激動の 2010 年代もすでに半分が経過: 果たして、高金利・高成長の時代は再び訪れるか? 2015 年 12 月 激動の 2010 年代後半の見通し 要旨 - ここ数年にわたり、経済成長が比較的緩やかなものにと どまっていることや、金利環境が過去最低水準で推移し ていることを説明するには、人口の高齢化が容易な説明 要因であると考えられます。 - 米国を始め多くの先進国では、高齢者の所得や保有資 産が大幅に増えているため、投資行動や消費パターン が変化しています。 - もはや、金利やインフレ、経済成長は、過去 70 年間の平 均的水準を下回って推移する可能性が高く、第二次世 界大戦後に見られた高経済成長や高インフレ、高金利 などは、ベビーブームの影響によるものであったと思わ れます。 - しかも、ベビーブーム世代がもたらす最大の影響はまだ 訪れていないと考えられ、そのためポスト金融危機の時 代は少なくとも今後 5 から 10 年以上続く可能性があると 予想されます。 金融危機の後遺症:何が「ノーマル」な状況とは何 を言うのか? 2008~2009 年、グローバル経済は 1930 年代の世界大 恐慌以降で最も深刻な金融危機に陥りました。アイルラン ドやスペイン、カリフォルニアなど、過熱感のあった地域の 不動産市場を中心に、住宅価格は急落しました。米国の 株価は半分に下落し、その他の国の株式市場も暴落しま した。債券のスプレッドは大幅に拡大し、債券市場はしば らくの間ほぼ機能不全となりました。米国やその他の国の 経済は深刻な景気後退に陥り、失業者が急増し、不安感 が高まりました。 過去 6 年間で、世界は第二の世界大恐慌とも呼ばれる危 機から脱却しましたが、その間にはいくつかの大きな節目 がありました。株価は史上最高値を更新するところまで回 復しました。信用スプレッドは平常時の水準か、またはそ れ以下の水準まで縮小しました。住宅価格は下落分の大 半を取り戻し、一部の市場では最高値を更新しています。 米国では、家計の純資産が 80 兆ドルを上回り過去最高水 準に達し、国内総生産(GDP)も過去最高水準を更新しま した。労働市場も 2009 年と比べて明らかに改善しており、 失業率は低下しました。また、賃金はここ数年にわたり緩 やかな伸びにとどまっていますが、10 月の米雇用統計に 基づくと、賃金の伸びは加速している可能性があります。 もちろん、全てが正常な状況に戻ったわけではありません。 米国は、数字の上では 2009 年に景気後退から脱却しまし たが、世論調査によると、米国民の大半は依然として景気 後退が続いていると感じています。多くの米国民にとって、 資産や実質所得は 2006 年の水準を下回っているため、 景気回復の実感が乏しいのも当然かもしれません。フィス カルドラッグ(財政的歯止め)の影響が弱まっている中で、 GDP は増加しており、四半期ごとの GDP も高い数値が確 認できることがあります。しかし、全体として GDP の伸び は鈍化しており、経済成長率が米連邦準備制度理事会 (FRB)やその他の予想を下回ることも少なくありません。 欧州の失業率(特に若年層の失業率)は高止まりしていま す。ボラティリティの大きさを表す統計的尺度はボラティリ ティが低水準であることを示していますが、多くの投資家 はボラティリティが高いと感じています。世界各国の中央 銀行(特に米国と日本)は積極的な金融緩和を継続してお り、米国や欧州、日本では、短期金利がゼロ近辺(一部の ケースではゼロ以下)で推移しています。長期金利はやや 上昇したものの、依然として歴史的低水準にとどまってい ます。地政学的リスクは高まっているように感じられますが、 前世紀における 2 つの世界大戦や、核軍備競争が激化し た東西冷戦の時代と比べると、世界はそれほど混沌とした 状況ではないように思われます。 こうした中で、経済や金融市場では今後どのような展開が 予想されるでしょうか?一部の見方によると、現在は「長 期的な景気停滞期」にあり、過去数十年間にわたる平均的 な成長率を大きく下回る「ニューノーマル」の時代が到来し ています。ある意味では、今後 20 年間にわたる米国や欧 州の経済成長が、第二次世界大戦後の水準を下回るとの 予想は当然であると言えます。簡単に説明すると、GDP の 伸びとは、労働力人口の伸びと生産性の伸びを合わせた 数値です。仮に将来における生産性の伸びが過去 70 年間 の平均と同じくらい高い水準になったとしても(これについて は疑問視する声があり、最近における生産性の伸びは明ら かに平均水準を下回っている)、労働力人口の伸びは鈍化 する可能性が高いと考えられます。その要因として、女性 の就労率は大幅に上昇したものの、すでにピーク水準に達 していることや、ベビーブーム現象が繰り返されていないこ となどが挙げられます。米労働統計局の長期予想によると、 今後 10 年間における労働力人口の伸びは過去 50 年間の 平均水準を 1%以上下回るとされています。1 正直に言うと、どのような状況が「ノーマル」となるのか、ま たはいつ「ニューノーマル」の時代が到来するのか自信を 持って言えません。現在はポスト金融危機の時代であり、 「ノーマル」な状況への移行期にあると考えられます。「ノ ーマル」な状況にまだ戻っていない原因は何でしょうか? 現在のような移行期はあとどれくらい続き、その時期に何 が起こり、「ノーマル」な時代が到来したときにはどのような 状況になるのでしょうか? 現在の経済状況は、多くの要因がからみ合っているため 非常に不透明となっています。本稿では、人口の高齢化 が現在及び今後数年間の経済環境に与える影響に焦点 を絞って議論を進めていきます。 1 出所: http://www.bls.gov/opub/working/page1b.htm 2 激動の 2010 年代もすでに半分が経過:果たして、高金利・高成長の時代は再び訪れるか? 図 2 / 多くの国の金利は過去数百年間で最低の水準にある 先進諸国の 10 年国債利回り(1799~2014 年) 現在の金利水準が歴史上最低水準であるという ことをどうやって説明するのか? 30 一般に、必要以上のお金を持っている人は、お金を貸して 利息を得ようとします。一方、資金が必要な人は借り入れ を行おうとします。過去 1000 年にわたり、経済主体の間で 資金の貸し借りが行われてきた中で、金利は「お金の貸し 借りの値段」として機能してきました。時と場所が変われば、 金利やルール・規則、借金に対する社会の受け止め方な ども異なりますが、基本的なことは変わりません。貸し手 は融資した資金に対してリターンを求め、さらに期待インフ レや信用の質、長期の貸付期間、その他の要因に対する 見返りを求めます。借り手は、資金を利用することで得ら れる期待効果が費用を上回るならば、借り入れを行いま す。他の条件を同じとすると、急速に成長する経済ではよ り多くの投資機会があるため、資金需要が多く、したがっ て資金の貸し手はより高い金利を要求します。一方、経済 成長が緩やかであるか、または経済が景気後退に陥って いるときは、投資機会も少ないため、資金需要が少なく、 貸し出し金利も低下する傾向があります。 図 1 は、オランダ国債の利回りを西暦 1500 年代(シェーク スピアがまだ駆け出しの頃)まで遡って示しています。16 世紀には金利が非常に高かったものの、1600 年終わり頃 には 8.5%まで低下し、その後 409 年間にわたり 2.5~ 8.5%のレンジ内で推移しました(ただし、そのうちの 14 年 間で金利が一時的に急騰する局面があった)。その後 2010 年には、金利はレンジの下限である 2.5%を下回り、 過去 5 年間の各年末時点では 2.5%を下回っています。図 2 は、米国を含むその他の先進諸国の国債利回りを少なく とも過去 200 年遡って示しており、オランダの金利と似たよ うな動きとなっています。長期国債利回りは 5%を中心に 数%上下して推移しています。外的ショックや財政運営の 失敗、またはその両方により、金利が一時的に急騰する 局面がありました。景気後退局面や市場の混乱時、また は戦争やその他の活動の資金調達のために金利が人為 的に低水準に維持されたときには、金利が 5%を大幅に下 回ることもありました。 図 1 / オランダの金利は過去 500 年間で最低の水準にある オランダの 10 年国債利回り(1517~2014 年) 25 20 15 10 5 2013 2000 1987 1974 1961 1948 1935 1922 1909 1896 1883 1870 1857 1844 1831 1818 1805 1792 1779 1766 1753 1647 1634 1621 1608 1595 1582 1569 1556 1543 1530 1517 0 2014 年 12 月 31 日現在 出所:クオンティテイティブ・マネジメント・アソシエイツ(QMA)、グロー バル・ファイナンシャル・データ。情報提供のみを目的としています。 25 20 15 10 5 0 フランス 米国 イタリア スウェーデン 2014 年 12 月 31 日現在 出所:QMA、グローバル・ファイナンシャル・データ。情報提供のみを 目的としています。 図 2 では、ここ数年にわたり全ての国債の利回りが低下し ています。長い歴史のあるこれらの国以外でも、例えば日 本やドイツのような主要国の国債利回りは非常に低い水 準となっています。 大袈裟な言い方ではありますが、ここ数年にわたり金利は 人類史上最低の水準で推移しています。これはなぜでしょ うか?確かに、ここ最近の経済成長は非常に緩やかなペ ースとなっており、金融危機が収束して以降、インフレも低 水準にとどまっています。しかし、過去数世紀にわたり多く の金融危機が発生し、現在よりも成長率が低かった時期 やデフレが深刻化していた時期は幾度もありましたが、金 利がここまで低くなったことは一度もありませんでした。 製品や資本市場のグローバル化が進んでいることも、金 利が低水準にとどまる一因となる可能性があります。グロ ーバル規模で競争が激化していることも、インフレ率が低 水準にとどまる一因となっており、これによりインフレ期待 が低下しています。また、資金フローが増加すれば、世界 の一部の地域ではリターンが低下し、全ての地域で金利 が低下することにつながる可能性もあります。 反面、もしかしたら金利が過去最低水準で推移しているの は、単に中央銀行の政策によるものかもしれません。図 3 では、グローバル・ファイナンシャル・データがまとめたデ ータに基づき、過去 500 年にわたる中央銀行の政策金利 の推移を示しています。1651 年から 1934 年まで、政策金 利は約 4%を中心に、2~6%の範囲で推移し、一時的に 6%を上回った時期もありました。世界大恐慌や第二次世 界大戦の時期には、政策金利は 2%を下回り、それまでの 最低水準を更新しました。1970 年代のインフレの時代に は、政策金利は 10%台まで急上昇しました。2008~2009 年の金融危機を受け、政策金利は過去最低水準まで低下 し、2015 年もその水準で推移しています。米国や欧州、日 本の中央銀行は、政策金利を過去最低水準に維持すると ともに、量的緩和を行い市場で債券を買い入れました。こ れは、長期金利の低下や、流動性の改善、銀行融資の促 進、リスク資産価格の上昇などを目指す政策と言えます。 世界各国の中央銀行の政策がここ数年間のように緩和的 となったのは、過去に例がありません。 3 激動の 2010 年代もすでに半分が経過:果たして、高金利・高成長の時代は再び訪れるか? 図 3 / 中央銀行が今ほど積極的に金融緩和を行っている 時期は過去に例がない 中央銀行の公定歩合指数(1522~2014 年) 図 4 / FRB は短期金利が上昇すると予想 FOMC に参加する各メンバーによるフェデラル・ファンド 金利の予想 14 5.0% 12 4.0% 3.0% 10 2.0% 8 1.0% 6 0.0% 4 -1.0% 2015 2 1522 1537 1552 1567 1582 1597 1612 1627 1642 1657 1672 1687 1702 1717 1732 1747 1762 1777 1792 1807 1822 1837 1852 1867 1882 1897 1912 1927 1942 1957 1972 1987 2002 0 2014 年 12 月 31 日現在 出所:QMA、グローバル・ファイナンシャル・データ。 この指数は、St. ジェノア銀行の預金利率(1522~1625 年)、イングランドの貸出金利に対する法的制限(1625~ 1692 年)、イングランド銀行の公定歩合(1693~1913 年)、 ニューヨーク連邦準備銀行の公定歩合(1914~2002 年)、 フェデラル・ファンド目標金利(2003 年~現在)に基づいて います。 おそらく、長期金利が過去最低水準で推移していることを 説明する最も簡単な要因は、中央銀行の政策であると考 えられます。中央銀行が経済活動を下支えする上で今ほ ど積極的に金融緩和を行っていた時期は過去に一度もあ りません。長期金利は、将来の予想短期金利の平均のよ うなものと考えることができます。もし短期金利が低水準に とどまると予想されるならば、長期金利も同様の水準で推 移するはずです。 長期金利が人類史上最低の水準で推移していることが中 央銀行の政策だけで完全に説明できるとするならば、中 央銀行は人為的に金利を低水準に維持していると推測で きます。つまり、仮に中央銀行の政策がなかったとすれば、 過去の似たような経済状況のときと同様に、金利はより正 常な水準に近づくと考えられます。現在は総じてインフレ 率が低く、経済状況がやや不安定であるため、過去の水 準を考慮すれば、正常な短期金利は 2~4%前後になると 考えられます。図 4 は、米 FRB のドット・チャートを示して います(チャート上の各ドットは、米連邦公開市場委員会 (FOMC)のメンバーによる金利予想を示している)。これ によると、FRB はフェデラル・ファンド金利が今後数年間で 2~3%程度まで上昇すると予想しており、最終的には、よ り“正常”な水準である 3.25%前後まで上昇すると見込ん でいます。金融危機という非常事態に対応するため、政策 金利は異例の低水準に維持されてきましたが、ニューノー マルはやがてオールドノーマルのようなものになると考え られます。将来を正確に予測することは誰にもできません が、おそらくこの考えは正しいと言えると思います。 2016 2017 2018 2019以降 出所:QMA、2015 年 9 月 17 日時点の FOMC 経済予測。 データは、フェデラル・ファンド金利の目標レンジまたは目標水準の中 間点を示しています。これらの予測が実現する保証はありません。 しかし、市場の動向を見ると、FRB のドット・チャートとは異 なる見通しとなっています。図 5 では、フェデラル・ファンド 金利先物に基づく金利予想をオレンジ色の点で示していま す。市場参加者の総意を見る限り、金利はしばらくの間、 過去の水準を下回って推移する可能性があります。FRB の予想が正しいならば、利回りは市場の予想よりも早いペ ースで上昇する可能性があり、債券市場は大幅に下落す る公算が大きいと言えます。一方、市場の見方が正しいと すれば、金利やリターンが過去の正常な水準に戻ると予 想している政策当局や年金基金、機関投資家、個人投資 家は失望することになるかもしれません。どちらの見方が 正しいのでしょうか? 図 5 / 先物市場は金利が緩やかに上昇すると予想している FOMC によるフェデラル・ファンド金利予想と、フェデラル・ ファンド金利先物市場の予想 5.0% 4.0% 3.0% 2.0% 1.0% 0.0% -1.0% 2015 2016 2017 2018 2019以降 出所:QMA、2015 年 9 月 17 日時点の FOMC 経済予測(青色のドッ ト)。データは、フェデラル・ファンド金利の目標レンジまたは目標水準 の中間点を示しています。 出所:トムソン・ロイター・データストリーム(オレンジ色のドット)。 FOMC がドット・チャートを発表した 2015 年 9 月 17 日時点のデータ。 オレンジ色のドットはフェデラル・ファンド金利先物を示しています。 これらの予測が実現する保証はありません。 4 激動の 2010 年代もすでに半分が経過:果たして、高金利・高成長の時代は再び訪れるか? 仮に中央銀行の金利が人為的に低く維持されているなら ば、資本の不適切な配分が大規模に行われている可能性 があります。低金利は「金融抑圧」と見なされる場合があり、 中央銀行は金利を人為的に低く抑え、マイナスの実質金 利とすることで、貯蓄者から富を収奪していることになりま す。仮に政策金利が中央銀行の介入がなかった場合の市 場金利とそれほどかけ離れていないならば、その理由に ついて考察する必要はありますが、少なくとも資本の不適 切な配分や金融抑圧による悪影響は軽減されると考えら れます。 家計のレバレッジ解消が進んでいます。過去何十年にも わたり、家計セクターは多額の借り入れを行ってきました。 金利が歴史的低水準にあり、失業率が比較的低く、経済 が成長している中で、旺盛な借入需要が予想されます。し かし、図 6 に示されているように、家計セクターではここ数 年にわたりレバレッジ解消が進んでいます。この傾向は、 確かに規制上の制約があることに加え、信用力の低い個 人に対して銀行が貸し渋っていることなども、レバレッジ解 消につながっている可能性がありますが、人口動態の変 化も大きな要因の一つであると考えられます。 では、中央銀行の介入がなかったとすれば、金利はどの ような水準になるのでしょうか?それを知るすべはありま せん。経済は実験室で観察できる科学ではありません(仮 に経済が科学であるとするならば)。したがって、1 つの変 数だけを取り出して、それが経済全体にどのような影響を 与えるかを検証することはできません。 図 6/ 2008 年以降、家計のレバレッジ解消が進んでいる 米国における一人当たりの家計債務残高 仮に金利が人為的に低く維持されているならば、借り手は できるだけ多くの資金を借り入れると予想されます。一部 ではこのことを示す兆候が表れており、例えば企業は十分 な手元資金がある場合でも、社債の発行を続けています。 ただし、これは株式と債券のバリュエーションに差があるこ とも一因であると考えられます(株式益回りは約 6%である 一方、社債利回りは株式益回りの約半分となっている)。 一部の企業にとって、3%の金利でお金を借り、その資金 を自社株買いに充てる行為は、ある種のアービトラージ取 引であるように思われます。 しかし、銀行はこれ以上預金を増やすことに対して明らか に消極的となっています。預金は銀行にとって金利の安い ローンであるため、金利が人為的に低く維持されていると 銀行が考えるならば、銀行はできるだけ預金額を増やすこ とに取り組むはずです。しかし、一部の銀行は大口預金者 から利子を徴収し始めました。もちろん、これは銀行が規 制により自己資本比率の改善を求められていることも一因 となっています(銀行にとって預金は負債である)。しかし、 金利が人為的に非常に低く維持されているならば、銀行は 金利の安いローンを上手く利用するため、積極的に追加 資本を調達するはずであると考えられます。 50 45 40 35 2015 2014 2013 2012 2011 2010 2009 2008 2007 2006 2005 2004 30 2003 しかし、人為的な低金利の概念について考察することはで きます。仮に FRB の政策がなかったとすれば、経済主体 は現在より高い金利で貸し借りを行うと考えられます。これ については、過去にも例があります。1970 年代と 80 年代 に、銀行規制当局は普通預金金利の上限を約 5%に設定 しました。インフレ率がその水準を上回ったため、貯蓄者 はインフレを考慮した実質ベースで損をすることになりまし た。しかし、規制上の制約があったことや、銀行が不透明 な環境下において低金利やマイナスの実質金利で融資す ることを渋ったため、借り手は低い名目金利で資金調達す ることが困難となりました。しかし、多くの買い手と売り手 が存在するならば、市場は自然と規制の網目をくぐる方法 を見出す傾向があります。実際に、1970 年代と 80 年代に は、マネー・マーケット・ミューチュアル・ファンドの残高が 大幅に増加しました。 55 2003 年 2 月~2015 年 5 月 出所:QMA、トムソン・ロイター・データストリーム、FRB。情報提供の みを目的としています。 中央銀行の積極的な金融緩和策が今日の長期金利低下 の一因であることは疑いの余地がないと考えられます。し かし、これが唯一の要因なのでしょうか?また、その他に も重要な長期的要因があるのでしょうか?FRB は、フェデ ラル・ファンド金利などの政策金利を調整することができま すが、貸し借りを強要することはできません。中央銀行の 積極的な金融緩和がなかった場合に金利がどうなるかを 知ることはできません。しかし、現在の金利水準が、借り手 と貸し手の需給が均衡する適正な水準を大幅に下回って いない可能性はあるでしょうか?もしそうなら、それはなぜ でしょうか?金利が人類史上最低の水準で推移している 理由は何でしょうか?異例の金融緩和策の他にも、低金 利を説明できるような前例のない要因があるのでしょう か?その答えは、人口の高齢化であるかもしれないと弊 社は考えています。過去において、典型的な金利低下要 因(例えば、低成長や低インフレなど)が現在よりも顕著で あった時期はたくさんありましたが、現在において、過去の どの時期よりも顕著なファンダメンタル要因は一つしかな いと考えられます。それは、高齢者の人口が増加し、その 経済力が高まっていることです。 5 激動の 2010 年代もすでに半分が経過:果たして、高金利・高成長の時代は再び訪れるか? 現在の経済環境を人口動態の側面から説明する ことはできるのか? 図 7 は、世界人口の全体的な増加率と、65 歳以上の人口 の増加率を比較しています。1950 年から 1985 年の間で は、2 つのグループの人口はほぼ同じペースで増加してい ました。1985 年から 2000 年の間では、おそらく医療技術 の進歩などにより、65 歳以上の人口の増加率はやや上昇 しましたが、全体的な増加率は比較的低くとどまりました。 しかし、21 世紀に入り、戦後のベビーブーム世代が 65 歳 に達し始めたため、65 歳以上の人口の増加率が急上昇し ました。この時期は、ベン・バーナンキ氏が「過剰貯蓄仮説」 を提唱した時期とほぼ一致します。この仮説は、過剰な貯 蓄(主に貯蓄率の高いアジア諸国の貯蓄)が世界的な低 金利の原因であるとする考え方です。また、65 歳以上の 人口の増加率が急上昇したこの時期は、米国やその他の 地域で住宅バブルが起きた時期とも一致しています。これ については、2008 年に弊社が発表したホワイトペーパー 「The Financial and Economic Crisis of 2008: How Did We Get Here, and How Might We Get Out?」でも言及し ました。このホワイトペーパーでは、債券商品の供給に対 して需要が過剰であったことが金利低下につながったと述 べました。 図 7/ 世界人口の全体的な増加率は横ばいかマイナスにな る可能性があるものの、65 歳以上の人口は急増している 3.0% 2.5% 2.0% 1.5% 1.0% 年齢と財産:高齢者はより裕福になっている FRB のフロー・オブ・ファンズ・レポートによると、家計セク ターの純資産は 2014 年に 83 兆ドルと過去最高水準に達 し、2008~2009 年のグレート・リセッションのときに失った 10 兆ドルを全て回復しました。実際に、2006~2007 年の 純資産は約 66 兆ドルであったため、総資産は単に回復し ただけではなく、金融危機以前の水準と比べて名目値で は 25%、実質値においても 15%以上増加したことになりま す。 しかし、消費者金融調査(SCF)によると、全体的に純資産 が増加している中で、富の分配も変化しています。SCF は 約 6,500 世帯を対象とした自己申告形式の調査に基づい ており、フロー・オブ・ファンズのデータほど包括的なもので はありません。 したがいまして、全体的な観点から 2 つの調査を単純に比 較することはできません。しかし、SCF の調査結果を見る 限り、年齢グループごとに富の分配が変化していることが 推測されます。 その他の大きな変化は、年齢ごとの富の分配です。高齢 者は常に若年者よりも多くの財産を保有しています。しか し、金融危機の影響により、その差が拡大しました。その 理由としては、以下の 2 点が挙げられます:1)高齢者世帯 の割合が高まったこと、2)高齢者世帯の純資産の中央値 がそれほど減少しなかったこと(高齢者は住宅を保有して おり、かつ住宅ローンを完済している場合が多いため)。デ ータ不足により、計算に多少の問題がありますが(この計 算においては、中央値よりも平均値を利用するほうが望ま しいと考えられる)、図 8 に示したように、QMA では、55 歳 以上の人口グループが保有する総資産の割合が、2007 年の 61%から 2013 年には 73%まで増加したと推測して います。 0.5% 図 8/ 米国の総資産の中で、高齢者が保有する資産の割 合が高まっている 米国の総資産に占める各年齢グループの保有資産の 割合の変化 0.0% -0.5% 15~64歳人口増加率(年率) 2050 2045 2040 2035 2030 2025 2020 2015 2010 2005 2000 1995 1990 1985 1980 1975 1970 1965 1960 1955 1950 -1.0% 65歳超人口増加率(年率) 2007 2013 出所:QMA、国連経済社会局人口部(2015 年)、世界人口推計: 2015 年改訂版、ウェブサイトからデータを取得しました。 これらの予測が実現する保証はありません。 現在は 65 歳以上の人口の増加率が最も高い時期にある ため、人口構造の変化による影響も最も大きくなると考え られます。また、こうした人口構造の変化により、社会公共 政策にも多くの影響が及びますが、本稿では経済や市場 への影響に的を絞って議論を進めます。まずは事実関係 の確認から始めたいと思います。人口構造の変化は富と 所得の分配にどのような影響を及ぼしてきたのでしょう か? 27.5% 39.2% 60.8% 72.5% 15-54 55+ 出所:QMA、消費者金融調査(SCF)。 15-54 55+ 6 激動の 2010 年代もすでに半分が経過:果たして、高金利・高成長の時代は再び訪れるか? 米国では富の分配が偏っており、高齢層が富の大部分を 所有しているため、このことが投資フローに影響していると 考えられます。高齢者や高齢者の資産を運用する金融機 関にとって、従来の金融アドバイスは分かりやすいもので した。それは、株式への配分を減らす一方で債券への配 分を増やし、ポートフォリオのリスクを低減するというもの でした。 例えば図 9 では、プルデンシャル・デイ・ワン・ターゲット・デ ート・ファンズにおける債券資産へのおおよその配分を年 齢別に示しています。その他のターゲット・デート・ファンズ でも似たような配分戦略となっており、年齢が高くなるに従 って債券への配分が増加しています(ターゲット・デート・フ ァンズ全体では約 1 兆ドルの資産を運用している)。1980 年代と 1990 年代の強気相場では、ベビーブーム世代の 年齢が 30 歳代から 50 歳代であったことなどから、株式フ ァンドには大量の資金流入がありました。しかし、ここ 10 年間にわたり、ベビーブーム世代の年齢が「リタイアメン ト・レッドゾーン(退職前の 10 年と退職後の 10 年の 20 年 間)」に達した、または近づいたことから、債券ファンドに大 量の資金が流入しています。 図 9/ 高齢の投資家は債券への配分が高くなる傾向がある プルデンシャルのデイ・ワン・ターゲット・ファンドにおける 債券への配分(年齢別) 70% 富の分配が高齢者に偏っていることは特に意外なことで はないかもしれませんが、所得についてはどうでしょう か?図 10 では、米国勢調査局が発表したデータに基づき、 年齢グループ別の所得を示しています(ここでは、失業保 険や社会保障給付などの移転支出を含む広義の所得を 示している)。全体的に、実質ベースの所得は 2006 年か ら 2014 年までに約 3%増加しましたが、所得の分配は大 幅に変化しました。65 歳以下の全ての年齢グループでは 平均実質所得が減少したのに対し、最も高齢の年齢グル ープでは所得が増加しました。さらに、55~64 歳のグルー プでは平均所得が若干減少したものの、この年齢グルー プの人口は 300 万人以上増加したため、この年齢グルー プの総所得は増加しました。図 11 で示されているように、 55 歳以上の米国民の所得が 2006 年から 2014 年の間に 8,000 億ドル近く増加した一方、55 歳未満の所得は同期 間に実質ベースで 4,000 億ドル以上減少しました。 図 10/ 高齢者の所得は高く、若年者の所得は低い 米国の平均年間実質所得の変化 (年齢別、2006~2014 年) $10,000 $7,635 $8,000 $6,000 60% $3,831 $4,000 $2,000 50% $1,020 $0 40% -$2,000 30% -$4,000 -$3,756 -$4,058 -$3,722 -$4,305 20% 出所:QMA、米国勢調査局 0% 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70 年齢 2015 年 9 月 30 日現在。 出所:QMA、プルデンシャル。退職年齢を 65 歳と仮定しています。説 明目的のためだけに提示されています。 株価は 2009 年の最安値から約 3 倍に上昇しましたが、株 式市場への資金流入は鈍化しており、資金流出も見られ ます。その一方で、債券商品への資金流入は堅調となっ ています。当座預金口座や普通預金口座の利息はほぼ ゼロに近く、インフレを考慮した実質ベースではマイナスの リターンとなっているにもかかわらず、2014 年におけるこ れらの口座の残高は 2006 年の水準から約 3.5 兆ドル増 加しています。10 年以内に株式市場が二番底をつけると の懸念があることも、こうした保守的な資産配分につなが っている可能性があります。しかし、人口の高齢化や、高 齢層への富の偏りによる影響は明らかに存在すると考え られます。 75歳以上 65-74歳 55-64歳 45-54歳 35-44歳 10% 25-34歳 -$6,000 15-24歳 ポートフォリオにおける債券への配分比率 年齢と所得:高齢者の所得が増加している 7 激動の 2010 年代もすでに半分が経過:果たして、高金利・高成長の時代は再び訪れるか? 図 11/ 高齢者の所得が増加 総所得の変化(年齢別、2006~2014 年) 図 12/ 働いている高齢者の収入は大幅に増加している 米国民の 1 週間の収入の中央値 (年齢別、2005~2014 年) $1,000 150 $787.1 1週間の収入の中央値(2005年の水準を100として指数化) $800 $600 10億米ドル $400 $200 $0 -$200 140 130 120 110 -$400 -$419.3 15-54歳 55歳以上 2014 2013 2012 2011 2010 2009 2008 2007 2006 2005 100 -$600 年 25-54歳 55-64歳 65歳以上 出所:QMA、米国勢調査局 高齢者の総所得は増加しましたが、賃金についてはどう でしょうか?上記の傾向については、社会保障給付で一 部説明することができますが、勤労所得に関しても高齢者 グループで大きな伸びが見られます。図 12 では、米労働 統計局のデータに基づき、2005 年と 2013 年のフルタイム 労働者の 1 週間の収入を年齢グループ別に示しています。 1 週間の名目賃金(インフレ調整なし)の全体の中央値は この 8 年間で 651 ドルから 776 ドルに増加しており、1 年 当たり平均 2.4%増加しています。しかし、若年グループの 労働者の賃金の伸びは約 2%となっており、全体の伸びを 下回っています。一方、65 歳以上の年齢グループは約 5%の伸びとなっており、最も高い伸びを示しています。55 ~64 歳の年齢グループは 3%近くとなっており、2 番目に 高い伸びを示しています。一般的な見方によると、金融危 機の影響により高齢の労働者は生活費を稼ぐ必要が生じ たため、小売店の従業員やその他の低賃金の仕事を再開 したか、またはそうした仕事を継続したと考えられます。し かし、データを見る限り、高齢のフルタイム労働者は会計 士や医者、弁護士などの高収入の職業に就き、豊かな生 活を送っている可能性が高いと考えられます。さらに、55 歳以上のフルタイム労働者の人口が 1,000 万人(24%)増 加した一方、若年の労働者の人口は横ばいか、または減 少しています。例えば、2013 年における 35~44 歳の労働 者の人口は、2005 年の水準から 300 万人近く減少してい ます。 出所:QMA、米労働統計局 上記のデータや分析によると、米国では高齢者が多くの富 や所得を得ており、富や所得の分配が極端に偏っていま す。米国ほど詳細なデータはないものの、このような傾向 は欧州やその他の先進国市場にも当てはまる可能性があ ると考えられます。図 7 でも示したように、若年人口に比べ て高齢者人口が急激に増加しており、これは世界的な傾 向であると言えます。しかし、若年層の失業率は高止まり しており、若年層の不完全雇用も深刻な問題となっていま す。したがって、所得や富の分配が偏っていることは世界 的な傾向である可能性があります。 8 激動の 2010 年代もすでに半分が経過:果たして、高金利・高成長の時代は再び訪れるか? 激動の 2010 年代も半分が経過したが、その間、 高齢者の富や所得が増加しているという事実は、 今後の経済や金融市場にどのような影響を与える であろうか? 弊社が定期的に発行しているホワイトペーパーでも繰り返 し言及しているように、将来の予測について唯一確実に言 えることは、多くの予測が外れるということです。そのことを 踏まえた上で、以下に弊社の見方を紹介します。 高齢者の消費、貯蓄、投資のパターンは若年者とは異な ります。広告主は 18~49 歳の年齢グループをターゲットと する傾向があり、それには理由があります。若年者は、フ ァッションや日用品、その他の自由裁量品を購入する可能 性が高いと言えます。一方、高齢者は全体的に多くの支 出を行う傾向がありますが、価格には敏感であり、例えば 医療などの必需品を中心に購入する傾向が強いと言えま す。また、高齢者は貯蓄が多く、借入が少ない傾向があり、 若年者とは対照的な状況となっています。米国の国民所 得は 2015 年に増加しましたが、支出や借入、貯蓄のパタ ーンは、1970 年代や 80 年代における支出や貯蓄のパタ ーンとは大きく異なっていると考えられます。 FRB を初め、世界各国の中央銀行が金利の「正常化」を 開始したとしても、金利は比較的低水準にとどまる可能性 高いという事です。最近発行したホワイトペーパー「Is 3 the New 6? The Importance of Active Management in a Low Returns Environment」で議論したように、3%の米 10 年債利回りは極端に低いわけではなく、正常な水準か、 または正常をやや上回る水準であるかもしれません。これ に対し、過去 100 年間のほとんどの期間では、これに相当 する水準が 6%でした。現在の金利は、中央銀行の低金利 政策の影響などにより低水準にとどまっていますが、米国 や世界のその他の国の高齢者や、高齢者の資産を運用 する金融機関が大量の債券を購入していることも、金利低 下の大きな要因であると考えられます。金利が過去最低 水準で推移しているにもかかわらず、債券や債券ファンド、 及びその他の固定利付き商品へ大量の資金流入が続い ています。仮に金利が過去の平均水準近く(例えば、短期 金利で 3%、10 年債利回りで 5%)まで戻るとすれば、高齢 者は残りのリスク資産を積極的に売却し、より高い安全な 固定利回りの債券を購入すると考えられます。このように、 高齢者からの旺盛な需要があるため、今後数年にわたり 債券価格は高水準で推移し、利回りは低水準にとどまると 予想されます。また、高齢者は借入を行う機会が少ないた め、人口の高齢化に伴い、債券に対する需要が増加する 一方で、供給は抑えられると推測されます。短期金利は長 期にわたり 3%を下回って推移する可能性があります。ま た、仮に FRB が今後数年にわたり、1%を大きく上回る水 準までフェデラル・ファンド金利やその他の短期金利を引 き上げるとすれば、経済や株式市場に深刻な悪影響が及 ぶ恐れがあると考えられます。 仮に金利が低水準にとどまるならば、株式市場はどのよう な展開になると予想されるでしょうか?歴史的に、投資家 は株式を保有することに対して、長期債のリターンを 4~ 5%上回るリスク・プレミアムを要求してきました。現在のリ スク・プレミアムは、それとほぼ同等の水準にあると考えら れます。もし直接利回りが債券の予想リターンにほぼ等し いならば、債券のリターンは 2%前後となり、株式の予想名 目リターンは 6~7%前後になる可能性があります。 仮にインフレ率が急上昇したならば、上記の予想は的外 れなものになるでしょうか?もちろん、絶対にそうならない とは言えませんが、その可能性は低いと考えられます。前 述のように、高齢者は非常に価格に敏感であり、限界消費 性向は若年者より低いと言えます。インフレ率が FRB の 目標である 2%に達するか、またはそれより大幅に高い水 準になるためには、高い価格を支払う人がいなければなり ません。おそらく、お金に困っている若年者は高い価格を 支払うことはできません。高齢者も、必需品を除けば、高 い価格を支払うことに対して消極的であると考えられます。 したがって、経済ショックなどがない限り、先進国のインフ レ率が急上昇する可能性は低いと考えられます。実際に、 ここ数年間においてはデフレ懸念のほうが強かったと言え ます。 人口動態は古い話題のように思われるかもしれません。 ベビーブーム現象は約 70 年前に始まり、半世紀にわたり 広く議論されてきました。しかし、金融危機やグレート・リセ ッションの影響により、高齢者(より保守的でリスク回避的 な年齢層)への所得や富の移転が加速したことについて は、それほど広く理解されていないかもしれません。ここ 1 年程の間で、若い世帯の実質所得がようやく増加している 兆しが見られました。しかし、米国やその他ほとんどの先 進諸国で人口の高齢化が進んでいることを踏まえると、第 二次世界大戦後の好景気で見られた状況と比べて、2010 年代後半及びこれからの 10 年間は低成長や低金利、低 インフレが続き、株式のリターンも低くとどまる可能性が高 いと考えられます。人口の伸びが鈍化していることも併せ て考慮すると、GDP 成長率が減速したとしても、全般的な 生活水準が低下するとは限りません。それどころか、技術 革新や起業家精神により生産性が高まるため、生活水準 は向上する可能性もあります。しかし、借金に頼らずに、 金融資産を利用して老後資金を捻出しようとする人が増加 しているため、特に債券に対しては、家計セクターにおけ る債務の減少に伴い債券商品の供給が伸び悩むにもか かわらず、需要は高まると考えられます。FRB が金利の 「正常化」を進める中で、金利がどのように変化するかを 正確に予想することはできませんが、債券に対する旺盛な 需要が存在していることを踏まえると、金利は今後何年に もわたり、FRB のドット・チャートで示される水準を大幅に 下回って推移する可能性が高いと考えられます。 9 激動の 2010 年代もすでに半分が経過:果たして、高金利・高成長の時代は再び訪れるか? 寄稿者 クオンティテイティブ・マネジメント・アソシエイツについて Ed Keon マネージング・ディレクター ポートフォリオ・マネージャー アセット・アロケーション運用チーム クオンティテイティブ・マネジメント・アソシエイツ クオンティテイティブ・マネジメント・アソシエイツは 1975 年 以来、長期にわたり再現可能なアウトパフォーマンスを上 げる取組みにおいて、豊富な経験に基づく判断力と詳細な 投資リサーチを組み合わせることで投資家に貢献してきま した。弊社は現在、企業及び公的年金制度や、基金及び 財団法人、複数事業主年金制度、その他の金融サービス 会社に対するサブ・アドバイザリー・アカウントなど、世界 中の機関投資家を顧客基盤として約 1,050 億ドル*の資産 をグローバルに運用しています。 * 2015 年 9 月 30 日現在 詳しい情報に関するお問い合わせ先 QMA の資産配分能力について詳しい情報をお求めの方 は、マネージング・ディレクター兼ポートフォリオ・スペシャリ ス ト で あ る Stephen Brundage ま で ご 連 絡 く だ さ い ( [email protected] ま た は 973-367-4591)。 10 激動の 2010 年代もすでに半分が経過:果たして、高金利・高成長の時代は再び訪れるか? 本資料は経済状況、資産クラス、有価証券、発行体または金融商品に関する寄稿者の見解、意見及び推奨を示したもので す。本資料を当初の配布先以外の方(当初の配布先の投資アドバイザーを含む)に配布することは認められておりません。 またクオンティテイティブ・マネジメント・アソシエイツ・エルエルシー(QMA)の事前の同意なく、 本資料の一部または全部を 転用することや記載内容を開示することを禁止いたします。本資料に含まれる情報の一部は、その提供時点で当社および QMA が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、当該情報の正確性や完全性、および当該情報が変更され ないことを保証するものではありません。本資料に含まれる情報は、発行日(または本資料で参照されているそれ以前の日) 現在のものであり、予告なく変更されることがあります。当社および QMA は、当該情報の一部または全部を更新する義務 を負っていません。また当社および QMA は、その完全性または正確性に関して明示または黙示の保証または表明を行い ません。本資料は証券や他の金融商品の売買に関する販売あるいは勧誘を目的とするものではなく、投資運用サービス の提供を目的とするものでもありません。また、投資判断の材料として用いるべきでもありません。過去のパフォーマンスは 将来の結果を示すものではありません。本資料に記載あるい本資料から派生した情報の使用から生じるは損失(直接的、 間接的、派生的に関わらず)について一切の責任を負いません。QMA およびその関係会社は、QMA およびその関係会社 の口座に関して本資料に記載されている推奨および見解と異なる投資判断を行うことがあります。 本資料における意見および推奨は、個別のお客様の状況、目的、ニーズを考慮しておりません。また、特定の有価証券、 金融商品または戦略について、特定のお客様や見込顧客に推奨するものでもありません。いかなる有価証券、金融商品ま たは戦略についても、それが特定のお客様や見込顧客に適合するか否かの判断は行っていません。本資料に記載された 証券または金融商品についてのご判断はご自身で行ってください。本資料で参照している金融インデックスは情報提供の みを目的として提示されています。インデックスに直接投資することはできません。そうしたインデックスに関する統計データ は、信頼できると判断した情報源から入手したものですが、第三者の検証は行っていません。 米 10 年債とは、米国政府が発行する債務証券の中で償還期限が 10 年のものです。米 10 年債の保有者は 6 ヶ月ごとに 固定金利の利息を受け取り、償還時には額面金額を受け取ります。 本資料には“将来予測”(本資料作成時点での市場、業種、規制動向についての観測を含む)となりうる情報が一部含まれ ています。実際のイベントや結果は、様々なリスクや不確実性により、そのような将来予測に反映或いは意図されているこ とから大きく乖離することがあります。結果として、これらの将来予測を基に意思決定を行うべきではありません。将来のパ フォーマンスや将来予測について表明及び保証するものではありません。 Copyright 2015 QMA. All rights reserved. QMA-20151119-259 11 激動の 2010 年代もすでに半分が経過:果たして、高金利・高成長の時代は再び訪れるか? 本資料は、クオンティテイティブ・マネジメント・アソシエイツが作成した“The Turbulent Teens at Halftime: Will Low Rates and Slower Growth Continue?”をプルデンシャル・インベストメント・マネジメント・ジャパンが翻訳したものです。原文(英語 版)と本資料の間に差異がある場合には、原文(英語版)の内容が優先します。本資料は、情報提供を目的としたものであ り、特定の金融商品の勧誘又は販売を目的としたものではありません。また、本資料に記載された内容等については今後 変更されることもあります。 記載されている市場動向等は現時点での見解であり、これらは今後変更することもあります。 また、その結果の確実性を表明するものではなく、将来の市場環境の変動等を保証するものでもありません。本資料に記 載されている市場関連データ及び情報等は信頼できると判断した各種情報源から入手したものですが、その情報の正確性、 確実性について当社が保証するものではありません。 過去の運用実績は必ずしも将来の運用成果等を保証するものでは ありません。 本資料は法務、会計、税務上のアドバイスあるいは投資推奨等を行うために作成されたものではありません。 当社による事前承諾なしに、本資料の一部または全部を複製することは堅くお断り致します。 “Prudential”、プルデンシャル・ロゴおよびロック・シンボルは、プルデンシャル・ファイナンシャル・インクおよびその関連会 社のサービスマークであり、多数の国・地域で登録されています。 プルデンシャル・インベストメント・マネジメント・ジャパン株式会社は、世界最大級の金融サービス機関プルデンシャル・ファ イナンシャルの一員であり、英国プルーデンシャル社とはなんら関係がありません。 プルデンシャル・インベストメント・マネジメント・ジャパン株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 392 号 PIMJ201512290689 原文(英語版)につきましてはウェブサイト (http://www.investmentmanagement.prudential.com/documents/pimusa/qma_turbulent_teens_2016.pdf)をご 参照ください。
© Copyright 2024 Paperzz