PowerPoint プレゼンテーション - Institutional Real Estate, Inc.

Vol 6 No 5
2014年5月
道を拓く
The Institutional Real Estate Letter
– Asia Pacific
アジアの中央銀行は経済成長を促進する
日本語 特別版
ベンジャミン・コール
一部の記事を抜粋し、日本語に
翻訳してご提供しております。
~ 特集 ~
株、債券、その他
低リターン・マルチアセットの世
界で、投資家はライアビリティ
の増大にどう対処すべきか
業界の話
コリン・ラウとの対談
Bunkyo Ward, Tokyo
パブリッシャーズ・ノート
国土は小さくとも夢は大きく
韓国の投資家は、海外大型投
資に注目している
中央銀行は常に論争の的であ
り、難解な観念上の討論を炎上
させ、計算で埋め尽くされた報告
書が結果を賞賛したり、あるいは
失敗の烙印を押したりするのを鼓
舞している。
現在、欧米とアジアでは中央銀
行の果たす役割が異なっている。
欧米、特に欧州中央銀行が幾分
下支えをしてでも物価の安定に
力を入れている一方、アジアの
中央銀行は経済成長を強調する
傾向にある。今のところ、不動産
機関投資家が絶賛しているように
見受けられる金融機関は日本銀
行である。
簡潔に言うと、日銀によるアグ
レッシブな金融緩和をはじめとす
る経済政策、すなわちアベノミク
スの効果が現れていると不動産
アナリストが評価している。
「この好景気は不動産にも波及
している。」とインベスコ・リアル・
エステート香港在勤アジアパシ
フィック不動産調査部門責任者、
トーマス・アウ氏は語る。「2013年
に日本国内における商業不動産
の取引高は、円ベースで前年か
ら倍増した。東京の不動産の利
回りは下落傾向を続けている。」
インスティテューショナル・リアル・エステート・レター・アジアパシフィックの翻訳抜粋版は、
ジョーンズ ラング ラサール株式会社より提供されています。*
ジョーンズ ラング ラサール株式会社は世界70ヵ国で包括的な不動産サービスを提供しています。コーポレートファイナンスグループでは、
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お問い合わせ:
コーポレートファイナンス: 高橋雅之
キャピタルマーケット:
水野明彦
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*掲載された内容の誤り及び掲載された情報に基づいて被ったいかなるトラブル・損失・損害について、当社は一切の責任を負いません。
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アベノミクスが資産にもたらしたプラス面での影響
の結果、不動産機関投資家にとっては、経済政策
において日銀の果たす役割は否定的に映りにくい。
実際、アベノミクスの弱点は日銀ではなくむしろ、日
本の政治制度と選出された政治家だと専門家は見
ている。日本政府は支出を増大し、日銀も通貨供給
量を拡大したが、構造改革―アベノミクス「第三の
矢」―は依然として矢筒の中である。
第三の矢はさておき、日本の不動産業界の今後の
見通しは、アベノミクスの効果と中央銀行によるアグ
レッシブな政策の恩恵を背景に、おそらく今世代
(generation)ではどの時期よりも良いと言えよう。
まつわる特有な問題に対処し得る具体的な取り組み
方の模索に加えて、不動産等、他の投資手段も考
慮している。
すでに他の投資手段を選んだ団体も出始めてい
る。米国やカナダの大型年金基金、オーストラリアの
退職年金基金、そしてアジアや中東のソブリン・ウエ
ルス・ファンドは皆、インフレ・ヘッジとして長期的リ
ターンの見込める不動産資産を検討している。この
現象は、ヨーロッパでも始まりつつある。
Collin Lau
業界の話
コリン・ラウとの対談
アレックス・エイドリン
株、債券、その他
低リターン・マルチアセットの世界で、投資家はライア
ビリティの増大にどう対処すべきか
パードレグ・フロイド
債務、特に未積立の債務は、機関投資家の不眠
の原因ともなりかねないが、賢明で長期的な計画と
効果的なアセット・アロケーションが投資家のとるべ
き正しく慎重な道と言える。
世界中で年金基金、保険会社、大学基金等が新
たな課題に直面している。
低インフレ及び低金利経済は、長期ソブリン債を
頼りとする多くの投資家(そのうち何割かは規制のた
め止むを得ず)にとって不利な状況である。利回りが
記録的な低さであることから、投資家が選択肢を考
慮する際に、資産の安全地帯という文字が辞書から
消え去って久しい。
ケンブリッジ・アソシエイツ年金部門ボストン在勤マ
ネジング・ディレクターのソナ・メノン氏は「機関投資
家は、積立不足の債務が運営にもたらすリスクに関
して、継続的に査定及び数値化しなければならない。
そうした数値を考慮に入れて、ポートフォリオ作成に
当たってどの程度のリスクテイクが可能か、あるいは
不可能か判断すべきである。」と述べている。
アバディーン・アセット・マネジメントの調査によると、
受託者やプラン・スポンサーは、各々の基金積立に
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コリン・ラウ氏は2012年に在香港のベイ・キャピタ
ル・パートナーズを設立したが、それ以前は5,750億
USドルを擁する2007年創立のソブリン・ウエルス・
ファンド、チャイナ・インベストメント・コーポレーション
(CIC)のグローバル不動産部門の責任者であった。
業界で27年の経験を誇るラウ氏が、「ザ・インスティ
チューショナル・リアル・エステート・レター – アジア
パシフィック」誌共同出版者アレックス・エイドリンと、
CIC社においてラウ氏と氏のチームが経験して来た
課題及び好機、また投資家にとっての現在の市況
について対談した。
エイドリン: 世界中のマーケットで資金が洪水のよう
に氾濫しており、結果として価格上昇につながった
が、こうした状況下で投資家はどう投資バリューを見
極めるべきか。
ラウ: この点が現在、課題となっている。ここ数年続
けられた金融緩和を背景に、不動産価格はかなり上
昇した。しかし、常にマーケットは単一なものではな
いということを強調したい。中国でさえ、不動産マー
ケットは単一ではない。
マーケットを過度に一般化した場合、好機を見極
めにくい。経済学者が投資顧問会社を経営すると、
明日の経済状況、明後日の経済状況に焦点を当て
がちになることから、その場その場で投資判断を行う
のは非常に困難となるだろう。
マーケットは常に幾分非効率的な部分を抱えてい
るものだが、それにより不動産マネジャー及びその
他のオルタナティブファンドマネジャーが投資バ
リューを見出すことが可能となる場合がある。一例で
あるが、私の仕事は年間2件程度、アジアパシフィッ
ク地域で長期的に優良なプラットフォームへと成長
するような投資の好機を見出すことである。すなわち、
私にとっては、最も信頼のおける有能な人々を見出
す機会、そしてこうしたプラットフォームを何度ものサ
イクルを通じて、単に資産としてではなく、フランチャ
イズ・バリューを見込める段階まで実際に成長させる
機会は常にあるのだ。
パブリッシャーズ・ノート
国土は小さくとも夢は大きく
韓国の投資家は、海外大型投資に注目している
アレックス・エイドリン
インスティチューショナル・リアル・エステート・インク
韓国という国は、地図上でこそ小さく見えるが、経
済規模及び国を代表する数社の企業サイズは小さ
いというにはほど遠い。韓国経済は2004年に1兆US
ドル超えを果たし、現在の経済規模は世界12位であ
る。
しかし、韓国に関して不動産業界の視点から見て
真に興味深いのは、ここ何年か韓国の投資家による
ヨーロッパ、米国、そしてアジアパシフィックへの投
資が積極的であると言う点だ。
こうした投資家にとって2014年ANREV(アジア非上
場不動産投資家協会)韓国コンファレンスは、海外
マーケットを更に学び、海外のアセットマネジャーと
知己を得る上で、良い機会となった。
全出席者に対しコンファレンスを双方向的及び
オープンなものとするため、ANREVの幹事は即時投
票システムを導入した。韓国の投資家はどのような
投 資 手 段 を 好 む か と い う 質 問 に 、 出 席 者 の 45.5
パーセントがジョイント・ベンチャー/クラブディール
を選択した。以下、直接投資が22.7 パーセント、そ
してファンドが25.8パーセントという結果となった。投
資スタイルに関する投票では、韓国の大型投資家は
コア型投資を好むと答えた出席者は51.9 パーセント
で、バリューアッド型を選択した出席者は44.4 パー
セント、そして韓国の投資家がオポチュニステッィク
型ファンドに投資する程勇敢だと答えた参加者は僅
か3.7 パーセントに留まった。コンファレンスには韓
国の投資家も参加していたが、この投票結果は多国
籍の不動産専門家達の意見を反映したものと見る
のが妥当である。
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