、相続人廃除の要件と効果は何か。
(6)相続財産法人の意義と権利義務はどのようなものか。
(7)特別縁故者とは何か。
(8)国庫への帰属の時期、手続はどのようになっているか。
関係条文
民法 882~895 条、951~959 条
キーワード
相続法の基本原理、相続の根拠、相続人、代襲相続、相続欠格、相続人廃除、相続財産法人、特別縁故者、国庫
必ず予習すべき文献・判例
(1)内田 貴『民法Ⅳ・親族相続(補訂版)』321~344、456~460 頁。
(2)最判昭和 56・4・3 民集 35 巻 3 号 431 頁、判例タイムス 472 号 148 頁。
(3)東京高決平成 4・10・14 家裁月報 45 巻 5 号 74 頁(家族法判例百選(第 5 版))140 頁。
(4)長崎家審昭和 41・4・8 家裁月報 18 巻 11 号 77 頁、判例時報 460 号 43 頁。
(5)最判昭和 50・10・24 民集 29 巻 9 号 1483 頁(家族法判例百選(第 5 版))146 頁。
参考資料(さらに理解を深めるために学習するのが望ましい文献等)
(1)阿部 徹「最判昭和 56・4・3 判例解説」(家族法判例百選(第 5 版)136 頁。
(2)井上哲夫「東京高決平成 4・10・14 判例解説」(家族法判例百選(第 5 版))140 頁。
(3)木村健助「長崎家審昭和 41・4・8 判例批評」(法律時報 39 巻 2 号)115 頁。
(4)西山井依子「最判昭和 50・10・24 判例解説」(家族法判例百選(第 5 版))146 頁。
科
目
民法Ⅴ(家族法)
担
当
者
小野 義美
第 11 回
全 15 回
相続分
事例(授業内容)
(1) A には母甲、兄弟乙、丙の他、妻 B との間に子 C、D、E、F 及び他女との子 G がいた。その内、C には
妻 H と子 I があり、E には妻 J と子 K、L がいたが、E は既に病死している。また、G は妻 M 及び未成
年の子 N を残して事故死したが、直後 A により認知された。さらに、F は3歳の頃他夫婦の特別養子と
なった。A はその後病死し、遺産 8000 万円を残した。C が相続放棄したものとして、各相続人の相続分
を求めよ。
(2) A には妻 B、子 C、D、E、F がいた。A は、生前、C には婚姻費用として 600 万円、D には営業資金と
して 800 万円を贈与した。その後、A は 9000 万円を遺して病死したが、妻 B に 2000 万円、病弱な E
に 1300 万円を遺贈した。各相続人の具体的相続分を求めよ。
(3) A には妻 B、子 C、D、E がいる。A の遺産は 6000 万円である。C は A の生前、事業経営上特別の寄与
をなし、寄与分として 1200 万円が認定された。各相続人の具体的相続分を求めよ。
要点
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
(6)
(7)
相続人の範囲をどのように確定するか。
代襲相続人は誰か。
特別養子に相続権はあるか。
相続放棄の効果はどうなるか。
相続分の割合はどうなるか。
特別受益がある場合の具体的相続分の計算はどのようになされるか。
寄与分がある場合の具体的相続分の計算はどのようになされるか。
関係条文
民法 900~904 条の 2
キーワード
相続分、代襲相続人、相続放棄、特別受益、持ち戻し、寄与分
必ず予習すべき文献・判例
(1)内田 貴『民法Ⅳ・親族相続(補訂版)』375~390 頁。
参考資料(さらに理解を深めるために学習するのが望ましい文献等)
(1)各種教科書等の相続人、相続分の計算の箇所。
科
目
民法Ⅴ(家族法)
担
当
者
小野 義美
第 12 回
全 15 回
相続の承認・放棄、遺産分割、相続回復請求
事例(授業内容)
(1)X は亡 A との間で B の X に対する 1000 万円の債務について連帯保証契約を締結した。その後 X の A に対
する請求を認容する判決がなされたが、A は死亡し、約1年後に判決正本が A の子 Y に送達された。Y は
A の死亡の事実および自己が相続人となった事実を知った当時、A の相続財産が全く存しないと信じ、各事
実を知った時から起算して 3 ヶ月以内に相続放棄をしなかった。Y はもはや相続放棄できないか。
(2)被相続人 A には子 B、C、D がいた。A の相続財産の主たるものは 5 反余の零細な農地であり、A 死亡後
は B が跡取りとして農業を営むことにした。そこで、B は農地の所有名義を自己に移すため C、D に対し、
亡 A の遺産相続については相続分が存在しない旨の相続分不存在証明書に署名押印してもらい、移転登記
をなした。ところが、その後、農地の一部が宅地化・転売されたため、C は 3 分の 1 の相続分を主張して
きた。C の主張は正当か。
(3)昭和 28 年に死亡した A には X、Y ら 6 人の相続人がいたが、翌年 4 月、Y らは X の同意なしに遺産であ
る不動産についてそれぞれ単独名義の相続を理由とする所有権移転登記を行った。10 年後、X は Y らに対
し本件不動産について自己の共有持分権に基づいて前記所有権移転登記の抹消を請求した。これに対し Y
らは X の相続回復請求権は時効により消滅していると争った。X の請求は認められるか。
要点
(1) 相続の承認・放棄の手続はどのようなものか。
(2) 熟慮期間の起算点をどう考えるか。
(3) 単純承認、限定承認、相続放棄の効力はどうなるか。
(4) 遺産分割の手続、方法はどうなっているか。
(5) 相続分不存在証明書は遺産分割としての効力を持つか。
(6) 相続分と異なる遺産分割協議は有効か。
(7) 遺産分割の効果はどうか。
(8) 相続回復請求権とは何か。共同相続人間に適用があるか。
関係条文
民法 884 条、906~940 条
キーワード
相続の承認、放棄、単純承認、限定承認、遺産分割、相続分不存在証明書、宣言主義、相続回復請求権
必ず予習すべき文献・判例
(1)内田 貴『民法Ⅳ・親族相続(補訂版)』344~357、415~433、434~449 頁。
(2)最判昭和 59・4・27 民集 38 巻 6 号 698 頁、判例時報 1116 号 29 頁。
(3)東京高判昭和 59・9・25 家裁月報 37 巻 10 号 83 頁、判例時報 1137 号 76 頁。
(4)最大判昭和 53・12・20 民集 32 巻 9 号 1674 頁、判例時報 909 号 3 頁。
参考資料(さらに理解を深めるために学習するのが望ましい文献等)
(1)小賀野晶一「最判昭和 59・4・27 判例解説」(家族法判例百選(第 6 版))154 頁。
(2)阿部浩二「東京高判昭和 59・9・25 判例解説」(家族法判例百選(第 4 版))152 頁。
(3)副田隆重「最大判昭和 53・12・20 判例解説」(家族法判例百選(第 6 版))120 頁。
科
目
民法Ⅴ(家族法)
担
当
者
小野 義美
第 13 回
全 15 回
遺 言
事例(授業内容)
(1) A には夫 B と子 6 人がいる。A は B が入院した頃から異常な行動が見られ、B 死亡後は一層激しくなっ
たので、老人医療センターで診察したところ老人性認知症(痴呆)と診断された。その後二女が A の面
倒をみていたが、A は入院し、その間一時二女宅に外泊し、その際自筆証書遺言を書き、その後入院先で
死亡した。他の相続人は本件遺言書作成当時 A には遺言能力がなかったとして、遺言の無効を主張する。
認められるか。
(2) A は昭和 58 年 3 月 8 日に A の財産全部を二女 B に相続させる旨の公正証書遺言をしたが、その後昭和
58 年 10 月に妻 C および長男 D により禁治産宣告の申立がなされ、昭和 59 年 4 月 27 日その宣告がなさ
れた。ところが、A はその後昭和 59 年 11 月 12 日付けで財産をすべて妻Cに相続させる旨の公正証書遺
言をなした。この遺言には医師 2 名が立会い、A が心神喪失の状況にない旨を遺言書に付記し、署名押印
した。その後 A が死亡。Cは B に対し A の遺産の不動産についての相続による所有権移転登記の抹消を
請求した。C の請求は認められるか。
要点
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
(6)
遺言能力の内容をどのように考えるか。
遺言能力はどのように判断するか。
遺言にはどのような方式があるか。
自筆証書遺言の要件は何か。
成年被後見人(禁治産者)の遺言は有効か。
前の遺言と後の遺言が抵触する場合の遺言の効力はどうなるか。
関係条文
民法 960~1027 条
キーワード
遺言、遺言能力、遺言の方式、自筆証書遺言、成年被後見人、公正証書遺言、遺言の抵触
必ず予習すべき文献・判例
(1)内田 貴『民法Ⅳ・親族相続(補訂版)』461~482 頁。
(2)東京地判平成 10・6・12 判例タイムス 989 号 238 頁。
(3)名古屋地岡崎支判平成 5・5・27 判例時報 1474 号 128 頁。
参考資料(さらに理解を深めるために学習するのが望ましい文献等)
(1)村田 彰「東京地判平成 10・6・12 判例批評」(私法判例リマークス 2000・上)84 頁。
(2)太田武男「痴呆性老人の公正証書遺言と遺言能力」(私法判例リマークス 1994・下)88 頁。
科
目
民法Ⅴ(家族法)
担
当
者
小野 義美
第 14 回
全 15 回
遺贈・遺留分
事例(授業内容)
(1) A は旅館業を営んでいたが昭和 24 年 11 月死亡し、
妻 B,子 X,C,D,E,F が旅館他を法定相続分で相続した。
その後、B は昭和 28 年 10 月に本件不動産についての自己の持分を C に贈与したが、登記未了のまま昭
和31年 3 月に C が死亡した(C の遺産は妻 Y1、子 Y2 が相続した)。そこで、B は昭和 33 年 3 月に自己
の持分を X に遺贈する旨の公正証書を作成し、昭和 34 年 3 月 12 日死亡した。X はその 1 年後、本件不
動産について、A 死亡による共同相続登記をするとともに、遺贈を原因とする B の持分の取得登記を済
ませた。X は Y らに対し持分の確認を請求できるか。
(2) A の相続人は妻 B と子 C、D であるが、A は死亡1年前にEに 5000 万円贈与し、残った遺産 4000 万円
から 2000 万円を F に遺贈した。1000 万円の相続債務があるとして、遺留分額を求めよ。
(3) (1)の場合における遺留分侵害額を求めよ。
(3) (1)の場合で、E に対する贈与が1年以上前である場合はどのように考えるべきか。また、C、D に生
前贈与がなされていた場合はどうか。
要点
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
(6)
(7)
遺贈とは何か。どのような種類があるか。
遺贈の効力の法的性質はどのようになるか、第三者との関係はどのように処理されるか。
遺留分制度の意義、目的は何か。
遺留分権者は誰か。遺留分はいくらか。
遺留分額はどのように計算するか。
遺留分侵害額はどのように計算するか。
遺留分減殺請求の手続および効果はどうなるか。
関係条文
民法 986~1003、1028~1044 条
キーワード
遺贈、遺贈の効力、遺留分制度、遺留分権者、遺留分、遺留分の侵害、遺留分減殺請求
必ず予習すべき文献・判例
(1)内田 貴『民法Ⅳ・親族相続(補訂版)』482~530 頁。
(2)最判昭和 46・11・16 判時 673 号 38 頁。
参考資料(さらに理解を深めるために学習するのが望ましい文献等)
(1)山野目章夫「最判昭和 46・11・16 判例解説」(家族法判例百選(第 6 版))152 頁。
(2)石田喜久雄「最判昭和 46・11・16 判例解説」(家族法判例百選(第 5 版))202 頁。
(2)その他の各種相続法教科書等の遺留分の計算の箇所
科
目
民法Ⅴ(家族法)
担
当
者
小野 義美
第 15 回
全 15 回
事例(授業内容)
第 1 回~14 回において検討した事項についての総括と補充を行う。
要点
関係条文
キーワード
必ず予習すべき文献・判例
参考資料(さらに理解を深めるために学習するのが望ましい文献等)
総括と補充