第13号 - 食のコミュニケーション円卓会議

食のコミュニケーション円卓会議
Web 版 第 13 号
2010.7.30 発行
2010 年 7 月 7 日(水)~7 月 9 日(金)「アイソトープ・放射線研究発表会」が日本科学未来館で開催さ
れました。昨年に引き続き円卓会議から 7 月 8 日(木)に千葉さんがポスター発表「食品への照射効果の
体験実験 —リスクコミュニケーションを目指して—」、7 月 9 日(金)には、市川さんが「放射線殺菌処理
した香辛料と加熱殺菌処理した香辛料の味くらべ」と題して口頭発表を行いました。そして今回初めて
の試みで公開講座『市民のためのしゃべり場「食べ物に放射線?」日本の進む道は・・・』を合わせて行
うことができました。
公開講座の開催にあたっては、日本アイソトープ協会の西島様、稲毛様をはじめ、皆様のご理解・ご
協力をいただきましたことに深く感謝申し上げます。
CONTENTS
1. 市民のためのしゃべり場 プログラム
5. 北海道教育大・函館校の皆様の感想
2. しゃべり場を開催して
6. 円卓会議の会員の感想
3. しゃべり場の記録・まとめ
7. ポスター発表に参加して
4. 参加者の「振り返りシート」から
8. 口頭発表に参加して
1 / 15
『市民のためのしゃべり場「食べ物に放射線?」日本の進む道は・・・』プログラム
日
時:2010 年 7 月 9 日(金)15:30~17:30
会
場:日本科学未来館7階
主
催:食のコミュニケーション円卓会議
共
催:日本アイソトープ協会、日本食品照射研究協議会
CR2 会議室 2
出席者:63 名 含円卓会議会員
配布資料:
「ガッテン!食品照射」((社)日本原子力産業協会)
「闘論:食品への放射線照射」
(毎日新聞記事:2006.8.7)
「放射線を当てた食品はいらない!」(生活協同組合パルシステム東京)
15:35-15:40 開会挨拶(市川まりこ)
15:40-16:00 ミニ講座「食品照射って何?」
(小林泰彦)
・ガッテン食品照射とパワーポイントで説明
・放射線と放射能の違い
・食品照射のメリットとデメリット
・士幌農協のジャガイモ照射と表示
16:00-16:15 話題提供「市民による食品照射の体験実験レポート」(市川まりこ)
・食のコミュニケーション円卓会議とは
・各種食品を対象に照射を行った、市民が体験した食品照射の素朴な実験体験
・加熱殺菌した香辛料と照射殺菌した香辛料を用いて作ったカレーの試食結果
≪バズセッション≫(ファシリテーター:市川まりこ)
16:15-16:20 オリエンテーション
1) 4~6 人ずつに分かれて着席したグループ内で、自己紹介
2)リーダーと書記の決定
ワークショップの進め方を説明、リーダーと書記の決定
16:20-16:23 隣の人同士で意見交換
16:23-16:38 グループの中で意見交換
16:38-17:08 各グループのリーダーから結果発表
17:08-17:30 全体で質疑応答と「振り返りシート」記入
17:30
閉会
2 / 15
市民のためのしゃべり場を開催して
(円卓会議代表・市川まりこ)
この企画は、円卓会議が主催する初めての公開意見交換会でした。頭にひらめいて口にしたら、あれ
よあれよという間に実現する運びとなりました。事前準備は 3 カ月かけて丁寧に行い、円卓会議会員、
食品照射の専門家の方々、アイソトープ協会や関連する皆様から、たくさんのご支援をいただきました。
「力を合わせるってこういうことなんだ」という実感を得ることができましたことに心より感謝申し上
げます。
私が一番悩んだのは、テーマの言葉選びでした。悩んだ末に「日本の進む道は・・・」としました。
日本の現実の問題として、悩みが多く、障害物もたくさんある状況ですが、どんな道を選ぶのか、悩み
ながらも前に進んでいくことが、
「今こそ必要なのでは・・・」という思いを込めました。
事前登録者 30 余名でしたが、実際は 50 名を超える参加者となり、当日うれしい気持ちで軽快に全体
を進行することができました。参加者は、反対派の方、専門家、消費者団体のリーダー、教育者や学生、
事業者、メディア関係者等多彩な顔ぶれとなりました。グループ分けでは、円卓会議会員だけは事前に
重ならないよう配慮しましたが、大多数の皆さんは、公平にくじを引いていただき、グループ分けを行
いました。参加者からも好評を得て、手応えのあるワークショップとなりました。
食品照射のリスクコミュニケーションにおいて、このような市民参加型の学びと意見交換の「しゃべ
り場」は、ひょっとしたら効果的な取り組みの一つなのかもしれません。もし要請があれば、この様な
企画を、東京だけでなく、全国へ出かけて実施してみたいと考えています。
ご関心をお持ちの方はどうぞお知らせください。
しゃべり場の記録・まとめ
「しゃべり場」が始まるまでは参加者予測を 40 名くらいとしてテーブルを 8 グループセッティング
しましたが、実際には当日参加者が増えたため、急遽テーブルセッティングをするために途中でプログ
ラムを中断してグループ数を増やすという嬉しい誤算が発生しました。
最終的には、A~Kの 11 グループ 55 名がバズセッションに参加していただけました。
≪意見交換の結果を各グループに発表していただいた概要≫
・Aグループ(5 名)
:賛成意見が多数。カビ毒発生抑制などメリットがある。表示をしっかり行い、個
人が選択できればよい。
・Bグループ(5 名)
:賛否両方の立場があり、議論はまとまらなかった。マスコミも伝えておらず、情
報不足で不安を感じている。検知の公定法が定められていないため、表示は信頼できな
い。
・Cグループ(4 名):全員が科学者のグループ。科学的データを元にして疑うことも必要である。
・Dグループ(6 名)
:食品は安全に供給されているが、情報がうまく伝わっていない。本技術はメリッ
トがある。コミュニケーション推進に努力すべき。
・Eグループ(4 名)
:否定的な意見は尐なかった。シクロブタノンは定量的な把握ができていないので
はないか。データを正しく発表してほしい。
・Fグループ(5 名):推進 60%、否定 20%、保留 20%である。推進以外では本質的な不安があり、表
示を信頼できないとする意見がある。「ガッテン!食品照射」についても、安全と決め
つけた書き方には疑問を持つ意見があった。
・Gグループ(5 名)
:参加者全員に知識があり、基本的には推進希望。しかし、知識がないと分からな
3 / 15
いので、幅広く情報を広める必要がある。
・Hグループ(5 名)
:安全と安心は分けて考えるべき。WHO の見解を否定することはないが、安心でき
ない者の存在は仕方がない。表示により、個人が選択できればよい。
・Iグループ(5 名)
:全員関係者であり、照射条件が守られていれば、不安は全くない。解禁されると、
海外から大量に輸入されて管理しきれなくなる恐れがある。現在でも輸入されている可
能性があるとすれば、積極的に解禁する必要性に疑問を感じる。
・Jグループ(5 名)
:消費者とメーカーの対立構造が一般的だったので、円卓会議のカレーの試食は興
味深い試みである。消費者が選択すればよいとはいえ、スーパーは厄介なものは置かな
い。そもそも、国が消極的で逃げている。輸入品は水際でチェックできていると考えて
いるが、香辛料の現状等を国民に伝える必要がある。
・Kグループ(6 名)
:6 人とも関係者で、議論にはならなかった。日本は被爆国ため、本技術推進に抵
抗があることは確かである。教育が大切で、食品リスクについてもう一歩進んでほしい。
≪質疑応答≫
☆研究者:現在、原子力機構・高崎研に食品照射を行う部門がないのはどうしてか。
→小林:JA 士幌町でジャガイモの芽止め照射を実用化する際には技術移転と照射施設設計などに関与
した。以後、新たな実用化は政治的な理由で進展していないが、食品照射に関わる原理的な研究は完
了していると考える。
☆市民:以下の話を聞いているが、どのように考えるか。
(1)ヨーロッパでは食品照射が衰退している。
(2)オーストラリアでは、カナダから輸入した照射ペットフードに問題があり、照射殺菌が中止されて
いる。
→小林:(1)について、特産品のカエル脚など継続している食品もあるが、ヨーロッパ域内で照射される
量は減尐しているようである。ただし、輸入品は把握できていないため、照射食品全体の推移は不明
である。
(2)について、詳しい情報を得ていないが、飼料そのものに問題があり照射の影響ではないと考えてい
る。照射は無菌動物の飼料殺菌に長期間使用されてきた実績がある。
☆行政委員:食中毒対策にとり組んでいる。ウイルスにも照射が有効か?
→小林:ウイルスの不活化にも使用できるが、カビや細菌よりも高い線量が必要であり、実用的ではな
い。
4 / 15
☆市民:照射が解禁になったら、加工食品や弁当など広く利用されることになるのか。
→小林:それは分からない。同じウコンでも、漢方薬の原料にする場合は食品ではないので照射は違法
ではなく、むしろ照射殺菌が推奨されていると聞いている。
→研究者:輸入生薬の場合、大手では照射していないことを確認しているという。許可菌数のレベルが
高いため無殺菌のものが多いようだ。
☆市民:照射の安全性に関わる議論は消費者には伝わっていない。分かりやすい資料はあるか。
→小林:専門的な内容のものはかなり存在する。WHO のまとめを翻訳したものが、コープ出版から出
ている。
(照射食品の安全性と栄養適性、WHO、コープ出版、1996 年)
☆司会者:検知法についての指摘があった。どなたか説明いただけないか。
→研究者:食品照射の検知法として、日本の公定法には熱ルミネッセンス法とシクロブタノン法があり、
欧州でも熱ルミネッセンス法が一般に用いられている。しかし、食材により適不適があり、万能の検
知法はない。
☆司会者:小林氏の資料(フェアトレード商品の回収事例)にあるように、安全性に問題は無くても、
食品の回収や廃棄が現に行われている。リコールは、日本の食品廃棄問題にもからんでくることであ
るが、この点にについて、具体的な提案をしている活動を紹介してほしい。
→NACS 会員:通称 NACS (社)日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会では、持続可能な社会
構築を目指している。現在取り組んでいるテーマの一つが、食品リコールのガイドライン作成である。
中国餃子問題以降、食品のリコールが急増している。(独)農林水産消費安全技術センターの調査に
よると、平成 15 年度には年間 159 件だった自主回収件数が、平成 19 年度には 839 件に跳ね上がり、
その中には健康被害がないものも多く含まれているので、 (1)健康被害の可能性や(2)法令違反に限る
べきである。基準値違反についても、海外では健康被害が考えられる場合に限って対応する国が多い。
ここでも日本はガラパゴス化している。消費者も、もっと勉強しなくてはならない。
→研究者:検知法については、定量(線量確認)ができないことを問題視する意見がある。研究者のチ
ャレンジの継続は重要だが、一方で、現時点の技術的限界を認識して行政措置を決めるべきである。
牛乳の殺菌を例にとれば、72℃15 秒殺菌などの処理条件つまり殺菌温度や時間を、製品の牛乳を分
析することによって正しく言い当てる技術はあるだろうか?そのような技術を確立するのは難しい
し、そんなことまで要求するのはナンセンスだと一般消費者も容易に理解できるだろう。牛乳の殺菌
条件などは、検知法ではなく工程管理によって担保されるべきものである。そもそも食品の検査・分
析には、本当に健康危害のあるものを検出して管理する安全確保のためのものと、消費者の信頼を担
保するためのものがある。安心を担保するための検査にいったいどこまで(行政)コストをかければ
よいのか、議論の必要があるだろう。その意味でも、照射食品のリスク評価を、まず、進めてほしい
と思っている。
≪意見等≫
☆市民:GMO の例のように、厚生省では検知できないものは表示できないといっている。しかし、お
かしな考え方である。牛乳の殺菌条件や食品の原産地など検知が困難な例は尐なくない。
☆研究者:食品照射はカビ毒低減に寄与できる。安全へのコストと安心のためのコストのバランスが必
要である。
☆研究者:どのような食品であっても毒物といえる物質を含んでいて、それなりのレベルのリスクを内
在している。低リスクの食品照射をとり上げて厳密に調べてもあまり意味がない。
5 / 15
≪まとめ≫
(市川まりこ)
皆様の熱心な討議ご参加に感謝を申し上げたい。今回は各グループの見解に留めて、とくに全体でま
とめることまでは行わなかったが、多様な参加者から多様な意見が出てきたことはとても意義深いこと
だと思う。違う立場からの参加者の思いも共有できたのではないだろうか。これを機会に、これからの
食品照射のリスコミへ積極的な関与をしていただきたい。私たちは、自ら判断できる自立した消費者が
増えることを願っている。そのため、消費者の素朴な疑問や不安を軽減していく一助となるよう、これ
からも色々な情報を発信していきたい。
参加者の「振り返りシート」から
≪1.特に印象に残ったことは≫
・条件付きではあるが、意外と照射食品に対して好意的な意見があって驚いた。
・市民のためのしゃべり場にしてはくわしい人が多い。
・技術的に確立していること。
・安全は証明することはある程度はできると思いますが、安心は各個人にまかされているので、とにか
く普及活動、消費者に分かりやすく説明が大切だと思う。
・安全であることを説明できるわかりやすいデータシートを示してほしいと思いました。
・考えていた以上に反対派の意見も聞けて有効な意見交換ができた。
・進行に工夫があったこと。食品照射についてはくわしいのでコメントなし。
・班の中に企業の方、全く別の研究をなさっている大学の方がいらっしゃったため議論が一般的で面白
かった。ピーナッツが好きで毒性が心配だから照射したものが食べたい。可能なのか知りたいから参
加したという理由に驚いた。
・グループディスカッションが楽しかった。様々な職種の方が揃っており楽しかった。
・積極的に意見交換が出来た。
・農水省HPのよくできている事。小林さんの分かりやすい説明。市川さんの進行スタンスのリベラル
さ。
・体験談で放射線照射した食品を実際に試食したこと。
・表示が信頼できない、消費者はふりまわされているという発言。
・消費者の生の声が聞け、何が怖がられているのか、有識者が何を努力しなければいけないのか、裏表
なく発言がなされた点。
・説明をあいまいにするから、不安になるというのはその通りだと思った。
・種々の立場、業種の方の意見が聞けたこと。
・安全を求めるコストと安心を求めるコストのバランス感覚が大事という話。
・薬の専門家の方と話せたことがいい経験だった。
・既に日本には照射食品が海外から入っているのでは?ということに驚いた。
・最後の方の質問、消費者のリスク認知の構造を理解してコミュニケーションに努力して頂きたいと思
いました。
・学会の後の市民活動の場で反対の人が尐なかったこと。
・立場の違いにより理解度は違うが、話し合いがもっと多く必要。
・多尐、反対の人もいて、色々な意見が聞けてよかった。
・消費者に照射食品の目的とその良さと悪さが理解できないという根底には、研究者と消費者のコミュ
ニケーションの不足が大きいと思う。
・有意義な企画であったと思う。
6 / 15
・色々な人の意見が聞けたこと。ご年輩の方が多かったのが印象に残った。
・食中毒が現在でもなくならないという現状から、食品照射は殺菌技術の一つの選択肢として考えられ
るということ。
・全体的な意見として、表示情報をきちんと消費者に提示することで消費者が選べる環境を整えること
が大事だと考える人が多かったなと感じました。
・食品の放射線照射に関して、現在どのような問題点が存在しているのかを理解することができた。
・今回の参加者にはそれを容認する人がとても多かった。(学会の性格による点も大きいと思いますが)
≪2.もっと知りたかったことは?
分かりづらかったことは?≫
・もっと強烈に反対派な人の意見を聞いてみたかった。
・緊急性は理解できなかった。どうして今という疑問は残る。
・体験実験については若干?が残りました。スパイスについて多尐の知見があるものなので、特にカレ
ーについては。
・実際にどれくらいの量の照射された食品が輸入されてしまっているのか知りたい。
・消費者への広報がどの程度行われているのか。
・照射条件の数字の単位。はじめて見る人には分かりづらい。等々力さんや関口さんのまとめの意見は
よかった。
・自分たちの生活はどのくらい放射線とかかわっているのか、詳しく知りたかった。
・海外で照射食品を摂食した場合の毒性評価がなされているのかどうか。されている場合とその結果
は?
・照射のメリット。なぜ今必要なのか。どういう理由があるから推進しようとしているのか。本当にニ
ーズはあるのか。
・反対している方にもっと来てほしかった。
・食品照射技術が今後広がっていくのかどうか?
・論点整理が必要だと思います。
・消費者への情報の伝達は今どうなっているのか?国はどう考えているか(厚労省)。
・食品照射を禁止している国は?
・ある一定量の線量を超えると、どのような変化がおきるのか。
・民間の方で今回参加した人たちは食品照射について知っている方が多かったイメージを持ちましたが、
その中でどれだけの人が照射食品を食べたことがあるのかと思いました。
・今後、どのような傾向で食品の放射線照射が進んでいくのか?
≪3.本日のご感想をお聞かせ下さい≫
・このような場に参加したのは初めてだったが楽しかった。
・グループ討論の時間は尐なすぎた。
・フランクな話ができて良かったです。
・結局、日本では食料が不足していないので不安があれば排除する傾向にあると思う。世界的に食料問
題があるので、私は食料生産を向上させる技術はもっと普及しても良いと思う。
・新しいコミュニケーションスタイルと思います。今後も広げかつ継続してほしいと思います。
NPOとしてやる役割は日々、大きくなるでしょうね。
・賛成の方が多い会だったせいかもしれませんが、賛成の方の理由づけも科学的な態度といえない点。
コンプライアンス上、問題な点。行政による規制の果たしている役割の軽視等、見うけられました。
・よい試みであった。
・場所が一般市民向けでないので参加者はやはりかたよりがあったのでは。反対の方、知らない方をも
7 / 15
っと集めるべき。
・雰囲気が軽い状態で議論に入ったのですぐに意見が出てきた。本当の一般の場での議論の場では、ど
のような意見が出てくるのかと想像していました。
・また次回、参加したいと思います。
・照射食品反対という方とお話もしたかった。
・もう尐し、消費者が多く参加できる、しゃべり場の設定をしたら。
・グループ毎に発言したこと。全員の意見が出せる形式をとっていることにより全員参加型であった事
がよい。照射食品については専門家の意見をうかがい、その上で自分の考えをまとめることがよい。
その際に他人の意見(となりの人)もききながら自分の意見をまとめることがよい。
・多くの人々、色々な視点からの食品照射に対する意見が聴けたし、いろいろな実証などを専門家の話
がきけて、とても貴重な時間だった。
・時間が短かったが、ここから話がはじめられれば良いのかなと思いました。
・関係者以外の人がもう尐しいてほしかったことと、反対意見が思いのほか尐なく世情を考えてもかた
よっていると思います。
・もっと行政に関わる人も招待できると良いかと思った。
・時間配分を検討されたら良いと思います(ミニ講座の時間オーバー)。
・もっともっと学習、コミュニケーション。
・
「食品はもともとドク」というのがもっともだと思った。
・食品照射に関する知識、一般市民の考え方等が判り、たいへん有意義であった。
・いろんな立場の方が話し合いの場を持ててよかったです。
・食品照射は安全だけど定量的検知法はこれから、知りたりない?
食品はもともと毒性があるもの?なるほどじゃ話はちがうかな、食中毒を防ぐことが重要です。
・この様に話し合うのは非常に良いことだと思いました。
小さい時代の教育がとても大切であると思います。
・色々な分野の方とお話ができたのは良かったと思います。そうすることで具体的な課題が見えてくる
とともに次のステップへの道が見えてくると思います。
・次回は反対派も呼んでください。
・もっと様々な立場(反対・賛成・中立)の立場の方の意見が聞きたいです。
・情報の伝達の不足に対し、努力する必要を感じた。
・一度にたくさんの食品照射の話を聞いて思ったのは「自分で判断する」ということが重要であるとい
うことです。回りの話をうのみにするのではなく、疑うということも時にはしなければいけない。
・とても有意義な会でした。
・多くの意見を聞けて良かったです。
・とてもおもしろくて、有意義な会でした。
≪4.その他、食品照射について思うところなど自由にご記入下さい≫
・国(主に厚労省)の努力不足。
・生産者の意見をききたい。国内生産者にとってメリットはあるのだろうか。輸入業者が喜ぶだけか?
原子力業界は関係しているのか?
・照射だけでない食品のリスクについてコミュニケーションをもっと進めたい。
・厚生労働省の姿勢はおかしいと思っている。
・検知法がまるで違反をみつけるためのように思われているのは心外。
・アメリカなどの広報資料は「工夫」されているものが多い。
・北海道で生まれ育った身ですが、大学で食品照射にふれるまで北海道の士幌で照射を行っていること
8 / 15
を知りませんでした。知りたい人は自ら学びます。知る機会がない人への一つの提起が必要なのか
な?と、自分の体験で考えたことがありました。
・なぜ食品照射が進まないのか、反対運動をしている人たちも交えてやったらどうでしょうか。
・照射食品を選べる自由ということも考えるべきである。例えば、カビ毒のような発癌物が確実に入っ
ている食品を流通させている政府当局は無責任だと思う。(ピーナッツ)
・消費者運動家の有益な意見を直接うかがえた。マスコミのもたいさん(産業タイムズ社)からマスコミ
の責任についてうかがえた。表示、検知法がテーマだった。最後のQAが充実していた。
・放射線を理解している人の多い会でしたが、本当に照射食品を食べたことがある人は尐ないだろうな
と思いました。技術の実態をもっと体験できれば良いと思います。
・選択の自由を確保し、企業がGMPに基づいて照射して表示していれば、照射は問題ないと思います
が。
・食の自由度を広げるために早期実現を期待しています。
・食品照射のリスク評価を国として早急に行うべきと思う。
・大きな問題ではないと思う。
・様々な分野で理解が進み、この技術が取り入れられたら良いと思います。
・微生物危害に対して対抗できる有効な技術だと思いますが、検知法研究者がもっとふえてください。
・食品の安心・安全という場合に安心という個人の心の内側の感情が一般消費者にとっては大きいと思
いますが、それを安全という科学的認識を深めることによってより高い安心感に変えていくことがで
きるのではないかと思いました。
・もっと放射線教育の充実が必要なのではと思いました。
・是非、一度試食してみたいものです。
北海道教育大学
函館校の皆様の感想
フロアにどなたがいらっしゃるのか全く予想のつかない状況でした。
私は市民運動家の方と、分析の専門家の方と同じテーブルでした。分析の専門家の方には客観的なご
発言が期待できますので代表になっていただきました。市民運動家の方がどのような発言をなさるの
か?大変興味がありました。
討議を進めるにあたり、大学院生の学生が書記になり詳細なメモをとってくれました。全員が発言し
反対派の意見だけでなく賛成派の意見もでました。市民運動家の方からは「ペットフード事件」の紹介
やこの事件をとりあげた市民集会についての印刷物(A4 で 1 枚)が配布されました。表示について意
見が集中しました。小林さんからの助言があり大変有意義な討論でした。
討議の時間が尐なかったというのが全員の感想でしたが、短時間で意見を言いきってしまうことは逆
に効果的な意見の抽出ではなかったかと今では思っています。
9 / 15
小林さんはフロアを走り回り議論を整理して下さり、市川さんはオーケストラの指揮者のように司会
をして下さり、難しい議論は穏やかに纏められたのだと確信しています。
最後の質疑応答で多くの意見が出されました。
これらの意見を活かすことが次につながると思います。有難うございました。(鵜飼光子先生)
今回食品照射のしゃべり場にはじめて参加しました。大学で食品照射について学んでいますが、たく
さんの方の意見を聴ける機会はほとんどないのでとても貴重な機会でした。
参加して一番驚いたことは、参加者の年齢層が幅広かったことです。
函館で暮らしているせいか、周りで食品照射に関する話題はほぼ聞いたことがありません。しかし、
今回のしゃべり場に参加して市民の方々の間で食品照射に触れる機会があるんだという実感を尐し持
てました。また、尐人数に分かれてディスカッションによって、周りの方の考えを聞くことによって自
分が食品照射に対してどのような考えを持っていて、どのような疑問を抱いているのかを再確認するこ
とができました。
自分の考えを再確認し、いろいろな方の意見を聞いて学んだことがあります。それは、自分でしっか
り考えて自分の意見を持つということです。たくさんある情報の中から自分で取捨選択できる力がない
と情報に振り回されることになると思いました。今回の食品照射の話でも自分の意見を持っていないと
回りの情報に流されてしまう可能性があると思い、怖いと思いました。
現段階では、私は日本での食品照射に対する情報の尐なさから、食品照射の実用化の拡大に関して賛
成でも反対でもありません。しかし今後、実用化していくために一番大事なことは市民に食品照射を知
ってもらうことだと思いました。普通に暮らしていると、なかなか食品照射の情報に触れる機会はない
と実感しています。知らないということは、議論する前の問題であると思います。まず、食品照射の認
知度をあげていくことが必要であると思います。
最後に、このような貴重な体験をさせてもらえたことに感謝します。ありがとうございます。
(大学院生 貝森良彦さん)
私は、食品照射について大学で学んでいて、そういうものがあるということは知っていたけれど、
深くは考えたことがありませんでした。また、食品照射は食べても影響がないということも研究や講
義などで学んでいて、放射線がどういうものなのかも知っていたので、食品照射に対してマイナスの
イメージはありませんでした。
しゃべり場の参加者を見てみると、専門家の方や一般の方などさまざまな分野の方が参加していて、
その年齢層も幅広いことに驚きました。その方々の意見や知見を聴くことができ、大変勉強になりまし
たし、自分の視野も広がりました。
グループでの討論のときはあまり意見が言えませんでした。このときは、自分が食品照射に対してき
ちんと考えていなかったということを実感しました。しかし、これを機に食品照射についてさらに学習
し、自分なりの意見や具体的な考えを持とうと思いました。今回のこのしゃべり場は私にとってプラス
になることがたくさんあり、またこのような機会がありましたら、ぜひ参加したいと思います。
(太多由依さん)
専門家から一般の人まで様々な知識を持っている方とディスカッションできる機会というのはそ
うそうなく、とてもためになる講演でした。
その中で、照射食品に反対する方の主張としてやはり「放射線」に対する不安が根幹にあるのだと感
じました。確実な検知法がまだ確立されていないことも反対する方の柱になっているので検知法の確立
は早急な課題であると感じました。
食品照射に関して私は認可されてもよいという意見を持っていますが、今回の「しゃべり場」の中で
10 / 15
「照射食品は殺菌技術として選択肢の一つである」という意見を聞き深く賛同しました。
殺菌技術として農薬を使うのか放射線を使うのか、農薬に不安を感じる人は無農薬を、放射線に不安
を感じる人は照射していない作物を求めればいいだけであり、照射すること自体に反対する必要はない
と思いました。もちろんそのためには、この作物には絶対に照射していないということを検知する技術
が確立されていることが前提になります。ですから、現時点では照射食品に反対する方を説得すること
は難しいですが、検知法が確立された際に、皆様の行われた体験活動が選択する消費者にとってなによ
りも心強い判断材料になると思いました。
最後になりましたがこのような場を提供していただきありがとうございます。
(大学院生 坂本侑輝さん)
今回公開講座に参加し、市民が放射線をどのようなものと認識しているのか、食品に放射線を照射
することをどう感じているのか、実際に現場の声が聞けるとても良い機会となりました。
私は大学のゼミで放射線教育・食品照射について触れているため、殺菌技術として、放射線を食品に
あてることは反対とは思いませんでした。しかし、実際に照射食品が安全か否かについては、国際機関
で照射量が定められているが、消費者は危ないという印象があると思います。
放射線は次世代のエネルギーとなりうる一方、危ないものという認識があるからだと思います。
それは、初等教育の段階で、原爆や核ミサイル、被ばくなど、マイナスのイメージが強いまま、きちん
とした放射線の原理・利用を教育されてこなかったため、ネガティブな意見をもつのではないかと思い
ます。
放射線照射した食品を無理に食べる必要はありませんが、正しい知識のないまま「照射は危ない」と
考えるのは、放射線技術の進歩を否定しているのではと感じました。私は食べ物に放射線をあて、食べ
ることに関して、賛成でも反対でもありません。しかし、消費者が照射している食品または照射された
食品を選ぶかは、個人の選択の自由に任せるのであれば賛成です。放射線技術が食品にも使われ、危な
いだけではないのだということを知ってほしいと思いました。
今回私のグループの人たちは食品照射の専門家や照射検知の仕事に携わっている方、放射線技術を日
常的に活用している研究者だったため、ネガティブ意見は見られませんでしたが、消費者に今後食品照
射が認知されるようになっていけたらいいと思いました。
(高橋美江さん)
円卓会議から参加された皆さんの感想
放射線の関係者と、一般の人と、食品照射反対派やそれに近い人、その比率が事前に分からず、予
め調整することもできず、ハラハラしましたが、どうやら概ね満足してもらえたようで安心しました。
最後の質疑応答で、私にばかり質問が集まりましたが、もう尐し参加者同士で意見の応酬ができれば
よかったです。
等々力先生(食品総合研究所)
、中村先生(北海道教育大)
、市民運動家の方で尐し話が転がり始めた
あたりで時間切れになってしまいました。
今後も、できるだけこのような機会を作って、いろんな人の意見を聞いて、経験値を上げて行きたい
と思います。対象者の属性によっては課題設定型のバズセッションにしてもいいかも。
ともあれ、市川さんの練達の司会が印象的でしたね。
(小林泰彦さん)
①小林さんの食品照射の話が、よくまとまっていて、わかりやすかったです。
11 / 15
タイのソーセージが照射されていることは知っていましたが、タマリンドも照射されていたのですね。
海外の事例が豊富で、実態についてもよく理解できました。小林さんの時間が足りなかったです。4
0分くらいは必要ではないかと思いました。参加者は照射の専門家が多かったようですが、消費者団
体の方も何人かいらっしゃっていて、そういう方々にまずはきちんと状況をお伝えしないと、自由討
論で理解がまちまちになって、話がかみ合わなくなるからです。
②市川さんの体験発表ももちろん素晴らしかったです。是非、円卓会議で一回、カレーの実験、士幌見
学、高崎見学を総括してください。実際に活動している様子が生き生きしていて、よくわかりました。
市民の視点で、素朴な疑問が解きほぐされていく様子がよくわかりました。
③グループ討論は時間が足りなかったです。さてこれから、と言う時に、時間が切れてしまいました。
市川さんはあえて論点の事例をたてずに、グループに討論をお任せしたのだと思いますが、それが正
解だと思います。各グループで、討論の柱が全く異なり、面白かったです。
④全体を通してファシリテーターの市川さんが、様々な方の意見を上手に掬い上げながら、議論を進め
ていったのが素晴らしかったと思いました。帰りのエレベーターの中でも、皆さん興奮冷めやらずみ
たいで、知らない人同士が、素晴らしかったですねー、面白かったですねーとお話しながら帰りまし
た。お疲れ様でした。
(森田満樹さん)
初めての体験であり、新鮮な驚きの連続でした。
行政のリスクコミュニケーションというと、一方的な説明や質問とそれに対する回答に終始したものが
ほとんどで、参加する人・参加しない人がはっきりしているのがほとんどでした。
今回のしゃべり場は全員が参加しているという活気があるもので、参加してよかったと感じさせるも
のでした。
市川さん、小林さんの進め方もメリハリが利いており、だらだらと時間が過ぎるという感覚がまった
くありませんでした。
今回の参加者はアイソトープ・放射線研究発表会の関係者が多かったせいか、同じような意見の人が
多かったのがちょっと残念でしたが、専門家と市民が一堂に会して同じテーマを話し合うしゃべり場は、
もうちょっと違う場で継続して行えばよいと思います。
どこかの消費生活センターとタイアップして行うのも一考かと思います。
(天明英之さん)
7 月 9 日午前中から「しゃべり場」の始まる前まで、科学未来館の見学をしていました。
当日は偶然にも開館記念日で、入場無料でした。超伝導の実験や、LED の説明、地震の説明などの所で
は、修学旅行らしい中学生位の生徒たちが、身近な関心のあることでありながら、学校ではたぶん教わ
る機会がないのでしょうか、眼を輝かせて興味深そうに熱心にメモを取りながら学んでいました。
係りの人が最新の科学をわかりやすく説明してくれるのは、科学未来館のすばらしいところだと、以
前から感心していましたが、ちょっとした関心のある人たちに実物を見せながらわかりやすく説明をす
る機会を提供するのはすごく大事なことだと思います。
余談が長くなりましたが、
「しゃべり場」の私たちのグループ討議の中で、印象に残った意見があり
ました。食品照射は原子力の安全利用というような大げさな言い方をするのではなく、食品を安全に供
給する技術の一つとして、メリットを説明する必要があるというものです。
当日の会場参加者は、残念ながら専門分野として放射線を理解していらっしゃる方がほとんどだった
ようですが、一般の市民の方々は食品照射がどういう技術なのか、照射食品とはどんなものなのか、見
たことも聞いたことも、ましてや食べたこともないような方がほとんどでしょうから、科学未来館で生
徒たちが関心を持って実物を体験するような機会もなくて、小林さんの説明や市川さんらの体験報告で
12 / 15
すら聞く機会がない方ばかりだと思います。それでいてなんとなく不安がってしまう。わかってくださ
いという説得ではなくて、説明が聞けたり、実物を見たり体験できる環境・場所ができるだけ身近にあ
って、体験した人からの話も聞けるような機会がもっと必要なのではないかと、会場の雰囲気から思い
ました。
学会併設の催しとしては、そして参加者全員が意見を言えるような会の構成にされたことは、大成功
だったと思いますが、コミュニケーションの輪を広げ、一般の市民の方々に関心を持っていただくこと
が重要だと思いますので、もっと今回とは違う環境でも、同じような企画ができないものか検討できた
らと思います。
(岡村弘之さん)
とてもすばらしい企画だったと感じています。小林さんの説明、市川さんの会の進め方、絶妙でし
た。体験発表はとても身近に感じられ特によかったです。
バズセッションでは時間がもっとあったら更によかったですね。実物サンプルもあったほうがよかっ
たかも。
今回、学生さんに声をかけたのですが、「授業の時間と重なっている!」と言われて、3 名のみの参
加となりました。
是非、一般の方が参加しやすい場をつくり、コミュニケーションを広げていけたら、と思います。
(坂上千春さん)
ポスター発表を行った千葉悦子さんの感想
今年度のポスター発表に参加して
☆ポスターの反省点は
・ポスターの会場に人があまり来なかったです。
(千葉は責任時間前から午後 4 時半くらいまで、ち
ょっとした休憩以外はおりました。
)
・もともと人が尐ない割には、私や小林様と話した人は、けっこういました。照射食品を食べたこと
がある人は尐ないので、 自分が体験したことがないことについて聞くという意味で、それなりに
興味を持って頂けたようです。リスコミ推進には役に立っているようです。
・今回、円卓内では良くも悪くもポスターに盛り上がりはなかったですが、ポスター発表すれば、そ
れなりに意見・情報交換などできて、こちらも得ることはあります。つまりやっただけのことはあ
る、と私は感じております。
☆細かいことですが
・
「みかんの結果と考察」で、
「まるで缶詰のような風味となった」と書いたら「甘くなったのですね」
と複数人が口に出したので、
「そうではなく、香りというかにおいの方です」といったことを申し
ました。書き手と読み手のギャップを感じました。
表現を適切にしなくてはと、当たり前のことでしょうが感じました。
「まるで缶詰のように煮えたような風味となった」と書く方が適切と考えました。
今年は展示会場の位置の悪さ(一番遠い端っこ)もあり、見に来てくれた人の数が尐なかったです。
この「アイソトープ・放射線研究発表会」の常連参加者に対する最初のインパクトは過ぎました。
今後も発表するならば、継続と発展が求められます。
13 / 15
他のコミュニティ、たとえば家庭科教育や、食品衛生、食品加工関係などの学会に乗り込んで、
びっくりさせて回るのも面白いかもしれません。
とはいえ、本研究会でも毎回新しい人と出会えることも確実で、今後もこの学会で発表する価値は
あると思います。
(小林泰彦さん)
口頭発表を行った市川まりこさんの感想
香辛料は非加熱処理が良いという、当たり前の事を実感!
香辛料は熱に弱いので、加熱殺菌すると色・香り・風味に影響を受け易いと言われています。放射線
照射はそのような品質务化を回避できる優れた殺菌殺虫手段であり、EU 全加盟国、米国、カナダ、豪州
など、ほとんど全ての先進国で香辛料の放射線殺菌が許可され、照射されたスパイス・ハーブ類が国際
的に流通しているようです。しかし日本では、ジャガイモの芽止め以外の食品照射は法律で禁止されて
いるため、放射線殺菌した香辛料の品質の良さがどうなのかを消費者が経験する機会はありません。
そこで、私たち「食のコミュニケーション円卓会議(http://food-entaku.org/)
」では、放射線処理
したものと加熱処理したものに差があるのかないのか、自分の目で見て、においを嗅いで、実際にカレ
ーを作って、体験してみようと思い立ちました。
香辛料と言えばカレー!だからカレーで食べ比べました!
某食品会社HPによると、統計から日本人は年間 84 回ほどカレーを食べているのだそうです。つま
り、1 週間に 1 回は食べている計算です。私たちは「そもそも本当のカレーってどんなもの?本場のカ
レーって何?」と疑問でした。共同発表者である、家庭科教員の千葉さんの先輩によると「これが本当
のカレーという一つのものはなさそうで、いろいろなカレーがある。」ということでした。結論として、
高校家庭科の基礎科目の教科書に載っているチキンカレーを作ることにしました。
2009 年 11 月、過熱蒸気殺菌処理済み及び未処理の香辛料 7 種:桂皮、カルダモン、ターメリック、
コリアンダー、白胡椒、黒胡椒(以上原体)
、唐辛子粉末を入手し、未処理品の一部を原子力機構・高
崎量子応用研究所の Co-60 線源で 10 kGy 照射してもらいました。原体の香辛料は電気式フードミルで
粉砕し、目開き 1 mm のメッシュを通したものを仕上がり品とし、粉砕処理の前後で加熱品、未処理品、
照射品の 3 区について色や香りの官能評価を行いました。加熱品または照射品だけを用いて同時に並行
して調理し、11 名によるブラインド試食試験を行いました。
カルダモンや唐辛子などでは見た目の差は歴然とし、加熱品は退色や褐変が著しく、照射品は未処理
品と差はありませんでした。カレーの試食前の香りについては 11 名中 10 名が、試食中の風味について
は 11 名中 9 名が、照射品の方が加熱品より香りが強いと答えました。カレーの風味についての好みで
は、11 名中 7 名が照射品を用いた方が好きと答え、試食後の感想(自由記述)には、
「香辛料をミック
スしてグツグツ煮込んだら分からなくなるのではないかと思っていたが、食べ比べると思っていたより
差があり、照射品で作ったカレーの方がスパイシーな香りが強く感じられた」などがありました。今回
の食べ比べの結果から、全体としては放射線殺菌した香辛料の方が加熱殺菌したものより香りが良く、
照射処理した香辛料で作ったカレーの方が美味しい!これって消費者のメリットかも・・・」というも
のでした。
(詳細はガーリック通信第 5 号に掲載しています。
)
14 / 15
知らなければ想像することさえできない!
安全性に問題がなく、コストも同じなら、誰しも、より品質の良い食品や香辛料を求めるのが当然だ
ろうと思います。しかし、今の日本の消費者は、食品照射という言葉の意味もほとんど知らないという
状況です。このような中で、世界各国で実用化されている香辛料の放射線殺菌の実際についても知りよ
うがなく、ましてやその利用価値を想像することなどできていないのではないかと考えます。「食品照
射に消費者の関心やニーズはない」とよく言われていますが、本当にそうなのでしょうか?事業者や行
政の方の説明が足りていないから、消費者は関心を持てずに、ニーズもわからないままでいるのではな
いでしょうか。
食品照射体験実験から、私たちが得た実感
これまで 2 年間かけて、主婦目線で、好奇心をそのまま生かした食品照射体験実験をしてきました。
照射食品の食味体験として、牛乳・ベーコン・チーズ・ツナ缶・かまぼこ・みかん・こんにゃくゼリー・
ご飯、野菜果物などの日持ち向上について、きゅうり・ブロッコリー・カット野菜・苺・ぶどう、芽止
め効果について、ジャガイモ・にんにく等を行いました。
この体験から、私たちは、食品照射について、
「温度を上げずに低温で処理できるメリットがある」
「食
品によって、照射には向き不向きがある」「線量は多過ぎても尐な過ぎてもだめ」「魔法の杖ではなく、
既に悪くなった食品の品質を良くすることなどできない」などが納得でき、
「なるほど、おおよそこう
いうもの」という実感を得ることができました。
消費者の素朴な疑問や不安を尐しでも減らしたい・・・
日本で食品照射についての知識や情報が、消費者や食の関係者に共有化されていない現実を考えると、
食品照射のリスクコミュニケーションの前途は多難だと言わざるを得ません。より良いリスクコミュニ
ケーションのために、私たちは、食品照射の体験実験に基づいた実感をなるべく多くの消費者へ伝えた
いと願って活動を積み重ねていくつもりです。私たちのメッセージが、消費者の素朴な不安や疑問を軽
減していく一助となることを期待しています。
市川さんの発表後のフロアからの質問「次は何をやるんですか」これは本質的なところをついてい
ます。おもしろ半分で一通り体験実験してみて、まだネタは尽きないとはいえ、だいたいこんなものか
と納得して、自分なりの実感が得られた。
。。
ではこれから何がやりたいの?食のコミュニケーション円卓会議の食品照射研究班(体験実験班)の、
今後の進む方向、いろんな可能性を、ゆっくり考えてみましょう。
(小林泰彦さん)
初めての公開意見交換会「市民のためのしゃべり場」の記録・感想を掲載いたしましたが、いかが
でしたでしょうか。
開催するにあたって時間・場所・いろいろな立場の参加者を募るなど課題はありますが、「まずは
やってみること」
「一歩を踏み出すこと」
、そして次に繋げることが大切だと感じました。
今後もこのような活動を続けて行きたいと思いますので、皆様にも是非ご参加いただきたいと思い
ます。
(飯塚)
15 / 15