「 絵 手 紙 」

2010 年 12 月号
医学図書館ニュース
No.499
「 絵 手 紙 」
医学部看護学科
中島 洋子
紅葉も終わろうとするこの秋、学生とともに「絵手紙の教室」に参加させて頂きました。
落ち葉や柿などの季節感あふれるものをモチーフに絵を描きます。学生は線描き用の筆に青
墨をつけ、筆をまっすぐに立てて持ち、和紙に線を描き始めました。線の引き方の練習はし
たものの、葉書きにぶっつけ本番に輪郭を描きます。モチーフをよ~く見て、自分が感じた
まま自由に肩の力を抜いて描きます。私は見ているだけでしたが、彼らは描くことだけに集
中しています。絵手紙は「へたでいい、へたがいい」というキャッチフレーズです。ちょう
ど 2 枚目に柿を描く時、どこからカキ始める?と指導の先生から尋ねられ、へたからがよさ
そうですと、大きく描き始めたのも面白いですね。たっぷりとした絵を描くために、下敷用
の紙にはみ出して描きます。一つ一つの線が細かったり震えていたり、人それぞれです。次
に色を付けていきます。紅葉の染まった色の濃淡を付けていきます。和紙に色がにじみ、混
ざり合っていくのも自然に任せて、あるがままです。ここにもその人らしさが表れます。色
が入ると命が宿り、描いた落ち葉も美しさを増して息を吹き返した感じです。このカエデの
種類はコハウチワカエデという葉で、緑の葉が黄色からワインレッドまで、さまざまな色に
染まり楽しませてくれます。
最後に短い言葉を添えます。ここで、はっきりとこの絵手紙を誰に宛てるのか決め、何を
伝えるのか、言葉を選びます。絵と向き合い、自分と相手を通して、自分の中にある言葉を
素直に選びます。短い言葉にするからこそ、素直な気持ちが出てきます。
橙色や赤のカエデの絵に添えて、
「きれいな季節」
「元気?」
「もうすぐ、帰るね。」
「頑張ら
なくて良い。」など、それぞれの思いが綴られていました。出来上がったばかりの絵手紙を眺
めていると、眼がしらが熱くなり涙ぐんでしまいました。宛て主の方の気持ちはいかばかり
でしょう。教室の方々も、送る相手のことを思いながら、1 枚 1 枚手作りの絵手紙を描いて、
お仲間との会話も楽しみながら、とてもステキな時間を過ごされていました。ここでは、中
年の方から 90 歳代の方々まで、どなたも素晴らしいチャレンジをされていて、地域の方々
の生活の 1 コマをご一緒させて頂き、人と自然とのつながりなど味わえるとても豊かな時間
でした。慌ただしい日々の中、こんなひと時が、私にはとても癒しとなり、明日への元気と
勇気を頂きました。
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