Yoshida Press Release

Embargoed Advance Information from Science
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米国東部標準時 2015 年 1 月 15 日(木)午後 2 時
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Science 2015 年 1 月 16 日号ハイライト
能力に対する考え方が女性の学術研究への参加に影響を及ぼしている可能性がある
ガンは「ローラーコースター」戦略でヒマラヤを越える
新たに作製された植生記録は新生代の気候記録と一致する
膨張した組織が顕微鏡の限界を破る
Following is the embargoed advance information for the forthcoming issue of Science, the weekly journal
of AAAS, the science society.
Please mention the international journal Science and AAAS as the source of these items.
能力に対する考え方が女性の学術研究への参加に影響を及ぼしている可能性がある
Opinions About Ability Might Affect Women’s Academic Participation
全米調査の結果、学術研究分野における女性の割合は、様々な専門分野で抜きんでるために必
要なことに対する人々の一般的態度を反映していることが示唆された。具体的に言うと、先天的
才能や素質が必要とされる分野に参加する女性は少なく、共感や勤勉が重要とされる分野に引き
つけられる女性が多いことを研究者らは示唆している。これらの研究結果は決して決定的なもの
ではないが、なぜ多くの STEM 分野で女性の割合が少ないのか、という長年の論争に数多くの新
たな問題を提起するものである。Sarah-Jane Leslie らは、全米のさまざまな公立・私立大学で、
STEM・社会科学・人文科学の 30 分野に所属する、教職員・博士研究員・大学院生(合計 1,820
人)に調査を行った。彼らは被調査者に対し、各自の分野について、「私の分野で最高の学者に
なるには、教わることのできない特別な適性が必要である」といった意見への同意度を評価する
よう求めた。調査結果から、ある特定の分野では「優れた才能」や「天賦の才」といった特質が
必要だが、努力と粘り強さで修得できる分野もある、と人々が考えていることが明らかになった。
注目すべきことに、Leslie らは、被調査者が先天的素質が必要だとみなした学科は、その集団内
の女性の割合が低いことにも気づいた。Leslie らはこれらの研究結果を踏まえ、女性にはこうし
た素質がないという固定観念が、学術研究分野における性別分布の一因になっているのではない
かと述べている。また、この新たな「分野別能力の存在を信じる仮説」は、同様の固定観念に直
面しているアフリカ系アメリカ人にも適用できるかもしれないと示唆している。Perspective では、
Andrew Penner が本研究をさらに詳しく説明し、より広い視野で男女平等の問題をとらえること
を勧めている。
ガンは「ローラーコースター」戦略でヒマラヤを越える
Geese Use “Roller Coaster” Strategy to Fly Over Himalayas
Charles Bishop らは、インドガンをヒマラヤ山地で遠隔モニタリングすることで、ガンが地形に
沿って飛行し、ローラーコースターが上がったり下がったりするように山や谷を越えて行くこと
を示した。このような予想外の飛行パターンによりガンは、これまでの観察研究で予想されてい
たように 8,000 メートルを超える超高度を一貫して飛ぶよりも、エネルギーを節約できる。著者
らはその独創的な実験において、7 羽の渡り鳥のガンにデバイスを埋め込み、ガンの心拍数、腹
腔内の温度および圧(高度を測定するため)、ならびに羽ばたき周波数を知るために体の動きを
モニタリングした。飛行高度が増すほど、ガンはより空気が薄い大気内を飛ぶため、羽ばたき周
波数が増加した。また、ガンの心拍数と推定代謝能は、羽ばたき周波数が大きくなるにつれて指
数関数的に増大することがわかり、これによってガンは、あまりに大きなエネルギーを必要とす
るため高度の高い大気中で水平に飛び続けられないことが示唆された。そこで、ガンはより効率
的な方法として、地形に沿って、高度を下げたり上げたりしながら飛び、ある時は山地で生じる
上昇気流に助けられたりして飛行するのである。
新たに作製された植生記録は新生代の気候記録と一致する
New Vegetation Record Syncs With Cenozoic Climate Record
研究者らは、植生構造、すなわち疎林の林冠の程度を再構築する方法を開発し、これを用いて新
生代中期(4,900~1,100 万年前)のパタゴニアにおける植生がどのようであったかを推測した。
その結果は、世界の中でその特定の時期や場所における林冠や気候の変化、さらには動物の特徴
の変化を関連付けるうえで有用であり、同時にこの結果を用いて、世界の異なる時期や場所につ
いても同様の洞察が得られる可能性があるという。Regan Dunn らは、保存された植物組織にお
ける日光依存性の敷石細胞(pavement cell)の形態を用いて、葉面積指数(leaf area index:LAI)
と呼ばれるものを推定する方法を開発した。著者らはこの値によって、パタゴニアにおける植生
構造の変化の可能性を、密林が切り開かれ、灌木生息環境へと変動し、その後再緑化期を経たと
説明することができた。著者らはこの LAI 記録を用いて、新生代の気候に対する植物の反応も予
測し、また 、この記録を南米の草食動物の歯における古代の進化上の変化に関連付けてみせた。
LAI の記録は、歴史上の気候変動に対する 陸上生態系の反応を研究するための感度の高いツール
となると、著者らは述べている。
膨張した組織が顕微鏡の限界を破る
Swelled Tissues Burst Limits of Microscope
光学顕微鏡が細胞や組織の細かい部分をどの程度拡大できるかには限界がある。では、生体物質
そのものを膨らませて大きくしてはどうだろうか?これは、Fei Chen らが提案した解決策である。
Chen らは、膨潤性ポリマーを用いて細胞と脳組織を膨らませる方法をデザインした。Chen らは、
生体サンプル内でこのポリマーゲルネットワークを合成し、ゲルの膨張を化学的に誘発する方法
について報告している。サンプル内の目印を正確に示すために蛍光標識の助けを借り、彼らの
「膨張顕微鏡(expansion microscopy)」法は、光学顕微鏡で、研究室の培養細胞とマウス脳組織
において最高 70 ナノメートルの分解能を達成している。Chen らはこの技術によって、マウス海
馬のナノスケールの特徴を観察できた。このことは、神経の構造と機能を理解するにあたり大き
な意味を持つであろう。