第 5 学年 1 組 道徳 学習指導案 平成 19 年 11 月 20 日(火) 指導者 伸治 3-(2)生命尊重 1 主題名 いじめについて考える 2 ねらい 自他の生命の尊さに気づき、いじめをしないという心情・態度を育てる。 3 資料名 「わたしのいもうと」 (松谷みよ子著:偕成社) 4 主題設定の理由 (1)児童について(男子 20 名 鈴木 女子 13 名 計 33 名) 5 年生でクラス替えをして、新しい友達が増え、交友範囲も広がった。日頃の学習や生活において、 お互いに教えあったり励ましあったりする姿も見られる。先の文化祭では、5 年生 65 名、みんなで協 力して組み体操を完成させた充実感を味わっている。 一般的に、発達段階の観点から見ると 5 年生は第二次反抗期に入る年頃である。保護者と話をする機 会があると、家の人や兄弟姉妹に対する汚言がひどくなりコミュニケーションを図るのが難しくなって きたとの声も聞かれる。 また、児童の学校生活に目を向けてみると、男子は「うるせー」「てめー」「うざい」「消えろ」など といった、いわゆる汚言の言い合いが原因となり、相手を傷つけ、自分の主張を通そうとするあまりに トラブルになることが多い。また女子においては、仲良しグループができ始め、いつもそのグループの 子と行動したりメモ帳による小さな手紙のやりとりなどを行ったりして、そこからトラブルになる場面 も見られる。 学級の児童は皆「いじめはいけないことだ」とわかっている。また、テレビのニュースで流れる自殺 や暴行殺傷事件についても、「ひどい」とか「かわいそう」と口にする。 しかし、実際の生活をふり返ってみると、汚言により相手を傷つけたりしている現状であったり、自 分とは遠い世界の話、関係のない他人事のように対する気持ちも見られる。 今回の学習において、「いじめはいのちを奪うことがある」ということも知り、自分たちの日常生活 において、改めて「いじめは絶対にしない・見過ごさない」という心情・態度が育まれるように指導し ていきたい。 (2)資料について 児童の実態から、副読本よりも、他資料を活用したほうが、価値に迫りやすいととらえ、絵本「わた しのいもうと」(松谷みよ子著:偕成社)を中心に学習することとした。 この「わたしのいもうと」という絵本は、読者から送られた実話がベースとなり、いじめによって最 終的には命が失われてしまうと言う非常に重いテーマである。しかしながら、児童にとって、命の大切 さや重さを訴えるに十分値する絵本でもあるので、本学習の資料とすることにした。 また医学的な見地からのスライドも資料として取り入れ、児童の危機意識を高めていければと考えて いる。 (3)指導について 私は、弱者に優しい学級作りを目指している。あたたかい言葉による、やわらかなかかわり合いを児 童たちに求めている。 現在の学級の様子を見てみると、集団で一人の子をいじめているような実態はない。しかし、(1) の児童の実態でも述べたように、汚言が口癖のようになってしまっていたり、グループ化ができ始めて いたりすることは否めない。 深刻ないじめが起きてからでは指導が遅い。本時の学習展開は、教師主導色が濃い。しかし、今、こ の時期に、いじめは絶対に許さないと言う教師のスタンスを、児童にわかってもらいたい。と同時に、 児童自らがいじめはいけないことだと真に身にしみてほしい。 そのために、具体的には、次の3つの視点から本時を構成していく。 ①「心のノート」の活用 絵本との関連性を図り、 「心のノート」の P.82~83 を音読したり、書き込みをおこなったりしていく。 ②児童の集中力が持続するような工夫 本時の一時間(45 分)を約 15 分ごとの 3 ブロックにわけ、特別支援の必要な児童にとっても集中力 が持続するように構成する。 第 1 ブロック…おもに絵本の読み聞かせの場面 第2ブロック…児童同士による話し合い(自分の考えを深める、他の考えに学ぶ)の場面 第 3 ブロック…スライドによる医学的見地からのいじめの深刻さ・危機意識を高める場面 ③資料の工夫 先に述べた「わたしのいもうと」を、読み聞かせする。本校で行っている、みなみおはなしかご(読 書ボランティア)による読み聞かせを楽しみにしている子どもたちなので、違和感なく学習のねらいに 迫っていけるととらえる。 また、黒板にスライド投影の場を設け、教えたいことや考えさせたいことを提示するなど、情報機器 を効果的に活用していく。 (4)「かかわり合う」について ・絵本を通じて、いじめは命を脅かしてしまうものだということを改めて知る。 ・グループの話し合いにより、自分の考えや感じ方を深めたり、友達の考えや感じ方に学んだりする。 場の設定 めざす姿 手立て 読み聞かせの途中に 絵本「わたしのいもうと」 ・お話を真剣に聞き、いじめのひどさ・ の読み聞かせ 深刻さに改めて気づく、知る。 「いもうとがどうなったか」や 「いじめていた人たちはどうな ったか」など、適宜発問する。 児童のつぶやきを大事にする。 ・自分の感じたこと、思ったことを友 グループでの話し合い ・絵本の感想を発表しあう前に 達に伝える。また、友達の感想も聞 発表しあうことで、より自分の き、自分と似た感じ方であったか、 感じ方や考えを深めたり、ま 自分とは違う友達の感じ方に学んだ た、他の感じ方、考え方に学ぶ りする。 ことができることを知らせる。 ・グループで答えを出す場面も設定し、 ・互いの意見を尊重し合いながら 理由もつけて意見を考えることがで も、1 つの答えを導き出せるよ きる。 うに、指示する。 5 本時の指導 ○主な発問 △指示 ・期待する反応 心のノート P.83 「心の窓を曇らせない」を読む。 読んだ感想を発表しましょう。 ・友達を大切にしなければならない 2 「わたしのいもうと」の読み聞かせを聞く。 △今から「わたしのいもうと」という本を読みます。 どんなお話か、考えながら聞きなさい。 ○このあと、いもうとはどうなったと思いますか。 また、いじめていた人はどうしたと思いますか。 ・学校に行けなくなった。不登校になった。 ・誰かに相談した。 ・いじめをやめた ・いじめを続けた 導 入 展 開 1 1 ○ 評価の方法 ・指導上の留意点 ・どんな内容のことか考えさせながら、 大きな声で音読させる。 ・感想は自由な内容でかまわない。 ・絵本がよく見える位置に場所を移動さ せる。 ・「ひと月たち、ふた月たち、遠足にいったとき もいもうとは、ひとりぼっちでした」までで止 め、その後どうなったかを想像させる。 展 開 2 3 読み聞かせ後の感想を発表しあう。 ・机間指導を行いながら、感想が書けない △この話を聞いて思ったこと、感じたことをプリント でいる児童には、自分がいもうとだった に書き、班の友達同士で発表し合いなさい。 ら…を考えさせる。 ・いじめはだめだと頭ではわかっていて ○皆さんの生活の中で、ひどいなと思う言葉を聞いた も実際の場面ではいじめに立ち向かえ ことはありませんか。 るかどうか聞き、ゆさぶる。 ・ある。死ねとか言っているのを聞いた。 ・スライドを活用し、いじめの定義を知ら 4 いじめについて考える ○どんなことをいじめと言うのでしょう。 せたり、脳の仕組みを知らせたりする。 ・人がいやがることを言う 悪口 ・無視する 新皮質(ヒトの脳) 展 開 3 旧皮質(ネコの脳) ○いじめられるとどの脳が壊されると思いますか。 ・脳幹 脳幹(ヘビの 脳) △( )に当てはまる言葉を考えなさい。 いじめは人の( )をうばう ・命 ・生きる力 ・人生 ○今日の勉強をふり返って、心のノート P.82 にどんな 人間になりたいか、書きましょう。 終 末 ・脳幹は呼吸や寝る、食べる欲求を司り 旧皮質は感情を司り、新皮質は思考を司 る。そして、いじめは脳幹を破壊するこ とを知らせる。 いじめをしない、友達に優しくするな どの観点で書いているか。 ★特別支援教育上の配慮 個人情報保護の観点から、非公開とします。予めご了承ください。
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