民法Ⅵ〔家族法〕 ( Civil Law Ⅵ ) 2学期 木曜7・8時限 授業時間:75分×20回 担当教員:半田吉信 研 究 室: 単 位 数:2単位 履修年次:2年次 授業の到達目標: 日常生活において生起する家族法の問題を処理する能力を身につけるための基本知識の獲得と その応用が到達目標となる。そのために、以下に述べる要領に従って講義を進めていく。期末試 験では到達目標が実際に身についたかどうかを問う出題とする。 授業概要: 本授業は、家族法(親族法・相続法)に関する基本的知識(関係各条文の立法趣旨、要件、効 果等)を習得させるとともに、民法全体における家族法の体系的位置づけ(とりわけ財産法との 関係性)について理解させることを主たる目的とする。あわせて、家族法の解釈論を通じて、民 法的な思考方法・解釈方法に対する基本的訓練を行い、具体的な紛争事案に対する解決能力の育 成を図る。 なお、本授業は法学未習者を主な対象者としているが、法学既習者の理解にも役立つ工夫を施 しているので、法学既習者にとっても十分に有益なものとなるはずである。 本授業は、全体を大きく二つのセクションに分け、まず前半 11 回において親族法分野の講義を 行い、つづいて後半 8 回において相続法分野の講義を行う予定である。ただし、両者は非常に密 接な関連を有しているので、必要に応じて体系横断的な視点での学習が当然に要求されることに なる。また、受講生は、単に親族・相続両分野の体系的関係性を意識するだけではなく、広く民 法全体における両分野の位置づけを正確に把握するとともに、とりわけ成年後見や扶養等のテー マを通じて、わが国の社会システム全体のなかで現代型の家族が果たすべき機能について、社会 保障法等も視野に入れつつ、学習していくことが必要である。第 20 回目は、現在進められている 家族法改正の動向について解説する予定である。 本授業で取り上げる主な項目は、婚姻、離婚、親子、後見、扶養、相続の意義と効力、遺産分 割、遺言、遺留分等である。 授業の進め方は基本的には講義形式が原則となるが、適宜複数の受講生に対して各設例や判例、 論点に対する質問を行うなど、可能な限り受講生自らが主体的に思考し、積極的に授業に参加す る環境を用意する。 講義に当たっては、教科書として使用する「ハイブリッド民法 家族法」に沿って解説を進める が、副読本として用いる「家族法判例百選[第7版]」に掲載された判例(重要判例)は授業で必 ず触れるので、これらの教材に十分目を通したうえで授業に参加する必要がある。 評価方法: 平常点20%、期末試験80%で評価する。 教 科 書: 半田吉信・鹿野菜穂子・佐藤啓子・青竹美佳「ハイブリッド民法 家族法」(法律文化社) 参 考 書: 水野紀子・大村敦志・窪田充見「家族法判例百選[第7版]」(有斐閣)、内田貴「民法Ⅳ親族・ 相続(補訂版)」 (東京大学出版会) 、二宮周平「家族法(第 2 版) (新世社)、岡部喜代子・三谷忠 之「実務家族法講義」(民事法研究会) 授業計画: [親族法] 第1回 親族法序説、氏と戸籍 第2回 家事紛争と家庭裁判所、親族の意義 第3回 婚姻の成立 第4回 婚姻の効果、婚約 第5回 離婚の成立 第6回 離婚の効果、内縁 第7回 親子関係の意義、実親子 第8回 養親子 第9回 親権の意義、親権の内容 第10回 未成年後見、成年後見、任意後見契約 第11回 保佐、補助、扶養 [相続法] 第12回 相続法総説、相続人 第13回 相続財産の範囲、相続分 第14回 遺産共有、遺産分割、相続回復請求 第15回 相続の承認と放棄、財産分離、相続人の不存在 第16回 遺言制度序説、遺言の方式 第17回 遺言の撤回、無効、取消、遺贈、遺言の執行 第18回 遺留分の概要、算定 第19回 遺留分減殺の実行、遺留分の制限 第20回 家族法改正の動向
© Copyright 2024 Paperzz