医療水準を高め 安心して暮らせる地域を創る

公益社団法人 北海道勤労者医療協会 勤医協中央病院
新病院
特集
医療水準を高め
安心して暮らせる地域を創る
◎救急・急性期医療~断らない医療のための救急体制を強化
◎がん医療~高度化・専門化への対応
◎快適な療養環境~患者さんにも看護師にも最善・快適を
●新病院のココがポイント!
●入院室のココが特長!
No.
25
2013.05
新病院
特集
院長
田村 裕昭
医療水準を高め
安心して暮らせる地域を創る
医療の効率性・専門性を
高める体制を整備
1975 年 に 地 域 の 皆 さ ん の 慢 性
疾患を生涯治療するため開院した当院
は、多くの専門医を有する地域の中核
病院として診療科を増やしてきまし
た。しかし、施設や設備の老朽化が進
み、病床面積の拡張や高度医療器機の
導入などに対応する必要が出てきまし
た。また、時代の変化に対応した救急
医療体制の整備も求められました。
時間提供できるよう、
階に
新病院では、救急車で搬入された重
症の患者さんに対して高度な救急救命
医療を
救急センターと検査エリアを集約しま
した。高度化・専門化するがん医療に
おいては、最新の放射線治療を行える
リニアック(高精度放射線治療システ
ム)を新規導入。内科・外科・放射線
科などの医療チームがスクラムを組ん
で集学的な治療を行います。また、患
者さんが気軽に何でも相談できる「が
んサロン」や「患者図書室」を開設し
救急・急性期医療
がん医療
ま し た。 病 床 は 402 床 か ら 450
床に増床。専門医療を集中的に実施す
る各センターが連携し、総合的な治療
を行います。
これからも当院では、無料・低額診
療を提供するセーフティネットの一端
を 担 い な が ら、「 無 差 別 平 等 の 医 療 と
福祉の実現」を目指し、歩み続けます。
専門医療
1
【田村院長 略歴】5 歳から札幌・東区在住。
1981 年に北海道大学医学部を卒業し、勤
医協に入職。以来、内科医として、リウマ
チ・膠原病の治療に携わる。内科全般の第
一線診療に尽力する中、2008 年 5 月に中
央病院院長就任。
新たな施設でさらなる充実を図る 3 つの柱
24
2
新
病 院 概 要
■病床数:450 床(ICU6 床、HCU20 床、ホスピスケア病棟 24 床含む)※個室数 110 床
■建築面積:10,300.87m2 ■延べ建築面積:29,272.67m2
■構造:鉄筋コンクリート造、地上 6 階エレベーター 7 機
■敷地内駐車台数:来院者用 119 台(内車椅子用 8 台) ■駐輪台数:来院者用 80 台
6F
5F
4F
3F
2F
1F
入院フロア
西 呼吸器センター
6○
入院フロア
東 ホスピスケアセンター
6○
リハビリテーション室
入院フロア
入院フロア
西 糖尿病内分泌・腎臓病センター 5○
東 総合診療センター
5○
入院フロア
入院フロア
西 乳腺センター・消化器センター 4○
東 消化器センター
4○
入院フロア
入院フロア
西 回復期リハビリテーション病棟 3○
東 運動器・リウマチセンター
3○
血液浄化センター(透析室)
リハビリテーション室
血液浄化センター 心臓リハビリテーション室
心臓血管カテーテル室 手術センター HCU ICU 多目的ホール
入院フロア
東 心臓血管センター
2○
外来 救急センター 地域連携センター 健診センター 画像診断・検査エリア 放射線治療室
化学療法室 薬剤部 患者図書室 がんサロン コンビニ レストラン ヘアーサロン
快適に過ごせる心地よい空間
多目的ホールみなくる
自然光に満ちた明るい院内
総合ラウンジ
ヒーリングプラザ
診察室前待合
庭に面した
ラウンジ
ヘアーサロンスッキリ 患者図書室こらぼ
移転前に内覧会を開催
カムイの庭
光の庭
ピリカの森
心を癒す庭園
3
4 月 20 日 と 21 日 に 行 わ れ
た新病院の内覧会には、札幌
市内外から、両日合わせて約
3700 人が訪れました。
救急・急性期
医療
断らない医療のための
救急体制を強化
すべての救急搬送を
引き受けるために
当 院 に お け る 2012 年 度 の 救 急
車 搬 送 受 け 入 れ 台 数 は 3200 台 を
超えるまでに増加しました。
新病院では全ての救急搬送を引き受
け る た め、 救 急 車 専 用 入 り 口 を 設 置
し、救急処置室を拡大しています。検
査エリアを隣接させ迅速な診断を可能
にし、内視鏡室では消化器疾患の緊急
室 )、ICU(
止血術を行うことができます。 階の
手 術 室(
床)と新
床 )、 心 臓 血 管 カ テ ー
研修医を加えた医師 人
ら、日本救急学会の専門医や指導医に
かどうかは時間との勝負になることか
にも力を入れていますが、救命できる
シネアンギオ(血管造影)装置を使っ
た狭心症や心筋梗塞のカテーテル治療
最短移動が可能です。
テル室には、救急専用エレベーターで
設 の HCU(
6
ほどでシフトを組み、
めています。
療法を実施する準備を進
療 や t ‐ PA 血 栓 溶 解
中内科医による血管内治
送していましたが、脳卒
また、今まで脳卒中の
患者さんは専門病院へ転
応しています。
時 間 365 日 体 制 で 対
24
ICU
HCU スタッフステーション
CT
シネアンギオ装置
2
7
救急車専用入口
救急専用エレベーター
20
6
畠山 広巳
副院長
救急・検査・手術エリアを集約
内視鏡室
手術室
4
がん医療
高度化・専門化への対応
ホスピスケア
センター
ゆい
がんサロン結
抗がん剤を使用してがん治療を行う化学療法室。
迅速な投薬に対応できるよう、薬剤部に隣接し専
任の看護師を配置しています。
提供しています。
リニアックを使った
がん放射線療法に着手
リニアック
放射線科主任伊藤
最新のがん治療を提供
秀毅
旧病院にはがん放射線療法を行える医療設備が
なく、連携病院に依頼していましたが、病院移転
に併せて最新のがん放射線療法を行えるリニアッ
ク(高精度放射線治療システム)を導入。北海道
月に
年前からの念願が、
大学病院放射線治療科の協力を得ながら、
治療を開始します。
私たちの
やっと叶いました。
8
治療開始に先立ち、北海道大学病院で半年、北
海道がんセンターで カ月、放射線照射技術と放
25
がん治療を全て提供でき
からは患者さんに高度な
に着手したことで、これ
当院が外科療法や化学
療法に加え、放射線療法
果を期待できます。
発予防や苦痛軽減にも効
放射線療法は手術でがんを切除せずに体の機能
や形態を温存させたいときに有効な治療法で、再
射線治療の臨床を習得する研修を受けました。
3
るようになりました。
5
化学療法室
落ち着いたインテリア
と広いベッドサイドを
確保した 24 床の個室
があり、心穏やかに治
療を受けられる環境を
がん患者や家族が不安や困りごとをかかえたときに、臨
床心理士や緩和ケア認定看護師が相談に応じます。
納得できる病棟を
作りました
4
㎡とゆったりした療
レ の 配 管 は 壁 か ら 出 て お り、 フ ラ ッ ト に
なった床は掃除がしやすい構造です。壁紙
も汚れがふき取れるもの
を選び、手洗い用のシン
クも水はねしない深さの
す。私たち看護師が病棟
あるものを設置していま
養空間を確保しています。オープンな作り
環境の細部にわたり、納
のスタッフステーションからは
宅の浴室レイアウトと同じ状態を再現でき
病棟の可動式介護浴槽は、患者さんのご自
を癒す風景や動物の大き
に選んだ「患者さんの心
病棟の入り口には、各
病棟スタッフがそれぞれ
返し作り上げました。
るもので、在宅を視野に入れ、患者さんに
に優しさを添えました。
な写真」を掲示し、空間
また、感染対策を強化するために、トイ
ニングができるようになっています。
残された機能を低下させないためのトレー
床室の近くにそれぞれトイレがあり、
患者さんの動線をスムーズにしています。
得できるまで検証を繰り
方向の入
床室のみで1床面積
旧病院の 床あたりの面積は ・ ㎡と
大変狭いものでしたが、新病院は個室と
3
院室へ直線的に最短で移動できます。
3
須田 倫子
看護部長
寝台式機械浴室
浴槽可変型浴室
3 階家族待合ラウンジ
療養環境
8
1
トイレ付き個室
開放的なデイラウンジ
患者さんにも看護師にも
最善・最適を
4
快適な
4
オープンカウンターのスタッフステーション
水はねしない手洗い用シンク
4 床室
写真を組み入れた病棟案内サイン
2 つの病棟を
つなぐスタッ
フ専用通路
6
効率的な移動と
分かりやすさに配慮
階
レイアウトで特徴的なの
は、ゾーンごとに役割機能を
集 中 さ せ た こ と で す。
階に
には救急センターと画像診
断 ・ 検 査 エ リ ア を、
は手術室エリアと心臓血管カ
新病院を建設するにあたっ
て院内に準備会を組織しまし
れる食材は災害時の保存食料
らチルド状態で事前に配送さ
した。セントラルキッチンか
短で確保しています。
を隣接させ、必要な動線を最
テーテル室、ICU、HCU
月に着工
災害時にも診療機能を維持
できるよう、耐震構造は通常
病院」を目指しました。
キーパーとしての機能を持つ
し、
「札幌市北東部のゲート
収容することができます。
れ、災害時に患者さんを応急
どの医療ガス配管が設置さ
用が可能です。壁面に酸素な
待合ソファは簡易ベッドに転
にもなります。外来ホールの
使用しています。
玉ねぎ倉庫と同じ赤レンガを
の一部に東区の歴史を伝える
自然光が入る構造にし、内壁
日間稼動
簡易ベッドに転用が可能な
待合ソファ
の基準よりも強化。井戸水を
た。2011 年
また、来院された方が院内
で 気 持 ち 良 く 過 ご せ る よ う、
万が一のときも頼れる病院を目指して
新病院、
ココが
ポイント!
利用できる設備や
エネルギーセンター
ゾーンごとに
サインや壁面を色分け
その結果、吸引ボトルや酸素流量計が設置さ
れたベッドサイドの壁面の角度を斜め 度に
ンし、設計会社に要望を伝えました。
ど、ベッドサイドケアを何度もシミュレーショ
静と安全を維持しながらスムーズにできるかな
た。患者さんの頭上での作業を、患者さんの安
使いやすさなどを確かめ、意見を出し合いまし
や照明、窓の位置、カーテンやナースコールの
入院室設計にあたっては、三十数名の主任看
護師が入院室のモデルルームを検証し、ベッド
ピクトグラムで
患者さん情報を
一目で伝達
入院室の
ココが
特長!
し、看護師が作業しやすい構造に変更すること
ができました。また、患者さんの状態や看護の
指示を一目で伝えることができる非言語的表現
(マーク)をベッドサイドに掲示する医療支援
ピクトグラムを導
入し、ソフトで確
7
実な情報伝達を可
能にしました。
ピクトグラム例
4
3
45
が教えます
する自家発電装置を導入しま
スムーズなケアに配慮したベッドサイド
1
2
幸伸
事務次長 澁谷
壁面の医療
ガス配管
防災センター
建設担当部長
光を取り入れる中庭
大地の恵み
あざやかな緑
こころおどる
爽やかな風
1
引っ越し大作戦
地域が、
かがやく場所
小学 1 年生になった
一麿くんが、はにかみながら
感謝状を手にしました
6
公募で素敵な新ロゴマークが誕生
5
ロゴマークの原画を描いてくれたのは、勤医協ぽぷら保
育園の兼平一麿くん 歳(当時)
。内覧会記念レセプショ
1
いのちを
育む
澄んだ水
ンで院長から感謝状が贈呈されました。
5
・
5
無事完了!
13
旧 病 院 か ら 新 病 院 へ 約 230 人 の 患 者 さ ん の 引 っ 越 し
が、 月 日に行われました。
4
安全・確実に患者さんを搬送するために、昨年 月に移
転した新潟勤医協・下越病院を訪問し搬送のノウハウを学
ストレッチャーで移送される患者さんも
23
月 日に搬送リハーサルを実施しました。
台に分乗し
4
び、 月 日と
台で搬送。歩くことがで
14
当日は中央病院職員以外に関連病院から応援職員150
人が駆けつけ、重症患者さんは当院の救急車のほかに民間
の救急車
きる患者さんは、バス
移動しました。
事前に周辺の医療機関に引っ越し
中の緊急対応を要請し、警察や小学
校には引っ越しのルートを伝え、地
域の皆様のご協力を得ながら、無事
に完了させることができました。
たまねぎ通信 号 発行/公益社団法人 北海道勤労者医療協会 勤医協中央病院 発行責任者/事務長 村口 一耕 制作/有限会社 慶文社
25
3
太陽のひかり
やさしく
可憐な花
〒 007‐8505 札幌市東区東苗穂 5 条 1 丁目 9 番 1 号
TEL:011‐782‐9111
(代表)FAX:011‐781‐0680
【外来受付時間】午前 8:00 ~ 11:30 /午後 12:30 ~ 16:00
【外来診療時間】午前 9:00 ~/午後 13:30 ~
【休診日】毎月第 4 土、日、祝、 年末年始(12 月 30 日~ 1 月 3 日)
診療科目
関連
内科 呼吸器内科 循環器内科 消化器内科 糖尿病・内分泌内科
腎臓内科(人工透析) リウマチ科 緩和ケア内科 外科 呼吸器外科 心臓血管外科 消化器外科 乳腺外科 肛門外科 整形外科 肝臓外科 膵臓外科 泌尿器科 婦人科 眼科 リハビリテーション科
放射線診断科 放射線治療科 精神科 病理診断科 救急科 麻酔科
地域連携センター(1 階総合ラウンジ横)
TEL:011‐787‐7037 FAX:011‐784‐2735
地域に開かれた病院の窓口として以下の業務を行っています
●地域の開業医の先生方からの紹介や逆紹介
●患者さん、ご家族への退院支援
●転院に伴う調整
新・勤医協中央病院
勤医協
中央病院
周辺地図
施設
勤医協伏古10 条クリニック
〒 007‐0870 札幌市東区伏古 10 条 3 丁目 2 番 8 号
TEL:011‐786‐5588(代表)FAX:011‐782‐3428
理念 -医療・福祉宣言-
1. 安全・安心で納得のいく医療・福祉をすすめます。
2. 地域・友の会とともに健康で住みやすいまちづくりをめざします。
3. 互いに学び成長する職場・病院づくりに努力します。
基本方針
私たち勤医協中央病院は、地域の人々に支えられ、この地
域になくてはならない病院として発展していくことを目指
し、ここに「勤医協中央病院 医療・福祉宣言」を発表し、
「勤医協綱領」に基づき、その実現に努めます。
1. 札幌市北東部の地域中核病院として、急性期医療とがん診療、そ
して専門的医療を柱に、患者さんの要求に応える医療・福祉の連
携を推進する医療機関として発展していきます。
2. 北海道の地域崩壊・医療崩壊を防止する運動・支援する運動の一
翼を担う病院として行動していきます。
3. 災害時・緊急時には病院をあげて地域と住民を守る医療機関とな
れるように整備を進めていきます。
4. 患者さんとの信頼関係を大切にし、良質で安全な医療を、「共同の
営み」として提供する、より高い技術も兼ね備えた病院をめざし
ます。
診療日には
無料巡回バスを
運行しています
詳しくは
勤医協中央病院
ホームページで
5. 臨床研修病院として、民主的な集団医療の実践を通じて、人間の
尊厳および権利を尊重できる医療人を育成します。
新・勤医協
中央病院
6. 地域住民や地域の医療・福祉施設とも協力し、子供から高齢者ま
で安心して住みつづけられるまちづくり、憲法と平和が守られる
国づくり、医療・介護改善の運動をすすめます。
7. 民医連・勤医協綱領に基づき、無差別平等の医療実践をめざします。
私たちは、これからも無差別・平等の医療を目指し、
無料・低額診療制度を継続します
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