運動を生活習慣にしよう

運動を生活習慣に取り入れる
運動を生活習慣にしよう
運動は、内臓脂肪を減らすもっとも効果的な方法の一つです。ジョギングや水
泳などのスポーツだけではなく、体を動かす仕事、家事、通勤のための歩行な
ど、日常生活の中の動きも運動に組み入れ、無理せず気軽に「∼しながらできる
運動」から始めて、運動を生活習慣にしましょう。
●運動には、こんな効果がある
運動には、体力を養うだけでなく、体の抵抗
力を高め、けがや病気に掛かりにくくし、老化
を遅くするなどの様々な効果があります。また、
体を動かすとストレス発散にも効果的です。
運動の効果は、健康づくりだけでなく、生き
がいやコミュニケーションづくりなど、ライフ
スタイル全般に及びます。
運動の健康効果
●生活習慣病の予防
●血液の循環が良くなり、心肺機能が上がる
●暑さ、寒さの環境の変化に強くなる
●筋肉の衰えを防止し、体力を強化できる
●骨の老化防止になる
●ストレスの解消になる
●健康づくりは3つの運動を組み合わせて
運動には、ウォーキングなどの「有酸素運
動」、筋力をアップさせる「筋力トレーニン
グ」、筋肉をほぐしリフレッシュ効果のある
「ストレッチング」を取り入れましょう。それ
ぞれに運動効果が異なるので、バランス良く
組み合わせて行うと一層効果的です。
次ページのチェック項目で当てはまるもの
があれば、問題となる習慣をアクションプラ
ンで改善しましょう。
有酸素運動
●心肺機能の向上
●体脂肪の燃焼効果
●基礎代謝量の向上
●太りにくい体
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肥満防止
筋力トレーニング
ストレッチング
●けがや障害の予防
●疲労回復とリラックス
効果
●老化予防
運動を生活習慣に取り入れる
運動習慣改善アクションプラン 有酸素運動
有酸素運動には効率良く体脂肪を減らしたり、心肺能力を高め
るなどの効果があります。ウォーキングは体内に酸素を取り込み、
糖質や脂質を燃焼させる有酸素運動の代表格です。
P8-9
運動不足
チェック
1)階段を上がったり、少し走っただけで息切れがする
□
2)エレベータやエスカレーターは必ず使う
□
3)汗をかく爽快感を久しく味わっていない
□
運動習慣改善アクションプラン 筋力トレーニング
筋力をアップすることで、燃費の良い太りにくい体になりま
す。また、骨に適度な負荷を与えるので、太く丈夫な骨が形成され、
骨粗しょう症などの予防も期待できます。
P10-11
運動不足
チェック
1)慢性的な肩こり、腰痛、足のだるさがある
□
2)動作が鈍く、キビキビ動けない
□
3)姿勢が悪い、若しくは悪くなったと思う
□
運動習慣改善アクションプラン ストレッチング
朝目覚めたときから、仕事の合間やお風呂上がり、就寝前など、
いつでも誰でも無理なく手軽にできます。腹式呼吸を意識して気
持ち良く体を伸ばすことで、リラックス効果も期待できます。
P12-13
運動不足
チェック
1)体を曲げたり伸ばしたりすることはない
□
2)寝付きが悪い
□
3)最近疲れがたまっていると感じる
□
●無理をせず、楽しく続けられる運動を
運動してみようと思っても、
「時間がない」
「面倒くさい」という人もいるでしょう。しかし、毎
日の生活の中には、体を動かすチャンスが意外に多いもの。歩く歩数を増やす、エスカレーターや
エレベータを使わない、テレビのCMの間に、
「ながら運動」をするなど、体を動かすことから始め
ましょう。自分の生活習慣を見直し、運動を身近な習慣にしましょう。
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運動を生活習慣に取り入れる
有酸素運動で脂肪を燃焼
運動習慣のない人が、いきなり激しい運動をすれば、逆にけがをしたり、健康
を害すことにもなりかねません。有酸素運動の代表格、ウォーキングは、日常生
活の中に簡単に取り入れることができ、体に負担も掛からず、誰にでも無理なく
始められます。
●ウォーキングで体の中から健康に
ウォーキングは、時間をかけて体内に酸素を取り入れることができます。体に取り込んだ酸素が
効率よく体脂肪を燃やし、肥満や生活習慣病の防止に効果があります。
ウォーキングは、正しい歩行法で行うことが大切です。誤った歩行法を続けていると、疲れやす
くなったり足を痛めたりして、逆効果になることがあるので注意しましょう。
やや遠くを見る
肩の力を抜く
歩きやすい
服装で
肘を
直角に曲げて
大きく振る
リズムに乗って
歩く
ウォーキングの長所
※真冬や真夏の極端な暑さ
寒さの日は避けましょう
※水分補給も忘れずに
●心肺機能や筋肉が無理なく鍛えられる
●体内の脂肪が効率よく燃えるため、肥満や生活習慣病の予防になる
●膝への負担が比較的少ない
●足腰を使うことで、大脳が刺激され、老化や認知症予防になる
●気分転換になり、ストレス解消につながる
●体調が良くないときは、無理をしない
体調があまり良くないときや、腰痛や膝、背中の痛みなどの症状がある場合は無理をしないこと。
また、運動経験が少なく、これからウォーキングを始める人は、医師に相談し、メディカルチェッ
クを受けておくと安心です。
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運動を生活習慣に取り入れる
●いろんな目的と組み合わせ、楽しんで歩く
ウォーキングは長く続けることが大切です。仕事や家事の合間など、毎日の生活のいろいろな場
面で歩く機会を作りましょう。ウォーキングを含め「毎日1万歩」を目標にしましょう。
ショッピングに
昼休みや仕事の合間に
普段見慣れている場所にも楽しいウォーキング
コースが見つかることがあります。
職場の周囲を散歩
してみたり、少し遠
い店まで歩いていく
など、ちょっとした
時間をウォーキング
に充ててみましょう。
通勤に
自然の中で
職場まで駅やバス停まで自転車を使わずに歩いた
り、一つ手前の駅やバス停で降りて歩くなど、工夫
してみましょう。
野山でのウォーキン
グは足腰の強化はもち
ろん、ストレス解消に
も効果的。写真を撮っ
たり、スケッチをする
ことを目的に、合間に
ウォーキングをするの
も良いでしょう。
●水中ウォーキングとサイクリングでも有酸素運動を
水の浮力を利用して行う水中ウォーキングは、体に負担が少なく、腰痛や膝痛のある人、高齢者
にも手軽にできる運動です。
また、サイクリングは長時間続けても足や膝への負担が少ないので肥満の人にも適しています。
屋外を走れば、スピード感もあり、気分転換やストレス解消にもなります。
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運動を生活習慣に取り入れる
筋力トレーニングで体の機能アップ
筋肉は使えば増え、使わなければ衰えます。日常の活動を支え、生き生きと過ご
すためにも筋力の維持は重要です。また、筋肉を鍛えることは肥満の予防・解消に
もつながります。筋力アップに効果的なトレーニング、ビッツエクササイズ(※)
にチャレンジしましょう。
※ビッツエクササイズは日本ボディデザイン医科学研究所の登録商標です。
●筋力アップに効果的なビッツエクササイズ
10
腹部内臓脂肪(超音波法)
6週間後
10
6週間後
14
開始前
人間の体は何もしていなくても1日に
約1200kcalのエネルギーを消費してい
ます。これを基礎代謝といい、
「心臓を動
かす」
「体温を保つ」
「呼吸をする」などの
生きていくために必要なエネルギーのこ
とです。
筋力トレーニングで筋肉の量が増える
と、基礎代謝量も約200kcal増えるとい
われています。基礎代謝量の増加で、よ
り多くのエネルギーが消費できるので肥
満防止や生活習慣病の予防にもつながり
ます。
運動をしなかった人
を行った人
6週間後
●筋肉の量を増やして肥満防止に
開始前
60
(cm) ビッツエクササイズ
12
●1日まずは5分間、10回×2セットを目安に。
無理なくできる範囲でエクササイズを継続
●自分の目標にあわせて、エクササイズを選択
●いきなり始めないで、ストレッチングで準備体
操を
●体力や体調にあわせて、運動強度も変えていく
6週間後
65
ウエスト周囲径
開始前
筋力トレーニングのポイント
70
開始前
筋力トレーニングというと、汗だくになって重
い物を持ち上げるイメージがあるかもしれません。
しかし、健康づくりの筋力トレーニングには、簡
単で時間をかけずに気軽に取り組める「ビッツエ
クササイズ」が効果的です。
ビッツとは「細切れ」や「少し」という意味の英
語bitに由来します。仕事や家事のちょっとした
合間の「少しの」時間を利用して、毎日の生活の
中にエクササイズを取り入れてみましょう。
8
(mm)
ビッツエクササイズ
を行った人
運動をしなかった人
日本ボディデザイン医科学研究所(2002)
運動を生活習慣に取り入れる
箱型腕立て伏せ
胸の筋肉と腕の筋肉を鍛える。
肩こりや
二の腕の
たるみを
解消
始める前の姿勢
動作とリズム
●両手、両膝を床に付ける
●顔は正面を向く
●両手を底辺にした正三角形をイメージし、
頂点の部分にタオルを置く
●胸を両手の間に落とし込むイメージで体を沈
み込ませ、顎がタオルに付くようにする
●静止した後、元の姿勢に戻す
腰痛の
予防や
ひきしまった
体に
腹筋運動
腹筋を鍛える。
始める前の姿勢
動作とリズム
●仰向けになり、膝は90度に
曲げる
●手は太ももの上に置く
●手のひらは太ももの上を滑らせながら上体を起こす
●余裕のある人は、指先が膝の頭に達するまで上体を起こす
●元の姿勢に戻すとき、肩を床に付つけない
立ち座り
お尻とももの筋肉を鍛える。
始める前の姿勢
動作とリズム
●手を腰に当てる
●足は肩幅程度、つま先は約30度開く
●顔は正面向き、上体はやや前傾
●立ち上がる
●元の姿勢に戻る
が、座ったつも
りだけで椅子に
お尻を付けない
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下半身を
強化し
姿勢が
良くなる
運動を生活習慣に取り入れる
ストレッチングでしなやかな体に
ストレッチングは、静かにゆっくりと筋肉や腱を伸ばす柔軟体操です。準備体
操や整理体操としてはもちろん、疲労回復やリラックス効果も期待できます。特
別な器具もいらず、場所や時間も問わないストレッチングは、いつでも誰でも手
軽にできる運動です。
●何かをしながらできるストレッチング
仕事中のちょっとした休憩、家事の途中、テレビを見
ながらなど、
「ながらストレッチング」を日常生活に取り
入れてみましょう。
ストレッチングは、硬くなった筋肉をほぐし、血液の
循環を良くし、こりや痛み、疲れを和らげます。
筋肉が十分に伸びなくても、気持ち良く伸びれば効果
が期待できます。徐々に伸ばしていき、痛みを感じる手
前で止めるのがポイントです。
ストレッチングのポイント
●伸ばしている筋肉を意識する
●反動を付けない
●呼吸は止めずにゆっくり行う
●寒いときは体も部屋も暖めてから
例えば、移動の途中
肩こり・
関節痛の
解消
首・肩のストレッチング
首周辺の緊張しやすい筋肉をほぐす。
片手で逆側の耳に
触れるようにして頭
を上から支え、頭部
を横に傾ける。体は
まっすぐの状態で、
無理に強く押し過ぎ
ないように。
体の前に伸ばし
た腕を、逆の手で
抱えるようにして
引っぱる。肩の前
部分がしっかりと
伸ばされているこ
とを意識ながら数
秒間止める。
例えば、歯を磨きながら
ふくらはぎのストレッチング
「第2の心臓」といわれるふくらはぎ。
全身の血行を良くする。
後ろ足のかかとをしっかりと床につけ、ふ
くらはぎを伸ばしていく。体重を前足に掛け、
重心を前に移動させる。
血行促進
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運動を生活習慣に取り入れる
例えば、テレビを見ながら 手首や腕、上体の筋肉に適度な刺激を与え、
腕のストレッチング
体をリフレッシュ。
ストレス
解消
リフレッシュ
片肘を曲げて、手の
ひらを上にして構える。
指先をつかんだまま、
ゆっくりと肘を伸ばす。
手首を内側に曲げた状
態でもストレッチング
を。
例えば、仕事をしながら 負担が掛かりやすい腰と背中。
腰・背中のストレッチング
疲れやすい体質の改善に。
疲労回復
両手を体の前で組ん
だまま、腕を前方に伸
ばす。頭を下げ、背中
を丸める。椅子に座っ
た状態では、頭を下げ、
手の先でつま先を触る
ようにして上体を倒す。
●睡眠不足は心身に悪影響
睡眠不足は寝だめで解消と、安易に考えていませんか。睡眠不足は思考力や集中力を下げ、精神
の不安を招くなどメンタル面への影響はもちろんですが、循環器病への影響も懸念されています。
長時間の過重労働によって睡眠時間が1日4∼6時間以下の睡眠不足が続くと、疲労の蓄積ととも
に血圧上昇を招き、脳や心臓疾患の有病率や死亡率が高まるとのデータもあります。
寝付きが悪い人は、就寝前にストレッチングをしてみましょう。また、睡眠について問題を抱え
ている場合は、専門医に相談するなど早期の対処が必要です。
就寝前のストレッチング
腰やお尻の筋肉にたまった疲労を
解消し、リラックスして眠りに付
きましょう。
両手を床に広げて仰向けになる。両膝を
そろえたまま横方向にゆっくりと傾ける。
肩が床から離れないように注意。腰痛持ち
の人などは膝の角度を緩めて行う。
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