防火対象物の使用の禁止、停止又は制限の命令 消防機関は、消防法に基づき防火対象物(公会堂、集会場、料理店、飲食店、マーケットその 他の物品販売業を営む店舗、展示場、旅館、ホテル、宿泊所、寄宿舎、共同住宅、病院、老人福 祉施設、有料老人ホーム、小学校、中学校、高等学校、大学、図書館、博物館、美術館、工場、 作業場、事業場(官公庁、銀行、その他事務所、スポーツ施設などの施設)の使用の禁止、停止 又は制限の命令をだすことができます。なお、命令の概要は、次のとおりです。 1 命令できる場合 防火対象物の位置、構造、設備又は管理の状況から、次のいずれかに認められる場合は、防 火対象物の使用の禁止、停止又は制限を命じることができます。 ① 消防法第5条第1項、第5条の3第1項、第8条第3項若しくは同条第4項、第8条の2 第3項又は第 17 条の4第1項の規定により必要な措置が命ぜられたにもかかわらず、その 措置が履行されず、履行されても十分でなく、又はその措置の履行について期限が付されて いる場合にあっては、履行されても当該期限までに完了する見込みがないため、引き続き、 火災の予防に危険であると認める場合、消火、避難その他の消防の活動に支障になると認め る場合又は火災が発生したならば、人命に危険があると認める場合 ② 消防法第5条第1項、第5条の3第1項、第8条第3項若しくは同条第4項、第8条の2 第3項又は第 17 条の4第1項の規定による命令によっては、火災の予防の危険、消火、避 難、その他の消防の活動に支障又は火災が発生した場合における人命の危険を除去すること ができないと認める場合 2 命令権者 消防(署)長 3 命令対象者 権原を有する関係者 4 命令の内容 当該防火対象物の使用の禁止、停止又は制限を命じることができます。 5 公 示 消防(署)長は、命令をした場合においては、標識の設置、公報への掲載その他市町村長が 定める方法により、その旨を公示しなければならない。 6 標識の設置 標識は、命令に係る防火対象物又は当該防火対象物のある場所に設置することができる。こ の場合においては、命令に係る防火対象物又は当該防火対象物のある場所の所有者、管理者又 は占有者は、当該標識の設置を拒み、又は妨げてはならない。 7 不服の申立期間 この命令についての審査請求又は異議申立てに関する行政不服審査法(昭和 37 年法律第 160 号)第 14 条第1項又は第 45 条の期間は、当該命令を受けた日の翌日から起算して 30 日以内 とする。 8 訴えの提起 この命令又は命令についての不服申立てに対する裁決若しくは決定の取り消しの訴えは、そ の命令又は裁決若しくは決定を受けた日から 30 日以内に提起しなければならない。 9 損失補償 この命令についての損失補償については、次のとおりです。 (1)この命令を取り消す旨の判決があった場合においては、この命令によって生じた損失に対 しては、時価によりこれを補償します。 (2)防火対象物の位置、構造、設備又は管理の状況が消防法若しくは消防法に基づく命令又は その他の法令に違反していないときは、 (1)にかかわらず、この命令によって生じた損失に 対しては、時価によりこれを補償します。 (3)(1)及び(2)の補償に要する費用は、その市町村が負担します。 10 罰 則 この命令に違反した者は、2年以下の懲役又は 200 万円以下の罰金に処せられます。また、 情状により懲役及び罰金が併科されます。 参考までに次頁に命令書の例をあげます。 防火対象物全体の使用停止命令書(例) ○○第○○号 平成○年○月○日 ○○県○○市○○町○丁目○番○号 ○○○小学校 校長 ○○○○ 殿 ○○市消防本部 ○○消防署長 命 令 所 在 ○○県○○市○○町○丁目○番○号 名 称 ○○○小学校 用 途 小学校 ○○○○ 印 書 上記防火対象物は、火災が発生したならば人命に危険であると認めるので、消防法第5条の2 第1項第2号の規定により下記のとおり命令する。 記 1 命令事項 平成○年○月○日以降、1階の東側の壁に面して設置しているストーブと壁との間の離隔距 離を○○市火災予防条例に規定する○○㎝以上離して設置を履行するまでの間、当該防火対象 物を使用しないこと。 2 命令の理由 (1)から(3)までの法令違反が併存し、火災が発生したならば人命に危険であると認めること。 教示 この命令に不服のある場合は、命令を受けた日の翌日から起算して 30 日以内に○○市消防長 に対して審査請求をすることができる。
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