技術・家庭科学習授業案 1.題材について (1) 分野 家庭分野 「生活の自立と衣食住」 (2) 題材名 小麦粉を使った調理 (3) 題材設定の理由 A(2) 小麦粉・そば粉・片栗粉(でんぷん)・上新粉(うるち米の粉)・白玉粉(もち米の粉)・コーンスタ 粉)など、さまざまな穀類が粉となり、日々私たちは食している。これらの粉のなか だろう。パン・麺・菓子類とその形を変え、私たちの味覚を満 ーチ(もろこしの で一番利用される粉は、小麦粉といえる たしてくれる。しかし、なぜこれほどまでに小麦粉が使われる のか、考えて利用する人は少ないだろう。 小麦粉の主成分はでんぷん(炭水化物)である。その小麦粉に水を加えてこねると、グルテン( ふ 織を形成する。グルテンは、小麦粉中のたんぱく質であるグルテニンとグリアジン り合ってできた特殊な網目状の組織だ。小麦粉は、このグル の原料)という組 が吸収して糸状分子となり、それがからま テン形成量により強力粉・中力粉・薄力粉に分類され、用途が異 なってくる。 本題材では、小麦粉が高頻度で利用されるのはグルテンの形成によることを理解させ、小麦粉の調理 時には、グルテン形 成が必要なのか否かが生かされるようにさせたい。 2.題材の目標 ○日常食している粉の用途や小麦粉のグルテン形成に関心をもつ。(生活や技術への関心・意欲・態度) ○栄養バランスを考え、手打ちうどんの具を工夫する。(生活を工夫し創造する能力) ○作業計画を立て、食品や調理用具を衛生的・安全に取り扱い、小麦粉を使った調理ができるようにする。(生活の技能) ○小麦粉の種類や用途、調理上の性質を理解する。(生活や技術についての知識・理解) 3.題材の学習計画 <総時数 5時間> (1)小麦粉の調理上の性質と種類・用途 2時間 (2)小麦粉を使った調理の準備 1時間 (3)小麦粉を使った調理「手打ちうどんを作ろう」 2時間 ※本時は1時間目 4.評価について (1)家庭分野の目標 実践的・体験的な学習活動を通して、生活の自立に必要な衣食住に関する基礎的な知識と技術を習得 の機能について理解を深め、課題をもって生活をよりよくしようとする能力と態度 するとともに、家庭 を育てる。 (2)家庭分野の評価の観点の趣旨 生活や技術への 生活を工夫し 関心・意欲・態度 創意する能力 衣食住や家族の生活につ 生活の技能 生活や技術についての 知識・理解 衣食住や家族の生活について 生活の自立に必要な衣食 家庭の基礎的な機能について理解 いて関心をもち、家庭生活 見直し、課題を見付け、その 住や家族の生活に関する し、生活の自立に必要な衣食住や をよりよくするために知 解決を目指して家庭生活をよ 基礎的な技術を身に付け 家族の生活に関する基礎的な知識 識と技術を進んで活用し りよくするために工夫し創造 ている。 を身に付けている。 ようとする。 する。 (3)学習指導要領の内容と評価規準 □「生活の自立と衣食住」の(2) (2)食品の選択と日常食の調理の基本について、次の事項を指導する。 ア 食品の品質を見分け、用途に応じて適切に選択することができること。 イ 簡単な日常食の調理ができること。 ウ 食生活の安全と衛生に留意し、食品や調理器具等の適切な管理ができること。 生活や技術への 生活を工夫し 関心・意欲・態度 創造する能力 食品の選択と簡単な日常 生活の技能 生活や技術についての 知識・理解 食品の選択と簡単な日常食の 食品を適切に選択し、安 食品の選択と簡単な日常食の調理 食の調理について、関心を 調理について課題を見付け、 全と衛生に留意して簡単 に関する基礎的な知識を身に付け もって学習活動に取り組 ている。 その解決を目指して工夫して な日常食の調理ができる み、食生活をよりよくしよ いる。 。 うとしている。 (4)題材の評価規準 生活や技術への 生活を工夫し 関心・意欲・態度 創造する能力 知識・理解 粉の種類や小麦粉の性質、 うどんの具を考えたり、調理 食品や調理器具を適切に 小麦粉の種類と用途、性質、およ 調理実習に向けての学習 作業を工夫したりしている。 扱い安全に留意して、う びうどんの作り方がわかる。 に関心をもって取り組ん どんを作ることができる でいる。 。 生活の技能 生活や技術についての (5)題材の学習内容と評価の計画 時 学習内容 数 生活や技術への 生活を工夫し 関心・意欲・態度 創造する能力 生活の技能 知識・理解 1 粉を観察 3種類の粉をさわっ 粉の観察やだんご作 粉をまるめ、よくこね しよう たり、丸めたり引っ り、水の中でのもみ ている。 ぱったりして、何の 出す作業を工夫しよ (自己評価・観察) 本 粉か考えようとして うとしている。 時 いる。 生活や技術についての (自己評価・観察) (自己評価・観察) 1 小麦粉の 小麦粉の種類や用途 小麦粉はグルテン量により3種類 種類と用 、グルテン形成につ に分けられ、用途が異なることが 途と性質 いて関心を示す。 わかる。 (観察・プリント) グルテンはたんぱく質で粘りのあ る網目状であることがわかる。 グルテンは塩水でこねたりねかし たりすると、より多く形成される ことがわかる。 (テスト) 1 調理実習 うどんの作り方や係 うどんの具を栄養バ の準備 り分担など、実習に ランスを考えながら 向けて準備をしよう 、工夫しようとして としている。 いる。 (観察・プリント) (観察・プリント) 2 手打ちう 自分の分担をこなし 準備や調理、片づけ 準備や片づけなど基本 うどんの作り方がわかる。 どんを作 、実習に取り組んで など、スムーズに行 的な調理作業ができる (テスト) ろう いる。 。 うよう工夫している (観察・自己評価) 。 うどんを作ることがで (自己評価) きる。 (自己評価・観察) ※評価方法の(テスト)は、期末テストで実施。 5.本時の学習 (1) 日 時 平成15年11月5日(水) (2) 場 所 調理室(2階) (3) 学 級 3年A組 (4) 生徒の様子 5校時(14:00∼14:50) 男子16名、女子12名、計28名のクラスである。授業中の教師の投げかけに対して、反応 は数名で、限られている。また、この数名の生徒の態度によって全体の雰囲気が左 業態度は、比較的落ち着きが見られる。自主的な発言は少な を見せる生徒 右される面がある。学園祭以降の授 いないが、板書等は全体的によく行う。集中力のない生徒 は限られている。 「生活の自立と衣食住」の食生活の授業に関しては、調理実習ができることが楽しみの様子で、面倒くさがる傾向の ある男子生徒でも興味が感じられる。しかし、家庭での調理実践は、日々の多忙さ、および家庭での自分の役割とな っていないこともあり、一部の女子に限られていると見受けられる。 (5) 本時の目標 ア 粉を観察する。 イ 3種類の粉の名称を考えようとする。 ウ 小麦粉のだんご(ドウ)から黄色いもの(グルテン)を取り出すことができる。 (6) 展 開 学習の流れ 学習内容の 導 確認 生徒の活動 教師の支援・援助 *粉の学習をすることがわかる。 う。 ここに3種類の粉がある。 いったい何の粉か考えていく。 (3分) 考 *3回目の調理実習は粉を使って行 今日はだんごを作る。 入 備 3種類の粉 粉の観察 *まず、3種類の粉の観察をする。 計量カップ (5分) 視覚・臭覚・味覚・触覚を使い観察 計量スプーン *粉の観察をすることがわかる。 し、各自プリントに記入する。 プリント (粉・計量カップ・計量スプーン (粉を配布。) ・プリントを準備する。) 展 *粉の量を考える。 *粉の量はどのくらいだろう。 50gとわかる。 50gだ。こぼさないようにしないとだ んごが小さくなってしまう。 *粉の観察を始める。 (気がついたことをプリントに 書く。) <机間指導> 開 「黄色い、白い、さらさらしてい *どんな特徴があったか。 る、甘い、など。」 ◇板書 何の粉かわかったか。 だんご作り *50gの粉に15cc∼25ccの水を加え (16分) てだんごをつくる。 水を一度に入れてしまうとやわらか *だんご作りの注意点を聞く。 くなってしまうので、少しづつ入れ る。 *100回以上はこねる。 *だんごをよくこねたら、3種類の 展 *各粉の担当を決める。 伸び・粘り・弾力性を比較する。 粉に水を加えてだんごを作り始 める。 (ボールを配る。) 100回以上こねる。 <机間指導> ボール班3ヶ だんごの比 *3種類の、伸び・粘り・弾力性 較 を比べる。 (8分) (記録する。) *どの粉が伸び・粘り・弾力性があ ったか。 開 *1つの粉が、伸び・粘り・弾 ◇板書 力性がよい。 「小麦粉だ。」 *何の粉かわかったか。 (※小麦粉という声が多い時、 正解だ。) *なぜ小麦粉は、伸び・粘り・弾力 性があるのだろう。 「中に何か入っている。」 展 *だんごの中にヒントがありそうだ 。何が入っているのだろう。 取り出してみよう。 *どうする? 「煮る、焼く、ゆでる、など。」 *いろいろ出てきたね。 開 けれど、今日は時間が限られている ので次の方法でやってみよう。 だんごをす *方法を聞く。 *ボールに水を半分くらい入れ、手 りつぶす のひらにだんごをのせ、水の中です (15分) りつぶしてみよう。 展 3種類ともやってみよう。 *水を入れたボールにだんごを 入れ、手の中ですりつぶす。 <机間指導> *変化はあるだろうか。 開 「なくなってしまった、黄色いも ◇板書 のが出てきた、ボールの底にたま っている、など。」 *1つ(小麦粉)からは黄色いもの が出てきたか。 黄色いものは紙の上に取り出そう。 (わら半紙を配布する。) わら半紙6枚 本時の *残りの2種類の名称はわかったか まとめ *上新粉。片栗粉。(小麦粉。) 。 終 ◇板書 *黄色いものが出てきた粉が、小麦 薄力粉 粉だ。 強力粉 この黄色いものが伸びや粘り、弾力 末 性の正体だ。 黄色いものは、強力粉でだんごを作 るともっとたくさん出てくる。 (強力粉を提示する。) 次時の予告 *次時の学習予定がわかる。 (3分) 粉① *次時は、粉についてさらに学習す る。 いったい何の粉? A Name( B 観察して気が付 いたことを書こう ・色 ・手ざわり ・その他 粉50g+水10∼25cc→だんご 伸 び 数 粘 り 字 弾力性 で 記 入 ) C 水の中ですりつ ぶ した様子 名 称 用 途 粉② 黄色い物体は何? 〈 Name( 〉+水→→→→→〈 少 名 用 称 途 中 ) 〉 多 ★注意点★ ◎気がついたこと・わっかたことを書こう ◎今日の授業を振り返ろう ( 項 目 ○ を つ )班 name〈 け る 〉 工夫したことがあったら書いて下 さい 粉の観察に興味が持てた はい いいえ どちらともいえない だんご作りに興味が持てた はい いいえ どちらともいえない だんごの伸び・粘り・弾力性の比 はい いいえ どちらともいえない はい いいえ どちらともいえない はい いいえ 1 2 3 較に興味が持てた だんごを水の中でもみ出す作業 4 に興味が持てた あなたはだんごをこねましたか 5 今日の発見・感想を書こう!
© Copyright 2024 Paperzz