花、写真、音楽と笑顔のある学校に 調布市立第七中学校 教務部 西田

花、写真、音楽と笑顔のある学校に
調布市立第七中学校 教務部
西田 明史(代表)
Ⅰ
心の癒しを求めて、まずは「写真」から
デジタルカメラが普及し、本校でも使い捨てカメラの使用を止め24台のデジカメを購入した。ま
た、職員室内にカラープリンターも導入した。これらの機器が校内の壁面を大きく変えていった。
体育祭。生徒たちの張り切っている姿を数多く撮影する。これまでは、写真屋さんが撮ってくれた
ものをケースに入れ廊下に掲示するだけだった。今回は多くの先生たちが撮影した100枚以上の写
真の中から、生徒たちが若さを爆発させ光り輝いている写真を選び、すぐに印刷して廊下に掲示した。
休み明けに登校した生徒たちは、大喜びで自分の姿を探している。取り組む前には写真へのイタズ
ラを心配した先生も多かった。確かにゼロではなかったが、生徒たちの良心を信じての取り組みであ
った。そして、その期待に十分に応えてくれている。
本校は間もなく創立30周年を迎える。これまでには、学校中が荒れに荒れて生徒指導の困難な時
期があった。現在は落ち着いた学校生活を送っているが、生徒たちは様々なストレスを感じながら毎
日を過ごしていることには違いない。そこで、生徒たちの生活環境を見直し、少しでも潤いのある学
習の場に変えていこうと取り組みを始めた。ねらいは次の通りである。
①落ち着いた雰囲気作り
②集中力の向上
③心のやすらぎ
④愛校心の育成
豊かな心の育成、ホッとする場の提供、生徒も教師も、そして保護者も自慢できる学校にしていく
ために、目に見えるところからの改革である。
Ⅱ 次には「音楽・・童謡」を
次に取り組んだのが「音楽」である。多くの学校で取り組んでいる行事に合唱コンクールがある。
コンクール前後には、廊下を歩きながら口ずさんでいる生徒たちの歌声が聞こえる。生徒たちの表情
にも柔らかさが見られる。学級や学年のまとまりもとても高まってくる行事である。まずはこの合唱
コンクールに力を入れていった。上手くはないが職員合唱も毎年発表し、雰囲気を盛り上げている。
次に、授業後の10分間の休み時間にBGMを流すことを考えた。メモリーに録音しておけば、設
定した時刻に再生してくれる自動放送機能付プログラムチャイムの購入を市教育委員会に認めてもら
うところからスタートした。
待ち望んでいた希望の機器が到着。早速、その月のイメージに合う童謡を休み時間毎に流すことに
した。童謡を流すことにしたのは、校長の願いでもあり、ほぼ全員が幼少時に歌ったり聞いたりした
経験があること。優れた日本の文化であり、日本人の心にやさしさや感謝の気持ちを持たせてくれる
こと。教材として取り上げられる機会が少なくなっていることなどからである。
毎月の曲目としては、4月の「春の小川、めだかの学校、花」から始まり、7月の「たなばたさま、
椰子の実、夏は来ぬ」、11月の「村祭、里の秋、かやの木山、中国地方の子守歌」と日本の秋をか
もし出す。3月は「うれしいひなまつり、どこかで春が、春よこい、すみれの花咲くころ」を流し、
卒業・進級のうれしさを感じてもらっている。
BGMを流したからといって、すぐに大きな変化が出てくるわけではない。しかし、本校に長く勤
務している教員からは、生徒たちの表情が穏やかな感じになってきたようだという話を聞く。また、
訪問者からは、「落ち着きますね」「いい取り組みですね」との評価を得ている。
Ⅲ そして、花をいっぱいに
そして花を育てることを始めた。花で校舎を飾ることである。まず、「一人一鉢菊作り」を始めた。
夏休み明けの最初の作業は、全校生徒が名前を書いた鉢に菊の苗を植えることである。福助作りの菊
で背丈は20~30cmであるが、見事な大輪の菊が11月には咲くのである。毎朝、各クラスの当番
が登校すると水やりを行う。下校前にも当番活動がある。約2ヶ月の養生である。初めは関心を寄せ
なかった生徒も、小さなつぼみがつき始めると、毎日のように観察に行き、摘芯や輪台付けなどの作
業を熱心に行うようになる。生物を育てるという体験を通して、やさしさや自然と会話する心が育っ
ているように感じる。秋には、昇降口や廊下などに350鉢の丹精を込めた菊の花が飾られる。
また、季節毎の花を育成し校舎内外に飾ることも始めた。これは技能主事と生徒の美化委員の力が
大いに貢献している。春、正門から入ってくると様々な色のチューリップが迎えてくれる。入学式が
行われる体育館のステージにも沢山飾られ、新入生を迎える。一階廊下の壁にはラティスが取り付け
られており、季節毎の鉢植えの花が飾られている。また、各階には観葉植物の鉢も置いてある。味気
なかった廊下に本物の植物があるだけで、これまでと違う印象を与えてくれている。
この他にも、まだまだ不十分ではあるが、額に入れた名画の複製や教職員が美術展を見学に行った
時に購入してきた絵葉書、また、カレンダーなどの写真や詩などを台紙に貼って廊下に掲示するなど、
いろいろと工夫をして美的な環境を作り出す努力をしている。
Ⅳ 笑顔の生徒たちに
具体的に学習成績が何点向上したなどの効果はわからない。しかし、校舎やガラスの破損などの事
故が少なくなっている。前記したが、生徒たちの表情に落ち着きとおだやかさが見られるようになっ
ていることは間違いない。休み時間に廊下を歩きながらBGMに合わせて童謡を口にする生徒がいる
など心を癒していると思える。また、いたずらを心配した写真や鉢物への悪さもほとんど無い状態が
続いている。特に学校行事を終えた後に写真を飾ると、多くの生徒たちがニコニコ顔で見に来て、思
い出話に盛り上がるなど、笑顔が増えていると実感している。
Ⅴ 本校の変容とこれから
即効性はないが、1日の大半を生活する学校の環境に、ゆとりとおだやかな雰囲気を作り、美しい
学習の場を提供したことで、生徒たちの行動や表情に落ち着きが見られてきた。また、現在、不登校
生がいないということからも、心に安らぎを与え居心地の良い場として感じていると考えている。
学習の環境に全校で、美しさや落ち着き、ゆとりという心で感じる要素を取り入れていくことによ
り、次のような変化が現れている。
①学校全体が明るくきれいになってきた。
②教室や廊下の掲示物を美しく掲示しようとする教師、生徒が増えてきた。
③廊下や教室等の壁や天井などに対するイタズラが激減した。
④生徒たちの表情に苛立ち感が少なくなり、穏やかな対応が多くなった。
⑤自校を大切にする心が育ち、自慢する者が多くなった。
今後は、生徒たち自身による環境美化活動をプログラムし、自然や環境を大切にするやさしく豊か
な心を育み、今以上にお互いを大切にしていく学校にしていくことを考えていきたい。