平成27年度公益財団法人ふくしま海洋科学館事業報告書

平成27年度公益財団法人ふくしま海洋科学館事業報告書
【事業総括】
アクアマリンふくしまが開館して15周年を迎えた平成27年度は、新たな屋外展示
施設「わくわく里山・縄文の里」を7月にオープンし、さらに猪苗代町から新たに指定
管理者の指名を受けた「アクアマリンいなわしろカワセミ水族館」の初年度であること
など、多くの課題に取り組んだ1年となりました。
入館者数については、震災前の平成22年度比35.1%減、さらには前年比1.5%
減の558,630人と事業計画に掲げた62万人に届かない厳しい状況となりました。
このような状況にあっても、当館では、基本理念を堅持し、展示のストーリーに沿っ
て、自然とふれあい、味覚を含めた五感に訴える体験プログラムなどを実践し、自然に
親しむ子どもたちを育てる子育て支援活動に取り組みました。
また、展示の充実を図るために、収集ネットワークを活用し、水生生物保全センター、
水生生物保全センター串本分館の機能を十分に生かし、オオメンダコ、コトクラゲ、オ
オグチボヤ等の深海性生物を始めとした飼育実験を行うとともに、様々な種類の展示生
物の収集に努めました。
さらに、海外における域内保全活動として位置づけている「シーラカンス調査」や阿
武隈の希少生物の域内保全研究を行うとともに、海洋資源の持続的利用について考える
「HAPPY OCEANS運動」にも積極的に取り組みました。
1
クウェート国からの復興支援金を基に整備した「クウェート・ふくしま友好記念日
本庭園」に引き続き、7月に「カワウソの淵」水槽を含む「わくわく里山・縄文の里
整備事業」に取り組み、オープンしました。
2
駿河湾においてROVを使用した深海性生物の収集を実施し、コトクラゲ、トリノ
アシ、アオメエソ(メヒカリ)等の採集に成功しました。また、オホーツク海では、
深海性のオオメンダコを入手し、展示水槽内で摂餌行動を観察することができました。
このほか水生生物保全センター串本分館では、飼育困難魚類であるカマスサワラの観
察を行いました。
3
開館15周年に当たり、クウェート国よりクウェート科学研究所所長他協力者を招
き、わくわく里山・縄文の里を始めとする施設の紹介を行うとともに、クウェート関
係機関との協力強化について協議しました。これを受けて2月に職員を派遣し、施設
の改善について調査協力を行いました。
4
シーラカンスの学術研究については、インドネシアにおいてシーラカンスを始めと
する海洋生物の保全活動を一層推進するための海洋保全施設を設置しました。また、
インドネシア北スラウェシ州でシーラカンス調査を実施し、新たにロラックおよびビ
トゥンでシーラカンスの生息を確認しました。
5
展示中のゴマフアザラシが雄個体を出産し、「あさひ」と命名され人気を博しまし
た。また、北海道で保護された飼育が大変困難とされるクラカケアザラシ幼獣を搬入
し、体力回復後に研究展示することができました。鴨川シーワールドからは繁殖を目
的として2歳の雄のトドを導入しました。
6
平成30年に当館で開催される「第10回世界水族館会議」の開催に向けて、福島
県、いわき市、市内関連機関の担当者による情報連絡会議を開催し、開催準備を開始
しました。
7
海洋生物の放射能汚染調査に取り組み、その結果について館内展示や研究会等にお
いて情報提供を行いました。また、平成24年度より大学研究機関と共同で行ってい
る県内の夏井川及び鮫川並びに溜め池の放射性物質測定についても継続して行い、結
果を発表しました。
8
水産物の風評被害払拭を目的とした「調(た)べラボ〜ふくしまの魚を食べてみよ
う〜」を月1回開催し、当館周辺及び福島第一原子力発電所の沖約2kmで採集した魚
の放射線量を測定解説すると共に、試験操業漁獲物の試食会を催しました。マスコミ
関係者からも注目され、当館の活動が広く広報されました。
9
誘客と来館者サービス向上のため、様々なイベント、企画を実施しました。夏季に
はわくわく里山・縄文の里オープンを記念して「わくわく里山・縄文の里まつり」を
開催し、期間を通して縄文の狩猟採集にちなんだ様々なイベントを実施することで、
アクアマリンふくしまの縄文カラーを浸透させるよう努めました。
10 わくわく里山・縄文の里オープンに合せて、入館口の外に「アクアマリンショッ
プJOHMON」を開店し、水族館に入館しないでも利用できるショップとして収益
増に結び付けるとともに、アクアマリンパークの利便性向上と館のPRに貢献するよ
う努めました。
11 「アクアマリンうおのぞき」子ども漁業博物館で実施していた炭火焼体験やかつ
お節削り体験などの体験活動をアクアマリンえっぐの中で再開し、多くの来館者の参
加を得ることができました。また、スクール活動として海洋資源の持続的な活用をテ
ーマにした「ハッピーオーシャンズプログラム」を新たに開催しました。
12 港オアシス計画の一環である須賀プロジェクトでは、樹木の種子を市内海岸林、
近郊の里山および鎮守の森で採取し、2〜3年育苗した後、1000本余りを防潮堤
部に移植しました。施設周辺の緑化は、地域の生物多様性に寄与しようとするもので
す。
13 猪苗代町から指定管理を受けたいなわしろ淡水魚館等の運営については、平成2
7年4月25日に「アクアマリンいなわしろカワセミ水族館」としてリニューアルオ
ープンしました。釣りを体験できる釣り堀は、釣った魚をその場で食べる命の教育コ
ーナーとして5月中旬にオープンしました。
さらに、11月末から12月中旬までは一時休館し、冬季開館のための施設とユー
ラシアカワウソの飼育展示施設を整備し、12月19日の再オープンから展示を開始
しました。年度内の入館者数は、74,625人(前年度24,968人)でした。
【事業内容】
Ⅰ 公益目的事業
1
飼育展示事業
(1)水槽展示及び生物の飼育状況
平成27年度末時点での展示は以下のとおりである。
① 水槽数
本館
76槽
BIOBIOカッパの里
1槽
蛇の目ビーチ
1槽
わくわく里山縄文の里
2槽
アクアマリンえっぐ
28槽
合計
108槽
② 生物の飼育状況
哺乳類
6種
22点
鳥類
6種
52点
爬虫類
8種
17点
両生類
10種
99点
魚類
458種
19,414点
昆虫
27種
826点
無脊椎
248種
17,894点
植物
500種
約20,000点
金魚
60品種
930点
合計
1,263種
58,324点
60品種
930点
(2)生物収集事業
展示生物(水生生物、陸上小動物及び植物)の主な採集、購入及び輸送は以下のとおりで
ある。
① 淡水生物採集:オイカワ、イトヨ他県内生物の採集及び熱帯生物を購入した。
② 沿岸生物採集:県水産試験場調査船乗船採集(ホウボウ、サブロウ他)、松川浦採集
(アマモ、ギンポ類他)、潜水採集(マヒトデ、マナマコ他)を行った。
③ 深海生物採集:駿河湾にてROVを使用し、コトクラゲを採集した。
④ 北方系生物採集:北海道(オホーツク海沿岸)において沿岸生物のハダカカメガイ、ナ
メダンゴを採集した。また、オオメンダコ、オオグチボヤ等深海性生
物を採集した。
⑤ 南方系生物採集:マイワシを購入・輸送し黒潮水槽に搬入した。
⑥ サンゴ礁、マングローブ生物収集:奄美大島および沖縄での採集及び購入により収集
した。
⑦ 植物:県内採集及び購入により収集した。
⑧ 当館で飼育しているゴマフアザラシが繁殖した(雄1頭)
⑨ ユーラシアカワウソの雌1頭をオーストリアより搬入した。
⑩ 当館で飼育しているユーラシアカワウソが繁殖した(雌2頭)
⑪ 北海道で保護されたクラカケアザラシの雄1頭を搬入した。
⑫ フェネックの雄1頭を購入により搬入した。
⑬ トドの雄1頭をブリーディングローンにより鴨川シーワールドより搬入した。
(3)南方系生物蓄養事業
奄美大島の海上生け簀にて、カツオを蓄養し、輸送・搬入を行った。
(4)水生生物保全センター運営事業
①
串本分館にてカマスサワラの飼育実験を行った。また、タチウオ、アカムツ他を収集
した。
② シナイモツゴ、タガメ等の繁殖研究を継続した。
③ 駿河湾にてROV調査を行った。
④ オオメンダコ、コトクラゲ、オオグチボヤ他の飼育実験を行った。
(5)飼育生物管理事業
本館収容生物(植物を含む)の展示及び飼育管理を実施した。
2
移動水族館事業
移動水族館専用車(アクアラバン)により、各地域・各施設のイベント等に出展し、普段
当館に足を運ぶことができない人にも海の生物に親しむ機会を提供し、自然の事象への興味、
関心を高めてもらうとともに、開催地における地域振興に貢献した。
また、主催者からの要請に応じ、有料で移動水族館専用車を派遣し、計13か所で開催し
た。
3
研究交流事業
(1)学会・研究会等
①
平成27年5月31日
第11回福島原発事故による長期影響地域の生活回復のためのダイヤログセミナーに
おいて「海で測る」と題した講話を行った。
② 平成27年7月21日
当館において「第2回ユーラシアカワウソ国際繁殖検討会議」を開催し、国内および
当館の飼育繁殖状況を報告し、ヨーロッパでの飼育状況の報告を受けた。
③ 平成27年9月16日
当館に置いて、第10回弁財天うなぎプロジェクト研究会を開催し、今までの調査結
果を報告すると共に今後の調査について討議を行った。
④ 平成27年10月
平成26年9月に北海道羅臼沖で採取したエビが、当館と千葉県立中央博物館の駒井
智幸博士との共同研究による論文により新種として認められ、
「ラウスツノナガモエビ」
と命名しました。
⑤ 平成27年11月24日
インドネシア ジャカルタにおいて、シーラカンス研究および保全にかかるワークショ
ップを開催し、インドネシアシーラカンス調査について報告しました。また、インドネ
シアシーラカンス標本の日本での解剖と実験計画について協議しました。
⑥ 平成27年11月
当館と千葉県立中央博物館の駒井智幸博士との共同研究による論文を平成27年11
月に公表し、北海道羅臼沖で捕獲されているヒゴロモエビが、別種の「ラウスブドウエ
ビ(新称)
」であることが明らかになりました。
⑦ 平成27年11月27日~29日
第56回日本動物園水族館教育研究会沖縄大会の事務局として研究会の運営を行った。
またこの研究会の中で「いわき市中央卸売市場「いわき魚塾」と協働したHappy
Oceansプログラムの開催について」の発表を行った。
⑧ 平成27年12月11日~12日
水族館シンポジウムにおいて「オオメンダコの水槽内行動の観察」、「遠隔操作型水
中探査機(ROV)を用いた陸棚周辺海域の底生生物採集の試み」についてポスター発
表した。
⑨ 平成27年12月12日~23日
パラオ共和国において、PICRCと共同でウナギ調査を行い、採集したオオウナギ(3)
を本館パラオコーナーに展示した。
⑩ 平成28年1月28日
第60回全国水族館技術者研究会において「オオメンダコの飼育と展示」を研究発表
した。
⑪ 平成28年3月5日
第10回めひかりサミット「持続可能な水産資源の活用についてHappy Oce
ans」を開催し、マグロ資源をはじめ県内水面~沿岸漁業、震災、原発事故から復活
した木戸川漁業等幅広い内容で市民に情報を発信した。
4
海洋文化推進事業
インドネシアにおいてシーラカンスを始めとする海洋生物の保全活動を一層推進するため
の海洋保全施設を設置しました。
また、インドネシア北スラウェシ州でシーラカンス調査を実施し、新たにロラックおよび
ビトゥンでシーラカンスの生息を確認しました。
5
企画営業事業
(1)企画管理事業
接客や案内誘導等の業務委託、年間パスポートの販売等を通して来館者サービスの向上
に努めた。
① 券売・受付業務の委託
券売・改札業務において、専門業者へ委託することにより接客の質向上を図った。
② 年間パスポートの販売
利用者の利便性に配慮するとともに、リピーター増を図るため、「年間パスポート」の
販売促進に努めた。
また、「福島県子育て応援パスポート事業」に協賛し、「年間パスポート」の割引販
売を実施した。
平成27年度販売件数 7,866件(参考:平成26年度 7,095件)
(2)広報宣伝事業
当館の特色を県内外に一層アピールするとともに、イベント開催の告知や誘客を図るた
め、各種媒体を活用した積極的な広報宣伝活動を展開した。
① 各種媒体等を活用した広報
ア テレビCM
・夏休み向け:県内4局、宮城4局、新潟4局、山形2局で放映した。
・春休み向け:県内2局、宮城1局、新潟2局で放映した。
イ ラジオCM
・夏休み向け:県内3局で放送した。
ウ 新 聞
地元3紙及び隣県の地方紙などに、観光シーズンにおける誘客を目的とした広告を
掲載した。
エ 雑誌等
首都圏向けの「るるぶ」(JTB出版)、「まっぷる」(昭文社)、「ぴあ」(ぴ
あ)に誘客広告を掲載した。
また夏季を中心に県外のフリーペーパーや情報誌に広告を掲載した。
オ 看 板
福島空港に広報看板等を掲出した。
カ その他
県内の新聞、情報誌においてパブリシティを活用した広報活動を積極的に展開した。
② ポスター・パンフレット等の作成・活用
ア 館内案内リーフレット
館内案内リーフレットを来館者に配布したほか、県内外の観光施設、旅行エージェ
ント、公共施設等に配布したり館外でのPR活動で配布を行った。
イ イベントチラシ・ポスター
季節のイベントごとにチラシ・ポスターを作成して県内外の公共施設等に配布・掲
出したほか、市内の新聞折り込みや小学校、幼稚園の全児童・園児への配布を行った。
夏季はわくわく里山縄文の里オープンのPRチラシを県内及び関東・東北各都県の小
学校児童に約200万部配布した。
ウ イベントカレンダー
年間を通したイベントカレンダーを制作し、県内外の宿泊施設、旅行エージェント、
公共施設等に配布した。
③ 館内外における季節演出及び催事等の実施
ア GWイベント(5月)
GWに合わせ開館時間を午後7時まで延長し、イベントを開催した。
イ 潮干狩り(5月、6月)
5月GW明けから6月末までの毎週日曜日に、蛇の目ビーチで潮干狩りを開催した。
ウ わくわく里山・縄文の里まつり(7~8月)
7月20日の縄文の里オープンを記念し、7~8月の期間に縄文の狩猟採集にちな
んだイベントを開催した。
エ クリスマスイベント(12月)
クリスマス期間の計2日、開館時間を午後7時まで延長し、参加型イベントを実施
した。
オ 那須どうぶつ王国ふれあいどうぶつえん(12~1月)
小名浜潮目交流館にてアクアマリンふくしま主催の移動動物園を開催した。
カ お正月イベント(1月)
お正月プレゼント、生き物かるた大会、フィギュア釣りを実施した。
キ 門松の設置(1月)
ク ひなまつりイベント(2~3月)
つるし雛を館内に展示した。
ケ スプリングイベント(3~4月)
生け花と金魚の展示および参加型イベントを開催した。
④
アクアラバンを活用した営業・広報宣伝
移動水族館専用車両(通称:アクアラバン)により県内外のイベントに出展し、営業・
広報宣伝を推進した。
・出展か所数 21か所
観覧者数 41,352名
⑤ キャラクター「権兵衛」によるPR
館内で来館者に対してのサービスのほか、移動水族館や県外での観光PRにおいて権
兵衛によるPRを行った。
(3)観光誘致事業
① 地元旅館ホテル等との連携の強化
当館への誘客を図るため、地元温泉旅館組合(いわき湯本温泉旅館協同組合、小名浜旅
館ホテル組合)、近隣6宿泊施設(小名浜オーシャンホテル等)、ホテルハワイアンズ、母
畑温泉八幡屋及びかんぽの宿いわきにおいて、契約宿泊施設の宿泊者限定入館券の販売
を実施した。
宿泊施設の観光客受け入れ態勢が震災以前の状況に戻っていないことに加え、夏季に
当館で別の割安な割引を実施したことも影響し、実績は前年より減少した。震災前と比
較すると大幅減の状況が続いている。
・入館実績27,424人
(参考:平成26年度30,344人、平成22年度55,991人)
② 団体旅行等の誘客促進対策の実施
団体旅行客については、営業活動を強化するとともに、県及び市等の補助事業(宿泊
費や交通費の補助)を活用して誘客促進に努めたが、復興支援団体の減少や料金改定に
よるバス料金値上げの影響により送客数は減少した。
ア 観光券取扱契約業者からの送客数
15,921人
(参考:平成26年度18,451人、平成22年度23,712人)
イ 旅客斡旋手数料支払契約業者からの送客数
5,859人
(参考:平成26年度8,123人、平成22年度11,145人)
③ コンビニ前売券販売の実施
コンビニエンスストア店舗における前売券販売に取り組み、県外からの誘客を促進し
た。
入館実績5,906人
(参考:平成26年度6,339人)
(4)地域交流事業
積極的に周辺地域との交流を深めるとともに地域振興に貢献した。
① 小名浜まちづくり市民会議への参画
会員として会議やイベントに積極的に参画した。
② 小名浜港まつりへの協賛
協賛を行うとともに、館内外における花火大会の観覧に配慮しイベントに貢献した。
③ あぶくま発見の旅サポート(いわき地区文化施設連絡会)事業の推進
市内文化施設とスタンプラリーを開催した。
④
いわき ら・ら・ミュウ、小名浜美食ホテルとの連携
近隣観光施設である上記2社と情報交換を密にし、相互にイベントへの協賛や協力を
行なった。
⑤ 移動水族館専用車(アクアラバン)を活用した地域交流の推進
県内文化施設での移動水族館開催により、当該施設のイベントに貢献した。
6
学習交流事業
(1)解説活動事業
子どもから大人まで多くの人々が、海の生物や環境について楽しみながら学び、考え、
交流のできる施設をめざし、一般来館者を対象に次のような解説活動を実施した。
① バックヤードツアー
当館のボランティアが展示水槽のキーパースペース、実験室、調餌室、サービスヤー
ド、濾過槽、ホルマリン室を案内しながら、水族館の仕組みや飼育員の仕事について紹
介した。
(参加者数31,097名)
② ハンズオン解説
アクアマリンえっぐのボランティアーズステーションにおいて、小名浜港で採集した
プランクトンの観察や化石、標本などを手に取って観察できるハンズオン解説を行った。
③ アクアマリンえっぐワークショップ
アクアマリンえっぐのワークショップコーナーにおいて、塗り絵と点結びを実施した。
また、12月23日から1月11日までの期間は、大洗水族館で活動するボランティ
ア「マンボラクラブ」と協働した「チンアナゴを作ろう」を開催した。
④ オリエンテーリング
悪天候で釣り体験を中止した際の体験活動の提供として、アクアマリンえっぐの展示
生物に関する問題を解かせるオリエンテーリングを実施した。
⑤ ワークショップの開催
いわき市が開催した海遊祭のイベントの一環として、7月25日はアクアマリンパー
クにおいて東京都葛西臨海水族園の移動水族館車「うみくる号」と一緒に当館のアクア
ラバンを運行し、移動水族館を開催した。また、7月26日には小名浜美食ホテル2号
棟において、日本渚の美術協会の「渚のオシャレな小物入れ教室」といわき魚塾の「お
魚タッチ水族館」を開催した。
また、8月29日と30日には、オセアニックガレリアの北側において日本渚の美術
協会の「渚のオシャレな小物入れ教室」を開催した。
さらに、2月6日には、海藻押し葉協会より講師を招き、海藻押し葉標本作りのスク
ールを開催した。
(2)企画展開催事業
来館者サービスの向上と館の広報を兼ね、常設展示を拡充させるとともに、テーマを定
めた展示を以下の内容で実施した。
① 動物園水族館飼育員の写真展
○ 期間:平成27年4月4日(土)~4月22日(水)
○ 概要:北関東の動物園水族館と連携した共同企画の巡回写真展として、各園館の職員
が撮影した動物の写真を展示した。
②
パラオ関連展示
平成27年4月8日に天皇陛下がパラオをご訪問されるのに合わせ、パラオ国際サン
ゴ礁センター内において「パラオのハゼ展」を開催した。
③ 島サミット開催記念企画「パラオのハゼ写真展」
○ 期間:平成27年4月25日(土)~6月7日(日)
○ 概要:いわき市で開催された太平洋島諸国首脳会議「島サミット」に合せ、パラオの
ハゼ写真展を開催した。
④ 開館15年記念写真展「災害をのりこえる」
○ 期間:平成27年6月13日(土)~10月4日(日)
○ 概要:開館15周年を記念し、東日本大震災の被災と復興の様子を写真展として紹介
した。
⑤
小名浜国際環境芸術祭
○
期間:平成27年9月19日(土)~平成27年11月8日(日)
○
概要:大漁旗をテーマとしたデザイン展を実施し、芸術を通して環境保全のメッセ
ージを発信するとともに、芸術による地域交流を図った。
⑥
キッズアート展「はっぴーじょうもんDOMEN」
○ 期間:平成27年9月27日(土)~平成27年11月8日(日)
○ 概要:粘土で縄文の土面をつくるワークショップと展示を行なった。
⑦ 海の男たちの盆栽展
○ 期間:平成27年10月28日(水)~平成27年11月3日(火祝)
○ 概要:黒松等の古木の迫力ある作品や秋の草花等による作品を展示した。
⑧ よみがえれ木戸川
○ 期間:平成27年11月14日(土)~
○ 概要:サケ漁が再開した木戸川をテーマに企画展を開催した。
⑨ 干支展
○ 期間:平成27年12月27日(日)~平成28年1月12日(火)
○ 概要:申年にちなみサルの顔に似たランの一種「モンキーオーキッド」の展示を行
った。
⑩ ファイト7企画「飼育係の写真展」
○ 期間:平成27年3月21日(土)~平成27年4月22日(水)
○ 概要:当館と北関東6園館の飼育職員が撮影した写真を展示した。
⑪ わくわく里山・縄文の里ワークショップ
ア 縄文焼き陶芸教室
○ 期間:平成27年10月10日、15日、22日
○ 概要:いわき市在住の陶芸家、本多博史氏を講師に、縄文土器作りの陶芸教室を
開催した。
イ 親子で縄文野焼き体験
○ 期間:平成28年3月26日、27日、4月3日
○ 概要:親子で縄文土器作りを行い、えっぐの森に設置した窯で野焼きを行った。
ウ ドジョウつかみ大会
○ 期間:平成27年4月4日、5日、8月8日、9日
○ 概要:えっぐの森とおまつり広場において、ドジョウつかみ大会を開催した。
(3)展示事業
魅力ある展示を維持するため、展示品、種名板、情報ソフト等の更新を随時行い、図書
や映像ソフト等の充実にも努めた。
① 放射線に対する基礎的な情報や館内の環境放射線量、海水中の放射性物質量などの情
報を提供するとともに、当館が行っている調査研究について展示を行った。
② オセアニックガレリアに「環境水族館からのメッセージ」「漁場から食卓まで」「採
集する。研究する。展示する。」について展示した。
③ 2階ホワイエの図書コーナー、えっぐのキッズコーナー、ボランティアーズステーシ
ョンの図書やぬいぐるみ、観察用機材の管理を行った。
④ オセアニックガレリアに震災および東電原発事故から復興した楢葉町木戸川に現状を
紹介する「よみがえれ木戸川」のブースを新しく設置した。
⑤ 2階パラオ水槽周辺の植栽の更新や3月に改修を行った釣り場への植物の設置を行っ
た。
(4)学校教育関連事業
① ガイダンス
当館に来館した学校団体を対象に施設の展示概要の紹介と館利用上の注意点等を解説
するガイダンスを実施した。(14回実施、対象者数861名)
② 館内学習
当館に来館した学校団体を対象に研修室などで授業を行った。当館の釣り堀を利用し
た命の教育、獣医の仕事の紹介、震災からの復興などをテーマとした学習を実施した。
(92回実施、対象者数5,156名)
③ 移動水族館の実施
移動水族館専用車(アクアラバン)による生物の観察、標本や化石などを手に取って
観察をするハンズオン展示、震災からの復興をテーマにしたレクチャーを行う移動水族
館を実施した。平成27年度は、アクアマリンいなわしろカワセミ水族館がオープンし
たことから、この広報を兼ねて磐越道沿線の市町村を対象に開催した。
(16校、対象者数3,202名)
④ 職場体験・インターンシップ・博物館学芸員実習の実施
中学校、高等学校、大学の生徒・学生を対象に、業務体験をとおして職業観・勤労観
の習得や進路指導の一環を目的とした実習を実施した。
ア 中学校・高等学校生徒の職場体験
10回実施 対象生徒数56名
イ 大学生のインターンシップ
1回実施 対象学生数 3名
⑤ 館内学習支援事業
いわき市内の小学校を対象に当館のバスで児童を送迎し、館内において学習活動を実
施した。(11回実施、対象者数234名)
⑥ 教職員セミナー、教員研修の実施
8月4日から6日の3日、アクアマリンいなわしろカワセミ水族館を会場に県内の教
職員を集めて館の利用の説明や体験活動を体験してもらう教職員セミナーを開催し、6
7名が参加した。また、県いわき教育事務所からの依頼による高等学校初任者研修や経
験者研修を実施した。
(5)情報提供事業
① 情報コーナー
情報コーナーでは、国内外の友好園館の展示を開始した。
② インターネットによる情報提供
ホームページを更新することにより、様々な情報提供を行った。最新生き物情報欄で
は生物の搬入搬出や繁殖出産の情報を、ニュース欄では季節ごとのイベントや企画展の
詳細、参加体験プログラムの募集等の情報を発信した。また、風評被害払拭に関わる環
境放射線量や海水中放射性物質量など放射線量の情報については毎週更新した。
併せて、フェイスブック、ツイッターを活用して、生き物の搬入や新規展示、生き物
の様子など展示生物に関する情報のほか、イベントの実施状況など、タイムリーな情報
提供をほぼ毎日行った。
③ 機関誌の発行
水族館の活動内容をはじめ、生物や海に関する様々な情報を掲載した機関誌「AMF
NEWS」を年4回発行した(発行部数 5,500部/回)。
7
スクール開催事業
海の生物に親しみ、自然の事象について興味、関心を高めることを目的に、各種スクール
を開催した。
(1)スクールの開催
事前募集を行った参加者を対象として様々な体験活動を提供するスクールを開催した。
・キッズプログラム:7回114名
・ナイトプログラム(宿泊プログラム):5回121名
・ハッピーオーシャンプログラム:8回92名
(2)炭火焼体験、かつお節削り体験
子ども漁業博物館「うおのぞき」の命の体験プログラムとして、活きたホタテガイや
ハマグリ、サザエなどの活きた魚介類とアジやメヒカリ、イカなどの干物を炭火で焼い
て食べる炭火焼体験とかつお節を削る体験を提供した。
(3)釣り体験
アクアマリンえっぐの釣り場において魚を釣って調理し、食べるという体験を提供し、
子どもたちに命の教育の場を提供した。(参加者数18,929組)
(4)他団体と連携をした被災者支援活動
全国の博物館が被災した児童を支援しようと集まったこども☆ひかりプロジェクトの
メンバーと共に、6月14日に仙台縄文の森公園、8月26日にアクアマリンふくしま、
10月12日に南相馬市博物館、12月13日仙台八木山動物公園においてこども☆ひか
りフェスティバルを開催した。
8
ボランティア等活動事業
アクアマリンふくしまボランティアの会による自主的、積極的なボランティア活動を通し
て、来館者の学習活動を支援するとともに、多様な交流を促進した。また、ボランティア活
動者に対しては、資質向上のための専門研修を継続的に行い、本施設を自らの学習・実践の
場として積極的に提供した。
第1期~第17期ボランティア更新者
209名
第18期新規ボランティア登録者
15名
登録者数(平成28年3月31日現在)
224名
9
施設管理事業
(1)修繕工事
① 土木工事
ア 防水シートが切れて漏水した釣堀及び蛇の目ビーチの補修工事を実施した。
② 建築工事
ア えっぐ釣堀吊桟橋の改修を実施した。
イ えっぐ釣り場の屋根を設置した。
ウ 経年劣化が顕著な展望塔のガラス飛散防止シート及びシーリングの交換を行った。
③ 電気設備工事
ア 経年劣化が著しいレストラン厨房機器のオール電化を行った。
(2)省エネルギー・光熱費対策
平成27年度は引き続きエネルギー使用量と光熱費を削減する目的で、熱源機の運転調
整と季節に応じた設定水温の変更による水槽熱負荷軽減に取り組んだ。
また、展望塔ライトアップ照明機器をLEDライトへ交換した。
(3)主要維持管理施設
主要維持管理施設は、次のとおり。
① いわき市小名浜字辰巳町地内
ア ふくしま海洋科学館
・本館等敷地面積
39,531.97㎡
・本館延床面積
12,935.11㎡
・水生生物保全センター延床面積
925.09㎡
・子ども体験館「アクアマリンえっぐ」延床面積 1,266.70㎡
・温室面積
52.54㎡
・わくわく里山・縄文の里関連施設延床面積
1,509.56㎡
イ 駐車場関係
・本館駐車場面積
4,867.13㎡
・施設外駐車場面積
1,280.00㎡
・屋外トイレ面積
106.18㎡
② いわき市小名浜下神白字松下地内
ア 海水取水・送水施設
・取水ポンプ棟延床面積
1棟
84.43㎡
・ろ過送水棟延床面積
1棟
180.04㎡
・取水管(管径 350mm)
91.10m×2条
・揚水管(管径 300/350mm)
146.00m
・送水管(管径 250mm)
2,875.90m
③ 和歌山県串本町
ア 水生生物保全センター分館
・延床面積
180.00㎡
(4)来館者用駐車場の確保
わくわく里山・縄文の里整備工事のため一部の駐車場が使用できなくなったが、繁忙期
に臨時駐車場を確保し、安全かつスムーズな整理誘導を行った。
駐車場は次のとおりである。
① 常時使用駐車場
・オアシス駐車場
281台(うち身障者用5台、バス15台)
・公共駐車場
472台(うち身障者用17台)
② 臨時駐車場
200台(小名浜港湾建設事務所から随時借用する)
* 駐車場合計
953台
10 アクアマリンいなわしろカワセミ水族館管理運営事業
猪苗代町緑の村管理センター、釣堀・養魚鑑賞池、淡水魚館の3施設の総称を「アクアマ
リンいなわしろカワセミ水族館」として、福島県内及び猪苗代湖の保全をテーマに統括的な
施設運営を図り、参加体験型展示を通じて環境保全及び教育普及活動に関する事業を展開し
た。
具体的には、旧淡水魚館内に希少淡水魚繁殖保全水槽を設置するとともに、全国の水族館
でも初めての試みとして20cmのキューブ水槽に、絶滅が危惧される水生昆虫や両生類等
を展示し、生物の多様性についての情報発信に努めた。さらに、12月の再オープンから、
ユーラシアカワウソを飼育展示した。
(1)施設の概要
○猪苗代町大字長田字東中丸地内
アクアマリンいなわしろカワセミ水族館
猪苗代町緑の村管理センター
猪苗代町緑の村釣堀、養魚鑑賞池
猪苗代町淡水魚館
736.00㎡
10,000.00㎡
605.10㎡
(2)展示事業
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
⑧
⑨
福島県の河川・湖沼と保全の展示
淡水生物の分布についての水槽展示及びパネル展示
猪苗代湖保全パネルと展示水槽
希少淡水魚繁殖保全水槽
県内に生息するゲンゴロウを始めとする水生昆虫の展示水槽
福島県の両生類の展示水槽
ユーラシアカワウソの展示
国外・国内外来種の淡水水生生物の展示
企画展(福島のカエル展・写真展)
(3)体験プログラム
①
②
③
釣り体験の実施、館内観察オリエンテーリングの実施
参加体験型(小川水槽)展示と映像を放映
塗り絵コーナー及び飛び出す水族館(クラフト)コーナーの設置
(4)情報発信
各種展示を通じて、猪苗代湖の保全、希少淡水魚の繁殖・保全を来館者に対して情報発
信した。
Ⅱ
収益事業
1
ミュージアムショップの運営
ミュージアムショップ は既存店舗の「ウミノス」、「ゴンベッサ」に加え、縄文の里オー
プンに合わせて開店した「アクアマリンショップJOHMON」の3店舗で商品の販売を行
った。売上は対前年度比12.4%増の194,783,881円(平成26年度売上額1
73,296,860)となった。震災前と比較すると依然として低迷が続いており、平成
22年度比 30.9%減であった。(平成22年度売上額282,063,891円)
2
レストランの運営
(1)直営のアクアクロスにおいて、おいしい水族館「HAPPY OCEANS」をテーマに
資源量の豊富な漁業資源を使ったオリジナルシーフードメニューを提供し、来館者サービ
スの向上に努めた。既存メニューのリニューアルおよび新規に軽食メニューを追加して収
益増を図った。売上は前年度と比較すると、29.2%増の43,772,310円(平
成26年度売上額33,887,640円)となった。震災前の平成22年度と比較して
も17.1%増(平成22年度売上額37,392,835円)と震災前実績は越えたが、
直営店となる以前に営業委託していた際は年8千万円以上の売上があり、厳しい状況が続
いている。
(2)繁忙期には、テラスにて軽食の販売を実施し、来館者サービスの向上に努めた。
(3)潮目の大水槽前に寿司処「潮目の海HAPPY OCEANS」の営業を行なった。漁
業資源の持続的な利用をテーマとし、資源量の豊富な魚種を主体にした握り寿司を提供
し、来館者やメディアから注目を集めた。
3
イブニングイベント事業
(1)アクアマリン竜宮城
潮目の大水槽前の空間をイブニングイベントとして有料開放することにより、閉館後の
館内の利用、来館者サービス及び満足度の向上を図った。
地域団体の懇親会などで7件の開催実績があった。
(2)雑魚を美味しく食べる会(雑魚の会)
閉館後の潮目の大水槽前スペースにて、雑魚のブランド化及び地域交流の場を設けるこ
とを趣旨とした会を年12回開催し、参加者数は計392人であった。
4
アクアマリンいなわしろカワセミ水族館のショップの開設
カワセミをモチーフとした商品を開発し、販売するとともに、館内で飼育展示している生
物をモチーフとするアクアマリンふくしまの商品をカワセミ館でも販売し、収入の確保に努
めた。