図書館報でいご第37号 2003(平成15)年4月2日発行

2003(平成15)年
4月2日発行
37号
第
沖縄国際大学図書館
沖縄県宜野湾市宜野湾二丁目6番1号
〒901-2701
TEL(098)892-1111(代)内線2102・2104
FAX(098)893-3274・0019
目
次
※君たちに期待する ―― 図書館から新入生へ ――
図書館長 稲福日出夫 …………………………………………………
1〜2
※大学図書館の使い方
総合文化学部助教授 山口真也 ……………………………………… 3
※図書館を利用しよう
図書館を有効利用
商経学部商学科4年次 城間良和 …………………………………… 4
図書館は情報の宝庫
法学部法学科卒業生 高里ひかり …………………………………… 4
※大学図書館の姿
商経学部助教授 モンコンノラキット・モンコン ………………… 5
※図書館で「ワクワク」
総合文化学部講師 片本恵利 ………………………………………… 6
※キーワードは「離島」
15年ぶりに
〈学生として歩く〉宮古島
地域文化研究科 南島文化専攻修士課程2年次 三上智恵 ……… 7
筑波大学大学院図書館情報メディア研究科に合格して
商経学部経済学科卒業生 城間容子 ………………………………… 8
※『リサイクル幻想』
商経学部助教授 名城 敏 …………………………………………… 9
※新図書館システム導入
前図書課運用係長(教務課長補佐) 山里 洋 ……………………… 10
※学科長が新入生に薦める5冊(種類)の本 ……………………………………… 11
※図書館オリエンテーション/寄贈図書(個人)………………………………… 12
※平成14年度 論文・エッセイ …………………………………………………… 13
※「祖父の存在」
14〜16
文学部英文学科4年次 新里有紀子 …………………………………
※上映会(嶺井かおり)……………………………………………………………… 16
17〜18
※「調べ物の仕方」
(富村菊江)………………………………………………………
◇三十年史特集◇
※『沖縄国際大学三十年史』出版随想
三十年史編集委員会委員長(総合文化学部教授) 野原三義 ………
※宜野湾森、移ろう日々を脳裏に留める
三十年史編集委員(総合文化学部教授) 宮城邦治 …………………
※三十年史編集作業に携わって
(株)東洋企画印刷 明石直子 …………………………………………
※三十年史納品記事/三十年史執筆者一覧 ………………………………………
※三十年史編集委員会等変遷 ………………………………………………………
※図書館協議会総会・講演会開催/日曜館外貸出開始/防災訓練/私大助成 …………
※平成13年度図書館統計 ……………………………………………………………
※平成13年度図書館利用状況 ………………………………………………………
※図書館訪問/県立学校図書館司書の研修会 ……………………………………
※図書館見学・視察一覧 ……………………………………………………………
※まだまだ「スタート地点」
ニューヨークでカウンセリングの勉強 ………………………………………
図書館職員 比屋根奈津子
私の履歴書から・・・ ……………………………………………………………
前図書館職員(入試課) 嶺井かおり
※平成15年度図書委員会委員一覧/平成14年度図書委員会開催状況/人の動き ……
※図書館短信/編集後記 ……………………………………………………………
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君たちに期待する
― 図書館から新入生へ ―
図書館長
新入生の皆さん、入学おめでとうございます。
皆さんは、大学に入学したら、あれをやろう、こ
れもやりたい、と様々な夢を描いていたことで
しょう。実際、今日からその夢を手がけることが
できるのです。あるいは、その夢に立ち向かう皆
さんの真剣さが今日から試される、といったほう
がいいのかもしれません。
これまで、その夢は漠然としたものであった、
ということは仕方がありません。が、しかし、た
とえ漠然としか描けなかったものであったとして
も、それは決していい加減なものではなかったの
だ。他の誰の人生でもない、自分の人生の一回性
と真剣に立ち向かう思いでそれを描いていたの
だ、といえるかどうか。皆さんは、今日その入り
口に立っているわけです。
かつて、皆さんは自分のお小遣いで買った漫画
や小説、また文庫本などが、教科書や参考書の横
で本棚に並んでいくのが嬉しかったでしょう。あ
るいは、好きな歌手のCDやカセットテープが増
えていくのも、楽しみのひとつだったと思います。
本学の図書館は、地上4階、地下2階、延床面積
100
, 96、座席数837席、図書収容能力は76万冊余
りであります。この図書館に現在、図書が約30万
冊余り所蔵されております。また、相互貸借制度
を利用して、全国の図書館と連携しておりますの
で、レファレンスを通してお目当ての図書と出会
うこともできます。アンテナを張り巡らし、その
感度を鋭くしておくことです。視聴覚資料が約
70
, 00点、雑誌は約22
, 00種余り。皆さんは、これだ
けの資料を目にし、自由に利用することができる
のです。これらの図書や資料は、貴重図書を除い
てほぼ全面開架方式になっているのも、本学図書
館の特徴です。
3階のAVリソースコーナーでは、カセット・
テープやCD、ビデオ、LD、DVDなどのソフト
が視聴できます。大型スクリーンを備えた4階の
AVホールには、99座席用意されており、そこで
は定期的に映写会が行われております。
皆さんは今、思い描いた夢を具体化したい、充
稲
福
日出夫
実した学生生活を送りたい、と切に望んでいるは
ずです。そのためには図書館を知り、愛すること
です。我々図書館員もまた、そうあって欲しい、
と願っております。応援します。
来週から少人数単位で図書館オリエンテーショ
ンが始まります。これは、新入生全員が受けるプ
ログラムです。図書館の職員もこれに対して総動
員態勢であたることになっております。この機会
を是非有効に活用して、皆さんの大学図書館を
知ってください。
図書館を愛する、といえば、皆さんもよく知っ
ている「グリム兄弟」もまた、図書館をこよなく
愛しておりました。ちなみに、グリム兄弟は、8
男1女の兄弟でしたが、長男、七男、八男は、幼
少期に亡くなってしまい、結局、5男1女が成人
となっていきます。そして、
「グリム兄弟」として
知られているのは、次男ヤーコプ・グリムと三男
ヴィルヘルム・グリムの兄弟のことです。
彼 等 兄 弟 は、
そう裕福ではな
い家庭に育ちま
し た。し か し、
子供の頃、
「おは
なし、おはなし」
と、母 親 に 話 を
ねだっていまし
た。マ ザ ー グ ー
スの話や、また、
ドイツの昔話を
聞くのが好きで
し た。何 度 も 何
度も聞いていま
すので、その読み聞かせる話の展開を彼等は知っ
ています。それで、怖い場面になると、耳をふさ
いでしまいました。それでも、母親が話を止めよ
うとすると、
「続けて、続けて」とお願いしたそう
です。
兄弟は、マールブルグ大学法学部に入学します。
しかし、父親を早くに亡くした彼等にとって、母
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親からの送金はあてにできませんでした。彼等
は、切りつめた学生生活を送らざるをえませんで
したが、ヤーコプは『自叙伝』でこう語っています。
「貧しさは、人をむち打って真剣に勉学しようと
いう気持ちにさせ、気を散らさないようにし、高
貴な誇りを注ぎ込んでくれます。つまり、自分で
働いてお金を得ているという意識が、身分と財産
に守られて安楽にやっている他の人々に対して、
絶対に負けないぞ、という気持ちにさせているの
です」
。
彼等は図書館の空気を吸うとホッとした気分に
なった、と言っています。おそらく、自由にでき
る時間をみつけては図書館に通い、そこで存分に
夢を紡いでいたことでしょう。実際、彼ら兄弟は、
図書館が好きであった。というのも、大学を卒業
すると、二人とも郷里に帰って図書館に勤めるこ
とになります。
ひとりの人間が同時に幾種類もの職に就くこと
はできません。夢を具体化するとは、ある意味で
は自分を限定するということでもあります。学生
時代は、とかく、なんにでもなれるんだ、といった
自己の抽象性に溺れがちになります。自分を限定
すること、絞り込むことを嫌がる傾向があります。
が、人間がひとかどの人間になる、ということは、
社会の一員になる、ということでもあります。そ
して、どのような職であれ、その自分の夢の実現
が、じつはまた、社会の役にも立っている。個人
と社会の関係は、おそらくそういうものだろうと
思います。では、どのような社会の一員になりた
いのか。どのように自分を限定していくのか、具
体化していくのか。どうぞ、図書館に来て、悩ん
でください。
私の学生時代、もう30年も前のことです。その
頃、金はないが暇はあったので、よく大学の図書
館に通いました。そこでは法律の専門書だけでな
く、なかなか学生の身では買うことのできない高
価な写真集などもよく拡げては眺め入っていまし
た。ジャコメッティのあの作品群、削ぎ落とせる
ものはすべて削ぎ落とした、とでもいったような
針金細工に似た細長い立像の写真なども、ぼんや
りと開いたりしていました。常に正面を見据えて
いる顔の小さい肖像や一種異様な彫像を、皆さん
も何かの機会に見たことがあるでしょう。
その頃また、よく読んでいた或る評論家の次の
ような一節に、図書館で出会いました。
「いかなる彫像も、いつかは海に呑みこまれる。
作者は去り、作品は消える。
(作品がブロンズの像
であっても、社会制度であっても、それは同じこ
とだ。
)しかしそのとき、そこで、私の世界は早春
の海とジャコメッティの像とから成りたっていた
のだ。繰返し打寄せる波、巨大な拡り、自然。そ
の自然を見、理解し、愛するものの一回性が、凝っ
て化したブロンズの形。ジャコメッティの作品
は、その生涯の証言である。しかし同時に人間に
固有なもの(本質的なもの)の証言でもある。彼
の生涯が、他の誰の生涯ともちがっていたのでは
ない。誰の生涯にとっても本質的なものに、徹底
的に相対し、本質的なものにのみ係りあいながら
生きる勇気が、彼にだけあったということだ」
(加
藤周一『稱心獨語』より)
。
皆さんのこれからの長い人生のなかで、4年間
というのは短い期間にすぎない。といえば、なる
ほどそうかもしれません。しかしまた、学生時代
のこの4年間をどのように過ごすのか。というこ
とが、今後の人生の処し方に、大きな影響を与え
ることも確かなようです。ものの見方、感じ方、
捉え方を、皆さんが沖縄国際大学で過ごすこの期
間に、じっくりと熟成させてください。図書館の
醸し出す空気を思う存分に吸ってください。図書
館に足を運ぶことです。
取り留めのないことをつらつらと綴ってしまい
ました。
最後に、皆さんの胸の内にある己の夢を追い求
めながら、なお、それに必然的に繋がる人生の意
味や世界について考え悩み、鍛えられることを、
要するに、充実した学生生活を送ることができる
よう、図書館からエールを送りたいと思います。
君たちに期待しています。
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年4月2日
大学図書館の使い方
総合文化学部助教授
「図書館」という言葉を聞くと、どのような場所
をイメージしますか? 「本がいっぱいあるとこ
ろ」というイメージが一般的でしょうか。しかし、
本があるだけでは図書館は成り立ちません。今日
は、図書館を成り立たせている「3つの要素」を
説明しながら、本学図書館の利用方法を紹介して
みましょう。
図書館に入って、まず目に付くものはやはり棚
にずらりと並んだ「本」ですね。本学図書館には
約30万冊を越える本が所蔵されています。町の図
書館の蔵書が5万冊くらい、学校図書館で1万冊
くらいですので、その規模の大きさに驚かされる
ことでしょう。ただし、大学図書館にある本は「専
門書」が中心です。目的に応じて町の図書館を併
用しながら、レポート作成や研究にどんどん活用
してください。
棚にあるものは本だけではありません。3階に
は専門的な学術雑誌、1階の入り口近くには「ブラ
ウジングコーナー」といって、趣味娯楽のための雑
誌や新聞が並べられています。その数は約22
, 00種
類を越えていますので、興味のある分野の雑誌は
一通りそろっていると言ってもよいでしょう。図
書館ではこれらの雑誌をソファに座ってゆったり
と楽しむこともできます。3階の AV コーナーに
上ってみると、5000点を越えるビデオや CD が並
んでいます。勉強や授業の合間に AV ブースに
座って映画を見たり、クラシックを聴く、という
贅沢な時間の使い方も試してみてはどうでしょう
か。
さて、再び図書館を見渡してみましょう。図書
館には本やビデオなどの「資料」の他に、さまざ
まな「設備」が用意されています。例えば、各階
にあるコンピュータは館内のどこにどのような本
があるかを調べるためのものです。30万冊もある
わけですから、図書館は一つの大きな迷路です。
この機械がなければ、たちまち道に迷ってしまい
ます。4月中旬に行われる「図書館利用オリエン
テーション」に参加して、早い時期に操作方法をマ
スターしましょう。館内のコンピュータでは、新
山
口
真
也
聞記事検索や各種データベースからの情報収集も
可能です。いまや知識や情報は本の中だけにある
わけではありません。館内のコンピュータは、世
界中に広がるインターネットに接続されていま
す。新しい情報をどんどん手に入れて、授業や研
究に活用してください。図書館にはこの他に、AV
ホールやスタジオ施設も設置されています。
さて、ここでもう一度、館内を見渡してみま
しょう。
「資料」と「設備」があれば図書館が成り
立つかというと、そういうわけではありません。
資料と設備を利用者へと結びつける役割をもつ
「図書館員」という存在も忘れてはなりません。
図書館員という仕事は「司書」と呼ばれる資格を
必要とする専門的な職業です。図書館にはさまざ
まな資料が準備されていますが、自分のニーズに
ぴったりの情報を探し出すのはなかなか難しいこ
とです。課題は出たけれど、どの本をどんなふう
に調べていいか分からない、といった悩みは大学
生活を送る上で誰もが経験することでしょう。図
書館には貸出カウンターのほかに、
「レファレンス
カウンター」が準備されています。レファレンス
とは参考調査サービスを意味します。利用者と知
識 ・ 情報を結びつける役割は図書館員の重要な仕
事です。調べものをしているときに分からないこ
とがあれば、どんどん図書館員に質問してみま
しょう。
私も大学を卒業して10年近い時間が過ぎました
が、振り返ってみると、大学時代ほど、自分のため
に時間を使うことができる期間はないように思い
ます。本学図書館の「資料」
「設備」
「図書館員」
という3つの要素を上手に活用することで、みな
さんの大学生活が有意義なものになることを願い
ます。
3
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年4月2日
図書館を利用しよう
図書館を利用し付加価値を高める 入学して卒業するまでの間、あなたは何回図書館を利用しますか。図書館には、専門書や手軽に読める本など約30万冊
が常備されています。その中には約200
, 00冊の郷土資料も含まれています。県内、国内外の新聞も用意されています。AV リ
ソースコーナーには、ビデオ、レーザーディスク、CD などの視聴覚資料が常備されています。パソコンを使ってのレポート作
成やインターネットからの情報検索、名画の鑑賞も可能です。図書館を利用し、あなたの付加価値を高めてください。
図書館を有効利用
商経学部商学科4年次
城
間
良
て、そのことに時間を費やすことがありませんで
した。
大学では自分で時間割を決めるため、空いた時
間は勉強をしたり、1階と3階の閲覧席で雑誌を
読んだりすることができます。好きな本を読んで
いると時の経つのを忘れてしまいます。
それと、パソコンでワープロとインターネット
を利用することができます。ワープロを使ったレ
ポート作成、インターネットを利用した情報収集
なども可能です。
大学は自分で目標を決めていきます。図書館を
利用することにより、目標を達成するためのカギ
を見つけることができます。一年間の大学生活を
経験し、図書館は私にとってなくてはならない場
所となりました。これからは資格検定や卒業論文
などに力を入れ頑張っていきたいと思っていま
す。
皆さんも、目標を達成するために図書館を利用
することをおすすめします。
和
平成14年に沖縄国際大学へ専門学
校から編入学しました。そしてその
年に初めて沖縄国際大学の図書館を
利用しました。
今まで学校の図書館や公共の図書
館を利用したことはありましたが、沖縄国際大学
の図書館を利用して、その広さや参考資料の多さ
に驚きました。
専門学校には図書館がなく、資格検定などのテ
ストは自分が購入した資料でしか勉強できません
でした。また、教室や家で勉強するためほかの事
に気をとられ集中して勉強できませんでした。
沖縄国際大学の図書館を利用して教室や家とは
違い集中することができ、テストやレポートの作
業がとてもはかどりました。また、資料を探すと
きなどはOPACを使った資料検索で簡単にでき
図書館は情報の宝庫
法学部法学科
高
里
集し、パソコンでレポート作成をするという一連
の作業が図書館で出来るのが最大の利点でした。
その他にも、講議と講議の間の空き時間は友達同
士で映画を見たり、グループ学習室を使いみんな
で調べものをしたり、純粋に読書したりもしまし
た。高校まではどちらかというと図書館を利用す
る事が少なかったのですが、本学の図書館と出会
い「自分なりの図書館の利用方法」を見つけ、活
用するようになりました。それに図書館職員の方
の対応も、とても親切で丁寧です。
今は、私にとっ
て大好きな場所のひとつです。
新入生のみなさん、これから始まる学生生活を
実り豊かにするために大いに図書館を利用しま
しょう。利用するのとしないのとでは大きな違い
が出てきます。自分なりの図書館の利用方法を見
つけて、勉強、リフレッシュの場として大いに活
用し、素晴らしい学生生活を送って下さい。
ひかり
(平成15年3月卒業)
よく「図書館は情報の宝庫」と言
われます。私は今までその言葉がピ
ンときませんでした。しかし、本学の図書館と出
会い、実感がわきました。それは一般・専門図書や
雑誌が豊富であるのはもちろん、パソコンやビデ
オ・LD など AV リソースコーナーも充実している
からです。きっと初めて入館される方は、驚きの
連続だと思います。
このような素敵な図書館を在学中の4年間、私
はフルに活用させてもらいました。私は教員を目
指しており、大学1年の時から教員免許取得のた
めに毎日とい っていい程、図書館へ通い勉強に励
んできました。課題を仕上げるのに、参考文献を
みつけて、さらにインターネットなどで情報を収
4
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年4月2日
大学図書館の姿
商経学部助教授
この原稿を依頼された当初は、「タイの図書館」
モンコンノラキット・モンコン
分なサービスをますます提供しにくい状況を生み
という題目をいただいたのだが、私は母国タイを
出してしまう。
離れて8年が経過し、その間日本の大学に在籍し
それでは、どのようにすればこのような事態を
ていたことから、タイの図書館に関しては十分な
防ぐことができるのであろうか。答えは至極単純
情報を持っていない。そこで、私の研究分野であ
である。利用者の声にもとづいたサービスを提供
る消費者行動の観点から、大学図書館の本質につ
すればいいのである。私の大阪、埼玉、東京での
いて考えてみたいと思う。
在学経験によると、日本人学生は、大学側に要望
タイにおいても日本においても、大学図書館は
や苦情をあまり発言しない傾向がある。要望や苦
設備やサービスの差こそあるが、その性格は、主
情がなければ、図書館のサービスは向上しない。
に学生・大学院生や教職員に資料や情報を提供す
「良い図書館」とは、学生・大学院生の声を取り
るサービス機関であるという点で共通している。
入れ、サービスの向上に努める図書館である。し
したがって、大学に入学し、図書館の利用者とな
たがって、学生・大学院生は「消費者の役割」を
る学生・大学院生は、市場の原理に換言すれば、
担わなければならない。利用者である学生・大学
サービスを購入し使用する一種の「消費者」であ
院生は、図書館の長所だけでなく短所も知ってい
る。大学生や大学院生になるには、周知のとおり
るのであるから、積極的に発言することが可能で
だが、入学試験を経て学費を納入し大学(院)に
ある。例えば、東京のある私立大学では、図書館
入学しなければならない。この時点で、学生・大学
内に投書箱が設置され、常時要望などを投函でき
院生は、大学側が提供する知識を購入しているわ
るようになっている。投書は図書館員による回答
けである。学生・大学院生は入学前、すなわち購買
とともに数日以内に図書館の学内ホームページに
前において、大学に対しさまざまな「期待」を抱
公開され、図書館員と利用者だけでなく「消費者の
いている。教育設備、授業、教授陣に対する期待
目を持つ」利用者同士のコミュニケーションの場
など人によってさまざまであるが、その一つに図
となっている。この図書館では、要望をもとにさ
書館があげられるだろう。
まざまなサービスが改正されたり新設されたりし
消費者すなわち学生・大学院生は、程度の差はあ
ているという。
るにしろ、入学前に自分にとって理想的な「図書館
大学図書館を作り上げるのは、大学側だけでな
像」を胸に抱いている。けれども、実際に入学し図
く、一人一人の学生・大学院生である。
書館を利用してみると、例えば、資料が少ないと
か図書館員の対応がよくないなど、入学前に抱い
ていた「期待」が外れ、さまざまな不満が出てく
ることは珍しくないであろう。図書館に対して不
満を持っている学生・大学院生は、友人知人などに
不満を語り、否定的な情報を流布することがある。
この否定的な情報は、例えば、当該大学に入学を
希望する者に伝わった場合、大学に関するマイナ
スの情報と受け止められ、志望大学を変更する判
断材料となる可能性がある。入学希望者の減少
は、結局のところ、将来的な図書館利用者数の減
少となり、大学図書館の予算が減少するため、十
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図書館で「ワクワク」
総合文化学部講師
私が今の仕事に就いたきっかけは一冊の図書館
の本に相違なかった。
高校時代の定期試験前、試験勉強からのささや
かな逃避のため立ち寄った図書館で、漫画で紹介
されていた心理学の本を見つけて読んでみたとこ
ろ、わけもなく感動してしまった。久しぶりに本
を読んで「ワクワク」したのだった。この「ワク
ワク」は、小学校時代のファンタジーに胸躍らせる
ものとは違い、知的好奇心が満たされる「ワクワ
ク」だったようである。以来、心理学や精神分析関
係の本(街の図書館にある一般向け図書だが)を
読み漁り、
(あくまで高校生なりに)諸研究者を比
較した結果、最初の本の著者が教える大学で臨床
心理学を学びカウンセラーになると決めてしまっ
ていた。
紆余曲折を経て現在心理臨床に携わることがで
きているのだから図書館にはもっと感謝すべきな
のだが、大学進学以来、図書館は、締切直前レファ
レンスカウンターに泣きついて資料を取り寄せて
頂いたり、ドイツ語の問題集を広げては眠気と
戦ったりといった「お仕事の場」になってしまっ
た。もとよりこれは本人に非があることは間違い
ないが、最近私が −本学の、
ではなく一般に− 大
学図書館で「ワクワク」できない大きな理由は、
子どもが本を読む姿が見えないことと、知的冒険
心をそそる本がたくさんあると言う実感が湧かな
いことも影響しているように思う。大学図書館の
蔵書は豊富なのに、一般書架の隙間がかえって雑
然とした印象を与えたり、パソコン類や立派な自
習スペース、真っ白な蛍光灯等でガランとした感
じがしたりして、
「ウワ〜」と胸踊る感じが体験で
きないでいる。
大学の図書館で「ワクワク」するためのヒント
は、どこにあるだろうか。
最近「ワクワク」したのは、観光で訪れたアイ
ルランドの図書館だった。ほの暗い図書室の床か
ら天井まで左右びっしりと並べられた書架に、見
渡す限り整然と、由緒ありげな書物が収められて
いたのに感激した。一つには、こういう雰囲気、
片
本
恵
利
空気のにおいのようなものも案外大切ではないか
と思う。
(これは、図書館のデザインの問題であ
る。
)
ロシア語同時通訳の米原万里さんは、小学校時
代をプラハのソビエト学校で過ごし、ロシア語辞
典を引き引きデュマ、スタンダール、モーパッサ
ン、フロベールにトルストイからアラビアン・ナイ
トまで、級友と先を争って読破したそうだ。プラ
ハの少年少女がこぞって文学好きだったのではな
く、極端に情報が制限された環境で第2次性徴を
迎えた子どもたちが得られる唯一の情報源が文芸
作品だったというのが真相だ。大学生が小中学生
並にストレートに「性」の知識を求めることはな
いだろうが、恋愛と性は青年期の重大問題ではな
いだろうか。私は担当科目の関係で、本学図書館
で性教育に関する本も整備して頂いているが、単
にそうした文献で知識を深めるにとどまらず、一
番興味のある事柄(勿論恋愛以外も大いに結構)
に関する古今東西の様々な書物で存分に「ワクワ
ク」してみては如何だろう。書物には、インター
ネット検索などで1対1に答えを引っ張るのとは
また違ったたくさんの「おまけ」がある。その「ワ
クワク」と「おまけ」から得られるものの価値は
計り知れない。
(アイルランドにて)
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年4月2日
キーワード
一年生になったら いちねんせいになったら 友達百人でき
三上さんは大学院で1年間学び、城間さんは今年大学院へ入
ている。城間さんは離島における図書館サービスをこれから
15年ぶりに
〈学生として歩く〉
宮古島
地域文化研究科
南島文化専攻修士課程2年次 三
上
智
恵
(琉球朝日放送キャスター)
去年10月、平良からやっと冷房が利きはじめた八千代
壊、医療問題など沖縄の抱える問題は山積みなのであ
バスに乗って、私は島尻の港を目指していた。テレビ取
る。そういう問題に時間を忘れて取り組む一方で、脈々と
材で大神島に通うときは、いつもタクシーで飛ばしてい
続いてきた島の「素の生活」にもっと向き合いたいという
た道。でも今は潤沢な調査費用もない学生の身分。日に
渇望が、もはや押さえられなくなっていた。
8本しかないバスにのんびり揺られる立場に戻った。戻っ
ところが、道はあるものだ。夜8時からでも専門的な勉強
た、というのは、まさに15年前私はここで、同じようにバ
ができる環境を、県内では唯一本学が用意してくれてい
スと徒歩で卒論の調査に回っていたのだった。島尻購買
た。通い切れるのか、老けた大学院1年生は先輩にかわい
店前で降り、港まで続く人影の無い道をとぼとぼ歩く。
10
がってもらえるか、パンフレットを片手に一年悩んだことも、
月というのに暑い。宮古島の白い道に反射する太陽光線
今では嘘のようである。同じものに興味を持ち話し合える同
は、15年前と変わらず容赦ない。では私は? あれから
級生や、無限の可能性が詰まっているような図書館の空
就職して、結婚して、世界各地を取材して歩いて、羽ば
気。本がたくさん入ったカバンも、学生というフラットな身分
たいたつもりの自分は、なんのことはない。また同じ道を
も、今の私には何よりもいとおしく、刺激的だ。三十路も後
同じ目的で歩いているではないか。立ち止まって汗を拭
半になってこんなに前向きな自分と出会うとは意外である。
きながら、なんだか無性におかしくなった。声に出して
かくして今、意気揚々と宮古島に通う私がいる。宮古島
笑ってしまい、愉快になった。たいして成長しないヤツ
の巫者や霊魂観を調査した延長線上で、神を抱き続ける
だ、と身の程を知ると共に、大事にしたいものがあの時と
宮古北部地域に興味を持っている。通い慣れた大神島の
変わっていない自分が、少しだけ誇らしかった。
おばあに「今、学生なの。だからもうあの大きいカメラは、
私はアナウンサーやディレクターとして、取材や番組
もって来ないよ」というと、不思議そうな顔をしながら「そ
作りを仕事にしている。今に至る経緯を少し説明しよう。
れがいいさぁ。
あんなものは、こわいよー」
と笑ってくれる。
社会性をもつテレビの取材と、一学生としての調査活動。
沖縄の民俗学に力を入れている成城大学に入ったのは、
公然と沖縄に通える大学生活が待っていると思ったから
結果的にやることは似ているが、制約、厳しさ、姿勢、あら
だ。幼い頃から沖縄に抱いている強い思いについては割
ゆる面で異なる。取材で身につけたノウハウや原稿を書く早
愛するが、大学でフィールドワークをしてますますはまっ
さは調査に活かせるし、学生として当然の地道で謙虚な姿
た私は、大学院に進み研究を続けるつもりだった。しかし
勢はこれまでの取材活動を省みるきっかけとなり、両方同
「自活しろ」というフツーの両親と、
「このまま院に入った
時にできることは予想外の良い結果を生んでいるようだ。
ら、アタシみたいに貧乏になるわよ、三上さんなら稼げ
思い立ったら人間いつだって「一年生になれる」という
そうだから5年分の調査費用くらい作ってから院に戻りな
のは何と素敵なことか。どんな分野だって、門さえ叩け
さい」という一歩踏み込んだ先輩がいたお陰で、私はとり
ば1年生にはなれる。そ
あえず給料をたくさんくれて、沖縄にも取材に行けそう
して軽やかな気持ちで
な放送局を選ぶことにした。3、4年荒稼ぎしてやめる
新しい空気を一杯吸いな
つもりが、長引いてしまった。けれど沖縄への思いは断ち
がら一歩一歩踏み出して
切れず、入社した大阪の局でも沖縄のネタばかりを提案
いく。その自由は、誰に
し、ついに QAB 開局の日に、ここに移住して第一声を
だ っ て あ る。そ し て 今、
喋っている自分がいたというわけである。かといって、私
バッグパックを背負い、
の好きな祭りや信仰など沖縄の民俗事象については、地
大好きな宮古島の白い
元局でもあまり歓迎されない。取材しても、一部を撮って
道を足取り軽く歩く私が
帰り短く放送と言うのが関の山。基地問題を始め、自然破
いるのである。
7
(久貝のおばあと私)
7号
第3
2003
(平成15)
年4月2日
は「離島」
るかな…
学する。三上さんは宮古島にこだわり巫者や霊魂観を調査し
勉強する。夢を現実にかえていく二人に登場ねがった。
筑波大学大学院
図書館情報メディア研究科に合格して
商経学部経済学科
城
間
容
子(平成15年3月卒業)
図書館情報メディア研究科の入試はプレゼンとそれ
ルバイトをした。本だけの知識に偏るのではなく、ど
による質疑応答、また、事前に志望理由書と研究計画
うしても現場を経験したいという思いがあったからで
書の提出があった。
ある。特に図書館の利用者サービスは知識としては
私は図書館の離島における地域サービスを研究テー
あった。しかし、仕事を通してその難しさと要望に応
マとしている。沖縄県の離島地域の人口は、沖縄県総
えることができたときの喜びは実際に自分で経験しな
人口の約一割を占めるにも関わらず本島との文化・経
いとわからない。ある利用者が探していた資料を探し
済・行政等の遅れが未だ解消されていないと考えてい
だすことができたときに「君はいいアシスタントだ。
る。著しい情報格差を解消することが地域振興を進め
ありがとう」と、いってくれた。この利用者は大変重
る上で不可欠なものではないかと考え、図書館が離島
要な資料だといって喜んでくれたのだ。利用者の、探
地域における情報格差を解消する上で必要不可欠なも
していた資料を探しだすことができたときの喜び、探
のであるという問題意識からこのテーマを設定した。
しだすことができなかったときの落胆。それがまた私
私がなぜこのようなテーマを設定したのかと言う
の喜び、また未熟さを痛感するときである。
と、経済学を学んでいく中で、沖縄県が本土と比較し
図書館サービスで重要なのは利用者の立場になり、
て文化・経済・行政等に遅れがあり、そのため沖縄開
サポートすることだと思う。私は本学の図書館でアル
発特別法が施行されてはいるが、未だ諸問題が解消さ
バイトを経験したことでその重要性をさらに感じるこ
れていないこと、離島地域ではさらにそれらの遅れが
とができた。図書館学は現実から出発する学問である。
顕著に表われているということを知ったからだ。
現場の問題を自分の問題意識でとらえ、解決策を模索す
る精神が大学院での研究に必ず役立つと信じている。
その理由として考えられることは、離島地域は環海
性・狭小性・隔絶性これら三つの特性に加え、ほとん
どの離島が孤立性の高い外海離島であるという地理的
※
卒業旅行でアリゾナ州に行きグレンデール公共
面とそれに伴う産業・経済の遅れなど厳しい状況にあ
図
書館
(中央図書館)
を訪ねました。
る。離島地域の住民は本島の住民と同じように図書館
サービスを受けることができない状況にある。以上の
問題を考えると、離島地域の著しい情報格差を是正
し、離島地域が抱えている本土・本島との文化・経済・
行政等の遅れを解消することは離島の地域振興のため
に必要であると考え、このテーマは図書館学の中で考
【児童コーナー】
書架の上にはうさぎがいます。
えるべき大きなテーマであると考えたのである。
研究の対象としては沖縄県の離島における地域サー
ビスの現状と各自治体との相関分析を行い、東京都の
離島との比較を行った。そのための必要な文献はすべ
て図書館を利用した。本学に資料がない場合は相互貸
借制度を利用し、他大学から資料を取り寄せた。ま
た、国立国会図書館からも資料を取り寄せることも
あった。その他、県内外を含む公共図書館での資料検
【古本販売コーナー】
私はここで『ハリーポッターの秘密の
小部屋』を50セントで買いました。
索なども本学の図書館のレファレンスを利用した。
私は昨年 4 月から本学図書館の 2 階カウンターでア
8
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年4月2日
図書紹介
『リサイクル幻想』
(武田 邦彦 著
文春新書)
商経学部助教授
名
城
敏
地球は太陽エネルギーで活動が営まれている星
まで丁寧に使うことが重要である。そして、情報
であるといってよい。人類はそのエネルギーや化
革命による「情報」の物質削減効果を活かし、さ
石燃料を消費し、大量生産、大量消費、大量廃棄の
らに使う物質を減らすようにしなければならな
経済社会システムを構築し、その中でリサイクル
い。そうすることで、私たちは有意義な時間と人
に目を向けた様々な方策を提案し実施してきた。
生を享受し、五感で幸福を感じ、子孫に美しい日
本の自然を残すことができるであろう。
工学の立場から見れば、今のリサイクルでは、
環境は悪化させる。その矛盾に多くの人が気づい
本書は、上述のように、工学の立場から、
「環境
ていない。 リサイクルは資源の枯渇を防ぎ「持続
と資源」に焦点を当てた考察をし、
「来るべき循環
性社会」を築くための方法の一つであるが、
「持続
型社会とは何なのか」を明らかにし、
21世紀の日本
性のある資源を繰り返し使うために持続性のない
には「環境問題は大切だが、不景気もイヤだ」と
資源を消費する行為」(リサイクルの持続性矛盾)
いうジレンマが存在しないことを示す目的で書か
でもある。本来、資源を有効に利用し、環境汚染
れている。
を防止のためのリサイクルが「すればするほど資
環境問題に関するニュースが毎日のようにマス
源を使い、ゴミを増やす」場合、これを「リサイ
コミを通して茶の間に飛び込んで来る今日、本書
クルの増幅矛盾」と呼び、それも現代社会は抱えて
を一読の上、千利休の言「家は漏らぬ程に 食事は
いる。社会が複雑になって分業が進み、生活に必
飢えぬ程にして 足ることなり 是 仏教之茶の湯の
要なことの多くを他人の手に委ねるようになる
本意なり」を理解し、自然と経済の仕組みについて
と、
「環境主義の両価性矛盾」を生み出すようにな
再考し、身の丈の活動をする動植物のふり見て我
る。
が身を正す方策を模索してはいかがだろうか。
冷静に考えれば、資源のない日本で物質やエネ
ルギーの循環を行うこと自体、論理的に不合理で
ある。そのため、20億トンの物質とエネルギーを
使用して500兆円のGDPを生む今の活動をこの
先も続けると、自然は必然的に破壊されると予想
される。日本の自然の持つ循環能力は現在の経済
活動の数分の一しかないので、当然である。 循環
型社会の成立は、現在の生活レベルを落とさず、
これまでの立場、メンツ、行きがかりなどを捨て
て、真に日本の将来のために考えることにより、
日本に限定するのであれば可能である。そのため
に、鉱物資源の少ない日本は、資源を輸入し、消費
した後、時間をかけてゆっくりとリサイクルし、
備蓄することにより人工鉱山を作り、それからの
資源の回収の研究・開発を行う必要がある。さら
に、日本の自然、風土に合った文化を取り戻し、少
し豊かに過ごすことにより物質とエネルギーの使
用量を大幅に減らし、身の回りのものは、共白髪
9
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2003
(平成15)
年4月2日
新図書館システム導入
前図書課運用係長
(教務課長補佐) 山
図書館システムとは、資料の発注・受入、資料
の所蔵登録、利用者情報や貸出・返却処理といった
データ管理、このような日々の業務と、蔵書検索・
貸出予約などをはじめとする利用者向けサービス
を提供するシステムのことである。かつては、図
書館職員の業務合理化を目的に進んできた 図書
館システム だが、最近では利用者向けサービス改
良のための新機能提供が多く見られる。これは図
書館業務システムの成熟と近年の情報インフラ・
技術の整備拡充によるものであり最近の図書館シ
ステムの特徴といえよう。
平成15年4月1日に本館の図書館システムがリ
ニューアルする。平成5年4月に稼動した初代シ
ステムから3代目となる新システムは、「NALIS
(ナリス)」
(株式会社 NTT データ)に決定した。新
しい機能紹介の前に新システム導入にいたる経過
を簡単にご報告したい。
○平成13年10月〜11月
学内情報システムの管理運営を行う情報セン
ター所掌の会議における審議。
○平成13年12月〜平成14年7月
図書館システムリプレース作業部会における
審議。
○平成14年5月30日〜6月28日
6社のシステムのデモンストレーションを実施。
○平成14年7月8日 各社提案書提出締め切
り。
○平成14年7月30日 入札実施
落札業者は、 NTT データ(システム名:
NALIS)に決定。
○平成14年8月8日 NTT データ開発担
当とスケジュール等打ち合わせ。
○平成14年10月9日、
10日、16日、17日
NALIS 機能説明会
○平成15年3月6日コンバート用データ抽出
○平成15年4月1日 NALIS 稼動
さて、新システム NALIS の特徴だが、われわれ
大学図書館の業務と深く関わる国立情報学研究所
(NII)の 目 録 所 在 情 報 サ ー ビ ス(NACSIS-
里
洋
CAT/ILL)に完全対応している。現システムにお
いても一部 NII の提供するサービスに対応済みで
あるが、多言語対応や NII の新プロトコルへの対
応はなされていなかった。NALIS は NII の目録規
則へ準拠するなど連携が強化されており、本館の
蔵書データベースの管理や NII への書誌、所蔵の
登録業務が簡易な操作で行え業務の効率化が期待
できる。また研究支援のひとつである ILL
(図書館
間による複写・資料貸借の依頼や受付などの相互
協力)も NACSIS-ILL の活用により迅速な資料提
供が可能となる。
新システム導入に伴う利用者向けのサービスと
しては、従来から提供している OPAC(Online
Public Access Catalog:オパック)はもちろん、前
述した ILL の依頼や図書の貸出予約などがオンラ
インで申請可能となる。これらのリクエストに対
する回答や図書館からの連絡に E-Mail が活用でき
る。また自分の貸出情報を確認することも可能と
なる。さらに今回のシステムでは、自動貸出装置
(機種名:ABC-ST)を設置し NALIS と連動する。
図書館システム本体ではない自動貸出装置に触れ
たが、その他現在図書館が提供しているサービス
もここで紹介したい。DVD/CD-ROM サーバによ
り判例・法令データベースや人名索引を、また図書
館契約のオンラインデータベースにおいて論文記
事検索、新聞記事検索、人文・社会科学系資料の
書誌検索の各データベース、百科事典を提供して
いる。効率よく研究資料を収集するには、これら
のツールの機能をよく知り、複合的に利用するこ
とが必要となり、図書館そして大学はその技能習
得のサポートがより重要な業務となる。
話が新図書館システムから逸れたが、新図書館
システムが図書館業務のいっそうの効率化を実現
することを期待するとともに、図書館システムと
ソフトとしての館員が一体となって発信する利用
者サービスの向上に努めたい。
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2003
(平成15)
年4月2日
学科長が新入生に薦める5冊(種類)の本
法学部法律学科長
書
井端正幸
名
著
者
法学部地域行政学科長
名
発
行
所
書
熊谷久世
名
著
者
名
発
行
所
裁判官のかたち
毛利 甚八
現代人文社
あのとき、この人
縫田 曄子
ドメス出版
いま、歴史問題にどう取り組むか
舟橋 洋一
岩 波 書 店
NPO と法・行政
山本
啓
ミネルウァ書房
園部 逸夫
不 磨 書 房
佐藤 義彦
有
家裁に来た人びと
知っておきたい市民社会
における行政と法
サイエンス・オブ・ロー
事始め
山田 博 監修 日 本 評 論 社
「対テロ戦争」とイスラム世界 板垣 雄三 編 岩 波 書 店
沈まぬ太陽 〜 山崎 豊子
(文庫版もある)
新
潮
文化がみの〜れ物語
社
斐
閣
美野里町文化センター
茨城新聞社
物語制作委員会
商経学部経済学科長
書
湧上敦夫
名
著
者
商経学部商学科長
名
発
行
所
高校生のための経済学入門
小塩 隆士
筑 摩 書 房
(ちくま新書)
考える力をつける数学の本
岡部 恒治
日本経済新聞社
日本経済再生の戦略
野口 悠紀雄
既得権の構造
松原
構造改革論の誤解
野口 旭
田中 秀臣
聡
書
安里
名
論理トレーニング
インターネット、
インターネット
B to B インターネット
マーケティング
中央公論新社
(中公新書)
PHP 研究所
(PHP新書)
巨象も踊る
肇
著
者
名
行
所
野矢
茂
産 業 図 書
村井
純
岩 波 書 店
バリー・シルバースタイン
同
友
館
ルイス・ガースナー 日本経済新聞社
〔経済学入門シリーズ〕
武藤 滋夫
ゲーム理論入門
東洋経済新報社
発
日 経 文 庫
総合文化学部日本文化学科長
書
名
著
者
兼本
敏
名
発
総合文化学部英米言語文化学科長
行
所
書
名
著
者
名
大城
発
賢
行
所
フランクル
みすず書房
霜山 徳爾 訳
W. スタイロン
ソフィーの選択〔〕
〔〕
新 潮
社
大浦 暁生 訳
波多野 誼余夫
知的好奇心
中 公 新 書
稲垣 佳世子
日本語はおもしろい
柴田
武
岩 波 新 書
日本文化の歴史
尾藤 正英
岩 波 新 書
読書力
斎藤
孝
岩 波 書 店
野火
大岡 昇平
新 潮 文 庫
考える力をつける本
轡田 隆史
三 笠 書 房
杉本 秀太郎
岩 波 書 店
日本語と外国語
鈴木 孝夫
岩 波 新 書
古典を読む
徒然草
夜と霧
総合文化学部社会文化学科長
書
名
文明の表象英国
那覇女性史
著
者
上原
靜
名
発
近藤 和彦
総合文化学部人間福祉学科長
行
所
書
山川出版社
那覇市総務部
琉球新報社
女性室編
歴史を考えるヒント
網野 善彦
日本の渚
加藤
遙かなる海上の道
小田 静夫
新
潮
名
11
発
行
所
知の全体史
チャールズ・ドーレン 法政大学出版局
人間の大地
青春出版社
名
カール・ヒルティ 白
意味への意志
真
者
幸福論
戦後日本社会福祉論争
社
著
保良昌徳
真田
是
水
社
法律文化社
ヴィクトール・フランクル ブレーン出版
犬養
道子
中央公論社
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第3
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(平成15)
年4月2日
平成
新入学生
平成14年度
年度 新
入 学生
図書館利用オリエンテーション実施状況
図書館利用オリエンテーション実施状況
平成
平成15年度
年度 新入学生
新入学生
図書館オリエンテーションの実施について
図書館オリエンテーションの実施について
平成14年4月22日から5月13日の間、新入生対
平成15年度の新入学生図書館利用オリエンテー
象の図書館オリエンテーションが実施された。新
ションは4月21日(月)から実施する予定。教養
入生が図書館(地上4階、地下2階)に慣れ親しみ、
基礎演習等の時間を利用して実施するので、必ず
且つ資料等も積極的に活用できるようにとの配慮
参加するように。在学中は常に図書館を利用し、
から実施されるものである。オリエンテーション
知的好奇心を充たしてほしい。詳しい日程は、担
の内容は、先ず図書館利用の心得について説明し、
当教員を通して後日お知らせします。
その後に各階を案内。各階施設の説明や資料の探
し方、図書の借用・返却方法等の説明を受ける。検
索から図書にたどりつくまでの行程もオンライン
検索
(OPAC)で実習される。
平成14年度のオリエンテーション対象学生は
13
, 78名。実際に参加した学生は、12
, 57名で率にし
て93%だった。受講者比率を前年度と比較すると
1部2%増、2部6%増、総合計で3%増。僅かで
はあるが参加率がアップしたことは朗報である。
平成
(個人)
平成14年度
年度 寄贈図書
寄贈図書
(個人 )
書
名
天界寺跡
表現指導を中心に
台湾の企業とネットワーク
新しいイヴたちの視線
「新しい道徳教育」への提言
情報文明学の構想
尚王家と琉球の美点
沖縄の歴史と医療史
対馬丸遭難の軌跡の真相究明
人生は挑戦なり
心水の如く
クジラがくれた力
地域に生きる大学
歯は臓器だった
財務会計の理論
裁判訴権の濫用
総論・精神的自由権
ベンチャー企業と産業振興
人類は世界を変型できるか
泡瀬干潟
新しい自治体とこれからのまちづくり
楠山正雄の戦中・戦後日記
日本・朝鮮半島南部・台湾の旧慣と俗信について
家族でできる自然療法
ジョクジャ日記
一人ひとりからの情報化社会
俳句の虹
ウィークエンドに読む TODAY
法学論
道化と共犯
寄贈者名
上 原
靜
渡 辺 春 美
富 川 盛 武
新 井
明
山 口 彦 之
砂 川 徹 夫
具志堅 政 一
崎 原 盛 造
當 間 栄 安
上 地 正 吉
親 泊 康 晴
江 上 幹 幸
宇 野 重 昭
村 津 和 正
伊 礼 武 志
倉 田 卓 次
安 藤 高 行
丹 下 博 文
飯 塚 利 男
漆 谷 克 秀
島 袋
純
楠 山 三香男
佐 藤 萬 代
東 城 百合子
百 瀬 侑 子
青 田 吉 弘
渡 辺 春 美
上 地 淳 子
儀 部 景 俊
大 城 貞 俊
書
名
武魂
沖縄米軍基地法の現在
出帆
社会体制の継起性と過渡形態論
セクシュアル・ライツ入門
金原左門先生古希記念論文集
日本はなぜ非難されるのか
内田玲子のQ&A
Recurrent education
村から見た日本史
英詩における現代
八重山開拓関係新聞目録
写真集学校めぐり
事例船荷証券法
道楽のススメ
有限母集団からの無作為副標本による統計量に対する期待値の精密公式集
上原地盤工学研究所所報
もものかんづめ
爆音の中の平和学
刑事法研究
沖縄のイメージの誕生
屋根の上のシーサー
沖縄県福祉のまちづくり条例整備基準の解説
琉球筆曲に夢を託して
HISTORIA ARGENTINA
歴史時代
花福木
風土発見の旅
イタイイタイ病の記憶
初めての Perl
12
寄贈者名
高宮城
繁
仲 地
博
野ざらし延男
四 野 宮 三 郎
浅 井 春 夫
西 原 森 茂
田 中
稔
内 田 玲 子
水 野 益 継
阿波連 正 一
深 井 龍 雄
崎 原 恒 新
仲 西 盛 光
岡 部 邦 男
坂 本 啓 二
船 津 好 明
上 原 方 成
玉 城 隼 人
池 原 正 雄
島 倉 政 子
多 田
治
仲 嶺 眞 武
山 田 義 貴
根路銘 ノ ブ
上 原 盛 毅
比 嘉 政 夫
伊舎堂 根自子
丸 山 久 雄
松 波 淳 一
當 山 仁 健
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第3
2003
(平成15)
年4月2日
優秀賞1点
佳作4点
― 平成14年度
決まる
論文・エッセイ ―
図書館主催の論文・エッセイコンテストは、本学学生の日頃の研究及び読書活動の向上を図ることを目的
として平成元年度から実施し、今年で14回目を迎えた。
平成14年度は「第1回図書委員会(6月7日開催)」で募集要項を決定し7月3日から募集を開始した。
締切日の10月25日までに6編の応募があった。
「第2回図書委員会(12月13日開催)」で 厳正に審査した
結果、下記の通り受賞者を決定した。残念ながら最優秀賞作品の該当はなかった。
優秀賞
○文学部英文学科4年次
「祖父の存在」
佳
新里有紀子
作
○総合文化学部日本文化学科2年次 小林拓也
「1970年以降の本土における
沖縄音楽の普及とその影響について」
○文学部国文学科4年次 新城一十三
「ココロのトビラ」
○文学部英文学科4年次 照屋安奈
「Alice Walker の
Everyday Use における伝統について」
○文学部社会学科4年次 伊志嶺 勉
「精神的ホームレスの精神世界」
※年次は受賞時
表彰式開催
表彰式は12月20日(金)、図書館会議室で稲福日
出夫館長をはじめ図書委員、職員が出席して行われ
た。新川宣安課長から経過説明が行われ、稲福館長
から賞状と副賞が一人ひとりに授与された。
優秀賞の
新里さんは短期交換留学生として姉妹校の東海大
学(台湾)で勉学中なので、一時帰国した平成15年
1月23日(木)に館長室で授与された。稲福館長は
「応募数は前年に比べ減少したものの、内容はバラ
エティーに富み且つ異質の作品が並んだため、同じ
基準で審査するのは難しい作業でした」と、激励と同
時に審査員としての苦労も語った。
優秀賞受賞者の新里さんは次のようにコメントした。
「幼少の頃からいつも一緒にいた祖父。どこか存在感のある祖父。祖父の92年の人生を考え、いつか距離
をおいた形で考えてみたいと思っていた。交換留学生として一年間台湾に留学し、この機会にまとめてみた」
稲福館長による講評
「祖父の存在」―読後感が瑞々しい。ひたむきさと清清しさを感じた。また表現も光るものを感じ、技巧に
走らない素直さが(読者の)共感を深くしたと思う。
「1970年以降の本土における沖縄音楽の普及とその影響について」―興味深いテーマである。たたみかけ
るように訴えてくるので、通常の論文のスタイルに慣れた読者には逆に疲れるものも感じたのではないか。
淡々と書いた方が良かったと思われる。期待が大きいだけに少し辛口になった。
「ココロのトビラ」―尾崎豊や中島みゆきの歌詞を連想させた。読者に息苦しさを強制しない文体が良い。
「Alice Walker の Everyday Use における伝統について」
―冒頭部分の数行が分かりにくかった。
最後の2段落
辺りが言いたい結論であるならば、冒頭を膨らませて読者に訴えるように工夫すればより力強い作品になったと思う。
「精神的ホームレスの精神世界」―卒論の研究テーマらしいが、身近にいるホームレスを取り上げたこと、
それを日常生活と密着させて考えたところがおもしろい。安心して読めた。
13
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第3
2003
(平成15)
年4月2日
優
秀
賞
「祖父の存在」
文学部英文学科4年次
自宅の応接間に置かれた、人をかたどったフィ
リピン製の木製の置物も、本棚の『フィリピン戦』
と題された分厚い本も、また、時々祖父が茶目っ
気たっぷりに使うタガログ語なども、それらは全
て私を取り巻くごく普通の風景であった。物心つ
いた時から私にとって「優しい祖父」としてのそ
の存在は、沖縄の普通のおじいさんであり、 その
半生の背景に出稼ぎ移民やフィリピン戦などがあ
ることを特に意識させることはなかった。そんな
私に祖父の人生を見つめ、考えるきっかけが訪れ
た。
今年の2月に台湾の東海大学に交換留学生とし
て留学した私は「台日コミュニティー」という科
目を受講した。社会のマイノリティーに位置付け
られている人々のもとに実際に赴き、そこに住む
人々に接し、対話をすることで彼らの社会、そし
て彼ら自身を見つめていこうというのがこの科目
のねらいであった。そのフィールドワークにおい
てここ台湾で様々な人々に出会うことができた。
原住民、障害者、外国人労働者…
ある日曜日の朝、先生とクラスメートと共に
フィリピン人労働者が集まる教会を訪ねた。行わ
れているミサも、歌われている聖歌もタガログ語
であった。 そこである一人のフィリピン人の女
の人と仲良くなった。 大学を出た後、出稼ぎ労働
者としてここ台湾に来たとのことだった。マニラ
に住む家族やボーイフレンド、友人と離れ、毎晩、
家族を思っては泣いているとのことだった。
「出稼ぎ」
「フィリピン」
「マニラ」
「タガログ語」
幼い頃、祖父母や父から聞いた話、また、幼い頃か
ら自分の周りにあったフィリピンと深くかかわっ
ている断片的なものが実際に立体化してくるよう
であった。教会にはたくさんのフィリピン人がい
た。浅黒い肌、しっかりした顔立ち、目が合うと
笑い返してくれる気さくさ、やさしいタガログ語
の響き、これら全てが祖父の人生のなかでいちば
ん密度の濃い貴重な時間を包んできたものなのだ
と思うと、なんとなく温かい気持ちになった。
ほぼ同じ年齢の若い女の人が家族のために国外
新
里
有紀子
に出て働いている。出稼ぎ労働者。活字で幾度か
目にするものの、彼女との出会いでその現実を知
ることとなった。しかし考えてみると祖父もまた
彼女同様、かつてそういう境遇の一人の青年で
あったのだ。複雑な感情を抱きつつ大学の授業に
戻ると、ある人物を一人決め、その「半世紀」を
書くようにとの課題が出された。教会での女の人
との出会い、私の中であいまいな私の家庭とフィ
リピンとの関係、そしてまた、祖父という人物の
人生をたどる事が自分のルーツを知ることになる
ことから、私の中で「半世紀」を描く人物として
祖父がうかんだ。
両親が共働きだった私は他の家庭の子供にくら
べて祖父母と共に過ごす時間が多かった。ごつご
つした大きな手に大きな背中、大きな声、威圧的
な態度。祖父は末っ子でわがままな私を受け入れ
てくれる、強くて優しい心地よい存在だった。今
年92歳になる祖父と私は約70歳もの年の開きがあ
るものの、その関係は年齢を超えたいい友達と
いった感じだ。私が大学に入ってからは二人で喫
茶店で時間を過ごすことも多くなった。私の人生
観、物の見方、考え方に大きく影響を与えた人物
であるが、台湾に留学し祖父と距離ができたこと
で、祖父という人物像が見えてきた気がする。私
をいつも深い愛情で包み、見守ってくれたかけが
えのない存在である祖父の半世紀を孫娘の私の立
場から見つめてみたいと思う。
1910年5月30日生まれ。幼名は樽(タルー)と
いう。6歳のときに両親をなくす。兄弟のいない
祖父は親戚に引き取られるが、16歳のときに自ら
進んで「糸満売り」される。当時は両親がいない
子ども、貧しい家庭の男の子は糸満の漁師に売ら
れ海人(ウミンチュ)になる人が多かったようだ。
24歳の頃、単身フィリピン行きを決意、フィリ
ピンに渡り漁船の乗組員として自立。体験と独学
で漁船の操舵をおぼえる。 その頃出稼ぎ移民と
してスペイン人弁護士の屋敷でアルバイトをしな
がらサントマス大学に通っていた山内盛三郎の存
在を知る。同じ沖縄出身者ということで漁業仲間
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年4月2日
らと山内盛三郎を訪ねる。フィリピンのマニラで
偶然にも私の二人の祖父が運命的な出会いをして
いたのだ。母方の祖父山内盛三郎は年下で世間知
らずで無学な祖父を可愛がり、これからは学問の
時代になると説き、小学生の本を与え、読み書き
の手ほどきをする。おかげでこの年にして祖父は
自分の名前が書けるようになり、新聞が読めるよ
うになった。幼い頃からつらい目にあっていた祖
父は、自分のことを真剣に考え、見つめてくれた
存在に胸を熱くしたという。祖父は今でも母方の
祖父山内盛三郎のことをずっと恩人として敬って
いる。
この頃祖父は自らの名前を「新里昇正」と改め
る。文字が書けるようになった祖父は同郷の幼馴
染の祖母と文通を始める。29歳のとき、呼び寄せ
花嫁の祖母とマニラで結婚する。1939年に長男
(私の父)、二年後に次男
(叔父)
をもうける。生ま
れて初めて家庭というものをしり、今までに無い
幸せなときを過ごす。生活が安定し始めた頃、戦
争の兆しが色濃くなり、ついに太平洋戦争が勃発
する。祖母は家族みんなでフィリピンに残ること
を強く望むが戦争が長期戦になることを予感した
祖父は、妻と二人の息子を沖縄に帰郷させる。本
人はフィリピンに残り日本軍のタガログ語の通訳
となる。戦争が激化する中、偶然にも高等弁務官
付きの通訳をしていた山内盛三郎に再会。最も危
険な討伐隊の通訳に配属されていた祖父の身を案
じていたという。お互いに生きて帰っての再会を
誓うが、それが祖父には山内盛三郎の最期の姿と
なった。
通訳を務めていたある日、祖父はスパイ容疑で
つかまったフィリピン人の青年を弁護する。それ
が後に祖父の運命を変える出来事となる。戦争に
敗れ捕虜となるが、フィリピン人の復讐を恐れ、
収容所を命がけで脱走。その際にガードに打たれ
た銃痕が右の太ももに生々しく残っている。逃走
中にスパイ容疑で捕らえられていた青年の兄、ポ
ビレーテ氏に助けを求める。外科医であり、町の
有力者であったポビレ−テ氏はこころよく祖父を
迎え入れた。ポビレーテ家の地下室にかくまわ
れ、終戦二年後復員する。祖父はフィリピン戦で
の数少ない生き残りの一人となった。新里家とポ
ビレーテ家とは私が生まれてからも家族ぐるみの
付き合いが続いた。
復員した祖父は当時宮崎に疎開していた家族と
再会し共に沖縄に帰る。帰国後、山内盛三郎の消
息を求めるがつかめないままに時がたった。その
後、再び漁業に携わるが漁がかんばしくないため、
陸に引き上げ与那原で商店を開く。しかしそれ
も、資金を踏み倒され倒産。日用品、かまぼこを
売る行商を二輪車で始めるが借金が重なり、ある
日、那覇へ夜逃げを決行する。多年の借金地獄が
解消された頃、長男の結婚を機に夜逃げしたふる
さとに戻り、家を建て長男夫婦と暮らす。長男嫁
(私の母)は奇しくも恩人山内盛三郎の末娘であっ
た。次男が家を構えた70歳の頃行商を引退。引退
後は老人会長となり長老として村の発展に貢献。
五人の孫に恵まれ順風満帆の80代を迎えたとき、
不運にも狭心症の風船治療に失敗し合併症により
半身不随となり、人工透析の生活を余儀なくされ
る。同じ年、長年連れ添った祖母が85歳で他界す
る。現在、リハビリ、人工透析を受けながら病院
で療養中である。
こう見てくると祖父が駆けて来た92年間の歳月
と出会った出来事は僅かな字数におさまってしま
う。私は70歳以降の「新里昇正」しか知らないが、
私の23年間の年月は祖父の人生のほんの一部でし
かないのだ。90余年という年月は私には想像もつ
かない時間である。これまで身に起こったさまざ
まな出来事を受け入れ、今 、 存在しているのであ
る。 祖父のまなざしや、ごつごつした大きな手、
そして今は10年間の闘病生活で小さくなった顔や
背中、細くなった体が一人の人間の生きることの
凄みを無言のうちに語る。生き生きて今があると
いう人間が何であるのかを感覚的に、飾り気なく、
直截に示してくれる。
観念的ではあるがこうして一人の人間の生涯を
たどっていくと、人生における様々な感情、人間
への愛情、人間関係のジレンマ、喜び、憂い、怒
り、哀しみ、そして老いと病苦など、生身の人間の
有り様がもう一段深く見つめられる気がする。
人の一生は自ら選び歩んでいるつもりでも否応な
しに与えられるものなのかもしれない。祖父や祖
父を取り巻いてきた人々も、その時代時代の出来
事に翻弄されながら、自分の意志とは無関係に、
時には不幸に、時には思いがけない幸福に出会い
ながら、ただがむしゃらに生きてきたのであろう。
今 、 ここで自らを省みるとき、私自身おそらく人
生において何が正しく、何が過ちで、何が重要で、
何が重要でないのかも未だにつかめていないのか
もしれない。そんな中で試行錯誤を繰り返し、じ
たばたしている不恰好で滑稽な私の姿は祖父の目
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にどのように映っているのだろう。
祖父は小学校もろくに出てないので学歴らしい
学歴も無いが、私にとっては人間のもっとも魅力
的な部分である知恵を底なしに抱えている人だっ
た。そしてさまざまな荒波をくぐりぬけてきた人
間に共通する野性的で男性的なエネルギーを感じ
させる人だった。私は幼い頃から祖父の側で祖父
の持つ独特の雰囲気を感覚的に受け取りながらも
それが何なのか、いったいどこから来るものなの
か分からずにいた。今回、こうして祖父の人生を
見ていくことで、今更ながら90余年の時間と身に
刻んできた数多くの出来事や出会いが今の祖父を
形作っていったのだと思う。
私はこうして今 、 祖父が海外に渡った頃とほぼ
同じ年齢で台湾にきて、いろんな価値観をもった
人々に出会い、日々得がたい経験をしている。心
から深く打ち解けられる人、ぶつかり合った人、
喜びで満たされた瞬間、ふさぎこんでしまった時。
私を取り巻いてきた人的、物的風景を私はうまく
自分の中に取り入れ自分の血肉としていくことが
できるだろうか。
多くの物語や古くから言われている言葉に「人
生は自ら選び取るよりもむしろ受諾的なものだ」
とある。たとえそれが大部分の真実を表している
としても、自分なりの生き方、姿勢、こだわりを
もって生きていきたい。不恰好でも、滑稽な姿で
も、臆せずに自分の可能性に挑むこと、それこそ
が本当の意味での「生きる」ということなのかも
しれない。今回、祖父の人生に向き合ったことで、
何かその意味を真正面から見つめる勇気が与えら
れた気がする。
そして、老いて病床にある祖父の存在そのもの
が説く強さと優しさを、底深い戒めをこめた生存
の意味を、謙虚にしっかりと全身で受け止めてい
きたい。それが祖父、祖母という存在に恵まれな
がらも、ともすればその真の価値を分かりえない
私たち世代の人間ができる最低限の姿勢なのだと
思う。
居場所
あります
私が学生の頃、図書館は私の行動範囲に入っていませんでした。図書館の空気はとても好きなの に、なぜか敷居が高いというか。テスト準備やレポート作成などの大義名分がなければ居辛いとい うこともあったかもしれません。なにせ旧図書館は少々手狭だったので。
でも、現在の図書館は違います。1階ブラウジングコーナーや3階AVリソースコーナーなど、普段 のちょっとした空き時間に活用できる空間が設けられているんです。つまり、本学図書館は皆さんの 学習支援をするだけでなく、息抜きの場所も提供しているのです。これは学術書だけでなく、雑誌や CD、ビデオ、LD、DVDなどの視聴をとおして得られる情報、知識もまた皆さんにとって有益に なると考えているからなのですが、そんなことはともかく、皆さんには楽しんで頂けると思います。 そして、その一環として図書館では定期的に上映会をおこなっています。場所は図書館4階AV
ホールです。ここには120インチのスクリーンと99席のシートが設置され、音響、空調ともに快適 な造りとなっています。上映作品は本館所蔵資料の中から私たち図書館員が選
定していますが、 ぜひ大画面で観たい! とか 多くの人に観てもらいたい!
という希望があれば、上映会の際のアンケート ( 任意 ) に記入して下さい。本図
書館が所蔵しているものであれば、なるべく皆さんの要望に応えていきたいと
思います。
街の映画館のように最新作上映というわけにはいきませんが、皆さんのお気
に入りや思い出の作品、古い名作などを鑑賞していただける小さな名画劇場を
目指してガンバりたいと思っています。そして、この上映会が皆さんの憩いの場
となり、さらには親しみやすい図書館への足がかりになればと願っています。
図書館は皆さんのためにあります。
来て、
観て、
使って、
そして楽しんで下さい!
(嶺井かおり)
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調 べ 物 の 仕 方
沖縄国際大学の図書館は地上4階、地下2階と大きく、資料は多様かつ膨大です。そこで、調べ物によく
利用される、1.
参考図書 2.
年鑑・統計書 3.
CD/DVD-ROM・オンラインデータベース 4.
インターネッ
トを簡単に紹介します。
1.参考図書:事柄や言葉の意味を調べるのに使います。
・分野がわかる場合は分野別の辞典。例えば、
『法律用語辞典』
『経営学辞典』等。
・分野がわからない場合
①いろいろな分野の事柄について書かれている百科事典
②いろいろな分野の人物について書かれている人名事典、人名禄等
ケース1 「沖縄の歴史」という講義で「伊波普猷」について調べるよう課題がでた。
調べ方
授業内容から沖縄に関連する人物だと想像されるので、
「沖縄関係資料室」にある『沖縄大
百科事典』
『沖縄歴史人名事典』等を調べてみます。インターネット検索で人物像を把握する
こともできます。
2.年鑑・統計書:ある事柄について毎年の記録を調べる時などに使います。
年鑑・統計書は分野ごとにまとめられた本なので、探したい情報がどの分野に属するのか知る必要
があります。分野を特定するには、
『日本十進分類法』や OPAC を使います。また、『参考図書解
説目録』や『日本の参考図書』
、『年鑑・白書全情報』には、分野ごとの参考図書や年鑑・統計書
が紹介されているので効率よく探せます。
①『日本十進分類法』
(本の内容に応じてつける分類番号表です。参考図書の0144
. 5/Mo45にあ
ります。
)は分類番号が載っている「本表編」とその「索引編」があります。
「本表編」で分
野を探せない場合は、
「索引編」を使って思いつくキーワードがどの分類番号になっているか
調べてください。それで分野にあたりをつけます。
② OPAC(本学図書館の図書を検索できるデータベース。
「オパック」と読みます。
)にキーワー
ドを入力し関連する分類番号を探します。
③『参考図書解説目録』『日本の参考図書』
『年鑑・白書全情報』
(どんな情報が載っているか知
るための内容紹介や目次が載っている参考書です。参考図書の028/N-64にあります。
)で探し
ている情報が載っていそうな年鑑・統計書を探します。これらの参考書を使えば、本学の図書
館にない年鑑・統計書でも内容を知ることができます。
ケース2 日本に出入りする船舶の数を調べたい。
調べ方
「船舶」
「海運」等をキーワードとしてこれらがどの分類になっているかを『日本十進分類
法』で調べます。まず「船舶」で調べると、550、556等の工業分野の分類番号が目に付き
ます。しかし、調べたいのは工業で扱うような船そのものではなくて、船舶の出入り=交
通なのでこの分類番号ではありません。次に
「海運」で調べてみると、
683という港での船の
出入りに関する分類番号があります。
書架に行って683のあたりを探すと
『交通経済統計要
覧』『交通年鑑』
『日本物流年鑑』
等があるので、
探している情報が載っているか見てみます。
3.CD/DVD-ROM・オンラインデータベース:ネットワークを使って検索することのできるデータベース
図書館(学内)ではコンピュータを使ってデータベースから情報を検索することができます。場
所は1階カウンター前のコンピュータ2台です。検索できるデータベースの種類は以下のとおりです。
①新聞記事(朝日新聞の過去の記事を検索することができます)
②百科事典
③雑誌記事・論文(学術雑誌の記事・論文を検索することができます)
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④ 法律関係(法律、法規、法令を調べることができます)
⑤ 他大学・機関の蔵書(ある本をどの大学・機関が持っているが調べることができます)
ケース3 「クレーム電話の正しい受けこたえ」という本を本学 OPAC で検索してもヒットしないが、
どうしても読みたい。
調べ方
「NACSIS Webcat」で他の大学が持っているか調べられます。レファレンスカウンターに
申し込めば他の大学から借りることもできます。また「図書購入希望」を申し込み本学図
書館に備えることもできます。
4.インターネット
情報センターの JOSS 講習を受けた学生なら図書館3階のコンピュータが利用できます。
インターネットで調べ物をする時のガイドの役割を果たすのが検索エンジンです。例えば、Yahoo
(http://www.yahoo.co.jp/) というディレクトリ型の検索エンジンでは、分野ごとに絞り込んでいく検
索方法(本の「目次」と同じ働き)
、キーワードによる検索方法(本の「索引」と同じ働き)
、その二
つを組み合わせた方法によりサイトを絞り込んでいくことができます。
ただし、Yahoo に登録されていな
いサイトは検索できないという難点もあります。それを補うのが、Google(http://www.google.co.jp/)の
ような全文検索型の検索エンジンです。ネット上のデータを全文検索できるので、一般的ではない
キーワードで検索してもそのキーワードが掲載されたサイトを探すことができます。ただし、キー
ワードをうまく選ばないと膨大な数のサイトがヒットしてしまいます。調べ物によってこれらの検索
エンジンを使い分けてください。
インターネットを使えば最新の情報をいち早く知ることができますし、遠くに足を運ばなくても情
報収集ができる便利な道具です。ただし、ひとつ注意点があります。それは情報源の信頼性です。印
刷物の場合は物ですから「この本が情報源です」と挙げることができます。ネット上のサイトの場合
は、誰でも情報を発信できる利点があると同時に、発信源を特定できないために信頼性に欠ける情報
もあります。ネット上の情報を利用する際には注意しましょう。
5.資料配置:資料配置表を見てください
書架を眺めるだけでどんな本が配置されているかイメージがつかめます。一度書架をご覧になるこ
とをおすすめします。
資料配置表
資
図書館にはいろいろな資料が山のように
あります。資料がみつからないという場合
は、お手伝いさせていただきますのでカウ
ンターに声をおかけください。
(運用係 富村菊江)
料
場
所
0〜2類(総記・哲学・歴史)
2階高書架
1階高書架
一 般 図 書・和 書 3類(社会科学)
4〜9類(自然科学・技術・産業・芸術・言語・文学) 地下1階書庫1
一般図書・洋書
地下1階書庫4
沖縄関係資料
2階沖縄関係資料室
参 考 図 書
1階低書架
一般的な内容
1階ブラウジングコーナー
最近のもの
雑
誌
専門的な内容
3階雑誌架
古いもの(バックナンバー) 地下1階書庫3
年鑑・統計書
地下1階書庫3
法規・法令集
地下1階書庫3
修 士 論 文
地下1階書庫2
別 置 図 書 利用頻度が少ない図書
地下1階書庫2
郷土紙・全国紙 1階ブラウジングコーナー
最近のもの
外国紙
3階外国新聞コーナー
新
聞
郷土紙
地下2階書庫2
古いもの
全国紙
地下2階書庫1
(バックナンバー)
外国紙
地下2階書庫1
紀
要
地下2階書庫2
県 刊 行 物
地下2階書庫2
マイクロ資料
地下2階マイクロ資料室
大学パンフレット
地下2階書庫1
貴 重 図 書
地下2階貴重図書室
視 聴 覚 資 料
3階 AV 資料室
検索方法
○
○
○
○
○
○
カ
カ
○
○
○
○
○
カ
カ
○
○
カ
カ(※1)
カ(※2)
○
カ
○
○
<検索方法> ○:OPAC 検索可、カ:1階カウンターで検索可
※1 一部 OPAC 検索可。
図書館ホームページより本学紀要の目次検索可
(試用版)。
※2 図書館ホームページより一部検索可(試用版)。
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三十年史特集
『沖縄国際大学
本学は1972
(昭和47)
年2月25日に設立され、2002
(平成14)
年2月25日に創立30周年を
図書館に置かれた。2001
(平成13)
年1月29日に「第1回三十年史編集委員会」が開催
「執筆責任者会議」等を開催した。執筆者80余名のご協力のもと、当初の予定通りに
『沖縄国際大学三十年史』出版随想
三十年史編集委員会委員長
野
原
三
義
(総合文化学部教授)
沖国大は72年4月宜野湾の原野のなかに出来た。いきなりの休みからの出発だった。そ
の30年の歴史を振り返ろうというのである。来し方を振り返って行く末の糧にするには、
生々しくてまだまだそんな客観的な気分になれないという部署などもあったかもしれな
い。しかし、30周年記念事業としての成果は出版されたのである。どうぞ御覧あれ。
編集に携わっている専門の方々が数年はかかるだろうと言われていた30年史を予定通り
に出した。この離れ業をやってのけたのは、多くの書き手の協力があってのことではあっ
たが、編集小委員会、主管部署図書館の大いなる努力があってのことである。なかんずく
図書館長の執着の心がなした技であったと思う。筆者がその立場にあったとすれば、編集
小委員会が最初に決めた日程通りにさっさとやってしまう。原稿締め切り日を守らない者
はどんどん削って、原稿の督促もそこそこに進行させる。結果は、言うところの拙速とい
うことになるかもしれない。編集小委員会はそうはしなかった。期待した原稿を集めたの
である。というのも原稿遅滞の人達の担当する部分が沖国大の背骨のような部分の原稿
だったからである。こういう類のものが集まるまで待って、なおかつ30周年の期限に間に
あわせたから感心するばかりである。統括する館長の全体を見渡す眼力が良かったからと
いってよい。
○○年史、○○市町村史などというものを読んだことがあるだろうか。せいぜい興味あ
るところをちらと見るくらいのものではないのか。少なくとも筆者はそう思っていたのだ
が、小委会議のさいには、
「読んでもらうために」ということを何度も聞いた。出せばよい
ということではなさそうだ。担当する箇所だけ責任を持って書けば任務は終わりというこ
とではないらしい。楽しいことは何も無かったかといわれれば、確かに古酒を入手して嬉
しいということはないのだが、さんざ難儀をして出した30年史があるということを嬉しい
と思わなければなるまい。欣快の至りといえるかどうかは知らない。
今回の書物は沖国大の屋台骨に関することが書かれていると思う。何でも載っているか
というとそうではあるまい。軽重の比較は出来ることではないが、何千、何万の関係者の
細々は分からない。1975年4月1日に短期大学部教授会が発足した。国文科の代表も筆者
と同僚と2人出向した。任期は2年だったが、いきなり2人交替ではなく、交互にしよう
ということで、1年で戻った。初代短期大学部主事、安里彦紀教授が「たった1年で帰る
のか」と言われた。印象に残っている。97年に出た『短期大学部記念論集』の沿革にも載っ
ていないことではある。将来に出るであろう年史にはもっと別の魅力ある観点も考えられ
るかもしれない。
30年史の編集後記を書きおえてホッとしていたら、また図書館の館報に「30年史作業を振
り返って」を書けとのこと。似たようなことしか書けないから、関係した他の方に頼んだ方
がよいと思ったが、書くことになってしまった。
迷惑をかけないからとの前図書館長の言で出発した編集委員長だったが最後まで駄文を
書かされる破目になってしまった。嘉手苅さん、これで任務終了だが、良かったかな。
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(平成15)
年4月2日
三十年史』
特集
三十年史特集
迎えた。
『三十年史』を刊行するために「三十年史編集委員会」が設置され、事務局は
され、爾来2年1カ月の間に9回の「編集委員会」
、32回の「編集小委員会」
、4回の
2003
(平成15)
年2月25日に本編786頁、資料編514頁で出版にこぎつけた。
宜野湾森、
移ろう日々を脳裏に留める
宮
三十年史編集委員会委員
城
邦
治
(総合文化学部教授)
宜野湾森の原野のような場所に沖縄国際大学が産声をあげたのは30年前である。セピア
色に退色した写真に目をやると、荒涼とした空間に無機的なコンクリートの塊のような構
造物が点々と建っている。しかし、そこが我が大学の生まれた場所であることは容易に了
解できる。30年の風雨に晒されながらも、グランドの脇にしたたかに生き延びているリュ
ウキュウマツと変わらずに若者たちを迎え入れている正門の佇まいからである。
そんな大学の30年という移ろう日々を、しっかりとした記録に留めおこうという作業が
2001年に始まった。1985年に『十年史』が発行されて以来の難渋な作業の再開である。し
かも、30周年という記念の年の2002年度内に発行すべし、というノルマが課せられた作業
であった。すぐさま1月29日には「30年史編集委員会」が設置された。しかしながら、大
学の「負」の特性で、各部署の責任者や代表者25名という「頭デッカチ」の組織である。当
然ながら作業の歩みに懸念がでて、実働部隊の組織が提案され、野原三義先生を委員長と
する「編集小委員会」が設置された。副委員長には当時図書館長であった嘉手苅千鶴子先
生の急逝を受けて、稲福日出夫先生が引き受けることになった。
編集小委員会は今流に言えば「プロジェクトX」である。8名という小人数の組織は実
にフットワークが軽快で、執筆者の選定や編集方針、項目立てなどが常識的に決まって
いった。あとは、各執筆者の頑張りに期待するだけであった。夏休みという時間を巧に活
用した執筆者からは労作が集まりだし、歴史を映し出す貴重な写真や文書なども段ボール
箱の中に山のように積まれていった。執筆を依頼してほぼ1年が過ぎた2002年の6月には
『三十年史』を実際に編集し、印刷までの作業を引き受けてもらう「業者」を選定できる
までに進捗していた。もちろん未提出の原稿も少なからず残っており、編集小委員会に出
席する時の私は、まるで針ムシロの上で閻魔大王の説教を聞いている心象であった。
7月には編集・印刷を担当する業者に(株)東洋企画印刷が選定され、編集作業に拍車
がかかるようになった。わけても、野原委員長、稲福副委員長は年度内発行を目指して、手
元に渡される原稿を昼夜を問わず精読し、すぐさま編集小委員会にその対応を諮る日々で
あった。件の編集小委員会はいつしか金曜日に定例化され、いくつかの難問にも対応でき
るような体制と信頼関係ができあがっていた。そんな中で、辛抱強く難解な原稿をチェッ
クし、執筆者からの要求に胃の痛さと涙をこらえてきた嘱託のスタッフたちの頑張りを見
るにつけ、しっかりとした『三十年史』をという思いが共有されていった。
編集小委員会を悩ましていた難問中の難問も、12月にはどうにかクリアされ、いよいよ
本印刷へと大きく前進した。野原委員長、稲福副委員長が激情しながらも根気強く運営し
てきた編集小委員会は、2003年3月でその大役を終えようとしている。しかし、
『沖縄国際
大学三十年史』が発行されるそのうしろで、男たちの怠惰と確執を我慢強く見守っていた
「おなり神」を、私たちは忘れてはならないだろう。
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三十年史特集
三十年史編集作業に携わって
東洋企画印刷
明
石
直
子
疾風のように吹き荒れ、去っていった ― 。
三十年史と関わりあったのは、そんな半年間でした。
編集という仕事に携わって13年。まだまだ若輩の域を脱せずにいますが、さまざまな形
態の本に出会い、その上梓に立ち会う機会に恵まれてきました。そして、平成14年7月に
出会った三十年史。執筆陣80余名、千頁近い大冊(実際には13
, 00頁にも及びました)を任
されることは、編集者冥利に尽きる一方、あまりにも責任が重すぎました。「やり遂げた
い」
「自分に成し得るのか」…。自分との葛藤に結論を付ける間もなく、怒濤のように押し
寄せる編集業務。ところが、日々の業務がなんと楽しく、充実していたことでしょう。
編集の業務は、地味で難儀だとよく言われます。最も困難な原稿催促をはじめ、膨大な
原稿整理・校正作業に追われ、得てして現実的でないスケジュールを管理し、執筆者から
の叱責も数知れず。ところが、そんな地味な一面をも払拭してしまうのは、一番最初の読
者という特権を得られることと、何よりも人との出会いです。特に今回の三十年史は、異
例ともいえる多数の執筆者と、編集小委員会の先生方をはじめ事務局スタッフの頼れる存
在がありました。80名余りの原稿を読むことにはさすがに気合いが入りましたが、最初に
原稿に目を通す瞬間は雀躍たる気分です。今回も十人十色の個性が味わえました。ただし
大学の記念誌という性質上、個性を前面に出すわけにもいかず、その取りまとめは大きな課題
でした。
編集小委員会の先生方から、的確なアドバイスを随時いただくことができました。
校了も差し迫った10月後半、精神的にも物理的にも現れてきたさまざまな障害を、編集
副委員長でもある稲福図書館長が見抜かれ、そして迅速に対処して下さいました。本来な
ら、編集者である私の力不足に他ならないのですが、目前に迫る校了を至上目的とするな
ら人員増は不可欠との判断をされました。張りつめて、今にも切れそうだった糸を少しだ
け弛めていただき、再び奮起!
校了目前になると、事務局を訪れる方々が増えてきたことを実感しました。
目を通した校正
をわざわざ届けて下さる執筆者、差し入れと共に激励の言葉を下さる先生方、波平学長にも何度
となくお声をかけていただきました。
多くの方々の思いやりが心に沁み入りました。
今、本の完成を半月後に控えてこの稿を書いています。実は、本づくりで最も緊張する
時期なのです。編集作業はそれこそ全身全霊をかけて遂行してきた。疑義は何度も確認し
た。
にもかかわらず、やはりもう少し時間が欲しかったというのが本音として残ります。
先生方に
十分な校正時間を提供することもままならず、お詫びをしなければなりません。
それでも、本づ
くりに期限は付きものなのであり、それは関係者すべての理解のもとにあると考えています。
今
は、印刷・製本という本づくりの最終工程を全力で進めているところです。
三十年史の編集に携わることができたこと、そして沖縄国際大学を愛してやまない多く
の方々と時を共有することができたことを誇りに思います。
『三十年史』の重みをこの手で
感じ、皆で喜びを共有することに今は思いを馳せています。
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年4月2日
三十年史特集
『沖縄国際大学三十年史』刊行報告会開催
『沖縄国際大学三十年史』出版祝賀会
平成15年2月24日、
『沖縄国際大学三十年史』刊行報告会
が学長室で行われた。出席者は学長、学部長、事務系部館
長、常務理事、事務局長、編集小委員会の先生方。東洋
企画印刷から大城孝代表取締役と明石直子さん、編集事務
局のメンバー。
野原三義編集委員会委員長からインクの香も新しい『三
十年史』が波平学長に手渡された。野原委員長は「31年目
の節目の日に刊行できてホッとしています。80余名の執
筆者、編集委員会・小委員会の先生方、東洋企画印刷、
編集委員会、事務局等々、多くの方々のご協力のおかげで
す」とお礼を述べた。
波平学長は「二つの点で感動しています。先ず第一に80
余名の執筆者が一丸となって取り組まれ、13
, 00頁という
重厚な量の内容を出版にこぎつけることができたこと。二
点目に期限内に出版できたことです。
『年史』
等は期限が遅
れるのが普通ですが、予定通りの期間で発行できたことに
敬 意 を 表 し ま す。ご
協力いただいた全て
の方々に感謝します」
と関係者の労をねぎ
ら っ た。引 き 続 き
CD-ROM の デ モ も 行
われた。
『三十年史』祝賀会は3月3日午後5時30分から午後7
時30分の間、本学厚生会館4階ホールで開催された。出席
者は執筆者や教員合わせて76名。
野原三義編集委員長は、原稿を提出して忘れた頃に出版
された年史の例を引き合いに出され、本学『三十年史』が
予定内の期限で刊行できたことを喜ばれた。
波平学長は、80余名の方々の協力の下で刊行できたこ
と、読んでいて新発見が多々あること等を話された。
稲福日出夫図書館長は、刊行に至までの経緯について詳
細にふれ、協力をいただいた編集委員、編集小委員、東
洋企画印刷、事務局等々に深甚なる感謝を述べた。
(挨拶をする野原三義委員長)
嘉手苅千鶴子前図書館長の仏前へ『三十年史』を供える
平成13年に急逝された前図書館長嘉手苅千鶴子先生の3回忌にあたる3月4日、野原三義編集委員長、稲福日出夫図
書館長、山根光正次長、新川宣安課長が先生宅を訪問し、仏前に『三十年史』を供えた。嘉手苅前図書館長は、三十年
史編集委員会の初代副委員長。野原委員長、稲福館長からご母堂の郁枝様へ刊行に至るまでの経過を報告した。
三十年史執筆者一覧
波 平 勇 夫
安仁屋 政 昭
仲 地 哲 夫
儀 部 景 俊
福 里 盛 雄 野 原 全 勝
屋 嘉 宗 克
山 城 将 美
来 間 泰 男 宮 城 辰 男
清 村 英 夫
石 原 昌 家
新 里 勝 彦
高 橋 俊 三 遠 藤 庄 治
渡久地 朝 明
小 熊
誠
阿波連 正 一
徳 永 賢 治
前 津 榮 健
渡嘉敷 一 郎
高 良 阮 二
西 原 森 茂
鎌 田
隆
葛 綿 正 一
渡 辺 春 美
黒 澤 亜里子
山 口 真 也
大 城 朋 子
大 野 隆 之 保 良 昌 徳
兼 本
敏
吉 田 肇 吾
玉 城 康 雄 伊 波 和 正
大 下 祥 枝
三 村 和 則
稲 福 みき子
江 上 幹 幸 新 垣 誠 正
野 原 三 義
呉
錫 畢
比 嘉
堅
稲 福 日出夫
山 根 光 正
新
川 宣 安
崎 浜
靖
富 川 盛 武
兪
炳 強
知 念 悦 子
脇 阪 明 紀
垣 花
聡
宮 城 邦 治
砂 川 徹 夫
山 里
肇 煤 孫 昌 夫
石 垣 榮 洋
宮 城
勇
前 原
勲 門 口 政 秀
屋嘉部
勉
普久原
朝
保
知
念
勇
仁
仲
西
かおり
照
屋
幸
伸
城 篤 男
仲 本 兼 信
岸 本 和 伸
岸 本 惠 常
福 里 文 夫
山
知 念 仁 照
高 宮 廣 衞
嘉 数 武 松
屋嘉比
収
三 輪 隆 夫
呉 屋 秀 信
金 城 繁 信
玉 城 節 子
新 垣 尚 子
佐渡山 美智子 比 嘉 盛 光
長 嶺 聖 子
林
素 儀 保 信 虎
以上
8
4
名
[
順不同・敬称略
]
22
7号
第3
2003
(平成15)
年4月2日
三十年史特集
三十年史編集委員会等変遷
(平成13年1月29日〜平成15年3月11日)
「編集委員会」
「編集小委員会」「執筆責任者会議」「事務部局執筆者会議」
平 平成1
3年 第1回 編集委員会[編集方針、今後の日程]
成
9日
[委員長選出:野原三義 副委員長選出:嘉手苅千鶴子]
1
2 1月2
年
3月1日
第2回[体裁、目次]
度
三十年史編集委員会に向けての事前打合せ
4月9日
4月13日 第3回[編集小委員会設置、副委員長選出
野原(三)・稲福・仲地・高橋・新川・山根
[編集について]
稲福日出夫]
平
4月27日
第1回 編集委員会[編集方針、内容、頁、キーワード]
野原
(三)・稲福・仲地・宮城
(邦)・野原
(全)・前原・新川・山根
5月15日 第2回[執筆者選定、執筆要領]
成
6月5日 第3回[頁割振、目次、執筆要領]
6月18日 第4回[作業日程、
編集方針、
頁割振、
目次、
執筆要領、
執筆者選定]
第1回「第1編、第2編
13
6月25日
年
執筆責任者会議」
稲福・安仁屋・宮城
(辰)・野原
(全)・遠藤・高橋
新里・渡久地・阿波連・小熊・山根・新川
7月9日 第2回「第1編、第2編
執筆責任者会議」
8月3日 第3回「第1編、第2編
執筆責任者会議」
度 8月13日 第5回[編集方針、項目立]
10月23日 事務部局執筆者会議
11月20日 第6回[巻頭言、教員一覧、資料編]
12月17日 第4回[写真選定、回想記]
3月8日 第5回[30年のあゆみ、スポーツ、文責明記、文体統一]
4月12日 第6回[事務部局]
5月14日 第7回[編集作業日程、原稿読み、構成、目次]
5月27日 第8回[原稿校正、入札方法]
6月3日 第9回[原稿校正、構成、章立て、入札方法]
6月10日 第10回[章立て、入札日程、資料編、抜刷り]
6月17日 第7回[入札方法、章立て、発行部数、資料編作成、抜刷り、執筆者明記]
7月1日 第11回[編集者面接]
7月4日 第12回[入札に向けて5社選考]
7月11日 第13回[落札業者
東洋企画印刷、資料の基準装丁]
7月25日 第14回[原稿編集、校正の段取り、資料基準]
平
9月9日 第15回[校正基準、本編、資料編基準、学部]
9月24日 第16回[第1編 私学の歴史、回想記、沿革]
10月11日 第17回[今後の作業日程、三十年のあゆみ]
成
10月18日 第18回[毎週開催決定、三十年のあゆみ]
10月25日 第19回[全頁内容、第2編3章、第8編]
14
11月1日 第20回[年表、第1編、第2編3章、 全頁の内容]
11月8日 第21回[第1編、2編3章]
年
11月11日 第22回[第2編3章]
11月19日 第23回[第2編3章、第3編3章、全頁の内容]
11月22日 第24回[第2編3章、第3編3章、凡例]
度
11月29日 第25回[第2編3章、第3編3章、装丁、インターネット]
11月29日 第26回(臨時)[第2編3章、第3編3章]
12月6日 第27回[グラビア、校旗校章、校歌]
12月13日 第8回[三十年史の最終稿]
12月19日 第28回(臨時)[第2編第3章、抜刷り、年表]
12月24日 第29回[年表、グラビアキャプション]
1月31日 第30回[電子化およびインターネット上の公開承諾]
2月26日 第31回[三十年史・CD-ROM の配布先、インターネット上の公開]
2月28日 第9回[三十年史・CD-ROM の配布先、インターネット上の公開]
3月11日 第32回[正誤表、発送リスト、配布基準
(案)]
(注)
1[
23
]内は主な議題。(注)
2 敬称略。
7号
第3
2003
(平成15)
年4月2日
沖縄県大学図書館協議会総会・講演会開催
「第30回(平成14年度)沖縄県大学図書館協議会総会及び講演会」は県内国公私立短大8大学から32名の
関係者が出席し、6月20日(木)に本学図書館4階学習室で開催された。
総会は稲福日出夫図書館長の開催挨拶で始まった。稲福館長は「大学間同士コンソーシアムの機運が高
まりつつあります。県内大学図書館で共通に抱えている問題がありますが、こういう機会に話し合い、協
力できるところは協力しあい、解決に向けて努力していきましょう」と挨拶した。波平勇夫学長は「県内
大学図書館関係者が一同に会して、話し合いを持つのはとても意義深いことです。本県大学図書館の質向上に
向けて議論して下さい」と歓迎の挨拶を述べた。
宜保清一琉球大学図書館長が幹事館挨拶を行い、
その後慣例に従い稲福館長が議長となって平成14
年度の事業計画(案)や予算(案)等の審議に入った。
総会終了後、図書館AVホールに場所を移し島
袋忠雄沖縄キリスト教短期大学図書館長が「心の
小窓の灯し火で…」の表題で講演を行った。講演
の中で島袋館長は、名作やポエム等を引き合いに
出しながら「暗記すること」の重要性について体
験を通し語った。
最後に本学厚生会館4階ホールで懇親会を催
し、各大学図書館の実情等を語り合った。
(稲福図書館長による開催挨拶)
日曜館外貸出開始
図書館防災訓練実施
図書館資料の館外貸出しについて、これまでは
月曜日から土曜日の間しか認められていなかっ
た。日曜日も館外貸出しを認めてほしいとの要望
が広く利用者からあった。図書館で検討した結
果、4月1日から日曜日の館外貸出しも実施する
ことになった。多くの皆さんの利用をお待ちして
います。尚、館外貸出しの締切時間についてもこ
れまでの閉館50分前から、
閉館30分前に変更した。
平成14年12月6日(金)
、図書館休館日を利用し
て定例の防災訓練を実施した。訓練指導は防災設
備保守管理会社と大学の管財課。
まず、①消火設備の説明と設置場所の確認、②
火災報知器の説明、③エレベータ内、身障者用ト
イレからの連絡確認等について説明を受けた。
次に4名1組の班別に別れ、実際の訓練に入った。
火災発生を想定し火災感知器(自動火災報知器ベ
ル)を作動させる。
カウンター内にいる職員4名中3
名は防災監視室へ急行する。
1名は避難誘導のため
にカウンター内で待機。
防災監視板で火災場所を確
認し2名は現場へ急ぐ。
現場で火災なのか誤報なの
かを確認後、専用電話機で監視室へ報告する。
同時
に消火にあたる。
報告を受けた監視室待機の1名は全
館非常放送を行い利用者を避難誘導し、消防署に連
絡する。
カウンター待機の1名も避難誘導する。
繰り返し訓練することで危機管理に対する心構
えは一段とアップした。
平成14年度
私立大学等研究設備整備費等補助金
(私立大学等研究設備等整備費)交付内定
文部科学省高等教育局長から、平成15年2月13
日付、次の通り交付内定通知があった。
学部学科
設
備
名
商 経 学 部 経済学・統計関係
経 済 学 科 資料コレクション
区
分
事業総経費 補助金内定額 本学負担額
研究設備 97
, 500
, 00円 61
, 750
, 00円 35
, 750
, 00円
※商経学部商学科申請の特定図書、経営情報関
係資料コレクションは不採択。
24
7号
第3
2003
(平成15)
年4月2日
図 書 館 統 計
平成13年度
図書館資料構成
学術雑誌等資料構成
(H143
. 3
. 1現在)
種
区
共
通
科
目
A
専
門
科
目
B
A
郷
参
別
分
聴
覚
関
係
資
料
学
科
加
合
計
(冊)
和 書 洋 書
総
記
228
, 73 35
, 28
一 人 文 科 学
296
, 23 52
, 30
般
社 会 科 学
72
, 26 10
, 88
教
自
然
科
学
1
4
2
,
3
5
1
7
, 20
育
計
739
, 57 115
, 66
英
語
20
, 45
681
外 独
語
18
, 39 10
, 83
語
17
, 07 12
, 08
国 仏
11
, 26
147
語 そ の 他
計
67
, 17 31
, 19
保 健 体 育
18
, 70
49
教 職 科 目
109
, 55 10
, 24
合
計
934
, 99 157
, 58
法
学
331
, 93 116
, 44
経
済
270
, 36 70
, 00
商
学
202
, 80 62
, 95
国
文
305
, 91
835
英
文
98
, 41 143
, 10
社
会
154
, 94 41
, 82
合
計 1364
, 35 442
, 66
+ B 合
計 2299
, 34 600
, 24
土
資
料 (200
, 57)( 420)(
考
図
書 (246
, 63)( 38
, 70)(
マイクロフィルム
視
計
(H143
. 3
. 1現在)
区
264
, 01
348
, 53
83
, 14
159
, 55
855
, 23
27
, 26
29
, 22
29
, 15
12
, 73
98
, 36
19
, 19
119
, 79
1092
, 57
448
, 37
340
, 36
265
, 75
314
, 26
241
, 51
196
, 76
1807
, 01
2899
, 58
204
, 77)
285
, 33)
共
別
総
人
社
自
科
科
科
記
学
学
学
文
会
然
計
通
科
英
独
仏
そ
目
語
語
語
他
の
計
保 健
教 職
小 計
法
経
専 商
門 日 本
科 英 米 言
目 社 会
人 間
小 計
合 計 (40
, 38R)
(15
, 22R)( 55
, 60R)
↓
↓
↓
(114
(18
, 94冊)(133
, 69冊)
, 75冊)
体
科
育
目
学
済
学
文 化
語 文 化
文 化
福 祉
+ 学術雑誌数
和 書
567
131
60
72
830
2
3
2
2
9
19
50
908
228
225
144
80
54
78
36
845
17
, 53
洋
書
26
33
16
14
89
0
2
3
0
5
0
9
103
76
66
41
0
83
40
16
322
425
計
(種)
593
164
76
86
919
2
5
5
2
14
19
59
10
, 11
304
291
185
80
137
118
52
11
, 67
21
, 78
年度別図書館資料構成
(冊)
( 533枚)
(70
, 76枚)( 76
, 09枚)
↓
↓
↓
マイクロフィッシュ
( 464冊)( 559冊)( 10
, 23冊)
ス ラ イ ド
36
1
カセットテープ
12
, 30
88
ビデオテープ
33
, 73
423
フロッピー・ディスク
485
108
ピクチャー・カード
12
0
フラッシュ・カード
9
0
トランスペアレンシー
9
0
コンパクト・ディスク
332
0
レーザー・ディスク
129
4
C D - R O M
285
44
レ コ ー ド
0
0
ピクチャー・チャート
3
0
電 子 辞 書
15
0
そ
の
他
215
1
合
計
61
, 33
669
位
論
文 (
4)(32
, 63) (
研 費 研 究 成 果 ( 66)(
0) (
除 式 資 料 ( 62)(
8) (
種
分
290,000
287,500
285,000
282,500
280,000
277,500
275,000
272,500
270,000
267,500
265,000
262,500
260,000
37
13
, 18
37
, 96
593
12
9
9
332
133
329
0
3
15
216
68
, 02
32
, 67)
66)
68)
289,958
274,621
261,880
H.11年度
H.12年度
H.13年度
年度別学術雑誌資料構成
(種)
2,175
2,150
2,125
2,100
2,075
2,050
2,025
2,000
1,975
1,950
1,925
1,900
1,875
( )内は内数を表す。↓は「=」を示す。
マイクロフィルム・マイクロフィッシュは一般図書へ加算される。
2,178
2,144
2,120
H.11年度
25
H.12年度
H.13年度
7号
第3
2003
(平成15)
年4月2日
図 書 館 利 用 状 況
平成13年度
1
学科別図書館利用状況
項
法
商
図書貸出
目
学部・学科
貸
学
の
他
項
数
目
合
他大学の学生
71
, 22
36
, 87
他大学の研究者
117
経
済
56
, 27
29
, 09
大学以外の研究者
126
54
, 73
29
, 01
そ
の
他
786
, 43
項
目
学
件
数
枚
数
内
73
, 89
学 大学図書館
外 そ の 他
337
20
, 67
15
, 28
123
, 39
92
, 54
607
, 80
合
計
463
, 74
文
54
, 48
24
, 41
英
文
54
, 68
22
, 14
社
会
76
, 64
35
, 83
化
13
, 25
698
英米言語文化
12
, 32
633
奉仕区分
生
教職員
学外者
555
52
180
787
25
本
文
合
4
計
860
, 08
参考業務状況(比率)
学
計
%
社
会
文
化
12
, 57
594
文献所在調査
人
間
福
祉
13
, 42
701
事 項 調 査
191
11
31
233
7
424
, 60
203
, 61
利 用 指 導
16
, 66
16
417
20
, 99
67
24
, 12
79
628
31
, 19
77
3
20
計
教
員
30
, 32
488
計
%
事
務
職
員
910
413
大
学
院
生
25
, 42
737
研
生
38
20
科目等履修生
究
662
275
学
外
184
116
73
, 68
20
, 49
計
498
, 28
224
, 10
小
計
5
開館日数・入館者状況
開
館
日
数
306 日
入
館
者
数
3694
, 17 人
年度別図書貸出冊数
年度別図書貸出人数
(冊)
(人)
51,329
51,858
H.11年度
H.12年度
25,000
23,000
21,000
19,000
17,000
15,000
13,000
11,000
9,000
7,000
5,000
3,000
1,000
49,828
43,331
H.10年度
H.13年度
23,660
23,538
H.11年度
H.12年度
22,410
20,495
H.10年度
年度別文献複写利用状況
H.13年度
年度別参考業務状況
(件)
(枚数)
120,000
110,000
100,000
90,000
80,000
70,000
60,000
50,000
40,000
30,000
20,000
10,000
0
文献複写利用状況
国
合
56000
53500
51000
48500
46000
43500
41000
38500
36000
33500
31000
28500
26000
3
計
76
, 24
小
そ
人
学
日
総
合
文
化
数
学外者の図書館利用状況
法
商
文
2
3,200
3,050
2,900
2,750
2,600
2,450
2,300
2,150
2,000
1,850
1,700
1,550
1,400
96,916
82,932
75,411
60,780
H.10年度
H.11年度
H.12年度
H.13年度
3,119
2,505
H.11年度
H.12年度
1,895
H.10年度
26
2,524
H.13年度
7号
第3
2003
(平成15)
年4月2日
平 成 14 年 度
図書館訪問
〜37団 体 997名 が 視 察 ・ 見 学 等 〜
本学図書館には、毎年多くの方々が視察や見学等で訪れる。平成14年度は団体、個人合わせて37団体997名
の訪問があった。その中から4団体を紹介する。
親子職場体験学習「大学は沖国大へ」
港川小5年生3名
平成15年2月3日
(月)、浦添市立港川小学校5年生3名が図書館を訪問した。父母が働いている職場で、実際に
仕事を体験しながら働くことの意義や苦労を学ぶものである。本学職員の垣花聡
(沖縄法政研究所課長)
さんの引
率で見学した。先ず館内を案内してもらい、その後に稲福図書館長を交えて感想などを話し合った。
・ 根間翔吾くん ―(体験学習として)
大学を選んだがコンピュータがおもしろかった。本の検索方法も教えても
らった。小学校よりスゴイと思った。掃除をするのが大変でしょう。
・ 木戸玲奈さん ― 書架が自動的に動き
(電動書架)
、案内の声も出るので驚い
た。大学の図書館は入る機会がなかったが広いのと本が多いのにビックリし
た。将来、大学は沖国大へいきたい。
・ 垣花直美さん ― お父さんが働いている大学だが、大学の図書館は小学校の図
書館よりスゴイと思った。AVホールはまるで映画館のようだった。4階の
窪徳忠展示コーナーには人形やら資料やらの珍しいものが展示されていた。
「まるで別世界」
図書館で職場体験学習
具志川東中学2年生6名、
平成14年9月10日
(火)
、具志川市立具志川東中学校2年
生6名(男子3名、女子3名)が職場体験学習の一環とし
て本学図書館で学んだ。引率は図書館司書の國場恵先生。
「入所式」で生徒の皆さんは「自己紹介カード」をもと
に自己紹介した。学びたい理由として、異口同音に「仕事
の厳しさや楽しいことを実感したい」と話した。職員から
「本学の図書館員になったつもりで利用者サービスをお
願いします。分からないことがあったら何でも聞いて下
さい」との歓迎挨拶があった。
現場へ移動し、開館前の準備業務や入館指導、図書資料
の収集、整理、保
管、資料閲覧、貸
出、文 献 複 写 等
について説明を
受 け た。続 い て
施 設 を 見 学 し、
その後オリエン
テーションが済
む と、実 際 の 業
務を手伝った。
平成14年9月9日
(月)〜13日
(金)の5日間、石川市立
伊波中学校2年生2名が職場体験学習で本学を訪問した。
2人は大学業務に関心をもっていて、主に広報課の業務を
体験しながら対面朗読室での点字作成等も勉強した。最
終日の13日は具志川東中学同様のメニューを図書館で体
験学習した。
お礼状の内容は次のとおり。
・石川由紀子さん ―「びっくりしたのは図書館の大きさ。
中学校の図書館と違い、いろいろな本や雑誌があった」。
・高江洲歩さん ―「5日間はとても短く感じた。
親切にし
ていただいてありがとうございました」
。
県立学校
( 高校及び特殊教育諸学校
) 図書館司書の研修会
沖縄県教育委員会主催「県立学校(高校及び特殊教育諸学校)図書館司書の研修会」が平成14年度8月16日
(金)
、県内の
高等学校図書館司書74名と県教育委員会職員2名が出席して、本学図書館AVホールで行われた。稲福館長は「昨年に引き
続き沖国大図書館へようこそ。研修会が本学で開催されることを歓迎します。本学図書館職員も一緒に講演を聞かせてい
ただきます」と歓迎の挨拶を述べた。日本文化学科の山口真也講師が「学校図書館と著作権」のテーマで講演した。山口講
師はゼミ学生の協力で作成した手作りビデオで、無意識に犯している著作権侵害行為等について身近な題材を例にとりなが
ら講演を進めた。
「びっくりした図書館の広さ」
伊波中学校2年生2名
27
7号
第3
2003
(平成15)
年4月2日
10月22日
愛知県私立大学事務局長会議35名/研修及び図書
館視察
10月22日
名護高等学校生150名
(引率教員含)
/図書館見学
11月1日
文部科学省大臣官文教施設部大阪工事事務所 所長
補佐大山靖啓氏他2名/図書館視察
11月18日
関東学院大学文学部職員2名/図書館視察
11月22日
北中城村役場収入役喜納徳一郎氏他12名/図書館
視察
12月9日
具志川高等学校生25名
(引率教員含)
/資料調査学習
12月17日
小禄高等学校生5名/図書館見学
12月19日
富良野高等学校生4名/図書館見学
1月14日
在沖縄米国総領事館領事ブルース・ネルソン氏 米
国大使館情報資料官エリザベス・レナード氏他1名
/図書館視察
1月22日
宜野湾市はごろも学習センター
「若葉教室」
学生17名
(引率教員含)
/図書館見学
1月31日
山内義正氏、安里國昭氏ご夫妻
(長濱眞徳氏ご親族)
/図書館視察
2月3日
港川小学校生3名/親子職場体験学習
2月20日
名古屋大学職員3名/図書館視察
2月26日
日本体育大学大学院教授 稲垣正浩氏ご夫妻/図書
館視察
2月27日
筑波大学職員3名/図書館視察
3月12日
関西大学文学部教授文学博士 坂出祥伸氏/図書館
視察
3月19日
札幌学院大学人文学部教授図書館長 酒井恵真氏/
図書館視察
3月19日
浦添工業高等学校生40名/図書館見学
3月26日
山梨県立女子短期大学図書館長 島袋善弘氏、生活
学科 吉田雅彦氏/図書館視察
5月2日
北部工業高等学校生170名
(引率教員含)
/図書館見学
5月16日
熊本学園大学教学部長荒井勝彦氏他職員3名/図書
館視察
6月15日
久米島高等学校生35名
(引率教員含)
/図書館見学
6月19日
中部商業高等学校生36名
(引率教員含)
/図書館見学
6月20日
沖縄県大学図書館協議会加盟館職員35名/総会及
び図書館視察
6月29日
浦添高等学校 PTA40名/図書館見学
7月3日
日韓学生交流会39名/図書館見学
7月12日
沖縄県高等学校長会3名/図書館視察
7月13日
豊見城高等学校 PTA30名/図書館見学
8月3日
陽明高等学校生25名
(引率教員含)
/図書館見学
8月9日
小禄高等学校生59名
(引率教員含)
/図書館見学
8月9日
北山高等学校生20名
(引率教員含)
/図書館見学
8月16日
県立学校
(高校及び特殊教育諸学校)
司書研修会74名
/研修及び図書館視察
9月10日
具志川東中学校2年生7名(引率教員含)/職場体験学習
9月13日
伊波中学校2年生2名/職場体験学習
10月8日
那覇西高等学校生40名
(引率教員含)
/図書館見学
10月12日
浦和第一女子高等学校生3名/図書館見学
10月17日
前原高等学校生60名
(引率教員含)
/図書館見学
28
7号
第3
2003
(平成15)
年4月2日
まだまだ「スタート地点」(事
比屋根さんはニューヨーク大学で2年間勉強、その間に 病 気
松増美氏の講演時の一言が遠因となって、
やがて東京で1年間
だまだスタート地点なんだな」と感じ、嶺井さんは
「出会いは
ニューヨークでカウンセリングの勉強
図書館職員
比屋根
奈津子
平成12年度県人材派遣海外留学生
(国費)
南国の夏特有の肌に射す
渡米直後の思いがけない病気、アメリカで精神的支えと
ような太陽の日射しを背に感
なっていた叔父と叔母の突然の他界、2年目を迎えた2001
じながらニューヨークへと飛
年9月11日朝のまるで悪夢のような同時多発テロ攻撃など
び立ったのが2000年8月。
そ
が重なり、カウンセリングを必要とするほど心身共に消耗し
れから四季が二巡りしたちょう
てしまった時期もありました。一方で、大都市ニューヨークに
ど2年後の2002年8月末に
混在する多種多様な民族や宗教、文化、価値観、人生に触れ
帰国する日まで、ニューヨー
て、深く感銘を受けたり胸が熱くなるような経験もありまし
ク大学教育学部応用心理学科
た。今振り返ってみると、異国の地でのそのひとつひとつの
修士課程に在籍してカウン
経験を通して、カウンセラーとして、またひとりの人間とし
セリング心理学を学んできま
て、言葉に言い尽くせないほど多くの気づきと学びを得たよ
し た。
帰国後半年が経った
うに感じます。これこそが「留学」の意義なのでしょう。
今、ただただ必死に駆け抜けたニューヨークでの2年間を
帰国時の機上では、学問の奥深さ、そして私達の住む世
振り返り、その日々が私にとって貴重な人生の転換期となっ
界の広大さと多様性を目の当たりにした2年間を顧みなが
たことを心の底から実感しています。
ら、
「自分が何を知っていて何を知らないか知る…それこそ
マンハッタン島の南ワシントンスクエアに隣接するニュー
が真の知識」と言った天文学者コペルニクスの言葉をくり返
ヨーク大学は総学生数が5万人とも言われているアメリカ最
し思い出していました。そしてまだまだスタート地点なんだ
大の私立大学です。世界のあらゆる国々から集まる留学生の
な、としみじみ感じていました。
数は50
, 00人にものぼります。2年間で受講した科目は20科
これからもさらなる研究と経験を重ねながら、限られた
目、合計50単位。Developmental Psychology(発達心理
期間ではありましたが、ニューヨークで得た知識と経験をより
学)、Group Counseling(グループカウンセリング)、Family
多くの人々と分かち合っていけたらと願っています。学生の皆
Therapy(家族療法)
、Cross-cultural Counseling(異文
さんとも話し合える機会が持てたらと思っていますので、どう
化カウンセリング)
、Gestalt Therapy(ゲシュタルト療法)、
ぞお気軽に声をかけてくださいね
Test and Interpretation for Counseling
(カウンセリングに
教職員の皆様からは留学前後を通して温かい励ましをい
必要な心理テストとその解釈)、Program Development
ただき、本当に心強い支えとなりました。
心から感謝の気持
and Evaluation for Counselors(カウンセリングプログラム
ちを贈ります。
ありがとうございました。
Thank you all from the bottom of my heart の開発と評価)
、Individual Counseling: Practice 1 & 2
(カウンセリング実地訓練)、Career Counseling ( キャリアカウ
派遣海外留学生制度
(国費)
とは
ンセリング ) など、理論を学ぶクラスと実践を通して学ぶクラスを
受講しました。さらに、留学期間後半の1年間は、地元の高校
(財)沖縄県国際交流・人材育成財団が、高度な専門性
生のカウンセラーとして学外でインターンシップも経験しました。
と国際性を持った人材の育
やはり言葉や文化の壁は厚く、特にプレゼンテーションやイン
成を目的として、毎年、海外の
ターンシップでのカウンセリングセッションの時には、失敗したり、
大学院(修士課程及び博士
自己表現が思うようにで
課程)へ選抜試験合格者を派
きなくて悔し涙を流すこと
遣している制度です。
募集要項等は下記のウェ
もありました。テスト目前、
読んでも読んでも読み終
ブサイトで参照できます。
(財)沖縄県国際交流・人材
わらないテキストを前に、
眠い目をこすりながら呆然
育成財団ウェブサイト
とすることもありました。
htt p : //www . o i hf . o r. j p /
29
7号
第3
2003
(平成15)
年4月2日
務職員の学外資金による留学)
や親しい方の不幸、
「同時テロ」等を体験する。嶺井さんは村
同時通訳の勉強をすることになる。留学後比屋根さんは「ま
すべて必然」と語る。
私の履歴書から…
前図書館職員(入試課) 嶺
井
かおり
平成13年度同時通訳者養成事業派遣研修生
2001年9月、私はま
加えて恩師が孤軍奮闘している姿を見、ふたたび思い立
だ蒸し暑い沖縄を離
ちます。今度は沖縄県同時通訳者養成事業研修生派遣
れ、背筋がピンと伸び
プログラムに応募しました。そしてクラスでもみそっ
るような初秋の冷たさ
かすだった私が、同時通訳者養成の一助となりたいとい
が漂う東京に向かいま
う大義名分のおかげで運良く(こればっかりですが)合
した。生活環境を考え
格。
そういうわけで、住みにくそうな東京へ一年間という期
ると
間限定で移住することになったのです。
アメリカより遠
と感じていた日本の首都・東京で暮らすことになっ
彼の地で私は二つの通訳養成機関に通いましたが、い
たのです。私は本学国文学科出身ですが、在学中にふと
ずれもプロの通訳、翻訳家の先生方が質の高い授業を展
思い立って米国へ語学留学をしたことがあります。一
開していました。沖縄ですら落ちこぼれ気味だった私
年間の滞在でしたが、課外活動に重点を置いていたため
が勤勉で優秀な在京の人々に囲まれ苦労したことは言
(^.^)英語はほとんど上達しませんでした。しかし一方
うまでもありませんが、とにかく好きでやっていること
で多くの友人が出来、非常に楽しい時間を過ごせまし
だけに、毎日が楽しくて仕方ないという感じでした。そ
た。そして、帰国後 タダ でもう一度米国へ行く方法
して何より(またまた)幸運なことに、 ずっとついて
を考えた挙げ句、留学試験を受けようと思い立ちます。
いきたい! と思えるほど素晴らしい先生に出会えまし
一年間勉強してダメなら諦めようと決めてトライして
た。この出会いにより、落ちこぼれなりにこれから先の
みたのですが、世の中そんなに甘くもなく、私の短絡的
勉強に光を見出すことができたのは大きな喜びです。
い
なもくろみはあえなく砕け散ってしまいました。あと
振り返ってみれば、特に英語に興味があったわけでも
に残されたのは、力試しに受けた基地内大学の合格証書
ない私が、公費で勉強するチャンスを得るに至ったこと
といくらか上達した程度の英語力でした。
は不思議な展開です。巡り合わせとしか言いようがあ
それから数年、英語とは無縁の生活を送っていました
りません。そこで、皆さんに贈る言葉です。 その対象
が、ある日、著名な通訳者である村松増美氏の講演会に
が人であれ、物であれ、事柄であれ、出会いはすべて必
出席する機会を得ました。当時通訳なんてまるで興味
然です。常にその意味を考え、受け止め、消化して下さ
のなかった私は村松氏がどれほどスゴイ方か知る由も
い。それに努力をプラスすれば、きっと道は開けるハズ
なく。ただ、 通訳 という仕事についてとても楽しそう
です。 グッド・ラック!
に話されている姿に好感を持ちました。そして、運良く
同時通訳者養成事業とは…
(?)
言葉を交わした際に思いがけないことを言われま
村松氏にしてみれば
沖縄県の国際都市形成構想に絡む国の沖縄振興策に
何気ない一言で、私もその時は別段気に留めませんでし
よる最初の事業として1997年度からスタートしたプロ
た。ですが、時期を同じくして沖縄県人材育成財団語学
グラムです。沖縄県国際交流・人材育成財団語学セン
センター同時通訳者養成基礎講座の募集広告を目にし
ターが窓口になっており、英語、中国語、韓国語、タイ
ます。その後、気がついたら同センターのクラスを受講
語、スペイン語、フ
していたのです。
ランス語の枠があり
す。 通訳の勉強をしてみたら?
こんな風に英語と関わってきたために、その英語力の
ます。派遣期間は一
低さとは裏腹に学習面で辛い思いをしたことはなく、楽
年ですが、再度選考
しみの一つとして続けてきました。しかし、現場での訓
試験を受け、もう一
練などをとおして県内に通訳者養成のための機関や指
年まで更新すること
導者が不足しているのではないかと考えるようになり、
も可能です。
30
7号
第3
2003
(平成15)
年4月2日
② 伊波中学2年生2人
蔵書点検について
ILL(図書館相互貸借)
の学内受付方法について
図書館防災訓練について
図書館システムのリプレース作業の進捗状況に
ついて
研究紀要公開のための著作権処理の手引きにつ
いて
審議事項
平成14年度論文・エッセイの審査について
図書館研究個室の使用について
「図書館規程」
の一部改正
(案)
について
法学部からの要望
(LEX/DB インターネット)
について
連絡事項
雑誌・研究紀要の製本作業について
図書委員会の動向
1. 平成15年度
学 科 名
1. 法 律 学 科
2. 地 域 行 政 学 科
3. 経 済 学 科
4. 商
学
科
5. 日 本 文 化 学 科
6. 英米言語文化学科
7. 社 会 文 化 学 科
8. 人 間 福 祉 学 科
9. 担 当 教 員
10. 図 書 館 長
11. 図 書 館 次 長
12. 図 書 館 課 長
脇
佐
名
天
吉
西
仲
森
山
稲
山
新
図書委員会委員一覧
氏
阪
藤
城
野
田
原
地
田
口
福
根
川
名
紀
学
敏
敦 央
肇 吾
幹 子
哲 夫
満 夫
真 也
日出夫
光 正
宣 安
明
任
期
H144
. 1
. 〜H163
. 3
.1
H154
. 1
. 〜H173
. 3
.1
H154
. 1
. 〜H173
. 3
.1
H144
. 1
. 〜H163
. 3
.1
H154
. 1
. 〜H173
. 3
.1
H154
. 1
. 〜H163
. 3
.1
H154
. 1
. 〜H173
. 3
.1
H154
. 1
. 〜H173
. 3
.1
H154
. 1
. 〜H173
. 3
.1
職 責 委 員
職 責 委 員
職 責 幹 事
2. 平成14年度図書委員会開催状況
第3回 平成15年3月11日 図書館会議室
報告事項
平成14年度私大助成の交付内容について
図書館システムリプレースのスケジュールについて
平 成15年 度 新 入 学 生 の 図 書 館 利 用 オ リ エ ン
テーション実施について
一般研究費による図書購入について
審議事項
平成15年度私大助成の申請学科について
平成15年度図書整備計画について
連絡事項
平成15年度図書整備計画書について
提出期限:第1回 4月18日
問い合せ:図書館整理係(内線2110 中山)
平成15年度指定図書について
提出期限:4月25日
問い合せ:図書館運用係(内容2107 富村)
第1回 平成14年6月7日 図書館会議室
報告事項
平成14年度図書委員構成一覧について
平成13年度学科別等図書費執行状況について
平成13年度図書及び学術雑誌資料構成一覧に
ついて
平成13年度図書館利用状況について
平成13年度学外者の図書館利用カード申請者
集計について
平成13年度指定図書申請状況について
平成14年度図書整備計画書提出状況について
平成14年度図書館利用オリエンテーション実
施状況について
平成14年度図書の発注業者について
書誌 CD-ROM 整備状況について
私立大学図書館協会西地区部会2002
(平成14)
年度第1回九州地区協議会及び第53回九州地
区大学図書館協議会について
紀要等の電子化状況調査について
平成14年度新規購入雑誌費について
図書館システムリプレース作業の進捗状況について
審議事項
委員長に事故あるときの職務代行者の選出について
平成13年度貴重図書受入リストについて
平成14年度論文・エッセイ募集について
卒業アルバム等個人情報掲載資料の取扱いについて
その他
提案:障害を持つ学生のアルバイトについて
連絡事項
平成14年度図書整備計画書の提出について
人
の 動 き
1. 任期満了による退職(平成15年3月31日付)
図書課副参事
横
田
栄
子
2. 昇任と配置換え(平成15年4月1日付)
職
第2回 平成14年12月13日 図書館会議室
報告事項
図書館職場体験学習について
① 具志川東中学2年生6人
名
氏
名
前
職
山
里
洋
図書課運用係長
入試課入試主任
嶺
井
かおり
図 書 課 係 員
図書課長補佐兼運用係長
當
銘
弘
道
教 務 課 長 補 佐
図 書 課 係 員
笹
田
章
生
教 務 課 係 員
図 書 課 非 常 勤
脇
阪
みどり
教 務 課 非 常 勤
情報センター非常勤
知
念
広
図 書 課 非 常 勤
子
3. 採用(平成15年4月1日付)
図書課係員
31
名
教 務 課 長 補 佐
比
嘉
紋
子
7号
第3
2003
(平成15)
年4月2日
平成14年度図書館員の研修・
年度図書館員の研修・
平成
研修会等出張の動静
研修会等出張の動静
名
称
期
間
1
2002
(平成14)
年度第1回私立大学図書館協議会
西地区部会九州地区協議会
平成14年
4月18日
2
平成14年度第53回九州地区
大学図書館協議会総会
4月19日
3
沖縄県大学図書館協議会企画委員会
4
5
沖縄県図書館協会理事会
私立大学図書館協会2002年度西地区部会総会
平成14年
5月9日
6月11日
6月14日
6
沖縄県大学図書館協議会総会・講演会
6月20日
7
沖縄県図書館協会総会
7月2日
8
平成14年度図書館等職員著作権実務講習会
9
平成14年度大学図書館司書主務者研修会
10
私立大学図書館協会西地区部会九州地区研究会
11
平成14年度九州地区著作権セミナー
12
国外協定校視察研修
13
私立大学図書館協会西地区部会研究会
8月28日
〜30日
8月28日
〜30日
8月30日
9月5日
〜6日
9月11日
〜18日
9月20日
14
沖縄県公文書館平成14年度資料保存講習会
10月4日
15
国公立大学図書館協力委員会主催
平成14年度シンポジウム
10月10日
16
沖縄県大学図書館協議会講演会
11月5日
17
平成14年度第3回目録システム講習会
(雑誌コース)
18
平成14年度大学図書館職員講習会
19
平成14年度目録システム(地域)講習会
20
雄松堂書店七十周年感謝の集い
11月6日
〜8日
11月12日
〜15日
11月11日
〜13日
11月20日
21
沖縄県図書館協会講演会
11月26日
22
沖縄県図書館協会講演会
1月14日
23
恩納村博物館視察研修
1月28日
24
日本図書館協会第7回視聴覚資料研究会
2月14日
25
沖縄県大学図書館協議会講演会
2月27日
参
館長
次長
課長
加
者
稲福日出夫
山根光正
新川宣安
館長
次長
課長
稲福日出夫
山根光正
新川宣安
係員
富村菊江
課長
館長
館長
館長
次長
課長
新川宣安
稲福日出夫
稲福日出夫
他図書館員
稲福日出夫
山根光正
新川宣安
係員
富村菊江
係長
山里洋
係員
島袋彰
課長
新川宣安
係員
當山仁健
係長
係員
係員
副参事
山里洋
島袋彰
當山仁健
横田栄子
課長
新川宣安
館長
稲福日出夫
他図書館員
係員
當山仁健
係員
富村菊江
係員
係員
館長
館長
島袋彰
比屋根奈津子
稲福日出夫
稲福日出夫
他図書館員
稲福日出夫
他図書館員
島袋彰
比屋根奈津子
横田栄子
嶺井かおり
稲福日出夫
他図書館員
館長
係員
係員
副参事
係員
館長
新入生のみなさん、入学おめでとう。
編集後記
今号は盛り沢山の内容になりました。先ず稲福図書館長のメッセージです、
「君たちに期待して
います」
、大いに図書館を利用しましょう。
『三十年史』
の特集を組みました。執筆を担当された方々や編集委員の先生方ありがとうございま した。三上さんの文章、思わず笑ってしまいました、そして勇気もいただきました。新里さんの
「祖
父の存在」の読後感です。孫に「ジイジイは一所懸命に生きていた
(んだな)
」
と言われるような人生 にしなければ…。
図書館利用については山口先生、それと図書館職員にも原稿をお願いしました。 参考にしてください。
モンコン先生の文章にもありましたがお気付きの点など、気軽にご連絡ください。参考にさせて
いただきます。
(山根 光正)
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