情報倫理

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第2章
情報倫理
まえがき
インターネットが私たちの身近なものになってから既に数年の月日が流れ、今では多くの人がその多彩な
サービスを日常的に利用しています。インターネットは、ホームページに象徴されるように、世界中に存在
する不特定多数に向かって情報が発信されるところに大きな特色があります。商業的なホームページが高レ
ベルの技術を競う中、小規模な企業や個人が卓越した創意工夫によって多くの人々の関心を集め、世界的な
ビジネスに発展する例も珍しくはなくなりました。ところが、インターネットが老若男女を問わず誰でも楽
しめるコミュニケーションメディアとして親しまれているその一方で、不用意な情報発信によって見る人に
不快感を与えたり、ときには人権の侵害にあたるような事例も多く報告されるようになってきました。
そこで、電子ネットワーク協議会は平成 10 年度基本問題分科会の活動の一環として、インターネットに
接続する一般利用者を対象にした「インターネットを利用する方のためのルール&マナー集」を作成しまし
た。インターネットを利用する際に常識的と考えられるルールやマナーをできる限り集めて公表し、イン
ターネットを利用する際のトラブルをできるだけ減らせるように啓発活動を行うことを目的としています。
まず総則として、インターネットを利用するときに一般的に知っておいた方が良い事項を説明します。次
に各論として、電子メール、電子掲示板・ニュースグループ・メーリングリスト、ホームページやオンライ
ン・ショッピングといった、インターネット上の各サービスを利用する際にそれぞれ知っておいた方が良い
事項を載せてあります。
各項目のタイトルの横には、項目のねらいを示す目安として★/☆印をつけてあります。★のついたもの
はインターネット利用時のトラブルから自身を守るための項目、☆のついたものはインターネット利用にお
ける他者への配慮について解説した項目です。
さらに今後、インターネット利用者の世代を超えた広がりに配慮して、子どもが利用できるように平易な
表現に改めたものを用意する予定です。
最後に、検討を行う際の参考として内部資料を提供して頂いたインターネット・プロバイダの方々、法的
な観点からコメントを頂いたインターネットに造詣が深い法律関係者の方々に、厚くお礼を申し上げます。
電子ネットワーク協議会は、主要なパソコン通信ネットワークで常識的と考えられる
ルールやマナーを収集した「パソコン通信サービスを利用する方へのルール & マナー
集」を平成8年に公表しています。パソコン通信を利用する場合にはそちらをご覧くだ
さい。また、インターネットに接続しながらも特定の団体の管理下にあるイントラネッ
トなどについては、それぞれに運用方針がありますので、そちらも参照されることをお
勧めします。
★:インターネットの事故から自身を守るすべについて述べたもの
☆:インターネットにおける他者への配慮について述べたもの
第 2 章 情報倫理
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総則
1 基本事項
インターネットを利用する人は、自分が接続したネットワークにおける個別のルールを守るだけではな
く、その先につながり、世界中に広がる他のネットワークとその利用者に対しても、社会的な配慮をしなけ
ればなりません。個々のネットワークの領域を超えて情報やサービスが往来するインターネットを利用する
ときに、まず知っておかなければならないことを基本事項として整理しました。
1.1 一般的な注意☆
快適なインターネット環境は、相互に接続されたネットワークをそれぞれの利用者が適切に利用すること
によって初めて実現されます。インターネット利用者は、インターネットが一つの社会であることを認識
し、その一員としての自覚と責任を持つ必要があります。
1.2 自己責任が原則であること★
インターネットを利用して情報を受信したり発信したりするときには、それによって生じるリスクや社会
的責任や法的責任を自身が負わなければなりません。
1.3 文字による通信が主体となること★
インターネットでは文字によるコミュニケーションが大きな役割を担っています。ちょっとした表現が誤
解を招いたり争いのもとになりますから、言葉を選んで相手を傷つけることがないように心がけましょう。
1.4 会員規定をよく読むこと☆
接続業者(インターネット・プロバイダ)を通じてインターネットに接続している利用者は、各インター
ネット・プロバイダがそれぞれ会員のための利用規定を持っていますから、まず、これをよく読むことから
はじめましょう。
2 セキュリティ
セキュリティとは、インターネットを安心して利用するために注意を払うべき安全対策のことをいいま
す。インターネットは誰にでも開かれている自由な社会ですが、まだ秩序が整っていない発展途上の場とい
う側面も持っています。自分の身は自分で守らなくてはなりません。したがって、侵入者や違法な行為を行
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う人々を日頃から十分認識しておくことが大切です。
2.1 パスワードを管理すること★
インターネット等に接続するために、打ち込んだりコンピュータに設定しておいたりするユーザ ID とパ
スワードは、あなたが正当な利用者であることを証明する情報です。キャッシュカードの暗証番号のように、
あなたの財産とプライバシーを守っているだけでなく、コンピュータシステム全体を不正なネットワーク利
用から保護する役目も果たしています。
ユーザ ID とパスワードを他人に利用されないようにすることは、インターネット利用者の大切な義務で
す。2.2 に示す例を参考にしてユーザ ID とパスワードの管理を行って下さい。
2.2 パスワードの管理方法★
自分の氏名、生年月日、電話番号など、容易に類推できるパスワードでは、危険から身を守るのには十
分とはいえません。パスワードはわかりにくいよう工夫をして、定期的に変更するよう習慣づけましょう。
文字の種類や文字の組み合わせについては、パスワードを管理するインターネット・プロバイダのアドバイ
スを尊重しましょう。
パスワードを入力している場面を他人に覗かれないようにしましょう。過去に使ったことのあるパスワー
ドを繰り返して使うのも良くありません。パスワードを保存したソフトウェアをそのまま他人に使わせる
のも危険です。
ユーザ ID やパスワードを尋ねる不審な問い合せには応じないように気をつけましょう。インターネット・
プロバイダ等からの請求書には必ず目を通し、身に覚えのない利用がないかどうか確認しましょう。
2.3 他人のユーザ ID を使わない★
親しい間柄や家族であっても、他の人のユーザ ID でコンピュータシステムに接続することは誤解や争い
の種になります。ユーザ ID を共有することは、たとえ家族であっても好ましくありません。通信などの相手
先にとっても、このような複雑な関係は迷惑なものです。ユーザ ID は一人一つずつ持つようにしましょう。
また、何かの理由で他人のパスワードを入手することがあっても、速やかに本人にそれを告げてパスワー
ドの変更をうながしてあげてください。
2.4 プライバシーの守り方★
なんらかの必要からインターネット上に個人情報を発信するときには、それによって生じる利益だけでな
く、発生する可能性のある不利益にも配慮する習慣をつけましょう。銀行口座の暗証番号やクレジットカー
ドの番号を人に知られないようにすることはもちろん大切ですが、あなたがどこの誰なのかを知られてし
まう住所、氏名、電話番号、生年月日などの個人情報にも注意を払ってください。
電子メール、メールリングリスト、ホームページに署名をしたり、連絡先を記述するときには、個人情報
の記述に注意しましょう。懸賞やアンケート調査を装って個人情報を集め、宣伝のメールを送りつける業者
もあるので、そのホームページの運営者が信頼できるかどうかに注意して利用しましょう。
第 2 章 情報倫理
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また、ホームページで個人情報等を扱う仕組みとしてはクッキー(Cookie)があり、ブラウザでその設
定を行うことが出来ます。このクッキーは、ショッピングサイトで商品の送り先を購入の度に毎回入力する
手間を省いたり、電子掲示板を読み書きする際に、前回利用時の続きからメッセージを読むために必要な情
報をパソコンに蓄積しておき、次回利用時に自動的にホームページ側にデータを渡すことができるなどの
便利な機能である反面、この機能を悪用して、ユーザに説明せずに個人情報の収集をすることを目的とし
たホームページを作る業者が稀にいます。クッキーの利用に際しては、ブラウザの設定で「Cookie を常に
受け入れる」
「Cookie を受け入れる前にダイアログを表示」
「Cookie の使用を全て無効とする」が選択でき
ますので、利便性とリスクを自分の責任で判断した上で選択して下さい。
2.5 コンピューターウィルスに注意する★
コンピュータウィルスと呼ばれる悪質なプログラムに感染すると、その種類によってコンピュータが動か
なくなったりファイルが壊れたりと、さまざまな障害がでます。コンピュータウィルスはプログラムやデー
タを媒介して伝染するので、知らない人から来た電子メールや添付ファイル、ダウンロードしたり外部から
持ち込まれたりするプログラムやデータを開くときには注意が必要です。
ファイルをアップロードしたり、電子メールに添付して送信したりする場合には、あらかじめウィルスに
感染していないことを確かめる習慣をつけましょう。
外部からプログラムやデータを取り入れるコンピュータを利用する場合には、予防のために、ウィルス
を検知するソフトウェアで点検するようにしましょう。ウィルスを発見したり、被害にあったときには、情
報処理振興事業協会(IPA、http://www.ipa.go.jp/security/outline/todokede-j.html)に報告しま
しょう。
2.6 コンピューターウィルスへの対策★
ウィルスの感染を即座に知らせ、これを無効にする専用のソフトウェアが市販されています。これらは一
般に「ワクチンプログラム」と呼ばれ、あらかじめインストールしておけば、外部から持ち込まれるプログ
ラムやデータがウィルスに冒されていないかどうかを監視してくれます。毎日のように新種のウィルスが発
見され、報告されていますから、ワクチンプログラムにはこまめにインターネットから最新のデータをダウ
ンロードし、新種のウイルスにも対応できるようにしておきましょう。
ワクチンプログラムを用いても、残念ながらウィルス対策は万全とはいえません。定期的にデータのバッ
クアップをとっておけば、万一ウイルスに感染しても被害を最小限に抑えることができるでしょう。
2.7 不正なネットワーク利用はしない☆
アクセスすることが許されていないコンピュータシステム内に侵入したり、データを見たり、改ざんする
行為、あるいはそのコンピュータシステムを利用したり、その運用を妨害したり、損傷を与える行為をして
はいけません。
また、他人のパスワードを盗むこと、他人の電子メールを偽造すること、たくさんの電子メールや容量
の大きな電子メールを一度に送る、いわゆる電子メール爆弾を送る行為、インターネット上を流れている
データを盗み取ったり改ざんする行為などは、すべて不正なネットワーク利用ですから決してしてはいけま
せん。
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3 関連法規
私たちが社会生活を営む上で、いろいろな法律や規則を守らなければならないのと同じように、インター
ネットを利用する際にも、これらの法律や規則を守らなければなりません。インターネット上の行為であっ
ても法律に違反するものは罰せられますし、もちろん知らなかったで済ませてはもらえません。あなたがし
たことの責任をとるのは、あなた自身なのです。
ここではインターネットをはじめてまだ日の浅い利用者が、特に気をつけなければならない事例につい
て紹介します。もちろん、これがすべてではありませんから、自分の行為が社会的に責任を問われることが
ないかどうか、よく気をつけましょう。
《取り上げた行為》
• 著作権の侵害
• 商標の使用
• 肖像権の侵害
• プライバシーの侵害
• 他人の社会的評価にかかわる問題
• わいせつな情報の発信等
• 風俗営業
• ねずみ講
• 未承認医薬品等の販売、広告
• 通信販売
• 個人情報の保護
3.1 著作権の侵害
文章や写真、音楽、ソフトウェアなどの著作物に関する権利は、著作権者だけが持っています。私たちが
これを複製、転載したり、改変したりする場合は、著作権者の許諾を得なければなりません。
著作権は著作物を作成した人(著作者)に何ら手続きを経ることなく発生しますが、その全部または一部
を他人に譲り渡すことができます。したがって、著作者と著作権者が一致しない場合があることに注意して
ください。
インターネットでの著作物の利用に際しては、以下のような利用が著作権の侵害にあたりますので注意
してください。
【例】
• 他人のホームページや電子掲示板に載っている文章や写真等を、無断で他のホームページや電子掲示
板に転載すること。
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• 書籍、雑誌、新聞などの記事や写真を無断で転載すること。
• テレビやビデオから取り込んだ画像やデータを無断で掲載すること。
• 芸能人や著名人の写真や、キャラクターをまねて描いた絵の画像データを無断で掲載すること。
• 他人が作成したソフトウエアやそれを改変したプログラムを無断で掲載すること。
• 音楽や唄の歌詞または CD などから取り込んだデータ(MIDI, MP3 等)を無断で掲載すること。
• 他人の電子メールを無断で掲載すること。
なお、自分の意見と比較したり、自分の意見を補う目的で他人の著作物を利用することを「引用」といい
ますが、これは法律で認められた行為であり、著作権者に許諾を求めなくても問題はありません。ただし、
引用はあくまでもその目的および分量において正当と認められる範囲内に限られ、さらに引用したのがど
の部分かはっきりと分かるようにカギカッコで括るなどの区別をしたうえで、出典、タイトル、著作権の所
在などを明示しなくてはなりません。
また、例外的に私的利用の範囲内に限り著作権者の許諾が不要とされていますが、ホームページを通じて
不特定多数に向けて他人の情報を発信する場合は、原則として私的利用にはあたりません。
3.2 商標の使用
商品やサービスを識別するために付けられている文字、図形、記号などのことを商標といいます。商標は
法律によって保護されていますから、他人の商標をあたかも自分の商品やサービスのものであると誤解を
まねくような使い方をしてはいけません。
製品やサービスの名称、キャッチフレーズ、シンボルマーク等が著名である場合、実際に製品やサービス
の内容が似ているか否かに関係なく勝手に使うことはできませんので注意が必要です。
3.3 肖像権の侵害
本人の許可なく、その顔や容姿などを撮影し、その写真をホームページなどで公表すると、肖像権の侵害
として訴えられ、損害賠償を請求される可能性がありますので注意しましょう。有名人等の場合には、パブ
リシティ権が関係してくるので注意が必要です。
3.4 プライバシーの侵害
他人の私生活に関わる各種の情報を本人の了解なくインターネットでみだりに公開すると、プライバシー
の侵害として訴えられ、損害賠償を請求される可能性があります。電子メールやホームページ等で他人の氏
名、住所、電話番号などの個人情報を表示するときは必ず事前に本人の了解を得るようにしましょう。
3.5 他人の社会的評価にかかわる問題
他人の社会的評価(世評・名声)を低下させるようなものをホームページに掲載すると民事上の責任(損
害賠償責任)を問われる可能性があります。
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また、場合によっては刑事上の責任(名誉毀損罪/侮辱罪)を追求される可能性もあります。
3.6 わいせつな文書や画像の発信
インターネットを利用してわいせつな文書や画像をホームページで発信したり、リンクを張ったりする
と、法律で罰せられる可能性があります。
3.7 風俗営業
平成 11 年度より改正風俗営業法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する
法律)が施行されます。インターネットを利用して性的な行為を表す場面や、衣服を脱いだ人の姿の映像を
有料で見せる場合は、公安委員会への届出が義務づけられるなど、この法律による規制がかかります。
3.8 ねずみ講
加入者をねずみ算のように増やしながら、加入金額を上回る金品を後の加入者から受け取る組織は俗に
ねずみ講と呼ばれ、法律で禁止されています。
ねずみ講は自ら開設、運営、勧誘した場合に限らず、単に参加しただけの場合でも法律によって罰せられ
ますのでご注意ください。
外国のねずみ講だから日本の法律に触れないといって勧誘するケースもあるようですが、日本国内で行
う場合には日本の法律の適用がありますので、注意しましょう。
3.9 未承認医薬品等の販売、広告
厚生省から承認されていない医薬品等については、販売することはもちろん、その名称や効能、効果等に
関する広告をすることも法律で禁止されています。たとえ個人輸入を代行する場合であっても、この法律に
触れる可能性がありますので注意しましょう。
3.10 通信販売
インターネットを利用して通信販売をするときは、訪問販売等に関する法律が関係してきます。対象とな
るのは、全ての商品、サービスではなく政令で定められたものに限られますが、パソコン等、主要なものは
ほとんどその対象とされています。
この法律はいわゆる業者が行う通信販売を対象としていますが、個人が行う通信販売であっても反復継
続して行われるなど、業者による通信販売と同一視できる場合は適用される可能性がありますので注意が
必要です。
また、この法律では、広告に表示すべき事項や誇大広告等の禁止及び一定の場合において注文に対して承
諾を書面で発すべきであることが定められていますが、98 年 5 月に、トラブルの多発から販売業者の電話
番号、代表者または責任者の氏名(法人の場合)が表示すべき事項として追加されています。
買う立場に立ったときは、これらの事項が表示されているか注意しましょう。
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3.11 個人情報の保護
他人の個人情報をホームページなどで収集したり利用したりするときには、どの情報を何のために収集・
利用するのかを事前に説明して本人の承諾を得ることが大切です。それが未成年者の個人情報であれば、保
護者の承諾もとらなければなりません。
詳しくは本協議会が平成 6 年 2 月 10 日公表し、平成 9 年 12 月 3 日改定した「電子ネットワーク運営に
おける個人情報保護に関するガイドライン」を参考にしてください。
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各論
4 電子メール
電子メールは封のできない手紙に似ています。葉書より沢山書けて、ちょっとした電子ファイルを添えて
送ることができますが、セキュリティはそれほど高くありません。たくさんのネットワークを経由して届け
られることから、配達の途中で紛失したり覗かれたりする危険もあります。
4.1 通信の注意★
すぐに配達される電子メールは会話のように気軽に楽しむことができますが、顔の表情や声の調子が一
緒に伝わる会話と違って文字だけによる通信ですから、メッセージがどのように相手に受け取られるかには
十分に注意しなくてはなりません。原則的には書面による通信と同じく慎重な心遣いを大切にするべきで
しょう。言葉をよく選び、誤解や失礼のないように気を配ってこそ、電子メールの恩恵をより多く享受する
ことができるのです。
また、相手に対して常に寛容であるよう心がけ、人を不愉快にさせるような話や言葉遣いは慎みましょう。
4.2 電子メールのチェック☆
電子メールが届いているかどうか定期的に確認する習慣を持ちましょう。メールボックス内にあるメー
ルの容量がインターネット・プロバイダ等の管理者から割り当てられたメールボックスの容量を超えると、
メールボックスがあふれて電子メールが受け取れなくなってしまいます。不必要な電子メールはメールボッ
クスから削除し、容量を超えないように注意しましょう。また、保管日数の制限があるインターネット・プ
ロバイダもあります。メールボックスの容量や保管日数の点から、定期的に確認しましょう。
4.3 通信相手を選ぶ☆
電子メールだからといって、知らない人に親しく話しかけることが許されるわけではありません。誰かの
電子メールのアドレスを入手しても、それが直接に連絡をとるべき相手かどうかは慎重に判断するように
心がけましょう。
4.4 電子メールの文章の書き方☆
インターネットでやり取りする文章は、読みやすさに配慮してまとめましょう。コンピュータの表示は、
字と字の詰め方、行間の取り方が自由にならないことから、書面にくらべて読みづらくなる傾向がありま
す。段落ごとに一行空けたり、きりのよいところで改行したりするなどして、読みやすくする工夫をした方
がよいでしょう。
第 2 章 情報倫理
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本文は、短く簡潔であるよう心がけ、要点を一つに絞って書きましょう。また、引用は必要最小限にとど
めて、文章が長くならないように気をつけましょう。メールソフトの設定によっては、返信時に受信した文
章が自動的に引用されてしまうので注意が必要です。
初めて電子メールを送る相手の場合には、まず自己紹介から始めるのがよいでしょう。
また、親しい友だちや仕事仲間と話すときに使っている流行言葉や業界用語が、そのまま他の人への電子
メールで通用するとは限りません。あまり多用しないよう心がけ、使うときには簡単に説明を付け加えてお
く方がよいでしょう。
電子メールの末尾には発信者の名前と連絡先を簡潔に書き添えましょう。これをインターネットの世界で
は署名(シグネチュア)といいます。電子メールの署名に住所や電話番号などを含めるときには、必要以上
に自分の個人情報を開示していないか十分に注意しましょう。
受信した電子メールに返事を出すときには、関連する他のメッセージが同じ人から送られてきていないか
どうかを確かめて、最新のものに目を通してから返事をしましょう。また、自分に送られてきた電子メール
が、確認のためのカーボンコピー(cc:)にすぎないこともあります。その場合、あなたは読むだけで、必
ずしも返事を求められている訳ではないことに注意しましょう。
4.5 題名(タイトル、サブジェクト)のつけ方☆
電子メールの題名(タイトル、サブジェクト)は、その内容が一目でわかるような簡潔なものにするよう
心がけましょう。メールの内容が長文であるような場合には、そのことを断っておく方が親切です。また、
海外に向けた送信では、日本語が適さない場合もありますので、気をつけましょう。
4.6 使用する文字やメール形式の注意☆
インターネットには多種多様なコンピュータが接続されており、文字コードの割り当て方にも色々な種類
があります。ローマ数字を1字にデザインした文字や、マルつき数字(輪のなかにアラビア数字が配置さ
れている文字)など、よく見かける記号のなかにも機種によって互換性がないものがあります。もちろん、
自分で作字した文字が相手のコンピュータで表示されないことはいうまでもありません。これらの記号や
文字はインターネット上では使用しないよう心がけましょう。
また、いわゆる半角のカタカナは、UNIX 系の機種では表示されないだけでなく、インターネット上の他
のコンピュータを誤作動させる可能性があるので、使用してはいけません。
メールソフトの中には HTML 形式の電子メールを送る機能を持つものがありますが、相手が HTML 形
式の電子メールに対応しているとは限りません。HTML 形式の電子メールを送る前に、相手によく確認す
るようにしましょう。
★使って安心な記号
同一機種の間でのデータのやりとりでは問題がなくても、他機種の利用者にも読んでもらいたい場合は、
下記以外の記号類の使用は控えた方がよいでしょう。また、同一機種どうしであっても、間に入るホストに
よっては、正常に送受信できないこともあるので、注意が必要です。
、。,
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!゛
゜´
`
¨^ ̄_ヽヾゝゞ〃仝々〆〇ー―‐/\∼‖
|…‥
‘’
“”
()〔〕[]{}〈〉《》「」『』【】+−±×÷=≠<>≦≧∞∴
♂♀ °′″℃¥$¢£%#&*@§☆★○●◎◇◆□■△▲▽▼※〒→←↑↓〓
(ただし○より一回り大きい「合成用丸【⃝】227E(81FC)」は旧JISでは見えない)
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4.7 宛先を確認する☆
電子メールのアドレスは1文字違っても届きません。宛先のメールアドレスを確認してから送信ボタン
を押す習慣をつけましょう。
電子メールに返事を出す場合、ほとんどのメールソフトはボタン一つで宛先が入力される仕組みになっ
ています。このとき、カーボンコピー(cc:)に注意して、返事をする必要がない人に返事が届くことのな
いようにしましょう。
カーボンコピー(cc:)の送信先は、宛先(to:)に届いた電子メールに表示されるので注意が必要です。
宛先に知らせることが適当でない場合は、ブラインド・カーボンコピー(bcc:)を利用しましょう。
4.8 ファイルを添付する☆
自分が送信しようとしている電子メールの容量に注意を払いましょう。容量の大きなメッセージや添付
ファイルは、宛先のコンピュータシステムや途中経由するインターネットサーバの故障を誘発する可能性が
あります。送信しようとしているメッセージや添付ファイルの容量が大きいと思うときは、相手先に確認し
てから送信しましょう。
また、ファイルの添付方式はメールソフトに依存するので、自身や相手のメールソフトやその設定を事前
に確認しておくとよいでしょう。
4.9 チェーンメールに注意する☆
「不幸の手紙」のように、はっきりと相手を特定しないで伝言を求める電子メールを「チェーンメール」
と呼びます。チェーンメールはネットワークに負担を強いることから、たとえそれが親切のつもりであって
もしてはいけません。
「あなたは○日以内に×人の友人にこの内容を伝えてください」というような依頼は、たとえあなたと親
しい人から届いた電子メールであってもこれに応じてはいけません。
4.10 セキュリティに気をつける★
電子メールは、ネットワーク上のいくつものコンピュータを経由して相手に届きます。封をしない手紙と
同様に、クレジットカードの番号やパスワードなど他人に知られてはいけない情報はもちろん、秘密にして
おきたいことは書かないようにするのが賢明でしょう。簡単に見られては困る場合には、通信文を暗号化す
るなどの自衛手段をとるべきです。
4.11 虚偽の情報に注意する★
電子メールで他人になりすましたり、他人の電子メールの内容を改ざんして転送してはいけません。
また、まちがった噂話を広めることのないよう、情報の信頼性をよく確認してから伝えるようにしましょう。
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第 2 章 情報倫理
4.12 返事が遅くても怒らない☆
あなたが送信した電子メールに対して、すぐに返事がこないからといっていらいらしてはいけません。相
手に事情があって、返事をするのが遅れているのかもしれません。いくつものネットワークを経由するイン
ターネットでは、配達の途中で事故があって電子メールが相手に届いていないこともあります。
重要な内容の電子メールを受け取ったらすぐに、受け取ったことを知らせる電子メールを返信しておくと
よいでしょう。きっと相手は電子メールが無事に届いたかどうか心配しているはずです。
4.13 不愉快な電子メールへの対処★
不愉快な内容の電子メールを受け取ったら、相手にしないようにしましょう。また、挑発的な言葉を投げ
かけられても応じてはいけません。常に冷静に対応するように心がけましょう。
4.14 受信した電子メールを公開しない☆
電子メールの内容を他の場所に転載したりすると著作権の侵害にあたる場合もあります。また、あなた以
外の人に知られることによって本人の名誉が傷ついたり、プライバシーに関する情報が漏れて迷惑をかける
かもしれません。
受け取った電子メールを転送したり転載したりする場合には、本人に連絡して承諾を得るのが良いでしょ
う。私信である電子メールをホームページなどの公開された場所に掲載するときは、ことさら慎重に取り扱
うべきです。
4.15 ダイレクトメールに関して☆
電子メールで商品の宣伝などを行うことは、相手に不快感を与えます。また、読む人に接続料金の負担を
強いることにもなります。さらには、あまりに大規模なものはコンピュータシステムに多大な負荷を与える
ことにもなりかねません。したがって、このようなことは、他者への配慮の観点から慎むべきです。
5 電子掲示板・ニュースグループ・メーリングリスト
電子掲示板、ニュースグループ、メーリングリストは、同じ問題意識を共有する多数の人と意見を交換す
る場所です。自分勝手な振舞いは他人に迷惑をかけるだけでなく、運営を支えている多くの人の努力を無に
することになります。参加者も、運営者と一緒に場を盛り上げていくように心がけましょう。
インターネット上で行われるリアルタイムの会話(チャット)でも、ここで紹介するルールやマナーに気
をつけて、相手に対する思いやりを忘れないようにしましょう。
5.1 利用の注意☆
電子掲示板・ニュースグループ・メーリングリストなどでは、多くの人があなたの発言を目にするので、
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注意深く言葉を選ぶことが必要となります。一般社会で許されないようなことは、インターネット上でも許
されないことを理解する必要があります。
5.2 はじめての参加にあたって☆
多くの人が参加する電子掲示板・ニュースグループ・メーリングリストには、一般的にそれぞれ管理者が
いて、何らかの運営方針に基づいて交流が行われています。参加にあたっては運営方針を尊重し、その場の
雰囲気をこわさないように注意しましょう。
参加にあたっての質問のために、通常は運営管理のためのアドレスが別に用意されています。
メーリングリストへの参加を受け付けたことを通知する電子メールには、問い合わせのためのメールア
ドレスが記載されていますので、なくさないように注意しましょう。
5.3 題名(タイトル、サブジェクト)のつけ方☆
電子掲示板やメーリングリストに投稿するとき、題名(タイトル、サブジェクト)は、内容が一目でわか
るような簡潔なものにするよう心がけましょう。長文の場合には、そのことを断っておく方が親切です。
また、海外に向けての送信やメーリングリストの場合は、日本語の使用が適さない場合もありますので、
気をつけましょう。メーリングリストによっては、日本語で題名が表示できないものがあることも知ってお
きましょう。
5.4 発言には責任を持つ☆
不確実な情報を事実のように語ったり、話したことが間違っていても訂正せずそのままにしたりすると、
人に迷惑をかけたり、あなたが信用されなくなったりします。誠意と責任をもって発言しましょう。
5.5 初心者の失敗には寛容に☆
インターネットの経験が豊かな人は、初心者に対して尊大な態度をとったり、何かを押し付けたりしない
で、広い心と思いやりをもってアドバイスしてあげましょう。初心者の冒したミスには寛容になりましょう。
5.6 アドバイスは謙虚に聞く★
初心者は、アドバイスを与えてくれる人の声に謙虚に耳を傾けることが大切です。
5.7 相手の発言をよく読む★
電子掲示板・ニュースグループ・メーリングリストなどで発言するときは、過去の発言をよく読んで、話
の流れや雰囲気を壊さないよう配慮しましょう。ほかの人の発言に対するコメントのしかたは、運営方針や
FAQ(よくある質問)で説明されている場合が多いので、よく目を通しておきましょう。
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第 2 章 情報倫理
5.8 他の発言にコメントするときの注意☆
他人の発言にコメントするときは、コメントの対象となる発言を引用したりして、対応を明確にするよう
に心がけましょう。
他人の発言の引用は、必要最小限にとどめるよう心がけましょう。
5.9 メーリングリストでの返信☆
メーリングリストのアドレスに返信すると、登録メンバ全員にメールが届けられることになるので、メー
リングリストで受け取った電子メールに返信するときは、宛先に注意しましょう。
5.10 質問をする時の注意☆
メーリングリスト、ニュースグループや電子掲示板では、ベテランの利用者が初心者の質問に親切に答
えてくれることが珍しくありませんが、質問は答えてくれる相手に負担を強いるものであることを忘れず、
安易に質問を投げかけるのは慎まなくてはなりません。
自己紹介をして、これまでの自分の努力と限界を簡単に説明した上で、ポイントを絞ってアドバイスを求
めましょう。
もちろん、誤字脱字があっては失礼ですし、返事がもらえるまでには時間がかかることも覚悟しましょ
う。相手にも事情がありますから、必ず返事があるとは限りません。アドバイスをもらったら丁寧にお礼を
述べ、自分と同じ問題で悩んでいる人をインターネットで見かけたら、もらったアドバイスを惜しみなく提
供しましょう。
5.11 多様性を認める☆
世界中の人が接続しているインターネットでは、多様な価値観を受け入れるだけの心の余裕を持ち、否定
したり拒絶したりするまえに、相手のことを理解しようと思うことが大切です。偏見にもとづく用語の使用
や発言をすべきでないことは、言うまでもありません。
5.12 一方通行の書き込みはしない☆
メーリングリスト、ニュースグループや電子掲示板では、一方的な書き込みはしないように心がけましょう。
広告を書き込みたい場合は、運営方針で広告の書き込みが許可されているかどうか、よく確かめてからに
しましょう。
5.13 マルチポストをしない☆
電子掲示板・ニュースグループ・メーリングリストなどで発言するときには、読者が同じメッセージを
何度も読むことにならないように気をつけましょう。複数の場所に同じ発言をするマルチポストをすると、
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その後のフォローが行き届かなくなり、とかく発言に対して無責任になりがちです。また、たくさんの人が
同じメッセージを何度も読むことにもなり、迷惑する人がでてきます。
5.14 議論が沸騰している時ほど冷静に☆
議論が沸騰しても、すぐに発言するのではなく、冷静になって文章を読み返すくらいの余裕を持ちましょ
う。興奮すると言葉尻をとらえての応酬になりがちで、他の参加者の迷惑になります。
5.15 誹謗・中傷しない☆
他人の発言に反論する場合には、相手の気持ちを傷つけないように注意してください。いやみをいった
り、相手を罵ったりしてはいけません。相手の人格を否定するような過激な書き方は、決してしないでくだ
さい。あまり度が過ぎると、法的な責任を問われる深刻な事態になることがあります。【参考:3.5 他人
の社会的評価にかかわる問題】
5.16 個人情報に注意する★
自分や家族の住所、氏名、電話番号などはもちろん、家族の写真などを安易に公開するのは危険です。犯
罪から身を守るため、個人情報の開示には十分に注意しましょう。【参考:3.11 個人情報の保護】
5.17 他人のプライバシーに配慮する☆
他人の住所、氏名、電話番号などはもちろん、他人の私生活上の事実や秘密、写真や似顔絵などを本人の
許諾なく公開してはいけません。その人に嫌悪、羞恥、不快感など精神的苦痛を与え、プライバシーや肖像
権の侵害となる他、場合によっては名誉または信用の毀損となります。【参考:3.3 肖像権の侵害、3.4 プライバシーの侵害,3.5 他人の社会的評価にかかわる問題】
5.18 わいせつな画像や文章を載せない☆
わいせつな画像や文章は公開してはいけません。また、わいせつな写真を投稿したり、掲示板にはりつけ
たりする行為もしてはいけません。【参考:3.6 わいせつな文書や画像の発信】
5.19 運営管理に協力する☆
運営管理には協力するように心がけましょう。一部の人の発言で管理者や参加者全体を非難することがな
いように気をつけましょう。
5.20 メーリングリストの購読中止☆
第 2 章 情報倫理
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長い間インターネットに接続しないときは、メールボックスの容量を超えないように、メーリングリスト
の購読をやめるか中断の手続きをとりましょう。メーリングリストの管理者への連絡のためには、専用の
メールアドレスが用意されているものです。連絡用のメールアドレスは申し込みを受け付けたことを通知す
る電子メールに書いてあるので、なくさないようにしましょう
6 ホームページ
誰でも放送局のように広い範囲の人々に向かって情報を発信できるホームページは、インターネットの大
きな魅力の一つとなっています。しかし、誰でも簡単に情報を発信できるということは、発信される情報の
質が、必ずしも放送局と同じようにはならないということでもあります。
6.1 内容の信頼性★
ホームページを閲覧する人は、情報が正確なものであるか、最新のものであるかについて、自分の責任で
確認することが求められています。以下のような点を目安にして、総合的に判断してください。
• 発信者の連絡先は明記されているか。
• 引用の出所や情報の確認先が明示されているか。
• ホームページの更新日は表示されているか。
• 長い間運営されてきたホームページかどうか。
• 他のメディアで情報の裏づけができるか。
6.2 有料か無料かの確認★
ホームページ上の情報が無料なのか有料なのか、よく確かめてから利用するように心がけましょう。ホー
ムページによっては、専用ソフトからダイヤル Q2 を利用して接続させるものもあり、不意に高額の情報料
を請求される場合もありますから注意しましょう。
6.3 有害なホームページ★
ホームページには暴力的な描写やわいせつな画像を含むものが存在します。こうした情報が表示されて
は困る場合には、未成年に有害とされる情報を自動的に表示しないようにするソフトウェア(フィルタリン
グ・ソフト)や、未成年を対象に検索範囲を限定した情報検索サービスの利用が考えられます。
6.4 ホームページ閲覧における法律上の注意★
インターネット上でも、賭博は違法です。たとえ海外のホームページであっても、それを利用してカジノ
に参加したり海外の宝くじを購入したりすると、日本の法律で罰せられる可能性があります。
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また、インターネット上でねずみ講の加入者を募集しているホームページがあります。ねずみ講は、運営
することも、参加することも、法律で禁止されています。言葉巧みな勧誘にうっかり乗らないように注意し
ましょう。【参考:3.8 ねずみ講】
6.5 作成したホームページの内容に責任を持つ☆
ホームページに掲載する内容には責任を持ちましょう。誰に何を伝えたいのか意図を明確にして、あなた
自身のオリジナルなホームページにするよう心がけましょう。
6.6 ホームページの更新日を表示する☆
ホームページを更新するときは更新日付を表示すると親切です。更新日時を明らかにすると、情報の新旧
が比較でき情報価値を高められます。
6.7 作成者の連絡先★
ホームページに連絡先を書くときには、連絡の手段に電子メールを選ぶのがよいでしょう。自宅の住所や
電話番号など、あまり詳細な個人情報を連絡先として掲載すると悪用される危険がありますから、避けた
ほうが安心です。
6.8 ホームページ上の電子掲示板★☆
ホームページ上の掲示板についての注意事項は「5. 電子掲示板・メーリングリスト・ニュースグループ」
を参考にしてください。
6.9 著作権を侵害しない☆
文章や写真、音楽、ソフトウェアなどの著作物には著作権があります。他人のホームページや電子掲示板
や雑誌に載っている著作物を、無断で使用してホームページを作成する等、著作権を侵害しないようにしま
しょう。【参考:3.1 著作権の侵害】
6.10 誹謗・中傷しない☆
ホームページ上で人を批判するときには、相手の人格を否定するような過激な書き方をしてはいけませ
ん。あまり度が過ぎると、法的な責任を問われる深刻な事態になることがあります。【参考:3.5 他人の
社会的評価にかかわる問題】
6.11 個人情報に注意する★
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第 2 章 情報倫理
自分や家族の住所、氏名、電話番号などはもちろん、家族の写真などを安易に公開するのは危険です。犯
罪から身を守るため、ホームページでの個人情報の開示には十分に注意しましょう。【参考:3.11 個人情
報の保護】
6.12 他人のプライバシーに配慮する☆
他人の住所、氏名、電話番号などはもちろん、他人の私生活上の事実や秘密、写真や似顔絵などを本人の
許諾なくホームページで公開してはいけません。その人に嫌悪、羞恥、不快感など精神的苦痛を与え、プラ
イバシーや肖像権の侵害となる他、場合によっては名誉または信用の毀損となります。【参考:3.3 肖像
権の侵害、3.4 プライバシーの侵害、3.5 他人の社会的評価にかかわる問題】
6.13 わいせつな画像や文章を載せない☆
ホームページでわいせつな画像や文章を公開しないようにしましょう。【参考:3.6 わいせつな文書や
画像の発信】
6.14 ホームページの表示☆
ホームページの見え方は閲覧する人のコンピュータやブラウザの種類やバージョン、設定によって違って
しまいます。たとえ同じ種類のコンピュータやブラウザを使用していても、その設定まで同じであるとは限
りません。
ホームページを作るときにはあまり機能を欲張らず、できるだけ汎用性の高いものを選択する方がより
多くの人に閲覧してもらえます。
6.15 ファイルサイズの表示☆
動画や音声などサイズの大きいデータを配布する(ダウンロードさせる)場合は、前もってそのデータの
サイズを表示しておきましょう。
6.16 リンクの取り扱い☆
他のホームページにリンクをはるときは、それが他人のホームページであることがはっきりわかるよう
にしなければなりません。また、リンク先が人種差別や偏見にもとづくものであったり、わいせつ、ねずみ
講勧誘など違法なページであったりしないか、よく内容を確かめてからリンクしましょう。リンク先のホー
ムページにリンクの可否に関する記述があれば、それを尊重しなければなりません。
他人のページにリンクをはりたい場合、また逆にリンクをはってもらいたい場合には、こちらの URL、
責任者の名前、リンク開始日などを相手に知らせるようにしましょう。
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7 オンライン・ショッピング
コンピュータ画面で親しげに微笑みかけているショップがほんとうに親切なお店であるとは限りません。
心のおもむくままに世界のお店に直接アクセスできるインターネット・ショッピングは魅力的なものですが、
お店の信用を自分で確かめなければならないことも忘れないでください。
インターネット上にオンライン・ショップを開くときには、取り扱う商品や取り引きの手続きが法律など
に違反していないかどうか、よく調べることが大切です。
7.1 オンライン・ショップの注意★
安心できるショップを選ぶために、まず、ショップの住所や電話番号などが明示されているかどうかを確
認しましょう。連絡先のはっきりしないショップは相手にしないのが賢明です。
返品や交換も含め、販売条件はしっかりと確認しましょう。販売条件の確認は、購入の前に、電子メール
を利用して行うのがよいでしょう。販売条件の記述が曖昧なショップや、明確な返事が得られなかった場合
には、利用を止めるべきです。
どの商品を、どのような条件で注文したのか、注文内容が後で確かめられるように、注文画面を保存して
おくと良いでしょう。振込みの場合は、注文票の写しや領収書はきちんと整理して保管しておく習慣をつけ
ましょう。注文内容を電子メールで確認してくるショップがあります。面倒でも内容によく目を通して確認
しましょう。
商品が届いたときにはすぐに注文通りかどうか確認して、支払いの記録である振込票や領収書等を保管
しておくとトラブルがあったときに役立ちます。
*オンライン・ショップを開設する人は、販売の形態や取り扱う商品によって法律の規制を受けることが
あるので注意しましょう。たとえば、取引条件の表示については訪問販売法が関係し、医薬品等を取り扱う
ときには薬事法が関係します。また、リサイクルを有料で行う場合は、古物営業法も関係してくるので注意
が必要です。【参考:3.9 未承認医薬品等の販売、広告、3.10 訪問販売】
7.2 トラブルの相談窓口★
オンラインショッピングのトラブルについては、以下のような相談窓口があります。ショッピングモール
に出店しているショップとトラブルになった場合には、ショッピングモールの運営者に相談するのも一つの
方法です。相談に際しては、トラブルの経緯がきちんと説明できるよう準備しておきましょう。
• 社団法人日本通信販売協会(通販 110 番)
• 国民生活センター(電話 03-3443-6211 または、手紙のみ受付)
• 地方自治体の消費者生活センター(国民生活センターのホームページより)
第 2 章 情報倫理
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用語解説
【bcc(ブラインド・カーボン・コピー)】
電子メールにおいて、通信相手に知らせずに第 3 者に同じ電子メールを送りたいときに使う機能をいう。
“ bcc ”は、
“ blind carbon copy ”の頭文字。電子メールを複数のユーザに送信する際“ to ”または“ cc ”
(carbon copy)を用いるとメッセージのヘッダーにすべての受信者のアドレスが明記されるが、
“ bcc ”に
指定したアドレスに送られたことは、
“ to ”や“ cc ”で指定した通信相手には知られない。
【cc(カーボン・コピー)】
電子メールにおいて、通信相手と第 3 者に同じ電子メールを送るときに使う機能をいう。
“ cc ”は、
“ carbon
copy ”の頭文字。
“ cc ”に指定した第 3 者のアドレスは、
“ to ”で指定した通信相手に知られる。
【Cookie(クッキー)】
ホームページからそのページの閲覧者のブラウザに送られる電子ファイル。受け取ったクッキーは閲覧者
のパソコンに保存され、次にそのページを閲覧すると、ホームページに自動的に送られる。この電子ファイ
ルに閲覧者の情報(ユーザ ID やパスワード等)をもたせることによって、閲覧者が入力しなくとも、ホー
ムページは閲覧者の情報を把握することができる。検索サイト等でサービスが始まっている、閲覧者に応じ
た(パーソナライズされた)ホームページを作成することを可能にする。
【FAQ(よくある質問)】
同じ質問に繰り返し答える煩雑さを避けるため、よくある質問をあらかじめ用意したもの。
【HTML】
インターネットのホームページを記述するためのコンピュータ言語。これによってインターネット上の文
書の体裁やページの見た目等をある程度整えることができる。
【HTML 形式の電子メール】
HTML を使って文書の体裁を整えた電子メール。相手のメールソフトが HTML 形式の電子メールに対
応していない場合、正確に表示できないことがある。
【MIDI(Musical Instruments Digital Interface)】
音楽のリズムや音程などの情報を、電子楽器やコンピューターの間で交換して、音楽を再生するために用
いる規格の一つ。
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【MP3(MPEG-1 Audio Layer3)】
MPEG は動画圧縮技術の国際標準規格の 1 つであり、その中の Audio を規定したパートに含まれる音声
圧縮のための規格が MP3 である。CD クオリティを実現しても 1/10 から 1/12 という高い圧縮率を得るこ
とができる。再生した音声の品質が高いことから、音楽著作権の保護が問題になっている。
【アップロード】
電子ファイルをネットワークに接続するサーバに移動すること。ダウンロードの反意語。
【インターネット・プロバイダ】
インターネット上の通信を相互に中継する機能を提供することをサービスの内容とする企業や団体。
【署名】
電子メールの内容が本人の意思であることを認めるために、自分の名前やニックネームなどを本文の末
尾に付け加えること。または付け加えた名前やニックネームそのものをいう。
【ダウンロード】
ネットワークに接続したサーバから、自分のコンピュータに電子ファイルを移動すること。アップロード
の反意語。
【ファイルの添付方式】
テキスト形式以外のファイルを電子メールで送るための電子ファイルの変換形式。メールソフトが同じ添
付方式を取り扱えないと正しく復元されない。
【フィルタリング・ソフト】
インタ−ネットを利用する際に、受信者が選択的に情報を受信できるようにするためのソフトウェア。本
協議会では、現在フィルタリング・ソフトを無料で提供している。詳しくは、本協議会の「レイティング/
フィルタリング情報ページ」参照。
【ホームページ】
文字や画像などを HTML 言語で記述し、表示するインターネット上の仕組み。
【メールボックス】
電子メールを一時保管する場所。インターネット・プロバイダなどのサーバ上にあり、容量はインター
ネット・プロバイダなどの管理者によって決められている。利用者はこのサーバ上のメールボックスから
メールをダウンロードして読むことになる。
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第 2 章 情報倫理
【文字コード】
アルファベットや数字、記号、かな漢字をコンピュータが処理できるように表現したもの。
出典 : 財団法人インターネット協会