PDFダウンロード - 日本フットケア技術協会 JAFTA

JAFTA ニュース
2009 年(平成 21 年)1月発行
第6回 JAFTA 総会及び研修会
発行 日本フットケア技術協会
Japan Footcare Technique Association(JAFTA)
発行者:会長 新 城 孝 道
〒111-0043 東 京 都 台 東 区 駒 形 1­7­11
TEL 03( 3 8 4 3)6 5 61 FAX 03(3 8 4 3)6 5 62
http://www.jafta.org
年頭のご挨拶
一歩 前進!
会員に必要な協会づくり目指す
2月 22 日(日)東京で開催
研修会テーマ「フットケアの可能性」②
会長
∼技術レベルアップの追及∼
⇨日時 平成
新 城 孝 道
21 年2月 22 日(日)
【総 会】開場 12:30 13:00 ∼ 13:30
【研修会】開場 13:30 14:00 ∼ 17:00
懇親会 17:30 ∼ 18:30
⇨会場 KFC
Hall 2 nd(JR 総武線・両国駅より徒歩7分、
会員の皆さま、新年明けましておめでとうござ
都営地下鉄大江戸線・両国駅より徒歩 0 分)
います。激変する国際状況の中で迎えた新しい年、
東京都墨田区横綱 1 6 1 国際ファッションセンタービル2F
皆さまには心も新たにして、この1年をご自身の
URL:http://www.tokyo-kfc.co.jp/hall_map.html
実力で乗り切ろうと決意しておられることと存じ
*研修会費 会員・2,000 円 非会員・3,000 円
ます。
*懇親会費 1,000 円
JAFTA は発足以来、5年目を迎え、お蔭さま
*年会費も受け付けます。
で皆さまのご協力によって、ようやく軌道に乗っ
≪研修会≫(講演)
てきたように思います。本年も当協会の運営計画
第1部
を着実に実行し、会員皆さまのご希望に応えられ
塩之谷香先生(塩之谷整形外科副院長)
るように、一歩前進した協会づくりに邁進したい
「弾性ワイヤー実演」
と存じます。
木下美穂里・日本ネイリスト協会常任理事
会員の皆さまはそれぞれご専門の分野で活躍さ
「トップネイリストが行うフットケア」
れているわけですが、当協会はその専門分野の壁
沼田智美・スマイル皮膚科フスフレーガー
を越えて、いわば業種横断的な組織として新たな
「VHO 施工時 当院の工夫」
価値を生み出し、社会に貢献しようとしています。
第2部
この目標に間違いはなく、皆さまにとってもさら
に必要な協会になるように、お互いに協力し合っ
白石光春・斉田皮膚科メディカルフット・フスフレー
て頑張りましょう。
ガー「皮膚科医と連携したサロン運営」
弁護士 池田亮太郎先生
この一年、皆さまのご健康と益々のご発展を祈
「医師法 17 条とフットケア」
念します。
作間久美・西日本事務局長「要望点のまとめ」
−1−
大阪研修会報告
(各講師の講演概要)
平成 20 年 10 月 13 日(月) 於:メディカホール
糖尿病足病変予防のための
年 4 月の診療報酬改定において糖尿病合併症管理
フットケア
トケア施行や足チェックに保険点数がついた事か
料が設定された事により、コメディカルによるフッ
ら、今後の改善が期待できるであろう。
フットケアに関しては、例えば爪では、このよ
国立病院機構京都医療センター
うな爪の場合にはどのようなケアをすれば良いか
WHO 糖尿病協力センター足病医
泉
という質問をしばしば受ける。しかしながら糖尿
有 紀
病患者の場合、その患者背景によっては、積極的
にケアした方が良い場合や、保存的にケアした方
が良い場合もある。例えば血流障害を合併した患
糖尿病足潰瘍、足壊疽に代表される糖尿病足病
者では、皮膚を傷つけた時のリスクが高く、爪の
変は、胼胝、水疱、陥入爪など軽度皮膚病変を転
伸びも遅いため、あまり積極的に爪を切るケアは
機に発生する事が多いと言われる。そのため、糖
必要ない。反対に、神経障害を有し、1 日 1 万歩
尿病足病変を予防するため、これら軽度皮膚病変
歩くような活動的な患者の場合は、爪によって皮
を積極的にケア、治療しようという予防的フット
膚に傷をつけるリスクが高いため積極的にケアを
ケアに関心が高まっている。しかしながら、糖尿
する必要がある。このように、単に爪の状態だけ
病足病変予防のためには、ケアのみならず、検診、
で判断するのではなく、合併症の進行度合いや生
専門医への紹介、教育、靴などを含んだ包括的な
活環境、活動レベルなどをも加味し、施行するケ
プログラムが必要な事は言うまでもない。アメリ
アを選択する事が望ましい。爪を整える事が目的
カでは、糖尿病患者の足検診率は眼科検診とほぼ
ではなく、どのようなケアを行えば、糖尿病足病
同率の 67%にも上るが、日本では過去 1 年に足を
変発生のリスクを軽減させる事ができるかを念頭
医療従事者にみてもらった事がある患者は 3 割に
に、糖尿病患者のフットケアに臨む必要があると
もみたなかった。しかし、このような状況も、本
思う。
倉片長門 副会長
(スマイル皮膚科院長)
次 頁 ﹁V H O 法 と 手 術 の 使 い 分 け ﹂ の 表1
研修委員長を務めた
「爪の湾曲、オーバーサイズの有無による治療法の選択」
爪の状態
治療法
彎曲
オーバーサイズ
ー
ー
①∼⑤の簡単な初期治療
○
ー
彎曲した爪の矯正治療法
or
手術法(巻き爪の場合を除く)
ー
○
手術法
○
○
手術法
or
(彎曲した爪の矯正治療法)
−2−
V HO 法と手術の使い分け
が中央部分であるため、極端な深爪症例でも施術
が可能で、ワイヤーが先端に移動するまでの 3 ヶ
月間は、メンテナンスなどが必要なく、施術直後
皮フ科シュウゾー院長
から痛みが消失する画期的な保存的治療法である。
河 合 修 三
過剰肉芽組織のある症例には、VHO 矯正法を行っ
てから、
ガター法を併用することもできる。しかし、
過剰肉芽組織のある場合は、手術法の選択も効果
的である。手術法は、
主に鬼塚法を代表とする爪甲、
爪床、爪母の側縁を切除し縫縮する方法と、爪甲
陥入爪の治療法は、簡単な初期治療法(①損傷
側縁を取り除いた後に、爪母部を腐食するフェノー
を招いている爪甲側縁の爪を斜めに切る方法、
②過
ル法がある。前者の問題点は、術後の痛みが激し
剰肉芽組織と爪甲の側縁の間に、綿球をつめる方
いことと、爪母の取り残しによって爪が棘状に伸
法、③テーピング法、
④ガター法、
⑤アクリル人工爪
びるなど失敗する場合もあることである。一方、
法)、彎曲した爪の矯正治療法、手術法の3つに分
後者は、術後の疼痛が少なく、施術が簡単で、失
類できる。これらの治療法の選択は、爪の彎曲の
敗例が少ない点で優れていることと、肉芽組織が
有無とオーバーサイズの有無を視点に治療法を決
存在していても施術が可能で、フェノールにより
定すべきと考えている(表1)
。爪の彎曲と爪のサ
肉芽組織自体も縮小化できるというメリットがあ
イズが正常範囲であれば、
①∼⑤の簡単な初期治療
る。基本的に、爪のオーバーサイズが問題である
を施し、改善後は深爪をしないようにすれば治癒
場合は、手術法を優先すべきであるが、閉塞性動
につながる。しかし、
①の爪を斜めにカットして肉
脈硬化症などの血行障害がある場合は禁忌である。
芽組織の消退を待つ間に、爪の彎曲が進む場合も
小 生 は、簡 単 な 初 期 治 療 で 改 善 し な い 場 合 は、
多く、この場合は、簡単な初期治療をあきらめ、
VHO 矯正法かフェノール法のどちらかを症状と患
彎曲した爪の矯正治療法か手術法に切り替える必
者の希望に沿って施術することが多い。その際に、
要がある。彎曲した爪の矯正治療法を大きくわけ
患者には VHO 法では、施術直後から日常生活に
ると、爪表面に貼り付けるタイプのもの(形状記
支障がなく、麻酔なしで可能であるが、何度か装
憶合金プレート法、ポドフィックスなど)
、超弾性
着を繰り返さないといけないことと、矯正終了後
ワイヤー法、VHO矯正法の3種類がある。貼り付
に再び彎曲が再発することも多いことを説明する。
けるタイプのものは、簡単であるが、外れやすい
一方、フェノール法では、彎曲部分の爪が生えな
ことと、十分な矯正力に欠けるという問題点があ
くなるので再発が少ないが、縮小化した爪が再び
る。超弾性ワイヤー法、VHO 矯正法は矯正力が強
彎曲し巻き爪になってくる場合があり、その場合
い。超弾性ワイヤー法は、爪が伸びた状態でない
は、手術の適応がなく VHO 法で治療をするしか
と施術できない、伸びた爪の先端に装着させるた
ないと説明している。治療法のメリット、デメリッ
め伸びてくると邪魔になる、ワイヤーが皮膚に刺
ト、費用、予後を予め説明し患者の希望する治療
さるなどさまざまな問題点があり、施術できる症
を施すことが大切と考えている。
例が限定される。一方、VHO 矯正法は、装着部位
−3−
陥入爪OPEの実際
を防いでいる。
2)側骨間靭帯の作り出す間隙を
趾動脈から分枝した血管が通り爪床に安定した血
行を供給する。
3)爪甲・爪床にかかった外力を
北里大学北里研究所メディカルセンター病院
形成外科
分散する。
’などである。現在我々は陥入爪発生の
南 條 昭 雄
解剖学的原因として側骨間靱帯に着眼し探求を
行っている。実際の手術の流れは‘1)確実な麻
酔 2)駆血 3)爪甲、側爪郭周囲軟部組織の
処理 4)爪母の確実な処理 5)止血 6)駆
血 解 除 7)洗 浄 8)再 止 血 9)創 の 縫 合’
である。実際の手術のポイントは‘1)最適な手
陥入爪の外科的治療は 11 世紀に Albucasimg が
術方法の決定:一般的には侵襲の少ない児島法を
肉芽の切除・焼却をしたことに始まる。
第一選択とするが、不良肉芽、炎症、陥入の強い状
17 世紀に Fabricius が陥入部分の辺縁を切除し
態では手術方法の選択は重要な出発点である。 たことを機に爪甲・爪甲側縁・側爪郭を含めて切
2)合併症・再発の防止:患部に必要以上の侵襲
除する方法が現在の手術の基盤となる。陥入爪の
を与えないこと、および手術手技的には爪母の確
手術は 20 世紀にはほぼ確立され、現在の 1)児
実な処理が重要である。我々は爪母処理に関し顕
島Ⅰ法 2)児 島Ⅱ法 3)鬼 塚 法 に 定 着 す る。
微鏡下手術を提唱している。
’などである。最後に、
次にこれら手法の特徴を述べる。
形成外科の医師の立場として、患者さんへの最良
児島Ⅰ法は爪母処理を主体とする方法で古典的
の治療の提供をモットーとして、すぐに手術を勧
には Que’ne が提唱した爪母のみが爪甲を形成す
めることなく現在の患部の状態を医療的に把握し、
るという理論の下、行われた Zadic の爪母一部分
本疾患の非侵襲治療法を含めた治療法の説明を
切除法(wedge excision)に由来する。
行った上で、患者さんの個々の要求にあった治療
児島Ⅱ法と鬼塚法は Mogensen の提唱した labio
法へ導くことが重要と考える。今後のフットケア
matricectomy(‘爪床周囲の組織を一塊として切
スペシャリスト(皮膚科、整形外科、フットケア、
除する方法’と定義されている。
)という手法に由
ネイルサロンなどの)コラボレートが治療の質を
来し、児島Ⅱ法は koening の楔状切除法(wedge
高める鍵となってくると考える。
resection)、Watoson-cheyne’s operation(垂 直 楔
状切除法)を基盤とし、鬼塚法は Winograd に代
表される‘末節骨までメスを到達させる手技’を
*謝辞:大阪研修会の場において講演の機会を与えて
基盤として Duburies 変法としてその歴史的変貌を
くださった日本フットケア技術協会会長新城孝道先生
遂げる。児島法と鬼塚法の決定的な違いは手術操
および東日本事務局長大岩久恵様はじめ事務局の皆様
作の上で側骨間靭帯を処理するかどうかにある。
と副会長倉片長門先生に深謝申し上げます。
側骨間靭帯の役とは‘1)nail complex を両側に
強く保持し末節骨骨幹部の幅より広い爪床の移動
−4−
人工爪(スカルプチュア)の実演
欠点と注意点は 1)修復が必要 2)激しい運
まやクリニック院長
動や不適合な靴の制限 3)アクリルなどによるア
倉片まや子
レルギ− 4)乳幼児や極端に薄い爪に不適 5)
保険対象外であること。
まやクリニックネイルスト
以上をふまえ、会場では人工爪療法の症例につ
爪生あき子
いて治療前後のスライドをご覧頂き、続いて後述
倉片まや子院長
の”人工爪作り行程”の確認後実演。
まず消毒→やすりで長さを調節→甘皮の処理→
人工爪療法は、ネイルサロンなどで行われてい
接着準備(やすりで爪甲表面を削って接着液の塗
るネイルリペアという手法の一つである。材質は
布)
→人工爪の土台となるフォ−ムをセット→ブ
アクリル(常温で変化する化学重合型レジン)を
ラッシュオンテクニックを用いアクリルリキッド
用い、自爪の爪甲に人工爪を形成して長さや形を
とパウダ−で人工爪を作る→表面や先端を削り厚
調整。化学反応によって硬化し、ある程度の硬度
みと長さを調整し終了。
と強度を兼ね備えた物質になる特性を利用し、自
今後のフットケア−に新たにネイリストとの連
爪を整形・修復する。対象となるのは主に爪の変
携をご提案するとともに益々の発展を期待する。
形で、表面の凹凸・粗造性、亀裂・欠損、陥入・肥厚・
講演後アクリルに関するご質問を多く頂いた。VH
彎曲。つまり外傷や陥入爪、陥入爪術後、爪甲鉤
Oのワイヤ−の固定に使用するアクリル(加熱重
彎症・剥離症・肥厚症、深爪などである。
合形あるいは光重合型とよばれるレジン)との相
人工爪療法の利点と効果は 1)非観血的治療 違点を別表にてご参照いただければ幸いである。
2)正常な爪の代用(①機能上・外観上のストレス
熟練したテクニックによれば、化学重合型レジン
からの解放②外力からの保護③自爪の補強)
3)
の方が操作性・均一な硬度などにおいて人工爪の
爪の変形の防止・矯正 である。
材料としては適していると考える。
大阪研修会の会場
−5−
JAFTAの目指す姿
フットケア*ワンポイント・アドバイス
─アンケート結果を踏まえて─
糖尿病患者に対する
爪のケアに対する注意!!
東日本事務局長
東京女子医科大学 糖尿病センター
大 岩 久 恵
新 城 孝 道
最近経験した症例を提示します。63 歳の男性で
糖尿病があります。糖尿病合併症の神経障害、網
膜症及び腎症があり血液透析より腎移植治療を受
けています。両母趾の陥入爪に対して、近医の皮
(大岩本部事務局長は JAFTA の会勢、フットケアを取り
膚科医師によるVHO矯正と内側より外側への弾
巻く環境などについて言及した後、特に 08 年2月第5回
性テープによる補助的矯正を施行。日常生活をし
通常総会の際に実施した会員アンケート「JAFTA に対す
ていたが、右母趾内側に感染症を併発し、保存的
る要望点」及びそれに基づく考察を大要、次のように報告
治療を施行。しかし病状は悪化し、入院加療とな
した。)
アンケートの回答者は 22 名で、内訳は医師6名、
看護師7名、フットケアサロン経営者等9名。
りました。手術の治療を施しましたが感染症が強
く、右母趾の切除術を施行。しかし術後の感染症
再発で前足部切断術を施行。一次軽快したかにみ
JAFTA への要望事項は次のとおりだった。
えましたが再度感染症が足関節におよび 3 回目に
*技術力向上のための研修会・教育の整備 / 開催9名
右膝切断術を施行し、完治しました。しかし義足
*会員同士の情報交換・紹介制度の整備 7名
使用となり QOL の点では著しい制約と困難をこう
*JAFTA 運営の活性化 5名
むっています。
*JAFTA からの情報提供力の強化 5名
本例の問題点は糖尿病があり、腎移植での免疫
*公的認知・認定に向けた活動 4名
抑制剤の使用が易感染性の状態を来していた点で
*その他 3名 (複数回答あり)
す。VHO、弾性テープその他の皮膚への刺激や外
このようなアンケート結果から JAFTA に期待
的刺激で感染症をきたしやすい。外見ではわから
される当面の活動は次のようなものであり、会員
ない危険因子を有する疾患を有する例にはくれぐ
の強い願いである。
れも注意が必要です。“さわらぬ神に災いなし” 御注
フットケア技術の専門性レベル・アップ
意ください。
フットケアにおける医師と医療関係者以外のフ
スフレーガーとの連携強化
フットケアの知名度向上
書籍紹介
さらに今後の JAFTA の取組みとして次の3点
「外来ですぐできる足にやさしいフットケア」
を挙げたい。
倉片 長門(スマイル皮膚科院長)著
体裁 /B5 判 94 頁
☆ 実践で活かせる技術・専門知識研修の定期開催
☆ 医療関係者とフスフレーガーの交流の場の提供
定価 /3990 円(本体価格 3800 円)
☆ 情報発信…ニューズレターの定期発行、JAFTA
発行日 /2008 年 10 月 10 日
ホームページの強化
ISBN:978-4-88117-043-4 C3047
そして JAFTA マーク=安心&安全なフットケア
写真を豊富に用いた分かりやすいオールカラー
という認知度を高めることが目標になる。
実践書。たこ・うおのめ、陥入爪の保存的対症療
(プロフェッショナルフットケアサロン那由他代表)
法を、実践的に解説。
大阪研修会報告 (以上)
ご注文は全日本病院出版会(03-5689-5989)まで。
−6−