平成16年度小学校教育課程福井県研究集会資料 鯖江市河和田小学校 桒原 美津江 部会名 理科 1 研究主題 子供一人一人の主体的な問題解決活動を重視するとともに、科学的な見方や考え方を育成する学習 指導と評価の工夫改善 4 年「電気のはたらき」の学習を通して 2 研究概要 (1) はじめに 子供が主体的に問題解決活動に取り組むのは、どんなときであろう。それは、子供が直接体験し た事象に対して「どうしてだろう」 「ふしぎだ」などと、強い驚きや疑問を持ったときと考える。子 供達が光電池でモーターを回したときの歓声は、私が予想していた以上のものであった。初めて手 にした光電池をモーターに接続させ日光に当てただけで、ものすごい勢いでモーターが回りだした からである。そこで光電池のはたらきを子供達の視点で追求していく過程で、主体的な問題解決の 姿勢や科学的な見方や考え方を育てていきたいと考え、以下の実践を試みることにした。 (2) 実践内容 小単元名「光電池のはたらきを調べよう」 (5時間配当) 第 1 時「光電池でモーターカーを走らせよう」 (1 時間) 子供達に光電池を1個ずつ渡しモーターに接続させた。その日は天気がよく、光が十分得られ たこともあり、モーターは乾電池のときよりも勢いよく回った。子供達は驚きの声を上げるととも に、光電池でモーターカーを走らせたいという気持ちになった。そこで、今度はモーターカーに接 続させ駐車場で走らせることにした。子供達はお互いに試行錯誤しながら走らせる中で、次のこと に気づいていった。 ①自分の影の中に入ると車は止まってしまう。 ②乾電池よりもソーラーの方が、 速く走る。③光電池の向き(太陽に当てる角度)を変えると走る速さが変わる。④光電池の一部分 に光を当てても走る。⑤光電池の+極−極の向きを変えると逆に走るなど。また、同時に次のよう な問を持った。 ① 光電池はどんな仕組みなのか。 ② もっと速く走らせるには、どうしたらよいか。 ③ 太陽の光以外の光でも光電池ははたらくのか。 ④ 乾電池と光電池では、どちらが強いのか。など そこで、これらの疑問を子ども達の視線に立って調べ ていくことにした。尚、光電池の仕組みについては、子 供達でも理解できるように分かりやすく説明してあるも どっちが速く走るか競争しよう のをインターネット検索し、印刷物(資料①)を配布した。子供達は、光電池部分に光が当たるこ とで、+極と−極に電子と正孔が引きつけられ乾電池のように電気の流れができることを知り、そ れなりに納得したようであった。 第2時「ソーラーカーもっと速く走らせるためにはどうしたらよいか」 (2時間) 次に、ソーラーカーをもっと速く走らせるためにはどうしたらよいかを子ども達に考えさせた。 子ども達のアイデァは次のようであった。 ( )の中はそう考えた理由である。 ① 光電池に鏡で光を反射させ当てる。 (3年生の光集めの学習から) ② 光電池を2つつなぐ。 (乾電池も2つのときの方が速く走ったから) ③ 太陽の光がパネルによく当たるよう光電池の向きを調節する。 (第1時の学習より) ④ 高いところで走らせる、 (太陽の光が強いから) ⑤ ソーラーカーを軽くする。 (軽い方が速く走るから) ⑥ 平らなところで走らせる。 (地面との摩擦が少ないから) 子供達は自分たちが考えた方法を一つ一つやってみる中で、 「やっぱりそうか」とか「もっと違う と思ったのに余り変化がない」など、自分なりにその結果を受け止めていた。そこで、実験結果を 整理させ正しい理解につなげていきたいと考え、自分達が見つけた実験結果を全体の場で考察する 場を1時間設けた。 (尚、光電池を2つつないで走り方を比較することは教科書では扱われていない が、今回発展学習として実験した。 ) 第3時「太陽の光以外でも、光電池ははたらくのか」 (1時間) 子供達は日常の生活の中で、光電池を利用した機器(計算機など)やおもちゃなどを使用してい る。しかし、子ども達に「光電池は、太陽の光以外でもはたらくのか」とたずねたところ、光電池 は太陽の光でないと働かないと考えている子どもが 4 割ほどいた。 (その理由として教室の蛍光灯 では働かないことを挙げていた)そこで白熱球の電灯を使って調べることにした。この実験で、光 電池を電球に近づけるほどモーターに接続したプロペラの回転速度が速くなりまた遠ざけるほど弱 くなることが分かり、子ども達は太陽以外の光でも光電池が働くことや、光の当て方によって強さ が変化することを実感した。またこのとき OHP も 用意したが、OHP は強い光は得られるが、光から の距離と光電池の働きとの相関関係を調べるには、 構造上やや問題があるように感じた。さらに、プロ ペラの回る速度と流れる電流の量を検流計で調べる 過程で、乾電池と同じように電流が多く流れるほど はたらきも強いことを実感していった。 第4時「乾電池と光電池のよいところ」 (略) 3 成果や今後の課題 子ども達は乾電池や光電池のはたらきを調べる 中で、それぞれのよさに気づくとともに、光電池 では、その力とはたらきに強い関心をもち、意欲 的に問題解決活動に取り組むことができた。そし て自分達の問題を解決する過程で、光電池も乾電 池と同じように電流が強く流れるほどそのはたら きが強くなるという科学的なものの見方や考え方 を養うことができたように思う。 これからも、子供達が強い興味や関心を持つ学 習内容を的確にとらえ、子供達の視点に立った追 求活動の場を設定することで、主体的に問題解決 に取り組む子供を育てていきたい。 光電池を電灯に近づけたほうがよく回るよ 資料1
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