キプロス問題とは?ドイツの微妙な立場とロシアとの攻防

2013 Mar
21
キプロス問題とは?ドイツの微妙な立場とロシアとの攻防
19日(現地時間)、キプロス議会はユーロ圏財務相会合にて合意さ
このように、今回の措置は、キプロス固有の問題でとらざるを得なかった面
れたキプロス支援の条件である預金課税法案を否決するなか、ユー
ロ(対米ドル)は昨年11月以来となる1.28米ドル台をつけました。その
と、ユーロ圏大国のドイツの微妙な立場を反映したものであったといえます。
後、ロシアによる支援といった代替案に加え、ECB(欧州中央銀行)お
負担です。「確実」な手段はキプロスにとっては預金への課税であり、他国に
よびキプロス中央銀行による同国銀行への流動性供給の可能性と
いった報道を受け、20日はユーロが対米ドル、対円で買われる展開と
それが適用される可能性は低いと思われます。いずれにしても、ドイツの有
なっています。
後注意が必要と思われます。
ただし、ドイツを含め、ユーロ圏がキプロスに対して求めているのは「確実な」
権者を意識した行動が強まることがユーロにとっては不透明要因であり、今
ユーロ圏はなぜ異例とも言える預金課税を支援の条件として挙げた
のでしょうか。そもそも、キプロスはマネーロンダリング(資金洗浄)の場
であるとの懸念が強く、ロシアからの預金が多いと言われています。そ
のロシアは救済資金源となるEFSF(欧州金融安定ファシリティ)やESM
(欧州安定メカニズム)の保証および出資国には入っていません。にも
主なイベント・経済指標発表予定(結果)
関わらず、キプロス支援は、実質的には非ユーロ圏(ロシア)への支援
にもつながるため、ユーロ圏諸国の世論の評判は非常に悪いものです。
特に、9月(予定)に連邦議会選挙を控えたドイツの議員にとっては、
選挙民へ説明がしやすい環境(支援はするがキプロスも相応の負担)
を作る必要があったと思われます。
曜日
3月
20日
米国
 休日
 FOMC(米連邦公開市場委員会)
 2月 通関ベース貿易収支
 3月 フィラデルフィア連銀製造業景気指
水
グローバル・マーケット・ストラテジー・チーム
シニアエコノミスト
岩城裕子
日本
数
3月
21日
木
 2月 中古住宅販売件数
 新規失業保険申請件数(3/16)
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