記号・記法表

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記 号・記 法 表
記号・記法表
以下に数学で多用される記号・記法の一覧とその説明をまとめておく.
● 特別な数の集合に対しては,次のような記号が使われる:
N:自然数 0, 1, 2, . . . の全体[Natural numbers] (0 を含めるのは整数論の流儀)
Z: 整数 0, ±1, ±2, . . . の全体[ドイツ語 Zahlen]
a
Q: 有理数 (a, b は整数,b 6= 0) の全体[Quotients]
b
R: 実数の全体[Real numbers]
√
√
C: 複素数 a + b −1 (a, b は実数, −1 は虚数単位) の全体[Complex numbers]
N, Z, Q, R, C を手書きするときにはいちいち太い部分を塗りつぶすのは面倒なの
で,N,
Z, Q, R, C あるいはこれに似た形にすることが多い.
√
−1 は i で表すことも多いが,i はしばしば添字などの可変整数を
√
表すので,混同を避ける必要がある場合には −1 を用いるほうがよい.
なお,虚数単位
● 数学ではギリシャ文字も多用される.
大文字 小文字
読 み
大文字 小文字 読 み
大文字 小文字 読 み
A
α
アルファ
I
ι
イオタ
P
ρ
ロー
B
β
ベータ
K
κ
カッパ
Σ
σ
シグマ
Γ
γ
ガンマ
Λ
λ
ラムダ
T
τ
タウ
∆
δ
デルタ
M
µ
ミュー
Υ
υ
ウプシロン
E
², ε
イプシロン
N
ν
ニュー
Φ
φ, ϕ
ファイ
Z
ζ
ゼータ
Ξ
ξ
グザイ
X
χ
カイ
H
η
エータ
O
o
オミクロン
Ψ
ψ
プサイ
Θ
θ
シータ
Π
π
パイ
Ω
ω
オメガ
文字によっては上の表とは違う読み方をしている人もいる.たとえば Θ, θ を「テー
タ」,Ξ, ξ を「クシー」など.
● 教科書によっては,
「定理」のほかに「命題」
「補題」
「系」という項目が立っている
ことがある.
命題 (Proposition; (略)Prop.):理論を展開していく上で重要なことがら.要証明.
定理 (Theorem; (略)Thm., Th.):命題のうちとりわけ重要度の高いもの.
補題 (Lemma; (略)Lem.):定理や命題を証明する際に使われる補助的な命題のこと.
系 (Corollary; (略)Cor.):定理や命題の直接の帰結として得られる命題のこと.
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記 号・記 法 表
● 次の省略形は板書でしばしば使われる:
i.e.:すなわち;言い換えれば.
[ラテン語 id est (=that is) の略]
s.t.:∼であるような,∼をみたすような.
[such that の略]
q.e.d., Q.E.D.:証明終わり.
[ラテン語 quod erat demonstrandum の略]
証明終わりを「¤」や「 」で表すことも多い.
cf.:参照せよ;比較せよ.
[ラテン語 confer の略]
e.g.:例えば.
[ラテン語 exempli gratia の略]
etc.:など.
[ラテン語 et cetera の略]
● 次の記号もよく用いられる.
∀
全ての;任意の.[Any, All, Ar-
∃
存在する.[Exist]
∴
ゆえに;したがって.
bitrary]
∵
なぜならば.
≥, >
「=」と同じ意味.
≤, 6
「5」と同じ意味.
⊇
「k」と同じ意味.
⊆
「j」と同じ意味.
● 集合の包含関係を表す「A ⊂ B 」「B ⊃ A」は A = B であることを排除しないこ
とも多い.この場合,A が B に含まれかつ A 6= B であることを明示するときは
「A $ B 」「A ( B 」あるいは「B % A」「B ) A」と表す.
一般に S を集合とするとき,a が S の ‘要素’ であることを「a ∈ S 」または「S 3 a」
と書く.例えば「a ∈ Z」は「a が整数全体の集合 Z の要素」,つまり a が整数とい
うことである.
S の要素のうち条件 P をみたすもの全体からなる集合を「{x | x ∈ S, P}」あるい
は「{x ∈ S | P}」と書く.
● これまでに説明してきた記号について以下にいくつか使用例を挙げておく.
例
f (x) = 1 + x2 とすると f (α) 6= 0 (∀ α ∈ R). [どんな実数 α をとっても
f (α) 6= 0 である.
]
例
∀ a ∈ R ∃ b ∈ R s.t. b3 = a. [任意の実数 a に対して b3 = a となる実数 b が
存在する.
]
例
座標平面上の原点を中心とする単位(閉)円板は {(x, y) ∈ R2 | x2 + y 2 5 1}
と書くことができる.ただし R2 は座標平面のことである.