22 人間にとってクオリティの高い空間を目指す イタリアのまちづくりの

●日本とイタリアの比較
日 本
国土面積
総人口
人口密度(1997年)
GDP(1998年)
1人当たりGDP(1998年)
イタリア共和国
37万7847
30万1268
1億2,669万人(1999年)
337人/
5,737万人(1998年推計)
191人/
3兆7,982億ドル
1兆1,719億ドル
30,046ドル
20,373ドル
人間にとってクオリティの高い空間を目指す
イタリアのまちづくりのストラテジィ
1970年代以降、イタリアの都市でまず始まったのが、旧市街地の再生による
コンパクトで質の高いまちづくりだ。
ヨーロッパの都市は都心部と郊外を結ぶ公共交通機関がそれほど整備されて
いない。だから都市が郊外に拡大していくにしたがって交通問題が大きくなる。
一方で、都心部には見捨てられ老朽化した住宅のストックが残り、半ばスラム
化し、社会的な問題を生み始めていた。
そこで、各都市が市街地の歴史的な街区を保存しつつ、古い建物を住宅とし
て再生することで、郊外に出た人々を都心に呼び戻すという政策をとり始めた。
郊外と都心の関係を再構築したわけ
である。例えばボローニャでは、古
くからあるタウンハウスを公共事業
によって再生し、もともと住んでい
た家庭の再入居とともに、若者から
お年寄りまでさまざまな世代の入居
を促した。そこにはコミュニティの
再生というねらいもあった。
イタリアは歴史的に都市を中心に
発展してきたため、それぞれが強い
個性や歴史の蓄積を持っており、地
方分権も進んでいる。経済が発展し
ても、大都市で消費するというライ
フスタイルではなく、それぞれの都
市空間で生活行動が完結することが
公共事業で再生される庶民地区
多い、という特性もあった。先に述
べた交通事情もあり、一番理想的な生活空間として、人口が10∼30万人くらい
で、環境や歴史、文化が豊かで生活行動も便利な、ちょうどいいスケールの、
コンパクトでクオリティの高いまちづくりが志向されたと考えられる。
さらに80年代に入って「環境」という視点が重視されるようになる。環境の
ストックを再評価し、まちづくりを見直そうという動きで、ここにも「ポスト
工業化」型の地域づくり、都市づくりの戦略があった。
例えばベネチア近郊のトレヴィーゾというまちでは、中世のまち並みが残り、
22