Wines from Tuscany トスカーナDOCG / DOCワイン試飲会 2015アンテプリマ・ディ・トスカーナ ト スカーナワインのプリムールを紹介するイ ベント 「アンテプリマ・ディ・トスカーナ」。 ト スカーナを代表する3つのDOCGワイン委員会 (キアンティ・クラッシコ、ヴィノ・ノビレ・ディ・ キアンティ・クラッシコ・コレクション2015 今年のキアンティ・クラッシコ・コレクションに は149のワイナリーから517ラベルが出品された。 モンテプルチャーノ、 ブルネッロ・ディ・モンタル 今年リリースされるのは2012年ヴィンテージ(リ チーノ)がその年のプリムールを紹介する 「アン で、 このほかに ゼルヴァは2011年ヴィンテージ) テプリマ(試飲下見会)」をながらく開催してき 2014年ヴィンテージのバレル・サンプル39アイ たが、昨年からトスカーナのすべての DOCG/ テムと56ラベルのキアンティ・クラッシコ・グラ DOCワインを紹介するイベントに発展改組さ ン・セレッツィオーネが試飲に供された。 れたもの。 昨年から試飲に供されるようになったグラ 今年も例年通り2月に開催された。今年のトス ン・セレッツィオーネはますます充実した内容 カーナは雨もよいの寒い気候で、ホテルを試飲 になっている。強く印象に残ったワインは次の 会場にしたところは問題なかったが、 スタッツィ ボトル。 オーネ・レオポルダなどの大きな試飲会場では Antinori Badia a Passignano 2010 Barone Ricasoli Castello di Brolio 2011 底冷えがした。 しかし試飲ワインのコンディショ Barone Ricasoli Colledila 2011 Castello di Ama San Lorenzo 2011 Castello di Ama Vigneto la Casuccia 2011 Castello di Verrazzano Vigneto Querciolina 2011 Colle Bereto 2010 Il Molono de Grace Il margone 2011 Lornano 2011 Querceto di Castellina Sei 2011 Rocca di Montegrossi Vigneto San Marcelli-no 2010 Ruffino Ducale Oro 2010 Tenuta di Nozzole La Forra 2011 Tolaini 2011 Vignole Crespine 2011 試飲は6アイテムずつを1つのフライトにして ンには上々の環境だった。 行ったが、最初のフライトにバローネ・リカーゾ 試飲日程は2月14日DOCGキアンティ、16日 リの2本とカステッロ・ディ・アマの2本が入って ヴェルナッチャ・ディ・サンジミニャーノ、17 日 いたため、一瞬、今年のグラン・セレッツィオー と18日キアンティ・クラッシコ、19日ヴィノ・ノビ ネのレベルは相当高いと思わせたが、結局、 こ レ・ディ・モンテプルチャーノ、20日と21日ブル の4 本のレベルが抜きんでていただけで、次か ネッロ・ディ・モンタルチーノ。そして15日に上 らのフライトはそれほどでもなかった。 グラン・ カルミニャーノ、ボルゲ 記DOCG以外のワイン、 セレッツィオーネにはまだいろいろなタイプが リ、テッラティコ・ディ・ビッボーナ、エルバ、 ヴァ 混在していることがわかった。 ル・ディ・コルニア、モンテクッコ、モレッリーノ・ 2012年ヴィンテージのキアンティ・クラッシコ ディ・スカンサーノ、 コルトーナ、 ヴァルダルノ・デ は、最も暑く乾燥した夏のひとつとして人々の ィ・ソプラのワインが試飲に供された。 これらの 記憶に残るとともに、8月末の恵みの雨で素晴ら 中から印象に残ったボトルを紹介する。 しい収穫になった年だった。 ただ収穫量は23万 5,000hlで大きく減少した。 14 昔のたばこ工場を再利用した建物でキアンティの消費者向け試飲 会が開かれた。 年初は寒くて雪の降るノーマルな冬だった。春 ンテージはバランスのとれた年。葡萄の生育期 キアンティ・クラッシコやブルネッロ・ディ・モ 先には雨が降ったが、5月以降の雨は少なくな 間後期に気温が急激に上昇したが、保水性にす ンタルチーノのように着席して試飲できる環境 って気温が上がり、 ことに7月と8月は乾燥して ぐれた粘土質土壌のおかげで何とか乾燥に耐 を用意したが、試飲を希望するジャーナリスト 焼け付くような暑さの日が続いた。8月末から9 えた。品質的にはすばらしいヴィンテージの水 が多くてグラスの数やサービスするソムリエの 月初めの雨は、文字通り干天の慈雨だった。 し 準を維持したが、数量的には水不足が理由で 数などが追い付かず、一つのフライトから次の かも気温が下がり昼夜の温度差が大きくなった 平年比10%減少した。サンジョヴェーゼは平年 フライトへと移る際に相当の時間がかかる。 し のでサンジョヴェーゼのような晩熟品種には絶 より1∼2週間ほど早い収穫になった。2011収穫 まいには待ち時間の方が多くなったので止む 好の条件だった。葡萄は9月末から10月初めに 年の冬は暖かくて雨が多かった。穏やかで雨の 無く生産者のブースを訪ねて立っての試飲に切 かけて収穫された。葡萄果はきわめて健全なも 多い春の天気が5月末から6月初めまで続いた。 り替えた。訪問できたのはキアンティ・ルフィナ のだった。アルコール、酸度、ポリフェノールが 葡萄樹は充分な水分を得て、成育は平年より少 とキアンティ・コッリ・フィオレンティーニだけだ 素晴らしくバランスのとれたものになった。 し早めに推移した。6月末と7月初めはとても暑 った。 2012年ヴィンテージで印象に残ったワインは次 くて成長速度が上がった。暑くて乾燥した8月と、 <DOCGキアンティ・ルフィナ> の通り。 昼夜の温度差の大きい9月に助けられて、葡萄 Colognole 標高300mに48haの葡萄畑を所有。 Castello Monterinaldi 2012 I Fabbri Lamole 2012 I Sodi 2012 La Porta di Vertine 2012 Casanuova di Nittardi 2012 Podere La Cappella 2012 Podere La Villa Pargolo 2012 Poggerino 2012 Poggio Bonelli 2012 Querciabella 2012 Riecine 2012 Terreno 2012 Vignole 2012 Villa Calcinaia 2012 の成熟は順調に進んだ。 フレッシュで煙のニュアンスのある香り。果実の リゼルヴァ2011年で印象に残ったのは次のワ 味わいが凝縮していて複雑な味わい。味わいに イン。 ミネラルを感じる。 フィニッシュの酸味も心地よ La Porta di Vertine 2011 Machiavelli Vigneti La Selvanella 2011 Monteraponi Baron Ugo 2011 Querciabella 2011 Villa Calcinaia 2011 い。 Castello del Trebbio 自社畑は54ha。中堅のワイ ナリー。 フレッシュ・フルーツ (ストロベリーなど) の香りが豊かでピュアなワインを生産する。 Dreolino 自社畑は30ha。リゼルヴァ(2011 年 産) レンジの出来が良い。 スパイスやドライハー アンテプリマ・キアンティ2015 DOCGキアンティの試飲会は2月14日に開催 ブ、熟したフルーツの香り。軽快でミネラルを感 じる味わい。 された。今年からジャーナリストだけでなく一般 Fattoria Veroni 自社畑は55ha。2013年から有機 栽培を始めた。MLFは大樽で行い熟成にはトン にも開放し、会場もフィレンツェのエクス・マニ ノとバリックを使う。 ワインの味わいはまだ硬い。 キアンティ・クラッシコにもオーガニックワイ ファットゥーラ・タバッキを使い、他のDOCワイ ンが増えているが、それらに共通しているのは ンから分離独立して行われた。会場は旧タバコ 味香の開きがとても早いこと。すでに飲めるや 工場で1940年代に建てられたものだという。 Fattoria Il Capitano 自社畑は15haと少ない。サ ンジョヴェーゼに5 %のメルロをブレンドする。 2012 年産リゼルヴァは熟成が進んでいて力強 わらかいものが多く、中にはすでに酸化のニュ ここにキアンティの生産者100社が出展した。 いワイン。口中にアルコールの暖かさを感じる。 アンスの強いものも散見された。 午後 4 時から10 時までは キアンティ・ラヴァー Fattoria Selvapiana 2011年産ブチェルキアーレ 2011年リゼルヴァは全体的にしっかり凝縮し ズ と題して一般のワイン愛好家にも試飲の門 (畑名)はエレガントで味わいに強さ、インテン ていて力強いワインになっている。2011 年ヴィ 戸を開いた。 スがある。 しっかりした凝縮感も味わえる。 15 トスカーナDOCG / DOCワイン試飲会 2015アンテプリマ・ディ・トスカーナ ノットーラの畑(モンテプルチャーノ) ヴィノ・ノビレの試飲会場 Frascole 標高350m∼500mの傾斜地に15haの Fattoria di Bagnola 2012年産リゼルヴァは軽快 自社畑を所有する。ルフィナを代表する生産者。 で飲みやすいワイン。固くて粗いタンニンが気 やパルプの割合の多い顆粒になったこと。二つ 1999 年から有機栽培を続けている。2013 年産 になる。 目は乾燥した年のわりに糖度が高くなかったこ はチェリーやストロベリーなど新鮮なフルーツ Fattoria di Finano 2012年産リゼルヴァはプラ とだ。 これは顆粒に糖分がほぼ蓄積された8月 特徴を持った。一つは房がとても小ぶりで果皮 の香り。 ミネラルがあって引き締まった味わい。 ムやチェリー、ストロベリーなど爽やかな果実 末に雨が降り、根が吸った水分が顆粒をやや とてもチャーミングな冷涼地のサンジョヴェー の香りが主体。口中にも軽快で爽やかなプラム 薄めたからだ。結局、乾燥した年にも関わらず ゼである。 のニュアンス。 2012年は小さな顆粒で並みの糖度(アルコール Marchesi de Frescobaldi この地域を先導する生 産者。2011 年産のリゼルヴァ・ヴェッキエ・ヴィ Tenuta Il Corno 2012年リゼルヴァはアストリン ジェントな口当たり。 しかし2013 年産は軽快で 分が極端に高くならない) というヴィンテージに なった。 ーティはまだ硬いが、 しばらく待つと果実の甘さ フルーティ。香りにはフルーツに混じって煙や 発芽は3月末から4月初めにかけて、開花は5 と引き締まったタンニンが押し寄せてくる。同じ バニラのニュアンスが感じられる。後口に少し 月末から6月初め、 ヴェレイゾンは7月第4週から く2011 年産のニポッツァーノはとても滑らかな 苦味が残る。 8月第3週にかけて展開した。収穫が始まったの は9月半ばで10月第1週に完了した」。 タンニン、活き活きした酸味がアクセントになっ Tenuta San Vito 2013年産は新鮮なフルーツの た上品な味わいが特徴のワイン。 香りに煙とバニラのニュアンスが加わっている。 【印象に残ったヴィノ・ノビレ】 Marchesi Gondi Tenuta Bossi 自社畑は20ha。 2013年産サン・ジュリアーノはリコリスのような アタックにはやさしいフルーツの口当たり。少し ブレットを感じる。後口の酸味は爽やかだ。 甘い香り、スパイスや熟したフルーツの香りも ある。 とてもチャーミングでおいしいワイン。 Podere Il Pozzo サンジョヴェーゼ100%で造る ス ワイン。2012年リゼルヴァは煙のニュアンス、 Il Conventino 2012 赤いフルーツ、森のフルー ツの香り。 しかし香りのボリュームは控えめ。 フ レッシュな口当たり、チャーミングでとても飲み アンテプリマ・デル・ヴィノ・ノビレ2015 やすい果実味豊かなワイン。後口にきれいな酸 味。 ヴィノ・ノビレの試飲会場はモンテプルチャ Godiolo 2012 オークの香りがほのかにあるが ーノ城砦。今年リリースされるヴィノ・ノビレは チェリーなど果実の要素が勝っている。優しく ガント、 よくこなれたタンニンで軽快な味わい。 2012年産。2012年の収穫状況を醸造家のリカル て飲みやすいワイン。 フルーツがきちんと活き Villa Travignoli 自社畑は70ha。2012年産はス ド・コタレッラは次のように説明した。 ている。 パイス、 タバコ、 ドライハーブなどの香り。香りに 「2012 年はデータの上では 2011 年ととても Il Molinaccio La Spinosa 2012 やや薄い色合い。 強さがある。果実の味わいが凝縮していてミネ よく似たものになっている。大きな相違点は 6 森のフルーツ主体でオークのニュアンスがある。 ラルも感じさせる。 月から 8 月にかけての降水量の少なさだった。 ピュアな果実の味わい、複雑味があり上質の酸 <DOCGコッリ・フィオレンティーニ> そのために 2012 年は収穫量が前年比 30 %も が活きている。 Le Torri 2012年産リゼルヴァはリコリス、バニ 減少した。しかし品質は5つ星をつけることの Le Bertille 2012 甘い香り、熟したフルーツとバ ラ、ハーブの香り。厚みと甘みがあってまだ少し できる素晴らしいものだった。 ニラの香り。新鮮でフルーティな口当たり、 しっ 固く粗さの残ったタンニン。後口の酸味が心地 2012年ヴィンテージの気象上の特徴は、6月 かりしたボディ。上品な仕上がり。 パイスやドライハーブの香り。 フレッシュでエレ よい。 から8月末にかけて雨がなく暑くて乾燥してい Boscarelli 2012 赤いフルーツが香りの中心。木 Castelvecchio 2013年産はバニラ、 リコリスの香 たこと、そしてその干ばつ気味の土地に8月26 のニュアンスもある。新鮮でフルーツの力の活 り。口中にもバニラの甘みと熟したフルーツが 日から9月5日にかけて100mmの雨が降ったこ きた複雑な味わい。 フィニッシュがすっきりして 感じられて、 タンニンは軽快。 よくできたワイン。 とだ。 このことで2012年の葡萄は二つの大きな いる。 16 ノットーラのボトル Per Gloria2013 ヴェルメンティーノ70%、ピノ・ という命名。 ブラン30%。娘のグロリアのために、 シトラス系のフレッシュな香りにまろやかでクリ アーな味わい。 Nottolino 2014 IGT サンジョヴェーゼ75%、メ ルロ他25%。若樹を使用し、ステンレスのみ。翌 フレッシュなチェリーの控えめ 年5月頃瓶詰め。 な香りで、 ソフトな口当たり。軽快でアプローチ しやすい。 Rosso di Montepulciano 2013 1年間大樽熟成。 香りはまだ閉じているが、赤い果実が香る。 なめ らかな舌触りで、バランスよく、 タンニンも細や か。 Vino Nobile di Montepulciano 2011 サンジョヴ ローカル品種とメルロ15%。公式評 ェーゼ85%、 どの場所でも品質がよかった一 価 4 星ながら、 Bindella 2012 熟したフルーツとバニラの香り。 合農業を営んでいた。そこをかつてはアンティ 貫性のある年。厚みがあり、 とてもなめらかなテ フレッシュなフルーツが活きている。 しっかりし ノリが所有していた。 クスチャー。 タンニンは細やかで豊か。心地の たタンニンときれいな酸味のバランスが良い。 アンティノリが手がけるいくつものワイナリ よいバランス。 Bindella I Quadri 2012 バニラとフルーツの香 ーの建築を請け負ってきたジョマレッリは大の Vino Nobile di Montepulciano 2012 公式評価5 りのバランスがとれている。 とても上品で滑ら ワイン好きで、 この館を買い取ることにした。そ 星。夏がとても暑かった年。香りは閉じているが、 かな口当たり。酸とタンニンのバランスも良い。 してコンサルタントは、アンティノリのコンサル スパイスや熟した果実の香りが感じられ、 まろ Le Bertille Rierva 2011 赤いフルーツ主体の香 タントの兄であるリッカルド・コッタレッラを雇 やかな口当たりで、エキス的要素も。 タンニンも り。酸味の美しさが際立つワイン。 フルーティで い入れることにした。 ちなみに、アンティノリは 豊か。 Vino Nobile di Montepulciano Riserva Il Fattore 2010 サンジョヴェーゼ90%、メルロ90%。色の 安定化のため6か月小樽に入れ、マロラクティッ クも行う。その後 30 か月大樽で熟成させ、瓶熟 リゼルヴァは基本的に、 フェノー 成最低 6 か月。 上品、 しかも複雑な味わい。 1990 年に「ラ・ブラチェスカ」をモンテプルチャ Lunadoro Quercione Riserva 2011 黒いフルー ーノで立て上げるが、 この名前は「ヴィッラ・ブラ ツ、焙煎の香りとバニラ。口中はフレッシュでみ ッチ」に由来しているという。 ずみずしいフルーツが感じられる。おいしいワ 購入当初のブドウ畑は10haだったのを20ha イン。 に広げ、ワイン造りを本格的に開始したのは Canneto Riserva 2011 甘いリコリスとバニラ、 1999年から。同時に館も改修し、アグリツーリズ モ用に30部屋の宿泊施設とレストランも整えた。 20haのうち、ヴィノ・ノビレ・ディ・モンテプル チャーノに認定されている畑は 8ha 。ロッソが 4ha。残りの8haは、キアンティ・コッリ・セネージ とIGTトスカーナ用で、いずれも館から1km 範 熟したフルーツの香り。 フレッシュでまるいタン ニン。香りとは対照的に味わいは細身で引き締 まっている。 フィニッシュにきれいな酸味。 Casa Vinicola Triacca Poderuccio Selezione 2011 フローラルな香り、 ドライハーブやスパイスの ルや糖分が高く、 ストラクチャーのあるブドウが とれる区画を選び、 ワインになった段階で微調 整を行う程度に選抜する。香りは閉じ気味で、な めし革や少しドライなチェリーが香り、厚みがあ りなめらか、そしてしっかりとした細かなタンニ ンがストラクチャーを形成している。酸もほどよ 香りもある。熟成香も少し感じる。味わいに力強 囲内におさまっている。栽培品種はサンジョヴ く、 ゆったりと長い余韻。 さのある大きなワイン。バランスはよい。 ヴェルメン ェーゼが85%を占め、残りはメルロ、 Boscarelli Riserva Bianca 2010 赤いフルーツと ティーノ、 ピノ・ブラン、 カナイオーロ、 コロリーノ、 Vino Nobile di Montepulciano Riserva Il Fattore 2009 サンジョヴェーゼ100%。 「リゼルヴァはサ バニラや焙煎の香り。 フレッシュで甘くて上品な マルヴァジーア。 ワインは自社畑のブドウだけで ンジョヴェーゼのみで造るのが理想」。香りは開 タンニン。 まだ少し固さが残っている。 賄っている。 き始め、スパイスや野生味も感じられ、複雑で 造りはスーパー・タスカンを除いて基本的に 上品さも。なめらかでボリューム感もあり、 タン クラシック嗜好で、小樽は使用しない方針だと ニンもしっかりとしている。 ノットーラNottola ヴィノ・ノビレ・ディ・モンテプルチャーノの比 いう。 モンテプルチャーノの造り手を大きく分け 較的新しい造り手「ノットーラ」 を訪ねた。 ると、超モダンタイプ、それを倣ってモダン嗜好 創業は 1989 年。建築業を営むアンテリーヴ ながらバランスがうまくとれないタイプ、 クラシッ ォ・ジョマレッリが始めたワイナリーだ。シエナ クタイプ、 クラシックすぎるタイプの4類型になる アンテプリマ・ディ・トスカーナの2日目はフィ とコルトーナの間にあたる標高200∼250mの地 と感じている。その中でノットーラは、モダンな レンツェ市内のホテルで行われ、11のDOC が に古くからある館「ヴィッラ・ブラッチ」 では、 ブド 頭をもちながらヴィノ・ノビレのラインはクラシッ それぞれのブースを出した。 カルミニャーノ、ボ ウだけでなく、 オリーブや果樹も栽培し、牛や豚 クにまとめているという、 とても綺麗な仕上がり ルゲリ、オルチャ、 コリーネ・ルッケージ、 コスト・ なども飼育するという典型的なトスカーナの複 だと感じた。特にリゼルヴァが秀でている。 トスコーナ、 コルトーナ、ヴァルダルノ・ディ・ソ ボルゲリ、 その他のアンテプリマ 17 トスカーナDOCG / DOCワイン試飲会 2015アンテプリマ・ディ・トスカーナ ボルゲリのボトル コルトーナのボトル プラ、 ビアンコ・ディ・ピティグリアーノ・エ・ソヴ Batzella Tam 2009 黒い果実とスパイスの華や ァーナ、モレッリーノ・ディ・スカンサーノ、モンテ かな香り。厚みがあるが繊細さも。 ヴェーゼ・リゼルヴァ、サンジョヴェーゼ(いずれ クッコ、マレンマ・トスカーナと多岐にわたった。 Ferrari Iris e Figli 2012 熟した黒い果実の香り 、 ロッソ・リゼルヴァ、 ロッソ も90%以上使用義務) 今回は、ボルゲリ、 コルトーナ、モンテクッコに注 がとても華やか。ハツラツとして、酸もタンニン ヴェルメ (サンジョヴェーゼ 60%以上)の他に、 目した。 も果実味に包まれて一体化。 ンティーノ、 ビアンコ、 ロザート、 ヴィン・サントが Ceralti Alfeo 2012 素直でハツラツとしたフル 2種類認められている。 21ワイナリーの21アイテムの赤を試飲した感 DOCボルゲリ ーティな香り。バランスがよい。 ご存知の通りトスカーナの海岸寄りの産地で、 1998年と新しい。現在生産者は32社。サンジョ 想は以下の通り。 ブドウの熟度が高いが、酸は DOC 認定は1995 年。現在ボルゲリ・ロッソ、ボ DOCコルトーナ サンジョヴェーゼらしいフレッシュ感がある。 ま ルゲリ・シュペリウール、ボルゲリ・サッシカイア モンテプルチャーノの北東、アレッツォの南 た、スパイス、オレンジピール的な香りが特徴 の3つのDOCが存在する。総面積は1200haで、 に位置する地域で、DOC に認定されたのは 的だと感じた。若干、樽の影響が強いものや抽 そのうち1050ha が DOC 、残りが IGTで、DOC 1999年。現在生産者は29社で、モンテプルチャ 出し過ぎたものもあったが、全体的にシリアス 内の栽培面積比率は以下の通り。 カベルネ・ソ ーノの造り手が何軒もある。白、赤、甘口白があ すぎず且つ大柄すぎず、バランスのよいものが メルロ25%、 カベルネ・フラン ーヴィニヨン40%、 り、 ロッソ、 シャルドネ、 グレケット、 ソーヴィニヨ 多かった。特に印象に残った造り手は以下の通 10%、シラー7%、プティ・ヴェルド6%、サンジョヴ ェーゼ2%。 ブドウ 21ワイナリーの35 種類を試飲したが、 ン、カベルネ・ソーヴィニヨン、 メルロ、サンジョ り。 ヴェーゼ、 シラー、そしてヴィン・サントが3種類 ある。品種名付きの赤にはリゼルヴァも存在す Castello Collemassari Poggio Lomvrone 2010 Riserva 上品でバランスのよいスパイシーな の熟度や造りにおいてレベルの高いものが多 る。歴史あるワイン産地ながら、国際品種のほ 香り。なめらかなアタックで、伸びのある酸、細 かった。特に印象に残った造り手は以下の通り。 うが幅をきかせている。 やかで豊かなタンニンの、 しっとりとして上品な Ornellaia e Masseto Societa Agricola, Ornellaia 2012 若々しく、果実も樽香も凝縮。 とてもなめ メルロ10∼ ロッソの規定がシラー50∼60%、 20%となっている通り、この土地にはシラーが最 味わい。秀逸。 らかなアタックで、酸がバランスよく支え、タン も合っているようだ。 のびのびとした香り。なめらかなアタックで、酸 ニンはたっぷり。 ビターチョコの香り。 10ワイナリーの16 種類の赤を試飲した感想 もタンニンも適度で、心地よいバランス。 Basile Cartacanta 2010 赤い果実のハツラツと Argentiera 2011 しっかりと熟した果実と樽の は以下の通り。 シラー100%のものが最も魅力的。 Peteglia 2011 チェリーやオレンジピールなど スパイシーさが融合。 ストラクチャーがしっかり ただし、樽の使用が過度なものが比較的多く、 ハツラツとした香り。全体にまるみがあり酸が とした若々しいワイン。 もったいないと感じた。2010年から2013年のも 若干控えめながらバランス。 タンニン穏やか。 Campo alla Sughera Arnione 2010 凝縮感あるチ のまであったが、La BraccescaのAchelo Cortona Tenuta Impostino, Viandante 2010 Riserva スパ ェリー、 カシス、スパイスの香り。かっちりとした Syrah 2012が、ハツラツとした果実の香りがきれ イシーでバランスのよい香り。なめらかなアタッ 骨組みで力もある。同社の Adeo 2012 は、フレ いで、味わいのバランスも最もよいと感じた。 クで、全体に整然としている。 Montesalario 2011 チェリー、オレンジピール、 ッシュなスミレやチェリーの素直で軽快な香り。 バランスよく心地よいフルーティさ。 DOCモンテクッコ スパイス、なめし革の香り。素直でバランスよく、 Castello di Bolgheri 2012 バランスよい素直な モンタルチーノとスカンサーノの間に位置 繊細な味わい。 香り。ほどよいエキスとスパイスが融合。骨格も し、モンテ・アミアータの南西にある小さな産地。 ありほどよい果実感。 ここもワイン造りの歴史はあるが DOC 認定は 18 トスカーナDOCG / DOCワイン試飲会 2015アンテプリマ・ディ・トスカーナ ヴェルナッチャの試飲会場 レ・マッキオーレのチンツィア・メルリ(右) とルカ・レットンデ ィーニ レ・マッキオーレLe Macchiole 思いからです。簡単ではないけれど、 とてもクリ カベルネ・フランとメルロについては、色はあま ボルゲリで亡夫エウジェニオ・カンポルミ アーな方法だと思っている」からだという。 り出なかったが、 ジャミーさがなくフレッシュで の遺志を継ぎチンツィア・メルリが取り仕切る 栽培方法についても、試行錯誤を繰り返した。 よい出来だったという。 「レ・マッキオーレ」を訪ねた。海から2km の地 例えばシラーは、1haあたり5000株でダブルコ に広がる22haの畑には、他のトスカーナのワイ ルドンに仕立てたが、酸が強くバランスがとれ ン産地とは異なり、サンジョヴェーゼはない。 なかった。新しい畑で、1 haあたり1万株でギュ Paleo Bianco 2013 ソーヴィニヨン・ブラン60%、 シャルドネ40%。新樽と古樽半々で、樽発酵の後、 半年ほど熟成。2010年から500ℓ樽も使用開始。 「ここは夏が暑いので、サンジョヴェーゼは多産 イヨにすると、房は小さく果皮が厚くなり、複雑 シャルドネのみマロラクティックを行う。黄桃や で色が淡くなる上に、暑さで成熟が止まってし 性のあるワインができるようになった。房の数 パイナップルなどの熟した黄色い果実やバニラ まうため酸が残り糖分が上がらない」 と、2008 は同じでも、 まったく重さが異なることがわかり、 のまろやかな香りで、口中も豊かでボリューム 年から醸造長を務めるルカ・レットンディーニ 古い畑もギュイヨに仕立て直した。 感がある。 はいう。 トスカーナで生まれ育ち、 ピサ大学を卒 2000 年頃から有機栽培を取り入れ、認証は Bolgheri Rosso 2013 カベルネ・フラン、メルロ、 業後、 オーストラリアのミッチェルトン、ボルドー 申請していないが2008年はビオディナミの手法 シラーのブレンド。 スパイス、土、チェリーやブラ のシャトー・カントナック・ブラウン、モンテプル を実践している。 ックベリーの若々しい香りで、果実味なめらか チャーノのデイなどで経験を積んだ人物だ。 収穫は、5kgのカゴで手摘みする。畑で選別し、 でタンニンはたっぷり。時間が経つとスミレの チンツィアの祖父が所有していた土地に2 選果台で選抜し、除梗した後に粒選りも行う。醸 香りが感じられる。 人で移ってきた1983年からいくつもの品種を試 造所には、 コンクリート、 ステンレス、木製(当初 Paleo Rosso 2011 カベルネ・フラン100%。ロー みたが、現在栽培しているのは、 カベルネ・フラ メルロ用に購入したが、今はステンレスとコンク スト香、黒系スパイス、熟した黒い果実の香り。 ン、シラー、 メルロ、それに白用のシャルドネと リート使用)、合わせて40の発酵槽がある。ルカ アタックはまろやかで酸はソフト。収れん性が ソーヴィニヨン・ブランだ。 曰く 「リダクションしないようにポンピング・オー 強く、味わい全体をタイトに引き締める。 当初「パレオ・ロッソ」は、サンジョヴェーゼ ヴァーやデレスタージュをするのに、 コンクリー Scrio 2011 シラー100%。白胡椒、黒胡椒、紫色 にカベルネ・ソーヴィニヨンをブレンドしてい トのほうがコントロールしやすく、洗浄も簡単な を思わせる果実のリッチな香り。 まろやかな果 た。1995 年から加え始めたカベルネ・フランの ので、 コンクリートと見直されている」。 実味で、厚みもボリューム感もあり、収れん性が 可能性を見いだしたエウジェニオ・カンポルミ 発酵はその年の状況により、雨の多かった 強く、若い。 「パレオ・ロッソ」を は、2001年ヴィンテージから 2014 年は培養酵母が必要だったが、2013 年、 2011年はよい状況にあり70%は自然酵母で行っ Messorio 2011 メルロ100%。香りは閉じている。 カベルネ・フラン100%にすると決めたが、残念 にも同年他界してしまった。 「2001年をリリース た。糖度が高い年には完全発酵をするために、 感じるが、ジャミーではなく整然としている。収 した時には、皆からグリーンだと言われ、理解し 培養酵母は必要になるという。 れん性が多く、 カッチリとしたボディの枠を形成 てもらうのにとても時間がかかりました。生産本 熟成用の樽については、以前は112ℓの小さ している。 味わいはなめらかで、厚みがあり、エキス分を 数が少ない中、600本もの試飲サンプルを使っ なものを使っていたが、2009年から225 ℓに変 たのを覚えています」 と、チンツィア。 え、現在では225ℓと228ℓを半々にしている。5 他にもシラーのみの「スクリーオ」、メルロ 軒の製樽屋から購入するが、1軒は常に新しい 100%の「メッソリオ」と、単一品種主義を貫くの 会社にするといった念の入れようだ。 は、 「私と夫の主義です。 ストレートに、他とは違 シラーの 多雨だった2014年ヴィンテージは、 飲会は、36社から80アイテムの出品で行われた。 う方法でこの土地の個性を表現したい、 という 出来が思わしくなくスクリーオは造らなかった。 ノーマルのキュヴェは2014 年を主体に2009 年 20 ヴェルナッチャ・ディ・サンジミニャーノ ヴェルナッチャ・ディ・サンジミニャーノの試 ブルネッロ 2014 年は三ツ星 まで、 リゼルヴァは2013、2012 年を主体に2010 ボリュームもあり、バランスよい。 並べ、 ブラインド試飲するものだった。主催者側 年まで Poderi del Paradiso Biscondolo 2013 白い花や としては「ミネラルと塩気が秀でているもの、花 サ ン ジミニャーノの テリトリー のうち 、 果実の華やかな香りで、なめらかでバランスの やハーブの香りがするものがヴェルナッチャら 12,000haでブドウが栽培され、標高は67∼500m よい味わい。ほんのりバニラ香も。 しい」 という点を強調したかったようだ。俯瞰し までと大きな差がある。 La Castellaccia Tofanari 2012 柑橘類とその果 てみると、比較的細身の体格でニュートラルな 2013 年は「とてもよいヴィンテージだったの 皮の香り。厚みがあり、なめらか。 まだ若さを感 タイプが多いことに気がつく。 で、2013年はスキン・コンタクトを行った(ラ・ラ じる。 ストラ) 」 というように、果実の熟度が高かったよ リゼルヴァは次のものがよかった。 うで、蜂蜜香がするものが多く見られた。大きく La Lastra 2013 香りは閉じているが、ピュア。粘 分けると、 シャルドネ的なふくよかさやなめらか 性や厚みも感じるが、 ミネラルが豊かで固い。 ま モンタルチーノで開催された「ベンヴェヌー さを求めるタイプ、ストレートにタイトでミネラ だ若々しく、秀逸。 ト・ブルネッロ 2015 」には、合計 135 社が参加 ルな塩っぽさを出すタイプ、低温発酵できれい Lucli Libanio Mareterra 2013 熟した果実の香 した。今年 1月1日より出荷可能となったブルネ ベンヴェヌート・ブルネッロ2015 にコントロールするタイプの3つに分かれるよう り。なめらかで甘味を感じるほどの果実味。 シャ ッロ2010 年は単一畑もの 30 銘柄を含め143 銘 だ。 ルドネ的。 ロッソは2013年 柄、 リゼルヴァ2009年は30銘柄、 ノーマルでは以下のものが印象に残った。 Casa alle Vacche Crocus 2012 熟した黄色い (2012年の出品も目立った)をほぼ全社が出品 Abbazia di Monte Oliveto 2014 ニュートラルなが 果実の香り。 まろやかでいま美味しく飲める。 していた。 らバランスに優れている。同社の La Gentilesca Falchini Vigna a Solatio 2012 まだ控えめだが また、恒例の前年の収穫年について5つ星が 2014 蜂蜜が香り、なめらかな口当たり。 Casa alle Vacche I Moncchioni 2014 熟した果 豊かさを予想させる香り。口中もまだタイトで若 満点の公式評価の発表も行われた。2014 年は い。 2000年以来の「3つ星」だった。夏が涼しく雨が 実の香り。 ピュアでミネラル感も豊か。 Tenuta Le Calcinaie Vigna al Sassi 2012 マンゴ 多かったからだ。 ブドウの成熟がゆっくり進行し Palagetto 2014 白い花と果実の心地よい香り。 Panizzi 2014 白い果実の香りで、酸はソフト。 ミ ーな香り。味わいもオイリーでまるい。樽の要素 たため収穫時期が9月末から10月下旬にまでわ も出過ぎずバランス。 たったため「まるで70年代後半から80年代はじ ネラル感もある。 Palagetto 2011 マンゴーやバニラの香り。口中 めの頃にもどったようだ」 ともいわれ、良質の酸 Poderi Arcangelo 2014 熟した果実の香りで、 と もまろやかだが酸もしっかりし、ほどよいバラン が維持できたことについては肯定的な見解もあ てもなめらか。 ミネラル感もある。 ス。 る。 Poggio Alloro 2014 トロピカルな果実の香り。 Panizzi 2011 まろやかな香りで、バニラ香も。 公式発表では「精細で注意深く健全なブドウ ボリューム感もあり全体にソフト。 なめらかで心地よいバランス。 を選抜することが不可欠な年だった。 しかし、そ Tenuta Le Calcinaie 2014 とても綺麗なピュア Teruzzi & Puthod 2011 トロピカル系果実の香 れができた造り手はよい結果が得られた。醸造 な白い果実の香り。バランスよく、酸もなめらか りが立ちのぼる。口中もなめらかで、ほどよいフ においても、優しくデリケートな抽出がとても重 さも。 レッシュな酸と果実味とのバランスが秀逸。 要だった。2014年は間違いなくエレガントで、支 Teruzzi & Puthod 2014 クリアーな立ちのぼる また、 ヴェルナッチャ・ディ・サンジミニャーノ 配的ではないがバランスがよい。それほど長期 香り。味わいのバランスもよく、 きれいな造り。 とブルゴーニュ地方のコート・シャロネーズの 熟成に向いているとはいえないが、多くの造り Panizzi Vigna Santo Martherita 2013 シャルド 白ワイン(ブーズロンも含む) との比較試飲が 手にとって、 また別の面白い年になるだろう」 と、 ネを思わせる、場に羅や熟した白い果実の香り。 行われた。 どちらも6種類ずつをアトランダムに コンサルタントのパオロ・ヴァガッジーニは語っ 21 トスカーナDOCG / DOCワイン試飲会 2015アンテプリマ・ディ・トスカーナ 飲み頃になっている可能性が高い。 今年は、公式評価5つ星だった注目の2010年 に焦点をあてて試飲した。一足早く試飲した英 米のジャーナリストが「何を飲んでも素晴らし い」 と褒めちぎっていたが、実際には必ずしもす べての出来がよいわけではないと感じた。 2011 年のベンヴェヌートで発表された2010 年の公式見解は「春から低温多雨で成育が遅 れ、開花時点で収穫量の10%ダウンは確実とな り、病気の心配も広がった。 しかし、夏は晴天続 きでバランスよい成熟が得られた。収穫は例年 より1、2 週間遅くなったが、すべての要素が稀 なほど高いレベルで揃った偉大な年となった」。 造り手の個々の意見は次のようだった。 「雨の影響が思ったよりも大きく、標高が高く バンフィの葡萄畑 モンタルチーノ、ジアンニ・ブルネッリのボトル ている。市場に出てくる4年後以降には、既に POGGIO IL CASTELLARE FATTOI FERRERO GIANNI BRUNELLI LE CHIUSE DI SOTTO LA PODERINA LA VELONA LE RAGNAIE POGGIO ANTICO POGGIO DI SOTTO SALVIONI SANTA GIULIA SASSODISOLE SESTI TENUTE SILVIO NARDI UCCELLIERA ARMILLA 水はけのよい土壌一帯では素晴らしい結果が 除梗の後、光学式の選果機で選別されたものだ け。 この間は、 ドライアイスで酸化防止の処置を とられる。少量破砕してからタンクの中で12 ∼ 13℃で48時間の浸漬が行われる。発酵は28∼ 30℃で培養酵母によって9日から2週間強となる。 この この間に3回ほどデレスタージュを行うが、 と下部(1200ℓ)に分かれて 槽は上部(1700ℓ) いて、下部は桶の役割を果たしている。 「1980 年代は発酵温度が 30 ∼ 32℃でした」。 その頃は、意図的にタンニンで引き締めると いう方向性だった。ところが、1990 年代半ば から次第により柔らかいタンニンを求めるよう に変わったという。更に 2013 年からは、マロ ラクティック発酵を大樽で行うようになってい る(少量は小樽、ステンレスタンクでも行う)。 早い段階で方向転換を図っていたことがわか る。 出ている」(バンフィ) バンフィBanfi 屋外には、たくさんの樽材が整然と積まれて 「暑くはなく、基本的にはクラシックな年で、 モンタルチーノでは、1978年に創立して以来、 いた。西向きの場所で海風が入ってくる。 ここで、 色もあり酸も適度だった。まだ飲み頃には達し 常にモンタルチーノのリーダー格を担ってきた、 350ℓ用のオーク材を3∼4年間シーズニングさ ていないと思う」(ブルネッリ) またこの土地の経済的発展に大いに貢献して せているのだ。 もちろんガンバでも行っている 「量は多くないが、品質は充分。長期熟成型」 きたバンフィを久しぶりに訪問した。 が、すべて樽屋まかせにはしないという慎重な 醸造所へ入ると大きな新しい発酵槽がいく 姿勢だ。 つも目に入った。不思議なことにステンレスス 地下5mの樽貯蔵庫には、60∼120hℓのスロ ティール部分と木製部分が組み合わさっている。 ベニアンオーク、 フレンチオークの樽が並ぶ。25 (ピアン・デル・ヴィーニュ) 」 比較的標高の高い場所に畑を所有している 造り手のほうが、バランスよいものが多かった というのが試飲した感想だが、 リゼルヴァを造 プレミアム・ワイン用の 「2007 年から導入した、 年間使うというが、求める通りの仕上がりが期 ると言っているところも多く、平均以上に期待で 特注タンクです」 と、同社に長年勤める宮島義 待できるという理由で徐々にフレンチオークへ きる年であることには間違いなさそうだ。 明さんが説明してくれた。温度管理などのステ 移行していく予定だ。マイナー・チェンジは常に <2010年を試飲して印象に残った造り手> BRUNELLI CANALICCHIO DI SOPRA CASTELLO DI VELONA CASTELLO ROMITORIO COL D'ORCIA ンレスタンクの優れた点と、ゆっくりした穏やか 継続されている。 に酸化の進む木製の優れた点の両方を兼ね備 Brunello di Montalcino Castello Banfi 2010 熟し えている。樽のガンバ社、 ステンレスのアブルッ たまろやかな果実の凝縮感ある香り。なめらか ツァ社、そしてバンフィの3社で特許を取得して なアタックで、酸はソフトに感じられ、ボリュー 22 いるようだ。 ム感がある。 タンニンも豊か。 ブドウの熟度が感 この発酵槽に入るブドウは、手摘みされ100% じられる。 ◆
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