健育会グループ 研究事例 平成9年4月度 第1回合同事例研究会 「介護日誌から介護記録へ」 竹川病院 2F病棟 研究チーム 1.はじめに 看護が健康管理を含むトータルな援助、 そして介護が自立を目指す、 または自立を補うための生活援助と、 お 互いがそれぞれの専門性を発揮し共に働くなかで、 だれがその役割を担うのがよいかを見極めていくことでよ りよい連携ができます。看護職員と介護職員は、看護婦と看護助手のような上下の関係ではなくて、 あくまでも 対等な関係として位置付けられてこそ患者中心に機能していきます。人間は自らの意志で行動する時に最も 意欲が高くなります。指示や命令で動くよりも自分の発想と工夫ができる状態にあることが、介護職員の意欲 と動機を高めて、 責任をもった状態で業務を遂行できる源となるはずです 勘や経験に頼ったケアは、受ける側としては不安です。提供する側としても、他のスタッフが実施しているケア 内容を知らされていることが必要と思わない限り、 統一したケアは、 できません。今年に入り、 介護日誌を使用し 申し送りを開始しました。 そして、 より以上の改善を目指して10月から、介護記録を使用するようになりケアの質 の向上につながったと思われるのでここに発表させていただきます。 OHP1 お願いします。 以前使用していた介護日誌です (イ) 日誌では患者の状態の変化、食欲のなかった患者転倒に注意する患者、水分摂取の少なかった患者、 熱のある患者、 排便のなかった患者、 バルーンカテの入っている患者、 排尿の少なかった患者、 点滴の入って いる患者、 特記事項、 その他の項目を、 日勤のリーダーが (夜勤は赤) で記入しました。 (ロ) 申し送りの形式も、開始時より朝の申し送りはナースはステーションで、 ケアワーカーはデイールームで行 い、 夕方の申し送りは、 ナースとケアワーカーが共にステーションで行うようにしました。 OHP2 お願いします。 この介護日誌を導入することによってケアワーカーがはじめて独自の日誌を書くようになりました。 1)観察力が養われてきた。 2)責任感が高まってきた。 3)情報共有化ができた。 4) 申し送りも独自で行ないベッドサイドに早く行けるようになった。 などの成果がありました。 健育会グループ 研究事例 平成9年4月度 第1回合同事例研究会 OHP3 お願いします。 しかし、 新たな課題として 1)長期休暇後の勤務時、 個々の患者の把握が困難 2)転倒に注意する患者、 バルーンカテ留置患者、点滴を施行している患者等の項目は、 同一患者名の記載 が毎日必要 又、 挿入時、 抜去時の理由がわからない。 3)形式が決まっているため記載内容がマンネリ化し発展性が乏しい などがあがり、 ケアワーカーの中から介護記録にしてはどうかという声があがった。 9月より週1回のカンファレン スをもち、 記録について討議していった。 OHPお願いします。 2. 方法 (1) 記録用紙は、 看護記録用紙と同様の書式に介を明記して使用 (2) 介護福祉課出身のケアワーカーを主体に書き方を指導した。 (3) 申し送り事項 入院患者のADL状況はその日のリーダーが記入する。 (4) ディールームにケアワーカー専用のホワイトボードを設置し、 目標、 特記事項を記入する。 OHP4 お願いします。 3. 結果 (1) ナースから、 細かい情報まで収集できるようになったので大変役立つと喜ばれた。 (2) 個々の患者の経過を把握しやすくなり個別性を尊重したケアーができるようになった。又、疑問に思った 事が、 すぐきける様になった。 (3) ケアワーカーの意識が高まり週間目標、 月間目標を表示するようになった。 (4) ケアワーカー全員に書く習慣が身についた。 この約3ケ月間でADLの向上がみられた症例を2例とりあげました。 OHP5 お願いします。 (症例 1) Y.Y氏 84才 女性 病名−脳挫傷、 痴呆、 脳梗塞 ADL状況を入院時と3ケ月後で比較してみました。 健育会グループ 研究事例 平成9年4月度 第1回合同事例研究会 0−自立 1−わずかな介助 2−中等度以上の介助 3−全介助 と 数字で表示 食事、 排せつ、 移乗、 整容、 の改善がみられました。 OHP6 お願いします。 (症例 2) R.O氏 75才 女性 病名−脳出血後遺症、 胃癌術後 オムツは、 はずれ入浴のみわずかな介助レベルまで改善しました。 今月、 退院予定です。 個々の目標をきめ、 それに向けて、 取り組みました。 OHP7 お願いします。 今後の課題として ※手のかからない患者さんの記録がなかなか書けない。 ADLの自立度の高い患者さんについても、 よりQOLの質を高めるためには何をしてさしあげられるか、 患者さんの ニーズをもっと把握できるよう努力していきたい。 ※書き方が統一されていないので、 介護用語を勉強していき簡潔明瞭に書けるようにしていきたい。 ※記録時間が集中してしまい、 一人が記入していると他の人が記入しずらいので、 記録を部屋別に分けてみる。 4. 考察 まだはじめて期間が短く、 十分な評価はできませんが「時間がない」 「難しい」 と敬遠されていたが、 やればできる という自信につながってきていることを実感します。 看護婦が既に使用しているカーデックスを共有化し、 看護記録に介と署名し記録する方向で検討しています。 それが実現すれば、 ケアプラン、 バイタルなど個々の患者さんのより深い把握が可能となります。 又、 それに伴い、 受持制についても検討しているところです。 車の車輪と同じように対等なパートナーとして、 看護職員と患者主体のケアを今後もより追及し、 努力していきたい と思います。 ※今後の課題として※ ※手のかからない患者さんの記録がなかなか書けない。 ADLの自立度の高い患者さんについても、 よりQOLの質を高めるためには何をしてさしあげられるか、 患者さんの ニーズをもっと把握できるよう努力していきたい。 ※書き方が統一されていないので、 介護用語を勉強していき簡潔明瞭に書けるようにしていきたい。 ※記録時間が集中してしまい、 一人が記入していると他の人が記入しずらいので、 記録を部屋別に分けてみる。 健育会グループ 研究事例 平成9年4月度 第1回合同事例研究会 199 年 月 日 曜日、 竹川病院、 患者数 名、 空床、 入院患者名、 退院患者名 転出者名、 転入者名、 外出者名、 外泊者名、 日勤者への引継事項、 患者の状態・変化等 食欲のなかった患者、 転倒に注意する患者、 水分摂取の少なかった患者、 熱のある患者 排便のなかった患者、 便失禁のあった患者、 バルンカテーテルの入っている患者 便の少なかった患者、 尿失禁のあった患者、 点滴の入っている患者、 特記事項 その他 介護日誌導入による成果 ・観察力の向上 ・ケアワーカーの責任感 ・ケアワーカー同士の情報の共有化 ・ケアワーカー独自の申し送り 介護日誌の問題点 ・長期休暇後の勤務時、 個々の患者の把握が困難 ・転倒に注意する患者、 バルーンカテ留置患者、点滴を施行している患者等の項目は、 同一患者名の記載が 毎日必要 ・形式が決まっているため、 記載内容がマンネリ化し発展性が乏しい 健育会グループ 研究事例 平成9年4月度 第1回合同事例研究会 介、 号 殿、 月日、 時間、 処置、 観察事項、 サイン (看護記録2号用紙) 、 医療法人 社団健育会 介護記録の利点 ・ より細かい情報の収集が可能 ・個々の患者の経過を把握しやすい ・患者個別のケア目標を表示し、 個別性を尊重したケアが可能 ・ケアワーカー全員に書く習慣が身に付く 症例1 Y.Y. 84歳 女性 脳挫傷、痴呆、脳梗塞 食事 排泄 移乗 移動 整容 入浴 おむつ 入院時 1 3 3 2 2 2 3 3ヶ月 0 2 2 2 1 2 3 0 :自立、 1 :わずかな介助、 2 :中等度以上の介助、 3 :全介助 健育会グループ 研究事例 平成9年4月度 第1回合同事例研究会 症例2 R.O. 75歳 女性 脳出血後遺症、胃癌術後 食事 排泄 移乗 移動 整容 入浴 おむつ 入院時 1 3 2 2 2 3 3 3ヶ月 0 0 0 0 0 1 0 0 :自立、 1 :わずかな介助、 2 :中等度以上の介助、 3 :全介助 ■新たな問題点 ・手のかからない患者の記録がなかなかかけない ・書き方が統一されていない ・記録時間が集中して、 一人が記入していると他の人が記入できない
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