︻ P ︼人生は無意識に支配されている

︻P︼人生は無意識に支配されている
︹赤信号で止まるのは、なぜ?︺
│││無 意 識 に あ る ル ー ル
NLPの核心部分の一つをお話します。
このお話は、私たちの望ましい未来をスピーディーに創り出すお手伝いをしてくれます。
また、現在の状態をもっと良くしたいと思うのであれば、望むような状態にするお手伝
いをしてくれます。
NLPは、分野を超えて卓越した成果を出している者たちのやり方を体系化したスキル
です。
ですから、もし今、思うような結果を残していないなら、この後のお話が役立つかもし
れません。
日常生活で当たり前に行動していることがあります。
交差点を渡るときに、私たちは赤信号では止まります。
青信号になると進みます。
私たちは日常生活において、習慣となっているこのようなルールに従い生活しています。
しかし、このルールを通常は意識していません。
赤信号で止まっていた状態から青信号になったときに﹁あれ?
どうすればいいんだっ
け?﹂と考え込む人は少ないですね。
しかし、信号がないアフリカの奥地に住む人が、いきなり日本に来ても、横断歩道の赤
信号や青信号の意味は分からないと思います。
このように、普段意識することのない習慣は、私たちが快適で安全に社会生活を送るた
めのルールです。
安全に社会生活を送るためのルールは、他にもたくさん私たちの無意識の中にあります。
たとえば、次のような無意識の中にあるルールは私たちを守ってくれます。
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言葉で奇跡を起こす
35 第 1 章
﹁夜道の一人歩きは危ない﹂
﹁学ぶことが成長に繋がる﹂
﹁甘い話に簡単に乗らない﹂
このようなルールを、通常、私たちは意識していません。
信号が変わると、進んだり止まったりと行動が変わります。
日が短くなると﹁夜道の一人歩きは危ない﹂というルールが自然に発動し、自宅までの
帰り道を変えさせたりするかもしれません。
そうです。このようなルールは通常無意識にあり、私たちの行動を自動的にコントロー
ルしています。
プログラム
そして、そんなルールが、いつも正しければいいのですが、そうとは限りません。
無意識に あ る 様 々 な ル ー ル
このように、無意識には、私たちの行動をコントロールするルールがあります。
これから、プログラムができるまでのプロセスを、二つご紹介しましょう。
実は、プログラムができる過程には、五感を伴う体験︵N︶が深く関わっているのです。
られるのでしょう?
ところで、私たちの行動や人生に影響を及ぼす﹁プログラム﹂︵P ︶は、どのように作
つまり、意識できない部分が、人生の大半をコントロールしている、とも言えるのです。
私たちの行動や人生は、プログラムの影響を大きく受けています。
﹁判断基準﹂と呼ばれる様々な種類のものがあります。
NLPで扱うプログラムには、
﹁メタプログラム﹂﹁価値観﹂﹁信念﹂﹁習慣﹂﹁トラウマ﹂
NLPでは、それをプログラムと呼んでいます。
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言葉で奇跡を起こす
37 第 1 章
体験とプ ロ グ ラ ム の 関 係
もう数年前のことです。
代前半の女性客室乗務員の人が、年上の女性の上司とうまくいかないと相談に来
ました。
男性の上司とはうまく仕事ができるのに、女性の上司とはうまくいかないのです。
どうしてなのでしょう?
彼女は 1990 年代、当時の就職氷河期に客室乗務員として採用された人です。
外見的にも素敵な人でしたが、話を聞いていると内面の美しさにも魅力がある人でした。
彼女と話をしていくと、彼女の中に、あるプログラムを作った体験があることがわかり
ました。
それは、彼女が少女時代の出来事でした。家族は、お父さんとお母さん、お父さんの祖
父母、そして、彼女は三人姉妹の長女です。
彼女が物心ついた頃から、両親は不仲で毎日のように喧嘩していたそうです。
お父さんは喧嘩しても、自分の両親と一緒に時間を過ごすことができました。夫婦喧嘩
のストレスをそこで発散することができました。
しかし、お母さんには誰一人味方がいませんでした。小さな三人姉妹を置いて、飲みに
行くことなんてもちろんできません。
そして、夫婦喧嘩で溜まったストレスや怒りの感情は、長女である彼女に向けられたの
です。
毎日毎日、母から次のような言葉を聞かされたそうです。
﹁結婚しなきゃよかった⋮⋮﹂
﹁男は結婚すると変わる﹂
﹁騙された⋮⋮﹂
﹁失敗した﹂
﹁男は信用できない﹂
このような体験の繰り返しで、プログラムが作られます。
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言葉で奇跡を起こす
39 第 1 章
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皆さん、
﹁青信号は渡る﹂
﹁赤信号は止まる﹂、というのは、学校の先生や親から繰り返
し同じことを体験することでプログラム化されたでしょう。
彼女も同じでした。物心がついてから、毎日繰り返しお母さんから聞かされた言葉で、
彼女の中に、あるプログラムができたのです。
男に対するプログラムです。
彼女が成長して思春期を迎えた頃、周りの友達は自由に恋愛を楽しんでいました。
でも彼女は、
﹁男の人に騙される﹂
、
﹁男は信用できない﹂とプログラムされていますから、
積極的に恋愛ができません。
恋愛禁止令みたいなものをお母さんからもらったからです。
けれど人間は誰もが、より深い無意識のところで﹁人と繋がっていたい﹂、﹁子孫を残し
歳を過ぎた彼女は、これまで深い恋愛を経験したことがなかったのです。物
たい﹂というものを持っています。
しかし、
心ついた頃の体験とプログラムは、 年以上が経っても、行動に影響を与えていたのです。
ている深い部分との葛藤の表れかもしれません。
もし、ある症状に気づいているなら、それは、あるプログラムと、人間として誰もが持っ
あなたの無意識があなたの人生をコントロールしています。
らしています。
あれから数年。何通かの手紙をいただきました。今では二人の子どもを持ち、幸せに暮
﹁
﹃結婚したい﹄という自分がいることに気がつきました!﹂
カウンセリングの後、彼女は私にこう言い残して帰って行きました。
ムに気づくことができます。
しかし、症状というサインで、私たちは自分の中にある、自分を抑圧しているプログラ
私たちは無意識にあるプログラムの存在に、なかなか気づくことができません。
上司との関係がどうしてもうまくいかないという症状が出たのです。
る人に対しての怒りが、母親への怒りとなり、その反動で、母親と同じ年上の女性である、
﹁人と繋がっていたい﹂
﹁子孫を残したい﹂という、人間として当たり前の使命を邪魔す
さんに対する怒りが表現されたものなのです。
そして、理解し難いかもしれないけれど、年上の女性上司とうまくいかないのは、お母
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41 第 1 章
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両親との関わり方を決めた出来事
もう一つの例をお話ししましょう。
たった一度の強烈な体験によって、プログラムが完成した例です。
私がまだ、5歳くらいだった頃の話です。もう、 年以上前の話です。
あの頃、盆と正月は母親の実家に里帰りする習慣がありました。
小さかった私にとって、お小遣いが貰える実家への里帰りは、楽しみな年中行事の一つ
でした。
母親の実家に遊びに行くと同じ年頃のいとこが、新しいおもちゃで遊んでいました。
私にそれを貸してくれませんでした。いとこはケチだったわけではありません。
いとこは、買ってもらったばかりのおもちゃだったので、夢中で遊んでいただけだった
のです。
わがままな私は、いとこと同じおもちゃがほしくなり、ダダをこねます。
﹁お母ちゃん。僕も、あのおもちゃがほしい!﹂
優しい母親に言ったら困っていました。
なぜならば、母親は車の運転免許を持っていないので、おもちゃ屋さんがある市内まで
私を連れていくことができないからです。
通常であれば、そこにいる母親の兄弟が、私たちを市内に連れて行ってくれるのですが、
あいにく運転できる大人たちはお酒を飲んでいて、それがかないませんでした。
しかし、わがままな私はそんなことはお構いなし。
母親を見てダメなら、
近くにいた叔父たちに、﹁ねぇ!
おもちゃ屋さんに連れて行って﹂
と大声でお願いを続けたのです。
それを見ていた父親は、
﹁のりお。我慢しなさい!﹂
私は﹁やだ、やだ、ほしい!﹂
父は﹁日曜日は、おもちゃ屋は休みだ。だから買いに行けない﹂
私は﹁絶対ウソだ!
日曜日におもちゃ屋が、休みなわけがない﹂
幼かった私でも、さすがにそれくらいは分かりました。それがきっかけで、さらに私は
大暴れして騒ぎました。
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43 第 1 章
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﹁絶対におもちゃ屋は休みじゃない。今すぐ買って!﹂
すると、いよいよ父もキレて、信じられない行動に出ます。
なんと父は、私の足首を持って逆さまにして、ベランダから全身を家の外につるして、
グルグルと回したのです!
この瞬間、私の内側にプログラムが作られました。
﹁父親は怖い﹂
﹁絶対にこの人には頼み事をするのはやめよう﹂と決断するのです。
そして、それが父との 年間の関係を構築していきます。
私のわがままが引き起こした出来事ですが、それ以来、父親には何も頼むことをしなかっ
たような気がします。
というか、頼み事が怖くてできなかったのでしょう。
そうです。たった一度の体験でもプログラムは作られるのです。
そして、それが相手との関係を決めてしまうのです。
︹以前に恥をかいた経験はありませんか?︺
│││安易に問題を解決しない
皆さん、これから小学 年生にタイムスリップしましょう!
今日は授業参観日です。あなたの両親も同級生の両親も、たくさん来ていてクラスの後
ろから見ています。
そして、あなたの友達の太郎君は、ちょっと勉強が苦手な子どもです。
体育は得意だけれど、国語、算数、理科、社会は苦手な太郎君です。
担任の先生は、勉強ができなくても、体育が得意で明るく元気な太郎君が大好きです。
授業が始まり、担任の先生が漢字を黒板に書いて問題を出します。
﹁この漢字、何て読むか分かる人?﹂
太郎君は、その漢字が読めません。
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しかし、太郎君以外のクラスメイトはみんな﹁はい﹂﹁はぁーい﹂﹁先生、ハイ﹂と手を
挙げています。
手が挙がっていないのは、国語が苦手で漢字が読めない太郎君だけです。
すると、後ろから太郎君の両親が﹁○○って読むんだよ﹂と小声で教えてくれようとし
ているのですが、太郎君の耳には届きません。
太郎君は、
﹁分からないけれど、両親の手前、手を挙げようか!﹂﹁みんな分かっている
のに、僕だけ分からないなんて恥ずかしいな!﹂
そんなプレッシャーの中で、先生に指されないことを願い、自信なくそろそろと手を挙
げた太郎君。
すると、大好きな太郎君に花を持たせたい先生は、珍しく手を挙げた彼を指すのです。
﹁太郎君。何て読みますか?﹂
しばしの沈黙の後、太郎君は﹁分かりません﹂と言うでしょう。
すると、クラスは大爆笑することでしょう。
そのとき、太郎君にプログラムができます。
﹁恥かいちゃったな、これから先は、人前で積極的に話すことはやーめた﹂というプロ
グラムです。
人間というのはいつも、安心・安全・安定した状態でいたい生き物だそうです。
﹁不快﹂より﹁快﹂な状態でいたい生き物です。
ですから、太郎君が﹁人前で積極的に話さない﹂というプログラムを持つことは、当然
のことかもしれません。
人前で話すと思わず赤面してしまったり、極度に緊張してしまう人も、過去の恥をかい
た体験が影響している場合があるようです。
もちろん、すべての人が同じような体験で、同じようなプログラムを持つとは断定でき
ませんが⋮⋮。
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47 第 1 章
︹過去の嫌な体験からのトラウマを直す努力をしていませんか?︺
│││感情の手当と思考の手当
太郎君は、二つのメッセージを無意識に組み込みました。
一つが自分を制限する思考﹁人前で積極的に話すと恥をかく﹂。
もう一つが、
﹁私は恥をかいて、辛い経験をした﹂というトラウマ的な傷ついた感情です。
NLPが目指すものは行動変容です。
人間が変化し行動変容するには、二つの障害があります。﹁思考﹂と﹁感情﹂です。﹁思
考﹂というのは、ほとんどが思い込みや妄想です。
太郎君の場合も、
﹁人前では積極的に話すと恥をかく﹂というたった一度の体験からき
た思考︵思い込み、妄想︶が、人前で話すすべての機会に制限を作ってしまったのです。
もう一つが、
﹁もう二度と恥をかきたくない﹂という感情が行動変容を邪魔します。
こんな場合には、思考と感情、両方への取り組みが必要です。
年生で身に付けた﹁人前では積極的に話すと恥をかく﹂
ここで重要なポイントが﹁安易に問題を解決しない﹂ということです。
なぜならば、太郎君が小学校
という思考は、見方を変えると﹁人の話をよく聞くことができる﹂﹁その場の雰囲気を感
じ取れる﹂という能力であり、彼の持ち味なのです。
このスキルをNLPでは、リフレーミングと呼びます。
リフレーミングとは、出来事の見方を変えて、受け取り方や意味づけを変えることです。
たとえば、
﹁雪の少ない冬﹂はスキー場関係者やスキー愛好家にはネガティブな出来事
ですが、その地域で暮らす人にとっては面倒な雪下ろしがなくなったり、幼い子どもが安
全に学校へ登下校できるポジティブな出来事として捉えることもできます。
ある視点から見ると短所に見えることでも、視点を変えると長所や持ち味になるのです。
NLPや心理学を誤解されている人は、
太郎君が﹁人前で積極的に話すことができない﹂
プログラムに対して、過去の体験をやり直すトレーニングをやったりします。
しかし、この場合、そのような取り組みをすることは間違いのような気がします。
卓 越 し た NLP ト レ ー ナ ー は 次 の よ う な 思 考 と 感 情 へ の ア プ ロ ー チ を す る で し ょ う。
﹁親の期待に応えよう﹂という太郎君の気持ち。﹁将来、同じように恥をかいてしまうかも
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知れない﹂という怖れ。
このような感情に対する取り組みをするために、過去の体験にアプローチすることは意
味があります。
そして、
﹁人前で話すと恥をかいてしまう﹂という思考︵妄想︶に対しては、﹁人の話を
よく聞くことができる﹂
、
﹁その場の雰囲気を冷静に読み取れる﹂とリフレーミングするの
です。
リフレーミングをすることで長所や持ち味になる思考︵妄想︶を安易に変えてはいけな
いのです。
︹リフレーミングすることで長所となる性格はありませんか?︺
│││プログラムは安心して生活するためのルール
プログラムは私たちの社会生活を守るためのルールだとお話ししました。
だから、自分を守ってくれているプログラムを安易に変える必要はありません。
自分が安心して生活するために作られたプログラムは、リフレーミングすることによっ
て長所と認識するのです。
﹁人の意見がよく聞ける﹂や﹁その場の雰囲気を冷静に読み取る﹂という自身の持ち味
を持った上で、自分の意見を積極的に発言するトレーニングをすればいいのです。
問題を解決してしまうことは﹁百害あって一利なし﹂と言う心理臨床家がいるほどです。
︹
﹁苦しい﹂という気持ちがあれば、それは、どうしてなのか考えてみてください!︺
│││症状は私たちを成長させるサイン
さて、太郎君が大人になり、様々な経験をします。
代になり仕事でもプロジェクトリーダーとして活躍しようとすると、ある症状が出始
めました。
会議の場で、リーダーである太郎君が自分の意見を積極的に言わなかったことが原因で、
プロジェクトが失敗してしまうのです。
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そして太郎君は、後悔するのです。
﹁あのとき、ちゃんと自分の意見を言えたらな⋮⋮﹂。
﹁もっと積極的に話ができたらな﹂
。
貢献することに積極的でなかった自分が不甲斐なく、太郎君はだんだんと苦しくなりま
す。この苦しい気持ちが症状です。
は捨てなくていいのです。
でも、お母さんからもらった、騙そうとする男から自分を守ってくれているプログラム
てしまうかもしれません。
︵ちょっと、大げさですね。︶
﹁男は女を騙す﹂というプログラムを壊してしまったら、すべての男を信じるようになっ
しれません。
男に対するハードルが全くなくなり、悲惨な恋愛を繰り返す運命をたどってしまうかも
この事例で、これまで自分を守ってくれたプログラムを解決したらどうなりますか?
あの例では、年上の女性上司とうまくコミュニケーションできないというのが症状です。
客室乗務員が年上の女性の上司とうまくいかないお話をしましたね。
葛藤を解決したらふしだらな女に⋮⋮?
呼びます。
藤に対してアプローチすることを、NLPでは、葛藤の統合、インテグレーションなどと
そして、自分の無意識にあるプログラムと、もっと深い無意識にあるメッセージとの葛
﹁もっと世の中に役立ちたいよぉ!
成長したいよぉ!﹂という無意識からのメッセー
ジが、症状というサインで意識化されたのです。
そうです。今までのプログラムという枠組みの中では窮屈になったのです。
が芽生えてきて、これまで自分を守ってきたプログラムと葛藤するのです。
たほうが、いろんな人に役立てたのに。もっと人生が豊かになれたのに﹂。そういう思い
積極的にしないほうが安心だと思っていました。でも、﹁もっともっと積極的に関わっ
今までは人前で話すのは、恥ずかしいと思っていた太郎君。
﹁苦しい﹂という気持ち、そして﹁どうして苦しいのか﹂というのがポイントです。
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言葉で奇跡を起こす
53 第 1 章
彼女の﹁男は女を騙す﹂というプログラムを上手にリフレーミングすることが重要です。
たとえば、
﹁男性を選ぶときは、慎重にしなければならない﹂﹁結婚に失敗したと言いな
がら、母は私たちをしっかりと育ててくれた﹂とリフレーミングすればいいのです。
彼女の症状は、ある意味、太郎君の場合と同じです。社会生活を安全に生きようとする
プログラムから、はみ出そうとする何かが目覚めてきたのです。
﹁男は女を騙す﹂という無意識にあるプログラムと、﹁人と繋がっていたい﹂﹁子孫を残
したい﹂という深い無意識との葛藤が、年上の上司とうまくいかないという症状として現
れたのです。
人間なら誰もが持っている、深い無意識からのメッセージです。
深い無意識からのメッセージの一つは、元型エネルギーと呼ばれています。
元型エネルギーの表現は難しいのですが、あえて簡単にいえば次のようなものです。
﹁仲間を承認する﹂
、
﹁世の中に貢献する﹂、﹁繋がり、優しさ﹂、﹁勇気やパワーで愛する
ものを守る力﹂
、
﹁柔軟性、ユーモア、人を癒やす能力﹂等、人間なら誰でも持っているエ
ネルギーのことです。
︹怒り、孤独、怖れ、罪悪感、不安、不一致感、焦り、寂しさ、悲しみ、そんな症状を持っていませんか?︺
│││症 状 を 歓 迎 し よ う
怒り、孤独、怖れ、罪悪感、不安、不一致感、焦り、寂しさ、悲しみ。
あなたが今、こういうものを感じているとしたら、歓迎しましょう。
きっと、自分を守ってくれているプログラムと、深い無意識からのメッセージ︵元型エ
ネルギー︶との葛藤かもしれないからです。
そして、そんな症状、気持ちが湧き上がってきたら、安易にそれを解決しようとしては
ダメですよ!
繰り返しますが、それは自分の幅・枠を広げるチャンスだからです。
これまであなたを守ってくれていたプログラムの枠からはみ出ようとする、元型エネル
ギーの何かが目覚めてきたのです。
もちろんプログラムというルールの檻の中にずっといてもOKです。
いつまでも、症状の中にいてもいいのです。あなたが選択することだからです。
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55 第 1 章
︹もし今、思い通りの状態でないのなら、あなたはどうしますか?︺
│││すべてはあなたの選択から始まる
その状態をどうやって良い状態にしていこうかというのが、NLPの一つの特徴です。
人はいつも﹁快﹂な状態、安心・安全・安定した状態でいたいんです。
けれど﹁もっと良くなりたい!﹂と何かが目覚めてきたときには、そのサインを大切に
してあげてください。
ときには、無意識からの支配から、抜け出す必要があります。
プログラムに関して、整理しておきます。
①私たちは安心して社会生活を送るために、体験からつくられたプログラムに従って
行動しています。
②プログラムの中には、
﹁ 夜 道 の 一 人 歩 き は 危 な い ﹂ と い う よ う に、 あ な た を 守 っ て
くれる種類のものがあります。
③プログラムの中には、
﹁美人は冷たい﹂﹁お金を稼げば成功する﹂などのように、思
い込みや妄想のようなものがあります。そんなプログラムは、手放すか、書き換え
る必要があります。
④プログラムの中には、
﹁男に女は騙さ れ る ﹂ と い う よ う な も の が あ り ま す。 も し、
それが制限となっている場合には、リフレーミングをするなどしてポジティブな思
考に変えることができます。
⑤意識できるプログラムもあれば、無意識にあるプログラムもあります。たとえば、
座って電車に乗っているときにお年寄りを見かければ、﹁お年寄りに席を譲る﹂と
いうプログラムを意識することができる機会は多いでしょう。しかし、いつも同じ
ようなタイプの異性を好きになってしまうプログラムに、自分が気づくことは少な
いようです。
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言葉で奇跡を起こす
57 第 1 章