フランス学術情報(平成 23 年 3 月分) 平成 23 年 3 月 17 日 ストラスブール研究連絡センター ●「フランスの宇宙開発予算増額」 フランス高等教育研究大臣 Valérie Pécresse 氏は、2010 年 10 月 26 日、フランス国立宇宙開発セ ンター(CNES)長の Yannick D’Escatha 氏と、2011 年から 2015 年の間にフランスの宇宙開発予算 を 1,500 万ユーロ増額するための調印を行った。これにより、CNES の 2011 年の予算額は 7 億 6,100 万ユーロとなり、また、欧州宇宙機関(ESA)に対しても 2011 年より 7,000 万ユーロの増額負 担を行うことになった。Pécresse 氏は、CNES の新しい目標として、次の三点を掲げている。 - 欧州の宇宙開発計画を他の加盟国と協力し、より積極的に推進する。(Galileo 計画等) - 国家レベルで、また、他国のパートナーと協力し、水の循環、高度測量法、テレコミュニケーシ ョン、気象情報の分野での衛星のより効果的な利用を推進する。 - 新世代の衛星システムやロケットの開発に 5 億ユーロ投資する。 参考資料 ・ フランス高等教育・研究省 HP(2010 年 10 月 26 日) http://www.enseignementsup-recherche.gouv.fr/cid53742/2011-2015-des-moyens-pour-une-politique -spatiale-encore-plus-ambitieuse.html ●「東日本巨大地震に関するフランス閣議」 2011 年 3 月 16 日閣議において、Alain Juppé 外務大臣、Christine Lagarde 財務大臣、Nathalie Kosciusko-Morizet 環境大臣は、日本を襲った重大な災害についての見解を述べた。 Juppé 外務大臣は、まず、災害の人的損害・生活面における被害についての現状を説明した。次い で、フランス大統領がただちに援助を提案し、放射線専門家や災害センタースタッフを含む救援隊 121 人が 14 トンの物資と共に 2011 年 3 月 14 日日本に到着したことを報告した。そして、日本在住 フランス人の安否確認情報や、東京以北在住のフランス人に対するフランス帰国便の手配に関す る情報や、避難情報等を提供した。Kosciusko-Morizet 環境大臣は、福島第一原子力発電所での 相次ぐトラブルに関する現時点での危険性についてコメントした。 今回の日本での大災害を受け、フランス放射線防護原子力安全研究所(IRSN)は、タヒチも含む 全世界のフランス領内の 163 の監視ネットワークにおける放射能の測定値を常時見守るよう体制を 整えている。また、たとえわずかな事故が起こった場合でもただちにフランス原子力安全規制当局 (ASN)に報告され、国民にも明らかにされる、というフランスの対応を説明した。フランスでは第一 次石油ショック以降、原子力発電を積極的に推進し、現在エネルギーの 75%以上を原子力に頼っ ている。福島での事故を受け、地震や水害が起こった場合を想定して各々の原子炉の安全性の評 価を行うことを決めた。 参考資料 ・ フランス総理大臣室 HP(2011 年 3 月 16 日) http://www.gouvernement.fr/gouvernement/point-en-conseil-des-ministres-sur-la-situation-au-japon ●「上級技術者教育コースの改革」 フランス高等教育大臣の Valérie Pécresse 氏は 2010 年 5 月、上級技術者教育コースの改革を目 指して、優れたプロジェクトの募集を行ったが、この度 65 プロジェクトが選出され、計 100 万ユーロ の支出が決定した。本プロジェクトに選ばれると、職業バカロレアでよい成績を収めた学生を受け 入れる教育プログラムをより推進することができる。本プロジェクトの施行によって、フランスの高等 教育の第一期(1~2 年)の過程において重要な役割を果たしている上級技術者教育コース (S.T.S.)の改革が行われ、フランスの職業教育推進が図られようとしている。下記にフランスの各学 区における本プロジェクトの選出状況を示す。 【上級技術者教育コース改革プロジェクト選出状況】 ■単一機関でのプロジェクト ■同一地域内での複数の機関のプロジェクト ■複数地域にまたがった複数機関のプロジェクト 参考資料 ・フランス高等教育・研究省 HP (2011 年 3 月 1 日) http://www.enseignementsup-recherche.gouv.fr/cid55190/65-projets-pour-renover-les-sections-de-tec hniciens-superieurs-s.t.s.html ●「フランス国立大学長協会とフランス原子力庁(CEA)との新たなパートナーシップ」 2011 年 3 月 8 日、フランス高等教育研究大臣 Valérie Pécresse は、フランス国立大学長協会とフラ ンス原子力庁(CEA)が新たなパートナーシップについて調印式を行ったことを歓迎する声明を発 表した。この調印により、フランスの大学等高等教育機関と原子力庁との間でより幅広い協力関係 が築かれることになる。高等教育の改革精神に沿って、異なるセクター同士における教育や、経営、 研究者の採用、共同研究がより開けたものとなる。例えば、高等教育機関と CEA との連携研究室 の設立や寄付講座の開講、CEA の研究・高等教育拠点(PRES)への協力等が可能となる。 参考資料 ・フランス高等教育・研究省 HP (2011 年 3 月 8 日) http://www.enseignementsup-recherche.gouv.fr/cid55292/signature-d-un-nouveau-partenariat-entre-l es-universites-et-le-c.e.a.html
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