世界を牽引する アジア パシフィック地域

アジア パシフィック プロパティ ダイジェスト
2011年第2四半期
日本版
世界を牽引する
アジア パシフィック地域
アジア パシフィック プロパティ ダイジェスト • 2011年第2四半期 アジアパシフィック地域
アジアパシフィック地域の経済
4
アジアパシフィック地域の不動産市場
6
好況、不況、
回復、
そして次は?
8
東日本大震災による東京と大阪市場への影響
10
オフィス
東京: オフィス
12
大阪: オフィス
13
ロジスティクス
東京: ロジスティクス
14
REIT
J-REITマーケット
Cover picture: World Finance Center, Shanghai
15
アジア・パシフィック地域の経済
アウトパフォームが続く
Dr. ジェーン・マレー
アジア・パシフィック地域 リサーチ・ヘッド
自然災害、景気過熱抑制策、依然続く欧米における危機等様々
な要因から、過去数ヶ月の間に域内における経済成長は減速し
ている。2011年第2四半期のGDP成長率の速報値が発表され、
中国、
シンガポール、韓国、台湾における経済成長率はそれぞれ
前四半期を下回った。
その一因となったのは、
日本の地震とこれ
に続いて発生したサプライ・チェーンの寸断による輸出の鈍化で
あった。
しかし、
アジア・パシフィック地域のほぼ全域で企業や消
費者の景況感は依然としてポジティブであり、全体的な経済活動
の水準は引き続き堅調である。一部先進国における成長率の改
善と新興国における力強い成長の継続により、
年末にかけて域内
における経済成長は加速する見通しだ。
PMIはここ2年来最低となっている。
中央銀行は4月に始まった本
年度のGDP成長率予想を8.0%増に据え置いているものの、大き
なインフレ圧力を生ずることなく現在の経済成長率を持続できる
かを懸念している。
インドネシア:2011年第2四半期のインドネシアにおける経済
成長率は、輸出と投資の好調から前年同期比6.5%増と、前四半
期と同水準となった。GIは、主な要因を旺盛な国内需要として、
2011年の経済成長率を6.3%増、2012年も同水準と予想してい
る。
日本:3月の地 震と津 波による生 産と輸出の混 乱を受けて、
2011年第1四半期の実質GDP成長率は前年同期比1.0%減の
先進国と新興国の成長率の差
マイナス成長となった
(前四半期は同2.2%増)。直近のデータは
中国:2011年第2四半期の実質GDPの成長率は9.5%増と、 震災からの復興が進んでいる状況を示している。6月の生産は前
2011年第1四半期の9.7%増から僅かに減速した。直近のデー 年同月比1.6%減と、急減を記録した前月の同5.5%減からは改
(前月は同
タは2011年第3四半期に成長率が減速する可能性を示してい 善しており、小売売上高は前年同月比0.5%増となった
1.3%減)
。
GIは、
日本経済は今年1.2%減とマイナス成長した後、
るが、政府の景気過熱予防策が続いているため、大幅な落ち込
みはないだろう。例えば、購買担当者指数(PMI)
は7月に若干下 来年は復興努力により4.5%増と力強く回復すると予想している。
落したものの、依然として製造業セクターが拡大していることを
オーストラリア:オーストラリア経済は、
クイーンズランド州におけ
示している。同様に、輸出も6月に減速した。
しかし、同月、小売売
る洪水の影響により、小売販売の成長率がトレンドを大きく下
上高は前年同月比17.7%増と、5月の同16.9%増から加速してい
回り、鉱物資源の輸出が混乱したことから、2011年第1四半期
る。IHSグローバルインサイト(GI)
は、主に個人消費と投資の好
は1.2%減と急速にマイナス成長した。押し並べて、第2四半期に
調が継続することを要因として、
中国の経済成長率を2011年は
GDP成長率がプラスに転ずると見られている。GIは、鉱物資源と
9.4%増、2012年は8.5%増と予想している。
農産物の輸出、関連する投資支出に支えられ、通期の経済成長
インド:インドにおける経済成長率は、製造業と農業の生産が若 率は2.1%増、2012年は同4.0%増と予想している。
干減速したことから、2011年第1四半期は前年同期比7.8%増(
2010年第4四半期は同8.3%増)
となった。直近の製造業関連デ
ータは、同セクターが更に減速している状況を示しており、7月の
図表1: 実質GDP成長率
シンガポール:4・5月のデータから算出した予想では、2011年
第2四半期の経済成長率は前年同期比わずか0.5%増へと減速
している
(2011年第1四半期は同9.3%増)。
ここ数カ月、製造、輸
図表2: 消費者物価
10
18
8
15
6
12
前年比 (%)
4
2
6
3
0
出所: IHSグローバルインサイト
出所: IHSグローバルインサイト
日本
台湾
マレーシア
オーストラリア
タイ
韓国
シンガポール
2012年予測
ニュージーランド
2011年予測
フィリピン
香港
中国
インドネシア
–3
インド
日本
オーストラリア
タイ
シンガポール
マレーシア
韓国
フィリピン
2012年予測
ニュージーランド
2011年予測
台湾
香港
ベトナム
インドネシア
インド
0
中国
–2
9
ベトナム
前年比 (%)
アジア・パシフィック地域の経済
アジア パシフィック プロパティ ダイジェスト • 2011年第2四半期
各国の主要経済指標
GDP (%)
短期金利 (%)
CPI (%)
失業率 (%)
2011年
予測
2012年
予測
2011年
予測
2012年
予測
2011年
予測
2012年
予測
2011年
予測
2012年
予測
中国
9.4
8.5
6.5
6.8
5.4
3.5
4.0
香港
5.6
5.4
0.2
1.0
4.9
3.8
台湾
4.9
5.7
1.2
1.9
2.1
2.4
日本
–1.2
4.5
0.2
0.3
0.3
韓国
4.1
4.8
3.5
4.6
4.0
フィリピン
4.9
5.1
1.9
3.4
シンガポール
3.8
5.1
0.4
マレーシア
4.0
4.8
3.0
タイ
3.8
5.0
インドネシア
6.3
6.4
実質個人消費 (%)
鉱工業生産 (%)
2011年
予測
2012年
予測
2011年
予測
2012年
予測
3.8
8.2
8.2
13.4
12.2
3.5
3.2
6.0
5.0
NA
NA
4.3
3.9
4.0
3.8
11.3
12.5
–0.6
4.6
4.3
–1.7
2.6
–2.4
17.3
2.1
3.6
3.6
3.3
6.4
7.6
4.0
4.6
4.5
7.5
7.6
5.3
5.4
8.0
6.5
1.0
4.3
2.9
1.8
1.8
4.4
4.3
2.4
6.8
3.4
3.2
3.0
3.2
3.0
6.1
5.5
1.5
4.5
2.7
3.5
3.9
4.0
0.8
0.9
3.7
4.1
–0.3
4.4
6.9
7.0
5.4
5.0
6.7
6.5
4.7
5.2
4.3
4.3
ベトナム
6.0
6.8
15.5
7.5
16.8
7.1
2.7
2.3
6.6
7.0
13.0
11.0
インド
7.9
8.4
9.5
10.7
8.2
7.3
9.4
9.3
5.9
6.8
5.4
6.4
オーストラリア
2.1
4.0
5.1
5.6
3.4
2.7
4.9
4.7
2.8
3.9
–1.4
3.9
ニュージーランド
1.2
4.0
2.7
3.8
4.2
2.7
6.4
5.6
1.7
3.0
1.8
3.1
世界
3.3
4.0
3.3
3.9
4.0
3.2
8.3
8.0
2.6
3.2
4.4
5.7
出所: IHSグローバルインサイト、2011年7月
出、
サービス関連で減速が見られた。政府は、外部需要と個人消
費を要因として、2011年の経済成長率を5~7%増と予想してお
り、
これは2000~2009年の平均である5.2%増を若干上回る値
である。
香港:2011年第1四半期に経済成長率は前年同期比7.2%増
と、過去10年間の平均である4.1%増を大幅に上回った。6月は
小売売上高が前年同月比28.8%増と、大幅に伸びている。政府
は2011年の通期予想を上方修正し、個人消費と輸出の好調を
要因として、5~6%増の経済成長率を予想している。
行っており、直近では7月に50bpの利上げを実施した。ベトナム
は600bpの利上げを行っている。2010年第4四半期始めより、
中国は利上げ(合計100bp)、銀行の預金準備率引き上げ(合計
450bp)、2軒目以降の住宅購入の頭金比率引き上げ、
いくつか
の都市における試験的不動産税導入を含む様々な景気過熱抑
制策を実施している。
シンガポールは2011年第1四半期に住宅
不動産市場の過熱防止のため追加的な措置を実施し、香港は
2011年第2四半期に住宅ローンの貸出要件を更に厳格化した。
域内経済は年末までに再加速
韓国:主に輸出の減速が要因となり、実質GDP成長率は2011年
欧米のソブリン債務危機、商品価格の高騰、多くの先進国におけ
第1四半期の前年同期比4.2%増から2011年第2四半期に る消費者景況感の低迷を受けて、世界経済が抱える問題は深刻
同3.4%増へと減速した。中央銀行は2011年の経済成長率を 化している。
しかし、企業業績の好調や日本における震災による
4.3%増と予想しており、
主な要因は輸出と個人消費となっている。 混乱や影響の緩和等の要因から、2011年下半期には経済成長
率が改善する見通しである。
金融引き締め政策が続く
アジア・パシフィック地域の経済は、域内の新興諸国における経
アジア・パシフィック地域の多くの国々で、
インフレ圧力が高止ま
済成長の継続のみならず、
日本やオーストラリアを含む先進国に
りないし加速している。6月の中国のCPIインフレ率は前年同月比
おける経済回復が予想されることから、2011年の残りの期間も
6.4%上昇、
インドの卸売物価指数は同9.4%増加した。域内にお
アウトパフォームが続くだろう。GIは現在、2011年のアジア・パシ
けるほぼ全ての中央銀行が利上げその他の引き締め政策を実施
フィック地域の経済成長率を4.6%増と予想しており、
これはアジ
中であり、一層の引き締めが行われる可能性が高い。
目立った例
ア・パシフィック地域を除く世界の経済成長率の3%増を大幅に
外は、7月に250億ドルの追加的景気刺激策を承認した日本と、
上回っている。2012年については、投資と個人消費の増加を要
3月に50bpの利下げを実施したニュージーランドとなっている。
因として、域内における経済成長率は6.5%増へと加速する予想
である。
オーストラリア、韓国、
マレーシア、
タイでは現サイクル中に政策金
利を100~200bp引き上げている。
インドは300bp超の利上げを
アジア・パシフィック地域の経済
アジア パシフィック プロパティ ダイジェスト • 2011年第2四半期 アジア・パシフィック地域の不動産市場
アジア パシフィック プロパティ ダイジェスト • 2011年第2四半期
アジア・パシフィック地域の不動産市場
堅調な稼働率
アジア・パシフィック地域における不動産市場は、
ほとんどの不動産
市場において企業の業況と消費者の景況感が明るいことを要因とし
て、
ファンダメンタルズの改善が続いている。
2011年第2四半期に稼
働率は域内全域で若干向上、
一方で企業によるスペース需要は一
部市場で落ち着いてきている。
賃貸市場はオーナー優位に転じつつ
あり、
少数の例外を除いては、
賃料の上昇が続いている。
価格の上
昇モメンタムは減速し始めているが、
今後も上昇は続くものと思われ
る。
賃料の上昇傾向が定着
オフィス・セクター:2011年第2四半期、
アジア・パシフィック地域
のTier1都市で130万㎡のAグレードスペースが供給され、
その約
60%が中国とインドにおいて竣工した。
オフィス・スペースの合計ネッ
ト・アブゾープションは140万㎡、
前年同期比約30%の増加と大幅に
改善し、
2010年第3四半期と第4四半期に見られた四半期記録であ
る150万㎡をわずかに下回るのみである。
主要金融センターのうち、
香港とシンガポールで賃貸活動が減速した。
域内の他の都市では
テナント需要は全般的に安定しているが、
インド市場では加速してい
る。
2011年第2四半期に多くの市場において賃料が一層上昇したもの
の、
そのペースは全体的に鈍化している。
正味実効賃料が前四半期
比で最も上昇した市場は北京とジャカルタであり、
両市場とも空室
率が急速に低下する中、
約15%の賃料上昇がみられた。
香港とシン
ガポールでは、
主に金融機関の業務拡大が鈍化したこと、
解約が発
生したことを要因として、
賃料上昇率はそれぞれ前四半期比6.6%と
1.7%へと減速した。上海の賃料は、多国籍企業や国内企業の旺
盛な需要に牽引されて4.6%上昇した。
東京の正味実効賃料は、
賃
料の下落が続く中、
レント・フリー期間が変化しなかったため、
更に
0.4%下落した。
テナント需要の低迷が続く他のいくつかの市場で
は、
賃料は安定化
(台北等)
ないし若干下落
(ソウル、
クアラルンプー
ル、
バンコク等)
している。
リテールセクター:リテールスペースに対する需要は、多くの市場
において労働市場と消費者景況感の好調を受けて旺盛であり、
特
に中華圏で賃貸活動が好調となっている。
オーストラリア、
インド、
お
よび一部東南アジア市場における小売業者はより慎重な姿勢を示
している。
当四半期に賃料は全般的に安定ないし上昇、
中華圏の
Tier1都市が上昇を牽引した
(前四半期比2~4.5%上昇)
。
今後数四
半期に渡り、
ほとんどの市場で賃料は一層上昇する見通しだが、
イン
ドは各都市で需給バランスが大きく崩れているため出遅れるだろう。
2012年には、
各市場で少なくとも5%の賃料上昇が見込まれ、
香港
と一部中国本土市場がこれを牽引するだろう。
住宅セクター:2011年第2四半期の高級住宅市場の賃貸活動は概
ね安定し、
北京、
上海、
ジャカルタでは若干改善した。
同様に、
賃料も
全般的に安定ないし1~2%上昇、
北京、
マニラ、
ジャカルタでは賃料
が前四半期比最大5%上昇した。
2012年中、
ほとんどの市場におい
てより緩やかな賃料上昇が見込まれる。
インダストリアルセクター:域内のインダストリアル市場は、
貿易の減
速にもかかわらず2011年第2四半期も堅調となった。
中華圏では賃
料上昇が続いたが、
オーストラリアではほぼ横ばい、
従来型工業スペ
ースの賃料上昇率が最大となったのはシンガポールであった。
今後
18カ月間、
中核都市で緩やかな賃料上昇が予想されている。
不動産価格の上昇が続く
2011年第2四半期の商業用不動産の投資総額は190億米ドル、
前
年同期比11%増となった。
投資総額は前四半期比約30%減と、
日本
の震災を要因として通常の季節要因による減少よりも大きな減少と
なっている。
2011年第2四半期に中国は日本を抜いて域内最大の市
場となり、
投資総額の25%を若干上回る比率を占めた。
日本における
取引が再度活発化し始めているため、
中国の首位は長く続かない可
能性がある。
前年同期比ベースでは、
中国、
オーストラリア、
シンガポ
ールにおいて取引総額が100%超増加している。
世界の金融情勢は
一層不安定感を増しているものの、
アジア・パシフィック地域におけ
2011年下半期には賃料が一層上昇すると予想しているが、
香港、 る堅調な経済ファンダメンタルズが不動産投資を下支えするため、
域
上海、
北京については2011年上半期のペースから減速するだろう。 内への投資総額は2011年中に1,000億米ドルに達すると予想され
2011年下半期に10~15%と最大の賃料上昇率が予想される市場 ている
(2010年比15~20%増加)
。
は北京で、
香港、
シンガポール、
上海、
ジャカルタの5~10%がこれに
当四半期、
多くのオフィス市場で価格は安定ないし上昇したが、
東京
続く。
東京の賃料は2011年末まで調整が続くだろう。
ソウルとクアラ
とソウルが主な例外となった。
四半期ベースで最大の上昇率を記録
ルンプールを含む他のいくつかの市場では、
需要低迷ないし供給過
した市場は北京
(17.1%上昇)
とジャカルタ
(14.7%上昇)
で、
いずれ
多を要因として、
賃料は横ばいまたは下落が見込まれる。
2012年に
の市場も賃料についても最大の上昇率を示した市場であった。
ほと
ついては、
中華圏のTier1都市が賃料上昇を牽引し続けると予想す
んどの市場でファンダメンタルズ改善が続く中、
短・中期的に価格は
る。
東京の賃料は上昇に転じ、
インドでは上昇率が加速すると予測
一層上昇することが見込まれる。
2012年については、
中国、
ジャカル
するが、
シンガポールの上昇率は恐らく減速するだろう。
プロパティ クロック
Aグレードオフィス
プライムリテール
Singapore
Guangzhou
Hong Kong,
Singapore
Shanghai
賃料上昇の減速
賃料下落の加速
賃料上昇の加速
賃料下落の減速
Beijing
Osaka, Ho Chi Minh City
Canberra
Sydney
Kuala Lumpur
Bangalore^
Bangkok
Mumbai^
Tokyo, Auckland
Taipei
Chennai
Brisbane, Delhi^
高級住宅
賃料上昇の減速
賃料下落の加速
賃料上昇の加速
賃料下落の減速
Manila
Seoul
Manila, Perth
Beijing, Adelaide
Jakarta, Melbourne
^ CBD & SBD
Hong Kong,
Guangzhou
Shanghai
Melbourne, Kuala Lumpur,
Bangkok
Sydney
Bangalore
SE Queensland
Jakarta, Mumbai Auckland
Delhi, Tokyo
*For Prime Shopping Malls
インダストリアル
Singapore
Hong Kong
賃料上昇の減速
賃料下落の加速
Shanghai
賃料上昇の加速
賃料下落の減速
Bangkok
Beijing, Manila
Singapore
(High-Tech &
Conventional)
賃料上昇の減速
賃料下落の加速
Hong Kong
賃料上昇の加速
賃料下落の減速
Beijing
Kuala Lumpur
Shanghai
Sydney
Melbourne
Brisbane
Jakarta
*For High-end Residential Properties
タ、
東京の上昇率が最大となるだろう。
過去2年間、
全域で大幅な利
回り低下が見られたため、
これ以上の低下の可能性は比較的限られ
ている。
市場は上昇局面を進行
地域経済と世界経済は依然として様々なリスクに直面しているもの
の、
アジア・パシフィック地域はこうした課題を乗り越える比較的優
れた位置づけにある。
不動産市場のファンダメンタルズは地域にお
ける経済のアウトパフォームの恩恵を受け続けると確信している。
2011年下半期に多くの市場で賃料上昇が続く見通しだが、
ペース
はより緩やかとなるだろう。
回復が遅れた市場は、
2012年以降賃料
上昇が加速するだろう。
価格の上昇は、
短期的には概ね賃料並みと
予想されるが、
ほとんどの市場の住宅価格は依然として大きな政治
リスクを抱えている。
Tokyo
*Business Parks (Singapore)
Logistics Space (Hong Kong, Shanghai, Beijing, Tokyo Bay Area)
筆者
Dr.ジェーン・マレーは1998年に
Jones Lang LaSalle に入社し、
2005年4月、
アジア・パシフィッ
ク地域リサーチ・ヘッドに就任。
世界60カ国以上の約300名の専
門家チームのうち、同地域所在の
140名以上の専門家を統括して
いる。
アジア・パシフィック地域のリサーチチームは、地域に所在す
る主要不動産市場の調査・分析・予測、
コンサルティング、特定
のトピックについての論文や定期刊行物の発行等のサービス
を提供して、当社クライアントの投資戦略の策定を支援してい
ます。
アジア・パシフィック地域の不動産市場
アジア パシフィック プロパティ ダイジェスト • 2011年第2四半期 アラステア ヒューズ アジア・パシフィック地域CEO
アジア パシフィック プロパティ ダイジェスト • 2011年第2四半期
好況、不況、
回復、
そして次は?
循環的特性の高い不動産市場では、市況を表す標語に事欠か
ない。2007年は
「好況」、2009年は
「不況」、2010年は
「回復」
が
キーワードとなった。
しかし、今年のアジア・パシフィック地域の不動産市場を一言で
表現することは難しい。
日本やオーストラリア等の
「成熟」市場は、地震や洪水による一過
性のショックが景気に影響している。2010年に回復期を迎えた
香港やシンガポール等の
「ゲートウェイ」市場は
「一服」
しているよ
うである。中国、
インド、多くの東南アジアの市場は依然として非
常に好調である
(各国政府はインフレ抑制のため速やかに緊縮
財政を導入している)。
一方、
アジア・パシフィック地域の経済の背景では、北米やヨーロ
ッパの一部経済の芳しくない話題が続いている。
アジア・パシフィ
ック地域においてコンフィデンスを維持する最善の方法は、域内
からフィナンシャル・タイムズ紙、
ウォールストリート・ジャーナル
紙、
エコノミスト誌を締め出すことではなかろうか。世界各地に多
くの不確実要因があることには議論の余地はない。
しかし、
当社
のアジア・パシフィック地域スタッフ20,000名が、域内各地でクラ
イアントの事業を支援するべく日々奔走していることは、
当四半期
の売上高からも明らかである。
過去3カ月間に、
当社は米国のプライベート・エクィティ企業によ
るシドニーのオフィス取得(6億米ドル)、
グローバル企業によるデ
リーのプライム・エリアの土地売却(1億米ドル)、
インドネシアの
富裕層によるロンドンのプライム・エリアの不動産取得(5億米ド
ル)、
カナダの年金基金によるメルボルンのリテール物件取得(
5億米ドル)、
日本のファンドによるホーチミン市の不動産取得(
6,000万米ドル)、韓国の小売業者によるジャカルタ不動産の取
得(2億5000万米ドル)、
わずか5日間で行なわれたマカオの住宅
300戸の売却(1億8,000万米ドル)
を含む多数の売買取引を支
援した。地元市場と国際市場を結び付ける当社の能力が、数々の
クライアントのお役に立っている。
また、
当四半期中、
オーナーやテナントのご要望にお応えして、成
都、バンガロール、
アデレード、
ソウル等、域内各地で支援した賃
貸取引は約1,100万平方フィートに及ぶ。例を挙げると、
シンガポ
ールでは3件で合計50万平方フィート超のオフィス・スペースの
賃貸借契約締結を支援した。
ジャカルタでは、84万平方フィート
超のリテール物件の賃貸借支援を行い、
中国では400万平方フ
ィートの瀋陽国際ソフトウェアパークの売却と賃貸について、共
同代理人に任命された。
アラステア ヒューズ アジア・パシフィック地域CEO
アジア パシフィック プロパティ ダイジェスト • 2011年第2四半期 また、
クライアントが効率性とリターンの最大化を求める中、
ア
ジア・パシフィック地域における当社の管理ポートフォリオは8億
5,000万平方フィートに成長しており、将来予測が難しい環境下
で、
「 上海万博」の跡地利用、
「 香港ジョッキークラブ」の再開発
案件、年初来最大規模のIPOとなった
「上海市医薬」
の保有する
不動産等、数百件の戦略的不動産投資についてアドバイスを提
供している。
ズや、
これがアジア・パシフィック地域の不動産市場に与えるプラ
スの影響に賭けないことは難しい。
2011年下半期を一言で表すとしたなら、個人的には
「忙しい」
が
妥当であろう。来期にアップデートをご提供する。
このように、景気の先行きについての予想は様々であるが、市場
では多くの取引が行われている。
当社クライアントであるテナント企業は、
コストベースをあまり上げ
ることなく、堅実な事業拡大を求めている。生産性を最大化しつ
つ、不動産関連では
「スマート」
な意思決定を望んでいるのであ
る。
他方、投資家は今や不動産に
「割安」
ではなく
「価値」
を求めてお
り、不動産市場は川の流れのようなものであり一方向に一定の
速度で流れているように見えても、実際には多くの深みや渦、逆
流を乗り切らなければならないことを理解している。
回復への道のりは決して平坦ではなかろうし、必ず反転期を伴う
ものだが、人口構成、経済成長、
テナント需要のファンダメンタル
アラステア ヒューズ
アジア・パシフィック地域CEO
東日本大震災による東京と大阪市場への影響
10 アジア パシフィック プロパティ ダイジェスト • 2011年第2四半期
東日本大震災による東京と大阪市場への影響
大東 雄人
マネージャー、リサーチ&アドバイザリー
2011年から本格的な回復が期待されていた日本の不動産市場
は、3月11日に起きた東日本大震災によってそのシナリオは大きく
崩れたように見えた。
しかし震災から1四半期が過ぎ、
その影響は
限定的であることが見えはじめた。直近に公表されている経済指
標や各企業の生産ラインの回復目途は当初の予想を遥かに上
回っている。
また6月の日銀短観でも、大企業製造業の景況感は
マイナス9ポイントに落ち込んだが、先行き3ヶ月の業況判断はプ
ラス2ポイントとなっており、原子力発電所による放射能の影響や
電力不足による経済活動への抑制は今夏をボトムに秋口には回
復すると期待されている。
な関係を築くチャンスといえる。従って2011年中の賃料水準は
弱含みが予想されるが、
ひとたび上昇に転じれば継続的な回復
が期待され、
テナント需要の回復も2012年以降に本格化すると
考える。
震災、電力不足、原発の懸念とテナント需要を押し下げる要因は
様々であるが、東京Aグレードオフィス市場には、賃料下落余地
はあまり残されていない。
しかし復興に向けて互助の機運が高ま
る現在の状況下では、
オーナーも露骨な賃料引き上げを行うこと
は賢明な選択ではなく、
むしろ中長期的な観点でテナントと友好
不動産投資市場
不動産賃貸市場 - 大阪市場(CBD)
大阪CBD 2のAグレードオフィス市場においては震災の被害は
皆無といえる。割安となったAグレードビルにテナントが移転・拡
張する動きは以前から継続していたが、今後もこのような需要は
加速することが予想される。
ビジネスにおいてはこれまで東京一
極集中が続いていたが、今回の震災後はBusiness Continuity
不動産賃貸市場 - 東京市場(CBD)
Plan(BCP)3が見直されている。
このため、東京一極化から東京
1
東京CBD のAグレードオフィス市場では震災による直接的な被 プラス1という戦略を取る企業も現れており、
その中でも真っ先に
害は見られなかったが、
テナントは耐震性を再認識しつつある。 候補に挙がってくるのが大阪である。
特に最新の建築技術を用いた大型ビルへの需要が増えており、
供給面では2011年、2012年はごく限られており、
テナントによ
建築年数が古く耐震性の劣るビルはテナントから敬遠されつつ
る現在の大阪市場への見直しが今後も継続するようであれば
ある。
また、今夏をピークとする本格的な電力不足によって使用量
2013年の大量供給の影響も軽減されるであろう。
また、大阪駅
が制限されることで、
自家発電設備を持つ一部競争力を有するビ
南北の通行はこれまでアクセスが不便だったが、再開発の一環と
ルはますますテナントを集めている。実際、震災前にまとまった空
して新しい連絡橋が設けられることで利便性が格段に向上した。
室を抱えていた六本木ヒルズ森タワーも東京電力に余剰電力を
そして2013年に竣工のグランドフロント大阪(大阪北ヤード)が
提供するなど独自のエネルギープラントが再評価されており、現
一体となることで大阪のオフィスエリアの魅力が向上することが
在ほぼ満室状態となっている。
期待される。
さらに、
グランドフロント大阪のホテル部分には関西
東京CBDの今後5年間の新規供給は、震災の影響で需要が落 初進出となるインターコンチネンタルの入居も決定しており、外資
ち込んでいる2011年は極めて限定的である。
その後の回復期に 系企業を呼び込むインフラは着々と進みつつある。
は過去10年平均とほぼ同水準の供給が計画されているため、需
需要面では押し上げ要素があるものの、2007-2008年の賃料サ
給バランスにおいて大きな懸念材料は見当たらない。2012年の
イクルのピークに満室稼動で竣工した物件は、現在も賃料が高
供給は360,000sqmと過去10年平均の270,000sqmを上回る
止まりしており下落余地が残っている。
また、2013年の大量供給
数字であるが、
プロジェクトの過半は大手町・丸の内のプライムエ
を消化するまでは全体的な賃料水準は調整が続くと考える。従っ
リアに集中する再開発であり、
テナント誘致も順調に進んでいる
て2011年、2012年は下落が続くものの、2013年には底を打つと
ためCBD内においては巷でいう大量供給問題は発生しないと見
予想している。
込まれる。
1
ジョーンズ ラング ラサールでは千代田・中央・港区の3区を定義している。
2
ジョーンズ ラング ラサールでは中央・北区の2区を定義している。
3
Business Continuity Plan(BCP)=事業継続計画
震災直後は完全に停止した海外投資家の活動も着実に日本市
場に戻りつつある。一部例外が国民感情やメディアが原子力に
対して激しく反対しているドイツであり、
自国内での説明責任が生
じるため
「フクシマ」
の問題が解決するまでは投資活動を再開す
図 1: 東京Aグレードオフィス供給と賃料
700,000
東日本大震災による東京と大阪市場への影響
アジア パシフィック プロパティ ダイジェスト • 2011年第2四半期 11
図 2: 大阪Aグレードオフィス供給と賃料
50,000
200,000
20,000
40,000
160,000
16,000
120,000
12,000
600,000
過去10年平均の
供給レベル
20,000
新規供給 (m2)
300,000
80,000
8,000
過去5年平均の
月額賃料(坪/円)
30,000
400,000
月額賃料(坪/円)
新規供給 (m2)
500,000
供給レベル
200,000
40,000
10,000
4,000
100,000
0
03
04
供給
05
06
07
08
09
10 11F 12F 13F 14F 15F
0
0
賃料
出所 :ジョーンズ ラング ラサール
るのが困難になると予想される。一方で中国や香港の投資家は
震災後に放出される物件を割安で取得する機会を耽々と伺って
おり、震災後は海外投資家の顔ぶれが一変している。投資家属
性ではコア投資家は長期的なリスク管理の観点から投資に踏み
切れないケースが見られるが、短期的な結果を求めるオポチュニ
ティ投資家は活発に投資機会を探すという状況になっている。海
外投資家が様子見、
もしくは取得を先送りしている現状の市場で
は、震災以前と比べて物件取得競争率は下がっており、国内で
継続的に物件取得・運営を行うJ-REITを含めた既存の国内プレ
イヤーにとっては有利な状況といえる。
まとめ
以上の考察から東京、大阪市場ともに震災による影響は限定的
だといえる。
むしろ東京のAグレードビルや大阪の大規模なプロ
ジェクトにおいては逆にテナント需要を集める結果となっている。
一部競争力の劣るビルでは電力バックアップ設備をオーナー負
担で設けるケースも見られており、
テナント需要の変化を鋭く読
み取っているオーナーは素早く対応している。投資市場において
04
05
供給
06
07
08
09
10 11F 12F 13F 14F 15F
0
賃料
出所 : ジョーンズ ラング ラサール
もこのようなプライムアセットをいかに取得するかが成否の鍵を
握っており、今後の需給バランス、
マーケットの変遷を注意深く観
察しなければならない。
そのための正確なデータ、緻密な分析が
不可欠であり、
より一層迅速な判断が求められる。
著者
ボストン大学大学院卒業後、米国
にて不動産賃貸仲介に従事。帰国
後、
国内事業会社で企業財務分析・
株式市場調査業務を経て、現在
ジョーンズ ラング ラサールで不動
産市場の調査・分析及び情報提供
サービスを行っている。
東京: オフィス
•東日本大震災の発生以降、
「質への逃避」
の動き
•賃料は前期比0.4%の下落と横ばい圏内で推移
•震災による取引遅延のため、取引総額が大幅に減少
賃料と価格のインデックス
140
120
需要
100
80
60
40
2006年第 2007年第 2008年第 2009年第 2010年第 2011年第
4四半期 4四半期 4四半期 4四半期 4四半期 4四半期
第2四半期の空室率は5.7%となり、前期比0.2ポイント低下した。2010年第3四
半期以降低下傾向で推移し、需給の均衡を示すとされる4-5%の水準に接近して
いる。第2四半期のネットアブゾープションは55千㎡となり、前四半期の9千㎡か
ら大幅に増加した。主な要因は新規供給「飯野ビルディング」
の満室稼動である。
また、東日本大震災に起因する電力不足に関連して、
自家発電設備を設置した
「
六本木ヒルズ森タワー」等において空室が減少している。
震災の影響により、高耐震性能や自家発電装置を設置したハイスペックのオフィ
スビルの潜在的需要が増加している。
インデックス: 2006年第4四半期 = 100
出所: ジョーンズ ラング ラサール
供給
第2四半期は官庁街の内幸町に
「飯野ビルディング」(延床面積: 104千㎡; 貸床
面積: 49千㎡)が竣工し、
ストックは前期比1.2%の増加となった。
テナントに双日、
かんぽ生命保険、
川崎汽船を迎え、満室稼動した。
空室率
600
8
450
6
300
4
150
2
0
2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年
東京CBDのストックは、上半期に2010年末比1.5%増加した。下半期に新規供
給は予定されていない。2011年の新規供給は前年比35%程度、過去10年平均
比20%程度と、控えめな水準である。
%
千m2
東京: オフィス
12 アジア パシフィック プロパティ ダイジェスト • 2011年第2四半期
0
出所: ジョーンズ ラング ラサール
2006年から2010年のネット・アブゾープション、
供給、
空室率は
年末時点の数値。
2011年については、
ネット・アブゾープション
と供給は上半期末時点の数値を示し、
供給予定は2011年下半
期の数値を示す。
第2四半期に着工した開発案件には、2013年6月竣工予定の
「21・25森ビル建
替計画」(延床面積: 55千㎡)と2014年6月竣工予定の
「飯田橋西口地区第一種
市街地再開発事業」(業務・商業棟延床面積: 123千㎡)がある。
賃料・価格動向
第2四半期の賃料は月額坪当たり27,407円となり、
前期比0.4%の下落、
前年同期
比4.3%の下落となった。
13四半期連続の下落基調となったものの、
下落幅が一段
と縮小した。
一方で、
2010年第3四半期以降フリーレント期間は短縮傾向にある。
東日本大震災を受けて、投資家の多くが資産取得をいったん中止した為、投資
市場の取引事例は大幅に減少した。第2四半期末時点の価格は前期比0.4%の
下落、前年同期比3.0%の上昇と横ばい圏内の動きとなり、利回りは3.6%と前期
比横ばいとなった。
見通し(12ヶ月)
日本経済は第2四半期までマイナス成長した後、東日本大震災の復興需要を追
い風に2011年下半期から2012年にかけて力強く成長する見込みである。
賃料
月額賃料
27,407 円/坪
クロック フェーズ*
賃料下落の減速
直近の賃料ピーク
以降の経過期間
13 四半期
* 7ページのプロパティ クロックのフェーズを示す
見通し
(12ヶ月)
賃料
価格
2011年第3四半期から2012年第2四半期に予定されている新規供給は9案件
361千㎡である。
これは過去10年平均を30%程度上回る規模であり、約70%が
丸の内・大手町サブマーケットに集中している。
しかし、国内金融機関等の需要を
受けて成約率は上昇しており、
また、大地震以降、
オフィスの選択基準が変化し、
「質への逃避」
がみられることからハイスペックビルの潜在的需要が増えている。
したがって、賃料は今後横ばいで推移した後、緩やかな上昇基調に転じると予測
する。賃料の上昇を織り込み、価格は賃料の上昇に先行して上昇基調に転じ、利
回りは低下する見込みである。
注:本レポートは、都心3区(千代田区、
中央区、港区)に立地するAグレードオフィスマーケットについて纏めて
いる 。
アジア パシフィック プロパティ ダイジェスト • 2011年第2四半期 13
大阪: オフィス
近畿地域の景気は東日本大震災の影響が一部にみられるものの緩やかな回復
基調にある。
こうした中で、大阪CBDに所在するAグレードオフィスマーケットの
空室率は7.9%となり、前期の7.4%から上昇した。
ネットアブゾープションは-8千
㎡となり、前期の53千㎡から大幅に減少しているが、
これは新規供給がなかった
ことに加えて、統合や館内縮小が新規需要を上回った為である。
また、個別のオフ
ィスビルでみると、賃料のピークであった2008年に竣工した物件では、契約の満
了を契機にした移転が空室増加の要因となっている。
供給
2011年の新規供給は第1四半期に竣工した
「本町南ガーデンシティ」
と
「ノース
ゲートビルディング」のみであり、
ストックは前年末比4%増加した。当四半期以
降、2012年第4四半期まで新規供給は予定されていない。
賃料・価格動向
2011年第2四半期の不動産価格は前期比1.3%の上昇、前年同期比0.3%の下
落となり、
ほぼ横ばいの状況を示した。利回りは5.2%と前期比横ばいで推移し
た。Aグレードオフィスの売買事例は確認されなかった。
見通し(12ヶ月)
近畿地域金融経済概況によると、東日本大震災発生にともなう各種影響のうち
サプライチェーンの障害は着実に修復されつつあるが、先行きについては、電力
の供給不安の影響が懸念される。
2011年の新規供給は前年の40%程度と控えめな水準である。
また、2011年第
3四半期から2012年第2四半期の間に新規供給は予定されていない。
したがっ
て、供給による空室率の上昇は限定的であると予測される。一方、震災以降、事
業継続計画に関連して大阪支店増床の動きがみられているため、今後こうした
需要が顕在化してゆくであろう。
したがって、空室率は低下基調で推移するであ
ろう。賃料は、
いったん反転したものの、2013年に控えた大量供給が要因となり、
力強い上昇基調を回復するにはいたらず、今後緩やかな下落基調で推移するで
あろう。投資利回りが概ね横ばいで推移することから、価格は緩やかな下落基調
で推移するであろう。
120
100
80
60
40
2006年第 2007年第 2008年第 2009年第 2010年第 2011年第
4四半期 4四半期 4四半期 4四半期 4四半期 4四半期
インデックス: 2006年第4四半期 = 100
出所: ジョーンズ ラング ラサール
空室率
160
12
120
9
80
6
40
3
0
2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年
0
出所: ジョーンズ ラング ラサール
2006年から2010年のネット・アブゾープション、供給、空室率は
年末時点の数値。2011年については、
ネット・アブゾープション
と供給は上半期末時点の数値を示し、供給予定は2011年下半
期の数値を示す。
賃料
月額賃料
11,074 円/坪
クロック フェーズ
賃料下落の減速
直近の賃料トラフ(底) 1 四半期
以降の経過期間
* 7ページのプロパティ クロックのフェーズを示す
見通し
(12ヶ月)
賃料
注:本レポートは、大阪市の都心2区(中央区、北区)に立地するAグレードオフィスマーケットについて纏めてい
る。
%
2011年第2四半期の賃料は月額坪当たり11,074円となり、前期比1.7%の上昇、
前年同期比1.1%の下落となった。僅かではあるものの12四半期ぶりに見られた
賃料上昇の要因としては、東日本大震災の影響により、事業継続計画の一環とし
ての内部増床あるいは自家発電設備を設置したビルの需要増による賃料上昇が
あげられる。
ただし、
これらは限定的な動きであり、全体でみると賃料は下落フェ
ーズに位置している。
140
価格
大阪: オフィス
需要
賃料と価格のインデックス
千m2
•東日本大震災の発生以降、大阪支店増床の動き
•賃料は12四半期ぶりに上昇に転じる
•賃料上昇に伴い、価格は3四半期ぶりに上昇
東京: ロジスティクス
14 アジア パシフィック プロパティ ダイジェスト • 2011年第2四半期
東京: ロジスティクス
•東日本大震災の東京の物流施設マーケットへの影響は軽微
•賃料の下落率は7四半期連続で1%前後となり、小幅下落で推移
•海外の不動産投資家は、長期的なコミットメントを堅持
コンテナ取扱数 - 東京港
1.2
TEU (百万)
1.1
需要
1.0
東北地方太平洋沖地震に伴って一部の地域で発生した液状化現象は、在庫品
や自動倉庫に損害を与え、短期契約需要の急増へとつながったものの、
マーケッ
ト全体でみるとその影響は軽微なものにとどまっている。
0.9
0.8
0.7
2006年第 2007年第 2008年第 2009年第 2010年第 2011年第
1四半期 1四半期 1四半期 1四半期 1四半期 1四半期
コンテナ取扱数
出所: 東京都港湾局
供給
第2四半期、東京ベイエリアに新規供給はみられなかった。今期着工した
「辰巳
三丁目開発計画」(延床面積: 32千㎡)は2012年2月に竣工する予定である。三
菱商事と三井物産の共同開発によるビルド・トゥ・スーツ型の物流施設であり、
ナ
カノ商会の入居が予定されている。
海上出入貨物 - 東京港
26
ベイエリア以外で東京圏全体をみると、内陸部でマルチテナント(MT)型物流施
設である
「横浜町田ICロジスティクスセンター」(延床面積: 78千㎡)と
「プロロジ
スパーク川島」(167千㎡)が竣工した。今後の供給予定としては、今期着工した
MT型「プロロジスパーク座間II」(延床面積: 116千㎡)が2012年8月に竣工予定
である。災害後の事業継続性を考慮して免震構造等を採用した。
また、
ラサール
インベストメント マネージメント(LIM)は100億円超を投資して内陸部にMT型物
流倉庫(延床面積: 126千㎡)を開発し、2011年秋の着工、2012年秋の竣工を目
指す計画を明らかにしている。
24
トン (百万)
東京圏のベイエリア外に立地する物流施設の賃貸事例には、卸・物流事業の
Paltacが日本ロジスティクスファンドの保有する
「横須賀物流センター」(貸床面
積21千㎡)を単独で賃貸借した事例、
「GLP横浜」
にて8.1千㎡の賃貸借契約が
締結された事例が挙げられる。
22
20
18
16
2006年第 2007年第 2008年第 2009年第 2010年第 2011年第
1四半期 1四半期 1四半期 1四半期 1四半期 1四半期
出入貨物
賃料・価格動向
第2四半期に賃料は前期比1.4%下落、前年同期比4.0%下落して月額坪当たり
5,783円となった。2008年第2四半期以降下落基調が継続しているものの、下落
率は7四半期連続で1%程度にどとまり、小幅下落で推移している。
出所: 東京都港湾局
投資事例としては、東京圏においてLIMが
「茜浜物流センター」(延床面積: 26千
㎡)の物流施設を約50年間の定期借地権付建物として取得した例がある。土地
(底地)の信託受益権は、4月に産業ファンドが取得した。再開発に向けて、産業フ
ァンド、三菱商事、LIMとの間で協議が進められている。
見通し(12ヶ月)
サプライチェーンの立て直しが進み、海外経済の緩やかな回復などを背景として、
今後景気は持ち直していくことが期待される。
個人消費もこれに伴い持ち直していく
とみられる。
こうした経済と物流効率化の流れの中で、
新型の物流施設に対する需
要は底堅さを維持するものと考えられる。
上述の通り、
東北地方太平洋沖地震が東
京圏の物流マーケットの需給や賃料に及ぼした影響は軽微であった。
しかし、
一部
の物流施設でみられた在庫品や自動倉庫等の被害による今後策定される事業継
続計画への影響は大きく、
例えば、
今後テナントの物件選択基準に顕著な変化が
あらわれ、
免震構造等災害に強い設計の物件に対する需要が増加するであろう。
賃料
月額賃料
5,783 円/坪
クロック フェーズ
賃料下落の減速
直近の賃料ピーク
以降の経過期間
12 四半期
* 7ページのプロパティ クロックのフェーズを示す
見通し
(12ヶ月)
賃料
価格
NA
注:本レポートは、主に東京都のベイエリア(品川区、大田区、江東区)に立地する新型物流施設について纏め
ている 。
制作協力: 株式会社 一五不動産情報サービス
アジア パシフィック プロパティ ダイジェスト • 2011年第2四半期 15
J-REITマーケット
•2011年第2四半期末時点でJ-REIT上場銘柄数は35銘柄
•時価総額は3.5兆円、平均分配金利回りは4.9%
図表1: インデックス比較
2003年4月–2011年6月
3,000
市場動向
J-REITインデックスは4月1日の1,066.09から5月6日までに1.3%上昇して
1,079.79となったものの、
その後緩やかな下落基調に転じ、6月30日には前期比
2.6%下落して1,027.45となり2010年11月以来の安値水準となった。3月第2週
の東北地方太平洋沖地震の発生に続いて大幅に下げた市場は、第4週までにい
ったん落ち着きを取り戻したかにみえたものの、
これまで震災前日の水準を回復
するにはいたっていない。
2,000
1,500
1,000
500
0
REIT指数
日本政策投資銀行は、
ケネディクス不動産投資法人が保有している3物件に対し
て、DBJ Green Building認証を実施した。DBJ Green Building認証制度は
ビルの環境性能等に配慮した不動産の評点化を行い、不動産を選定・認証する
ものである。今回認証した3棟の評価ランクは
「KDX晴海ビル」
と
「KDX名古屋ビ
ル」
が
「シルバー」、
「KDX小林道修町ビル」
が
「ブロンズ」
となった。
1,200
取引事例
1,100
大和証券オフィスは渋谷区のオフィス/リテールの複合ビル
「E・スペースタワー」
を240億円、想定NOI利回り4.8%で取得する。新規物件の取得やその他用途の
ため、260億円の借入を行った。
オリックス不動産投資法人は、
オリックス不動産等のグループ会社より、首都圏と
兵庫県に所在する6物件を合計214億4400万円で取得した。6棟のうち、台東区
のオフィスビル
「秋葉原ビジネスセンター」
は50億6000万円、NOI利回り4.8%、
尼崎市の住宅「ベルファース尼崎」
は34億4000万円、想定NOI利回り6.0%で取
得した。取得にあたり、
オリックスは新投資口の発行により最大138億6580万円
の資金調達を行う。
ユナイテッド・アーバンは、首都圏に所在する4物件を208億4000万円で取得す
る。4物件は、東北地方太平洋沖地震発生後の市況を受けて、3月と4月に予定
していた取得をいったん中止していた。価格は
「アリーナタワー」(オフィス/リテー
ル)が95億円、
「Luz自由が丘」(リテール/オフィス)が50億9000万円、
「アクティオ
ーレ市川」(リテール)が33億5000万円、
「ル モンド江東」(住宅)が29億円であり、
想定NOI利回り水準は5.4%から6.2%であった。取得にあたり、
ユナイテッド・ア
ーバンは新投資口の発行により最大627億9000万円の資金調達を行う。
TOPIX
J-REIT: 2003年3月31日 = 1000
TOPIX: 1968年1月4日 = 100
出所: 東京証券取引所
図表2: インデックス比較
2011年第2四半期
1,000
900
800
700
2011年4月
2011年5月
REIT指数
2011年6月
TOPIX
2011年7月
J-REIT: 2003年3月31日 = 1000
TOPIX: 1968年1月4日 = 100
出所: 東京証券取引所
図表3: REIT用途別指数
2011年第2四半期
1,500
1,400
1,300
1,200
1,100
1,000
900
2011年4月
2011年5月
オフィス
2010年2月26日=1000
出所: 東京証券取引所
2011年6月
住宅
2011年7月
商業・物流等
J-REITマーケット
第2四半期にJ-REITマーケットで新規上場は見られなかった。
2,500
2003年4月
2003年10月
2004年4月
2004年10月
2005年4月
2005年10月
2006年4月
2006年10月
2007年4月
2007年10月
2008年4月
2008年10月
2009年4月
2009年10月
2010年4月
2010年10月
2011年4月
新規上場
ジョーンズ ラング ラサール リサーチ
ジョーンズ ラング ラサールのリサーチ部門は、優れたマクロ経済分析、不動産市場分析、投資
戦略を提供するプロフェッショナルチームです。全世界700以上の都市において展開するビジネ
スから得られた、幅広い経験と専門的な知識をもとに、
クライアントの不動産に関するあらゆる意
思決定を支援いたします。
アジアパシフィック地域のリサーチ部門は、需要、供給、空室率、賃料、価格、投資利回り、賃貸及
び売買事例、市場動向、法規制をセクター別(オフィス、
リテール、住宅、物流、
ホテル) に定期的に
モニターしています。
ジョーンズ ラング ラサールのリサーチ部門はグローバル、
リージョン、
ローカルレベルで定期刊
行物やレポートを配信しています。
1. リアル エステート デイリー – アジアパシフィック地域の不動産市場のニュースを日刊で発信
2. エコノミック インサイト – 不動産市場に影響を与えるトピックを検証したレポート
3. ホワイト ペーパー – 不動産市場に関連する様々なテーマについて分析したレポート
4. グローバル マーケット パースペクティブ – 毎月刊行。世界の不動産市況や時事問題に関す
るインサイトを纏めたレポート
www.research.joneslanglasalle.com
www.joneslanglasalle.com
リアル エステート インテリジェンス サービス(REIS)
リアル エステート インテリジェンス サービス (REIS)は、定期購読型のリサーチ サービスです。不動産投資家、
デベロッパー等に
対してアジア パシフィック地域内の不動産市場に関する詳細なデータや分析等の情報を四半期毎に提供しております。
REISによって以下が可能となります
• 新たな投資機会やリスクの詳細な分析
• 投資 開発戦略の策定と精緻化
• 投資パフォーマンスの評価
• 投資パフォーマンスの将来予測
• アジア パシフィック地域内の市場比較
対象セクター
• オフィス
• リテール
• 高級住宅
• インダストリアル(物流施設等)
Tier 1 都市
アジア Tier 1都市
クアラルンプール
広州
ジャカルタ
上海
シンガポール
ソウル
台北
チェンナイ
デリー
東京
大阪
ベンガルール
バンコク
北京
香港
ホー・チ・ミン
マニラ
ムンバイ
Tier 2 都市
Tier 3 都市
オーストラリア
- Tier 1都市
アデレード
キャンベラ
シドニー
パース
ブリスベン
メルボルン
ニュージーランド
- Tier 1都市
ウェリントン
オークランド
アジア Tier 2都市
アフマダーバード
ハイデラバード
コルカタ
プネー
REISに関するお問合せ先
リサーチ&アドバイザリー部
犬間 由博
tel 03 5501 9218
[email protected]
中国 Tier 2&3都市
長沙
成都
重慶
大連
杭州
南京
寧波
青島
瀋陽
深圳
蘇州
天津
武漢
無錫
厦門
西安
鄭州
Jones Lang LaSalle Research - Asia Pacific
ASIA PACIFIC
Dr Jane Murray
Head of Research – Asia Pacific
+852 2846 5274
[email protected]
Taipei
Howie Wang
Research Associate
+886 2 8758 9886
[email protected]
GREATER CHINA
Michael Klibaner
Head of Research – China and Shanghai
+86 21 6133 5707
[email protected]
Macau
Alvin Mak
Senior Manager
+853 2871 8822
[email protected]
Marcos Chan
Head of Research – Greater Pearl River Delta
+852 2846 5276
[email protected]
NORTH ASIA
Japan
Takeshi Akagi
Head of Research and Advisory
– Japan
+81 3 5501 9235
[email protected]
Beijing
Meggie Qin
Head of Research – Beijing
+86 10 5922 1379
[email protected]
Guangzhou
Silvia Zeng
Manager
+86 20 3891 1238
[email protected]
Chengdu
Shelly Xie
Head of Research and Consulting
– Chengdu
+86 28 8665 1022
[email protected]
Qingdao
Winnie Ning
Assistant Analyst
+86 532 8579 5800
[email protected]
Tianjin
Alice Chen
Head of Research and Consulting
– Tianjin
+86 22 8319 2233 ext 119
[email protected]
Chongqing
Jason Feng
Head of Research and Consulting
– Chongqing
+86 23 6370 8588
[email protected]
Shenyang
Alex Wang
Manager, Research and Consulting
– Shenyang
+6 24 3109 1300
[email protected]
South Korea
Yongmin Lee
Assistant Manager, Research
– South Korea
+82 2 3704 8888
[email protected]
SOUTH EAST ASIA
Singapore
Dr Chua Yang Liang
Head of Research
– South East Asia and Singapore
+65 6494 3721
[email protected]
Indonesia
Anton Sitorus
Head of Research – Indonesia
+62 21 515 5665
[email protected]
The Philippines
Claro Cordero
Head of Research – Philippines
+63 2 902 0887
[email protected]
Thailand
Dan Tantisunthorn
Head of Research – Thailand
+66 2 624 6420
[email protected]
Vietnam
Trung Thai
Manager, Research and Consultancy
+84 8 3910 3968
[email protected]
Malaysia
(Jones Lang Wootton in association with
Jones Lang LaSalle)
Malathi Thevendran
Executive Director – Research
+60 3 2161 2522
[email protected]
WEST ASIA
India
Ashutosh Limaye
Head – Research & REIS
+91 22 2482 8400
[email protected]
AUSTRALASIA
David Rees
Head of Research – Australasia
+61 2 9220 8514
[email protected]
New Zealand
Chris Dibble
Research and Consulting Manager
+64 9 366 1666
[email protected]
ジョーンズ ラング ラサール株式会社 お問い合わせ先
本社
〒100-0014
東京都千代田区永田町
2-13-10
プルデンシャルタワー3F
tel 03 5501 9200 (代)
インベスターサービス事業部
〒102-0075
東京都千代田区三番町
5-7
精糖会館5F
tel 03 5210 8300 (代)
関西支社
〒541-0053
大阪府大阪市中央区本町
4-4-25
本町オルゴビル6F
tel 06 6282 3777 (代)
北海道支社
〒060-0061
北海道札幌市中央区南一条西
6-15-1
札幌あおば生命ビル6F
tel 011 218 1919 (代)
代表取締役
濱岡 洋一郎
tel 03 5501 9200
[email protected]
インベスターサービス事業部
(プロパティマネジメント・リーシング)
中山 幹朗
tel 03 5210 8319
[email protected]
リサーチ&アドバイザリー部
(市場調査・不動産鑑定評価)
赤城 威志
tel 03 5501 9235
[email protected]
アセットマネジメントサービス事業部
(アセットマネジメント)
鈴木 緑
tel 03 5210 8323
[email protected]
コーポレートソリューションズ事業部
マーケッツ
(賃貸借・トランザクションマネジメント)
ニール ヒッチン
tel 03 5501 9203
[email protected]
キャピタルマーケット事業部
インベストメント(不動産投資取引支援)
水野 明彦
tel 03 5501 9250
[email protected]
コーポレートソリューションズ事業部
プロジェクトマネジメント (開発・建築管理)
宮本 淳
tel 03 5501 9222
[email protected]
キャピタルマーケット事業部
アジアパシフィックキャピタルマーケッツ
(クロスボーダー取引)
マイケル ボールズ
tel 03 5501 9204
[email protected]
コーポレートソリューションズ事業部
ファシリティマネジメント
井上 理
tel 03 5501 9953
[email protected]
キャピタルマーケット事業部
コーポレート ファイナンス
アリ ドルカー
tel 03 5511 3373
[email protected]
ジョーンズ ラング ラサール ホテルズ
沢柳 知彦
tel 03 5501 9240
[email protected]
CRE事業部
(企業不動産戦略)
水野 眞吾
tel 03 5501 9251
[email protected]
関西支社
奥井 健二
tel 06 6282 3777
[email protected]
このレポートに関するお問い合わせ先
リサーチ&アドバイザリー部
犬間 由博
tel 03 5501 9218
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ジョーンズ ラング ラサール株式会社
本社所在地: 〒100-0014
東京都千代田区永田町2-13-10
プルデンシャルタワー3F
tel +81 3 5501 9200 (代表) fax +81 3 5501 9211
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ジョーンズ ラング ラサール 海外拠点
アジア・パシフィック
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Chandigarth
Chengdu
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