希少種保全学習教材 春を告げる里山の武者 サシバ

クイズ③
え もの
サシバはどのように獲物を探す?
A 空中を飛びながら探す。
み は
B 見晴らしの良い場所にとまって探す。
C 地面を歩きまわりながら探す。
B
A
C
Q4
サシバはどのような
か
狩りをする?
10
技
み は
よ
え もの
クイズ③ 正解:B
さが
見晴らしの良い場所にとまり獲物を探します
お気に入りのとまり場がある!?
し せつしゅうへん
ちょう さ
とくてい
か
施設周辺での調査では、サシバが特定のとまり場から、狩りを
く
かえ
かんさつ
ふち
繰り返す様子が観察されています。このサシバは林の縁にある
ふ きん
あぜ
お
ホオノキの枝にとまり、田んぼや付近の畔※に降りては獲物を
とら
こうどう
捕え、また元の同じ枝に戻る行動を繰り返していました。この
かく にん
こう どう
サシバについて確認された狩り行動の 73%は、このホオノキ
を利用していました。
すい ろ
※田んぼや水路の間の土手
N
PL
ホオノキ
ねら
む しゃ
とまり場から獲物を狙う里山の武者
か
さい
サシバは狩りを行う際に、多くは見晴らしの良い場所にとまっ
お
て、カエルなどの地上の獲物を探します。ときには、地上に降
ふたた
りて探すこともありますが、見つからない時は、再び見晴らし
の良い場所にとまり、獲物を探します。
いくさ
木にとまり獲物を探すサシバの様子は、さながら戦の時を待つ
“ 武者 ” のようです。
11
●:サシバのとまりが観察された位置
ひ しょう
-:サシバの飛翔が観察された位置
0
50
100m
2010 年 5 月 15 日のサシバの動き
AK
くさたけ
草丈の低い畦がポイント
おも
施設周辺での調査から、下の円グラフのように、サシバが主に田
んぼの畔で多く獲物を捕らえていることがわかりました。また、
草丈の低い場所を狩り場として好むこともわかってきました。
ち いき
けんきゅう
くさ か
他の地域における研究では、畔などの田んぼの周りの草刈りを行
タカの狩りの方法 なか ま
ほうこく
うと、その場所を狩りに利用するようになることも報告されてい
ます。
こと
タカの仲間は種類によって狩りの方法が異なります。
ぶ
待ち伏せ型
サシバのように見晴らしの良い場所にとまり、獲物を
探します。オオタカ、ノスリやハヤブサなど、多くの
タカの仲間が、待ち伏せ型の狩りを行います。
不明
4%
草地
20%
たんさく
田んぼの中
20%
空中探索型
イヌワシやチュウヒのように、飛びながら獲物を探す
空中探索型の狩りを行うタカの仲間もいます。ノスリ
も空中探索型の狩りをすることがあります。
ついげき
追撃型
ちょう るい
ハヤブサやオオタカは、空中で他の鳥 類 を捕える追撃
型の狩りも行います。
畦
56%
※調査期間は 4 月 21 日~ 7 月 5 日のうちの 15 日間
獲物を捕えた場所(合計 45 回)
(2010 年の調査結果)
Ki
ハヤブサ
Sy
イヌワシ
12
さまざま
や
つ だ
様々な生きものがすむ谷津田
谷津田とは?
たにじょう
や
つ
山間の小さな谷状の地形は谷津と呼ばれてい
ます。谷津田とはそこに作られた田んぼのこ
や と
や
と
だ
とです。谷戸や谷戸田とも呼ばれています。
里山の谷津には、谷の 1 番奥に田んぼに水
を引くための「ため池」があり、田んぼの周
あぜ
しめ
りには畦や土手などの「湿った草地」や、田
すい ろ
んぼに水を出し入れするための「水路」があ
かんきょう
ります。このように、様々な環境がある谷津
田は、様々な生きもののすみかともなってい
ます。
あ
荒れつつある谷津田
せま
けいしゃ
谷津田は「狭い」
、
「傾斜がある」、「水が冷た
へい や
く、稲が育ちにくい」などの理由から、平野
ぶ
のう さ ぎょう
部の広い田んぼと比べると農作業がしづらい
のうぎょう
場所です。そのため、近年では里山で農業を
こうれい か
行う人たちの高齢化にともない、多くの谷津
こうさく
ほう ち
田が耕作されず放置されています。その結果、
里山の谷津田にすむ生きもののすみかが少な
くなっています。
13
13
TC
し せつしゅうへん
施設周辺の谷津田