今夜発表!「FOMC」5 つの重要ポイント

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~丸わかり! ロンドン発★欧州経済事情~
「松崎美子」が注目テーマを一刀両断!
『今夜発表!「FOMC」5 つの重要ポイント』
執筆者:松崎美子氏(ロンドン在住/元為替ディーラー) 2015年12月16日公開
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今週水曜日(16 日)には、今年最後の大イベントである米連邦公開市場委員会(FOMC)
が開催される。この日は、政策金利の変更に加え、3 カ月に一度発表されるマクロ経済予測、
そしてイエレン FRB 議長の記者会見が続く。
●「FOMC」5 つの重要ポイント
12 月 16 日(水)の「FOMC」での見所として私が重視している点は、以下である。
1)政策金利引き上げの有無
0.25%利上げは、織り込み済み。万が一据え置きとなれば、市場は大きく混乱する。
2)声明文
「国外要因」という文言が復活するのか?復活すれば、来年以降の利上げの頻度が落ち
ることも予想され、米ドル安に結びつく可能性がある。
3)3 カ月に一度発表されるマクロ経済予測の内容
長期的失業率の数字。「4.9~5.2%」という見通しが「4.8%~」と下げられれば、利上
げの頻度が落ちることも予想される。
4)将来の金利見通しを知るためのドット・チャートの変化
各年/長期的金利水準の変化
5)イエレン議長の記者会見内容
この中でも特に、会見での発言内容とマクロ経済予測や声明文内容とのギャップがある場
合、マーケットのリアクションが想定外となることもあり注意が必要だ。
●主要国、初の利上げとなるか?
米 WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)紙が行った最新のアンケート結果を見ると、
驚くことに 97%のエコノミスト達が利上げを予想している。
次に、シカゴ・マーカンタイル取引所が毎日発表している FED Watch(米国の政策金利を予
想する指数)を見てみよう。ここでも、今月の利上げ予想は 8 割強となっており、0.25%
の利上げは「ほぼ織り込み済み」と言ってよい。
データ: シカゴ・マーカンタイル取引所ホームページ
http://www.cmegroup.com/trading/interest-rates/countdown-to-fomc.html
●2016 年、利上げの頻度は?
12 月の利上げがほぼ 100%織り込まれているのであれば、来年以降はどうなのか?早速英
FT(フィナンシャル・タイムズ)紙が行った 51 名のエコノミストを対象とした調査を見る
と、以下となる。
・2016 年の米利上げの回数
25bps を 2 回(合計 0.50%の利上げ)
25bps を 3 回(合計 0.75%の利上げ)
25bps を 4 回(合計 1.00%の利上げ)
24%
39%
30%
ここでは 7 割近くのエコノミストが、少なくとも 3 回の利上げ(0.75%)を予想している。
同時に、エコノミスト達の中間値も、
「2016 年の利上げ幅 0.75%」
、
「2017 年の利上げ幅
1%」となっていた。つまり米国の景気が大きく失速しない限り、来年は 3 回程度の利上げ
が実施されると考えられる。
ただし、慎重派のエコノミストも健在で、
「アメリカは 2 年以内にリセッションとなる」と
予想した人は 15%、
「金利を上げてもどこかで景気の息切れとなり、近い将来に利下げを余
儀なくされ、またゼロ金利に逆戻りする」という厳しい予想をしている人も 20%いるようだ。
●原油安と欧州
今年のメイン・テーマは、「アメリカの利上げ、米ドル高」だった。私が住む欧州では、
米国の利上げと欧州中銀(ECB)の追加緩和の組み合わせで、ユーロを対米ドルで売る。ま
たは、追加緩和期待の高いユーロを売り、米国の次に利上げに動くであろう英ポンドを買
う!という取引が一般的であった。しかし、12 月に入り予想外のことが立て続けに起き、
この考え方を根本的に改めざるを得ない状況となっている。
最初の予想外の出来事は、ECB の追加緩和策の手段が予想よりも小さかったことである。そ
のため、ユーロのショート・カバーが出てきてユーロが対米ドルで上昇した。そして、海
を隔てた英国では、2 年以内に実施される国民投票での EU 離脱支持が高まり、先行き不透
明感が増したことを受け、英ポンドは否応なしに売り込まれてきている。
英国に関しては、原油価格の急落の煽りを受け、石油・ガス会社のウェイトが銀行株と並
んで一番高い FTSE100 が下げ足を早めている。つい最近までは、景気も良いし利上げ間違
いなし!という意気揚々としたセンチメントだったが、ここにきて一気に冷え込んでしま
ったという訳である。そして収益悪化は避けられない石油業界での人員解雇のニュースも
手伝い、クリスマスムードが台無しである。
●まとめ
米国の利上げは、ゼロ金利という異常事態を是正する「金利の正常化」へ向けた喜ぶべ
き出来事であったはずである。しかし、この数カ月の間に、世界経済を取り巻く環境は大
きく変化し、シリアを巡る地政学的リスクが高まり、欧州では難民問題の解決に時間がか
かり、そうこうしている間に原油価格は 30 ドル台まで落ち込んでしまった。
米国の利上げで、ただでさえ心穏やかではない新興国では、最近の原油安によるダブル・
パンチで、特に産油国の財政状態や通貨安も問題になってきている。つい最近も南アフリ
カ中央銀行は通貨防衛も含め、利上げに動いたばかりだ。
果たして来年は、予想通り 3 回ほどの利上げがアメリカで実施されるのか?その予想が大
きく狂えば、主要国で唯一利上げに踏み切る米ドルが、売られることにもなりかねない。
-------------------------------------------------------------------------------【執筆者: 松崎美子氏(ロンドン在住/元為替ディーラー)プロフィール】
東京でスイス系銀行 Dealing Room で見習いトレイダーとしてスタート。
18 ヶ月後に渡英決定。1989 年よりロンドン・シティーにあるバークレイズ銀行本店 Dealing
Room に就職。1991 年に出産。1997 年シティーにある米系投資銀行に転職。その後、憧れの
専業主婦をしたが時間をもてあまし気味。英系銀行の元同僚と飲みに行き、証拠金取引の
話しを聞き、早速証拠金取引開始。
(参考ブログ)http://londonfx.blog102.fc2.com/
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