第1学年 国語科学習指導案 岩出山町立岩出山中学校 教 諭 四 倉 俊 夫 1 2 題材名 文法の窓2「文の成分」(東京書籍 「新しい国語1」) 題材について (1) 題材観 この題材は中学校では,文法の窓1「文法とは/言葉の単位」に続く二つ目の文法教材であり, 「言葉の単位」で既習した「文節」を単位として,主語,述語,修飾語,接続語,独立語の五つ の文の成分から基本的な文の組み立てを考え,それをさらに「連文節」を単位とした文の組み立 ての考え方に発展させる構成になっている。ここで取り上げられる学習内容のうち,「主語」「述 語」については小学校4年生で ,「修飾語」については6年生で,また,連文節へつながる「補 助の関係」については小学校5年生で学習しており,小学校での既習事項の確認をもとに,新し く「接続語 」「独立語」について補充することによって,これまでの部分的な学習内容が総合さ れ,文の成分として完成されるようになっている。この「文の成分」は,生徒がこれまで無意識 に習得してきた日本語の文の構造について初めて体系的に考える,大切な題材である。 この題材を扱うにあたり注意すべきことは,小学校での既習事項がどの程度定着しているかを 確認し,その定着の度合いに応じた補充を確実にしながら授業を進めることである。一般に,文 法については生徒の興味・関心が低く,学習内容もなかなか定着しない傾向が見られるが,実際 に,これまでの授業の中でも「主語・述語がわからない」「修飾語って何?」という声を何度も 聞いている。本題材においては ,「主語 」「述語 」「修飾語」などの既習事項の理解の度合いが, それを発展させた考え方である「連文節」の理解を大きく左右ばかりでなく,その後の文法学習 の充実度にも大きな影響を与える。そこで,本題材では,「主語」「述語」「修飾語」をぜひ全員 に理解させるべき基礎・基本ととらえ,それらの確実な理解と定着を土台にして連文節へと考え 方を発展させていきたい。また ,「補助の関係」や「並列の関係」は文節から連文節へと発展さ せる踏切台の役目をするので,確実に理解させることが必要である。 (2) 指導観 この題材では,題材観でも述べた基礎・基本の確実な理解と定着が最も重要なポイントになる。 そこで,主体的な学習活動のなかで,個に応じた指導を充実させることにより,確実に基礎・基 本を定着させていきたい。そのために,以下のような指導の工夫を行う。 <基礎・基本の確実な理解と定着を図る学習材の工夫> ① 学習のポイント,課題解決のヒントを書いた掲示物を用意し,それを活用することにより, 生徒の視覚にも強く訴えながら理解と定着を図る 。(作成した掲示物は,学習終了後は教科 教室の壁面に掲示し,復習や授業での確認に活用できるようにする。) ② 個に応じて自分に合った課題が選択できるように,課題別に学習プリントを用意する。 (言語メディアのコンピュータにも入力しておき,いつでも利用できるようにする。) <生徒の実態に応じた学習過程の工夫> ① 連文節理解のための基礎・基本となる既習事項の確認に十分な時間をかける。 ② 基礎・基本の確実な定着のために問題練習の時間を設け,生徒が自分のつまずきに応じて 自ら課題解決ができるようにする。 <個に応じた学習形態の工夫> ① 問題練習の場面では,生徒の課題ごとの学習の場を設定し,生徒がどの課題に取り組み, どの課題でつまずいているかを把握できるようにし,的確な個別指導をおこなう。 <学習の効果を高める教科教室経営の工夫> ① 12番教室だけでなく,言語メディア等を利用して,生徒の課題ごとの学習の場を設定す る。 ② 言語メディアのコンピュータを利用して,生徒が自分で学習のポイントを確認したり,自 分に合った課題プリントをプリントアウトできるようにする。(授業以外でも利用できる環 境を作る。) 3 4 指導目標 ○自分の課題を把握し,進んで課題解決しようとする態度を育てる。 (関心・意欲・態度) ○文の成文について理解し,文を文の成分に分けることができるようにする。 (言語事項) ○文の成分や文節どうしの関係についての理解を,連文節に応用できるようにする。(言語事項) 指導・評価計画 文の成分(4時間扱い) 指 導 内 容 五 つ の 文の 成 分に つ いて 理 時間 2 (学習形態) 全体 解させる。 評価の観点(評価規準) ○意欲的に文の成分について理解しようとする。 (関・意・態) ◎主・述の関係について理解することができる。(言語事項) ◎修飾・被修飾の関係について理解することができる。 (言語事項) ○独立語,接続語について理解することができる。 (言語事項) 問 題 練 習に よ り自 ら の課 題 1(本時) 個 ○進んで自らの課題の解決に取り組むことができる。 ( 関・意・態) を 解 決 させ , 学習 内 容の 定 ◎文の中で主語と述語を指摘することができる。 着を図る。 ◎修飾語がどの文節に係るかを指摘することができる。 (言語事項) (言語事項) ○文を文節に分け,文の成分を指摘することができる。 (言語事項) 文 節 ど うし の 関係 を 手が か 1 全体 り に , 連文 節 につ い て理 解 させる。 5 本時の指導計画 (1) 題材 ◎補助の関係,並立の関係についてなっている連文節を指摘する ことができる。 (言語事項) ○文の組み立てを連文節でとらえることができる。 (言語事項) 文法の窓2「文の成分」 (2) 学習目標 ○自分の課題を把握し,進んで自らの課題の解決に取り組む。 (関心・意欲・態度) ◎主・述の関係について理解し,主語・述語を指摘することができる。 (言語事項) ◎修飾・被修飾の関係について理解し,被修飾語を指摘することができる。 (言語事項) ○文を文節に分け,文の成分を指摘することができる。 (言語事項) ※◎は文の成分の基礎・基本として全員が理解できるようにする目標。 (3) 授業仮説 以下の点について工夫すれば,生徒に文の組み立てを考える際の基礎・基本となる「主語・述 語 」「修飾語」等の文の成分について個の課題に応じて確実に理解させ,しっかり定着させるこ とができるのではないか。 ① 学習材の工夫 ○課題別に学習プリントを用意し,個に応じた課題が選択できるようにする。 ② 学習活動(形態)の工夫 ○全体を「基礎・基本コース」と「総合・発展コース」の二つに分け,さらに生徒の学習課題 に応じて基礎・基本コースには「文節 」「主語・述語 」「修飾語」の各コース,総合・発展 コースには「接続語・独立語」「総合問題」「発展問題」の各コースを設定する。 ○コースごとの学習スペースを設定し,生徒が自分の課題に応じた場所に移動して学習できる ようにすることにより,生徒に課題解決への意識付けをするとともに,生徒の課題を的確に 把握し,課題に応じた的確な個別指導ができるようにする。(TT) ③ 教科教室経営の工夫 ○課題ごとの学習の場を確保するために,言語メディアと11番教室、12番教室を利用する。 ○言語メディアのコンピュータに,学習のポイントや課題解決のヒントを入力しておき,生徒 自身で課題解決できるようにする。(総合・発展コース) (4) 学習過程(別紙) (5) 評価 ① 生徒の活動から ア 自分の課題を把握し,進んで自らの課題の解決に取り組むことができたか。 (関心・意欲・態度・・・・観察,学習プリント,自己評価) イ 主・述の関係について理解し,主語・述語を指摘することができたか。 (言語事項・・・・学習プリント,自己評価) ウ 修飾・被修飾の関係について理解し,被修飾語を指摘することができたか。 (言語事項・・・・学習プリント,自己評価) エ 文を文節に分け,文の成分を指摘することができたか。 (言語事項・・・・学習プリント,自己評価) ② ア イ ウ エ 本時の基礎 ・基本 教師の活動から 個に応じた適切な学習課題を準備することができたか。 生徒のつまずきを確実に把握し,的確な支援を行うことができたか。 言語メディアを学習スペースとして活用することができたか。 国語科として今後活用することができる財産をつくることができたか。 (6) 準備物 ○課題別学習プリント ○学習用コンピュータ (7) 教室等配置図 言語研究室(国語・英語) 書籍資料 プ学 リ習 ン ト コンピュータ 12番教室(総合・発展) 接続語・独立語 11番教室(基礎・基本) 修 飾 語 主語・述語 総 合 問 題 発 展 問 題 文 節 (5) 学習過程 段階 生 徒 の 学 習 活 動 つ ① 本 時の 学 習 内容 と学 習 目 教 師 の 支 援 活 動 ☆指導上の留意点 ◎個への対応 価 計 画 ①本時の学習は各自の課題別に分か か 標 を知 り , 自分 の学 習 目 れて,自分で課題解決をすること む 標を設定する。 を話し,学習目標を掲示する。 (自己評価カード) 5分 評 <全体> ☆ 学習の流れについて黒板に掲示 し,生徒が一目で把握できるよう にする。 ② 理 解度 の 確 認テ スト に よ ②理解度の確認テストを実施し,生 っ て自 分 の 解決 すべ き 課 徒に自分のつまずきを意識させる。 題を知る。 <全体> ☆課題ごとに3問ずつの問題を用意 取 し,全部正解しなかった課題に取 自分の課題を把握し,進ん り組ませるようにする。課題が複 で自らの課題の解決に取り 数ある場合,基本的な課題から解 組むことができたか。 決するよう指示する。 (関・意・態:観察,学習 り プリント,自己評価) ③ 自 分の 課 題 を選 択し て 課 組 ③自分のつまずきに応じて取り組む 題 別の 学 習 スペ ース に 移 課題を決めさせ,課題別の学習ス 動し,課題に取り組む。 ペースに移動するように指示する。 <個> ◎課題ごとの学習プリントは複数用 基本的な課題 意し,確実な定着を図る。 主・述の関係について理解 し,主語・述語を指摘する ことができたか。 (言語事項:学習プリント, 自己評価) む ↓ ④課題別学習スペースを巡回し,随 時個別指導を行う。 <個> 総合的な課題 て理解し,被修飾語を指摘 することができたか。 ☆教師はすぐには教えず,自力での ↓ 修飾・被修飾の関係につい 解決や生徒の教え合い,学び合い (言語事項:学習プリント, 自己評価) を大切にさせる。 発展的な課題 ◎特に主語・述語,修飾語でつまず いている生徒を中心に支援を行う。 を指摘することができたか。 ◎全ての課題を解決した生徒は教室 (言語事項:学習プリント, に戻り,ワークをやるように指示 40 分 振 する。 ④ 教 室に 戻 り ,本 時の 学 習 り に つい て 振 り返 って 自 己 返 評価をする。 る (自己評価カード) ⑤生徒を教室に戻し,本時の学習に ついて振り返らせる。 ☆自分の目標を達成できたか,本時 にぜひ理解したい基礎・基本がク リアできたかを意識させる。 45 分 ⑤ 教 師の 説 明 を聞 き, 次 時 の学習内容を知る。 文を文節に分け,文の成分 ⑥次時の学習内容について知らせる。 ◎課題を解決できなかった生徒は, 後日時間と場所を設定して個別指 導を行うようにする。 自己評価)
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