懲戒処分の指針 <平成28年4月1日改正> (PDF

懲 戒 処 分 の 指 針
第1
目的
本 指 針 は 、職 員 が 、地 方 公 務 員 と し て 遵 守 す べ き 義 務 に 違 反 し た 場 合 の 責 任
を 明 確 に す る と と も に 、職 員 の 非 違 行 為 を 未 然 に 防 止 す る 目 的 か ら 定 め た も の
である。
第2
懲戒処分の意義
懲 戒 処 分 は 、職 員 の 義 務 違 反 に 対 し て 、組 織 内 の 規 律 と 公 務 遂 行 の 秩 序 を 維
持するために、その道義的責任を問う行政処分である。
第3
懲戒処分の種類
任 命 権 者 は 、地 方 公 務 員 法 第 2 9 条 第 1 項 に 基 づ き 、職 員 が 、① 法 令 等 に 違
反 し た 場 合 、② 職 務 上 の 義 務 に 違 反 し 、又 は 職 務 を 怠 っ た 場 合 及 び ③ 全 体 の 奉
仕 者 た る に ふ さ わ し く な い 非 行 の あ っ た 場 合 の い ず れ か に 該 当 す る と き 、戒 告 、
減給、停職又は免職の処分をすることができる。
第4
基本事項
本指針においては、非違行為の代表的な事例を選び、それぞれにおける標準
的な処分量定を掲げている。
具体的な量定の決定に当たっては、
①
非違行為の態様、被害の大きさ及び司法の動向など社会的重大性の程度
②
非 違 行 為 を 行 っ た 職 員 の 職 責 、過 失 の 大 き さ 及 び 職 務 へ の 影 響 な ど 信 用 失
墜の度合い
③
日常の勤務態度及び常習性など非違行為を行った職員固有の事情等のほ
か 、適 宜 、非 違 行 為 後 の 対 応 等 も 含 め 総 合 的 に 考 慮 の 上 判 断 す る も の と す る 。
個 別 の 事 案 の 内 容 に よ っ て は 、標 準 例 に 掲 げ る 量 定 に か か わ ら ず 免 職 等 の 処
分をすることもあり得る。
な お 、標 準 例 に 掲 げ ら れ て い な い 非 違 行 為 に つ い て も 、懲 戒 処 分 の 対 象 と
な り 得 る も の で あ り 、こ れ ら に つ い て は 標 準 例 に 掲 げ る 取 扱 い を 参 考 と し つ
つ判断する。
ま た 、過 去 に 非 違 行 為 を 行 い 懲 戒 処 分 を 受 け た に も か か わ ら ず 、再 び 同 様
の非違行為を行った場合は、量定を加重する とともに、非違行為を行った職
員が、管理監督者の職にある場合には、懲戒処分の対象となるだけでなく、
降任などの分限処分をすることもあり得る。
第5
1
標準例
一般服務関係
(1) 欠 勤
ア
正当な理由がなく過去1年間に3日以上9日以内の間勤務を欠いた職
員は、減給又は戒告とする。
イ
正当な理由がなく過去1年間に10日以上20日以内の間勤務を欠い
た職員は、停職又は減給とする。
ウ
正当な理由がなく引き続き概ね3週間以上の間勤務を欠いた職員は、
免職とする。
(2) 遅 参 ・ 早 退
勤務時間の始め又は終わりに繰り返し勤務を欠いた職員については、当
該 遅 参 等 の 時 間 数 を 日 数 換 算 の 上 、 (1)の 例 に よ る も の と す る 。
(3) 休 暇 等 の 虚 偽 申 請
病気休暇、特別休暇及び職免等について虚偽の申請をした職員は、停職
又は減給とする。
(4) 勤 務 態 度 不 良
勤務時間中に職場を離脱して職務を怠り、公務の運営に支障を生じさせ
た職員は、停職、減給又は戒告とする。
(5) 職 場 内 秩 序 び ん 乱
上司・同僚等職員に対する暴行・暴言等により職場の秩序を乱した職員
は、停職又は減給とする。
(6) 公 文 書 偽 造 、 私 文 書 偽 造 等
公文書若しくは私文書を偽造し、若しくは変造し、又は偽造若しくは変
造された文書を行使した職員は、免職又は停職とする。
(7) 不 適 切 な 事 務 処 理
故意又は重大な過失により適切な事務処理を怠り、又は虚偽の事務処理
を行い、公務の運営に重大な支障を生じさせた職員は、停職又は減給とす
る。
(8) 虚 偽 報 告
事実をねつ造して虚偽の報告を行った職員は、停職又は減給とする。
(9) 収 賄 及 び 供 応 等
ア
賄賂を収受した職員は、免職とする。
イ
職 務 に 利 害 関 係 の あ る 者 か ら 利 益 や 便 益 の 供 与( 社 会 通 念 上 許 さ れ る
範 囲 の も の を 除 く 。 )を 受 け た 職 員 は 、 免 職 、 停 職 、減 給 又 は 戒 告 と す
る。
(10) 入 札 談 合 等 に 関 与 す る 行 為
都が入札等により行う契約の締結に関し、その職務に反し、事業者その
他の者に談合を唆すこと、事業者その他の者に予定価格等の入札等に関す
る秘密を教示すること又はその他の方法により、当該入札等の公正を害す
べき行為を行った職員は、免職又は停職とする。
(11) 営 利 企 業 等 の 従 事
許可なく営利企業等に従事した職員は、停職、減給又は戒告とする。
(12) 違 法 な 職 員 団 体 活 動
地方公務員法第37条第1項後段の規定に違反して同項前段に規定する
違法な行為を企て、又はその遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおっ
た職員は、停職又は戒告とする。
(13) 秘 密 漏 え い
故意に職務上知ることのできた秘密を漏らし、公務の運営に重大な支障
を生じさせた職員は、免職又は停職とする。
(14) 個 人 の 秘 密 情 報 の 目 的 外 収 集
そ の 職 権 を 濫 用 し て 、専 ら そ の 職 務 の 用 以 外 の 用 に 供 す る 目 的 で 個 人 の
秘 密 に 属 す る 事 項 が 記 録 さ れ た 文 書 等 を 収 集 し た 職 員 は 、減 給 又 は 戒 告 と
する。
(15) 個 人 情 報 の 盗 難 、 紛 失 又 は 流 出
過 失 に よ り 個 人 情 報 を 盗 ま れ 、紛 失 し 、又 は 流 出 さ せ 、公 務 の 運 営 に 支
障を生じさせた職員は、減給又は戒告とする。
(16) 個 人 情 報 の 不 当 利 用
職 務 上 知 る こ と の で き た 個 人 情 報 を 自 己 の 利 益 の た め に 利 用 す る 等 、不
当な目的で使用した職員は、免職、停職又は減給とする。
( 17) コ ン ピ ュ ー タ の 不 適 正 利 用( イ ン タ ー ネ ッ ト へ の 不 正 ア ク セ ス 、わ い せ
つ文書・図画の閲覧、電子データの損壊、不正プログラム等の利用・ウイ
ルス感染など)
職場のコンピュータを職務外の目的で使用した職員は、停職、減給又は
戒告とする。この場合において、公務の運営に支障を生じさせた職員は、
免職とする。
(18) セ ク シ ュ ア ル ・ ハ ラ ス メ ン ト ( 他 の 者 を 不 快 に さ せ る 職 場 に お け る 性 的
な言動及び他の職員を不快にさせる職場外における性的な言動)
ア
暴行若しくは脅迫を用いてわいせつな行為をし、又は職場における上
司・部 下 等 の そ の 地 位 を 利 用 し た 関 係 に 基 づ く 影 響 力 を 用 い る こ と に よ り
強 い て 性 的 関 係 を 結 び 若 し く は わ い せ つ な 行 為 を し た 職 員 は 、免 職 又 は 停
職とする。
イ
相 手 の 意 に 反 す る こ と を 認 識 の 上 で 、わ い せ つ な 言 辞 、性 的 な 内 容 の 電
話 、性 的 な 内 容 の 手 紙・電 子 メ ー ル の 送 付 、身 体 的 接 触 、つ き ま と い 等 の
性 的 な 言 動( 以 下「 わ い せ つ な 言 辞 等 の 性 的 な 言 動 」と い う 。)を 繰 り 返
し た 職 員 は 、停 職 又 は 減 給 と す る 。こ の 場 合 に お い て 、わ い せ つ な 言 辞 等
の性的な言動を執拗に繰り返したことにより相手が強度の心的ストレス
の 重 積 に よ る 精 神 疾 患 に 罹 患 し た と き は 、当 該 職 員 は 免 職 又 は 停 職 と す る 。
ウ
相 手 の 意 に 反 す る こ と を 認 識 の 上 で 、わ い せ つ な 言 辞 等 の 性 的 な 言 動 を
行 っ た 職 員 は 、減 給 又 は 戒 告 と す る 。こ の 場 合 に お い て わ い せ つ な 言 辞 等
の性的な言動を行ったことにより相手が強度の心的ストレスによる精神
疾患に罹患したときは、当該職員は停職又は減給とする。
2
公金公物取扱い関係
(1) 横 領
公金又は公物を横領した職員は、免職とする。
(2) 窃 取
公金又は公物を窃取した職員は、免職とする。
(3) 詐 取
人を欺いて公金又は公物を交付させた職員は、免職とする。
(4) 盗 難
重大な過失により公金又は公物の盗難に遭った職員は、減給又は戒告と
する。
(5) 紛 失
公金又は公物を紛失した職員は、減給又は戒告とする。
(6) 公 物 損 壊
故意に職場において公物を損壊した職員は、 停職又は減給とする。
(7) 出 火 ・ 爆 発
過 失 に よ り 公 物 の 出 火 、爆 発 を 引 き 起 こ し た 職 員 は 、減 給 又 は 戒 告 と す
る。
(8) 諸 給 与 の 違 法 支 払 ・ 不 適 正 受 給
故意に法令に違反して諸給与を不正に支給した職員及び故意に届出を怠
り、又は虚偽の届出をするなどして諸給与を不正に受給した職員は、停職
又は減給とする。
(9) 公 金 公 物 処 理 不 適 正
自己保管中の公金の流用等公金又は公物の不適正な処理をした職員は、
停職又は減給とする。
3
公務外非行関係
(1) 殺 人
人を殺した職員は、免職とする。
(2) 放 火
放火をした職員は、免職とする。
(3) 傷 害
人の身体を傷害した職員は、免職又は停職とする。
(4) 暴 行 ・ け ん か
暴行を加え、又はけんかをした職員が人を傷害するに至らなかったとき
は、停職又は減給とする。
(5) 器 物 損 壊
故意に他人の物を損壊した職員は、停職又は減給 とする。
(6) 横 領 ・占有離脱物横領
ア
自 己 の 占 有 す る 他 人 の 物( 公 金 及 び 公 物 を 除 く 。)を 横 領 し た 職 員 は 、
免職又は停職とする。
イ
遺 失 物 等 、占 有 を 離 れ た 他 人 の 物 を 横 領 し た 職 員 は 、停 職 又 は 減 給 と
する。
(7) 窃 盗 ・ 強 盗
ア
他人の財物を窃取した職員は、免職又は停職とする。
イ
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した職員は、免職とする。
(8) 詐 欺 ・ 恐 喝
人 を 欺 い て 財 物 を 交 付 さ せ 、又 は 人 を 恐 喝 し て 財 物 を 交 付 さ せ た 職 員 は 、
免職又は停職とする。
(9) 賭 博
ア
賭博をした職員は、停職、減給又は戒告とする。
イ
常習として賭博をした職員は、免職又は停職とする。
(10) 麻 薬 ・ 覚 せ い 剤 等 の 所 持 又 は 使 用
麻薬・覚せい剤等を所持又は使用した職員は、免職とする。
(11) 危 険 ド ラ ッ グ の 所 持 又 は 使 用
危険ドラッグ(医薬品医療機器等法又は東京都薬物の濫用防止に関する
条例により指定されている薬物)を所持又は使用した職員は、免職又は停
職とする。
(12) 酩 酊 に よ る 粗 野 な 言 動 等
酩酊して、公共の場所や乗物において、公衆に迷惑をかけるような著し
く粗野又は乱暴な言動をした職員は、停職、減給又は戒告とする。
(13) わ い せ つ 行 為 等
ア
強制わいせつ
暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした職員は、免職とする。
イ
淫行
18歳未満の者に対して、淫行をした職員は、免職又は停職とする。
ウ
児童買春
1 8 歳 未 満 の 者 に 対 し て 、金 品 そ の 他 財 産 上 の 利 益 を 対 償 と し て 供 与 し 、
又は供与することを約束して淫行をした職員は、免職とする。
エ
痴漢行為
公共の乗物等において痴漢行為をした職員は、免職又は停職とする。
オ
その他のわいせつな行為
法律や条例等に違反して盗撮、のぞき、児童ポルノの所持・提供等、
その他のわいせつな行為を行った職員は、免職又は停職とする。
(14)
ストーカー行為
ストーカー行為をした職員は、免職又は停職とする。
4
交通事故・交通法規違反関係
(1) 飲 酒 運 転 で の 交 通 事 故
ア
酒 酔 い 運 転 又 は 酒 気 帯 び 運 転 で 人 を 死 亡 さ せ 、又 は 傷 害 を 負 わ せ た 職
員は、免職とする。
イ
酒酔い運転で物を損壊した職員は、免職とする。
ウ
酒 気 帯 び 運 転 で 物 を 損 壊 し た 職 員 は 、免 職 又 は 停 職 と す る 。こ の 場 合
において、危険防止を怠る等の措置義務違反をした職員は免職とする。
(2) 飲 酒 運 転 以 外 で の 交 通 事 故 (人 身 事 故 を 伴 う も の )
ア
人を死亡させ、又は重篤な傷害を負わせた職員は、免職、停職又は減
給とする。この場合において措置義務違反をした職員は、免職とする 。
イ
人 に 傷 害 を 負 わ せ た 職 員 は 、減 給 又 は 戒 告 と す る 。 こ の 場 合 に お い て
措置義務違反をした職員は、免職とする。
(3) 交 通 法 規 違 反
ア
酒酔い運転をした職員は、免職とする。
イ
酒気帯び運転をした職員は、免職又は停職とする。
ウ
飲 酒 運 転 に な る お そ れ が あ る こ と を 知 り な が ら 、酒 酔 い 運 転 又 は 酒 気
帯 び 運 転 を し た 者 に 車 両 又 は 酒 類 を 提 供 し た 職 員 は 、免 職 又 は 停 職 と す
る。
エ
飲 酒 運 転 で あ る こ と を 知 り な が ら 、酒 酔 い 運 転 又 は 酒 気 帯 び 運 転 を し
た者の車両に同乗した職員は、免職又は停職とする。
オ
無免許運転、著しい速度超過等の悪質な交通法規違反をした職員は、
免職又は停職とする。
5
監督責任関係
(1) 指 導 監 督 不 適 正
部下職員が懲戒処分を受ける等した場合で、管理監督者としての指導監
督に適正を欠いていた職員は、減給又は戒告とする。
(2) 非 行 の 隠 ぺ い 、 黙 認
部下職員の非違行為を知得したにもかかわらず、その事実を隠ぺいし、
又は黙認した職員は、停職又は減給とする。
第6
内部通報及び告発関係
1
非違行為の事実を内部機関に通報した職員は、通報したことにより、い
かなる不利益も受けないものとする。
2
非違行為の事実を、自ら発覚前に申し出た職員に対しては、懲戒処分の
量定を軽減できるものとする。
3
職員が行った非違行為のうち、刑事事件に係る事案については、刑事訴
訟法に定めるところにより告発又は告訴を行う。
第7
職員の懲戒処分の公表基準
東 京 都 知 事 が 地 方 公 務 員 法 に 基 づ き 、職 員 の 懲 戒 処 分 を 行 っ た 場 合 は 、下 記
の基準により公表する。
1
公表基準
(1) 地方公務員法に基づく懲戒処分(免職、停職、減給又は戒告)
(2) 管 理 監 督 者 の 職 に あ る 者 の 非 違 行 為 に 対 し て 、懲 戒 処 分 と 併 せ て 行 っ た
分限降任処分
(3) 上記(1)又は(2)以外で、特 に 都 民 の 関 心 の 大 き い 事 案 又 は 社 会 に 及 ぼ す
影響の著しい事案
2
公表の例外
被害者又はその関係者のプライバシー等の権利利益を侵害するおそれが
あ る 場 合 等 に お い て は 、公 表 内 容 の 一 部 又 は 全 部 を 公 表 し な い こ と が で き る 。
3
公表する内容
個人が識別されないことを基本として、原則以下のとおりとする。
(1) 発 生 年 月 日
(2) 職 層
(3) 所 属 局 名
(4) 年 齢 及 び 性 別
(5) 事 件 概 要
(6) 処 分 内 容
(7) 処 分 年 月 日
ただし、免職を行った場合、又は争議行為等、社会に及ぼす影響が大き
い事案は、所属、職名及び氏名等の個人情報を公表する場合がある。
4
公表時期及び方法
(1) 懲 戒 処 分 を 行 っ た 後 に 、 速 や か に 公 表 す る 。
(2) 公 表 は 資 料 提 供 等 に よ り 行 う 。
5
その他
この指針は、平成28年4月1日から適用する。