No.9 便通の回数や排泄量の減少を言います。

No.9
便通の回数や排泄量の減少を言います。すべての便秘が治療の対象となるのではなく、不快感を生じ
るときに始めて治療の対象となります。食生活の欧米化やストレス社会
、生活習慣の激変が国民全体に広がっている現在では、便秘になりやすい状況があふれ
ているといわなければなりません。高齢者では更に運動不足や医薬品の服用、腸管の運
動低下などが重なり、便秘で無い人のほうが少ないかもしれません。又、女性は、
ホルモンにより便秘になりやすい体質ですので、気をつけましょう。
便秘薬には作用する機序が違っているものがありますので、一覧してみましょう。
分類
機械的
下剤
種類
膨張下剤
浸潤性下剤
塩類下剤
糖類下剤
刺激性
下剤
自律神
経作用
薬
大腸刺激
小腸刺激
副交感神経
刺激
副交感神経
遮断
その他
浣腸・坐薬
医薬品名
バルコーゼ
備考
水分を含んで膨張し、大腸を刺激することで自然に
排便を促す。習慣性は無いが、作用が緩やか
バルコゾル
硬結便を軟化させ、排便を容易にさせる。
作用が弱いため、他の便秘薬と併用する
カマグ、
大量の水分と併用することにより、腸管内に水分を
硫酸マグネシウム
保持し、排便しやすくする。
習慣性が無いため連用に適している。
モニラック、
浸透圧の作用により、水分を腸管内に保持し、腸内
ソルビトール
で有機酸を発生し、その刺激で腸の蠕動運動を促
す。小児の便秘によく用いられる。
センナ、プルゼニド、 最も多く使用されている便秘薬
ラキソベロン、
8∼12時間後に効果が現れる
ダイオウ、アロエ
ヒマシ油
内服後2∼4時間で効果を発現。
パントシン
弛緩性便秘に有効
トランコロン
痙攣性便秘に有効
コロネル
プリンペラン
グリセリン・レシカルボン
下痢にも便秘にも有効(過敏性大腸症候群に有効)
弱い作用を持つ
速効性
常習便秘では、生活様式や食生活の改善などにより排便リズムの回復を試みるが、これによっても回復
が困難な場合に緩下剤を服用します。
一般的に高齢者に多い「弛緩性便秘」には、膨張性下剤や刺激性下剤が用いられることが多く、大腸の
緊張が高まっている痙攣性便秘には、塩類下剤や膨張性下剤などの非刺激性下剤が用いられます。
服用時間は、排便が朝に行われることから就寝前が多いのですが、浣腸や坐剤、ひま
し油など効果の発現の早いものは、朝に用いられることが多いようです。
強力な下剤の連用では、
脱水、低 K 血症などへの注意が必要で口渇や尿量の増加
筋力の低下、倦怠感などの症状が現れることがありますので、便秘薬を使って激しい下
痢状態のまま便秘薬の使用を続けないようにしてください。
生活上の注意は、便秘の原因や型で異なってきます。
弛緩性便秘
腸の動きを刺激する残渣の少ない食品を避けて繊維食を心がけましょう。規則的な
生活や運動も重要です。便秘の原因になる薬剤の服用は、ありませんか。一度主治医の先生や薬剤師に
相談してください。
便秘の原因となる薬剤
1)抗コリン剤・・・胃薬として服用していることがあります。
2)咳止め・・・よく効く咳止めとしてコデインが使われますが下痢の薬としてもつかわれます
3)抗うつ剤・・・初期の抗うつ薬(現在でもよく使用されます)によく起こります。
4)血圧降下剤・・・利尿薬や Ca 拮抗剤服用時に便秘の傾向が見られます。
5)筋弛緩剤・・・肩こりなどの症状を和らげるためによく服用します。
6)精神神経用薬・・・抗不安薬や睡眠導入剤などにも便秘傾向が現れることがあります。
痙攣性便秘
心理的なストレスが原因となっていることが多く、刺激物(香辛料など)の摂取を控え、規則正しい
生活を送ることが必要です。
Q
便秘になる生活上の原因は?
A
1) 脂肪食を多く摂る・・・ビフィズス菌が減って腸内環境が悪くなります。乳酸菌発酵食品を
摂りましょう(ヨーグルト製品など)
2)
いきたいときに我慢をする・・・朝食後は排便反射が起こって最も理想的なトイレタイム
そのチャンスを逃がさないように
3)
生活のリズムを乱す・・・睡眠不足や食事をしなかったりしていませんか。
運動不足もだめ。腹式呼吸をしたり、30 分程度の散歩(だらだら
は駄目)も効果的です。
Q
便秘は怖くない?
A
便秘には、うつ病や結腸過長症、甲状腺機能低下症、糖尿病などが原因となって
いることがあります。又、最近ひどくなってきていると感じる場合も別の大腸の病気
を確認する必要があります。つまり、医師の診断を受けてからの治療が大切なのです。
Q
妊娠すると便秘になる?
A
妊娠すると流産しないように黄体ホルモンによって腸管の運動が抑制されます。当然、妊娠中は便
秘になりやすいのです。食物繊維と水分を多く摂ったり、朝一番に冷たい牛乳を飲んだり排便習慣を維
持するなどが、重要です。それでも改善しない場合は、便秘薬を使用するのですが、流産しないように、
強力な下剤は、用いません。
Q
漢方の便秘薬にはどのようなものがありますか
A
麻子仁丸・潤腸湯(腹力が弱い人に用いる。効果が穏やか)、乙字湯(痔疾の人に用いる)
防風通聖散(肥満体質の人)、六君子湯(子供や体力の無い人)、桂枝加芍薬大黄湯(虚弱体質で
下剤を飲むと腹痛して気持ちの良い通じが無い人)などがあります。
クスモト薬局