Embargoed Advance Information from Science The Weekly Journal of the American Association for the Advancement of Science http://www.aaas.org/ SciPak の情報はこちらから Twitter:http://twitter.com/scipak Tumblr:http://scipak.tumblr.com 本部: 1200 New York Avenue, NW Washington, DC 20005 電話: +1-202-326-6440 ファックス: +1-202-789-0455 報道解禁日時: 米国東部標準時 2014 年 12 月 11 日(木)午後 2 時 問合せ先:Natasha Pinol +1-202-326-6440 [email protected] Science 2014 年 12 月 12 日号ハイライト 鳥類の系統樹 彗星の水組成が与える海の起源の手がかり 20 分の会話で同性婚に対する考えは変えられる 新しいマラリア薬耐性の背後にある因子 Following is the embargoed advance information for the forthcoming issue of Science, the weekly journal of AAAS, the science society. Please mention the international journal Science and AAAS as the source of these items. 鳥類の系統樹 The Avian Tree of Life 国際的な研究チームが、鳥類の 45 種のゲノムシーケンシングを行い、現時点で最も信頼性の高 い鳥類の系統樹を作成した。この巨大プロジェクトは、完了まで 4 年以上かかり、世界中の 20 ヵ国から数百名の研究者が参加した。鳥類の主要な全ての種から少なくとも 1 つのゲノムが分析 され、多数の報告が行われ、そのうち 8 本が今号の Science に掲載されている。これらの結果を 合わせると、鳥類の系統樹の最初期の一部の枝がどのように分岐しているのかが明らかになり、 鳥類、ワニ類、恐竜から成る祖竜と呼ばれるグループの共通の祖先に関する長年の疑問のいくつか に関する答えを得る助けになる。これらの研究はまた、鳥類の性染色体の進化、鳥類とヒト両方 の音声学習、そして鳥類が歯を失うに至る進化過程についても新たな光を当てている。これらの 結果は、恐竜絶滅後 1000 万~1500 万年、すなわち白亜紀 ⁄ 古第三紀境界における鳥類の進化の 「ビッグバン」理論を裏付けている。これらの結果はまた、陸鳥(オウムや鳴鳥、タカやワシな ど)の最初期の共通の祖先が最上位捕食者であり、例えばハトは、ほとんどの現代の種を含む鳥 類の分岐群であるネオアヴェス(neoaves)の系統樹の分岐点に属していることも示唆している。 これまでの多くの研究が行ってきたように、過去 1 億年あまりにおける種の関係性を推論するこ とを目的として、一度に少数の遺伝子を研究するのではなく、このプロジェクトは、鳥類の進化 の概観をより明確に捉えるために全ゲノムの解析を行った。Science に掲載されたこれら一連の 研究に関連するものとして、鳥類のゲノム研究のさらなる一連の研究がオープンアクセス出版社 である BioMed Central で発表される予定である。BioMed Central のコンテンツへの報道解禁後の アクセスについては、Mr. Joel Winston(media officer)に電話 +44 (0)20 3192 2081 または e メール [email protected] でお問い合わせ頂きたい。最後に、Xing Xu らによるレビュー論 文では、獣脚恐竜に始まる鳥類の起源の追跡における最近の進展を取り上げ、特に中国北東部で 最近発見された羽毛恐竜の化石に焦点を当てている。著者らは、発生生物学や機能解剖学におけ る最新の研究を古生物学の記録と統合し、鳥類の主要な特長(羽毛、翼、飛行など)がどのよう な起源を有し、祖先である恐竜から枝分かれしていかに進化したかを示している。 彗星の水組成が与える海の起源の手がかり Comet’s Water Composition Could Hint at Oceans’ Origin Kathrin Altwegg らの最新の論文によると、木星族彗星 67P/Churyumov-Gerasimenko(チュリュモ フ・ゲラシメンコ彗星)の水に含まれる重水素/水素比を直接測定できれば、地球の水はどこか ら来たのかという疑問が明らかになるという。欧州宇宙機関の彗星探査機ロゼッタが自身の子機 であるフィラエを着陸させた際、このアヒルのような形をした彗星 67P は一躍有名になった。し かし、ロゼッタには ROSINA という質量分析計も搭載されており、これにより、同彗星の曖昧な エンベロープに含まれる水分やその他気体の化学的痕跡が探査されている。Altwegg らは、小惑 星と彗星のどちらかが地球の海の起源であるという可能性を探るため、これらの水組成を調べて いた。 その中には、(1 個の陽子と 1 個の電子から構成される)通常の水素原子を含む水もあったが、 この水素が(中性子も含む)より重い同位体である重水素に置換されている場合もあった。67P の水に含まれる重水素/水素比は、地球の海に含まれる水の同比率より 3 倍高く、さらに、似通 った他の彗星の水の同比率よりも遥かに高かった。例えば、103P/Hartley 2(ハートレー第 2 彗 星)のこの比率はかなり低く、地球の水が彗星の水に由来する可能性を研究者が再検討するきっ かけとなっていた。しかし、67P から得られたこの新たな比率データから、水の起源が小惑星に あるという考え方に戻される可能性がある。また、この成果は、木星族彗星の重水素/水素比が、 以前考えられていたよりも遥かに多様であり、冥王星付近のカイパーベルトやさらに遠くのオー ルト雲といった、太陽系内の様々な距離にある異なる起源を反映している可能性も示唆している。 20 分の会話で同性婚に対する考えは変えられる Twenty-Minute Talk Can Shift Attitudes on Same-Sex Marriage Michael LaCour と Donald Green の新しい実験によると、同性愛者の選挙運動員による戸別訪問で 同性婚について 20 分間会話しただけで、同性婚を支持する気持ちが高まったという。この効果 は 9 ヶ月後まで持続し、この考えの変化はその有権者家族の他のメンバーにまでも広がるという 有力な証拠もある。長期的に見てこの変化の大きさは、マサチューセッツ州とジョージア州の同 性婚に対する考え方の違いに相当すると LaCour と Green は述べている。彼らは長期の個人的な 付き合いにより異なったグループに属する人々の間での敵対心や偏見は軽減されるという考えで 実験をデザインしたが、短時間の活発な会話に同等の効果があるかという点には疑問を持ってい た。LaCour と Green は南カリフォルニアの登録有権者を対象に戸別訪問の前後に同性婚に対する 考えを他の問題も含めて質問し、調査を実施した。この無作為実験では同性愛者と非同性愛者の 選挙運動員を戸別訪問に送り込み、同性婚かリサイクルのどちらかについて話をさせた。同性愛 者および非同性愛者の選挙運動員との同性婚についての会話は両者ともにその政策への支持を高 めたが、同性愛者の運動員との会話のみが持続的で他者にも影響する考えの変化を引き起こした。 ゲイの男性とレズビアンに関する有権者の一般的な見方も戸別訪問によって向上した。 新しいマラリア薬耐性の背後にある因子 Factors Behind New Malaria Drug Resistance 今週号では、2 つの研究チームが、マラリア薬アルテミシニンに対する新たな耐性の背後にある 分子機構について報告している。Judith Straimer 率いる 1 つめのチームは、四日熱マラリア原虫 の K13 遺伝子の「プロペラ変異(propeller mutations)」が耐性の原因であることを確認した。 Sachel Mok らの 2 つめのチームによる報告では、耐性マラリアの遺伝子発現を検討し、この変異 が寄生虫によるタンパク質修復を助け、寄生虫の発生を遅らせると結論づけられた。アルテミシ ニンをベースとした治療法は、過去 10 年間のマラリア死亡率の 30%低下に寄与している。しか し、東南アジアでのアルテミシニンに対する耐性の増加は、この地域のマラリア撲滅の大きな妨 げとなっており、間もなくアルテミシニンの世界的な使用も脅かすと考えられている。 耐性およびその克服法についての理解を深めるため、Mok らは、急性マラリアのアジアとアフリ カの患者から採取した熱帯熱寄生虫の 1,043 サンプルの遺伝子発現を検討し、K13 変異が、タン パク質修復経路の発現増加と、寄生虫発生の早期段階のタイミングを変更させうる因子に関連し ていることを明らかにした。これらの変化は双方とも、耐性熱帯熱に対するアルテミシニンの影 響を減弱させるのに役立っていると考えられた。Straimer らは、プロペラ変異を喪失または獲得 するよう改変した K13 遺伝子に対するアルテミシニンの影響を検討した。カンボジア(耐性が最 初に出現した)のマラリアサンプルでは、K13 変異を除去した場合、寄生虫の生存率が 13~49% から 0.3~2.4%に低下した。逆に、耐性関連変異を追加した場合は、寄生虫の生存率を 0.6%か ら 2~29%に上昇させることができた。
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