アニュアルレポート 2011 ダウンロード (PDF:7.9MB)

アニュアルレポート 2011
2011年 3月期
Discovering Our Potential
アニュアルレポート2011
目 次
Top Message
p.01
トップ・メッセージ ̶̶
小林社長からのメッセージをお届けします。
p.07
Discovering our Potential ̶̶
『 中期経営計画 2012 』の投資戦略に基づく主要な投資案件の
概要について、ご紹介します。
TRILITY
Sustainability
p.78
三菱商事のコーポレート・ガバナンス、環境・CSR への取り組み等
についてご紹介します。
p.19
当期の成果 ̶̶
2011 年 3 月期決算の概要および中期経営計画の進捗等
についてご紹介します。
中期経営計画の変遷/投資実績と投資案件
CFO からのメッセージ
2011 年 3 月期決算の概要
財務ハイライト
金属・エネルギー資源データ集
Operations
コーポレート・プロフィール/沿革
組織体制
グローバルネットワーク
主要連結子会社および関連会社
株主情報
ESG* 情報 ̶̶
中国/ブラジル/インド
BMA /ドンギ・スノロ
航空機リース事業/ Princes /バイオ医薬/社船事業
Performance
p.64
経営情報 ̶̶ 三菱商事の歴史、経営理念、経営体制といった経営に関する基礎情報
のほか、株主の皆様に向けた株式情報などをご紹介します。
株主ならびにステークホルダーの皆様へ
社長インタビュー
Potential
Management
対談
コーポレート・ガバナンスに対する取り組み
内部統制に対する取り組み
主要リスクの管理について
チーフ・コンプライアンス・オフィサーからのメッセージ
三菱商事の環境・CSR
国際諮問委員会
取締役
監査役
執行役員
* ESG:環境( Environmental )
、社会( Social )
、企業統治( Governance )
p.30
コーポレートデータ
p.108
取り組みと戦略 ̶̶
社長直轄 2 部門や各営業グループ、各地域における営業活動の
状況についてご説明します。
社長直轄 2 部門の紹介
地球環境事業開発部門/ビジネスサービス部門
営業グループの業績
営業グループのプロフィール
新産業金融事業グループ/エネルギー事業グループ/
金属グループ/機械グループ/化学品グループ/
生活産業グループ
地域戦略
〈決算に関する詳細情報〉
2011 年 3 月期決算の詳細については、有価証券報告書をご覧ください 。
URL:http://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/ir/library/fstatement/
「アニュアルレポート2011 」における環境・CSR 情報の充実
三菱商事は、
『 継続的企業価値』の創出を目指しています。
『 継続的企業
価値』は、経済価値に、社会価値・環境価値を加えた三つの価値を統合し
た概念です。
「アニュアルレポート2011」
では、これまで「サステナビリティレポート」
でご報告していた社会価値・環境価値の創出に関連する情報
(環境・
CSR の取り組み状況)
を統合し、当社の『 継続的企業価値』の創出に向け
た取り組みを一体的にご報告することとしました。
〈 SRI インデックスへの組み入れ状況〉
三菱商事は、これまでの環境・CSR への取り組みと、情報開示における透明性
を 評 価 され、国 内 外 の 社 会 的 責 任 投 資
( SRI:Socially Responsible
Investment )インデックスに組み込まれています。
(2011 年 8 月現在)
〈ウェブサイトのご案内〉
アニュアルレポート
(オンライン版)
URL:http://www.mitsubishicorp.com/ar2011/ja/
環境・CSR の関連情報
URL:http://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/csr/
見通しに関する注意事項
このアニュアルレポートに記載されている三菱商事の将来の収益計画・戦略・理念および業績見通しなどのうち、歴史的事実でないものは将来に関する見通しです。これら
は、現在入手可能な期待・見積もり・予想・計画および当社の経営者による判断に基づいています。これらの期待・見積もり・予想・計画は、多くの潜在的リスク・不確実な要
素・仮定を含んでおり、実際の業績は、これらの重要な要素の変動により、当社の見込みとは大きく異なる可能性があります。従って、読者の皆様におかれましては、これらの
将来予測に関する記述について全面的に依拠することは控えるようお願いします。また、当社は新しい情報・将来の出来事あるいはその他動向に関するすべての見通しに関
する注意事項を更新する責任を負うものではありません。
実際の業績に影響を与え得るリスクや不確実な要素・仮定には、上記の内容以外に、商品市況・為替レート・当社の事業領域を取り巻く世界経済情勢・係争中および将来の
訴訟の結果・調達資金や金融商品・財源の継続的な有用性などがあります。ただし、業績に影響を与え得る要素はこれらに限定されるものではありません。
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
株主ならびにステークホルダー の皆様へ
株主ならびにステークホルダーの皆様に、2011 年 3 月期のアニュアルレポートをお届けします。
まず、東日本大震災で犠牲となられた方々、そして被災者の方々に、心からのお悔やみとお見舞いを申し上げます。復旧・復興
「東日本大震災復
に要する期間は長期に及ぶことが確実であることから、本業を通じて経済に貢献するとともに、総額 100 億円の
興支援基金」
を設立し、長期的かつ総合的に支援を行う体制を整えるなど、被災地の支援に全社を挙げて取り組んでいきます。
2010 年は、当社にとって経営交代という大切な節目の時でした。6 月に私が社長に就任し、7 月には 2013 年 3 月期までの 3 カ年
を対象とした中期経営計画を策定しました。新しい経営方針を打ち出し、その方針に向かって行動できたという意味で、2011 年 3
月期は、充実した
「変化の一年」
でした。
新中期経営計画では、お客様、社員、株主や債権者の皆様、および社会、地球を含めたすべてのステークホルダーに報いること
「国
ができるよう、多様な事業を通じて日本や世界の課題に貢献し、
『継続的企業価値の創出』
を目指しています。当社は、2010 年に
連グローバル・コンパクト」
に参加するなど、経済価値はもちろん、社会価値、環境価値をも含めた価値を継続的に創出し、企業と
しての永続性や競争力強化につなげていきたいと思います。
この目標の実現に向け、私は中期経営計画発表以降、各部門・営業グループと活発に討議し、成長戦略や投資計画など具体的な
「行動・実行の年」
です。スピード感を持って行動・実行し、成長の基盤と
施策を決定しました。2012 年 3 月期はこれを実行に移す
なる事業を伸ばしながら、新しい柱を創り上げていきます。
当社を取り巻く環境に目を転じますと、日本国内においては大震災の影響、世界においては新興国が着実な成長を続ける一方
で、先進国では欧州の金融不安がくすぶり続けるなど、不確実性をはらんだ状況です。さらに中東における民主化の動きが、世界
の政治・経済に影響を与える不安定要因となっています。
こうした状況の中でも、当社は、失敗を恐れず積極的に挑戦、
行動し、
『継続的企業価値の創出』に向け、ビジネスを通じて
「存在感」
を示していきたいと考えています。
2011 年 7 月
代表取締役社長
小林 健
01
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
社長インタビュー
2011 年3 月期は『 中期経営計画 2012 』の達成に
向け、着実な一歩を踏み出すことができました 。
社長就任 1 年目に当たる 2011 年 3 月期を振り返ってください 。
q.1
a
着実な一歩を踏み出すことができました 。
2010 年 6 月に社長に就任後、7 月には 3 カ年の『 中
業績に目を転じますと、2011 年 3 月期は、中東およ
期経営計画 2012 』を発表しました 。その後の詳細な
び北アフリカ情勢の混乱や先進国経済の停滞 、日本に
検討を経て 12 月には中期経営計画を具現化するため
おける東日本大震災の影響など 、市場の不透明感が
のさまざまな施策を打ち出しました 。新しい経営方針
増す中で 、2010 年 10 月に公表した見通しを上回り、
の下、その達成に向かって行動を開始したという意味
過去 2 番目の水準となる当期純利益 4,632 億円を上
で、充実した「変化の一年」であったと思います 。
げることができました 。資源価格の追い風はありまし
たが 、資源・非資源の両分野におけるさまざまな取り
組みが実を結んだことが 、全体として予想を上回る結
当期純利益と配当金の推移
(単位:億円、円)
5,000
100
4,000
80
3,000
60
2,000
40
1,000
20
0
0
果につながったものと考えています 。
また、1 株当たりの年間配当を過去最高の 65 円とし
たことに加えて、自己株式を消却するなど、株主の皆
様へ の利益還元に努めました 。
『 中期経営計画 2012 』では「収益基盤を強固なもの
としつつ 、効率性 、健全性も考慮しながら 、利益成長
を図っていく」
ことを目標の一つに掲げました 。2011
年 3 月期は、その達成に向け、着実な一歩を踏み出す
2006.3
2007.3
■ 当期純利益 ■
2008.3
2009.3
2010.3
2011.3
配当金の推移
* 当ページ以降に掲載される当期純利益は 、非支配持分を除く、当社株主に帰属す
02
る当期純利益の金額を記載しています。
ことができたと考えています 。
Mitsubishi Corporation
q.2
Annual Report 2011
東日本大震災へ の三菱商事の対応をお聞かせください 。
a
本業を通じて経済に寄与し、復興に貢献します 。
三菱商事では、地震発生 10 分後には災害対策本部
私は、甚大な被害が明らかになるにつれ、自ら被災
を立ち上げ 、BCP* を発動 、三菱商事グルー プおよび
地を訪問する必要が あると感じ、4 月に 2 回東北に行
取引先の被害状況を把握し、また、帰宅が困難となっ
きました 。被災地で懸命に頑張る方々 の姿を目にし、
た社員に対する食料 、備品の配布などを整然と行い
何よりも必要とされていることは、支援のスピードと
ました 。これは日頃からの訓練の成果だと思います 。
継続性だと強く感じました 。そこで、被災地の方々に
緊急対応を終えて、我々がやるべきことは、目の前
すぐ届くものを中心に、4 年間で総額 100 億円の復興
の仕事をしっかりとこなし、本業を通じて復旧・復興
支援基金を創設し、また 、社員をボランティアとして
に貢献することです 。幅広い産業とアクセスを持つ当
継続的に派遣し被災地復旧のお手伝いをすることと
社の最も重要な役割は、経済活動の潤滑油として機能
しました 。
することだと認識しています 。社員には、短期的には
私は 、三綱領の“ 所期奉公”の精神に基づき 、企業
対面業界の支援、中期的には復興への尽力、長期的に
市民として社会に貢献することは、企業としての永続
は復興の過程で展開した新しい発想から新しいビジネ
性や競争力強化につながるものと信じています 。
スを生み出そうとメッセージを送っています 。
* Business Continuity Plan(事業継続計画)
就学が困難となった学部および修士課程の
学生を対象に10万円(月額)を給付
(年間500名×4年を予定)
[25億円]
被災地の復旧・復興に従事するNPOや社会福祉
法人などを対象に助成金 250万円
(年額)
を給付
(年間200団体×4年を予定)
[20億円]
義捐金や人道支援(災害遺児
支援・高齢者支援)など
[25億円]
社員によるボランティア
(年間で延べ1,200名程度を被災地へ派遣予定)
被災した子どもたちとのキャンプなどのイベント
独身寮や研修施設、および
外部施設を借り上げて提供
[10億円]
支援物資の寄贈
「i-MiEV」30台の被災地への提供
被災地における各種復興支援 など [20億円]
03
Mitsubishi Corporation
q.3
Annual Report 2011
『 中期経営計画 2012 』の進捗状況をお聞かせください 。
a
当初予定通り着実に計画を遂行しています 。
『中期経営計画 2012 』では、3 年間で合計 2 ∼ 2.5 兆
シップ * をとり自ら事業を主導することも選択肢の一つ
円の投資を予定しています。2011 年 3 月期は中期経営
として必要であると判断し、優良な案件があれば積極
計画のスタートが 7 月だったこともあり、投資実績は
的に取り組みたいと考えています。また 、シェー ルガ
3,700 億円となりましたが、2012 年3 月期は実行確度の
スといった 、非在来型として注目される新しい資源の
高い案件が多く控えており、計画を変える予定は今のと
開発についても、ポートフォリオを充実させるための
ころありません。
重要な取り組みと位置付けています。
2011 年 3 月期は、資源分野では、インドネシアのドン
『中期経営計画 2012 』では、
「会社のかたち」
の変化へ
ギ・スノロLNG プロジェクトの最終投資決定を行いまし
の対応を大きなテーマとして掲げています。トレーディ
た。本件は当社として初めて最大株主として事業を主導
ングにとどまらず、資源投資や金融投資のように投資収
するLNG プ ロジェクトです。このほか、カ ナ ダ では
益を狙うものや、メーカーなどの事業会社を自ら運営し
シェールガス権益を獲得しました。
て収益を狙うものなど、当社の収益モデルは多様性を増
資源分野の投資において、今後ますます重要となるの
しています。それぞれの事業をさらに発展させるため
が、資源権益の持ち方や事業そのものへのかかわり方、
には、今までの単体中心、本社中心の考え方ではなく、
つまり事業形態の変化に伴い生じ得るさまざまなリスク
事業投資先や海外拠点にある程度の権限や資金を移す
を、いかにマネージしていくかということです。資源獲
など、時代のテンポに合わせていけるような組織やシス
得競争はますます激しさを増しており、リスクをとらずし
テムづくりが必要だと考えています。
て新規開発できるようなイージーガス、イージーオイル
2011 年は「行動・実行の年」
と位置付けていますが 、
はもはや存在しません。売り手と買い手をつなげること
社員には、自由な発想でどんどん挑戦しようと働きかけ
で、権益の一部を取得し、配当を得るという従来の収益
ています。まずは多様性を活かすことに注力しようとい
モデルは、依然重要ではありますが、それだけで継続的
うことです。その上で、次の段階として会社のかたちの
に成長することが可能な時代は終わりを告げています。
変化に相応しい経営基盤の整備など、多様性を束ねる経
こうした 状 況 を 踏まえ、当 社 では、オ ペレー タ ー
営につなげたいと考えています。
* プロジェクト推進の主導権を担うこと
『中期経営計画 2012 』投資計画基本方針
分野・地域
全社戦略地域
中国・インド・ブラジル
全社戦略分野
インフラ・地球環境
(単位:億円)
事業ポートフォリオの考え方
投資金額(3 年間合計)
新たな成長事業の育成
金属資源
エネルギー資源
産業金融・鉄鋼製品・炭素原料
船舶・自動車・化学品
リテイル・食料など
約 3,000
収益の柱のさらなる強化
10,000 ∼ 12,000
安定的収益基盤の充実
6,000 ∼ 8,000
全社合計(グロス)
04
1,000 ∼ 2,000
20,000 ∼ 25,000
Mitsubishi Corporation
q.4
Annual Report 2011
中長期的な世界経済の見通しをお聞かせください 。
a
先進国、新興国の区分けは意味をなさなくなり、変化のスピードはさらに加速する
でしょう。
金融危機以降、世界経済を牽引してきた新興国では
インフレ問題が深刻になりつつあり、中東および北ア
フリカにおいては民主化の動きが広まっています 。欧
州においては財政問題解決の出口が見えず、アメリカ
の景気回復も想定以上に緩やかです 。また、2012 年
はアメリカ、ロシアなど多くの国々 で選挙が予定され
ているなど、ますます先が読みにくい状況となってい
ます 。
こうした中、海外各国を訪問していますと、改めて
世界経済の変化が加速していることを実感します。
インター ネットなどのネットワークインフラが発達
した現代社会では、日本が高度成長を成し遂げた時代
とは違い 、情報が瞬く間に世界中に伝播します 。そう
人間の欲求はいったん満たされると、いつかはプ
いう中では 、生活に対する人々 の要求水準も高くな
ラトー(停滞期)
が訪れるため、今までのような変化の
り、かつてのような段階的な成長過程を経ない 、急速
スピードが永遠に続くとは限りませんが 、少なくとも
な経済発展を見せる地域も出てきています 。中国や
これからの 10 年 、いわゆるセカンド・ディケイドは 、
ブラジルの状況を目の当たりにすると、先進 、新興と
変化のスピードが早まることはあれ、遅くなることは
いう区分けそ のもの がもはや意味をなくしつつある
ないと考えています 。
と感じています 。
世界経済( GDP )
に占める割合
(単位:% )
35
EU
30
25
アメリカ
20
ブラジル
ロシア
15
インド
日本
10
中国
5
0
2000
01
02
03
04
05
06
07
08
出典:International Monetary Fund, World Economic Outlook Database, April 2011
09
10
11
12
13
14
15
16(年)
予測
05
Mitsubishi Corporation
q.5
Annual Report 2011
三菱商事を将来どのような会社にしていきたいか、ビジョンをお聞かせください 。
a
どのような経済環境にあっても強みを発揮し、
「 継続的企業価値」を創出できる
会社を目指します 。
先 ほど申し上 げたように 、現 在 の 三 菱 商 事 は 、ト
とって最大の財産である人材の強化を図り、質の高い
レーディングのみならず、さまざまな事業を世界中で
社員の育成に努めていきたいと思います 。また 、目
展開しています 。長年にわたり構築してきたこの事業
先の利益を追い求めるばかりではなく、すべてのス
ポ ートフォリオが あったことで 、金融危機の際でも 、
テークホルダ ー に対する責任を果たせる力を確実に
一定規模の利益を計上することができました 。経済
蓄えながら 、同時に 、将来の収益の柱を育てるため
環境が急変したり、資源価格や商品市況が大きく変動
に、しっかりと種まきをしていきます 。
するときにあっても、さまざまな分野で強みを活かす
三菱商事を、これまでの総合商社という既成概念に
ことのできる 、死角の ない会社にしたいと考えてい
とらわれることなく、どのような経済環境にあっても
ます 。
現在 、当社の強みとなっている資源分野にさらに注
力することはもちろん 、非資源分野においてもそれ
ぞれのセグメントで商社業界トップであり続け 、対面
業界をリードできるポジションを保ち続けていくこと
を目指します 。これを実現するためにも、三菱商事に
06
「 継続的企業価値」
を創出できる会社にすることが 、私
のミッションです 。
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
Discovering our
Potential
このセクションでは、
『 中期経営計画 2012 』の投資戦略に基づく主要な投資案件の
概要について、ご紹介します。
新た な成長事業の育成
TRILITY
China
Brazil
India
J p.8
J p.9
J p.10
J p.11
収益の柱の さら な る強化
BMA
Donggi-Senoro
J p.12
J p.14
安定的収益基盤の充実
Aircraft Leasing
Business
Princes
J p.15
J p.16
Biopharmaceuticals
J p.17
Ship Owning
and Chartering
J p.18
07
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
TRILITY
世界水ビジネス市場の
地域別成長見通し
(単位:兆円)
サブサハラ・
アフリカ
東アジア・大洋州
中東欧
中南米
中東・北アフリカ
北米
南アジア
西欧
2007
2025
*1 米ドル=100 円換算
出所:Global Water Market2008
および経済産業省試算
TRILITY ̶̶ オーストラリアにおいて水のトータルマネジメントを展開
世界の水事業マーケットが急速なスピードで拡大する中、三菱商事は、水資源の確保から水供給・再利用まで、
総合的な水事業をグローバルに展開しています。取り組みの一例として、オーストラリア TRILITY を紹介します。
三菱商事は 2010 年 10 月、政府系投資会社の産業革
1991 年に設立された TRILITY は 、オーストラリアで
新機構、日揮、マニラウォーターと共にオーストラリア
の 14 プロジェクトを通じて、60 カ所の浄水、排水処理、
の民間水道事業会社 United Utilities Australia を買
再生水および海水淡水化プラントを運営しています。
収。2011 年 3 月には、社名をTRILITYに変更しました。
ほとんどのプラントはTRILITYにより設計・建設された
TRILITY は、3 つの分野(水供給・排水処理・再生水)
ものであり、約 20 年にわたって 、300 万人の方々 に、
において、3 つの機能(設計・資金調達・運転維持管理)
地域に密着した質の高いサービスを提供しています。
(自治体・産業・資源)
向け
を活用し、3 つのマーケット
今後も引き続き、一般利用者から産業向けに幅広い
に総合的な水マネジメントのソリューションを提供する
サービスを提供し、オーストラリアを中心とする水事業
ことを使命としています。
マーケットを取り込んでいきます。
TRILITY のビジネスモデル
〈ビジネスの最前線より〉
新しく三菱商事を中心とする株主を迎え
3つの分
入れたことに伴い、TRILITYは、自主的成長
に加えて M&A も視野に入れた、新しい成長
水 供 給 、排 水 処 理
戦略が描けることとなりました。新しい株主
水
53*-*5:
、資 金 調 達 、運 転
資
、
業
産
Francois Gouws
3つ
写真:オーストラリア最大級のアデレード海水淡水化プラント(300,000m3/ 日・建設中)
08
ト
体、
ッ
理
ケ
持
管
自治
Managing Director
源
水事業の
ソリューション
プロバイダー
維
狙っていきます。
能
顧客と、新しい株主を通じて関係を築きながら、成長のスピードを速めることを
3つの機
高めてくれます。TRILITY は 、今後、鉱山・資源分野を中心とするさまざまな
、再
生
設計
の持つネットワーク、ノウハウ、財務力など
は、オーストラリアにおける官民連携案件に
強いTRILITYの現在のポジションを、大いに
野
の
マ
ー
Mitsubishi Corporation
China
Annual Report 2011
中国の食肉生産量
(単位:百万トン)
80
70
60
50
40
30
20
10
0
00 01 02 03 04 05 06 07 08 09
出所:農畜産業振興機構レポート「 2009 年以降の
中国の畜産物需給の現状」
より
中国(全社戦略地域)̶̶ 経済成長を取り込み、さらなる事業拡大へ
広大な国土と世界一の人口を背景に、目覚ましい経済成長を遂げる中国において、当社は内需の拡大に注目し、
食肉プロジェクトなどに取り組んでいます。
高成長に支えられ、新たなビジネス創出を目指す
展開を行っていきます。
世界経済における新興国の存在が高まる中、とりわ
2011 年6月、拡大する内需を取り込んでいくための
け中国は 2011 年から始まった第 12 次 5 カ年計画の中
案件の一つとして、当社は伊藤ハム、米久と共に、中糧
で 、内需拡大、省エネ、環境、新エネ、ハイブリッド・電
の中国国内における食肉
集団有限公司(以下 COFCO )
気自動車など戦略振興産業を定め、経済発展モデルの
事業への参画を決定しました。この 4 社で 2017 年まで
転換を図る一方、内陸部のインフラ整備などを継続し、
を投じ、食肉および加
に総額 100 億元(約 1,250 億円)
今後も高い経済成長が見込まれています。また、中国
工食品事業を拡大し、中国における食の安定供給体制
企業の活動が急速にグローバルな広がりを見せてきて
の構築と食肉産業の発展に貢献するとともに、COFCO
いることも特筆すべきことの一つです。
と戦略パートナーとしての連携をさらに深め新たな事
当社では 、中国市場のポテンシャル、今後の事業展
開の広がりなどを見据え、すべての営業グループが 、
内需関連ビジネスや中国企業との第三国ビジネス開拓
業機会を創出し、中国市場での事業拡大につなげてい
く考えです。
このように内外の有力パ ートナー との連携を通じ、
などさまざまな切り口で取り組みを拡大しています。
グローバルな視点に立った事業投資を展開することで
2011 年 4 月には、当社として初めて副社長が中国に常
共存、持続的発展を目指します。
駐して、陣頭指揮を執る体制を整え、より機動的な事業
東アジアは無限の可能性を秘める
およそ 13 億人の人口を抱える中国には、生産拠点として、また消費市場として無限の可能性がありま
す。積極的な事業拡大を図っていく上で、環境問題や省エネといった、中国の発展に資する分野を含め、
中国の成長をわれわれが補完し、互恵関係に配慮しながら対応していく必要があります。
韓国・台湾などの周辺地域も目覚ましい経済発展を遂げており、中国の事業環境を深掘りしつつ 、
三菱商事グルー プ各社の各拠点とも連携を深め、モンゴルも含めた東アジアの発展に少しでも寄与し
たいと考えています。
取締役 副社長執行役員 東アジア統括 兼 中国総代表 矢野
雅英
09
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
Brazil
ブラジルの輸出構造
(単位:10 億米ドル)
200
150
100
50
0
2004 2005 2006 2007 2008 2009
■ 一次産品 ■ 半製品 ■ 工業製品
一次産品:鉄鉱石、コーヒー豆、大豆
半製品:パルプ、粗糖、半加工鉄鋼
工業製品:航空機、自動車、オレンジジュース
出所:経済産業省
「通商白書 2010」
ブラジル
(全社戦略地域)̶̶「農業」
「 資源」
「 消費」のポテンシャルを呼び覚ます
ブラジルは、資源大国として高い供給力を持つとともに、一大消費市場として高い可能性を秘めています。
当社は、都市インフラや有力パートナーとの連携強化に注力し、市場の取り込みを目指しています。
二つの特色を併せ持つ大国ブラジル
当社は、将来有望なブラジルの成長を取り込むべく、
ブラジル経済は、リーマンショック後の回復基調が鮮
2011 年 4 月に常務を現地に配置し、スピ ードあるビジ
明になっています。成長力の源泉は 、サプライヤーと
ネス対応力の強化を図っています。また 、全社横断的
マーケットという二つの特色を併せ持っている点にあ
なタスクフォースを組成し、全社を挙げて取り組むべき
ります。
有 望 分 野 ごとに、関 係 部 局 を 集 めたワーキ ン グ グ
肥沃な大地に恵まれたブラジルは、農地利用が可能
ループを設置。現在、サッカーW杯やオリンピックを控
な土地が2 億ヘクタール以上に及び、一方で世界の淡水
え拡大する都市インフラ関連ビジネスの取り込みおよ
の約 20%を保有するなど、世界最大の農業ポテンシャ
び、特定顧客の課題解決を切り口とした新規ビジネスの
ルを有しています。さらに、石油から鉄鉱石までさまざ
掘り起こしに向けた検討を行っています。
まな資源が豊富で、世界有数の資源大国としても知られ
ています。サプライヤーとしての強みを発揮するとと
また、10 年、20 年先を見据え、次世代につながるビ
ジネスにも積極的に取り組んでいきます。
もに、国民の平均年齢は32 歳と若く、一大消費地として
大きな可能性を秘めたマーケットでもあります。
ブラジルに溶け込み、存在感を高める
ブラジルは鉱物・エネルギー資源が豊富で 、農業大国でもあり、約 2 億人の人口の 6 割を占める中高
所得層の増大が見込まれ、世界経済を牽引し得る国です。今後、社会インフラの整備が進み 、経済成長
はさらに加速するでしょう。
ブラジルでは 、産業レベル全体のステップアップを目指し、高効率、高品質、環境・省エネ型が望まれ
ています。これらを達成するには、日本の強みの
“もの作り”
を担うメーカーと手を携え、ブラジルに溶け
込んでいかなければなりません。また、ブラジル企業との海外での協業のチャンスも探っていきます。
常務執行役員 中南米統括 白木
10
清司
Mitsubishi Corporation
India
Annual Report 2011
名目 GDPと成長率
(単位:億米ドル)
(単位:%)
20,000
12.0
18,000
8.5% 9.0%
16,000
14,000
10.0
8.0
12,000
6.0
10,000
8,000
4.0
6,000
2.0
4,000
0
0.0
2007 2008 2009 2010 2011
(見通し)
名目 GDP 総額[左軸]
成長率[右軸]
出所:インド財務省
「 Economic Survey 2010-2011」
インド(全社戦略地域)̶̶ ビジネスチャンスは「内需の取り込み」
と
「インフラ」
堅調な内需に支えられ高度成長を続けるインド。当社は、
「内需の取り込み」
と
「インフラ」
という二つの切り口で
事業を幅広く展開し、将来の収益基盤の構築を目指しています。
キーワードは「内需の取り込み」
と
「インフラ」
インドへの取り組み強化策の一環として 、
「ガス&パ
インドの 2010 年度の GDP 成長率は 8.5%で 、今後 5
を新設
ワー」
、
「交通資材」
のワーキンググループ
( WG )
年間も高水準で推移すると予想されています。輸出依
し、全社横断で両分野における優良案件の発掘、具体
存度が低く、内需主導型の経済成長を遂げており、今
では、今後
化に取り組んでいます。
「ガス&パワー WG 」
後 30 年間高成長が続くとの見方もあります。高い経済
インドでニーズ拡大が予想されるLNG の受け入れ基地
成長を牽引する原動力の一つが、インフラ投資です。イ
や、ガス焚き発電も含めたガス・バリューチェーンの構
ンド政府は、2012 年からの5 年間で総額1 兆米ドルにも
では 、急
築を目指しています。一方の
「交通資材 WG 」
上るインフラ投資を計画しています。当社は
「内需の取
成長するインドのタイヤ市場への参入を目指し、タイヤ
り込み」
と
「インフラ分野の積極的な取り組み」
という二
販売および流通網整備と、タイヤの原料調達の両面か
つの切り口で、幅広くビジネスを展開していきます。
ら、事業構築の検討を行っています。
内需については、化学品や鉄鋼製品などの自動車関
今後も活況が続くインド市場に正面から向き合い、三菱
連ビジネスが急拡大しており、また、冷凍物流事業も手
商事グループの力を結集して新たなビジネスチャンス
掛けています。インフラ分野では鉄道・交通システムを
獲得に向けて積極的に取り組んでいく考えです。
中心に、スマートコミュニティなどの環境事業を含むビ
ジネス展開を行っています。
「点」のビジネスを
「面」
に変える
世界がインドに注目する中、当社は『 中期経営計画 2012 』において、インドを全社戦略地域に指定し、
「内需の取り込み」
と
「インフラ」
を重点戦略に掲げて取り組んでいます。
2008 年以降、インフラや内需関連の投資案件と人脈ネットワークの形成に努めたことで、
“点”
で展開
していたビジネスがようやく
“線”
でつながり、
“面”
展開が可能になってきました。当社の営業グループ・
部門を越えた案件形成がますます重要になる中、私たちインドのスタッフは、拠点および営業グループ
間の垣根を低くして常に情報を共有することで、ビジネスチャンスにつなげていく考えです。
執行役員 インド三菱商事会社取締役社長 中垣
啓一
11
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
BMA
BMA ̶̶ 世界需要に応える原料炭事業
当社は 、100% 子会社である Mitsubishi Development Pty Ltd( MDP )
を通じて 、40 年以上にわたり継続的に原料炭
の炭鉱開発・運営事業に取り組んでおり、今後も新規炭鉱の開発や既存炭鉱の拡張を通じて 、増大する世界需要に応え、
原料炭の安定供給に努めていきます。
世界最大規模を誇る原料炭事業
このような環境下、当社は原料炭需要が将来にわたっ
当社がオーストラリアに MDP を設立したのは 、日本
て継続的に増加するとの判断の下、原料炭の安定供給
が高度経済成長に沸く1968 年までさかのぼります。鉄
を確 実なものとするため 、2001 年、従 来 のマイノリ
の需要が飛躍的に高まる中、製鉄原料として欠かせな
ティーとしての権益比率を 50% まで引き上げ、世界最
い原料炭の安定供給源確保という時代のニーズに応え
大手の資源会社 BHP Billitonと対等の立場で石炭合弁
るために、オーストラリア北東部のクイーンズランド州
事業 BMA を立ち上げたのです。
においてアメリカ企業とパートナーシップを組み、原料
BMA は、クイーンズランド州中央部のボーエン炭田
炭の炭鉱開発を行うことが目的でした。その後 1970 年
において、21 億トンにも上る埋蔵量を保有し、7 つの炭
代から1990 年代初頭にかけて 、世界の鉄鋼生産が増
鉱において高品位の原料炭を中心に年間約 5,000 万ト
大したことに伴い、原料炭の需要も増加しました。しか
ンを現在生産しています。これは世界の原料炭海上貿
し、1990 年代のバブル崩壊やアジア通貨危機により状
易量の約 3 割に相当し、BMA は 、世界各地の需要家に
況は一転し、製鉄業界の収益は悪化、原料炭業界も大
良質の原料炭を供給する世界最大規模の原料炭事業者
きな痛手を負い、原料炭の安定供給も危ぶまれる状況
となっています。
となりました。
〈ビジネスの最前線より〉
MDP では、BMA 原料炭事業をはじめ、一般炭・鉄鉱石・ウランなどの資
源投資事業を、総勢約 60 名の多国籍の社員が一丸となって推進していま
す。伝統的な市場の堅調な伸び、中国ほかの新興市場の経済成長および世
界のエネルギー需要の伸びにより資源需要が高まる中、世界の経済情勢の
ダイナミックな変化と豪雨などの予期せぬ自然災害に立ち向かいつつ 、資
源の安定供給を軸に日々額に汗して努力しています。市場との調和の中で、
さらなる成長を目指します。
Mitsubishi Development Pty Ltd CEO 山中 薫
12
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
世界の石炭輸出量
(単位:百万トン)
輸出量合計
9 38
億
百万トン
■ オーストラリア ■ インドネシア ■ ロシア
■ コロンビア ■ アメリカ ■ 南アフリカ ■ 中国
■ カナダ ■ カザフスタン ■ ベトナム ■ その他
*2008 年(見通し)
出所:資源エネルギー庁「エネルギー白書 2010」
さらなる生産拡大・安定供給に向けた着実な布石
世界の原料炭需要は 、伝統的な需要国に加え、イン
BMA は、このほかにも、大型炭鉱としての開発が期
待できる優良な未開発鉱区を2008 年に取得するなど、
ド、ブラジル、中国などの新興国からの旺盛な需要のた
複数の新規炭鉱の開発や操業中の既存炭鉱の拡張に向
めに急拡大しています。当社は 、将来の原料炭需要に
けた投資と調査を進めており、将来の原料炭需要増に
対応するため、BMA の生産量のさらなる拡大に向けた
見合うタイミングで最適な開発意思決定を行うことを
積極的な取り組みを行っています。
目指して います 。今後とも 、当社は M D P を通じて 、
2011 年初頭には 、新たな炭鉱の開発に加え 、輸送
のための鉄道能力の拡張、および石炭積出港の出荷
日本をはじめとした世界各地の需要家へ の高品位の
原料炭の安定供給に取り組んでいきます。
能力の拡張に向けた大規模投資を決定しました 。これ
により、2013 年以降年間 450 万トンを追加生産する
予定です 。
オー ストラリア・クイーンズランド州の BMA 炭鉱
マッカイ
ダルリンプルベイ
ヘイポイント
グニエラ リバーサイド
港
ブロードメドー
ドーニア
ピークダウンズ
サラジ
ノーウィッチパーク
グレゴリー クライナム
ロックハンプトン
エメラルド
0
100
ブラックウォーター
グラッドストーン
Km
=操業中
=開発中
BMA炭鉱
ブリスベン
シドニー
パース
メルボルン
13
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
Donggi-Senoro
アジア・大洋州における
天然ガス生産高(2001 年∼ 2010 年)
(単位:百万トン)
500
400
300
200
100
0
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10
出所:BP Statistical Review of World Energy
June 2011
ドンギ・スノロ ̶̶ 日本・インドネシア・韓国による、
初めてのオー ル・アジア LNG プロジェクト
環境負荷が少ないエネルギーとして期待される LNG(液化天然ガス)
。ドンギ・スノロ LNG プロジェクトでは、
当社がオペレーターシップを握り、プロジェクト全体の運営・管理を行っています。
世界の天然ガス消費量は、年率約 2%で増え、引き続
き拡大傾向にあります。特に、発電用燃料としての消
業主体となり、2014 年からLNG の製造・販売(年間約
200 万トン)
を開始する予定です。
費が伸びており、主な理由として他の化石燃料に比べ
当プロジェクトは、メジャーが参画しない、日本・イン
て環境負荷が低いこと、技術革新によって発電燃料とし
ドネシア・韓国による初めてのオール・アジアLNG プロ
ての経済的優位性が高まったことなどが挙げられます。
ジェクトであり、中小規模ガス田の有効活用と商業化へ
2011 年、当社はインドネシア国有石油ガス会社プル
の道を切り開く、非常に意義深い取り組みとして注目さ
タミナ、同民間最大手のエネルギー会社メドコ・エナ
れています。日本・韓国への LNG 供給とともに、インド
ジ ー・インター ナショナル
(メドコ)
、また世 界 最 大 の
ネシア国内の天然ガス需要にも対応します。当社は計
LNG 買主である韓国ガス公社と共に、インドネシア共
画当初よりプロジェクトを主導し、完工後はプラント操
和国中部スラウェシ州におけるLNG 製造・販売事業「ド
業で中心的な役割を担うなど、LNGビジネスのさらな
を開始しました。当社が
ンギ・スノロLNG プロジェクト」
る成長戦略を推進していきます。
44.9%出資するドンギ・スノロ LNG( DSLNG )社が事
〈ビジネスの最前線より〉
プラント工事期間中における人事部の主な役割は、優秀な人材を発掘し、育成する
ことです。私たちが必要としているのは、相応の技術的なスキルと経験を持ち、私た
ちと価値観を共有し、行動に移すことができる人材です。しかしこの業界では、需要が
大きいにもかかわらず有能な人材が少なく、人材確保が大きな課題となっています。
私たちは 、
LNGプロジェクトに関する川下のビジネスモデルをインドネシアで最
初に構築し、大きなビジネスチャンスを生み出しています。このことが、プロジェク
トの進行に必要な人材を確保するという難しい役割を担う私のモチベーションとなっ
ています。私たちが取り組む人材マネジメントと人材開発が、三菱商事のビジネス
の成功に貢献しているものと確信しています。
一番右がユニ・クンタリ 人事部長
インドネシア ドンギ・スノロLNG社 人事部長
ユニ・クンタリ
14
Aircraft Leasing
Business
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
民間航空機総数における
オペレーティングリースのシェア
(単位:% )
(単位:千機)
25
100
20
80
15
60
10
40
5
20
0
0
1990
1995
2000
2005
2010
■ オペレーティングリース機数[左軸]
■ オペレーティングリース以外の機数[左軸]
オペレーティングリース比率[右軸]
■
■
出所:SH&E
航空機リース事業 ̶̶ 拡大する航空機リース市場のリーディングプレーヤー
今日、全世界では約 20,000 機の航空機 * が大空を飛んでいますが、その 30% 強がオペレーティングリースによって調達され
ています。航空機リース市場は今後も持続的に成長することが期待されており、当社は航空機リース子会社のMCアビエーショ
などを設立し、MCAPは現在約80 機を所有する本邦のリーディングプレーヤーとして、そのポート
ン・パートナーズ
( MCAP )
フォリオを安定的に運用し、事業の拡大を図っています。航空機という実物資産に対する知見に裏打ちされたアセットマネジメ
ント事業の成功モデルとして、新産業金融事業グループの収益の柱に育成していきます。
* 民間商用機に限る
業、および関連マネジメントサービス
(資産管理・売却・リース斡
世界三極体制で、機動的に事業を展開
今後長期にわたり年率 5% の成長が予測される世界の航空輸
送市場。新興国の高い経済成長を背景にさらなる成長が期待さ
旋・技術サポートなど)
事業を移管して集約しました。
現在 MCAP は 、東京本社とMCAP アメリカ
(ロサンゼルス)
、
れており、その市場規模は向こう20 年間で倍増するとの見込み
MCAPヨーロッパ
(ダブリン)
の三極体制で、保有航空機約 80 機
もあります。一方、エアラインにとって初期投資の抑制とフリート
と管理受託中の約 20 機の計約 100 機を保有・管理しており、資
計画の柔軟性は不可欠であり、これを実現する航空機リースは大
産規模は約 27 億米ドル
(国内首位、世界 13 位)
に達しています。
きな成長性を持った事業となっています。
今後、国内外の航空会社や航空機メーカーと築いてきた親密な
当社では 、1984 年に航空機リース事業を開始して以来、自社
関係をベースに、世界の十指に入る規模と投資効率の向上を目
保有によるオペレーティングリースを進め、事業拡大に不可欠な
指して優良資産をさらに積み上げ 、世界の航空輸送需要の高い
ネットワークやノウハウ蓄積に努めてきました。2008 年に100%
成長とニーズを取り込んでいきます。
出資会社 MCAP を設立して 、航空機オペレーティングリース事
〈ビジネスの最前線より〉
保有機体のリース先の地域別比率
MC Aviation Partners アメリカは、マーケティングスタッフ、航空機エンジニア、弁護士な
どのプロフェッショナルを抱え、航空機リース事業におけるアセットマネジメント業務の中核
を担っています。航空機リース
事業のさらなる成長に向けて、
合計約
新規案件の発掘および既存資
産の運用に、社員一丸となって
80
機
2011年4月末現在
取り組んでいます。
MC Aviation Partners アメリカ
VP, Administration 木澤 茂
MC Aviation Partners アメリカ 経営陣。一番左が木澤職員
■ アジア・大洋州 ■ 欧州・アフリカ
■ 中南米 ■ 北米 ■ その他
15
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
Princes
Princes の売上高推移
(単位:百万英ポンド)
1,200
ボトルウォーター事業買収
2004 年
1,000
イタリア食材事業買収
2001 年
800
スプレッド類事業買収
2001 年
600
食用油事業出資
1998 年
400
飲料事業買収
1991 年
200
0
1980
1984
1989
1994
1999
2004
2010
■ 三菱商事による買収前
Princes ̶̶ 自社ブランド製品とプライベートブランド製品の一括受注により成長
当社が 100%出資するイギリスの食品・飲料製造販売会社 Princes は、M&A や有力サプライヤーとのパートナーシップ
推進などの成長戦略を実行し、欧州市場における食品事業の拡大を進めています 。
当社がPrincesを買収した1989 年には缶詰販売が主
2011 年 2 月、20 件目の M&Aとして、イギリス大手食
体でしたが、以降、19 件の M&A を実行してきました。
品会社Premier Foods の缶詰製造・販売事業の買収に
1991 年 に
「飲 料 事 業」
、1998 年 に
「食 用 油 事 業」
、
2001 年に
「スプレッド類 事 業」
「 イタリア食 材 事 業」
、
合意しました。
本件実行により、Princes は 、イギリスの小売業向け
2004 年に
「ボトルウォーター事業」などの買収を実行
缶詰分野で業界トップメーカーとなる見込みです。主
し、従来のトレーディング業態から製造業へとシフト、
力商品であった水産缶詰・畜肉缶詰に加え、豆・野菜缶
事業領域の拡大を推し進めてきました。
詰などでの商品ラインアップを補完・拡充すると同時
事業の合理化・効率化に継続的に取り組むとともに、
に、製造拠点を獲得することで、品質管理・価格競争力
自社ブランド製品に加え、大手スーパーマーケットを中
の向上、
トレーサビリティの強化など、小売業への対応
心としたプライベートブランド製品の一括受注による、
力の一層の強化に取り組んでいきます。
ビジネスモデルを確立しました。持続的に事業規模を
成長させ 、売上高は買収時の約 7 倍の 12 億英ポンドと
「欧州における食品事業の中核」
当社は 、Princes を
と位置付け、さらなる成長を目指します。
なり、イ ギリス におけるトップ ク ラ ス の 食 品・ 飲 料
メーカーとして確固たる地位を確立しています。
重点戦略である
「欧州大陸における事業基盤のさらなる拡充」
策
として 、在オランダの営業拠点 Princes Foods B.V. の体制強化、
2010 年にポーランドに食用油製造関連会社 EOL Polska を設立す
るなど事業拡大を進めてきました。
今後も 、M&A の実行機会をうかがい 、製造拠点や商権・ブランド
リバプール 本社
の獲得を通じて、事業拡大に果敢に挑んでいきます。
Princes Limited 会長 伊藤
J 営業拠点:イギリス、オランダ、イタリア、ポーランド
Q 自社工場:イギリス 9 カ所、モーリシャス 1 カ所、ポーランド 1 カ所
16
和男
Mitsubishi Corporation
Biopharmaceuticals
Annual Report 2011
世界の医薬品市場(処方箋薬ベース)
(単位:10 億米ドル)
800
600
400
200
0
1990
2006
2015
(見通し)
■ 低分子薬 ■ バイオ医薬品
出所:Evaluate Pharma
バイオ医薬 ̶̶ 高度なバイオ医薬品製造技術を有する優良企業と提携
当社は、富士フイルムとの提携により、高度なバイオテクノロジーを活用したバイオ医薬品の受託製造事業に参画。
さらなる拡大が予想されるアンメット・メディカル・ニーズ
(いまだに有効な治療方法がない医療ニーズ)市場の取り込みを
目指します。
化学品グループでは 、これまでバイオベンチャー へ
た医薬品の総称であり、がんやリウマチなど、いまだに
の投資を通じバイオ医薬業界での知見を蓄積し、業界
有効な治療方法が確立されていないアンメット・メディ
ネットワークの構築を実践してきました。また、低分子
カル・ニーズが高い疾患領域で 、有効な治療薬として
医薬品* 事業では長年にわたり中間体受託製造、原薬販
その市場は今後ますます拡大すると予想されていま
売を行っており、これを通じて日米 欧 の 大 手 医 薬 品
す。バイオ医薬品の製造には遺伝子組み換え、細胞培
メーカーとの関係を構築しています。さらに、ジェネ
養など高度なバイオ技術が必要とされます。今回投資
リック医薬品の販売会社をパートナーと合弁で設立し、
を行った富 士フイルムダイオシンスバイオテクノロ
その経営に深く関与しています。
ジーズは高いバイオ医薬品製造技術を有しており、当
新たな取り組みとして、2011 年6 月、富士フイルムと
社は今後年率 15% 以上の成長が見込まれる市場にて、
の提携により、バイオ医薬品の受託製造事業へ進出し
受託製造業に取り組んでいきます。
ました。バイオ医薬品は、人が体内に持つ成分を応用し
* 化学合成による従来の医薬品
〈ビジネスの最前線より〉
このプロジェクトは、最先端のバイオ医薬品分野における三菱商事と富士フイルムの協業案件です。
富士フイルムの持つ高い技術力、当社のグローバルな展開力といったそれぞれの強みを新会社の事
業拡大に活かしていくものです。いまだに有効な治療法がない医薬ニーズに応える、新たな事業領域
にバイオ医薬品を通じて貢献する取り組みであり、人々 のさらなる豊かな生活に資するという志を持っ
て挑戦しています。
バイオ・ファインケミカルユニット 医薬品チームリーダー
細田 牧
17
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
Ship Owning
and Chartering
社船事業のスキーム
三菱商事
100% 出資
社船保有・管理会社
造船所
傭船契約
新造船
契約
傭船者 / 運航者
運送契約
荷主
社船事業 ̶̶ 造船・海運業界の知見・ノウハウを活かしたビジネス
海運業は、大量・長距離輸送に最適な手段として、国際物流の大動脈となっています。三菱商事は、船舶のトレーディングで
培ってきた知見・ノウハウを基に、
「社船事業」
を通じて新たなビジネスチャンスの拡大を目指します。
当社が注力して取り組む
「社船事業」
は 、自ら船主と
2008 年のリーマンショック以降、海運市況はいった
なって船を保有し、国内外の海運会社や荷主などへ貸
ん低迷期に入りましたが、中国やインドをはじめとする
し出しを行うビジネスです。特長は、単に船を貸し出す
新興国のインフラ需要拡大などを背景に、撒積船を中
だけでなく、船長、機関長、船員なども併せて手配す
心に回復基調にあります。こうした中、当社は 2011 年
る点です。目的地やスケジュー ルなど、利用者の要請
5 月、シンガポー ルに社船事業の新会社「ダイヤモンド
に応じて運航を行うことから、ハイヤー事業に例えられ
スターシッピング」
を設立。海運業の世界のハブである
ます。
シンガポー ルに拠点を置くことで 、物流需要を直接か
当社は、長年にわたって造船・海運業界に深く根差し
つ大きく取り込むとともに、船主業にかかわる優秀な
たトレーディングを通じ、造船会社や船主、さらには船
人材獲得を行い、これにより新たなビジネスチャンスの
主 が 船を貸し出 す 傭 船 者、荷 主まで 、幅 広 いネット
拡大を図ります。
ワークを構築してきました。そこで培われた知見・ノウ
ハウは、社船事業を推進する上での大きな原動力となっ
ています。
〈ビジネスの最前線より〉
今や世界海運のハブとして、荷主、船主、オペレーター、造船所、船舶管理会社、金融機関、保険会社、
法律事務所などが所狭しと軒を連ねるシンガポー ルでは 、当社が取り組む社船事業推進のための貴重
な情報が、質量共に大きく渦巻いています。私たちは、この中から当社の社船事業にとって有益な情報
をタイムリー に拾い上げながら、新規顧客開拓などを通じてビジネスチャンスの拡大を狙うと同時に、
顧客に対しては優良船舶の安全・安定供給を行います。
Diamond Star Shipping Pte. Ltd. マネージング・ダイレクター 柳川 純
18
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
中期経営計画の変遷
当期の成果
2006 年 3 月期から2010 年 3 月期までの数値は、連結子会社における決算期の変更の影響を反映させるため、遡及的に調整しています。
ただし、有利子負債、ネット有利子負債、ネット有利子負債倍率の 2009 年 3 月期以前の数値は遡及的な調整を行っていません 。
INNOVATION 2007、INNOVATION 2009
MC2000 、MC2003
」2001 年∼ 2004 年)
で
紀への自己変革を標榜。続く
「 MC2003(
「 INNOVATION 2007(
」2004 年∼ 2008 年)
および
「 INNOVATION
」2008 年∼ 2010 年)
では、
「 未来を拓く」
をテーマに、
「 新・産業
2009(
は新たな価値創造への挑戦をテーマに掲げ、取り組みました。
イノベーター」
のビジョンの下、
“ 変化を捉えて未来を拓く”、
“ 人を活
中期経営計画
「 MC2000(
」1998 年∼ 2001 年)
を通じて21 世
かし人を育てる”、そして
“足場を固める”の三つのコンセプトを掲げ、
経営施策を進めました。
Performance
〈 ゲートペー ジ〉
このセクションでは、2011 年 3 月期決算の概要および中期経営計画の進捗等について
ご紹介します。
当期純利益 目標 1,220 億円 ⇒ 実績 1,176 億円
(04.3)
(単位:億円)
99.3
00.3
01.3
02.3
03.3
04.3
05.3
06.3
07.3
08.3
09.3
10.3
312
263
926
607
630
1,176
1,866
3,564
4,191
4,709
3,695
2,748
株主資本利益率( ROE )
目標 12.0% ⇒ 実績 10.9%(04.3) 株主資本利益率( ROE )
目標 15% 以上 ⇒ 実績 14.8%
(中長期平均) (6 年間平均)
(単位:% )
(単位:% )
99.3
00.3
01.3
02.3
03.3
04.3
05.3
06.3
07.3
08.3
09.3
10.3
3.2
2.8
9.9
6.1
6.4
10.9
13.7
18.6
15.9
16.3
14.1
10.3
ネット有利子負債倍率 目標 2 倍以内 ⇒ 実績 1.38 倍
(6 年間平均)
1. 株主資本利益率( ROE )
は、当期純利益を期首および期末の株主
(単位:倍)
資本の平均で除して算出したものです。
中期経営計画の変遷 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
20
投資実績と投資案件
CFOからのメッセージ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
22
2011 年 3 月期決算の概要 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
23
2.ネット有利子負債倍率は、期末のネット有利子負債を株主資本で
除して算出したものです。
ネット有利子負債は 、有利子負債から現金および現金同等物と
定期預金を差引いたものです。
有利子負債は短期借入金および長期借入金債務
(1 年以内の期限
到来分を含む)
から債務の時価評価の影響を除いた金額としてい
ます。
24
金属・エネルギー資源データ集 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
28
05.3
06.3
07.3
08.3
09.3
10.3
2.3
1.3
1.1
1.2
1.5
1.0
投資性資産株主資本倍率 目標 1.5 倍以内 ⇒ 実績 1.45 倍
(6 年間平均)
(単位:倍)
3. 投資性資産株主資本倍率は 、期末の投資性資産を株主資本で
財務ハイライト . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
当期純利益 目標 2,000 億円企業への成長 ⇒ 実績 3,461億円
(6 年間平均)
(単位:億円)
除して算出したものです。
投資性資産には、関連投資および長期債権、売却可能有価証券
(株式のみ)
の取得価額、非上場有価証券、有形固定資産
(除く販売
用不動産)、無形固定資産、のれんなどが含まれます。
05.3
06.3
07.3
08.3
09.3
10.3
1.9
1.4
1.2
1.3
1.6
1.3
05.3
06.3
07.3
08.3
09.3
10.3
セグメント別当期純利益の推移〈 2000 年 3 月期∼ 2013 年 3 月期〉
(単位:億円)
5,000
4,000
3,000
2,000
1,000
0
–500
19
20
00.3
01.3
02.3
03.3
04.3
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
中期経営計画の変遷
2006 年 3 月期から2010 年 3 月期までの数値は、連結子会社における決算期の変更の影響を反映させるため、遡及的に調整しています。
ただし、有利子負債、ネット有利子負債、ネット有利子負債倍率の 2009 年 3 月期以前の数値は遡及的な調整を行っていません。
MC2000 、MC2003
INNOVATION 2007、INNOVATION 2009
」2001 年∼ 2004 年)
で
紀への自己変革を標榜。続く
「 MC2003(
中期経営計画
「 MC2000(
」1998 年∼ 2001 年)
を通じて21 世
「 INNOVATION 2007(
」2004 年∼ 2008 年)
および
「 INNOVATION
」2008 年∼ 2010 年)
では、
「 未来を拓く」
をテーマに、
「 新・産業
2009(
は新たな価値創造への挑戦をテーマに掲げ、取り組みました。
イノベーター」
のビジョンの下、
“ 変化を捉えて未来を拓く”、
“ 人を活
中期経営計画 2012
2010 年 7 月に策定した『中期経営計画 2012 』
(2010 年∼ 2013 年)
では、収益基盤の強化・充実と次なる収益の柱の育成に向けて、
「新興国の高い経済成長や新たな成長市場への対応」
「 多様性を活かす経営」
「 多様性を束ねる経営」
を推進します。
かし人を育てる”、そして
“足場を固める”の三つのコンセプトを掲げ、
経営施策を進めました。
当期純利益 目標 1,220 億円 ⇒ 実績 1,176 億円
(04.3)
(単位:億円)
当期純利益 目標 2,000 億円企業への成長 ⇒ 実績 3,461億円
(6 年間平均)
(単位:億円)
当期純利益 目標 5,000 億円
(13.3)
「全社戦略分野・地域の設定」
:
新興国の高い経済成長や新たな成長市場への対応
(単位:億円)
99.3
00.3
01.3
02.3
03.3
04.3
05.3
06.3
07.3
08.3
09.3
10.3
11.3
12.3*
13.3*
312
263
926
607
630
1,176
1,866
3,564
4,191
4,709
3,695
2,748
4,632
4,500
5,000
■
インフラや地球環境事業を全社戦略分野に設定し、新たな成長市場への対応
と、日本や世界の課題解決に貢献します。
■
中国・インド・ブラジルを全社戦略地域に設定し、成長著しい新興国の内需の
取り込みを狙います。
株主資本利益率( ROE )
目標 12.0% ⇒ 実績 10.9%(04.3) 株主資本利益率( ROE )
目標 15% 以上 ⇒ 実績 14.8%
(中長期平均) (6 年間平均)
(単位:% )
(単位:% )
株主資本利益率( ROE )
目標 12 ∼ 15%
(計画期間中)
(単位:% )
99.3
00.3
01.3
02.3
03.3
04.3
05.3
06.3
07.3
08.3
09.3
10.3
11.3
12.3*
13.3*
3.2
2.8
9.9
6.1
6.4
10.9
13.7
18.6
15.9
16.3
14.1
10.3
14.8
13.2
12 ∼ 15
「多様性を活かす経営」
:
多様性を活かし個々の事業を強化することで、複数の収益の柱を育成
■
事業の多様化に応じた
「可視化」
の仕組みを構築し、事業特性や収益モデルに
応じた目標管理を行います。
「多様性を束ねる経営」
:
ネット有利子負債倍率 目標 2 倍以内 ⇒ 実績 1.38 倍
(6 年間平均)
(単位:倍)
1. 株主資本利益率( ROE )
は、当期純利益を期首および期末の株主
資本の平均で除して算出したものです。
05.3
2.ネット有利子負債倍率は、期末のネット有利子負債を株主資本で
06.3
07.3
08.3
09.3
ネット有利子負債倍率 目標 1.0 ∼ 1.5 倍
(計画期間中)
(単位:倍)
10.3
11.3
12.3*
多様性を束ねることで、三菱商事グループとしての総合力を創出
■
は、営業企画委員会において、対応方針を討議します。
13.3*
■
除して算出したものです。
ネット有利子負債は 、有利子負債から現金および現金同等物と
定期預金を差引いたものです。
有利子負債は短期借入金および長期借入金債務
(1 年以内の期限
到来分を含む)
から債務の時価評価の影響を除いた金額としてい
ます。
2.3
1.3
1.1
1.2
1.5
1.0
0.9
1.1
1.0 ∼ 1.5
全社戦略分野・地域など、営業グル ー プ・部門をまたがる取り組みに関して
収益モデルの多様化に伴い、当社の拠点、人材、IT にかかわるマネジメントな
ど、経営基盤の考え方を抜本的かつ総合的に見直します。
* は見通し
投資性資産株主資本倍率 目標 1.5 倍以内 ⇒ 実績 1.45 倍
(6 年間平均)
(単位:倍)
3. 投資性資産株主資本倍率は 、期末の投資性資産を株主資本で
除して算出したものです。
投資性資産には、関連投資および長期債権、売却可能有価証券
(株式のみ)
の取得価額、非上場有価証券、有形固定資産
(除く販売
用不動産)、無形固定資産、のれんなどが含まれます。
05.3
06.3
07.3
08.3
09.3
10.3
1.9
1.4
1.2
1.3
1.6
1.3
2013 年 3 月期
5,000 億円
セグメント別当期純利益の推移〈 2000 年 3 月期∼ 2013 年 3 月期〉
(単位:億円)
すべてのステークホルダーの要請・期待を踏まえ、
事業活動を通じて日本や世界の課題解決に貢献しながら、
『継続的企業価値』
を創出する。
5,000
4,000
継続的経済価値
3,000
■
■
■
■
■
■
■
■
2,000
1,000
0
–500
20
新産業金融事業
エネルギー事業
金属
機械
化学品
生活産業
その他
消去又は全社
『継続的企業価値』
の創出
たゆまぬ収益モデルとポートフォリオ
の変革により、健全な利益成長および
企業価値の増大を目指す
継続的社会価値
企業市民として、
「 社会との共生」
という
観点から
「経済社会の発展」
に寄与する
継続的環境価値
地球を最大のステークホルダーと捉え、
「地球環境の保全・改善」
に取り組む
00.3
01.3
02.3
03.3
04.3
05.3
06.3
07.3
08.3
09.3
10.3
11.3
12.3
13.3
(見通し)
(見通し)
21
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
投資実績と投資案件
投資性資産
■
投資性資産には、関連投資および長期債権、売却可能有価証券(株式のみ)
の取得価額、非上場有価証券、
有形固定資産(除く販売用不動産)
、無形固定資産、のれんなどが含まれます。
3.86
『中期経営計画 2012 』
における投資計画では、3カ年合計で2 兆円∼ 2 兆5,000 億円の投資を見込んでいます。
■
3.54
過去の投資性資産については、国内子会社の決算期統一などの影響を考慮した組替え再表示は行ってい
3.90
3.80
3.71
3.19
ません 。
2.75
2.70
2.80
2.73
投資性資産残高の推移
(単位:兆円)
■ グロス投資額
(うち資源)
■ グロス投資額
(うち非資源)
■ 投資入替等 ■ 投資性資産残高 2002.3
2003.3
2004.3
2005.3
2006.3
2007.3
2008.3
2009.3
2010.3
2011.3
(単位:億円)
グロス投資額
–
–
–
3,300
3,700
4,500
7,500
7,000
2,700
3,700
(うち資源)
–
–
–
1,000
1,400
1,600
3,000
2,700
700
1,700
(うち非資源)
–
–
–
2,400
2,300
2,900
4,500
4,300
2,000
2,100
投資入替等
–
–
–
왖2,600
200
왖1,000
왖4,300
왖8,500
왖1,800
왖2,700
増減額
–
500
왖200
700
3,900
3,500
3,200
왖1,500
900
1,000
27,000
27,500
27,300
28,000
31,900
35,400
38,600
37,100
38,000
39,000
n サハリンⅡ
LNG プロジェクトの
m 三菱自動車工業の
n サハリンⅡ
LNG プロジェクトの
n サハリンⅡ
LNG プロジェクトの
n メキシコ湾 K2 プロ
k オーストラリア
Saraji East 原料炭
投資性資産残高
主な投資案件
k BMA の設立
(オーストラリア石炭合弁
事業体)
n インドネシア
タングー LNG
プロジェクトへの
参画
n 西オーストラリア
LNG プロジェクトの
生産設備拡張
e アメリカIPP 事業
(テナスカ社案件への
追加投資)
k MOZAL 生産ライン
増設
k メタルワンの設立
(鉄鋼製品事業)
増資引き受け
開発
n サハリンⅡ
LNG プロジェクトの
開発
k HERNIC FERROCHROME
への追加出資
(クロム鉱石の採掘、フェロク
ロムの製造・販売)
n マレーシア
LNG プロジェクト
(Ⅰ)
の権益追加取得
開発
n サハリンⅡ
LNG プロジェクトの
l サンエスへの
資本参加
l 明治屋商事の設立
(食品卸売業)
n エネルギー事業 k 金属 m 機械 c 化学品 l 生活産業
m 三菱自動車工業の
増資引き受け
l 北越紀州製紙の
増資引き受け
(紙類、パルプ等の製造、
加工および販売)
l ライフコーポレーショ
ンの株式追加取得
m いすゞ自動車の普通
株式追加取得
( E&P )
k 西オーストラリア
Jack Hills 鉄鉱石
l 日本農産工業の
s リース用航空機の
s 丸の内キャピタルの
k CMP 社株式の追加
完全子会社化
k オーストラリア
Kintyreウラン
権益取得
運用ファンドへの
出資
プロジェクトへの
参画
l 日本農産工業、日東
富士製粉、日本食品
化工の子会社化
m 千代田化工建設の
m Rolf Importへの出資
s リース用航空機の
l イオンへの出資
e 水 ing* への出資
取得
c サウディ石油化学の
株式追加取得
n アストモスエネル
ギーの設立
取得
権益取得
株式買い増し
(ロシア自動車輸入卸売業)
(総合水事業会社)
取得
(チリ鉄鉱石事業会社)
n カナダ シェールガス
開発プロジェクトへの
参画
n インドネシア スノロ・トイ
リ天然ガス鉱区権益取得
(ドンギ・スノロLNGプロジェ
クトの上流権益)
(食品を中心としたスーパー
マーケットチェーン)
k CMP 社の株式取得
(チリ鉄鉱石事業会社)
( LPガス輸入・トレーディン
グ、国内物流、販売)
優先株式取得
t ビジネスサービス
k オーストラリア
Clermont 一般炭鉱
開発
(菓子卸売業)
m いすゞ自動車の
s 新産業金融事業 の参画
開発
(モザンビークのアルミ
精錬事業)
e 地球環境事業開発
e タイ・台湾IPP 事業へ
開発
ジェクトへの参画
n ENCORE ENERGY
への資本参加
s 三菱 UFJリースへの
出資
( Medco 社
(インドネシア)
の
株式保有会社)
c 興人の連結子会社化
(フィルム・発酵・
化成品製造)
n サハリンⅡ
LNG プロジェクトの
(ポルトガル太陽光発電事業)
n 北海油田の権益取得
開発
c サウディ石油化学の
株式追加取得
e AMPER CENTRAL
SOLAR への参画
e TRILITY への資本
参加
(オーストラリア水事業)
k エスコンディダ
銅鉱山権益追加取得
(チリの銅鉱山生産販売業)
l 伊藤ハムへの出資
n インドネシア カンゲ
アンプロジェクトへの
参画
( E&P )
m レンタルのニッケン
の株式買い増し
* 荏原エンジニアリングサービス株式会社は、2011 年4 月
「水 ing 株式会社」
に社名変更しました。
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
CFO からのメッセージ
2011 年版のアニュアルレポートをお届けするに当たり、2011 年
3 月期のレビューおよび資本政策についてご説明申し上げます。
2011 年 3 月期の当社株主に帰属する当期純利益は、2008 年 3 月
期に計上した過去最高益 4,709 億円に迫る4,632 億円を達成するこ
しています。また、2010 年 9 月には 25 年ぶりに外貨建て普通社債
の発行を実施し、資金調達の多様化を進めるなど、今後の投資・事
業活動を支える、財務面でのさらなる基盤強化を図ることができた
と考えています。
とができました。主力の原料炭事業は、年度後半にオーストラリア
このような内部留保の着実な積み上がり状況と、今後の投資計画
における豪雨の影響を受けたものの、幸い、新興国の好調な経済に
を勘案し、財務規律と資本効率を意識した経営をより徹底すること
牽引される形で、資源価格が堅調に推移、またアジアの自動車事業
を通じて、株主およびステークホルダーの皆様のご期待に沿うべく
など非資源ビジネスも好調に推移したことなどにより増益となりま
取り進めていきます。
した。
三菱商事では、収益基盤を強固なものとしつつ、効率性・健全性
も考慮しながら、持続的な成長・企業価値の最大化を図っていくこ
私は、三菱商事の CFOとして、引き続き、
「 継続的企業価値の創
出」
を支えるべく、財務基盤のさらなる強化、最適な資本構成の実現
を目指します。
とを資本政策の基本方針としています。引き続き成長のための投
資を行いながら財務健全性を維持していく考えです。2011 年 3 月
期末の株主資本は、2010 年 3 月期末より3,219 億円増加し、過去最
高の 3 兆 2,844 億円となりました。
代表取締役 副社長執行役員
財務健全性の指標と言える2011 年 3 月期のネット有利子負債倍
率は、2010 年 3 月期末比で0.1 ポイント改善し、0.9 倍の水準を維持
22
CFO
上田 良一
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
2011 年 3 月期決算の概要
当期純利益は資源・非資源共に大幅増益
当期純利益は 4,632 億円となり、前期比で 69% の増益となりました。セグメント別には、資源・非資源の両分野共に大幅な増益となって
おり、
「 化学品」
「 生活産業」
を除くセグメントで増益となりました。また、
「 化学品」
「 生活産業」
についても、一過性の特殊要因を除けば実質
的には増益となりました。
株主資本が大幅に増加し過去最高水準の 3 兆 2,844 億円へ
主に米ドルに対する円高の影響により包括損益は悪化したものの、利益の積み上がりにより内部留保が増加したことから、株主資本は、
前期末から3,219 億円増加し、過去最高となる3 兆 2,844 億円となりました。
また、財務の健全性指標としているネット有利子負債倍率は、前期末から0.1 ポイント改善し、0.9 倍となりました。
年間配当を過去最高の 65 円に引き上げ
年間配当は、従来は通期見通しの当期純利益 4,000 億円を達成した場合に、1 株当たり56 円の見通しとしていましたが、9 円増配の 65 円
に引き上げました。これにより、連結配当性向は 23%となりました。
〈セグメント別増減理由〉
セグメント別当期純利益
(単位:億円)
新産業金融事業グループ:192 億円の増益
5,000
前期における株式減損の反動および海外不動産売却益の計上や
4,632
リース関連事業収益の改善により増益となったもの
116
新産業金融事業
940
エネルギー事業
エネルギー事業グループ:31%の増益
4,000
油価をはじめとする市況上昇に伴う総利益・持分利益増や、前期にお
ける燃料デリバティブ取引に係る損失計上の反動などにより増益となっ
たもの
3,000
2,748
金属グループ:67%の増益
オーストラリア資源関連子会社
(原料炭)
における販売価格の上昇およ
びチリ鉄鉱石関連子会社における株式交換益、関連投資先の持分利益
719
2,301
金属
2,000
増加により増益となったもの
機械グループ:239%の増益
前期における株式減損の反動およびアジアを中心とした海外自動車
1,379
1,000
関連事業の好調などにより増益となったもの
614
機械
181
化学品グループ:10%の減益
石化事業関連会社などでの取引好調による利益増があったものの 、
324
291
化学品
468
463
生活産業
前期における石化事業関連会社の繰延税金負債取崩益の反動により減
益となったもの
0
消去又は全社
247
93
–500
76
生活産業グループ:ほぼ横ばい
資材関連事業での取引利益・持分利益の増加や 、食料関連会社の
持分利益増加などにより増益となったものの、連結納税制度導入に伴う
税金費用の計上などにより横ばいとなったもの
23
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
財 務 ハ イ ラ イト 三菱商事株式および連結子会社 3 月31 日に終了した事業年度(米国会計基準)
2006 年 3 月期から2010 年 3 月期までの数値は、連結子会社における決算期の変更の影響を反映させるため、遡及的に調整しています。
ただし、
1)有利子負債、ネット有利子負債、ネット有利子負債倍率、投下資本利益率( ROIC )
の 2009 年 3 月期以前の数値は遡及的な調整を行っていません。
2)キャッシュ・フローの 2008 年 3 月期以前の数値は遡及的な調整を行っていません 。
2001.3
2002.3
2003.3
2004.3
¥13,995,298
¥13,230,675
¥13,604,304
¥15,177,367
収益 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
3,020,626
3,142,597
3,313,554
3,475,848
売上総利益 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
603,716
643,922
723,615
766,080
営業利益 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
68,391
68,189
100,550
130,069
持分法による投資損益 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
17,010
9,293
44,878
57,037
当社株主に帰属する当期純利益 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
92,605
60,702
62,969
117,556
130,516
134,813
183,081
212,977
8,069,384
8,148,902
8,113,317
8,397,868
289,386
694,282
682,715
828,971
有利子負債 * . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
4,194,873
4,239,764
3,938,720
4,017,130
長期債務
(1 年内期限到来分を除く). . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
2,798,152
3,238,871
3,119,391
3,033,276
ネット有利子負債 * . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
3,823,221
3,813,947
3,531,372
3,521,951
株主資本 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
971,551
1,032,499
942,067
1,224,256
営業活動によるキャッシュ・フロー . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
왖43,146
162,500
270,281
247,710
投資活動によるキャッシュ・フロー . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
113,169
38,057
왖24,388
왖70,329
財務活動によるキャッシュ・フロー . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
왖224,579
왖130,469
왖282,681
왖56,203
ネット・キャッシュ・フロー . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
왖154,556
70,088
왖36,788
121,178
業績指標:
売上高 *1 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
当期業績:
2
基礎収益 * . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
事業年度末の財政状態:
総資産 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
3
運転資本 * . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
4
5
キャッシュ・フロー:
注記:米ドル金額は便宜的に 1 米ドル=83 円で換算しています。
*1 売上高は日本の商社が通常自主的に開示する指標であり、米国会計基準における売上高または収益を意味するものではありません 。
(有価証券報告書の連結財務諸表に
対する注記 1 をご参照ください 。)
*2 基礎収益=営業利益(貸倒引当金繰入額控除前)
+利息収支+受取配当金+持分法による投資損益
当社株主に帰属する当期純利益
ネット有利子負債/ネット有利子負債倍率
(単位:億円)
(単位:億円、倍)
40,000
5,000
4,709
4,632
4,191
4,000
3,564
1,000
25,000
2,748
20,000
3.9
2.9
2.3
1.5
1.3
1.1
1.2
1.0
0
■ ネット有利子負債 ■
24
29,682 29,473
3.7
5,000
630
0
35,676
3.7
10,000
1,176
607
34,439
31,300 30,811
15,000
1,866
926
35,314 35,220 34,235
30,000
3,695
3,000
2,000
38,232 38,139
35,000
ネット有利子負債倍率
0.9(倍)
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
単位:百万円
単位:百万米ドル
2005.3
2006.3
2007.3
2008.3
2009.3
2010.3
2011.3
¥17,122,034
¥19,085,562
¥20,526,402
¥23,105,053
¥22,393,595
¥17,102,782
¥19,233,443
$231,728
2011.3
4,133,338
4,813,468
5,068,199
6,050,654
6,156,365
4,540,793
5,206,873
62,733
878,707
1,054,371
1,144,982
1,172,665
1,465,027
1,016,597
1,149,902
13,854
185,192
351,040
409,563
354,931
590,502
182,253
316,141
3,809
99,624
124,867
152,211
154,993
156,776
113,363
161,455
1,946
186,641
356,444
419,109
470,860
369,543
274,846
463,188
5,581
336,905
548,453
685,582
628,419
857,337
379,384
604,829
7,287
9,048,561
10,283,887
11,399,928
11,695,007
10,871,554
10,856,850
11,347,442
136,716
1,017,681
1,243,841
1,335,452
1,429,764
1,613,776
1,780,008
2,012,098
24,242
4,040,199
3,766,343
3,829,060
4,183,592
4,879,397
4,154,692
4,257,563
51,296
2,975,701
2,877,050
2,863,558
3,096,818
3,467,766
3,246,029
3,188,749
38,418
3,423,498
3,130,046
3,081,050
3,443,861
3,567,633
2,968,151
2,947,308
35,510
1,493,175
2,347,451
2,917,764
2,872,253
2,382,930
2,962,521
3,284,387
39,571
145,700
384,278
448,573
327,712
558,226
761,573
331,204
3,990
6,597
왖91,851
왖303,251
왖353,480
왖693,550
왖138,502
왖262,601
왖3,164
왖60,414
왖239,415
왖108,363
69,700
650,608
왖755,347
76,749
925
91,883
53,012
36,959
43,932
515,284
왖132,276
145,352
1,751
*3 運転資本は現金および短期借入金を含む、流動資産および流動負債の純額です。
*4 有利子負債は短期借入金および長期借入金債務(1 年以内の期限到来分を含む)
から債務の時価評価の影響を除いた金額です。
*5 ネット有利子負債は、有利子負債から現金および現金同等物と定期預金を差引いたものです。
株主資本/株主資本利益率(ROE)
キャッシュ・フロー
(単位:億円、% )
(単位:億円)
35,000
32,844
30,000
25,000
5,153
5,000
23,829
23,475
10,000
29,625
29,178 28,723
20,000
15,000
14,932
12,243
10,000
9,716 10,325 9,421
5,000
10.9
6.1
16.3
14.8( % )
14.1
–5,000
15.9
13.7
■ 株主資本 1,546
919
530
370
1,454
439
368
1,323
10.3
6.4
0
1,212
701
0
18.6
■
–10,000
ROE
■ 営業活動によるキャッシュ・フロー ■ 投資活動によるキャッシュ・フロー ■ 財務活動によるキャッシュ・フロー ネット・キャッシュ・フロー
■
25
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
2001.3
2002.3
2003.3
2004.3
財務指標:
)% ) . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
株主資本利益率
( ROE(
9.9
6.1
1.2
3.7
2.8
1.2
6.4
0.7
3.7
4.1
1.2
10.9
1.8
2.9
4.5
1.7
864
14.63
1.4
919
23.73
1.4
822
20.45
1.4
965
12.86
1.2
1,567,172
1,566,553
1,565,647
1,565,557
59.09
59.09
633.97
8.00
14
38.74
38.74
682.28
8.00
21
40.21
37.69
601.71
8.00
20
75.09
69.31
781.99
12.00
16
42,126
44,034
47,370
49,219
22.2
22.2
17.6
16.7
総資本利益率
( ROA(
)% )
*1 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
ネット有利子負債倍率
(倍). . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
3.9
2.7
投下資本利益率
( ROIC(
)基礎収益ベース)
( % ). . . . . . . . . . . . . .
株主資本配当率
( DOE(
)% ). . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
株価情報:
期中平均株価
(円) . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
株価収益率
( PER(
)倍)
*2 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
株価純資産倍率
( PBR(
)倍)
*3 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
株式:
期末発行済株式数
(千株)
*4 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
1 株当たり当社株主に帰属する当期純利益:
基本的 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
希薄化後 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
1 株当たり株主資本 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
配当金 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
配当性向
(%)
*5. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
〈 ESG 指標〉
( ESG:環境
( Environmental )
、社会
( Social )
、企業統治
( Governance )
)
環境:
*6 . . . . . . . . . . . . . . . . .
グローバルベースの CO2 排出量( t-CO2)
社会:
従業員数
(人). . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
ガバナンス:
社外取締役比率
( % ). . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
*1
*2
*3
*4
*5
*6
ROA は、継続事業に係る法人税等および持分法による投資損益前利益を、期首および期末の総資産の平均で除して算出したものです。
PER は、期中平均株価に期末発行済株式総数を乗じた時価総額を当期純利益で除して算出したものです。
PBR は、期中平均株価に期末発行済株式総数を乗じた時価総額を株主資本で除して算出したものです。
当社が保有する自己株式は含まれていません 。
配当性向は組替再表示前の当期純利益から算出したものです。
集計範囲は、三菱商事、株式持分 50%超の子会社および孫会社(3 月 31 日時点)
1 株当たり当社株主に帰属する当期純利益(希薄化後)
総資産/ROA
(単位:億円、% )
(単位:円)
120,000
113,999 116,950
108,716 108,569
113,474
102,839
100,000
300
282.55
250
90,486
80,000
83,979
80,694 81,489 81,133
5.0
4.8
4.8( % )
1.8
110.11
3.4
2.5
2.7
0
50
■
ROA
69.31
59.09
38.74
37.69
0
0.7
■ 総資産 26
166.89
150
100
1.2
224.51
5.5
40,000
20,000
209.39
200
60,000
281.05
247.07
Mitsubishi Corporation
単位:円
2005.3
Annual Report 2011
単位:米ドル
2006.3
2007.3
2008.3
2009.3
2010.3
2011.3
2011.3
13.7
2.5
2.3
6.9
2.1
18.6
5.0
1.3
10.0
3.0
15.9
5.5
1.1
11.4
2.9
16.3
4.8
1.2
9.9
3.2
14.1
3.4
1.5
14.4
3.2
10.3
2.7
1.0
6.4
2.3
14.8
4.8
0.9
9.7
3.4
̶
1,202
10.09
1.3
2,042
9.67
1.5
2,371
9.56
1.4
3,110
11.19
1.8
2,299
10.55
1.6
1,969
12.16
1.1
2,102
7.70
1.1
25.33
1,565,749
1,685,767
1,688,303
1,641,203
1,642,904
1,643,532
1,644,074
̶
119.21
110.11
953.65
18.00
15
219.32
209.39
1,392.51
35.00
16
248.42
247.07
1,728.22
46.00
19
283.82
282.55
1,750.09
56.00
20
225.00
224.51
1,450.44
52.00
23
167.28
166.89
1,802.53
38.00
23
281.80
281.05
1,997.71
65.00
23
3.40
3.39
24.07
0.78
1,385,892
1,805,930
1,991,207
1,340,963
1,393,277
1,827,778
̶
51,381
53,738
55,867
60,664
60,095
58,583
58,470
̶
25.0
23.5
22.2
25.0
33.3
33.3
33.3
̶
配当金/配当性向
̶
̶
̶
̶
̶
(単位:円、倍)
70
3,110
3,000
65.0
60
23.7
2,500
56.0
52.0
50
40
21
35.0
20
30
16
15
23
19
20
16
38.0
23 ( % )
23
8.0
822
965
10.1
9.7
9.6
2,102
12.2
11.2
1,202
919
10.6
7.7(倍)
500
12.0
8.0
864
1,969
12.9
14.6
1,000
2,299
2,042
1,500
18.0
14
2,371
20.5
2,000
46.0
10
̶
期中平均株価/株価収益率(PER)
(単位:円、% )
20
̶
8.0
0
0
■ 配当金 ■
配当性向
■ 期中平均株価 ■
株価収益率
(PER)
27
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
金属・エネルギー資源デー タ集
石炭資源
日本向け総輸入量および当社シェア*(2010 年 1 ∼ 12 月)
原料炭
一般炭
三菱商事
15%
三菱商事
33%
総輸入量
その他
67%
総輸入量
59
119
百万トン
百万トン
その他
85%
* 当社シェアに関しては、当社がトレーディングにのみ関与しているものを含みます。
BMA 年間生産量(50%ベース)推移
MDP 年間販売量の推移
(百万トン)
25
26.1
(百万トン)
25.7
23.7
24.8
23.7
30
22.1
29.9
30.4
28.7
27.8
27.7
29.1
25
20
20
15
15
10
10
5
5
0
0
■ 第 1 四半期 ■ 第 2 四半期
■ 第 3 四半期
■ 第 4 四半期
■ 強粘結炭 ■ 微粘結炭 ■ 一般炭
* 4 ∼ 3 月累計。
* BMA 以外の一般炭持分販売量も含みます。
** 2006 年 12 月期以前は 1 ∼ 12 月累計、2008 年 3 月期以降は 4 ∼ 3 月累計。
その他の金属資源
日本向け総輸入量および当社シェア*(2010 年 1 ∼ 12 月)
鉄鉱石
銅
アルミニウム
三菱商事
7%
三菱商事
三菱商事
15%
16%
総輸入量
総輸入量
総輸入量
百万トン
百万トン
百万トン
134
その他
93%
1.6
その他
84%
* 当社シェアに関しては、当社がトレーディングにのみ関与しているものを含みます。
28
1.9
その他
85%
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
エネルギー資源
LNG の日本向け総輸入量および
当社シェア*
LNG 持分生産能力
(百万トン/年)
7
7.05
7.05
7.05
(見通し)
FTU
6
5
総輸入量
三菱商事
その他
4.97
5.34
3
百万トン
59%
4.97
4
41%
70.6
4.85
2
1
0
〈 2011 年 3 月期〉
■ ブルネイ ■ マレーシア1 ■ マレーシア2 ■ マレーシア3* ■ 西オーストラリア* ■ オマーン ■ カルハット
(オマーン)
■ サハリンⅡ* ■ タングー *
* 当社シェアに関しては、当社がトレーディング
にのみ関与しているものを含みます。
* 上流権益も保有。
当社保有埋蔵量
石油・ガス上流持分生産量(年平均値)*
(億バレル)
(千バレル/日)
原油・コンデンセート
160
2.3
146
140
120
合計 *1*2
天然ガス
11.8
9.5
116
100
82
80
90
84
76
60
40
20
0
〈 2010 年 12 月末時点〉
*1 石油換算。会計上の非連結先も含みます。
*2 権益保有見合い。一部当社独自の基準によります。
(見通し)
FTU
■ 天然ガス ■ 原油・コンデンセート
* 石油換算。会計上の非連結先も含みます。
持分生産量(1 ∼ 12 月累計)
鉄鉱石 (百万トン)
7
6
6.6
銅 (千トン)
7.0
6.9
6.3
6.1
6.5
5
150
138
アルミニウム (千トン)
141
148
250
138
121
128
100
4
240
240
232
230
233
200
150
3
100
50
2
230
50
1
0
0
0
■ IOC ■ CMP
■ エスコンディダ ■ アンタミナ ■ ロスペランブレス
■ モザール ■ ボイン ■ その他
29
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
取り組 み と 戦 略
Operations
30
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
こ の セクションで は 、社 長 直 轄 2 部 門や
各 営 業グ ル ー プ 、各 地 域に お け る営 業 活 動 の 状 況に つ い て ご 説 明しま す 。
社長直轄 2 部門の紹介
地球環境事業開発部門. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
32
ビジネスサービス部門 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
33
営業グループの業績 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
34
営業グループのプロフィール. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
36
新産業金融事業グループ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
38
エネルギー事業グループ. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
42
金属グループ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
46
機械グループ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
50
化学品グループ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
54
生活産業グループ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
58
地域戦略 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
62
31
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
社長直轄 2 部門の紹介
地球環境事業開発部門
部門 CEO メッセージ
地球環境事業開発部門は、発電事業や総合水事業といった人々
持続可能な社会の実現のためには、何よりも長期的視点を持
の生活に直結するインフラ事業を核として 、地球温暖化防止や
ち 、地球環境に配慮しながら、今後、より多くの人たちが 、より
エネルギー安全保障に資する再生可能エネルギー事業・排出権
少ない資源の上に共存するための仕組み・制度・技術を扱うこ
事業、環境対応車の普及や蓄電に欠かすことができない大容量
とが大変重要と考えます。
リチウムイオン電池製造事業などに積極的に取り組んでいます。
当部門は、このような認識の下、公共性・成長性の高い分野に
おいて、事業を通じ、持続可能な社会をつくり上げるとともに、
長期安定的な収益基盤の構築と、企業価値の向上を実現するこ
とを目指しています。
常務執行役員
地球環境事業開発部門 CEO
小島 信明
組織
新エネルギー・電力事業本部
地球環境事業開発部門
地球環境事業開発部門 CEOオフィス
新エネルギー・電力事業本部
環境・水事業本部
ACCIONA TERMOSOLAR は、当社と世界有数の
新エネルギ ー事業会社である A C C I O N A(スペイ
ン)
が合弁で運営する太陽熱発電事業会社です 。
スペイン南部に4基の太陽熱発電所を保有しており、
合計の発電容量は、20万キロワットに上ります 。
D I A M O N D G E N E R AT I N G A S I A , L I M I T E D
( DGA )
は 、当社 100%出資で 2009 年に香港に設立
した電力事業会社です 。約 110 万キロワットの発電
所資産を有し、電力案件開発・建設・運営を行って
います 。タイでは大規模な太陽光発電所(写真:建
設中)
へも出資しています 。
環境・水事業本部
大容量リチウムイオン電池を2010 年 3 月期から量産
しているリチウムエナジー ジャパンは、当社とGS ユ
アサ 、三菱自動車工業による合弁会社です 。普及が
現実視される電気自動車や電力貯蔵などに対応する
ため、現在 、滋賀県栗東市に新工場(写真)
を建設中
です 。
32
当社が 59% 出資する TRILITY は、現在 、オー ストラ
リア全域において 、上水道 、下水道・再利用 、海水
淡水化 、工業排水処理・再生水など14 の事業の運営
維持管理事業を展開しています 。
(写真は VICTOR HARBOR 下水再利用プラント)
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
ビジネスサービス部門
部門 CEO メッセージ
ビジネスサービス部門は、IT 、ロジスティクスの両分野を基本
具体的には 、
『 中期経営計画 2012 』の下、経営基盤整備の一
とした統合的な機能提供を行うことにより、当社および当社グ
環である
「連結ITガバナンスの構築」
と
「連結経営基幹システムの
ループ企業における事業価値向上、業務改革・事業展開を支援
開発」
を中心となって推進しています。また、コンサルティング、
し、高度な連結経営体制を支えるとともに、新たな事業機会の創
システム開発( SI )
、アウトソーシングの各機能が統合したIT サー
出につなげていくことを目指しています。
ビス事業をシームレスかつグローバルに推進することに加え、
貿易・物流・保険管理体制の整備に取り組んでいます。
常務執行役員
ビジネスサービス部門 CEO
安藤 一郎
組織
IT サービス事業本部
主な事業投資先
ビジネスサービス部門
当社グル ー プ企業や当社顧客が抱える課題
ビジネスサービス部門
CEOオフィス
の解決および事業価値の向上を支援するため、
IT サービス事業本部
ロンティアなどを通じ、コンサルティング・SI 事
連結 IT 企画本部
ング事業を展開し、統合的な IT サービスを提供
事業投資先であるシグマクシスやアイ・ティ・フ
業の基盤を強化します 。このほか、アウトソーシ
ロジスティクス総括部
アイ・ティ・フロンティア
連結経営の高度化を支える当社グループの IT
中核会社。IT 戦略・計画の策定支援、システム
設計・開発、IT 基盤構築から運用まで 、顧客志
向を貫き、総合的にサポートします。
していきます 。
連結 IT 企画本部
当社の連結経営を支える連結経営基幹システ
ム、および連結ITガバナンスの構築を行います 。
これにより、連結ベースでの IT インフラ整備、IT
計画の策定 、情報化体制の強化を図ります 。
ロジスティクス総括部
シグマクシス
企業価値創造を支援するビジネス・コンサル
ティング会社。ビジネスモデル構築、ビジネス
プロセス設計および ITシステム実装支援を含め
た、企業の経営課題解決に資するコンサルティ
ングサービスを提供しています。
連結・グロー バルベースでの当社 、および当
社グル ー プ企業の事業展開を支えるため 、貿
易・物流にかかわる管理体制の整備やコンプラ
イアンス対応、全社レベル保険リスク対策を推
進しています 。
33
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
営業グル ー プの 業績
(2011 年 3 月 31 日まで)
2011 年 3 月期の業績
当期純利益に占める割合
新産業金融事業
グループ
売 上 高
売上総利益
持分法損益
当期純利益
総 資 産
従業員数 *1
連結 . . . .
単体 . . . .
..................
..................
..................
..................
..................
..................
..................
連結対象会社数 *2 . . . . . . . . . . . . . .
2011 年 3 月期
171,523
47,112
8,892
11,553
793,265
百万円
百万円
百万円
百万円
百万円
2,431 名
383 名
80
当期純利益
4,632 億円
エネルギー事業
グループ
■ 新産業金融事業グループ . . .
■
■
■
■
■
エネルギー事業グループ
金属グループ . . . . . . . .
機械グループ . . . . . . . .
化学品グループ . . . . . .
生活産業グループ . . . . .
...
...
...
...
...
2.5%
20.3%
49.7%
13.2%
6.3%
10.0%
売 上 高
売上総利益
持分法損益
当期純利益
総 資 産
従業員数 *1
連結 . . . .
単体 . . . .
. . . . . . . . . . . . . . . . . . 3,874,156 百万円
..................
43,798 百万円
..................
55,720 百万円
..................
94,007 百万円
. . . . . . . . . . . . . . . . . . 1,279,639 百万円
..................
..................
連結対象会社数 *2 . . . . . . . . . . . . . .
金属グループ
売 上 高
売上総利益
持分法損益
当期純利益
総 資 産
従業員数 *1
連結 . . . .
単体 . . . .
機械グループ
2011 年 3 月期末
売 上 高
売上総利益
持分法損益
当期純利益
総 資 産
従業員数 *1
連結 . . . .
単体 . . . .
70
. . . . . . . . . . . . . . . . . . 4,408,817 百万円
..................
326,281 百万円
..................
36,333 百万円
..................
230,113 百万円
. . . . . . . . . . . . . . . . . . 3,104,933 百万円
..................
..................
連結対象会社数 *2 . . . . . . . . . . . . . .
総資産に占める割合
1,535 名
485 名
11,297 名
398 名
24
. . . . . . . . . . . . . . . . . . 3,524,312 百万円
..................
182,019 百万円
..................
18,441 百万円
..................
61,369 百万円
. . . . . . . . . . . . . . . . . . 1,848,878 百万円
..................
..................
連結対象会社数 *2 . . . . . . . . . . . . . .
9,554 名
1,034 名
126
総資産
113,474 億円
化学品グループ
■
■
■
■
■
■
■
新産業金融事業グループ
エネルギー事業グループ
金属グループ . . . . . . . .
機械グループ . . . . . . . .
化学品グループ . . . . . .
生活産業グループ . . . . .
消去または全社 . . . . . . .
...
...
...
...
...
...
...
7.0%
11.3%
27.4%
16.3%
6.2%
19.2%
12.6%
売 上 高
売上総利益
持分法損益
当期純利益
総 資 産
従業員数 *1
連結 . . . .
単体 . . . .
. . . . . . . . . . . . . . . . . . 2,027,368 百万円
..................
84,180 百万円
..................
14,688 百万円
..................
29,117 百万円
..................
708,598 百万円
..................
..................
連結対象会社数 *2 . . . . . . . . . . . . . .
生活産業グループ
売 上 高
売上総利益
持分法損益
当期純利益
総 資 産
従業員数 *1
連結 . . . .
単体 . . . .
3,222 名
653 名
43
. . . . . . . . . . . . . . . . . . 5,313,607 百万円
..................
456,783 百万円
..................
23,308 百万円
..................
46,260 百万円
. . . . . . . . . . . . . . . . . . 2,183,855 百万円
..................
..................
連結対象会社数 *2 . . . . . . . . . . . . . .
24,161 名
888 名
118
*1 2011 年 3 月31 日現在のデータとなります。記載されていないコーポレートスタッフ部門の従業員数は連結 6,270 名、単体 1,824 名となっており、合計すると連結 58,470 名、単体 5,665 名となっています。
* 2 2011 年 3 月 31 日現在のデータとなります。子会社にて連結される会社数は含まれていません 。記載されていない地球環境事業開発部門は 28 社、ビジネスサービス部門は 6 社、コーポレートスタッフ
部門は 13 社、現地法人は 40 社で、合計すると548 社となっています。
* 3 2010 年 4 月 1 日付で、
「 新産業金融事業」および「 機械」の一部事業を、
「 その他」へ移管したため、関連するおのおののセグメントの 2009 年 3 月期 、2010 年 3 月期についてリステイトした数値を示し
ています 。
34
Mitsubishi Corporation
売上総利益
持分法損益
(単位 :億円)
447
471
447
総資産、ROA
当期純利益
(単位 :億円)
(単位 :億円、% )
(単位 :億円)
116
107
89
Annual Report 2011
8,357
7,980
7,933
0
1.5
76
0
30
ROA*5
0.9
5.0
413
*3
*3
688
*3
*3
698
557
438
398
828
*3
*3
*3
940
13,423
13,229
12,796
719
7.2
397
479
5,697
*3
2,301
2,167
363
5.4
29,017
28,663
31,049
7.0
1,379
3,263
5.4
7.7
2,318
ROA*5
ROA*5
4.8
62
1,736
184
1,820
614
19,134
19,135
18,489
1,551
3.3
110
69
198
181
ROA*5
0.8
0.9
*
3
*
778
842
3
*
3
*
3
172
949
* *
147
268
3 6
* *
3 6
324
*
291
6,291
3
108
3.7
*3
7,328
7,086
4.8
4.0
*4
4,836
4,571
4,568
*4
215
*4
233
195
*4
468
463
21,574
21,839
21,839
2.2
2.1
*7
ROA*5
336
ROA*5
1.5
*4*7
*7
*4*7
*7
*4*7
*7
*4*7
*4 2009 年 4 月 1 日付で 、
「イノベーション事業グループ」
の全事業をその他関係グループ
(「生活産業」
「 その他」
)
へ移管し、また 、化学品グループの一部事業を機械グループへ移管したため 、関連するお
のおののグループの 2009 年 3 月期についてはリステイトした数値を示しています。
5
* ROA は、当期純利益を、期首および期末の総資産の平均で除して算出したものです。2009 年 3 月期の ROA の数値はリステイトしていません。
*6 数値は百万円の位を四捨五入したものとなっております。
*7 子会社における決算期を 12 月から3 月に変更したため、リステイトした数値を示しています。
35
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
営業グルー プのプロフィー ル
新産業金融事業グループ
アセットマネジメントや企業のバイアウト投
主な商品・サービス
資 から、リース、不 動 産(開 発・金 融)
、物
●
流、保険などの分野において 、商社型産業
アセットマネジメント事業、インフラ関連金融事業、リース事業、エアライン関連事業、バイ
アウト投資事業、ヘルスケアファンド事業、不動産ファンド関連事業、不動産ポートフォリオ
金融ビジネスを展開しています。
運営、不動産開発事業
(商業施設、物流など)
、分譲住宅・複合都市開発、建設・不動産コン
サルティング、設備事業、病院・PFI 事業、海外不動産事業、部品・製品物流事業、バラ積み
船保有・運航事業、保険事業 など
エネルギー事業グループ
石油・ガスのプロジェクト開発および投資を
主な商品・サービス
行うほか、原油、石油製品、LPG 、LNG 、炭
●
素製品などの取引業務を行っています。
LNG 、LPG 、原油、ガソリン、ナフサ、灯油、軽油、重油、潤滑油、アスファルト、その他石油
製品、石炭コークス、石油コークス、カーボンブラック原料油、コールタール・タール製品、炭
素繊維・活性炭、人造黒鉛電極、石油・ガス探鉱開発 など
金属グループ
薄板、厚板などの鉄鋼製品、石炭、鉄鉱石
主な商品・サービス
などの鉄鋼原料、銅、アルミなどの非鉄金
●
製鉄用原料炭、一般炭、鉄鉱石、ニッケル・クロムなどのステンレス原料、合金鉄、銅・アル
属原料・製品の分野において 、販売取引、
ミなどの非鉄金属原料、非鉄金属製品、貴金属、自動車部品、銑鉄、屑鉄、普通鋼材、鋼管、
事業開発、投資などを行っています。
ステンレス鋼、その他鉄鋼製品 など
36
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
機械グループ
電力・ガス・石油・化学・製鉄などの大型プ
主な商品・サービス
ラントから、船舶、鉄道、自動車、宇宙航空
●
関連機器、鉱山機械、建設機械、産業機械
まで 、幅広い分野の機械の販売、金融、物
発電関連設備、送変電設備、原子燃料輸送・輸入、国内オンサイト発電事業、国内電力小売
事業、海外海底送電インフラ事業、昇降機
●
流、事業投資などを行っています。
化学プラント関連設備、製鉄・非鉄・セメントプラント関連設備、鉄道用車両・関連設備、鉄
道事業開発、スマートコミュニティ開発、鉱山機械、港湾設備、海洋構造物、農業機械、建
設機械、工作機械
●
船舶、舶用機械、船舶保有事業、宇宙関連機器、防衛関連機器、衛星画像販売事業
●
自動車(完成車・組立部品・補用部品)
の輸出・海外生産・販売・販売金融 など
化学品グループ
石油化学品、オレフィン・アロマ、メタノー
主な商品・サービス
ル、アンモニア、クロー ルアルカリ、肥料、
●
無機原料などの汎用化学品や 、合成樹脂、
石油化学品、塩、肥料、無機化学品、合成樹脂・製品、機能性材料、電子材料、食品素材、
医薬・農薬中間体、バイオ事業、先端素材 など
機能材料、電子材料、スペシャリティーケミ
カルなどの機能化学品、食品素材、医・農
薬などのライフサイエンス分野において 、
幅広い取引業務および投資などを行ってい
ます。
生活産業グループ
食料、衣料、紙・包装材、セメント・建材、医
主な商品・サービス
療・介護など、人々の生活に身近な分野で、
●
原料・素材の調達から、消費市場に至るまで
流通市場・消費市場における戦略立案・推進、リテイル事業、通販・マーケティング事業、
の幅広い領域において 、商品・サ ービスの
提供、事業開発、投資などを行っています。
調剤薬局事業、病院経営後方支援、医療機器・医薬品販売事業、福祉用具レンタル卸事業、
ポイント・決済等関連サービス事業
●
米穀、小麦、大麦、小麦粉、とうもろこし、マイロ、青果物、水産物、砂糖類、澱粉・糖化品、
コーングリッツ、その他の糖類、塩、ホップ、モルト、大豆、菜種、ゴマ、油脂、油脂製品、
鶏・豚・牛肉、食肉加工品、配合飼料原料
●
コーヒー原料、製菓原料、果汁、茶類、チーズ、乳製品、加工食品、低温食品、菓子、水、
缶詰、酒類、ペットフード
●
ブランド事業、衣料品、履物、家具・インテリア、雑貨、綿、糸、織物、ニット編地、産業資材、
高機能材
●
紙・板紙、包装資材、チップ、パルプ、植林、印刷・写真感材および周辺資機材、セメント、
生コン、木材、各種建材、硅砂、カオリン、タイヤ、工業用ゴム製品 など
37
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
新産業金融事業グルー プ
グルー プ CEO メッセージ
当グループは、
「モノ」
への目利き力・ノウハウに加え、全産業
その中でも、当グループ全体にまたがっていた不動産金融事
領域との接点やグローバルネットワークを有するという当社の
業をより機動的に推進していくため 、2010 年 10 月にグル ープ
強みを活かし、商社型産業金融ビジネスに取り組んでいます。
CEO 直轄組織として「不動産金融事業ユニット」を新設し、中長
主な事業は、リース事業、バイアウト投資 *1 事業、アセットマネ
期の不動産ポートフォリオを構築して、金融商品化していく体制
ジメント事業、不動産金融事業などで、従来の金融モデルを発展
させた三菱商事ならではの新たな金融仲介ビジネスを展開して
を構築しました。
2011 年3 月期は、グループ発足以来取り組んできた事業の枠
います。また、商業・物流施設・分譲住宅などの不動産開発や、
組みにも一定のめどが立ち、本格稼働に向かいました。金融市
物流分野・保険分野でのソリューション提供も推進しています。
場は、金融危機からの回復の流れを受けて、総じて堅調に推移し
ました。これらのことから、当グループの当期純利益は 116 億
中期経営計画 2012 の目標と進捗状況
円となり、前期の 76 億円の損失から192 億円改善しました。
『 中期経営計画 2012 』の下、当グループでは、優良資産ポー
トフォリオの構築とアセットマネジメント機能の強化に加え、中国
をはじめとする新興国の成長の取り込みに注力しています。
重点戦略として、
「不動産を対象とした不動産金融事業と海外
(中国など)
での不動産開発事業」
、
「航空機・自動車・総合のリー
2012 年 3 月期の事業環境・業績見通し
当グル ープを取り巻く事業環境は 、東日本大震災による影響
を引き続き注視する必要がありますが 、金融危機による一時的
な落ち込みからはすでに脱却したものと判断しています。
ス事業」
、
「インフラ分野を金融事業として取り組むインフラ関連
2012 年 3 月期の当期純利益は、リース事業からの堅調な収益
金融事業」
、
「国内外企業へのバイアウト投資事業」
、
「船舶等の
貢献などにより、前期比 14 億円の増加となる130 億円を見込ん
物流資産を対象とした物流金融事業」
の五つの事業領域を
「伸ば
でいます。
す」
分野と定め、実物資産や実業をベースにした金融仲介を実現
する
「商社型産業金融ビジネス」
を、グローバルかつ総合的に展
*1 バイアウト投資:既存企業に出資し、経営をサポートすることで、企業価値向上を通じ
てリターンを得る投資手法
開することを目指していきます。
常務執行役員
新産業金融事業グループ CEO
武内 英史
38
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
組織
新産業金融事業グループ
新産業金融事業グループ
CEOオフィス
新産業金融事業グループ
管理部
不動産金融事業ユニット
産業金融事業本部
開発建設プロジェクト本部
物流本部
従業員数
連結 . . . . . . . . . 2,431 名
単体 . . . . . . . . . 383 名
連結対象会社数 . . .
宮原 一郎
佐々木 伸
執行役員
産業金融事業本部長
執行役員
開発建設プロジェクト本部長
理事
物流本部長
村田 弘一
新産業金融事業グループ CEO 補佐
(不動産金融事業担当)
80 社
当期純利益
(単位 : 億円)
廣本 裕一
社会・環境価値の創造に向けて
〈低炭素型マンションの開発を促進〉
開発建設プロジェクト本部は 、環境配
慮型マンションの開発を積極的に進めて
います 。2011 年 1 月に竣工した
「テラス
東陽町ネクスタワー (
」 東京都江東区)
は、
CASBEE 評価(建築物総合環境性能評価
システム)
における CO 2 排出量基準値に
対し、大幅な削減を実現するなどの成果
を上げています 。
09.3
10.3
11.3
12.3
実 績
実 績
実 績
見通し
■ 第 1 四半期 ■ 第 2 四半期 ■ 第 3 四半期 ■ 第 4 四半期
具体的には 、①エネルギ ー効率に優れ
た設備を導入し、地球温暖化の原因とさ
れる CO 2 排出量を削減、②緑化面積を増
やし、住環境と地域環境の向上を図る、
③再生材や節水型設備を積極的に採用
〈主な変動要因〉
2009 年 3 月期∼ 2010 年 3 月期
〈増加〉
• 株式減損の前期比減
•ファンド投資関連収益の改善
2010 年 3 月期∼ 2011 年 3 月期
〈増加〉
• 株式減損の前期比減
• 海外不動産売却益の計上
•リース関連事業収益の改善
し、限りある資源の節約を図る、という三
つのテー マで開発を推進しました 。
また 、三 菱 自 動 車 工 業 の「 i-MiEV 」を
カーシェアリングに採 用するなど 、ソフ
ト・ハード両面から環境に優しい住まいづ
くりに貢献しています 。
テラス東陽町ネクスタワー
39
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
新産業金融事業グルー プ
産業金融事業本部
金融企画ユニット
▶
日本政策投資銀行と共同で、アジアのプライ
リーマンショック以降、日本国内の不動
ベート・エクイティ・ファンドを投資対象とす
産取引は大幅に落ち込み 、景気の低迷も
る新ファンドを設立しました。今後も同ファ
あって回復が遅れていましたが、2011 年
▶
インフラ・事業金融ユニット
ンドのほか、投資家のニーズに合ったファン
3 月期にようやく底打ちの兆しが見られま
▶
リース事業ユニット
ドの組成・販売などを通じて、資産運用ビジ
した。しかし、東日本大震災が不動産マー
▶
エアラインビジネスユニット
企業金融ユニット
ネスの強化・発展に取り組んでいきます。
ケットに与える影響は複雑で、見極めに時
▶
リース事業では 、当社関連会社である
三菱UFJリースや三菱オートリースにおけ
新興国と先進国の株価指数の推移(07.4 ∼ 11.3)
(単位:MSCI 指数、先進国)(単位:MSCI 指数、新興国)
1,500
2,100
1,000
1,400
500
700
る業績は回復基調にあります。また、航空
2007
0
■
■
2008
2009
MSCI 指数、新興国 ■
■
2010
2011
MSCI 指数、先進国
MSCI 指数/先進国・新興国:先進国・新興国それぞれ20カ
国以上の株式を対象とする株価指数
出所:Morgan Stanley Capital Inc. Emerging Market Index
リーマンショックを機に大きく落ち込ん
注目しています。
当本部では、総合商社ならではの幅広い
機リース事業においても 、旅客需要の回
産業分野へのアクセスやグローバルなネッ
復を好機と捉え、当社100% 子会社である
トワークを活かし、国内外で付加価値の高
MC アビエーション・パートナーズでは優
い不動産の開発や建設・不動産分野での高
良資産の積み増しを図っています。
度なソリューション提供を行っています。
バイアウト投資事業では 、当社と三菱
UFJフィナンシャルグル ープの合弁企業
0
間を要するものも多く、今後の取引動向に
2010 年 7 月に欧州の投資家に売却した
ロンドン・シティの
「 Bow Bells House 」
である丸の内キャピタルが運営するファン
は当社がパ ートナーと共同で開発したオ
ドを通じ、高品質食品スーパーマーケット
フィスビルで、金融危機によりマーケット
を運営する
「成城石井」など新たに 2 件の
に不透明感が広がる中にあっても、投資対
投資を実行しました。また、2010 年9 月に
象として高い評価を得た開発事業の一例
は、国内のメガバンクと共同で事業再生を
です。
必要とする企業を投資対象としたファンド
国内では 、当社子会社の三菱商事都市
だ世界経済も底を打ち 、回復基調を保っ
運営会社「ジャパン・インダストリアル・ソ
開発が武蔵野市開発公社から大手百貨店
ています。中でも先進国を上回る成長を
リューションズ」
を設立し、事業再編・再生
が退店した商業ビルを借り上げ
「コピス吉
続けている中国やインドをはじめとした新
における資金ニーズに応えることを目指
祥寺」
として 2010 年 10 月にリニューアル
興国では、インフラ整備や産業育成に伴う
しています。
オープンするなど、都市型商業施設の開
資金需要が旺盛であり、当本部の投資機
会やビジネスチャンスも増えています。
当本部では、
“産業金融”
の視点に立ち、
今後、海外のインフラファンドへの新た
な取り組みなどを含め、産業金融ビジネス
のさらなる拡充を進めていきます。
業、③バイアウト事業の 3 分野を中心に、
アセットマネジメント事業においては、当
社子会社であるエー・アイ・キャピタルが
発機会をグローバルに追求しており、成長
への取り組みを本格化させているほか 、
開発建設プロジェクト本部
最大の不動産マーケットであるアメリカ
資家へのさまざまな投資機会の提供を通
じて、金融仲介機能を果たしています。
当社では 、付加価値の高い不動産の開
著しい中国で住宅や商業施設、物流倉庫
①アセットマネジメント事業、②リース事
産業界へのリスクキャピタルの提供や、投
発・運営に力を入れています。
で、学生アパートなどのユニークな成長分
▶
不動産開発事業ユニット
▶
都市・住宅開発ユニット
▶
建設・設備ユニット
▶
海外不動産ユニット
野に積極的にリソースを投入しています。
日本の証券化の対象となる不動産取引額、
不動産取引件数
(単位:兆円、件)
新興国における自動車ファイナンス事業のニーズを取
り込むべく、当社と三菱 UFJリースと共同でトルコ大手
自動車リース会社Ekim Turizm Ticaret Ve Sanayi A.S
(ブランド名:Intercity )
に資本参加しています。
40
07.3
08.3
■ 不動産取引額 09.3
10.3
■■
*J-REIT を含む
出所:国土交通省
不動産取引件数
11.3
三菱商事都市開発がリニューアル・運営管理を手掛け
る複合商業施設「コピス吉祥寺」
。
Mitsubishi Corporation
に減少し、2011 年 3 月期はそれ以前の水
物流本部
準に回復しつつある状況です。
こうした環境下、当本部は 、当社各グ
Annual Report 2011
会社 NEW CENTURY INSURANCE の
運営を通じて、各種保険事業を幅広く推進
しています。
▶
保険ユニット
▶
物流事業ユニット
ループの商流と一体となり、総合的・一体
▶
不定期船事業ユニット
的物流サ ービスを提供し、①物流事業、
▶
ターミナル事業ユニット
物流開発ユニット
②不定期船事業、③保険事業の 3 分野を
象としたファンド事業、さらに、物流機能
▶
中心に着実な実績を上げています。
を切り口とした事業再構築や企業投資など
また 、新産業金融事業グループの一員
本邦輸出入海上コンテナ貿易額
今後は、新たなビジネスモデルの展開と
して、物流不動産ビジネスや物流資産を対
も推進していきます。
として、金融機能を組み込んだ、商社らし
(単位:兆円)
いユニークな物流金融事業モデルの構築
40
にも取り組んでいます。
30
物流事業では 、当社子会社である三菱
商事ロジスティクスが国内外での倉庫・輸
20
配送、国際複合一貫輸送、自動車船の船
10
舶保有運行事業を展開。さまざまな顧客
0
2006
2007
2008
2009
2010
■ 輸出 ■ 輸入
ニーズに対応しています。
不定期船事業では、石炭、穀物などの原
料輸送における外航船舶の保有と運航、
出所:財務省貿易統計より当社作成
港湾ターミナルの運営など総合バルク物
本邦輸出入海上コンテナ貿易額は2008
流事業に取り組んでいます。
年 3 月期まで増加傾向でしたが 、2008 年
保険事業では 、保険代理店である三菱
に起きたリーマンショックの影響で一時的
商事インシュアランスとキャプティブ保険
不動産金融事業ユニット
れている部分はいまだ 1% 程度に過ぎ
ず 、今後、アメリカ並みの 5% 規模への
成長も期待されます。
東証 REIT 指数の推移
新産業金融事業グループ全本部にま
(2010 年 4 月∼ 2011 年 5 月)
たがっていた不動産ビジネスを金融事
1,200
大黒町物流センター
開発型証券化手法を用いて2010 年3 月に竣工した大型
物流センター。
(横浜市)
組成・運営事業などを行っています。
今後、国内事業基盤の拡充とともに、
国内外の投資家と、主に中国・アメリカ
の不動産を縦横につなげるべく海外事
業構築を図る方針です。
業として推進していくために、
「不動産
1,000
金融事業ユニット」
を 2010 年 10 月 1 日
800
付で新設。産業金融事業・開発建設プ
600
ロジェクト・物流の既存 3 本部の融合組
織として、関連事業や資産の移管と人材
400
4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5(月)
■
■
東証 REIT 指数 ■
■
TOPIX
投入を行い 、グループ CEO 直轄の下、
より機動的に不動産金融ビジネスを推進
していく体制を整備しました。
リーマンショック以降低迷した不動産
当ユニットでは、金融仲介につなげる
市況にも底打ち感が出始め 、安定収益
ための収益不動産の中長期保有を前提
を生み出す上場 REIT や不動産私募ファ
とした、自己資金によるポートフォリオ運
ンドへの投資家ニーズも確実に回帰傾
営事業、ならびに、不動産アセットマネジ
向にあります。2,200 兆円と言われる
メント事業子会社を通じて、第三者資金
わが国の不動産市場の中で 、証券化さ
・私募ファンドの
活用による公募
( REIT )
mozo wondercity( モゾワンダーシティー )
当社が保有する大型ショッピングセンター。
(名古屋市)
41
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
エネルギー事業グルー プ
グルー プ CEO メッセージ
当グループのビジネスモデルは、石油・ガスの探鉱・開発・生
産事業、LNG 液化プロジェクトへの投資、原油・石油製品・炭素
をはじめとする市況上昇と、前期の日本航空子会社向け燃料デ
リバティブ取引にかかわる損失の反動が増益の理由です。また、
製品・LNG・LPGなどの輸入・三国間といった貿易事業、国内取
『 中期経営計画 2012 』の取り組みについては、当グループの中
引やリテール事業など、上流から下流までバリューチェーンのあ
核となるLNG 事業においてインドネシアのドンギ・スノロ LNG
らゆる領域に及んでいます。
プロジェクトの最終投資決定を行い、その後、上流鉱区の権益も
中期経営計画 2012 の目標と進捗状況
ス・プロジェクトへの参画を果たしました。
取得しました。カナダでは、非在来型ガス開発であるシェールガ
『 中期経営計画 2012 』の下、
「天然ガスを中心とした既存プロ
ジェクトの維持拡大と開発中および新規プロジェクトの立ち上
げ」
、
「 E&P(上流部門)
の育成・強化」
、
「グローバル化の進展・
2012 年 3 月期の事業環境・業績見通し
2012 年 3 月期は 、ギリシャ・ポルトガル・アイルランドなどの
成長市場の取り込みのための新規ビジネスモデルの構築と、そ
財政懸念がある一方、新興国の経済成長力は依然高く、エネル
れを支える当社戦略・機能の進化」
を当グループの重点戦略とし
ギー需要増が予想されています。また 、産油国である中東・北
て 、社会・環境価値に配慮しながら事業を展開しています。ま
アフリカ情勢の先行不透明感もあり、価格は神経質な動きとな
た、中長期的には、
「総合商社のエネルギー部門としてのUnique
りながらも総じて堅調に推移するものと予想されます。このよ
で Sustainable なエネルギー会社」
を目指し、日本を中心にアジ
うな環境下、2012 年 3 月期の当期純利益は900 億円となる見込
ア・新興国の需要を取り込み 、事業のグローバル化を推進して
みです。また 、
『 中期経営計画 2012 』に沿って 、ドンギ・スノロ
います。
LNG プロジェクトやシェールガス・プロジェクトを着実に立ち上
2011 年 3 月期の当期純利益は940 億円となり、前期比 221 億
げ 、天然ガス・石油の新規事業への参画を追求するほか 、新興
円の増益となりました。ユーロ危機による不安要因や北アフリ
国の需要を取り込んだ石油製品や炭素製品のフロービジネスの
カや中東での民主化を求める反政府運動の影響を受けて、油価
構築にも注力する考えです。
常務執行役員
エネルギー事業グループ CEO
柳井 準
42
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
組織
エネルギー事業グループ
エネルギー事業グループ
CEOオフィス
エネルギー事業グループ管理部
石油・ガス探鉱開発事業ユニット
天然ガス事業第一本部
天然ガス事業第二本部
石油事業本部
炭素・LPG事業本部
従業員数
連結 . . . . . . . . . 1,535 名
単体 . . . . . . . . . 485 名
連結対象会社数 . . .
70 社
平野 肇
林 良一
森 和之
執行役員
石油事業本部長
理事
炭素・LPG 事業本部長
理事
天然ガス事業第一本部長
真崎 宇弘
伊勢田 純一
執行役員
エネルギー事業グループ
E&P 担当
執行役員
天然ガス事業第二本部長
社会・ 環境価値の創造に向けて
当期純利益
(単位 : 億円)
〈 ペトロナス工科大学・バイオマス研究所の立ち上げ〉
2011 年 2 月 24 日、マレーシアのトロノー でペトロナス工科大学・バイオマス研究所
の開所式が開催されました 。研究所の開設は、三菱商事教育貢献基金(マレーシアでの
教育分野への貢献を目的に設立)
がスポンサ ー となり、同大学に派遣された上村芳三
教授を中心に進められました 。上村芳三教授は Green Technology 分野の教授として、
学生の教育への精力的な取り組みが高い評価を得ています。大学からは当社の支援に
対する感謝の辞が述べられました。この研究所はアジアでのバイオマス研究の先導的役
割を果たすこと、優れた研究者やエンジニアを輩出すること、産学連携の中心となるこ
とを目指しています。
09.3
10.3
11.3
12.3
実 績
実 績
実 績
見通し
■ 第 1 四半期 ■ 第 2 四半期 ■ 第 3 四半期 ■ 第 4 四半期
〈主な変動要因〉
2009 年 3 月期∼ 2010 年 3 月期
〈減少〉
• 地価下落や円高による海外資源関連
子会社の取引利益減、持分利益減
• 燃料デリバティブ取引に係る損失
計上
2010 年 3 月期∼ 2011 年 3 月期
〈増加〉
• 油価をはじめとする市況上昇に伴
う総利益・持分利益増
• 燃料デリバティブ取引に係る損失
計上の前期比減
ペトロナス工科大学・バイオマス研究所の開所式
43
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
エネルギー事業グルー プ
2010 年 9 月にはシェールガス事業に参画
天然ガス事業第一本部
▶
を決定、西カナダでシェールガス資産を取
得し、すでに一部生産開始しています。
ブルネイ事業ユニット
▶
マレーシア事業ユニット
▶
オーストラリア事業ユニット
▶
インドネシアプロジェクトユニット
石油事業本部
世界の LNG 需要見通し
(単位:百万トン/ 年)
346
288
その他
( 南アメリカ他 )
欧州
222
2015
▶
石油需給ユニット
▶
産業燃料ユニット
▶
電力燃料ユニット
▶
石油原料ユニット
北米
アメリカAPサイド
その他アジア
インド
天然ガス事業第二本部
中国
台湾
韓国
▶
オマーンプロジェクトユニット
1,400
▶
サハリン事業ユニット
1,200
▶
新規プロジェクト開発ユニット
▶
グローバルガスユニット
▶
ドンギ・スノロプロジェクトユニット
▶
シェールガス事業ユニット
日本
2010
西オーストラリア North West Shelf プロジェクトは年
間 1,630 万トンの LNG を生産しています。
2020
* 2015 年、2020 年は当社予想
出所:ポーテン社
アジア・大洋州の石油需要
1,000
その他アジア・太平洋
800
600
2009 年に世 界 全 体で 180 百 万トンで
あった LNG 市場は、2010 年に220 百万ト
ンと約 2 割拡大、今後も中国やインドの新
当本部では、ロシア・サハリンⅡプロジェ
200
クトやオマーンLNG プロジェクトに参画す
0
興国の需要増に伴い堅調に増加していく
る一方、オマーンからのLNG 引き取りとア
と見込まれています。
(単位:百万トン)
400
メリカでの LNG 基地使用権などをてこに
中国
日本
01
02
03
04
05
06
07
08
09
10
出所:BP Statistical Review of World Energy June
2011
当グループでは 、長年の経験を通じて
LNG のグ ローバ ルトレーディング に 携
培われた LNG プロジェクトの遂行能力を
わっています。当本部の大きな使命は次
国内の石油需要は減少傾向ですが 、東
強みとして 、日本の LNG 輸入量の約 4 割
世代を担い得る新しい事業機会の発掘で
日本大震災で証明されたように、石油は依
を取り扱っています。当本部では、世界の
あり、インドネシアで推進中のドンギ・スノ
然われわれの生活に必要不可欠なエネル
主な LNG 輸出国・地域であるブルネイ、
ロ LNG プロジェクトでは、プラントのオペ
ギーです。一方、アジア・新興国でさらな
マレーシア、オーストラリア、インドネシア
レーションを含めて天然ガス液化事業全
る需要拡大が見込まれます。
で 、天然ガスの生産、液化、LNG 船事業、
体を取りまとめるべく、2011 年1 月に投資
当本部では 、原油・石油製品の販売(貿
日本における輸入代行業務など LNG バ
決定を行いました。またイラクでは、イラ
易取引)
、昭和四日市石油への資本参加を
リューチェーンの幅広い領域で事業を展
ク石油省とシェル社と共にイラク・サウス・
通じた精製事業、オイルタンカー の所有・
開しています。LNG は長期的に需要伸長
ガス・ユーティライゼーションプロジェクト
運航、石油基地の運営、石油製品の電力・
が 見 込 まれるエ ネ ル ギー 資 源 であり、 (イラク南部バスラ県の原油生産に伴い 、
一般産業向け販売、さらには三菱商事石油
LNG 業界規模の拡大が見込まれる中、引
産出される随伴ガスを回収・有効利用する
を中心とした全国約 1,100 カ所のサ ービ
き続き既存プロジェクトの拡張やガス保有
プロジェクト)
を進めています。また、アジ
事業まで、石油の中・
スステーション
( SS )
埋 蔵 量 の 積 み 増しなど、LNG バリュー
ア・オセアニアに限らず 、さまざまな地域
下流の幅広い領域で事業を展開していま
チェーンのさらなる機能強化に取り組み、
でプロジェクトの検討を行っていますが、
す。また、取引先は、海外では産油国やオ
収益基盤の拡充を目指します。
イルメジャー、国内では電力会社、石油元
2010 年については 、1969 年から始ま
りLNG 事 業 のルーツでもあるアラスカ
LNG が 41 年間の契約満了となり、同じく
1983 年から始まったインドネシアのアル
ンⅡ LNG プロジェクトが終結し、歴史の一
つの区切りとなりましたが 、一方で 2009
売り、一般産業、そして石油卸販売・SS 事
業者と多岐にわたります。北米(カリフォル
ニア)
やアジアで地場に根ざした石油製品
の卸売り・販売事業も行っています。今後
は 、日本国内の顧客ニーズに合った石油
製品販売事業を強化するとともに、シンガ
ポールを中心とした当社独自のネットワー
年から出荷開始したインドネシアのタン
グ ー LNG プロジェクトが順調に生産を伸
ばした年でもありました。
44
カナダブリティッシュ・コロンビア州のシェールガスプロ
ジェクトガス処理プラント
クを活かしてアジア太平洋地域での原油・
石油製品の一層の取引拡大を目指します。
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
〈 LPG 事業〉
世界の LP ガス消費量の推移
業 界トップクラスのアストモスエネル
(単位:百万トン)
事業
ギー を通じて 、LPG(液化石油ガス)
250
のさらなる成長を目指します。東日本大震
200
災によって 、LPG の災害時の有用性が大
150
いに見直されており、同社では本来ある
小 名 浜 石 油(福 島
県 いわき 市)は 原
油、石 油 製 品 の 受
払 貯 蔵 ならびに販
売を行っています。
100
環境性の高さをベースに当社が長年培っ
てきた実績やノウハウを継承した海外ビジ
50
ネスを、また全国の特約店との強固なパー
0
99 00 01 02 03 04 05 06 07 08
トナーシップを活用した国内ビジネスを展
■ アジア・大洋州
開しています。また、家庭用燃料電池エネ
炭素・LPG 事業本部
▶
炭素原料ユニット
▶
石油コークスユニット
▶
特殊炭素事業ユニット
▶
LPG 事業総括ユニット
▶
波方事業ユニット
ファームの普及促進など、LPG の需要拡
大にも積極的に取り組んでいます。
石油・ガス探鉱開発事業ユニット
世界の石油・天然ガス需要は、新興国
〈炭素事業〉
主要対面業界である鉄鋼とアルミ分野
は中長期的に成長が予測され、 また、 新エ
スノロ・トイリ鉱区は現在
原 油 を 産 出 しており、
2014 年の天然ガス生産
開始を目指します。
スノロ・トイリ鉱区
を中心に今後増加していくと予想され
南シナ海 ブルネイ
クアラルンプール
ています。
一方、価格の高騰や地政学的リスクの
ネルギー分野をはじめさまざまな分野で
高まりなど、優良な資源の確保や開発は
炭素の用途が広がりつつあります。
ますます競争が激しく、困難な環境にあ
そのような環境の下、 多種多様な炭素
出所:資源エネルギー庁「エネルギー白書 2010」
シンガポール
カリマンタン島
ジャカルタ
スラウェシ島
ります。
関 連 商 品 を 幅 広く取り扱 い 、業 界 のバ
当ユニットでは、子会社である三菱商
リューチェーン全般にかかわりながら、炭
事石油開発と共に、原油と天然ガスの探
素事業の拡大を目指します。
鉱・開発・生産事業をグローバルに展開
炭素事業では、石油コークス、石炭コー
し、LNG 事業や石油事業の発展に欠か
2011 年1 月に、インドネシアのエネル
ギー会社 P.T.Medco Energi Internasional 社より、同国スノロ・トイリ天然ガ
ス鉱区権益を20% 保有する同社子会社
クス・タールおよびタール蒸留製品など、
せないバリューチェーンの重要な一環と
を買収しました。
多岐にわたる炭素原料・製品の輸出入や外
して 、限りある貴重な石油・天然ガスの
国間取引、国内取引を行っています。こう
開発と安定供給に貢献しています。
したフロー取引と、事業投資を両輪として、
さらなる事業の拡大に取り組んでいます。
具 体 的には 、西アフリカのガボン・
これにより、先般最終投資決定を行っ
たドンギ・スノロLNG プロジェクトの上
流から下流までを一体運営することとな
アンゴラ、アメリカ・メキシコ湾、英領
り、本プロジェクトの価値向上を図りなが
北海、インドネシア、ベネズエラなどで
ら日本や韓国の需要家への安定供給を
環 境 保 全と安 全 対 策に万 全を期した
果たしていくと同時に、インドネシア経済
上で、事業展開を行っています。
への一層の貢献を図っていきます。
エネルギー事業グループが関与する主な海外プロジェクト
● 石油・ガス探鉱開発事業
● LNG・天 然ガス事業
エスジーケミカル
(福岡県大牟田市)
はカルサイン・コー
クス製造・販売事業を行っています。
45
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
金属グルー プ
グルー プ CEO メッセージ
当グループは 、鉄鋼製品・鉄鋼原料・非鉄金属の各分野にお
いて、幅広い商品を取り扱っています。
「資源投資」
と
「トレーディ
ング」
を二つの大きな柱として、世界の市場に対し良質の原材料・
製品を安定的・持続的に供給することを目指しています。
単なる投資家でもトレー ダ ー でもない真のインダストリアル
プレイヤーとして事業を拡大することを目指します。
当グル ープは 、こうした事業展開に応じて必要となる人材の
育成に力を注いでいます。特に、今後複数の資源プロジェクトを
推進していく中で、さらに継続的な人材の育成を通じて、鉱山開
中期経営計画 2012 の目標と進捗状況
2011 年 3 月期の当グル ープの当期純利益は 、前期比 922 億
円増益の 2,301 億円となり、過去最高益を達成することができ
発や運営に必要な専門家を拡充していきます。中長期的には 、
主体的な鉱山経営ができるレベルへの進化を目指し、事業基盤
の強化に取り組んでいます。
ました。オーストラリア資源関連子会社の増益や関連投資先の
持分利益増加などに、チリ鉄鉱石関連子会社における株式交換
益も加わったことが増益の理由です。
2012 年 3 月期の事業環境・業績見通し
2012 年 3 月期の事業環境は 、中東情勢の緊迫、欧州金融不
『 中期経営計画 2012 』の下、当グループは
「資源投資」
と
「ト
安、中国をはじめとする新興国のインフレ抑制策に加え、3 月に
レーディング」
という二つの柱をさらに強固なものとし、着実な
発生した東日本大震災の影響など、不安定・不確定要素はある
収益貢献を図るべく取り組んでいます。
資源については、世界経済の成長に沿って将来にわたり堅調
な需要が見込まれる
「石炭・鉄鉱石・銅・アルミ・ステンレス原
料・ウラン」
を重点 6 分野として、積極的な投資を行っています。
ものの、中国、インド、ブラジルなどの新興国の経済成長に牽引
され、金属全般の需給環境や価格は堅調に推移していくものと
予想されます。
このような 事 業 環 境 の 下、当グ ル ープは 、
『中期経営計画
既存案件の拡張や仕込み済み案件の開発を着実に推進すると同
2012 』の目標を実現するために、引き続き資源投資およびトレー
時に、将来につながる新規案件にも取り組んでいます。また、プ
ディングの分野において着実に戦略を推進していきます。
ラチナやパラジウムといった新規分野についても検討を進めて
2012 年 3 月期の当期純利益の見通しは、前期のチリ鉄鉱石関
います。トレーディングにおいては 、質の高いサ ービスや機能
連子会社における株式交換益の反動減に対して 、主にオースト
をベ ー スに 、素材や中間製品などの供給体制を強化し、成長
ラリア資源関連子会社における販売数量増や販売価格の上昇に
市場の伸びを取り込んでいきます。長年にわたって蓄積された
よる収益増加により、前期比ほぼ横ばいの 2,300 億円となる見
資源ビジネスのノウハウと市場に根差した活きた情報によって、
込みです。
常務執行役員
金属グループ CEO
衣川 潤
46
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
組織
金属グループ
金属グループ CEOオフィス
金属グループ管理部
鉄鋼製品本部
鉄鋼原料本部
非鉄金属本部
従業員数
連結 . . . . . . . . 11,297 名
単体 . . . . . . . .
398 名
連結対象会社数 . .
24 社
当期純利益
高田 光進
西浦 完司
戸出 巌
鉄鋼製品本部長
執行役員
非鉄金属本部長
執行役員
鉄鋼原料本部長
社会・環境価値の創造に向けて
(単位 : 億円)
〈地域環境との共生を図りながら石炭採掘事業を展開〉
三菱商事 100%出資の資源子会社 Mitsubishi Development Pty Ltdを通じて50% の
権益を保有するBMA の炭鉱では 、採掘跡地の自然環境を採掘前の状態に戻す修復作業
(リハビリテーション)
に取り組んでいます。
リハビリテーションでは 、石炭の採掘のためにはがした表土を別の場所にいったん保
管し、採掘終了後にその表土を戻した後、採炭前に保存した草木や周辺で採取した種子を
使って植栽を実施します。修復作業後も、草木がしっかり根付いているか、元々生息して
いた生物が戻っているかなど、修復状況を定期的にチェックしています。
また、石炭の洗浄に使用した水は、徹底した水質管理を行い、石炭の洗浄や植栽への散
09.3
10.3
11.3
12.3
水に再利用しています。雨水や地下水も炭鉱
実 績
実 績
実 績
見通し
内に貯水し、粉じん飛散防止や植栽の散水用
■ 第 1 四半期 ■ 第 2 四半期 ■ 第 3 四半期 ■ 第 4 四半期
水として有効活用するなど、地域環境との共
生に努めています。
〈主な変動要因〉
2009 年 3 月期∼ 2010 年 3 月期
〈減少〉
• オーストラリア資源関連子会社に
おける販売価格の下落
• 燃料デリバティブ取引に係る損
失計上
2010 年 3 月期∼ 2011 年 3 月期
〈増加〉
• オーストラリア資源関連子会社
(原料炭)
における販売価格の上昇
• チリ鉄鉱石関連子会社における
株式交換益の計上
リハビリテーション前と後の採炭跡地
47
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
金属グルー プ
鉄鋼製品本部
このような環境下、メタルワンにとって
当本部は今後も、メタルワン事業を中心
2012 年 3 月期は、2010 年 6 月に発表した
に、鉄鋼事業開発や自動車プレス部品事
第三次中期経営計画の最終年度となりま
業分野においても 、各市場での戦略的な
▶
メタルワン事業ユニット
▶
鉄鋼事業開発ユニット
す。この計画期間では、国内市場において
事業展開を進め 、最適かつ安定的な鉄鋼
▶
部品事業開発ユニット
は、強い営業基盤を基にさらなる強固なポ
製品の供給と流通機能・サ ービスの提供
ジションを確保。海外市場においては、拡
を推進していきます。
当本部は、当社の総合力を活かし、主力
大する需要を取り込むために、すでに多数
事業投資先のメタルワン
(鉄鋼製品流通分
の事業展開を行っているアジア・北米での
野での業界最大手商社、2003 年に旧日商
各事業の強化・拡充に取り組み 、ブラジ
岩井と合弁で設立)
と共に、
「鉄鋼グロー
ル・中国・インドなどの新興国では新たな
の構築・拡充に取
バル バリューチェーン」
事業展開を積極的に進めています。具体
▶
鉄鋼原料販売事業ユニット
り組んでいます。バリューチェーンの川上
的には、国内では、傘下鋼材加工サービス
▶
一般炭事業ユニット
分野では、当本部から直接、ブラジルなど
センター事業の統括運営会社の設立や 、
▶
鉄鉱石事業ユニット
の鉄鋼事業に資本参画し、鉄鋼メーカー
鋼管・配管機材事業の再編などを実施。
▶
ステンレス・特殊鋼原料事業ユニット
▶
との関係を深めています。また、川下分野
海 外 では 、前 期 にブ ラジ ル で 設 立した
MDP ユニット
鉄鋼原料本部
では 、タイ・オーストラリアなどで自動車
Solutions Usiminas の機能強化に加え、
当 本 部では 、投 資および 販 売・トレー
プレス部品事業を展開しています。川中分
メキシコ・中国・インドなどでもサ ービス
ディングの事業強化に力を注いでいます。
野においては 、当本部収益の柱となって
センター を新設しました。また、環境・新
投資事業は 、持続的成長を支える収益
いる主力事業投資先のメタルワンの経営
エネルギーなど新規需要分野での事業創
の柱となっています。子会社 MDP を通じ
を通じ、鉄鋼製品流通の合理化やバリュー
出に向けた取り組みも開始しています。
たオーストラリアの原料炭事業は世界最
チェーンの強化を図る一方、主要産業との
大の生産量を誇り、今後もさらなる拡張を
関係を強めて市場のニーズをいち早く捉
図っていきます。そのほか、ステンレス原
え、ビジネスを展開しています。
料生産事業、鉄鉱石生産事業、発電用燃
世界同時不況により一時的に急落した世
料である一般炭やウラン生産事業への取
界の鉄鋼需要は、アジアを中心とした新興
り組みなど、多岐にわたる事業投資を行っ
国の急速な景気回復に伴い再び伸長し、
ています。特に、南アフリカのハーニック
2010 年には世界の粗鋼生産が過去最高を
・フェロクロムにおけるフェロクロム生産
更新、今後中長期的にもさらなる拡大が
事業や、チリの CMP 鉄鉱石プロジェクト、
予想されています。一方、日本国内の鉄鋼
カナダの IOC 鉄鉱石プロジェクトなど、当
需要は一時の低迷期からは脱したものの、
内需回復は限定的で、過去ピーク時の8 割
メタルワンでは、国内および世界各地に70 拠点以上の
サービスセンターを有し、鋼材の加工、保管、納入管理
など、総合的なサービスを提供しています。
程度にとどまると予想されています。
本部は、世界の需要増加に応じてプロジェ
クトの供給規模を確実に拡大しています。
販売・トレーディング事業においては 、
金属グループのバリューチェーン
〈資源〉
鉄鋼原料・製品
石炭
鉄鉱石
ステンレス原料
薄板・厚板
特殊鋼・線材 ほか
BMA
IOC
CMP
Hernic ほか
〈加工・流通販売〉
〈製造〉
流通
三菱商事
メタルワン
高炉メーカー
(本社・国内外拠点)
Metal One America
ほか
加工・販売
五十鈴
メタルワン・スチールサービス
京葉ブランキング工業
Solutions Usiminas
ISTW ほか
〈最終需要家〉
電力会社
部材メーカー
DMET
Hirotec Australia
ほか
メタルワングループ
鉄スクラップ
非鉄原料・製品
銅
アルミ
プラチナ
その他非鉄原料
非鉄製品 ほか
非鉄スクラップ
48
〈原料調達〉
メタルワン建材
Escondida
Los Pelambres
Antamina
Mozal
Boyne ほか
電炉メーカー
九州製鋼
新関西製鐵 ほか
圧延・鋳造メーカー
VAROPAKORN
MUANG-MAX ほか
三菱商事ユニメタルズ
貴金属加工メーカー
フルヤ金属
その他メーカー
TRILAND METALS
建設会社
自動車メーカー
機械メーカー
家電メーカー
銅線・伸銅メーカー
三菱商事
米国三菱商事
欧州三菱商事
石油・ガス会社
流通
三菱商事ユニメタルズ
泰 MC
三菱商事(上海)
加工・販売・部材メーカー
TATA TOYO RADIATOR
T.RAD Czech s.r.o.
青島東洋熱交換器
東洋熱交換器(中山)
製缶メーカー
造船メーカー
電線メーカー
飲料メーカー
宝飾品メーカー
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
このような世界経済の環境の下、当社は
原料炭・一般炭、鉄鉱石、さらにはステン
レス・特殊鋼原料などの取引業務をグロー
資源投資事業の分野では、2010 年 5 月に
バルに展開しています。
チリのエスコンディダ銅鉱山の権益の買
世界の鉄鋼原料や発電用燃料の需要
い増しを実行し、持分生産量を増加しまし
は、2008 年以降一時的に落ち込みました
た。また 、同じくチリのロスペランブレス
が 、2010 年下半期には 、中国をはじめと
銅鉱山では拡張工事が2010 年3 月期無事
する新興国の経済回復を背景に、需要が
完 了し、現 在フル 生 産に入っており、ペ
徐々に回復しました。アジアを中心とする
ルーのアンタミナ銅鉱山でも2012 年の完
新興国の伸びは底堅く、中長期的には需
要がさらに増加していくと予想されてい
ます。当本部では、こうした需給トレンドを
強粘結炭の海上貿易において世界最大の生産者となっ
たBMA は、世界各国の需要家に対して安定供給を続け
ます。
進めています。
オーストラリアのジャックヒルズ鉄鉱床
一 方、アフリカ・モ ザンビ ークにあるモ
ザー ル製錬所やオーストラリアのボイン
製錬所といったアルミニウム製錬所では、
見据え、原料・燃料の将来にわたる
「安定
供給」
を果たすべく、戦略的な事業展開を
了を目指して現在拡張工事を実施中です。
引き続き高い競争力を求めてさらなる効
非鉄金属本部
率化やコスト削減を目指し運営していきま
す。このように当社は先進諸国や BRICs
▶
ベースメタル事業ユニット
においては、鉄鉱石資源への投資や、鉄
▶
アルミ事業ユニット
など世界の非鉄資源の需要増に対応すべ
道・港湾インフラの開発を目的として、現
▶
貴金属事業ユニット
く、今後も優良かつ安定した非鉄資源の供
地企業マーチソンメタルズとの協業を進め
▶
ユニメタルズユニット
▶
非鉄事業開発ユニット
ています。2010 年 4 月には、子会社 M.C.
給ソースの確保に努めていきます。
また 、販売・トレーディング事業の分野
INVERSIONESを通じ50% の権益を保有
するチリの CMH 鉄鉱石プロジェクトと、チ
リ鉱 山・製 鉄 会 社 CAP の 子 会 社 である
CMP が合併、新会社の権益を25% 取得し
ました。また、同月、オーストラリア最大級
のクレアモント一般炭炭鉱が操業を開始し
ました。さらに2010 年 11 月には、MDPを
では 、当社は 2010 年 4 月に貴金属を除く
銅とアルミの世界の供給量
ディング事業の中核と位置付け 、業容の
20
0
模拡張に関する意思決定を行いました。
約しました。今 後も同 社を販 売・トレー
30
ア・ニューサウスウェールズ州ユーラン一
年3 月にはMDPを通じ、オーストラリア・ク
社である三菱商事ユニメタルズに一括集
40
10
イーンズランド州 BMA 原料炭事業の大規
レーディング事業を、当社の 100% 子会
50
通じて10%の権益を保有するオーストラリ
般炭炭鉱の生産能力拡張を決定し、2011
非 鉄 金 属 の 地 金・原 料・製 品 の 販 売・ト
(単位:百万トン)
拡大・業績の向上に邁進していきます。ま
た貴金属の販売・トレーディング分野で
2006
2007
2008
2009
2010
■ 銅 ■ アルミ
は 、2010 年 6 月に貴金属上場信託を東京
証券取引所に上場し取引を開始しました。
このように今後ますます成長するグロー
当本部は資源投資事業および販売・ト
バルマーケットの多様なニーズに対応す
レーディング事業という事業の二本柱を通
べく、これからもスピ ーディかつ高度な
じて 、川上の分野ではチリ、ペルー、モザ
サービスの提供に努めていきます。
ンビーク、オーストラリアなどの 国々 で
世界の粗鋼生産量推移
銅・アルミニウムといった主要な非鉄金属
(単位:億トン)
資源の確保に携わっており、また川中・川
下の分野ではアメリカや中国、タイを中心
15
としたアセアン、そして欧州といった国・
地域で、非鉄金属の地金・原料・製品の販
10
売・トレーディング 事 業を展 開していま
す。2008 年 9 月のリーマンショック以降、
世界の銅需要の 40% を占める中国をはじ
5
めとした BRICs 諸国の好調な経済に支え
られ世界経済はおおむね順調に回復し、非
0
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010
日本 中国 鉄金属の市況も堅調に推移してきました。
エスコンディダ
(チリ)
は、年間 100 万トン超の銅を産出
し、今後 50 年以上の操業が可能な埋蔵資源を有する世
界最大の銅鉱山です。
その他
出所:World Steel Association
49
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
機械グルー プ
グルー プ CEO メッセージ
当グル ー プでは 、電力・ガス・石油・化学・製鉄などの大型
また、自動車事業関連では、最重要市場の一つであるインドネ
プラントから 、船舶 、鉄道 、自動車 、宇宙航空関連機器 、鉱山
シアでの三菱自動車工業/三菱ふそうトラック・バスとの事業
機械、産業機械まで 、幅広い分野の機械を取り扱っています。
や 、中国・ロシアなどでの三菱自動車工業との事業 、そして 、
それぞれの分野における知見や顧客とのネットワークを活かし、
いすゞ自動車との 50 年余の伝統を持つタイ事業やアセアン・
金融、物流、さらには事業投資へとバリューチェーンを拡大して
オーストラリアなどでの事業に力を入れています。
います。
2011 年 3 月期の当期純利益は614 億円となり、前期比 433 億
円の増益となりました。これは、アジアを中心とした自動車事業
中期経営計画 2012 の目標と進捗状況
『 中期経営計画 2012 』の下、当グループでは、
「多種多様な業
が順調に推移したことや 、前期の株式減損の反動などにより、
大幅な増益となったものです。
界・顧客・メーカー・パートナーとの接点から市場・顧客ニーズ
をつかみ 、当社の主体的機能を高めながら、ビジネスを創造す
2012 年 3 月期の事業環境・業績見通し
る」
ことを目指しています。
「電力、交通、港湾などの社会インフ
2012 年 3 月期の事業環境は、分野・市場によって異なった状
ラ関連」
、
「資源・エネルギー関連」
、
「船舶関連」
、
「自動車事業関
態が続くものと思われます。円高の進行や海外勢との競争激
連」
の四つをグル ープの重点分野として掲げ 、既存事業の強化
化、また 、東日本大震災の影響などにより、厳しい事業環境が
と新たな事業の創出に取り組んでいます。
予想されますが 、海外、特に新興国における旺盛な需要を取り
インフラ関連では、オンサイト発電事業や、新たに海底送電線
事業などの案件に取り組み、船舶関連では、
トレーディング・ファ
イナンス・船舶保有事業・海洋事業の 4 本柱による安定収益ポー
込むことに注力し、そのための具体的施策を着実に実行してい
きます。
2012 年3 月期の当期純利益は、450 億円を目標としています。
トフォリオの構築を図っています。
常務執行役員
機械グループ CEO
小宮 修
50
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
組織
機械グループ
機械グループ CEOオフィス
機械グループ管理部
重電機本部
インフラプロジェクト本部
船舶・宇宙航空事業本部
自動車事業本部
いすゞ事業本部
従業員数
連結 . . . . . . . . . 9,554 名
単体 . . . . . . . . . 1,034 名
連結対象会社数 . . .
石山 博嗣
金重 州典
白地 浩三
一寸木 守一
大河 一司
船舶・宇宙航空事業本部長
理事
重電機本部長
執行役員
自動車事業本部長
執行役員
いすゞ事業本部長
執行役員
インフラプロジェクト本部長
126 社
当期純利益
社会・環境価値の創造に向けて
(単位 : 億円)
〈 工場の環境負荷低減を後押し〉
三菱商事のオンサイト発電事業は、顧客企業の工場内に事業者(三菱商事)
が自家用発
電設備を設置し、発生する電力や蒸気を顧客に供給するビジネスです。エネルギー の供
給に加え、発電プラントの設計・調達、ファイナンス、燃料調達、保守点検も一括して請け
負います。当社がこれまでに手掛けたオンサイト発電事業は、6 案件に上ります。
2010 年 4 月にスタートした JSR 向けオンサイト発電事業では 、半導体、電子材料など
の化学メーカー であるJSR の四日市工場内に、新たに発電プラントを設置。工場のエネ
ルギー源について、従来の重油焚きからCO2 排出量の少ない天然ガス焚きに転換するこ
とにより、環境負荷の低減やエネルギー効率の改善に貢献しています。オンサイト発電事
09.3
10.3
11.3
12.3
実 績
実 績
実 績
見通し
業は、環境保全の観点からも社会的意義が高く、引き続き注力して取り組んでいきます。
■ 第 1 四半期 ■ 第 2 四半期 ■ 第 3 四半期 ■ 第 4 四半期
〈主な変動要因〉
2009 年 3 月期∼ 2010 年 3 月期
〈増加〉
• 海外 IPP(民間電力)事業会社の
利益の増加
• 株式減損や固定資産減損の前期
比減
2010 年 3 月期∼ 2011 年 3 月期
〈増加〉
• 株式減損の前期比減
• アジアを中心とした海外自動車関
連事業の好調
JSR 四日市工場向け天然ガス焚きコジェネレーション設備(2010 年 4 月竣工)
51
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
機械グルー プ
重電機本部
▶
重電機ユニット
▶
重電機輸出ユニット
▶
エレベーター事業ユニット
▶
国内電力リテール事業ユニット
三菱電機と共同で取り組んでいるエレ
ベーター 事 業では 、海 外 の 販 社 事 業 の
ポートフォリオを最適化し、効率的な取り
組みにより、収益の拡大を図ります。
* EPC:Engineering, Procurement, Construction
(設計・調達・建設)
当本部は 、国内外 32 の拠点に社員を配
する世界規模のネットワークを駆使し、
全世界向けの発電・送変電プラントや昇降
機などの EPC*・トレーディング型ビジネ
2011 年から 2013 年にかけて納入中のカイロ地下鉄
3 号線車両。
インフラプロジェクト本部
▶
スマートコミュニティ開発ユニット
スを中心として 、オンサイト発電事業など
▶
エンジニアリング事業ユニット
の事業投資型ビジネスにも積極的に取り
▶
プラントプロジェクトユニット
組んでいます。
▶
交通・インフラ事業ユニット
▶
産業機械ユニット
▶
建設・鉱山機械事業ユニット
2011 年 3 月期は 、円高などの影響で海
外向けの EPC 案件の受注が低調でした
が 、国内電力会社向け EPC 案件やオンサ
イト事業が順調に推移し、さらには 、海外
当本部では、基礎産業・インフラ分野に
での海底送電インフラ事業への取り組み
おける内外顧客の計画実現のため 、当社
を開始するなど、中長期的な成長につな
が持つ総合力を活かし、顧客に満足い た
がる打ち手も講じました。
だける最適な解決策を提案しています 。
2012 年 3 月期は 、震災復興に貢献でき
前年度は、従来取り組んできた石油・ガス・
MC Machinery Systemsショールームでのオープン
ハウス。
船舶・宇宙航空事業本部
る火力発電設備の緊急設置案件など、国
化学・製鉄などのプラント分野と、建設機
▶
船舶ユニット
内外の EPC 案件にしっかり対応するとと
械・工作機械などの量販機械分野に、交
▶
宇宙航空第一ユニット
もに、事業投資型ビジネスへの取り組みを
通・インフラ分野が加わりました。「幅広い
▶
宇宙航空第二ユニット
さらに推し進めることで、収益基盤の強化
対面業界の顧客、パ ートナー、社内他グ
を目指します。
ループとも協調し、中・長期的視野を持っ
当本部では、船舶ビジネス、ならびに宇
て日本経済や世界の発展に寄与する」
との
宙・航空関連ビジネスを展開しています。
当本部基本方針の下、将来の成長を目指
船舶関連事業では、①新造船や舶用機
2010 年 9 月に竣工した関西電力堺港発電所( LNG 焚き
200 万 kW )
。世界最高レベルの効率 58% を達成。
マレーシア証券委員会本社社屋向けエレベ ーター。
展望ガラスエレベーターを含む 12 台。
52
して必要な施策をしっかりと打ち続けてい
械の売買・仲介取引を中心とするトレー
きます。
ディング、②船舶を保有し傭船を行う社船
2011 年 3 月期は 、中国・インド・ブラジ
事業、③船舶ファイナンス、④海洋事業、
ルを中心とする新興国の経済成長に伴い、
の四つの柱を軸に、それらの有機的融合も
事業環境改善の流れを受け、プラントや交
行いつつ、グローバルに展開しています。
通・インフラ分野を中心としたプロジェク
2011 年 3 月期も 、2008 年秋の金融危
トが増加しました。また、量販機械分野で
機に端を発した海運市況低迷と極端な円
も、新興国での成約件数が増加に転じ、事
高状況の影響を受け、厳しい環境が続きま
業環境の改善が見られました。
したが 、新規大型案件の成約や社船事業
2012 年 3 月期は、円高の進行や海外勢
に支えられ、堅調に業績を推移させていま
との競争の激化などにより、厳しい環境が
す。今後も新規ビジネスの拡大により、海
予想されますが、新興国を中心に、前期同
運市況に左右されにくい収益構造の強化
様、プラント分野、交通・インフラ分野、
を図ります。
ならびに量販機械分野における需要の伸
宇宙・航空関連事業では、防衛ビジネス
びが期待されることから、これらを確実に
において 2010 年 12 月に策定された防衛
取り込むべく、必要な打ち手を講じていき
計画大綱を踏まえた装備品やサービスの
ます。
提供、新たな調達方式への対応を通じて
Mitsubishi Corporation
日本の安全保障により一層貢献すること
当本部では 、三菱自動車工業ならびに
を目指しています。また、事業投資先の日
三菱ふそうトラック・バス製車両の販売事
本スペ ースイメージング社による衛星画
業を中心として、販売金融など関連する幅
像関連サ ービスの提供など、社会ニーズ
広いバリューチェーンを構築し、事業を展
に対応した宇宙関連ビジネスにも取り組ん
開しています。
2011 年 3 月期の事業環境は 、世界的に
でいます。
Annual Report 2011
タイピックアップ市場と TIS シェア
(単位:万台)
07.3
08.3
09.3
10.3
自動車市場が回復し、特に新興国では好
調な経済情勢に支えられ堅調に推移しまし
た。当本部の最重要市場であるインドネシ
アは 、高い経済成長を背景に、2011 年 3
月期における自動車市場が過去最高販売
台 数を記 録 する中、当 社 事 業 投 資 先 の
■■ タイ全需 ■ TIS 販売台数 ■■
11.3
TISシェア
* TIS 小売り台数(タイ国内)= ピックアップ
(含派生車)
* タイからの輸出台数は含めない。
KTB も 11.7 万台を販売し、過去最高台数
を更新しました。
ばら積み船を中心に約 35 隻を保有・運航しています。
写真は Pleasant Sky 号。
当本部の中長期的な重点戦略地域で
日本スペースイメージング社を通じ、アメリカGeoEye
社が運用する世界最高分解能 41 センチの地球観測光
学衛星画像を提供しています。
業を展開しています。また、日本からの同
は 、中国において三菱自動車工業との合
社トラックの輸出、世界各国での販売など
弁による輸入・販売会社である三菱汽車
を行っています。
銷售(シャオショウ)
( 中国)有限公司が順
2011 年 3 月期は 、新興国を中心として
調に販売を伸ばしており、またロシアで
市場が回復した結果、タイ国内の販売は
は 、当社の事業投資先で三菱自動車工業
前期比約 2 割増の 16 万台、タイからの輸
製車両の輸入・販売総代理店であるRolf
出は前期比約 7 割増の 6 万台と、大幅な台
Import が金融危機後順調に回復しつつあ
数増・増益となりました。
ります。
© GeoEye
に至るまで、タイを拠点に同社と幅広く事
最重要市場であるタイでは 、50 年以上
当本部は、これら成長市場における販売
の歴史の中で、販売事業を中心に川上(開
事業を核とするバリューチェーンの強化を
発および部品・車両製造)
から川下(サ ー
図り、事業展開の付加価値を一層高めて
ビ ス・販 売 金 融)まで 充 実したバリュー
いく方針です。
チェーンを構築し、同国の商用車市場で
トップブランドの地位を築いています。
タイ以外でも 、アセアン・欧州・メキシ
自動車事業本部
コ・オーストラリアで事業投資を行ってお
り、タイ事業で培ったノウハウを活用しな
▶
自動車アセアン・南西アジアユニット
▶
自動車北アジアユニット
がら世界各国でのさらなる飛躍を目指し
▶
自動車欧州・中東・アフリカユニット
ています。
▶
自動車米州・豪州ユニット
▶
自動車国内ユニット
引き続きいすゞ自動車と連携して商品競
争力の強化に努め、次世代車に向けた輸
インドネシア自動車市場とKTB シェア
インドネシアの自動車事業は、KTBを中心に販売金融な
どのバリューチェーン強化により発展しています。
(写真は KTB 本社)
出・販売体制の強化に取り組むなど、さらな
る収益基盤の強化・拡大を図っていきます。
(単位:万台)
いすゞ事業本部
07.3
08.3
09.3
10.3
11.3
■■ インドネシア全需 ■ KTB 販売台数 KTBシェア
■
■
▶
タイ・アセアンユニット
▶
欧阿中東・米州・豪州ユニット
当本部では、いすゞ自動車の主力製品の
一つであるピックアップトラックの開発・
生産から世界約 100 カ国への輸出・販売
オーストラリアのいすゞピックアップトラック販売会社
IUAは、設立3 年目で累計1 万台の販売を達成しました。
53
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
化学品グルー プ
グルー プ CEO メッセージ
当グループでは 、常に事業環境の変化を見通し、既存ビジネ
2012 年 3 月期の事業環境・業績見通し
スの強化と新しいビジネスを創造する集団であるとともに、
「衣・
2012 年 3 月期は、シェールガスを原料とした北米の石油化学
食・住」
のあらゆる分野に接点を有する化学品産業で活躍する特
業界復権をはじめとして新たな構造変化が生じる可能性があり、
性を活かして、さらなる発展・飛躍を目指しています。
当社の機能を発揮できる事業機会と捉えています。また 、地球
環境問題、少子・高齢化の流れを受けて 、健康・安全・安心・環
中期経営計画 2012 の目標と進捗状況
境に対する関心は一層高まっており、
「ライフサイエンス」
、
「環
『 中期経営計画 2012 』の目標である当期純利益320 億円の達
境・新エネルギー」
分野に関する需要は引き続き拡大すると予想
成に向けて 、当グループは
「機能に裏打ちされた持続的収益力
されます。一方、新興国の需要は堅調ながらその成長ペースは
を持つ 、強い事業の集合体」
を目指しています。2011 年 3 月期
鈍化すると予想され、原油をはじめ資源市況や中東情勢、東日
の取り組み方針として 、
「既存中核ビジネスモデルの強化」
、
「資
本大震災の影響など、いまだ不透明な要因があります。こうし
源立地型事業への参画による事業拡大」
、
「ライフサイエンス分
た環境下、当期純利益は、前期比 11 億円減益の 280 億円となる
野の事業強化」
を掲げ 、具体的な施策の実行や将来に向けた種
見通しです。
まきを行いました。
『 中期経営計画 2012 』の達成に向け、
トレーディング強化を目
2011 年 3 月期の当グループの当期純利益は 291 億円で 、前
的とした事業投資を継続しつつ 、
「ライフサイエンス」
や
「資源立
期比 32 億円の減益となりました。これは前期のサウディ石油化
地型」
の事業領域を中心に、事業からの収益を狙った投資を拡大
学の繰延税金負債取崩益の反動の影響が大きかったものです
します。2011 年 4 月には 、新たに
「ライフサイエンス本部」
を立
が、これを除外すれば前述の取り組みの結果、取引利益が増加、
ち上げ 、発酵製品やジェネリック医薬品を中心に新分野での成
さらに株式減損の減少、受取配当金の増加などにより、高い資
長を目指しています。また、中国をはじめ新興国の成長を取り込
本効率を維持しつつ大幅増益を達成しました。
『 中期経営計画
むためにさらなる
「インサイダー化」
を図り、グローバルな事業
2012 』の達成に向け、着実に足場固めが進んでいます。
展開を深化させていきます。
常務執行役員
化学品グループ CEO
宮内 孝久
54
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
組織
化学品グループ
化学品グループ CEOオフィス
化学品グループ管理部
フェニックスユニット
サウディ石化ユニット
汎用化学品第一本部
汎用化学品第二本部
機能化学品本部
ライフサイエンス本部
従業員数
連結 . . . . . . . . . 3,222 名
単体 . . . . . . . . . 653 名
連結対象会社数 . . .
喜代吉 龍也
五十嵐 忠彦
百崎 鉄朗
汎用化学品第二本部長
執行役員
汎用化学品第一本部長
理事
機能化学品本部長
理事
ライフサイエンス本部長
43 社
当期純利益
社会・環境価値の創造に向けて
(単位 : 億円)
〈 世界最大の天日塩田で、自然環境へ の配慮や雇用創出に貢献 〉
中山 真一
三菱商事が49%、メキシコ政府が51%を出資する製塩会社Exportadora de Sal, S.A.
de C.V.( ESSA )は 、世界最大の天日塩田を運営し、日本の塩輸入量の約半分を供給、
クロー ルアルカリ事業を支える製塩会社として確固たる地位を築いています。
当社は ESSA の事業推進に当たり、投資先国の国益に配慮すること、経営は基本的に
現地の人に委ねることなどを基本方針として掲げて取り組み、日墨合弁事業のモデルケー
スと言われるほどに成長しました。また、常に周辺の生態系に配慮し、環境と調和した持
続可能な開発を地元コミュニティと共に実現。さらに ESSA 従業員を核としたコミュニ
ティが生まれ、学校、病院、教会、スーパーマーケットなどの施設が整備されています。
09.3
10.3
11.3
12.3
実 績
実 績
実 績
見通し
そこからもさまざまな雇用が発生し、地域社会の安定にも貢献しています。
■ 第 1 四半期 ■ 第 2 四半期 ■ 第 3 四半期 ■ 第 4 四半期
〈主な変動要因〉
2009 年 3 月期∼ 2010 年 3 月期
〈増加〉
• 株式減損の前期比減
• 石油化学事業関連会社の繰延税
金負債取崩に伴う持分利益
2010 年 3 月期∼ 2011 年 3 月期
〈増加〉
• 石油化学事業関連会社などにお
ける取引好調による利益増
〈減少〉
• 前期に計上した一過性の利益な
どの減少
ESSA の塩田は、年間約 750 万トンの生産能力を保有
55
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
化学品グルー プ
汎用化学品第一本部
▶
オレフィン・アロマユニット
ニーズを把握し、市場の需給インバランス
へのさらなる価値の提供を図るとともに、
の調整機能を通じて価値の提供を図って
事業の長期的な成長を目指します。
いきます。特に、中国などの成長市場にお
▶
石化中間原料ユニット
いては、輸入品・国産品を合わせて柔軟な
▶
ポリエステル原料ユニット
供給体制を拡充し、市場におけるインサイ
▶
クロールアルカリユニット
ダー化の進展によるさらなる事業拡大を
図ります。
ポリエステル繊維世界生産量推移
(単位:万トン)
3,500
3,000
汎用化学品第二本部
2,500
METOR は 、当社、ベネズエラ国営企業 Pequiven 、
三菱ガス化学などを株主とするメタノールを製造する
合弁企業です。同社では、生産能力 75 万トン/年の第
一プラントの隣接地に 85 万トン/年の第二プラント増
設が完了し、2010 年 8 月より商業運転を開始しました。
2,000
1,500
▶
メタノールユニット
1,000
▶
アンモニアユニット
500
▶
肥料ユニット
0
▶
無機原料ユニット
99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10
■ 中国 ■ 中国以外
メタノール需要推移
(単位:万トン)
当本部は、石油化学・クロールアルカリ
分野において 、合成樹脂原料、合成繊維
原料、塩、苛性ソー ダなどのトレーディン
グと、これを補完する事業投資を行ってい
ます。
2011 年 3 月期までの各製品需要は総じ
て堅調であり、特にポリエステル原料は繊
2009
2010
2011
(予想)
■ 中国 ■ 中国以外
維や PET ボトル向け用途での中国におけ
る需要が急拡大しました。
KPIは、アンモニアの製造能力50 万トン/年を持つイン
ドネシアと日本の合弁事業です。工業用基礎原料を確
保する拠点として、2002 年 2 月に稼働を開始しました。
当本部は、メタノー ル、エタノー ル、ア
機能化学品本部
新興国を中心とする需要の持続的な拡
ンモニア、化学肥料、無機原料といった
▶
合成樹脂ユニット
大の一方で、コスト競争力を有する中東か
汎用化学品の分野におけるトレー ディン
▶
塩化ビニールユニット
らの製品供給に加えて、シェールガスの開
グと、これを補完する事業投資を行って
▶
機能材料ユニット
▶
スペシャリティーケミカルユニット
▶
電子材料ユニット
発進展に伴い 、北米における石油化学事
います。
業の再興の動きも顕著になっていること
2011 年 3 月期の各製品の需要は総じて
から、今後は業界の構造や物流フロー に
堅調であり、特にメタノールは中国など新
大きな変化が生じてくることが予想され
興国市場での拡大が顕著となっています。
ます。当社は、世界中に広がるネットワー
当本部の事業領域においても 、新興国
クを活 用して事 業 環 境 の 変 化や 顧 客 の
での需要拡大や各国でのプラント新増設
PVC/PE 世界地域別生産量の推移
(単位:万トン)
10,000
塩化ビニル(PVC)
ポリエチレン(PE)
8,000
による業界の構造や物流フロー の変化が
生じています。当社はロジスティクス整備
6,000
をはじめとした需給調整機能を強化し、対
4,000
応を図っていきます。
2,000
また、当本部主要商品の原料となる天然
ガス、鉱産物、農産物などの天然資源につ
いては 、今後その地域的偏在に起因する
0
08 09 10 11 12 13 14
08 09 10 11 12 13 14
■ 中国 ■ 中東 ■ その他
出所:経済産業省報告書より 2010 年作成
稀少性の高まりが予想されています。当
AMSB は 、パラキシレン 54 万トン/年、ベンゼン20 万
トン/年の製造能力を持つマレーシアと日本の合弁事
業です。需要拡大が続く合成繊維や合成樹脂における
基礎原料分野の拠点として 、2000 年 7 月より稼働して
います。
56
社は、
トレーディングでの調達数量拡大に
当本部は、プラスチックや機能商品、電
加えて 、資源立地型事業への投資機会の
子材料の各分野で使われる原料・素材か
追求や長期購入契約の締結などによる競
ら材料部品といった化学産業の川中・川下
争力のある製品の安定確保に努め 、顧客
分野において、ビジネスチェーンをグロー
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
バルに強化・拡大するために、トレーディ
2011 年3 月期は台湾の新規太陽電池用
ングとそれらを補強する事業投資を行って
ウェハーメーカーへの出資参画や、アメリ
います。
カの塗料・接着剤用樹脂メーカー の共同
新興国では 、産業発展に伴い質の高い
2011 年 3 月期は中国をはじめとした新
た。食品化学・医薬・農薬の分野を主な事
業領域としています。
買収を行いました。2012 年 3 月期もこう
生活への欲求が急速に高まっており、人口
興国の需要増加と、世界的な景気の回復
した積極的な事業投資を織り交ぜながら、
爆発も相まってその市場は急拡大してい
を取り込み 、合成樹脂や塩化ビニー ルと
事業基盤とビジネスチェーンをグローバ
ます。一方、先進国および中国では、少子
いったプラスチックのほか、取り扱い商品
ルに強化・拡大していきます。
高齢化が進み、医療費削減政策、治療から
全般で販売を伸ばしました。
予防へという社会的ニーズの変化も進ん
当本部のモットーである
「付加価値のあ
る商材をグローバルに展開」
した成果であ
りますが、さらなる成長のために、商品の
競争力やメーカーの技術力・コスト対応力
を評価する力、加えて海外のスタッフや分
でいます。
こうした変化が 、
「健康・安全・安心・お
ライフサイエンス本部
いしさ」
という市場を拡大するエンジンに
▶
バイオ・ファインケミカルユニット
▶
生化学製品ユニット
の強みであるネットワークを活かしながら、
社・販社のグループ人材を積極的に育成・
活用し、連結ベースでの機能を強化して顧
なると認識し、
「化学」
や
「技術」
の力と商社
「食品化学・医薬・農薬」
の切り口でグロー
世界の医薬品産業の成長予測
(単位:10 億米ドル)
バル市場の拡大を取り込みます。
_
客ニーズに応えていきます。
2005
2010
2015
出所:IMS Market Prognosis, Apr 2011
Utech Solarは、台湾大手企業との合弁事業で、太陽電
池の基礎部材であるシリコンウェハーを製造します。
2011 年7 月から33 万kWの能力で生産を開始し、将来は
100 万 kWまで増設する計画です。
サウディ石化ユニット
SHARQ 社操業開始以来の
製品生産能力推移
(単位:万トン/ 年)
200
当本部は 、2011 年 4 月 1 日に新たに化
学品グループ第 4 の本部として発足しまし
MTIS は 、タイにおける三菱商事フードテック
(株)
との
合弁で 、タピオカ澱粉から作られる低カロリー で虫歯
予防機能を有する甘味料・マルチトールを、2005 年の
稼働開始以降、世界の大手菓子メーカーを中心に供給
しています。
であるSHARQに出資しています。本事
ついては 、三菱商事パッケージングな
業は 、包装資材・フィルム・PET 樹脂・
ど、生活産業グル ープとも密接に連携
ポリエステル繊維などの分野における
をとりながら取引拡大に努めています。
川 上 の 原 料 ソースとして 、化 学 品 グ
SHARQ の供給拡大に対応して、原料
ループの最重要事業の一つとなってい
から製品に至るまでのバリューチェーン
ます。
の強化を目指していきます。
150
SHARQ では 、2010 年 4 月に商業運
100
転を開始した第三次増設以降、その生
産量はほぼ倍増となっており、当社では
50
製品を中国などアジア諸国や欧州向け
0
1987
1995
2001
2010
(第 1 期)
(第 2 期)
(第 3 期)
(第 4 期)
■ ポリエチレン ■ エチレングリコール
に販売しています。さらに、樹脂の販売
強化策の一環として、フィルムや袋など
川下加工業への投資を行い、これらコス
ト競争力のある製品を子会社の三菱商
当社が 30% 強の出資をしているサウ
事プラスチックを経由して国内需要家向
ディ石油化学は、サウジアラビアのポリ
けに輸入販売し、包装資材のバリュー
エチレン、エチレングリコール製造会社
チェーンを展開しています。国内販売に
増設工事完成後におけるSHARQ の生産能力は、エ
チレン 250 万トン/年、ポリエチレン 155 万トン/
年、エチレングリコール140 万トン/年と、従来のほ
ぼ倍となり、単一工場としては世界最大の規模とな
りました。
57
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
生活産業グルー プ
グルー プ CEO メッセージ
当グループは、衣食住を中心とする食料・食品や繊維製品・生
2012 年 3 月期の事業環境・業績見通し
活物資の分野を基盤とし、医療周辺分野や流通サービスの活用
2012 年 3 月期は、資源供給の制約を背景とした世界的な需給
も取り入れながら、生活者に向けたさまざまな商品やサービス
バランスの変化や 、日本や欧米をはじめとした主要市場ならび
を安定的に調達・提供する仕組みづくりに取り組んでいます。
に新興市場の構造変化を十分に見据え、各分野の中核子会社・
関連会社を軸とした原料から輸送・加工、製品の流通・小売まで
中期経営計画 2012 の目標と進捗状況
の一貫した事業基盤の徹底強化に取り組んでいきます。先に述
当グループは『 中期経営計画 2012 』の期間を通し、①資源調
べた 3 つの重点戦略に沿ったアクションを着実に実行しつつ、食
達網の拡充、②国内事業基盤の強化、③海外成長市場への取り
料分野などにおける調達力の拡充や、既存の事業投資先を核と
組み、という重点戦略の下、成長に資する施策を実行に移してい
した事業拡張などに積極的に経営資源を配分することで収益力
きます。
のさらなる強化を図ります。また 、中国やブラジルなどの新興
2011 年 3 月期には、資源調達網の拡充に向け、アメリカ・オー
市場において、当グループが強みを持つ事業領域の横展開や有
ストラリアにおいて穀物・飼料原料の供給力を増強したことに加
力パートナーとの取り組みを進め、成長に向けた新たな収益基
え、中国とブラジルに穀物販売会社を新たに設立し、供給面・販
盤の構築を目指します。
売面共に業容を拡大しました。国内事業基盤の強化への取り組
当期純利益は 550 億円と、前期比 87 億円の増益となる見通し
みとして、子会社の食品中間流通卸 4 社が統合契約を締結し、
です。これは前期における連結納税制度導入に伴う税金費用計
2011 年 7 月より三菱食品株式会社として新たにスタートします。
上の反動や、食料関連事業での持分利益増などを見込んだもの
また、海外成長市場への取り組みとしては、イギリスの食品飲料
です。
製造販売子会社 Princes によるイギリスの Premier Foods の
缶詰事業買収につき両社で合意し、事業拡大に向け大きな一歩
を踏み出しました。
2011 年3 月期の当期純利益は463 億円となり、前期比5 億円の
減少となりました。これは、資材関連事業や食料関連会社の利益
増加などにより増益となったものの、連結納税制度導入に伴う税
金費用の計上などによりほぼ前期並みの結果となったものです。
常務執行役員
生活産業グループ CEO
森山 透
58
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
組織
生活産業グループ
生活産業グループ
CEOオフィス
生活産業グループ管理部
生活産業グループ
情報システム室
リテイル・ヘルスケア本部
農水産本部
食品本部
繊維本部
資材本部
従業員数
連結 . . . . . . . . 24,161 名
単体 . . . . . . . .
888 名
連結対象会社数 . .
村越 晃
尾畑 守伸
垣内 威彦
宮下 修
菱田 州男
資材本部長
執行役員
繊維本部長
執行役員
生活産業グループ
CEO オフィス室長
兼 農水産本部長
理事
リテイル・ヘルスケア本部長
理事
食品本部長
118 社
当期純利益
社会・環境価値の創造に向けて
(単位 : 億円)
〈 地域社会と共存するパルプ事業を展開 〉
三菱商事 70%出資の ALPAC FOREST PRODUCTS は 、カナダ・アルバ ータ州で製
紙用パルプを生産しています。同社は、1993 年の創業以来、地域や自然との共生を経営
理念に掲げ 、地域住民らとの対話によって相互理解を深めながら、自らが管理する森林
の自然再生能力を損なわない規模で、森林を伐採しています。さらに、森林内に生息す
る野生生物の生態調査を継続して行うなど、生物多様性や森林生態系の保全にも努めて
います。こうした 取 り 組 み が 認 められ、同 社 で 管 理 する 森 林 は 2005 年、Forest
Stewardship Council*( FSC )認証を取得しました。
また 、同社は工場で使用する電力を、非常時を除きパルプ製造過程で生じる廃液や木
09.3
10.3
11.3
12.3
実 績
実 績
実 績
見通し
■ 第 1 四半期 ■ 第 2 四半期 ■ 第 3 四半期 ■ 第 4 四半期
くずを燃料としたバイオマス発電で賄い 、余剰分をグリーン電力として地域に供給した
り、先住民を積極的に雇用するなど、地域社会との共存共栄に力を入れています。
*
Forest Stewardship Council:国際的な森林認証制度を行う第三者機関の一つ。環境団体、林産業者、先住民団体、
森林産業認証機関などにより設立された非営利の会員制組織。世界最大の環境 NGO であるWWF(世界自然保護
基金)
が、最も信頼できる森林認証として推奨しています。
〈主な変動要因〉
2009 年 3 月期∼ 2010 年 3 月期
〈増加〉
• 株式減損の前期比減少
2010 年 3 月期∼ 2011 年 3 月期
〈増加〉
• 資材関連事業における取引利益・
持分利益の増加
• 食料関連会社の持分利益の増加
〈減少〉
• 連結納税制度導入に伴う税金費
用の計上
山火事による森林消失パターンを模倣した伐採手法により、自然の再生サイクルに近い形で再生中の森林
59
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
生活産業グルー プ
一方、調達力の強化・拡大による、食料の
リテイル・ヘルスケア本部
▶
安定供給体制の確立を推進しています。
医薬品流通ユニット
▶
ヘルスケア事業ユニット
▶
リテイル事業ユニット
▶
新流通チャネル開発ユニット
▶
消費者サービスユニット
国民医療費の推移
(単位:兆円)
32.1
33.1
33.1
34.1
34.8
共通ポイントプログラム
「 Ponta 」
が 2011 年 6 月30 日よ
り全国の日本ケンタッキー・フライド・チキンでサービス
開始。
子会社AGREX 社の穀物集荷施設。同社はアメリカにお
いて穀物調達事業の強化を進めています。
農水産本部
2004
2005
2006
2007
2008
出所:厚生労働省「平成 20 年度国民医療費の概況」
▶
農産ユニット
▶
穀物ユニット
▶
水産ユニット
▶
糖質ユニット
▶
当本部はリテイル分野とヘルスケア分野
▶
食品本部
油脂ユニット
飼料畜産ユニット
に対応し、相互のシナジーを生み出すこと
を狙い、2011 年 4 月に発足しました。
日本の消費市場は 、少子高齢化と成熟
化、さらには長引く景気低迷の影響を受け
穀物の需要量、生産量、期末在庫率の推移
▶
飲料原料ユニット
▶
酪農食品ユニット
▶
食品第一ユニット
▶
食品第二ユニット
国内加工食品市場規模推移
(単位:百万トン、% )
(単位:兆円)
2,300
25
30.7
30.6
30.6
30.4
2005
2006
2007
2008
て消費行動が変化し、生き残りをかけた業
界再編が加速しています。また医療分野
2,200
20
2,100
15
29.8
においては国民医療費の増加が続く中、
各 種 の 規 制 緩 和 が 進 められて い ます 。
当本部は 、こうした激しい環境の変化に
迅速かつダイナミックに対応し、従来とは
2,000
10
2007
2008
2009
2010
(見込み)(予想)
異なる消費者ニーズに沿った商品やサー
■ 需要量 ■ 生産量 ■■
ビスの提供、販売促進といった事業を推進
していきます。
2011
期末在庫率
出所:農林水産省作成「穀物の需要量、生産量、期末在庫
率の推移」
(2011 年 6 月 10 日更新)
当本部の事業は多くの子会社や事業投
資先を通じて運営されています。コンビニ
2009
(見込み)
* メーカー出荷金額ベース、会計年度ベース、見込みは
2010 年 9 月時点の見込み値
出所:( 株 ) 矢野経済研究所「国内食品市場に関する調査結
果 2010」(2010 年 9 月 13 日発表)
当本部は 、穀物・米・青果物・水産物・
エンスストアのローソンやスーパーマー
糖 質・油 脂・飼 料・畜 産 物 などを取り扱
ケットのライフコーポレーション、外食の
い、原料調達から加工製造・消費市場への
酪農品などの食品原料調達から製品販売
日本ケンタッキー・フライド・チキン、共通
販売に至る事業基盤を構築しています。当
まで、国内外に幅広いネットワークを構築
ポ イ ント 事 業「 Ponta 」のロ イ ヤリティ
本部のリー ダーシップの下、さまざまな
し、消費者のニーズに応えています。
マーケティング、携 帯 端 末 販 売 事 業 の
機能を有する事業投資先と一体となって、
ティーガイアなどが挙げられます。また、
食料の安定供給、食料自給率の向上、食
化、嗜好・価値観の多様化などにより、目
医療分野では病院アウトソースサ ービス
の安全・安心、生産・流通分野の効率化な
まぐるしく変化しています。かかる環境に
会社であるエム・シー・ヘルスケアを通じ
ど、社会の要請に応えていきます。
柔軟かつ的確に対応するために、
「調達」
て、コスト削減を狙う全国の病院のさまざ
まなニーズに対応しています。
60
当本部では 、コーヒー・ココア・果汁・
国内消費市場は 、景気低迷、少子高齢
新興国における経済成長と人口増加に 「加 工」
「 販 売」
「 中 間 流 通」の 各 分 野 で 、
より、世界の食料需要の増加が続いてい
ビジネスモデルを進化させながら、重要な
る環境の下、当本部では、国内の事業基盤
生活基盤である
“食”
を支えています。調達
の拡大に加え、中国や東南アジアなどで増
力の拡充を推進し、持続的な安定供給の
加する需要に応える取り組みを推進する
確保と品質管理の強化に努めるとともに、
Mitsubishi Corporation
総合的なサポートを提供しています。
Annual Report 2011
の高騰、チャイナリスクの高まりなど市場
当本部の主要事業は紙関連事業・セメ
2011 年 7 月には 、中間流通子会社 4 社
の環境変化は目まぐるしく、加えて、衣料
ント事業・タイヤ事業の三つ で 、紙関連
(菱食・明治屋商事・サンエス・フードサー
品への個人消費は依然として伸び悩む厳
事業では 、カナダの ALPAC FOREST
ビスネットワーク)
が経営統合し、三菱食
しい事業環境でした。このような状況下、
PRODUCTS(パルプ製造)
など川上の製
品株式会社として新たなスタートを切り、
当本部は、主力事業であるOEMビジネス
紙原料分野から、紙・板紙製品の製造分
フルライン商品を扱う総合食品卸として 、
の機能子会社である三菱商事ファッション
野、さらには川下の製品流通・販売分野を
流通の最適化を実現していきます。
を核に、多種多様なマーケットニーズに即
担う三菱商事パッケージングまで、一貫し
海外では 、イギリスの食品・飲料メー
した商品の安定供給に努めるとともに、新
た事業展開を行っています。セメント事業
カーであるPrincesをはじめとする事業投
規事業の提案や海外事業支援など顧客に
では、三菱マテリアルとの合弁事業として、
資先の拡充を進め、欧米・新興国における
対する総合的なサポートを通じて事業拡
アメリカ の MITSUBISHI CEMENT や
事業基盤の強化に取り組んでいきます。
大に取り組んでいます。成長著しい中国
MCC DEVELOPMENT 、中国の烟台三菱
市場向けには、ホームファニシング分野に
セメントなどを有しており、国内販売は総
おいてパ ートナー顧客と共に新たな事業
合建材商社の三菱商事建材が行っていま
展開に着手しました。また、2012 年3 月期
す。またタイヤ事業では、欧州やアジア・
は、ユニクロと共同でタイにおける衣料品
中国において合弁事業を展開しています。
販売の合弁事業を開始します。
今後もグローバルな成長需要の取り込
今後も、より付加価値の高い商品やサー
みや新規ビジネスの開拓など、引き続き事
ビスの提供を通して、市場やお客様のニー
業強化に向けた取り組みを継続していき
ズに応えていきたいと考えています。
ます。中でも、1978 年から当社 100% 出
資 とな った オース ト ラ リ ア の Cape
Flattery Silica Mines は 、全世界の液晶
ブラジルの広大なコーヒー農園。国内外のコーヒー
ネットワークを通じて 、世界中のトレーサブルなコー
ヒーをお届けしています。
ガラス原 料(硅 砂)市 場 で 極 めて 大きな
シェアを持ちます。今後は、需要拡大が見
込まれる太陽電池用ガラス用途の供給力
強化を図ることで、次代のコア事業として
繊維本部
育成していきます。
▶
繊維事業ユニット
▶
S.P.A. 機能開発ユニット
三菱商事ファッションでは 、企画情報発信の場として 、
年 2 回アパレル展を開催しています。
チャネル別衣料品総小売市場推移
(単位:兆円)
10.2
10.3
10.3
9.8
9.1
資材本部
2005
2006
2007
2008
▶
生活資材ユニット
▶
紙・パッケージングユニット
▶
住宅資材ユニット
世界最大級の Cape Flattery Silica Mines では 、環境
への配慮を最優先しながら高品質の硅砂を生産してい
ます。
2009
■ 百貨店 ■ 量販店 ■ 専門店 ■ その他
製紙用市販パルプの世界消費量
(単位 : 百万トン)
* 暦年ベース。百貨店および量販店は経済産業省「商業販
売統計」。専門店およびその他は
(株)
矢野経済研究所推計
出所:
(株)
矢野経済研究所「繊維白書 2011」
54.8
54.6
53.0
53.9
2007
2008
2009
2010
56.6
当本部では 、衣類、靴、家具、雑貨など
の生活関連分野をはじめ、
「繊維」
を切り口
に綿・糸・織物などの原料や素材から、光
ファイバー などの高機能材まで 、国内外
の幅広い商品を扱っています。
2011 年 3 月期は天候不順、原材料価格
2011
(予測)
出所:RISI
61
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
地域戦略
コー ポレート担当役員(企画 ・ 業務)
メッセージ
三菱商事は、2010 年 7 月に発表した『中期経営計画 2012 』の
アジア・大洋州)
に区分し、各々 で地域統括が統括責任者として
中で、当社の将来の収益基盤を構築するためには、新興国の経済
域内の拠点を統括し、連結ベースでの三菱商事の活動の最適化
成長を取り込むことが不可欠であるとの問題意識から、
「 全社戦
を図ります。本体制を通じて、国内を含む各地域からの発信をさ
略地域」
として、中国、インド、ブラジルの 3 カ国を指定しました。
らに強め、より高度な地域戦略の推進、連結経営の強化につなげ
これら3 カ国は、当社が真正面から取り組むべき市場と認識し、
ていきます。
資金や人材などの経営資源を重点的に投入していきます。特に
2012 年までの中経期間中に、当該地域には 1,000 ∼ 2,000 億円
の投資を実行する方針です。
また、現地の取り組み体制の強化、案件の発掘・開発につなげ
る全社レベルでの促進策なども導入しました。
代表取締役
副社長執行役員
コーポレート担当役員(企画・業務)
これら
「地域」
の観点から、的確な状況把握と経営判断を行うた
め、当社は広域統括体制を敷いています。具体的には、国内統括
中原 秀人
(北米、中南米、欧阿中東 CIS 、東アジア、
に加え、海外を 5 地域
全社地域戦略推進体制
社 長
コーポレート担当役員
(企画・業務)
欧阿中東CIS統括
*
62
国内統括
北米統括
中南米
統括
場所長
場所長
場所長
国内・海外拠点の長を
「場所長」
と総称します。
欧州
CIS
場所長
副統括
(中東)
副統括
(アフリカ)
場所長
場所長
東アジア
統括
アジア・
大洋州
統括
場所長
場所長
Mitsubishi Corporation
東アジア
矢野 雅英
Annual Report 2011
国内
東アジア地域では経済的な結び付きが
日本経済の成熟化に伴い 、産業構造
ますます強まっています。中国の内需拡
が変化し 、企業の海外事業展開も活発
大に着目したビジネスと同時に 、競争力
になっており、大震災の影響により、今
の高い中国、台湾、韓国の企業との連携
後加速する可能性が あります 。
も視野に入れたグローバル市場での新規
このような動きに対し、国内支社・支
ビジネスの創出にも積極的に取り組んで
店は 、三菱商事グル ー プ企業との連携
います。
永井 康雄
取締役
副社長執行役員
東アジア統括
代表取締役
常務執行役員
国内統括
北米
欧阿中東 CIS
アメリカ・カナダ・メキシコの北米 3 カ
による総 合 力 の 発 揮など 、役 割 機 能を
多様化させることにより、ビジネス基盤
を固めるとともに 、新たなビジネスチャ
ンスの開拓に努め て い きます 。
欧州・CIS
国は、経済的にも緊密に結び付いており、
金融危機からの回復基調にも力強さが見
西欧市場では 、金属、機械、化学品、
られ始めています。引き続き、世界を支え
生活産業などの中核ビジネスの強化、中
る強固な経済規模を有し、イノベーション
東欧・トルコ・ロシアなどでは、消費市場
においても世界を牽引するアメリカ、豊富
小野 誠英
常務執行役員
北米統括
な資源を有するカナダ、潜在性のある消
費市場やインフラ市場であるメキシコ、そ
れぞれの特性を活かして、北米地域では、
や旺盛なインフラ需要への対応にも取り
寺田 哲郎
組んでいます。さらに太陽光、太陽熱、
常務執行役員
欧阿中東 CIS 統括
風力などの再生可能エネルギーや電気自
動車・次世代バッテリー などの分野への
さらなる飛躍を目指し、既存ビジネスの拡
取り組みや地場の優良企業との連携強化
張のみならず、新エネルギー・環境分野、
に注力しています。
インフラ分野など時代の変化を先取りし
たビジネス開拓にも注力しています。
中南米
白木 清司
常務執行役員
中南米統括
中東
金属・エネルギー・食料資源が豊富で
エネルギ ー資源埋蔵量の圧倒的優位
圧倒的な供給余力を持つと同時に、消費
性 、旺盛なインフラ需要 、拡大する消費
市場の拡大・成長も著しい中南米では、資
市場の 3 点に着目し、石油・ガスなどの
源関連分野のみならずインフラ案件を中
取 引 や エネ ル ギ ー 資 源 の 開 発 、電 力・
心に内需関連ビジネス掘り起こしにも注力
水・交 通などのインフラ・プロジェクト
しています。また、三菱商事グループの
や地球環境分野 、自動車・化学品・資材
存在感の向上、ならびに地場企業との優
良な投資案件の発掘に取り組んでいます。
吉川 惠章
執行役員
欧阿中東 CIS 副統括
(中東)
アジア・大洋州
常務執行役員
アジア・大洋州統括
推進を目指して います 。
アフリカ
10 億人の成長市場において、自動車、
経済伸長が続くアジア・大洋州にて 、
水野 正幸
取引やリー ス事業に取り組むとともに、
さまざまな分野で の新たな事業投資の
成長しつつある内需関連ビジネス、イン
資 材、食 料、化 学 品 原 料 などのコマー
フラ案件の推進を図り、また、資源・エネ
シャル取引の推進に加え、地域の成長に
ルギー分野へのさらなる取り組みと、環
不可欠なインフラ事業への取り組み 、金
境・新エネルギー・農業など、新分野へ
属・エネルギー分野ではさらなる資源確保
の取り組みも強化しています。重要顧客
を視野に入れた次世代案件の推進に注力
との連携強化を継続し、ビジネスの拡大
を図っていきます。
林 春樹
理事
欧阿中東 CIS 副統括
(アフリカ)
しています。このほか日本の政府開発援
助や、地域社会との共生を目指した CSR
活動にも積極的に取り組んでいます。
63
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
経営情報
Management
MC2003
DRIVEN TO CREATE VALUE
Mitsubishi Corporation unveils a threeyear management plan — MC2003,
for the period April 1, 2001 through
Gaining Momentum
March 31, 2004
Did You Know?
1. MC posted all-time high core earnings in fiscal 2003, standing in stark contrast to economic trends in Japan.
2. MC is adding strategic pillars for more earnings growth. 3. The driving force behind MC’s growth is
relentless business model innovation. 4. Balance sheet reform using various risk management techniques
is an ongoing theme at MC.
INNOVATION 2007
Tackling Issues
for Sustained
Earnings Growth
Opening Up A New Era
...and more
Key Facts About Us
Annual Report 2002
FOR THE YEAR ENDED MARCH 31, 2002
Annual Report 2005
for the year ended March 31, 2005
Annual Report 2004
for the year ended March 31, 2004
Annual Report 2001 For the year ended March 31, 2001
Annual Report 2003 for the year ended March 31, 2003
Annual Report 2001 For the year ended March
March 31
31, 2001
Annual Report
Report 2003 for
f th
the yea
yearr ended
d d Mar
M
March
ch
h 31
31, 2003
for the year ended March 31, 2004
Annual Report
Report 2004
for the year ended March 31, 2005
Annual Report
Report 2005
FOR THE YEAR ENDED MARCH 31,
31 , 2002
Annual Report 2002
2002
...and more
Key Facts
Facts About
About Us
Op
pening Up A New Er
pening
Era
ra
IN
NNO
NOVA
VAT
TION 2
TION
200
00
07
is an ongoing theme at MC.
relentless business model innovation. 4. Balance sheet reform using various risk management techniques
2. MC is adding strategic pillars for more earnings growth. 3. The driving force behind MC’s growth is
1. MC posted all-time high core earnings in fiscal 2003, standing in stark contrast to economic trends in Japan.
March 31, 2004
for the period April
April 1
1, 2001 through
year managementt pla
l n — MC2003
MC2003,
C2003
Mitsubishi Corporation
Corporation unveils a threethree
DRIVEN TO CREATE VALUE
MC200
2003
3
64
Gaining
Gain
ing Mome
Momentum
ntum
Did Yo
You
u Know
Know?
?
for Susta
S t ined
i d
E ings Growth
Earni
th
Tackl
kling
i Issu
I es
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
このセクションでは、三菱商事の歴史、経営理念、経営体制といった経営に関する基礎情報
のほか、株主の皆様に向けた株式情報などをご紹介します。
Annual Report 2009
for the year ended March 31, 2009
A “Step” Toward Sustained
Earnings Growth
What is MC’s
Value ?
Wh t is
Wha
i MC
MC’s
’
’s
Vallue ?
Annual Report 2010
for the year ended March 31, 2010
No Matter
How the World Is Changing,
Creating Sustainable Corporate Value
How the
H
th Worl
W ld
d IIs Ch
Cha ngin
i g,
No Matter
N
M
Creating
Creat
ing Sustai
Sustainable
nable Corporate
Corporate Value
Value
Annual Report 2006
for the year ended March 31, 2006
for the year ended
ended March 31, 2006
2006
Annuall Repo
A
R
rt 2006
Earnings
E
i g G
Growth
th
A “Step”
“St ” T
Toward
dS
Susttaine
t i d
for the year ended March 31, 2009
Annual Report 2009
for the year ended March 31, 2010
Annual Report 2010
コーポレート・プロフィール/沿革 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
66
組織体制 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
67
グローバルネットワーク . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
68
主要連結子会社および関連会社 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
70
株主情報 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
74
65
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
コーポレート・プロフィー ル/沿革
三菱商事は、国内および海外約 80 カ国に 200 超の拠点を持ち、
500 社を超える連結対象会社と共にビジネスを展開する最大の総合商社です。
新産業金融事業、エネルギー事業、金属、機械、化学品、生活産業の 6 グループに
ビジネスサービス、地球環境事業開発の 2 部門を加えた体制で、幅広い産業を事業領域としており、
貿易のみならず、パートナーと共に、世界中の現場で開発や生産・製造などの役割も自ら担っています。
これからも私たちは、常に公明正大で品格のある行動を信条に、豊かな社会の実現に貢献することを目指し、
さらなる成長に向けて全力で取り組んでいきます。
企業理念̶三綱領
しょ
き
ほう
こう
所期奉公
事業を通じ、物心共に豊かな
社会の実現に努力すると同時に、
かけがえのない地球環境の
維持にも貢献する。
しょ
じ
こう
めい
処事光明
公明正大で品格のある
行動を旨とし、活動の公開性、
透明性を堅持する。
「三綱領」は、三菱四代社長岩崎小彌太の訓諭をもとに、1934 年に
旧三菱商事の行動指針として制定されました。旧三菱商事は 1947
年に解散しましたが、三菱商事においてもこの三綱領は企業理念と
なり、その精神は役職員の心の中に息づいています。また三綱領は、
三菱グループにおいても経営の根本理念となっています。さまざま
な分野で活躍する三菱グループ各社は、同じ伝統と理念を共有する
もの同士として、切磋琢磨を続けています。
りつ
ぎょう
ぼう
えき
立業貿易
全世界的、
宇宙的視野に立脚した
事業展開を図る。
( 2001 年 1 月、三菱グループ
各社で構成される三菱金曜会
にて申し合わされた現代解釈)
当社の沿革
1992 年、
「健全なグローバル・エンタプライズ」を目標とす
1954 年、総合商社・三菱商事が新発足し、東京・大阪両証券取引所に株式上場。
1967 年、当社初の経営計画を発表。1968 年、初の大型投資となるブルネイでの
LNG 開発事業への投資決定。オーストラリアやカナダの鉄鉱石・原料炭、メキシコの
る経営方針発表。連結重視と資産の優良化を進めるととも
塩田事業に代表される、単なる商取引にとどまらない開発投資型ビジネスをグローバ
「MC2000」を策定、事業の選択と集中、戦略分野の強化、
に、組織・人材のグローバル化を強化。1998 年、経営計画
顧客志向重視の方針を打ち出し、足場固めに着手した。
ルに展開。1971 年、英文社名を“Mitsubishi Corporation”とする。
設立∼ 1970 年代
新たな収益体制の構築に向け、業務の合理化・
効率化に着手。1986 年、社内に売上高より収益
重視の方針を徹底し、経営計画「K-PLAN」を策
定。1989 年には、ロンドン証券取引所に上場。
66
1980 年代
1990 年代
2000 年代
2001 年、経営計画「 MC2003」を策定。バリューチェーンの拡大・収益力強化に加え、新規事業の
創出を重点施策とするなど
「攻めの経営」
へ転じる。2004 年、経営計画
「 INNOVATION 2007」
を
策定。2007 年、イノベーション事業グループ、新産業金融事業グループを新設。2008 年、経営計
画
「 INNOVATION 2009」
を発表。2009 年、イノベーション事業グループを発展的に改組し、全社
開発部門を設置。2010 年 4 月、全社開発部門を地球環境事業開発部門・ビジネスサービス部門に
改組し拡充を図る。2010 年 7 月、経営計画
「中期経営計画 2012」
を発表。
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
組織体制
( 2011 年 7 月 1 日現在)
株主総会
新産業金融事業グループCEOオフィス
新産業金融事業グループ管理部
新産業金融事業グループ
監査役
不動産金融事業ユニット
産業金融事業本部
監査役室
開発建設プロジェクト本部
物流本部
監査役会
ガバナンス・報酬委員会
エネルギー事業グループCEOオフィス
取締役会
エネルギー事業グループ管理部
石油・ガス探鉱開発事業ユニット
国際諮問委員会
エネルギー事業グループ
取締役社長
天然ガス事業第一本部
天然ガス事業第二本部
石油事業本部
監査部
経営企画部
炭素・LPG事業本部
社長室会
金属グループCEOオフィス
コーポレートスタッフ部門
金属グループ管理部
コーポレート部門管理部
金属グループ
鉄鋼製品本部
・チーフ・コンプライアンス・
オフィサー
広報部
・環境・CSR担当
総務部
・連結経営基盤整備
担当
環境・CSR推進部
・チーフ・インフォメーション・
オフィサー
コンプライアンス総括部
機械グループCEOオフィス
人事部
機械グループ管理部
鉄鋼原料本部
非鉄金属本部
法務部
HRDセンター
・営業企画委員会
・開示委員会
国際戦略研究所
重電機本部
機械グループ
業務部
船舶・宇宙航空事業本部
自動車事業本部
主計部
・コンプライアンス
委員会
リスクマネジメント部
・環境・CSR委員会
投融資等諮問委員会事務局
・HRD委員会
財務部
インフラプロジェクト本部
いすゞ事業本部
財務開発部
化学品グループCEOオフィス
IR部
化学品グループ管理部
フェニックスユニット
ビジネスサービス部門
化学品グループ
サウディ石化ユニット
汎用化学品第一本部
ビジネスサービス部門
CEOオフィス
汎用化学品第二本部
機能化学品本部
ITサービス事業本部
ライフサイエンス本部
連結IT企画本部
ロジスティクス総括部
生活産業グループCEOオフィス
地球環境事業開発部門
生活産業グループ管理部
地球環境事業開発部門
CEOオフィス
リテイル・ヘルスケア本部
生活産業グループ情報システム室
新エネルギー・
電力事業本部
環境・水事業本部
生活産業グループ
農水産本部
食品本部
繊維本部
資材本部
67
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
グローバルネットワーク
( 2011 年 6 月 1 日現在)
三菱商事は、国内および海外約 80 カ国に 200 超の拠点を持ちます。
三菱商事
(本店)
●海外事務所 等
●海外現地法人
本店
東
京
国内拠点(31)
札
幌
仙
台
名古屋
新
潟
富
山
静
岡
大
阪
高
松
広
島
福
岡
長
崎
那
覇
上記の他 分室19
68
海外拠点(194:事務所等 115 /現地法人 本店 40、支店等 39)
【北米】
●現地法人
米国三菱商事会社
ニューヨーク
サンフランシスコ
シアトル
シリコンバレー
ロスアンゼルス
ヒューストン
シカゴ
ワシントン
ダラス
ピッツバーグ
ボストン
ツーソン
カナダ三菱商事会社
バンクーバー
トロント
メキシコ三菱商事会社
メキシコシティ
【中南米】
●事務所 等
グアテマラシティ
サンサルバドル
キト
ラパス
アスンシオン
●現地法人
パナマ三菱商事会社
パナマシティ
ペルー三菱商事会社
リマ
コロンビア三菱商事会社
ボゴタ
智利三菱商事会社
サンチャゴ
ベネズエラ三菱商事会社
カラカス
プエルト・オルダス
亜国三菱商事会社
ブエノスアイレス
伯国三菱商事会社
サンパウロ
リオデジャネイロ
ベロオリゾンテ
【欧州】
●事務所 等
オスロ
プラハ
ストックホルム
ワルシャワ
ブカレスト
ベオグラード
ソフィア
イスタンブール
アンカラ
●現地法人
欧州三菱商事会社
ロンドン
ラスパルマス
(スペイン)
スペイン三菱商事会社
マドリッド
仏国三菱商事会社
パリ
オランダ三菱商事会社
アムステルダム
独国三菱商事会社
デュッセルドルフ
フランクフルト
ベルリン
ミュンヘン
ブリュッセル
イタリア三菱商事会社
ミラノ
ギリシャ三菱商事会社
アテネ
エム・シー・ヨーロッパ・
ホールディングス
ロンドン
【CIS】
●事務所 等
モスコー
キエフ
ユジノサハリンスク
バクー
タシケント
アスタナ
アルマトゥイ
【アフリカ】
●事務所 等
ヨハネスブルグ
ダカール
カサブランカ
アビジャン
アルジェ
チュニス
マプト
ナイロビ
ダルエスサラーム
●現地法人
ナイジェリア三菱商事会社
ラゴス
エチオピア三菱商事会社
アディスアベバ
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
セグメント別連結対象会社数
(2011 年 3 月 31 日現在)
連結対象会社数
新産業金融事業
エネルギー事業
金属
機械
化学品
生活産業
地球環境事業開発部門
ビジネスサービス部門
コーポレートスタッフ
80
70
24
126
43
118
28
6
13
現地法人 40
548社
計
・三菱商事単体および連結子会社従業員数:58,470名
(2011年3月31日現在)
(内 単体従業員数:5,665名)
・連結対象会社数に子会社にて連結される会社数は含
まれていません。
【中東】
【オセアニア】
【アジア】
●事務所 等
カラチ
イスラマバード
ラホール
ニューデリー
ムンバイ
コルカタ
チェンナイ
バンガロール
コロンボ
ダッカ
ヤンゴン
クアラルンプール
ビエンチャン
ビンツル
●現地法人
シンガポール
クエート三菱商事会社
プノンペン
クエート
ハノイ
イラン三菱商事会社
ホーチミン
テヘラン
中東三菱商事トレーディング会社 ジャカルタ
スラバヤ
ドゥバイ
バンダル・スリ・ブガワン
(ブルネイ)
●事務所 等
トリポリ
カイロ
テルアビブ
ラマッラ
アンマン
リヤード
ジェッダ
アル・コバル
ドーハ
アブダビ
ドゥバイ
マスカット
マニラ
ウランバートル
北京
成都
重慶
広州
青島
上海
大連
瀋陽
●現地法人
インド三菱商事会社
ニューデリー
チェンナイ
ムンバイ
コルカタ
泰国三菱商事会社
バンコク
ハジャイ
泰MC商事会社
バンコク
ハジャイ
シナール・ベルリアン
クアラルンプール
MCインドネシア
ジャカルタ
スラバヤ
三菱商事
(中国)
有限公司
上海
三菱商事
(中国)
商業有限公司
北京
三菱商事
(広州)
有限公司
広州
三菱商事
(天津)
有限公司
天津
三菱商事
(青島)
有限公司
青島
三菱商事
(上海)
有限公司
上海
南京
三菱商事
(大連)
有限公司
大連
香港三菱商事会社
香港
厦門
深圳
台湾三菱商事会社
台北
韓国三菱商事会社
ソウル
光陽
浦項
唐津
●事務所 等
ヌメア
●現地法人
オーストラリア三菱商事会社
メルボルン
シドニー
パース
ブリスベン
マウントウェーバリー
ニュージーランド三菱商事会社
オークランド
上記の他
プロジェクト事務所33
69
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
主要連結子会社および関連会社
( 2011 年 3 月 31 日現在)
ビジネスサービス部門
会社名
議決権所有割合(%)
事業内容
< 連結子会社>
ビーウィズ(日本)
アイ・ティ・フロンティア(日本)
100.00
100.00
アウトソーシングサービスの提供
(コールセンターの企画・設計・運用)
IT 関連のビジネスソリューション、システム構築サービス、ITマネジメン
トサービスなど
地球環境事業開発部門
会社名
< 連結子会社>
DIAMOND GENERATING ASIA(香港)
DIAMOND GENERATING CORPORATION(アメリカ)
TEAM DIAMOND HOLDING(フィリピン)
<持分法適用関連会社>
AMPER CENTRAL SOLAR(ポルトガル)
CURACAO ENERGY(イギリス領ケイマン諸島)
ELECTRICIDAD AGUILA DE TUXPAN(メキシコ)
フロンティアカーボン(日本)
議決権所有割合(%)
100.00
100.00
51.21
34.40
50.00
50.00
50.00
事業内容
電力事業
電力事業
電力事業
太陽光電力
電力事業
電力事業
炭素素材の製造・販売会社
新産業金融事業グループ
会社名
議決権所有割合(%)
事業内容
< 連結子会社>
エー・アイ・キャピタル(日本)
DIAMOND REALTY INVESTMENTS(アメリカ)
ダイヤモンド・リアルティ・マネジメント(日本)
ヘルスケアマネジメントパートナーズ(日本)
ライフタイムパートナーズ(日本)
三菱商事アセットマネジメント(日本)
MC AVIATION FINANCIAL SERVICES(EUROPE(
)オランダ)
MCアビエーション・パートナーズ(日本)
MC CAPITAL EUROPE(イギリス)
MC CAPITAL(アメリカ)
MC FINANCE INTERNATIONAL(オランダ)
MC FINANCIAL SERVICES(アメリカ)
エム・シー・ターミナル(日本)
MCAP EUROPE(アイルランド)
三菱商事インシュアランス(日本)
三菱商事ロジスティクス(日本)
三菱商事・ユービーエス・リアルティ(日本)
NEW CENTURY INSURANCE(イギリス領バミューダ諸島)
ポートサウス・エアクラフト・リーシング(日本)
RED DIAMOND CAPITAL PARTNERS(アメリカ)
瀬戸埠頭(日本)
ティー・アール・エム・エアクラフト・リーシング(日本)
YEBISU(イギリス領ケイマン諸島)
ゾネット・アビエーション・フィナンシャル・サービス(日本)
51.00
100.00
100.00
66.00
100.00
100.00
100.00
100.00
100.00
100.00
100.00
100.00
100.00
100.00
100.00
100.00
51.00
98.80
100.00
100.00
61.65
100.00
100.00
100.00
投資運用業
不動産投資会社
不動産投資顧問業
投資運用業
医療・介護の経営サポート事業
金融商品取引業
航空機リース・ファイナンス
航空機リースおよび関連サービス業
投資会社
投資会社
証券投資等
M&Aアドバイザリーおよびプライベートエクイティ投資
タンクヤード事業
航空機リースおよび関連サービス業
保険代理業
倉庫、
総合物流業
投資運用業
保険業
航空機リース・ファイナンス
投資運用業
港湾運送事業、
倉庫業
航空機リース・ファイナンス
航空機リース・ファイナンス
航空機リース・ファイナンス
<持分法適用関連会社>
三菱オートリース・ホールディング(日本)
三菱UFJリース(日本)
三菱鉱石輸送(日本)
50.00
20.00
40.28
子会社を通じた各種自動車リース・割賦、
その他金融業務
各種物件のリース・割賦販売、
その他ファイナンス業務
石炭・鉄鉱石・自動車等の外航不定期船の運航および船舶貸渡業
議決権所有割合(%)
事業内容
エネルギー事業グループ
会社名
< 連結子会社>
エイジョコ・エクスプロレーション(日本)
エイジェックス石油(日本)
アンゴラ石油(日本)
CORDOVA GAS RESOURCES(カナダ)
DIAMOND GAS RESOURCES(オーストラリア)
DIAMOND GAS SAKHALIN(オランダ)
DIAMOND TANKER(シンガポール)
エムシー・エネルギー(日本)
MCX EXPLORATION(USA(
)アメリカ)
70
55.00
55.00
51.00
100.00
100.00
100.00
100.00
100.00
100.00
アンゴラにおける石油開発
アンゴラにおける石油開発
アンゴラにおける石油開発
カナダにおけるシェールガス開発
JALP社の原油・コンデンセート販売窓口
サハリンⅡプロジェクトへの投資会社
海運業他
アスファルト・石油製品販売
石油・ガス開発
Mitsubishi Corporation
三菱商事石油(日本)
エムピーディーシー・ガボン(日本)
小名浜石油(日本)
PACIFIC ORCHID SHIPPING(パナマ)
PETRO-DIAMOND INC.(アメリカ)
PETRO-DIAMOND SINGAPORE(シンガポール)
100.00
100.00
80.00
100.00
100.00
100.00
石油製品卸売
ガボンにおける石油開発
石油類倉庫、
土地・設備賃貸、
石油輸入・販売
原・重油輸送船舶保有
石油販売
石油販売
49.00
25.00
25.00
39.40
25.00
50.00
LPガス輸入・トレーディング、国内物流、販売
Annual Report 2011
<持分法適用関連会社>
アストモスエネルギー(日本)
BRUNEI LNG(ブルネイ)
BRUNEI SHELL TANKERS(ブルネイ)
ENCORE ENERGY(シンガポール)
ENERGI MEGA PRATAMA(インドネシア)
JAPAN AUSTRALIA LNG(MIMI)
(オーストラリア)
液化天然ガス製造・販売
LNG船舶保有
Medco社(インドネシア)の株式保有会社
石油・ガス開発
石油・ガス・コンデンセート開発・販売
金属グループ
会社名
< 連結子会社>
HERNIC FERROCHROME(南アフリカ共和国)
ジエコ(日本)
M.C. INVERSIONES(チリ)
MC COPPER HOLDINGS(オランダ)
MC IRON ORE SALES(アメリカ)
メタルワン(日本)
MITSUBISHI DEVELOPMENT PTY(オーストラリア)
三菱商事ユニメタルズ(日本)
RYOWA DEVELOPMENT(オーストラリア)
RYOWA DEVELOPMENT2(オーストラリア)
TRILAND METALS(イギリス)
TRILAND USA(アメリカ)
<持分法適用関連会社>
COMPANIA MINERA DEL PACIFICO(チリ)
IRON ORE COMPANY OF CANADA(カナダ)
MOZAL(モザンビーク)
日軽エムシーアルミ(日本)
議決権所有割合(%)
50.98
70.00
100.00
100.00
100.00
60.00
100.00
100.00
100.00
100.00
100.00
100.00
25.00
26.18
25.00
45.00
事業内容
クロム鉱石の採掘、
フェロクロムの製造・販売
エスコンディダ銅鉱山
(チリ)
への投資会社
チリ鉄鉱山事業への投資会社
ロスペランブレス銅鉱山
(チリ)
への投資会社
IOC鉄鉱石販売PARTNERSHIP(IOC OS)のPARTNER
鉄鋼製品事業
石炭を中心とした金属資源への投資、
生産および販売
金属総合商社
ボインアルミ製錬所への投資およびアルミ地金販売
ボインアルミ製錬所への投資およびアルミ地金販売
ブローカー
ロンドン金属取引所
(LME)
商品先物取引業
鉄鉱石生産販売業
鉄鉱石生産販売業
アルミニウム地金製造・販売
アルミ二次合金地金製造・販売
<メタルワン連結子会社>
五十鈴(日本)
九州製鋼(日本)
九州スチールセンター(日本)
MC METAL SERVICE ASIA(THAILAND(
)タイ)
METAL ONE HOLDINGS AMERICA(アメリカ)
メタルワン建材西日本(日本)
メタルワン菱和(日本)
メタルワン特殊鋼(日本)
METAL ONE STAINLESS(ASIA(
)シンガポール)
メタルワン・スチールサービス(日本)
メタルワン建材(日本)
オトフジ(日本)
サステック(日本)
玉造(日本)
56.60
55.00
55.29
100.00
80.00
100.00
100.00
100.00
91.70
67.33
100.00
100.00
64.48
97.31
鋼材加工販売
鋼材
(建材)
製造
鋼材
(厚板)
加工
鋼材加工販売
鋼材加工・販売事業の統括
鋼材
(建材)
加工販売
鋼材加工販売
特殊鋼加工販売
鋼材
(ステンレス)
加工販売
鋼材加工販売
鋼材
(建材)
加工販売
鋼管、
同付属品の販売
鋼材
(ステンレス)
加工販売
鋼材
(厚板)
加工販売
<メタルワン持分法適用関連会社>
交邦磨棒鋼センター(日本)
エムオーテック(日本)
三和鐵鋼(日本)
SIAM HI-TECH STEEL CENTER(タイ)
33.33
41.49
33.41
50.00
鋼材
(磨棒鋼・特殊鋼他)
販売
建設資材の賃貸・販売
鋼材加工販売
鋼材加工販売
機械グループ
会社名
<連結子会社>
AUTO TECHNIC(THAILAND)
(タイ)
CONSTRUCTORA GEOTERMOELECTRICA DEL PACIFICO(メキシコ)
DIAMOND CAMELLIA(パナマ)
ダイヤモンドパワー(日本)
ISUZU OPERATIONS(THAILAND)
(タイ)
MAC FUNDING(アメリカ)
MC AUTOMOBILE(EUROPE)
(オランダ)
議決権所有割合(%)
100.00
100.00
100.00
100.00
80.00
100.00
100.00
事業内容
自動車整備業
発電プラント建設・リース
船舶保有運航
電力小売事業
自動車輸出販売
産業機械の販売金融
自動車関連取引
71
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
MC MACHINERY SYSTEMS(アメリカ)
三菱商事パワーシステムズ(日本)
MCE BANK(ドイツ)
三菱商事マシナリ(日本)
三菱商事テクノス(日本)
MITSUBISHI MOTORS MALAYSIA(マレーシア)
MMC AUTOMOVILES ESPANA(スペイン)
MMC CAR POLAND(ポーランド)
エム・エス・ケー農業機械(日本)
レンタルのニッケン(日本)
NORELEC DEL NORTE(メキシコ)
ORIENT GAS TRANSPORT(リベリア)
DIPO STAR FINANCE(インドネシア)
SPITALGATE DEALER SERVICE(イギリス)
THE COLT CAR COMPANY(イギリス)
TRI PETCH ISUZU LEASING(タイ)
TRI PETCH ISUZU SALES(タイ)
100.00
100.00
100.00
100.00
100.00
52.00
75.00
100.00
100.00
96.83
100.00
100.00
85.00
100.00
100.00
93.50
88.73
工作機械・産業機械の販売・サービス
発電機器部品の保守点検・据付工事並びに輸送業務
自動車販売金融
機械・部品の輸出入および国内取引
工作機械・産業機械販売
自動車輸入販売
自動車輸入販売
自動車輸入販売
農業機械・酪農施設等の販売・サービス
建設機械等の賃貸・販売
発電プラント建設・リース
船舶金融
自動車販売金融
自動車販売金融
自動車輸入販売
自動車販売金融
自動車輸入販売
<持分法適用関連会社>
千代田化工建設(日本)
FF SHEFFE(オランダ)
ISUZU ENGINE MANUFACTURING(THAILAND)
(タイ)
ISUZU MOTORS(THAILAND)
(タイ)
ISUZU PHILIPPINES(フィリピン)
MITSUBISHI ELEVATOR HONG KONG(香港)
MITSUBISHI MOTOR SALES(CHINA)
(中国)
MMC CHILE(チリ)
MITSUBISHI MOTORS DE PORTUGAL(ポルトガル)
KRAMA YUDHA TIGA BERLIAN MOTORS(インドネシア)
MITSUBISHI KRAMAYUDHA MOTORS AND MANUFACTURING (インドネシア)
VINA STAR MOTORS(ベトナム)
33.74
40.00
15.00
27.50
35.00
25.00
50.00
40.00
50.00
40.00
32.28
25.00
プラントエンジニアリング事業
自動車関連持株会社
エンジン製造
車輌製造
自動車輸入製造販売
昇降機の輸入販売・据付・保守
自動車輸入販売
自動車輸入販売
自動車輸入販売
自動車輸入販売
自動車用エンジン部品・板金部品の製造・販売
自動車組立・販売
化学品グループ
会社名
議決権所有割合(%)
事業内容
<連結子会社>
中央化成(日本)
吉比化成(日本)
興人(日本)
エムシー・ファーティコム(日本)
MC LIFE SCIENCE VENTURES(アメリカ)
三菱商事ケミカル(日本)
三菱商事フードテック(日本)
三菱商事プラスチック(日本)
<持分法適用関連会社>
AROMATICS MALAYSIA(マレーシア)
EXPORTADORA DE SAL(メキシコ)
明和産業(日本)
METANOL DE ORIENTE, METOR(ベネズエラ)
日本レヂボン(日本)
KALTIM PARNA INDUSTRI(インドネシア)
サウディ石油化学(日本)
100.00
100.00
100.00
72.83
100.00
100.00
100.00
100.00
30.00
49.00
33.05
25.00
20.00
50.00
30.39
化学品製造、
販売
合成樹脂原料製品、
工業薬品卸売商社
フィルム・発酵・化成品製造
肥料製造・販売
投融資業務
溶剤、
コーティングレジン、
シリコーン、乾式シリカの販売
食品・食添、
化学品の製造および販売
合成樹脂原料製品の販売
パラキシレン・ベンゼン製造・販売
製塩業
商社
メタノール製造・販売
砥石・研磨布紙事業、
機械工具事業、
材料・その他事業
アンモニア製造業
投資および石油・石化関連事業 生活産業グループ
会社名
<連結子会社>
AGREX(アメリカ)
ALPAC FOREST PRODUCTS(カナダ)
ALPAC PULP SALES(カナダ)
CALIFORNIA OILS(アメリカ)
CAPE FLATTERY SILICA MINES(オーストラリア)
大日本明治製糖(日本)
ディーライツ(日本)
※
フードサービスネットワーク(日本)
フードリンク(日本)
グリーンハウザー(日本)
INDIANA PACKERS(アメリカ)
日本ケンタッキー・フライド・チキン(日本)
72
議決権所有割合(%)
100.00
70.00
100.00
100.00
100.00
100.00
100.00
100.00
99.39
100.00
80.00
65.81
事業内容
穀物貯蔵販売
パルプ製造・販売
パルプ販売
植物油脂精製・販売
硅砂の採掘および販売
製糖業
アニメーション等のコンテンツ制作・放映権販売・各種ライセンスビジネス
コンビニエンスストア向け食品卸売業
畜産物販売業
木材製品、
建材、
住宅機器の販売
豚肉処理・加工・販売業
飲食店
(フライドチキンレストラン)
、
宅配ピザ店
Mitsubishi Corporation
ライフギアコーポレーション(日本)
エム・シー・ヘルスケア(日本)
エムシー・マーチャントサービス(日本)
※
明治屋商事(日本)
三菱商事ファッション(日本)
三菱商事建材(日本)
三菱商事パッケージング(日本)
100.00
80.00
100.00
80.00
100.00
100.00
92.15
エム・アール・エス(日本)
日本食品化工(日本)
日本ケアサプライ(日本)
日東富士製粉(日本)
日本農産工業(日本)
PRINCES(イギリス)
RIVERINA(AUSTRALIA(
)オーストラリア)
※
菱食(日本)
※
サンエス(日本)
三洋食品(日本)
TH FOODS(アメリカ)
東洋冷蔵(日本)
TREDIA FASHION(香港)
100.00
59.77
65.53
64.02
100.00
100.00
100.00
51.17
91.93
100.00
53.16
81.83
100.00
Annual Report 2011
履物販売
病院経営後方支援事業、
医療機器・医薬品販売事業
クレジットカード売上代金の決済事業
食品卸売業
繊維製品の企画・製造および販売
建設用資機材販売・施工
各種包装資材、段ボール原紙、段ボール製品の販売および紙・板紙製品の輸
出入
超低温運搬船運航業
コーンスターチおよび同加工品製造
福祉用具のレンタル卸・販売
製粉業
配合飼料製造販売
食品・飲料製造販売事業
穀物集荷販売・配合飼料製造販売
食品卸売業
菓子卸売業
食品製造販売業
米菓・スナック製造業
水産物加工販売
繊維製品生産管理および販売
<持分法適用関連会社>
コカ・コーラ セントラル ジャパン(日本)
クリエイト・レストランツ・ホールディングス(日本)
塩水港精糖(日本)
北海道糖業(日本)
北越紀州製紙(日本)
伊藤ハム(日本)
かどや製油(日本)
キリンMCダノンウォーターズ(日本)
ローソン(日本)
ライフコーポレーション(日本)
マルイチ産商(日本)
松谷化学工業(日本)
MCC DEVELOPMENT(アメリカ)
MITSUBISHI CEMENT(アメリカ)
六甲バター(日本)
ティーガイア(日本)
日清オイリオグループ(日本)
TOYO TYRE & RUBBER AUSTRALIA(オーストラリア)
米久(日本)
23.25
41.07
31.26
27.16
24.72
20.43
27.40
24.00
32.44
21.30
20.00
30.00
30.00
28.71
20.49
22.78
16.63
25.60
24.60
清涼飲料の製造・販売
多業態・マルチブランドにわたるレストラン事業の展開
製糖業
ビート糖製造業
紙類・パルプ等の製造、
加工および販売
食肉類、
加工食品の製造・販売
ゴマ油・食品ゴマ製造販売
ミネラルウォーターの製造・輸入・販売
コンビニエンスストア
「ローソン」
のチェーン展開
食品を中心としたスーパーマーケットチェーン
食品卸売業
澱粉加工業
生コンクリート・骨材製造販売関連を行う投資会社
セメント製造・販売
チーズ等の製造販売業
各種通信サービスの加入契約の取次ぎ・端末機器販売
製油事業、
加工油脂事業、
ヘルシーフーズ事業、
ファインケミカル事業
タイヤ輸入販売等
食肉類、
加工食品の製造・販売
※菱食、明治屋商事、サンエス、
フードサービスネットワーク 4社は2011年7月1日付で経営統合し、
「三菱食品株式会社」
となりました。
コーポレートスタッフ部門
会社名
議決権所有割合(%)
事業内容
< 連結子会社>
ビジネス・トリップ・インターナショナル
(日本)
ヒューマンリンク
(日本)
エム・シー・ファシリティーズ
(日本)
MC FINANCE & CONSULTING ASIA(シンガポール)
MC SILICON VALLEY(アメリカ)
MITSUBISHI CORPORATION FINANCE(イギリス)
三菱商事フィナンシャルサービス
(日本)
100.00
100.00
100.00
100.00
100.00
100.00
100.00
旅行業
人事関連業務のサービス
総合オフィス管理・ビジネスサポート
トレジャリー業務
有価証券管理業務
トレジャリー業務
財務・経理・審査業務受託、
企業金融、
経営コンサルティング業務
現地法人
会社名
議決権所有割合(%)
事業内容
< 連結子会社>
エム・シー・ヨーロッパ・ホールディングス
(イギリス)
欧州三菱商事会社
(イギリス )
オーストラリア三菱商事会社
香港三菱商事会社
韓国三菱商事会社
三菱商事
(上海)
有限公司
米国三菱商事会社
独国三菱商事会社
台湾三菱商事会社
泰MC商事会社
100.00
100.00
100.00
100.00
100.00
100.00
100.00
100.00
100.00
67.80
欧州現地法人の持株会社
貿易業
貿易業
貿易業
貿易業
貿易業
貿易業
貿易業
貿易業
貿易業
73
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
株主情報
( 2011 年 7 月 1 日現在)
株式の状況
(1)発行可能株式総数:普通株式 25 億株
(2)2011 年 3 月末現在の発行済株式総数および株主数
発行済株式総数
(株)
2010 年 3 月期末現在
1,696,686,871
581,400
1,697,268,271
増減
2011 年 3 月期末現在
株主数
(名)
233,034
20,282
253,316
(注)
発行済株式総数の増加は、2011 年 3 月期中におけるストックオプションの行使に伴うものです。
(3)2004 年 9 月1 日付で、1 単元の株式の数を1,000 株から100 株に変更しました。
大株主の状況
所有株式の状況
(千株未満切り捨て)
株主名
日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社
(信託口)
東京海上日動火災保険株式会社
日本マスタートラスト信託銀行株式会社
(信託口)
明治安田生命保険相互会社
日本マスタートラスト信託銀行株式会社
(三菱重工業株式会社口・退職給付信託口)
SSBT OD05 OMNIBUS ACCOUNT ― TREATY CLIENTS
株式会社三菱東京 UFJ 銀行
野村信託銀行株式会社
(退職給付信託・三菱 UFJ 信託銀行口)
ステート ストリート バンク アンド トラスト カンパニー 505225
日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社
(信託口 9)
株式数
(千株)
持株比率
(%)
118,122
84,331
77,302
64,846
48,920
31,127
25,620
22,088
19,705
18,133
7.18
5.12
4.70
3.94
2.97
1.89
1.55
1.34
1.19
1.10
(注)1. 上記のほか、当社が保有している自己株式が 52,933,783 株あります。
2. 持株比率は、自己株式保有総数を除いて算出しています。
株主数の推移
(名)
300,000
281,707
253,316
200,000
158,521
233,034
188,925
161,590
100,000
70,000
60,000
57,334
54,943
50,000
74
65,298
60,605
54,322
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
株主構成比(株式所有割合)
政府など
2011 年
3 月期
金融機関
金融商品取引業者 その他法人
40.9%
2.4%
外国法人など
8.2%
個人その他
31.7%
16.8%
0.0%
2006 年
3 月期
43.4%
2.0%
11.3%
32.9%
10.4%
0.0%
2001 年
3 月期
58.6%
0.3%
13.8%
17.5%
9.8%
0.0%
2011 年 3 月期
2006 年 3 月期
2001 年 3 月期
政府など
金融機関
金融商品取引業者
その他法人
外国法人など
個人その他
2
2
0
6,819,371
7,334,119
914,359
413,464
329,991
4,296
1,354,221
1,899,677
214,864
5,611,341
5,553,916
273,140
2,239,403
1,749,361
152,377
(単元)
合計
16,437,802
16,867,066
1,559,036
(注)2011 年 3 月期、2006 年 3 月期の各数値は単元
(1 単元の株式数は 100 株)
株価・売買高推移
(円)
4,000
3,000
2,000
1,000
(千株)
0
4,000,000
3,000,000
2,000,000
■ 株価
■ 株式売買高
売買高
(千株)
最高
(円)
最低
(円)
1,000,000
2007 年 3 月期
2008 年 3 月期
2009 年 3 月期
2010 年 3 月期
2011 年 3 月期
2,451,005
2,940
1,984
3,173,028
3,810
2,245
3,661,608
3,950
923
2,437,151
2,542
1,317
2,079,763
2,500
1,756
(注)
株価および株式売買高は、東京証券取引所
(市場第一部)
の市場相場および売買高によるものです。
75
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
新株予約権の状況
(1)ストックオプション
付与年月期
2001 年 8 月1 日
2002 年 8 月15 日
2003 年 8 月15 日
2004 年 8 月13 日
2005 年 8 月10 日
2006 年 8 月10 日
新株予約権の数
108 個
89 個
379 個
504 個
8,854 個
13,324 個
新株予約権の目的となる
株式の種類および数
普通株式
普通株式
89,000 株
普通株式
普通株式
普通株式
普通株式
108,000 株
379,000 株
504,000 株
885,400 株
1,332,400 株
新株予約権の発行価額
無償
無償
無償
無償
無償
無償
権利行使時の 1 株当たり
払込金額
(行使価額)
1,002 円
809 円
958 円
1,090 円
1,691 円
2,435 円
権利行使期間
2003 年 6 月29 日から
2011 年 6 月28 日まで
2004 年 6 月28 日から
2012 年 6 月27 日まで
2005 年 6 月28 日から
2013 年 6 月27 日まで
2006 年 6 月25 日から
2014 年 6 月24 日まで
2007 年 6 月25 日から
2015 年 6 月24 日まで
2008 年7月22日から
2016年6月27日まで
(注)1. 発行時に定めた条件により、行使価額は調整されることがあります。
2. 新株予約権の数は2011 年 3 月末現在の残高を記載しています。
3. 2005 年以降のストックオプションは、新株予約権 1 個当たりの目的となる株式の数は100 株です。
(2)株式報酬型ストックオプション
付与年月期
2005 年 8 月10 日
2006 年 4 月28 日
2006 年 8 月10 日
2007 年 8 月6 日
2008 年 6 月2 日
新株予約権の数
2,282 個
54 個
1,339 個
2,880 個
266 個
新株予約権の目的となる
株式の種類および数
普通株式
普通株式
普通株式
普通株式
普通株式
228,200 株
5,400 株
133,900 株
288,000 株
26,600 株
新株予約権の発行価額
無償
無償
無償
無償
無償
権利行使時の 1 株当たり
払込金額
(行使価額)
1円
1円
1円
1円
1円
権利行使期間
2005 年 8 月11 日から
2035 年 6 月24 日まで
2006 年 4 月29 日から
2035 年 6 月24 日まで
2006 年 8 月11 日から
2036 年 6 月27 日まで
2007 年 8 月7 日から
2037 年 6 月26 日まで
2008 年 6 月3 日から
2037年6月26日まで
付与年月期
2008 年 8 月4 日
2009 年 6 月1 日
2009 年 8 月3 日
2010 年 6 月7 日
2010 年 8 月2 日
新株予約権の数
3,649 個
590 個
10,938 個
621 個
6,012 個
新株予約権の目的となる
株式の種類および数
普通株式
普通株式
59,000 株
普通株式
普通株式
62,100 株
601,200 株
364,900 株
1,093,800 株
普通株式
新株予約権の発行価額
無償
無償
無償
無償
無償
権利行使時の 1 株当たり
払込金額
(行使価額)
1円
1円
1円
1円
1円
権利行使期間
2008 年 8 月5 日から
2038 年 6 月25 日まで
2009 年 6 月2 日から
2038 年 6 月25 日まで
2009 年 8 月4 日から
2039 年 6 月24 日まで
2010 年 6 月8 日から
2039 年 6 月24 日まで
2010 年 8 月3 日から
2040 年 8 月2 日まで
(注)1. 2005 年、2006 年付与については、対象者は当社取締役および執行役員のいずれの地位も喪失した日
(以下「退任日」
)
の翌日から10 年間に限り新株予約権を行使でき
ます。2007 年および 2008 年 6 月付与については、対象者は当社取締役、執行役員および理事の退任日の翌日か2009 年 6 月27 日のいずれか早い日から新株予約権の
行使が可能となり、退任日の翌日から10 年が経過した場合、行使ができなくなります。2008 年 8 月付与及び 2009 年 6 月付与については、対象者は当社取締役、執行
役員および理事の退任日の翌日か 2010 年 6 月26 日のいずれか早い日から新株予約権の行使が可能となり、退任日の翌日から10 年が経過した場合、行使ができなくな
ります。
2. 新株予約権の数は2011 年 3 月末現在の残高を記載しています。
(3)新株予約権付社債
(2011 年満期円貨建転換社債型新株予約権付社債)
発行日
2002 年 6 月17 日
新株予約権の数
181 個
新株予約権の目的となる株式の種類および数
普通株式 761,784 株
新株予約権の発行価額
無償
権利行使時の 1 株当たり払込金額
(転換価額)
1,188 円
権利行使期間
2002 年 7 月1 日から2011 年 6 月3 日まで
(注)1. 発行時に定めた条件により、転換価額は調整されることがあります。
2. 新株予約権の数は2011 年 3 月末現在の残高を記載しています。
76
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
取締役・監査役の所有持株の状況
役 位
氏 名
持株数
(千株)
役 位
氏 名
持株数
(千株)
役 位
氏 名
持株数
(千株)
取締役会長
取締役社長
取 締 役
取 締 役
取 締 役
取 締 役
小島 順彦
小林 健
上田 良一
矢野 雅英
鍋島 英幸
中原 秀人
132
58
39
64
36
32
取 締 役
取 締 役
取 締 役
取 締 役
取 締 役
取 締 役
藤村 潔
永井 康雄
野間口 有
伊藤 邦雄
佃 和夫
加藤 良三
39
21
3
取 締 役
常任監査役
監 査 役
監 査 役
監 査 役
監 査 役
今野 秀洋
上野 征夫
野間 治
中島 茂
辻山 栄子
長友 英資
4
90
5
−
3
3
−
−
−
(注)
持株数は2011 年 6 月24 日現在の数字です。千株未満を切り捨てています。
株主総会
定時株主総会は毎年 6 月に招集します。臨時株主総会は、必要がある場合に随時招集します。
配当金
(1)
期末配当金支払株主確定日 3 月31 日
(2)
中間配当金支払株主確定日 9 月30 日
(3)
期末配当金および中間配当金が支払開始の日から満 3 年を経過しても受領されないときは、当社はその支払の義務を免れます。
株式の取り扱い
株式に関するお手続きについては、証券会社などに取引口座をお持ちの場合はお取引の証券会社などに、証券会社などに取引口座を開設されていない場合は、
下記の特別口座の口座管理機関までお問合せください
(外国居住者については、日本における常任代理人を定め届け出る必要があります)
。
(株主名簿管理人・特別口座管理機関)
〒137-8081
東京都江東区東砂七丁目 10 番 11 号 三菱 UFJ 信託銀行株式会社 証券代行部
フリーダイヤル:0120-232-711
IR サイトのご紹介
投資家情報につきましては、ホームページでも掲載しています。詳しくはこちらをご覧ください。
URL http://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/ir/(日本語)
http://www.mitsubishicorp.com/jp/en/ir/(英語)
77
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
E S G* 情 報
Sustainability
〈 ゲートペー ジ〉
このセクションでは 、三菱商事のコー ポレート・ガバナンス、環境・CSR への取り組みなど
につ い てご紹介します 。
対談 −− グローバル企業として成長する三菱商事のコーポレート・ガバナンス
小島 順彦・ 社外取締役 伊藤 邦雄 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
79
コーポレート・ガバナンスに対する取り組み . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
83
内部統制に対する取り組み . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
85
主要リスクの管理について . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
85
チーフ・コンプライアンス・オフィサーからのメッセージ . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
89
三菱商事の環境・CSR . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
90
国際諮問委員会 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
102
国際諮問委員からの手紙 エルミニオ・ブランコ・メンドーサ . . . . . . . . . . . .
103
取締役 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
104
監査役 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
106
執行役員 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
107
取締役会長
* ESG:環境( Environmental )
、社会( Social )
、企業統治( Governance )
78
Discussion
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
〈対 談〉
取締役会長 小島 順彦[写真左] 社外取締役 伊藤 邦雄[写真右]
グローバル企業として成長する三菱商事のコーポレート・ガバナンス
トレーディングから事業投資、さらには資源プロジェクトの最大株主やメーカーとして自らが事業運営を手掛けるなど、
三菱商事のビジネスモデルは広がりを見せています。
“会社のかたち”が大きく変化する中、コーポレート・ガバナンス
の重要性がますます高まっています。
そこで、取締役会議長として経営の執行を監督する小島順彦会長と、社外取締役として客観的かつ専門的な立場から
提言をいただいている伊藤邦雄教授(一橋大学大学院商学研究科)
が、グローバル企業として継続的企業価値の創出を
目指す、当社のコーポレート・ガバナンスのあり方や将来像について対談しました。
三菱商事のコーポレート・ガバナンス体制について
伊藤:コーポレート・ガバナンスには
「経営監督機能」
「 経営の効率
化」
「 経営の透明性」
の三つの側面があると、私は考えています。
小島:三菱商事は 、幅広い事業分野において川上から川下までビ
三菱商事では、
「 経営監督機能」
については、監査役設置会社で
ジネスを展開し、国内外に200 以上の拠点と、500 社を超える連結
ありながら諮問機関として複数の委員会を設けています。特にガ
対象会社を有していますが、コーポレート・ガバナンスの強化・浸
バナンス・報酬委員会は、ガバナンスと報酬を同じ会議体で議論す
透には常に気を配っています。
るという点が高く評価できます。さらに5 人の社外取締役は、それ
三菱商事のコーポレート・ガバナンス強化の基本軸は、
「 経営監督
ぞれが多彩なキャリアと知見を持っており、バランスのとれた構
機能の強化」
「 監督と執行の分離」
「 経営と執行の分離」
の 3 点です。
成となっています。
この基本軸の下、監査役設置型をベースに、取締役会の諮問機
「 経営の効率化」
につ いては 、取締役会にお いて議案が丁寧
関としてガバナンス・報酬委員会を設置し、取締役会の監督機能を
に説明されることに加えて 、実行に当たってクリアしなければ
強化するなど、委員会設置型の良いところを取り入れています。
ならない諸条件が案件の性質に応じて提示されるなど、あらか
いわばハイブリッド型の体制を採用することで 、現在の三菱商事
じめ論点の洗い出しを行っています 。これはほかではあまり例
に最もふさわしいガバナンスのあり方を追求しています。
の な いことです 。
79
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
小島 順彦
1965 年 5 月
1995 年 6 月
1996 年 2 月
1997 年 4 月
1998 年 4 月
1999 年 4 月
2000 年 4 月
2001 年 4 月
2001 年 6 月
2004 年 4 月
2010 年 6 月
当社入社
取締役 社長室会事務局部長
取締役 業務担当取締役
常務取締役 職能担当役員
常務取締役 職能総括担当役員
(部門 A )
常務取締役 業務・開発総括
兼金融サービス本部長
常務取締役 新機能事業グループ CEO
取締役副社長 新機能事業グループ CEO
取締役 副社長執行役員
新機能事業グループ CEO
取締役社長
取締役会長
[現職]
「経営の透明性」
については、ディスクロージャー体制がポイン
伊藤:最近、企業価値の向上という言葉が、多くの企業において使
トとなりますが、三菱商事は、会社としての情報開示指針を明確に
われています。しかし、実際のところ、企業価値を高めることと、
定め、役職員が一体となって IR 活動に努めるなど、比較的高い水
役員報酬のあり方を別なものと考え、黒字であれば賞与を出すと
準にあるのではないかと考えます。
いう企業が圧倒的に多いのではないでしょうか。三菱商事では 、
単に当期純利益が黒字かどうかではなく、企業価値の向上につな
小島:監査役の体制について申し上げると、監査役には取締役会
がっているかという観点から、報酬やインセンティブが決まる形と
をはじめさまざまな重要な会議体に出席いただき、適切な指摘・
なっており、私はその点を特に高く評価しています。
提言を受けています。また 、内外の主要拠点への定期的な往査
や 、連結対象会社も含めた監査を実施するなど、十分に機能を発
揮していると考えています。
社外取締役・監査役の役割について
また 、三菱商事では 、取締役会の諮問機関として 、国際諮問委
員会というユニークな組織を設け 、海外の経営トップなど有識者
伊藤:社外取締役の役割は、三菱商事の健全な企業価値向上に貢
の方々を委員としてお招きし、グローバルな観点から経営への助
献することが大原則です。ここでいう企業価値とは 、単に株主だ
言をいただいています。
けではなく、さまざまなステークホルダーから見た価値の総体で
あるべきと考えています。その意味において 、
『 中期経営計画
2012 』では 、企業価値を、経済価値、社会価値、環境価値の三つ
役員報酬について
を統合した概念として位置付け、
「 継続的企業価値の創出」
を目標
に掲げています。どこか一部分に偏るのではなく、広い視点で価
小島:報酬制度として大切なのは 、役員の責任や業績に対して過
値を創出していくという考え方は素晴らしいと思います。
不足なく報いているかということであり、また、株主をはじめとす
るステークホルダー から見て 、納得性があるかということです。
小島:三菱商事では、経営監督機能の強化という意味で、さまざま
それは 、報酬の絶対額に対してというよりは 、決定方法そのもの
な観点から客観的なご意見をいただくことが重要だと考え、社外
にどれだけ透明性が確保されているかという点に対してだと考え
役員の役割を大変重視しています。
ています。
社外取締役については、企業経営者としての豊富な経験に基づ
三菱商事の社内取締役の役員報酬は、
「 月例報酬」
「 賞与」
「 株式
く実践的な視点を持つ方や、世界情勢、社会・経済動向などに関す
報酬型ストックオプション」
「 退任時報酬(積立型退任時報酬)
」
で構
る高い見識に基づく客観的かつ専門的な視点を持つ方から選任し、
成されています。制度全体やそれぞれの内容、水準については、
多様な視点からご意見をいただいています。
社外役員・社外委員が過半数を占めるガバナンス・報酬委員会に
また 、社外監査役は 、さまざまな分野に関する豊富な知識、経
おいて議論を重ねるなど、社外の客観的な視点を盛り込み 、業績
験をお持ちの方から選任し、中立的・客観的な視点から監査を行っ
水準や他社の状況なども勘案した上で決定しています。
ていただくことにより、経営の健全性を確保するように努めてい
ます。
80
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
伊藤 邦雄
1980 年 4 月
1992 年 4 月
2002 年 8 月
2004 年 12 月
2006 年 12 月
2007 年 6 月
三菱商事を取り巻く環境について
一橋大学商学部講師 同大学助教授を経て
同大学教授
同大学大学院商学研究科長・商学部長
同大学副学長・理事
同大学大学院商学研究科教授[現職]
当社取締役[現職]
小島:総合商社は、世界に類を見ない非常にユニークな業態です。
三菱商事は 、最近ではトレーディングから事業投資へとビジネス
小島:私は、2011 年 1 月に
「世界経済フォーラム年次会議(ダボス
モデルを広げ 、あらゆる産業の川上から川下において 、自らが事
会議)
」
に、共同議長として参加しました。共同議長を引き受けた
業経営に参画するようにもなりました。
のは、アジアについて議論すると、ともすればインドや中国に注目
日本の官民が一体となってオーストラリアの水事業に参画する
が集まりがちな環境の下、日本からも情報発信をして欲しい 、と
といった事例も出ています。また 、インドネシアのドンギ・スノロ
の要請に応えたいと考えたからです。
LNG プ ロ ジェクト のように、当 社 が 最 大 株 主 としてオ ペ
でし
今回のテーマは、
“ Shared Norms for the New Reality ”
レーターシップを発揮するような事例、さらには 、中国最大の食
た。世界が大きく変化する中、グローバルに取り組むべき課題に
料関連企業であるCOFCOと組んで同国内の食肉事業に参画する
ついて、
「 各国の枠を越えて認識を共にし、共同で解決を図ろう」
と
など、一昔前では考えられなかったようなビジネスモデルも実現
いうものです。
しています。
各国の要人と議論をする中で感じたのは、リーマンショック後の
時代に合わせて会社のかたちを変え、多様なビジネスを展開す
回復期を経て 、個別の事情を抱えながらも 、先進国・新興国が向
る中で 、世界各国であらゆる産業とのネットワークを育んできた
かうべきは
「持続的成長」
だということです。そして、その中で三
こと、そして個々の事業を強化しつつ、ノウハウを共有して総合力
菱商事は非常に大きな役割を果たせるのではないかと強く感じま
を発揮することこそが、誰にも真似のできない三菱商事ならでは
した。
の強みです。そしてこの強みを活かすことで、構造変化を迎えて
伊藤:日本は 、世界に冠たるモノづくり力で成長してきましたが 、
おいて 、ビジネスをリードしていく存在になれるのではないかと
近年、そのモノづくりに影が落ちてきています。ハード面の技術
考えています。
いる世界、そして東日本大震災を経て新たな転機を迎えた日本に
力は非常に高いにもかかわらず、ビジネスを成功させるための仕
組みづくりの力、いわゆるソフトの構築能力が不足しているから
です。
三菱商事の将来像について
三菱商事は 、ソフトの構築にかかわる高い総合力を備えていま
すから、例えば、モノづくり企業とタイアップして新興国で最適な
伊藤:コーポレート・ガバナンスの将来像は、あらかじめ決め込ま
ビジネスモデルを構築し、日本のモノづくりを活性化させ、かつ地
ないほうが良いと考えています。かたちを意識しすぎると、それ
域の持続的成長に寄与するなど、三菱商事に対する期待は非常に
に固執するあまり、金融危機といった急激な変化に対応すること
大きいと私は思っています。
が難しくなる恐れがあります。ガバナンスには 、環境に合わせて
変化できる柔軟さが求められます。これを確実なものにするため
にも、普段からのリスクマネジメントが大切です。
81
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
企業の根本は PDCA( Plan「計画」
-Do「実行」-Check「 評価」
小島:その通りですね。三菱商事では 10 カ国語で会社案内を作っ
-Act「改善」)
だと私は考えていますが 、PDCA を回すだけでは十
ていますが、最初のページで企業理念である
「三綱領」
を謳ってい
分なリスクマネジメントとは言えません。
ます。私は、それぞれの言語で三菱商事の企業理念や価値観を議
「 Sensor(感知)
「
」Speed「
」Sense of urgency
PDCAに加えて、
論してもらいたいと考え、この会社案内を教科書だと社員に言っ
(危機意識)
」
の
“3S ”
が必要です。危機には必ず兆しがありますか
ています。東日本大震災での支援も、三綱領の一つ
“所期奉公”
の
ら、いかにこれを事前に感知してダメージを抑えるかが大事です。
理念に基づくものですが 、基金による支援に加えて 、社員がボラ
また、経済環境が目まぐるしく動いている中、1 年に1 回ではなく、
ンティアとして継続的に現地で活動しています。私が非常にうれ
より高速でPDCAを回すことが求められます。最後の危機意識は、
しかったのは 、予想をはるかに上回る社員がボランティアに手を
あいまいな危機感ではなく、平時から絶えず、背中を突き動かさ
挙げてくれたことです。もちろんビジネスも大事ですが 、こうし
れるような危機意識を持ち続けることが必要だ、ということです。
た CSR( Corporate Social Responsibility=企業の社会的責任)
に対する意識はとても大切なことだと思っています。
小島:書類に書いて渡すだけは、コーポレート・ガバナンスを浸透
させることはできません。三菱商事では、本社の社員を事業投資
伊藤:変わることのない企業理念や価値観といったものを核にし
会社の経営に送り込むなどして、普段からCEO や社員とコミュニ
つつ、あるべきコーポレート・ガバナンスを絶えず希求し続けるこ
ケーションを深めることを、コーポレート・ガバナンスの共有や企
とが大事です。あるときには素晴らしいガバナンスでも 、時間の
業価値の向上において重要と考えています。
流れの中で陳腐化してしまうことも十分にありますから、より良い
加えて 、連結経営の可視化を目指し、ビジネスサ ービス部門を
コーポレート・ガバナンスとはいかなるものか 、問い続ける力が
中心に、IT システムなどの連結経営基盤の構築にも取り組んでい
すごく重要です。なぜなら三菱商事は、ビジネスの領域が縦に深
ます。
く、横に広い。つまり直面する環境の変化は並大抵のものではあ
りません。だからこそスピード感を持って 、絶えず PDCA を回さ
伊藤:素晴らしいグローバル企業には、社員が共有する、企業理念
なければなりません。
や価値観があります。以前、アメリカのヘルスケア関連企業の社
長が講演をされていたのですが、驚いたことに、その講演の約 8
小島:貴重なご意見をありがとうございます。三菱商事には 、か
割は企業理念についてでした。なぜ、それほど企業理念や価値観
ねて 、将来の成長分野となり得る事業を積極的に育成しようとす
が重要かと言えば、これらを
「核」
として共有することができれば、
において
る風土があります。現在進行中の『 中期経営計画 2012 』
それ以外の部分は多様化できるからです。
は、社長直轄組織であるビジネスサービス部門や地球環境事業開
“多様性を活かす
『 中期経営計画 2012 』に盛り込まれている、
発部門を中心に、各営業グループにおいても、次の時代の成長の
経営、多様性を束ねる経営”
を実現するためには、世界の三菱商事
柱を 10 年、20 年先を見据えて、しっかりと育てていくことを明確
グループの社員が企業理念や価値観を共有することが第一です。
な目標としています。また、
「 全社戦略分野・地域」
を指定し、全社
ベースで取り組む体制を整えています。これらを確実なものとす
るためにも、本日いただいたお話を活かしながら、次の時代の三
菱商事にふさわしいコーポレート・ガバナンスの実現を目指して
いきたいと思います。
82
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
コーポレート・ガバナンスに対する取り組み
基本方針
三菱商事は、
「 三綱領
(所期奉公、処事公明、立業貿易)
」
を企業
■
取締役会の諮問機関
理念とし、公明正大を旨とする企業活動を通じ、継続的に企業価値
三菱商事は、取締役会の諮問機関として、社外役員・社外委員を
の向上を図るとともに、物心共に豊かな社会の実現に貢献するこ
中心とするガバナンス・報酬委員会および国際諮問委員会を設置
とが、株主の皆様やお客様をはじめとするすべてのステークホル
しています。ガバナンス・報酬委員会では、コーポレート・ガバナ
ダーのご期待にこたえるものと認識しています。
ンス関連の課題につき継続的にレビュー するとともに、役員報酬
三菱商事は、経営の健全性、透明性、効率性を確保するため、監
の決定方針や報酬水準の妥当性など、役員報酬制度のあり方につ
査役設置会社形態を基礎として、独立役員の要件を満たす社外取
いて審議し、その運用のモニタリングを行っています。また、国際
締役・社外監査役の選任による経営監督機能の強化や 、執行役員
諮問委員会では、グローバルな観点から、当社の経営課題につい
制度の導入等による意思決定や業務執行の迅速化・効率化を図り、
て議論を行い、当社経営への助言をいただいています。
実効性のある企業統治体制を次のとおり構築しています。
■
■
取締役会
業務執行
三菱商事は、会社の最高責任者として社長を、経営意思決定機
三菱商事の取締役会は、社外取締役5名を含む計 13 名で構成さ
関として社長室会を置き業務を執行していますが 、経営上の重要
れており、社外取締役は取締役総数の3分の1以上を占めていま
事項については、社長室会
(月2回程度開催)
で決定後、取締役会
す。また、社外監査役3名を含む監査役5名が出席しています。
の審議を経て決定しています。
取締役会は、原則として月1回開催し、経営上の重要事項の決定
また 、業務執行を行う役員の機能・責任の明確化のため 、執行
と業務執行の監督を行っており、社外取締役および社外監査役の
役員制度を導入しており、業務執行の迅速化・効率化を図ってい
客観的、専門的な視点を通して、適切な意思決定・経営監督の実
ます。 現を図っています。
コーポレート・ガバナンス体制(2011 年 6 月 24 日現在)
株主総会
選任・解任
報酬
(枠)
の決定
諮問
提言
選任・解任
報酬
(枠)
の決定
取締役会
(議長:取締役会長)
13 名(うち社内 8 名 、
社外 5 名)
選任・解任
監査役・監査役会
監査・報告
5 名(うち社内 2 名 、
社外 3 名)
会計監査人
報告
報告
ガバナンス・報酬委員会
国際諮問委員会
執行役員の
選任・監督
重要事項の付議
業務執行の報告
監査
会計監査
業務執行体制
■■ は、p.85 参照
83
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
役員報酬等の決定方針など
基本方針
●
株式報酬型ストックオプションは、株主の皆様との価値共有、中
当社の役員報酬制度は 、業績との連動強化、株主の皆様との
長期的な価値創造の観点から付与しています。また、在任中の
価値共有、業績向上に対する意欲や士気向上を図ることを狙いと
株式保有を基本方針とし、
「 持株ガイドライン」
にて役位別に定め
して設定しています。なお 、社外取締役および監査役について
る一定株数を超えるまでは、売却を制限しています。
は月例報酬のみを支給しており、業績により変動する要素はあり
ません 。
役員報酬の水準、報酬の決定方法について
●
役員報酬の水準については、上記基本方針にのっとり、他社水準
等を考慮の上、当社業績に見合った額とすることとしています。
社内取締役の報酬構成について
当社社内取締役の報酬は、月例報酬、賞与、積立型退任時報酬
●
取締役の月例報酬、積立型退任時報酬、および株式報酬型ストッ
および株式報酬型ストックオプションで構成されており、それぞれ
クオプションについては、2010 年 6 月24 日開催の定時株主総会
の内容は以下の通りです。
でその報酬枠を年額 16 億円以内として支給することを決議して
おり、報酬枠の範囲内で、取締役会の決議を経て支給しています。
なお 、当社は執行役員制度を導入しており、執行役員を兼務す
なお、賞与は、業績との連動性が高いことから、毎年、株主総会
る社内取締役については、執行役員としての役位なども取締役報
の決議を経て支給することとしています。
酬額決定に際する要素の一つとして取り扱っています。
●
●
月例報酬は、過年度の個人業績に対する評価などを総合勘案し
監査役の月例報酬は、2007 年6 月26 日開催の定時株主総会でそ
て個人別支給額を決定しています。
の報酬枠を月額 15 百万円以内として支給することを決議してお
賞与は、過年度の連結業績等に基づき、支給の有無と支給の場
り、報酬枠の範囲内で、監査役の協議を経て支給しています。
合の総額を決定の上、個人別支給額を決定しています。
●
●
●
取締役報酬の決定方針や報酬水準の妥当性、運用状況について
積立型退任時報酬は、職務執行の対価として、毎年一定額を積
は、社外役員および社外委員が過半数を占めるガバナンス・報
み立てており、役員の退任時に累計額を算出し、支給額を取締役
酬委員会で審議・モニタリングを行っています。
会で決定の上、支給しています。
取締役および監査役の報酬等の額および対象となる役員の員数は下表の通りです。 役員報酬等の内容
(単位:百万円)
月例報酬
役員区分
賞与
積立型退任時報酬
ストックオプション
報酬等の総額
対象員数
総額
対象員数
総額
対象員数
総額
対象員数
総額
取締役
(社内)
1,398
14 名
695
9名
240
9名
118
14 名
344
取締役
(社外)
93
6名
93
–
–
–
–
–
–
監査役
(社内)
124
3名
124
–
–
–
–
–
–
監査役
(社外)
39
3名
39
–
–
–
–
–
–
(注)1. 上記員数は、2011 年 3 月期中に退任した取締役 5 名
(うち社外取締役 1 名)
および辞任した監査役 1 名を含めて記載しています。
なお、2011 年 3 月期末現在の人員数は、取締役 15 名
(うち社外取締役 5 名)
、監査役 5 名
(うち社外監査役 3 名)
です。
2. 上記のうちストックオプションは 、取締役 14 名(社外取締役 6 名は支給対象外)
に付与したストックオプション
(2010 年 3 月期および 2011 年 3 月期に発行の株式報酬
型ストックオプション)
に係る費用のうち、2011 年 3 月期に費用計上した額を記載しています。
3. 上記の報酬等の額のほか、退任した役員に対して役員年金を支給しており、2011 年 3 月期の支給総額は以下の通りです。なお、役員年金制度を含む退任慰労金制度は
上記の通り2007 年 3 月期定時株主総会終結時をもって廃止しています。
取締役 128 名 (社外取締役は支給対象外)
に対して 227 百万円
監査役
12 名 (社外監査役は支給対象外)
に対して 8 百万円
84
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
内部統制に対する取り組み
グローバリゼーションの進展、地球環境への関心の高まりなど、
系統の明確化、リスク管理等)
体制を構築しており、毎年その運用
経営環境が大きく変化するなかで、企業の社会的責任は更に重み
状況につきモニタリングを行い 、取締役会で改善状況等の確認を
を増していることから、三菱商事は、業務を適正に遂行して企業価
行っています。
また、事業投資先の増加や業態の多様化など、連結経営におけ
値の向上を図り、社会的責任を果たしていくための経営システム
る内部統制の重要性が高まっている中、監査・内部統制担当役員
(内部統制システム)
の継続的な改善・強化に努めています。
具体的には、法令や社会規範を遵守し
(コンプライアンス)
、企業
情報の開示の信頼性を確保しながら
(財務報告等)
、業務を適正に、
が、監査役、会計監査人等とも連携して、業務の適正を確保するた
めの体制を整えています。
効率的に行う
(計画的な経営の遂行、合理的な組織編成、指揮命令
当社の内部統制の体制
コーポレート・ガバナンス体制
業務執行体制
監査役、監査・内部統制担当役員、
会計監査人の連携
社 長
社長室会
内部統制関連の主な委員会
監査・内部統制担当役員
開示委員会
コンプライアンス委員会
監査部
環境・CSR 委員会
投融資等諮問委員会
内部統制関連の
各種制度・施策の立案、
周知徹底
コーポレートスタッフ部門
安全保障貿易管理委員会 等
業務執行組織(営業部門他)
■■ は、p.83 参照
Y「コーポレートガバナンスに対する取り組み」
「 内部統制に対する取り組み」
に関する詳しい情報は、証券取引所あて提出の
「コーポレート・ガバナンス報告書」
をご参照ください。
http://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/about/governance/pdf/governance_report_j.pdf
主要リスクの管理について
(1)世界マクロ経済環境の変化によるリスク
当 社はグロ ー バ ルにビジネスを展 開しており、当 社 の 業 績
も 、国内の景気動向とともに、海外諸国の経済動向の影響を受
けます 。
品などの当社の輸出関連ビジネス全般にも影響を与えることと
なります 。
また、当社は、タイ、インドネシアで、日本の自動車メーカーと
協同で自動車の組立工場、販売会社、販売金融会社を設立し、広
例えば 、エネルギー資源や金属資源の価格が下落する場合に
範な自動車事業を展開していますが 、自動車の販売数量はこれ
は 、当社の資源関連の輸入取引や事業投資の収益が大きな影
らの国の内需に連関するため、タイ、インドネシア両国の経済動
響を受けることとなります 。さらに 、世界景気の冷え込み は 、
向は当社の自動車事業から得られる収益に大きく影響を与える
プラント、建設機械用部品 、自動車 、鉄鋼製品 、鉄鋼原料 、化学
ことになります 。
85
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
なお 、2011 年 3 月期の世界経済は 、総じて堅調に推移しまし
銅・アルミニウムについても、生産者としての価格変動リスク
た 。先進国では、失業率は高止まりましたが 、景気対策や金融緩
を負っています 。銅につきましては、1トンあたりの価格が 100
和の継続により景気は緩やかに拡大しました 。また 、新興国で
米ドル変動すると連結純利益で年間5億円の変動をもたらすと
は 、中国、インドなどで内需が好調に推移し、高成長となりまし
試算されますが 、粗鉱品位、生産・操業状況、再投資計画(設備
たが、一部の国では、インフレ圧力の高まりを背景に金融引締め
投資)等価格変動以外の要素からも影響を受けるため 、銅の価
が実施されました 。
格のみで単純に決定されない場合があります 。一方、アルミニ
ウムについては1トン当たりの価格が 100 米ドル変動すると連結
純利益で年間 10 億円の変動をもたらすと試算されます 。
(2)市場リスク
以下、連結純利益へ の影響額の試算は 、他に記載のない限り
〈石油化学製品〉
当社の 2011 年 3 月期の連結業績に基づいています 。なお、以下
当社はナフサや天然ガスを原料として製造される石油化学製
「 連結純利益」
は、
「 当社株主に帰属する当期純利益」
を指してい
品の貿易取引を広範に行っています 。石油化学製品はこれら原
ます 。
料市況並びに需給バランス等の要因から 、製品ごとに固有の市
況を形成しており、そ の変動は当該取引から得られる収益に影
a. 商品市況リスク
響を及ぼします 。
当社では、商取引や資源エネルギーの権益を保有して生産物
また 、サウジアラビア、マレーシア、ベネズエラではエチレン
を販売すること、事業投資先の工業製品の製造・販売をするこ
グリコー ル、パラキシレン、メタノー ルなど石油化学製品の製
となどの活動においてさまざまな商品価格変動リスクを負って
造・販売会社に出資しており、これらの会社の業績も市況の影響
います 。当社の業績に大きな影響を与える商品分野として次の
を受け、当社の持分法による投資損益に影響を与えます 。
ようなもの が挙げられます 。
b. 為替リスク
〈エネルギー資源〉
当社はオーストラリア、マレーシア、ブルネイ、サハリン、イン
当社は 、輸出入 、および外国間などの貿易取引において外貨
建ての決済を行うことに伴い、円に対する外国通貨レートの変動
ドネシア、アメリカ・メキシコ湾 、ガボン、アンゴラなどにおいて、
リスクを負っています 。これらの取引では先物為替予約などに
LNG や原油の上流権益あるいは LNG 液化設備を保有しており、
よるヘッジ策を講じていますが、それによって完全に為替リスク
L N G や原油の価格変動はそれらの事業の業績に大きな影響を
が回避される保証はありません 。
与えます 。
また、海外における事業からの受取配当金や海外連結子会社・
LNG の価格は基本的に原油価格にリンクしており、1バーレル
持分法適用関連会社の持分損益の連結純利益に占める割合が比
当たりの原油価格が 1 米ドル変動することで、当社の連結純利益
較的高く、これらの収益の多くが外貨建てであり、当社の報告通
は主に持分法による投資損益を通じて LNG・原油合わせて 10 億
貨が円であることから 、外国通貨に対して円高が進むと連結純
円程度変動します 。ただし、LNG や原油の価格変動が当社の業
利益にマイナスのインパクトを与えます 。当社の試算では米ド
績に影響を及ぼすまでにはタイムラグがあるため、価格変動が
ル・円のレートが1円変動すると、連結純利益に約 25 億円の変
直ちに業績に反映されるとは限りませ ん 。
動をもたらします 。
さらに 、当社の海外事業への投資については 、円高が進行す
〈 金属資源〉
ると為替換算調整勘定を通じて自己資本が減少するリスクが あ
当社は、オーストラリアの 100 %子会社 Mitsubishi Devel-
ります 。このため、大口の投資については必要に応じて為替リス
opment Pty Ltd 社( MDP )を通じて、鉄鋼原料となる原料炭を
クの ヘッジをするなどの施策を実行していますが 、完全にリス
中心に年間 27 ∼ 28 百万トン程度の石炭を販売しており、石炭価
クが回避できるわけではありません 。
格の変動はMDP の収益を通じて当社の連結業績に影響を与える
こととなります。また、MDP の収益は石炭価格以外にも、豪ドル・
米ドル・円の為替レートといったその他市況要因や、生産・販売数
量、生産コストといった天候状況等にも左右される要因によって
大きく影響を受けるため、石炭価格のみで単純に決定されるもの
ではありません。
86
Mitsubishi Corporation
c. 株価リスク
Annual Report 2011
当社では当該リスクを管理するために 、取引先毎に成約限度
当社は、2011 年 3 月期末時点で、取引先や関連会社を中心に
額・信用限度額を定めると同時に、社内格付制度を導入し、社内
約1兆 4,000 億円(時価ベー ス)
の市場性のある株式を保有して
格付と与信額により定めた社内規程に基づき 、与信先の信用状
おり、株価変動のリスクを負っています 。同時点での市場価格に
態に応じて必要な担保・保証などの取り付けを行っていますが、
より評価すると約 5,000 億円の評価益となっていますが 、株価
信用リスクが完全に回避される保証はありません 。取引先の信
の動向次第で評価益は減少するリスクが あります 。また 、当社
用状態悪化に対しては取引縮小や債権保全策を講じ、取引先の
の企業年金では、年金資産の一部を市場性のある株式により運
破綻に対しては処理方針を立てて債権回収に努めていますが 、
用しています 。よって 、株価の下落は年金資産の目減りを通じ
債権等が回収不能になった場合には当社の業績は影響を受ける
て、年金費用を増加させるリスクがあります 。
可能性があります 。
d. 金利リスク
当社の 2011 年 3 月期末時点の有利子負債総額は4兆 2,576 億
(4)カントリーリスク
円であり、一部を除いて変動金利となっているため 、金利が上
当社では海外の会社との取引や出資に関連して 、当該会社が
昇する局面では利息負担が増加するというリスクがあります 。
所在している国の政治・経済情勢に起因した、代金回収や事業遂
しかし、この有利子負債の相当部分は金利の変動により影響
行の遅延・不能等が発生するカントリーリスクを負っています。
を受ける営業債権・貸付金等と見合っており、金利が上昇した場
カントリーリスクについては、保険を付保するなど第三者への
合に、これらの資産から得られる収益も増加するため、金利の変
ヘッジを原則とし、案件の内容に応じて適切なリスクヘッジ策を
動リスクは、タイムラグはあるものの 、相殺されることになりま
講じています 。また、リスクを管理するために、カントリーリスク
す 。また、純粋に金利の変動リスクにさらされている部分につい
委員会を設置し、本委員会の下にカントリーリスク対策制度を設
ても、見合い の資産となっている投資有価証券や固定資産から
けています 。カントリーリスク対策制度では、国ごとの信用度(国
もたらされる取引利益、配当金などの収益は景気変動と相関性
別 レー ティン グ)およびカ ントリーリスク 管 理 上 のリスク マ
が高いため、景気回復の局面において金利が上昇し支払利息が
ネ ー(出資 、融資 、保証 、および貿易債権額からリスクヘッジ額
増加しても、見合いの資産から得られる収益も増加し、結果とし
を控除した額の合計)
に基づき取引対象国を六つの管理区分に
て影響が相殺される可能性が高いと考えられます 。ただし、金
分類し、区分ごとに枠を設定するなどの手法によってリスクの積
利の上昇が急である場合には 、利息負担が先行して増加し、そ
み上がりをコントロー ルしています 。
の影響を見合いの資産からの収益増加で相殺しきれず、当社の
業績は一時的にマイナスの影響を受ける可能性が あります 。
しかしながら 、上記のようなリスクヘッジ策を講じていても 、
当社の取引先や出資先 、もしくは当社の進行中のプロジェクト所
このような金利などの市場動向を注視し、機動的に市場リスク
在国の政治・経済・社会情勢の悪化によるリスクを完全に回避す
対応を行う体制を固めるため 、当社では ALM( Asset Liability
ることは困難です 。そ のような事態が発生した場合 、当社の業
Management )委員会を設置し、資金調達政策の立案や金利変
績は大きな影響を受ける可能性があります 。
動リスクの管理を行っています 。
(5)事業投資リスク
(3)信用リスク
当社ではさまざまな営業取引を行うことによって、売掛金、前
当社は、株式・持分を取得して当該企業の経営に参画し、商権
の拡大やキャピタル・ゲイン獲得などを目指す事業投資活動を
渡金などの取引与信、融資、保証および出資などの形で取引先
行っていますが、この事業投資に関連して投下資金の回収不能、
に対して信用供与を行っており、取引先の信用悪化や経営破綻
撤退の場合に追加損失が発生するリスク、および計画した利益
等による損失が発生する信用リスクを負っています 。また、当社
が上がらないなどのリスクを負っています 。事業投資リスクの
は主としてヘッジ目的のためにスワップ 、オプション、先物など
管理については、新規の事業投資を行う場合には、投資の意義・
のデリバティブ取引を行っており、デリバティブ取引の契約先に
目的を明確にした上で 、投資のリスクを定量的に把握し、リスク
対する信用リスクを負っています 。
の度合いに応じて社内で定めた最低期待収益率を上回っている
か否かを評価し、選別を行っています 。投資実行後は、事業投資
先ごとに 、毎年定期的に
「経営計画書」
を策定し、投資目的の確
実な達成のための管理を行う一方で 、早期の持分売却・清算等
による撤退を促す
「 EXIT ルー ル」
を採用することで、効率的な資
産の入れ替えを行っています 。
87
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
このような投資の段階での案件の選別、投資実行後の管理を
厳格に行っていますが 、期待する採算が上がらないというリス
(8)自然災害によるリスク
地震 、大雨 、洪水などの自然災害により当社の事業所・設備・
クを完全に回避することは困難であり、当該案件からの撤退等
システムや社員などに対する被害が発生し、営業・生産活動に支
に伴い損失が発生する可能性があります 。
障が生じる可能性があります 。
そうした事態に備え 、当社では社員の安否確認や B C P(事業
継続計画)実行のための災害対策マニュアルの作成、建物・設
(6)重要な投資案件に関するリスク
三菱自動車工業へ の取り組み
当 社は 、三 菱自動 車 工 業 の 要 請に応じて 、2004 年6月から
2006 年1月までに合計 1,400 億円の普通株式・優先株式を引き
受けました 。また当社は 、同社と主に海外での販売会社および
備・システム等の耐震対策(デ ータ等のバックアップを含む)
お
よび防災訓練などの対策を講じていますが 、これによっても自
然災害による被害を完全に回避できるわけではなく、被害が発
生した場合には当社の業績は影響を受けることがあります 。
また 、2011 年3月に発生した東日本大震災では 、当社の事業
関連するバリュー チェーン分野での事業展開をしています 。当
所に大きな被害はありませ んでしたが 、今後 、本震災に起因し
社の同社本体に対するリスクエクスポージャーは 2011 年 3 月期
て 、景気の悪化、多数の企業の経営状態の悪化、株価の下落等
末で約 1,300 億円となっており、同社関連事業へ の出資・融資
の事由が生じる可能性が あります 。これにより、取引先の信用
や営業債権などのリスクエクスポージャーは 2011 年 3 月期末で
状態悪化、保有する株式および金融商品等において売却損 、減
約 2,400 億円となっています 。これら同社本体へ のリスクエク
損が生じ、当社の業績は影響を受ける可能性があります 。
スポ ージャー と関 連 事 業 のリスクエクスポ ージャー の 合 計は
2011 年 3 月期末で約 3,700 億円となっています 。
同社の 2011 年 3 月期の連結業績は 、売上高1兆 8,285 億円、
営業利益 403 億円 、当期純利益 156 億円となりました 。
(7)コンプライアンスに関するリスク
当社は 、国内外で多くの拠点を持ち 、あらゆる産業を事業領
域としてビジネスを展開していることから、関連する法令・規制
は多岐にわたっています 。具体的には日本の会社法 、税法 、金
融商品取引法 、独占禁止法 、貿易関連諸法 、環境に関する法令
や各種業法を遵守する必要があり、また海外で事業を展開する
上では 、そ れぞ れの国・地域での法令・規制に従う必要が あり
ます 。
当社はコンプライアンス委員会を設け 、そ の委員会を統括す
るチ ーフ・コンプライアンス・オフィサ ー が連結ベ ー スでの法
令・規制遵守を指揮・監督し、コンプライアンス意識を高めるこ
とに努めています 。
しかしながら、このような施策を講じてもコンプライアンス上
のリスクは完全に回避できない可能性があり、関連する法令・規
制上の義務を実行できない場合には、当社の業績は影響を受け
ることとなります 。
88
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
チーフ・コンプライアンス・オフィサー からのメッセージ
当社全役職員はもとより、当社関係会社の社員一人ひとりに至るまでコンプライアンス意識が浸透・徹底するよう、
コンプライアンス施策の充実・強化を図っていきます。
当社は、企業理念である
「三綱領」
に基づき、
「 企業行動指針」
を定め、法
令遵守はもとより、適正かつ公正な事業活動を継続していくための体制
「三菱商事役職
づくりに、かねてより取り組んできました。2000 年 9 月に
員行動規範」
を制定し、これを掲載した小冊子を全役職員に携帯させるほ
か、毎年、全役職員から規範遵守の誓約書を取り付けることを通じて、役
職員一人ひとりに対して、法令遵守のみならず、社会通念に照らして適切
な行動をとるというコンプライアンス意識の徹底を行ってきました。ま
た、コンプライアンス・オフィサー制度を導入し、各部門・グループおよび
国内外の各地域にコンプライアンス・オフィサーを置き、さらにコンプラ
イアンス・オフィサーを補佐するコンプライアンス関連業務担当者を配置
し、日常業務におけるコンプライアンスの実践に努めています。
当社は、全役職員を挙げてのコンプライアンス活動を、当社のあらゆ
る企業活動の前提となるものであり、当社の連結ベースでの企業価値
向上を実現するための重要施策の一つとして捉えています。これまで実
践してきたコンプライアンス活動を基に、今後も当社全役職員はもとよ
浸透・徹底するよう、実効性のあるコンプライアンス施策のさらなる充
代表取締役 副社長執行役員
チーフ・コンプライアンス・オフィサー
環境・CSR 担当
実・強化を図っていきます。
鍋島 英幸
り、当社関係会社の社員一人ひとりに至るまでコンプライアンス意識が
コンプライアンス体制図
三菱商事
社 長
任命
コンプライアンス委員会
チーフ・コンプライアンス・オフィサー
グループ CEO 、地域統括
指揮・命令
任命
(委員長:チーフ・コンプライアンス・オフィサー)
(事務局:コンプライアンス総括部コンプライアンス推進室)
報告
コンプライアンス・オフィサー
内部通報制度
グループ・コンプライアンス・オフィサー
国内支社・コンプライアンス・オフィサー
海外地域・コンプライアンス・オフィサー
コンプライアンス目安箱(相談窓口)
監査部かんさ・ほっとライン
(相談窓口)
社外弁護士目安箱(相談窓口)
指揮・命令
報告
報告・相談
の長
組織(場所・本部・部・BU など)
指揮・命令
報告
通報・相談
報告・相談
社 員
子会社・関連会社
三菱商事グループ
弁護士
目安箱(相談窓口)
報告・相談
コンプライアンス・オフィサー
上 長
報告・相談
指揮・命令
社 員
報告・相談
報告・相談
(対象:あらかじめ登録された会社)
89
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
三菱商事の環境・CSR
継続的企業価値の創出に向けて
事業活動を通じた社会価値・環境価値の創出を目指す
継続的企業価値の創出
三菱商事では、企業理念である
「三綱領」
をすべての企業活動
環境価値
経済価値
社会価値
の土台とし、その上で
「企業行動指針」
を定め、事業活動の目的や
そのあり方、人権の尊重、地球環境への配慮などを規定してい
ます。また、地球環境への配慮に努めるための方針として
「環境
憲章」
を制定し、これらに立脚した事業活動を推進しています。
地球環境および社会の課題は、年を追うごとに大きく変化して
います。幅広い産業を事業領域とする当社では、広範囲にわた
る地球環境と社会の変化をいち早く捉え、
『 中期経営計画 2012 』
において
「継続的企業価値」
の創出を会社が目指すべきこととし
me
vir
事業活動
En
年に
「国連グローバル・コンパクト」
に参加しました。国連が提唱
する人権、労働、環境および腐敗防止の 4 分野で企業が遵守すべ
人権・先住民の権利の尊重
サプライチェーンにおけるCSR
コミュニティへの参画
ial
これを実現するためのアクションの一つとして、当社は、2010
on
気候変動への対応
生物多様性の保全
資源の持続可能な利用
Soc
環境価値を創出していくことを目指します。
nt
て掲げ 、事業活動を通じて課題解決に貢献しながら、社会価値・
Governance
き普遍的原則
「グローバル・コンパクト」
の支持を宣言し、
「 三綱
領」
の精神に基づき、各分野における取り組みを推進しています。
経営監督機能の強化
意思決定・業務執行の迅速化・効率化
また、当社は社会貢献活動や海外での国際貢献活動を通じた
社会価値・環境価値の創出にも力を入れています。環境・CSR
の取り組みを進めるに当たっては、ステークホルダーの皆様との
継続的な対話を通じて、その声を反映していくことが重要である
と考えています。
環境憲章を礎に、環境・CSR へ積極的に取り組む
三菱商事は、環境・CSR への取り組みを経営の最重要課題の
一つとして認識し、事業活動のあらゆる面において持続可能な
三菱商事環境憲章
三菱商事は、地球が最大のステークホルダー であると認識
し、事業活動を通じて持続可能な社会の実現を目指します。
■
社会の実現を目指した取り組みを積極的に進めていきます。そ
の礎となるのが、1996 年に制定した環境憲章です。これは当社
スの削減に取り組みます。
■
の環境・CSRに関連する基本方針を、ステークホルダー の皆様
に明確に示したものです。2010 年には、時代とともに環境に関
私たちは、新技術や新たな仕組みを活用し、温室効果ガ
私たちは、資源
(エネルギー、鉱物、食料、水等)
の持続
可能な利用に努めます。
■
私たちは、生態系がもたらす様々 な恩恵の重要性を認
する意識や課題が変化したことを受けて、環境憲章の改定を行
識し、生物多様性への影響を緩和するとともにその保全
いました。この環境憲章では、地球規模での課題となっている
「気
に貢献します。
候変動」
「 生物多様性」
「 資源の持続可能な利用」
を新たな項目と
■
価値の創出・向上に努めます。
して加え、環境保全・負荷低減に貢献することを後押しするため
に
「環境価値の創出・向上」
に努めることを掲げています。
私たちは、環境負荷低減や環境保全によって生じる環境
■
私たちは、環境に関する企業情報を適時・適切に開示し、
多様なステークホルダーとのコミュニケーション・協働
を推進します。
■
私たちは、環境諸法規を遵守するとともに、国際行動規
範に則した行動を取ります。
90
Mitsubishi Corporation
環境・CSR 体制
三菱商事では、環境・CSR 全般の基本方針を討議する組織と
して、
「 環境・CSR 委員会」
を設置しました。また、副社長を環境
Annual Report 2011
環境・CSR 体制
社長室会
CSR 担当役員として任命し、役員の業務分担として環境・CSR
を明記しました。
また 、社 外 有 識 者 の 方々 を加えた
「環 境・C S R アドバイザ
リーコミッティー 」
を設置しており、同コミッティーでは、三菱商
環境・CSR
アドバイザリー
コミッティー
環境・CSR 委員会
事グル ー プの環境・C S R 活動に対する助言や提言を行ってい
ます。グローバルな視点をもって事業活動を進めるためにも、
社内での議論に加え、社外有識者の方々の声も活かしていきた
いと考えています。
投融資における ESG 管理
三菱商事では、社長室会における投融資案件の審議に際して、
経済的側面だけでなく、ESG(環境、社会、ガバナンス)
の観点を
重要視し、総合的に審議・検討を行っています。また、案件によっ
ては、さらに取締役会で審議されます。
社長室会での投融資案件の意思決定は、社内専門部局の提言
を考慮した投融資等諮問委員会の諮問を基に行われます。同委
員会では、次のシステムを導入しています。
●
申立部局
(コーポレートスタッフ部門、各営業グループ・
部門)
が 、投融資案件の申立書において、投融資先のガ
バナンス体制や環境面・社会性面の影響などについて自
環境・CSR アドバイザリーコミッティー:2011 年 3 月期は 2 回( 4 月・10 月)開催
ら記載
●
総務部および環境・CSR 推進部が ESG の観点から審査
し、必要に応じて意見を提出する
環境面・社会性面の審査に当たっては、国際金融公社
( IFC )
の
投融資案件の審査フロー図
取締役会
社長室会
ガイドラインや、国際協力銀行
( JBIC )
の
「環境社会配慮確保のた
意見
意見
案件申立
リストを作成し、環境面での審査に加え、グローバルな視点から
見た人権・労働への配慮など、社会性項目についても審査を行っ
ています。
CFO
投融資等諮問委員会
めの国際協力銀行ガイドライン」
などを参照しています。
また、案件を進める上での留意点を取りまとめたCSRチェック
意見
申立部局
総務部、環境・CSR 推進部
●地球環境
(気候変動・生物多様性など)
●地域・社会
(先住民・文化遺産など)
●人権・労働
(児童労働・強制労働など)
●ガバナンス
(経営体制、内部統制など)
社会的責任投資( SRI )
インデックス
三菱商事は、これまでの環境・CSR への取り組みと、情報開
示における透明性を評価され、国内外の社会的責任投資
( SRI:
インデックスに組み込ま
Socially Responsible Investment )
れています。
(2011 年 8 月現在)
91
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
三菱商事における環境・CSR の重点課題
三菱商事のマテリアリティ
三菱商事では 、事業活動において重要性(マテリアリティ)
の高い環境・CSR 分野の課題として 、
「 気候変動」
「 生物多様性」
「 資源の
持続可能な利用」
「 汚染・事故の未然防止」
「 人権・労働」
「 先住民の権利」
を特定しました。当社は、自らの事業活動を通じて、それらの
重点課題の解決に貢献することにより、
『 継続的企業価値』の創出に取り組んでいきます。
ステークホルダーの関心・期待
三菱商事へのインパクト
●
環境・CSR アドバイザリーコミッティーからの指摘
●
三菱商事における重点施策
●
SRI インデックスや NGO などとの対話
●
新たな事業機会の創出
●
国内外のメディアモニタリング
●
事業を進める上でのリスクマネジメント
●
国際条約などの動向
(気候変動、生物多様性など)
●
法規制などの強化
生物多様性の保全
気候変動への対応
多くの事業投資先を有する当社では、
多岐にわたるビジネスを展開してい
連結・グローバルベースでのカーボ
る当社は、世界のさまざまな地域で
ンマネジメントの強化が重要な課題で
生態系サ ービスの多大な恩恵を受
あると考えています。自らの CO2 排
けています 。したがって生物多様性
出量削減に努めるとともに、新しい技
の維持・保全に努めることは当社に
術や仕組みの開発を通じて、地域社会
とっても重要な課題であると考えて
や産業界など社会全体の低炭素化に
います 。
貢献していきます。
資源の持続可能な利用
金属、エネルギー、食料、水など、世
界中でさまざまな資源にかかわる事
三菱商事の
事業活動
人権・労働への配慮
世界中でさまざまなビジネスを展開
し、多種多様な商品を取り扱う当社に
業を展開する当社にとって、資源の持
とって、人権への配慮、特にサプライ
続可能な利用に努めることは重要な
チェーンにおける人権・労働面の配慮
課題となっています。
は重要な課題となっています。
人権・先住民の権利の尊重
資源開発案件を中心に、先住民が居
環境面、および労働安全衛生面から
住する地域での事業活動を行う当社
も 、汚染や事故の未然防止に努める
にとって 、先住民が固有の文化や歴
ことは重要であり、そのための仕組
史を持つことを認識し、事業活動を行
み作りと管理に継続的に取り組んで
う国・地域の法律や国際的な取り決
います。
めに定められた先住民の権利への配
慮を行うことは重要な課題となって
います。
92
汚染・事故の未然防止
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
環境分野での取り組み
環境マネジメントシステム
て、具体的なビジネス展開につなげるなど、環境マネジメントシ
三菱商事では、幅広い産業を事業領域として、グローバルなビ
ステムのツールをサプライチェーン全体の環境管理に活用して
ジネスを展開しています。当社がかかわる
「商品取引活動」
と、国
います。
内外におけるさまざまな
「事業投資活動」
、そして
「オフィスにお
ける業務活動」
と環境とのかかわりを把握し、気候変動や生物多
気候変動への対応
様性などの地球規模での課題に対応する能力のレベルアップを
三菱商事では、気候変動への対応を地球規模で取り組むべき
図ることが重要と考えています。そこで、社長を最高責任者とし、
喫緊の課題であると認識しています。この課題を解決の方向へ
各営業グループ・部門、および国内コーポレートセンター(国内
と導くためには、気候変動対策における国際的な枠組み作りと、
支社・支店を統括)
に環境・CSR 責任者を配置し、ISO14001 に
その実施が極めて重要です。また、低炭素社会の実現に向けて、
則した環境マネジメントシステムの推進体制を構築しています。
産業界の自主的な取り組みや技術革新が 、大きな役割を果たす
と考えています。
当社では、商品取引先・請負先あるいは事業投資先に対して、
環境面の取り組み状況に関するアンケート調査やヒアリング、さ
当社は、グローバルに事業活動を展開する企業として、自らの
らには現地視察を行い、環境管理の状況、緊急時の対応などを確
CO2 排出量削減に努めるとともに、新しい技術や仕組みの開発
認する
「環境レビュー 」
を行っています。その結果、レビュー先へ
を通じて、地域社会や産業界における社会全体の低炭素化にも
提言や要望の伝達を行い 、双方で環境負荷低減につながる結果
貢献していきます。2011 年 6 月には、当社オフィスである三菱
を得ることを目標としています。
商事ビルディングが東京都の
「優良特定地球温暖化対策事業所
2011 年 3 月期は、本店各営業グループにおいて
「商品取引活
(トップレベル事業所)
」に認定されました。室内照明の自動調光
動」
10 件、
「 事業投資活動」
12 件の環境レビューを実施しました。
や高性能空調設備の導入に加えて、社員による省エネルギー活
レビュー先に対する環境負荷低減に向けた提言や要望の伝達を
動などが評価されたものです。
行ったほか、取引先や事業投資先と共に定量的な目標を設定し
三菱商事の環境パフォーマンス情報(単体・国内)
電力使用量
(単位:千 kWh )
12,000
10,000
8,000
6,000
4,000
2,000
0
✓
■
9,812
09.3
廃棄物排出量
(単位:t )
9,649
10.3
8,954
1,200
1,000
800
600
400
200
0
■ 本店 ■ 国内支社・支店等
CO2 排出量
(単位:t-CO2)
4,000
862
764
96.3%
783
98.6%
95.7%
紙の使用量
10.3
■
11.3
廃棄リサイクル率
* 2010 年3 月期は、オフィス移転などの影響により増加
物流起因の CO2 排出量
(単位:t-CO2)
80,000
✓
■
100,000
100,000
83,874
82,253
80,562
80,000
60,000
60,000
40,000
40,000
20,000
20,000
83,500
68,600
67,100
10.3
11.3
0
0
09.3
10.3
■ 本店 ■ 国内支社・支店等
* コピー用紙の使用量
11.3
4,036
09.3
10.3
3,746
2,000
0
09.3
■ 廃棄物排出量 ✓
■
4,105
3,000
1,000
のデータについても見直しを行っております
(単位:千枚)
✓
■
5,000
11.3
* 今回の集計に合わせ、2009 年および 2010 年 3 月期
✓
■
09.3
* エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)
に基づき、三菱商事を荷主とする国内輸送にかかわ
るもの
11.3
■ 本店 ■ 国内支社・支店等
* 左記の電力使用量から換算
* The Greenhouse Gas Protocol( GHG Protocol )
“ GHG emissions from Purchased Electricity
” WRI/WBCSD )の係数
( Country:
Version4.2(
Japan, Year:2006, Fuel mix:All )
を使用
【対 象 期 間】 2010 年 4 月 1 日∼ 2011 年 3 月 31 日
「 環境管理基本
【方針・基準】 環境関連法規に準拠し、
規程」
「 環境影響評価実務基準」
などの
社内規程に基づき記載しています。
【集 計 範 囲】 当社の環境マネジメントシステムの適用
範囲
(本店および国内支社・支店等のオ
フィス)
を対象としています。
* 「本店」
:三菱商事ビル、丸の内パークビルおよび東
京に所在する一部のビル
* 「国内支社・支店等」
:6 支社および各支社の管轄する
支店等
* 「電力使用量」
:三菱商事ビルの共用部分などの電力
使用量は含みません
* 「廃棄物排出量」
:本店のみを集計対象としています
* 「紙の使用量」
:一部の事務所の紙の使用量は含んで
いません
93
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
CO2 排出量削減の取り組み
三菱商事は、オフィス業務や物流などを含む、事業活動のあら
ゆる場面において、CO2 の削減に取り組んでいます。
グローバル連結ベースでの CO2 排出量
(単位:t-CO 2)
2,000,000
当社では、2003 年からCO2 排出量を含めた気候変動に対する
1,500,000
考え方やパフォーマンス情報を Carbon Disclosure Project
1,000,000
( CDP )
* に開示しています。また、CO2 排出量の報告内容に対す
500,000
1,827,778
三菱商事
1,340,963
連結子会社
る信頼性の確保を目的に、グローバル連結ベースでの CO2 排出
量集計に対して第三者からの助言を受けています。
2009 年4 月からは、全社CO2 削減運動「 CO2 Action Project 」
1,393,277
環境効率指標
売上高 /CO2 排出量
09.3
10.3
11.3
17
12
11
(百万円) ( t-CO2)
をスタートさせ 、
「 オフィスにおけるCO2 削減」
と
「勤務や営業活
動に伴うCO2 削減」
を、部門・営業グループごとに目標を掲げて
推進しています。
当社
(単体ベース)
の 2011 年 3 月期におけるCO2 排出量
(電力
使用に伴う間接的な CO2 排出量)
は、前期から約 7.2% 減となる
3,746トンとなりました。また、当社はグローバル連結ベースで
の
「燃料使用に伴う直接的な CO2 排出量」
についても調査を開始
し、2011 年 3 月期の排出量は約 183 万トンとなりました。
* 集計対象:購入電力使用に伴うCO2 の間接排出( GHG Protocolに定めるスコープ2)
。
* 集計範囲:三菱商事および連結子会社(孫会社含む)
。
データ回収率は約 70%(2011 年 3 月期)
* 集計方針:連結子会社の CO2 排出量については、当社からの出資比率に拠らず全
量を集計に含める。
* 排出係数の出所
・The GHG Protocol“ GHG emissions from purchased electricity ”
・CO2 Emissions from Fuel Combustion( International Energy Agency )
* 「環境効率指標」は、環境省「環境報告ガイドライン
(2007 年版)
」
を参考として、当
社の連結売上高をグローバル連結ベースの CO2 排出量で除して算出したもの。
CO2 排出量データは、上記条件(集計範囲、データ回収率など)
の下、任意に集計さ
れた値であり、連結売上高と集計範囲
(バウンダリ)
が完全に一致するものではな
いため、参考指標とする。
* CDP:機関投資家が連携し、世界中の大企業に気候変動と温室効果ガス排出による
事業機会やリスクについて、情報開示を求めるプロジェクト
事業を通じた低炭素社会への貢献
三菱商事は、交通インフラや新エネルギー開発などの事業を通
三菱商事の持ち分発電容量における再生可能エネルギー
(単位:MW )
うち再生可能エネルギー
じて、低炭素社会の推進に貢献していきます。 140
2010 年4 月、社長直掌組織として新設した
「地球環境事業開発
部門」
では、新エネルギー、環境・水事業に加え、海外電力事業や
エネルギーソリューション事業を集約し、地球環境を視野に入れ
1,000
うち再生可能エネルギー
11.3
持ち分発電容量
4,420
16.3 目標
持ち分発電容量
6,000
たインフラ事業への取り組みを強化しました。また、各営業グ
ループでは、炭素の回収・貯留、再生可能エネルギー、クリーン
開発メカニズム、電気自動車など、低炭素社会の実現に貢献する
技術やビジネスモデルの開発に取り組んでいます。
ポルトガル・モー ラ地区において、世界有数の新エネルギー総合事業会社である
アクシオナ
(本社:スペイン)
と合弁で運営を行っている太陽光発電事業
94
再生可能エネルギー
の割合
約
3%
再生可能エネルギー
の割合
約
20 %
三菱商事100%出資のDiamond Generating Corporation(アメリカ)
が出資する、
アメリカ・アイダホ州ゴーシェン 2 号発電所
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
生物多様性の保全
「水」への取り組み
新興国を中心とした経済発展や人口増加、地球温暖化による
私たちは、多様な生物によって構成される生態系から多大な
降水パターンの変化により、今後世界各地で水の枯渇・汚染な
恩恵
(生態系サービス)
を受けています。例えば、食料や水などの
どの問題が深刻化すると予想されています。
『 中期経営計画
「供給サービス」
や、気候調節・水質浄化の
「調節サービス」
など、
2012 』では 、全社戦略分野として「インフラ・地球環境事業」を
さまざまな生態系サービスがあります。これらのサービスは、
掲げ、さまざまな水事業を世界中で展開する水の総合事業会社
地球上の数多くの生物種やそれらによって成り立つ生態系の豊
として、水資源の確保から水供給・再利用まで、水の循環プロセ
かさとバランス、すなわち生物多様性によって支えられています。
ス全体をマネジメントし、世界が直面する水問題の解決に貢献し
多岐にわたるビジネスを展開している三菱商事も、世界のさま
ざまな地域で生態系サービスの恩恵を受けており、生物多様性
ています。
また、三菱商事では、2011 年よりCarbon Disclosure Project
( CDP )
が実施している
「水」
に関する情報開示のイニシアチブで
ある
“ CDP Water ”
を通じて、当社の水に関する取り組みを開示
の維持・保全に努めることは当社にとっても重要な課題であると
考えています。
当社は、生態系サービスの基盤となる地球を最大のステーク
ホルダーと捉え、事業活動による生物多様性への影響の緩和に
しています。
努めるとともに、事業活動および社会貢献活動を通じた生態系
水の使用量(単体・本店のみ)
(単位:m3)
50,000
43,385
40,000
30,000
の保全に貢献していきます。
✓
■
48,005
32,853
20,000
10,000
0
09.3
10.3
11.3
* 対象期間、方針・基準、集計範囲については、p.93 の記載を参照
三菱商事が49%、メキシコ政府が51% 出資する製塩会社、Exportadora
de Sal, S.A. de C.V.( ESSA )
では、塩田に集まる鳥の種類や個体数の
調査、ミサゴやハヤブサの繁殖期の観察、巣作りの場所の維持や保護な
ど、WHSRN* の活動に協力。
* Western Hemisphere Shorebird Reserve Network(西半球ショア
バード
(岸辺にすむ野鳥)
保護ネットワーク)
=アメリカの野鳥保護団体
環境パートナーシップと環境に関する貢献活動
三菱商事は NGO などとのパートナーシップを通じて、貴重な地球生態系の保全に寄与する
とともに、環境に関する課題認識と理解を深める機会を社員に提供しています。
● アースウォッチとのパートナーシップ
● サンゴ礁保全プロジェクト
当社は生物多様性維持・保全のため、最前線の
海洋生態系の中で重要な役割
科学の現場と一般市民をつなぐ活動に取り組む
を担うサンゴ礁。当社は 2005
国 際 環 境 NGO のアースウォッチと1993 年に
年より
「サンゴ礁保全プロジェク
パートナーシップを結びました。同団体が世界
ト」を 実 施しています。沖 縄、
各地で進める環境調査研究活動に当社の社員が
オーストラリア、セーシェルの3
参加しています。社員はさまざまな環境保全プ
拠点で、サンゴ礁の健全性保持
ロジェクトにおいて、データの収集などで科学
と回復技術の確立・普及を目的に、大学・NGOと協力しながら産・学・民
者・専門家をサポートしています。
連携の研究プロジェクトを進めています。社内外のボランティアが調査研
● 熱帯林再生実験プロジェクト
世界各地での熱帯林の減少は、生物多様性や地球温暖化に大きな影響を
及ぼします。当社では 1990 年より、
「 熱帯林再生実験プロジェクト」
に取り
究活動をサポートするほか、セミナーを開催して研究成果を公表するなど、
地球全体のサンゴ礁保全に活かす取り組みを行っています。
● 財団・基金
組んでいます。このプロジェクトでは、現地固有の樹種を密植・混植方式
三菱商事は、三菱商事米州財団
( MCFA )
および三菱商事欧州アフリカ基金
で植林し、40 ∼ 50 年という短期間で自然林に近い生態系を蘇らせることを
( MCFEA )
を通じて、環境保全活動や環境に関する教育研究、貧困緩和の
目指しています。現在、マレーシア、ケニア、ブラジルで活動しており、
促進などを支援するとともに、社員自らが活動に参加しています。
マレーシアでは社員による植林ツアーも行われ、現地住民との交流を通
じた熱帯林保全の理解促進にもつながっています。
95
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
社会性分野での取り組み
人権・先住民の権利の尊重
三菱商事は、世界中でビジネスを展開するに当たり、人権への
配慮が CSR の重要な要素であると考え、企業行動指針において
人権の尊重を掲げるとともに、三菱商事役職員行動規範には、
皆様と共有しています。同行動方針については 、新入社員や幹
部社員を対象とした各種の社内研修や 、海外事業所や関係会社
の社員が参加するセミナーなどでも説明しています。
当社では、サプライチェーン・マネジメントの一環として、サプ
「人権の尊重」
「 人種・民族・信条・宗教その他事由による差別の
ライヤーに対するアンケート調査や現地視察を行っています。今
禁止」
「 各国・地域の文化・慣習・言語の尊重」
などを明記してい
後とも当社のサプライチェーンにおけるCSR 行動方針が海外拠
ます。また、世界人権宣言や ILO 国際労働基準、安全と人権に関
点や三菱商事グループ会社に十分浸透するよう、また地球規模
する自主的原則など、人権に関する主要な国際行動規範を支持し
でサプライヤー の理解と協力を得ることができるよう引き続き
ています。
努力していきます。
さらに、人権尊重へのコミットメントの一環として、先住民の権
サプライヤー に対するアンケート調査や現地視察の結果につ
利に関する方針を策定しました。先住民が在住する地域での事業
いては、適宜、当社ウェブサイトにてご紹介していく予定です。
活動においては、事業活動を行う国・地域の法律や国際的な取り
決め
( ILO 第 169 号条約、先住民族の権利に関する国際連合宣言
など)
に定められた先住民の権利への配慮を行います。新規の投
融資に当たっての審査においても、
「 先住民の権利」
を確認事項
の一つとしています。また、国際基準を参考とし、先住民の尊厳、
サプライチェーンにおけるCSR 行動方針
三菱商事は、多様な取引形態を有しており、それぞれの業界が
持つ特性に応じたサプライチェーン・マネジメントを進めていく
必要があります。三菱商事は、
「 サプライチェーンにおけるCSR
人権、文化などに根ざした暮らしを十分に尊重した上で投融資が
行動方針」
を定め、サプライヤーに対して三菱商事の基本的な考
行われるよう、関係するステークホルダーと協議しています。
え方をお伝えするとともに、以下に定める項目への賛同と理解、
当社では、こうした考え方や取り組みを徹底し、法令遵守はも
とより適正な事業活動を継続していくためのコンプライアンス体
制を構築し、常に充実・強化を図っています。また、企業行動指
針や役職員行動規範はすべての従業員に配布されており、新入
社員や幹部社員を対象とした各種の社内研修においても説明を
実施しています。
サプライチェーン・マネジメント
三菱商事では 、サプライチェーンにおける環境・CSR のマネ
実践を期待します。
1. 強制労働の禁止
2. 児童労働の禁止
3. 安全で衛生的かつ健康的な労働環境の提供
4. 従業員の団結権の尊重
5. 差別の禁止
6. 非人道的な扱いの禁止
7. 労働時間の適切な管理
8. 適切な賃金
9. 地球環境への配慮
10. 情報開示
ジメントを重要な課題の一つと認識しています。2008 年 2 月に
「サプライチェーンにおける C S R 行動方針」
を定め 、関係者の
サプライチェーン現地モニタリングを実施
2010 年 9 月、ベトナム・ホーチミン市の大手縫製メーカーである
Saigon 3 Garment Joint-Stock Company( SG3 社)
の Minako
工場を訪問し、同社の CSR 責任者との面談および工場内の視察を
行いました。
SG3 社は 1986 年に設立された縫製会社であり、従業員は 2,700
名(2010 年7月現在)
、同社と三菱商事は10年以上にわたって継続
的な取引を行っています。訪問した工場では、主にジーンズの縫製
加工が行われています。
現地モニタリングの結果、同工場では有害物質を含む排水や温室
複数の販売先から環境および社会性(主に労働・人権)
に関する詳細
効果ガスを多量に発生するような作業工程はなく、環境負荷に関し
な監査を定期的に受けており、マネジメントの意識が高いことも確
て懸念事項は確認されませんでした。また同工場では、雇い入れ時
認されました。
に身分証明書による年齢確認を行っており、就労している従業員は
96
すべて 18 歳以上であることが確認されました。加えて、同工場は、
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
な人材が集い、切磋琢磨しながら成長していくことが、継続的に
社員とのかかわり
三菱商事の最大の資産は人材です。国内および海外約 80カ国
企業価値を創出していくためには不可欠であると考え、
「 自社の
に200 超の拠点を持ち、500 社を超える連結対象会社を含め約 6
最大の強みである人材がさらに成長し、働きがいを持って大い
万人の社員が働いています。世界各地で働く社員一人ひとりが能
に活躍できる体制と環境づくり」
のためのさまざまな施策を推進
力を最大限に発揮して、自らの価値を高めることができる健全な
しています。
雇用・労働環境の整備を人事の基本方針としています。採用・教
育・配置・評価・処遇などの人事施策に加え、組織・風土の強化と
当社の人事施策に関する詳細は、ウェブサイト
「社員とのかか
わり」
もご覧ください。
働くための環境整備も連動させ、人材強化に取り組んでいます。
当社は、グローバルに事業を展開する企業として、それを担う
社員データ
人材のさらなる開発と、多様な人材に対する雇用機会均等の推
進に積極的に取り組んでいます。人材の国際化を進めるグローバ
男女比
ル HRD(人材開発)
では、各国の法規を遵守するとともに、文化
的側面の一つである職場環境の違いにも配慮することはもちろ
男 75%
女 25%
* データは 2011 年 3 月 31 日現在
ん 、連結子会社の社員や海外拠点の社員の人材開発も積極的に
女性管理職比率
推進しています。
(単位:% )
また、社員一人ひとりがさまざまな経験とキャリア機会を得て、
個人と組織に活力を生み出す人材配置を積極的に推進していま
す。例えば、部門や営業グループを越えた異動、海外で採用した
社員の日本への出向や日本での研修、海外拠点間での異動など、
連結・グローバルベースでの施策を進めています。
5.0
4.8
4.0
3.7
3.1
3.0
2.0
2.4
1.9
1.0
0
当社には、性別や国籍の違いだけでなく、家庭で育児や介護に
2007
2008
2009
2010
2011
* データは各年の 4 月 1 日現在
取り組んでいるなど、さまざまな社員が在籍しています。多様
社会貢献活動
当社は、豊かな社会づくりに貢献するために、地域社会や国際社会と
共に発展していきたいと考えています。社会貢献活動においては、幅
広い分野での取り組みとともに、社員の自発的な参画を積極的に支援
しています。
当社の社会貢献活動は、
「 地球環境」
「 福祉」
「 教育」
「 文化・芸術」
「国
際交流」
の分野を中心に、世界各地の社員が自発的に参加して汗を流
すとともに、継続して活動に取り組むことを重視しています。また、社
員一人ひとりが社会貢献に対する意識を高めていくことが重要と考
社会貢献データ
ボランティアのトークン数
ボランティアによるトークン数
12,000
10,000
8,000
6,000
4,000
2,000
0
11,000
10,707
トークンに
よる寄附
6,221
5,353,500 円
2,085
08.3
09.3
10.3
11.3
え、ボランティア休暇制度や昼休みを利用した社内で行われるボラン
ティアプログラムの開催など、社員のボランティア活動への参加を促
すさまざまな取り組みを進めています。
当社の社会貢献活動に関する詳細は、ウェブサイトの
「環境・CSR
社員のボランティア活動は、トークンという仮想通貨に換算(活動 1 回につき
1トークン =500 円)
し、会社が福祉 、教育 、環境関連の NPO や財団に寄附す
る仕組みを整備しています 。トークンは会社が指定するボランティアだけで
はなく、社員の自発的な活動でも取得可能としています 。
通信」
をご覧ください。
2011 年 3 月期
ボランティア休暇
取得延べ人数
77
名
ボランティア休暇
取得日数
95.5
日
97
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
✓
■
98
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
環境・CSR アドバイザリーコミッティー
三菱商事では、社外の有識者 9 名をメンバーとする
「環境・CSR アドバイザリーコミッティー 」
を設置しています。2011 年 3 月期に
おいては、2010 年 4 月と2010 年 10 月にアドバイザリーコミッティー を開催し、三菱商事グループの環境・CSR 活動などに対しアド
バイスをいただきました。また、2011 年 4 月開催のアドバイザリーコミッティーでは、東日本大震災の復興支援などについてご意見
をいただきました。
継続的社会価値・継続的環境価値の創出について
●
●
社会価値でプラスになることが 、生物多様性の保全や気候変
社会価値や環境価値の貢献度指標を作ることは、非常に困難
動対策の観点ではマイナスになるという二面性が構造的にあ
なことだと思う。どこまで精緻なものとするか検討が必要だろ
ることには注意してもらいたい。
う。三菱商事はさまざまな事業を行っているので、すべての個
●
別事業に当てはまるような共通指標を作ることは現実的では
東日本大震災への対応について
ない。各事業・どの地域にも最低限のレベルで共通する基本的
●
な指標を設定・運用していけば良いのではないか。
らないことは、具体的であるべきだという意識が、多くの人の
「継続的社会価値・継続的環境価値の創出」
を社内で浸透・展
心の中に芽生えてきていることを感じる。
開するに当たっては、それを特別なことと捉えず、新しいビジ
●
ネスクオリティの概念だということをきちんと伝えることが
●
復旧・復興のために、企業や個人が果たしていかなければな
三菱商事が持つネットワークを使って、日本が前進している姿
や正しい現状を世界中に発信してほしい。それがステークホル
重要。
ダーの期待に対する答えになるのではないかと思う。また、震
環境・CSR の取り組みに対する指標を作ることは、世界的に先
災後の目指すべき世の中・暮らしの姿を描くとともに、それに
端をいっている試みだと思う。ただし、三菱商事の事業にはさ
どのように貢献しているかを発信してもらいたい。
まざまな形でネガティブインパクトとポジティブインパクトがあ
●
100 年後に、三菱商事が大きな貢献をしたと言われるような取
るので、その整理を行った上で、説明・メッセージとして発信し
り組みをしてほしい。また、大学生への奨学金だけではなく、
ていくことが重要。また、年度ごとの変化だけではなく、結実
子どもたちや世の中を明るくし、みんなが希望を持てるような
するまでに10 ∼ 20 年かかる取り組みもあることを踏まえて、
活動も実施してほしい。
評価軸を考えていく必要がある。
●
瞬間的な華やかさではなく、10 年後にも求められるような本
当のニーズに応えることが重要。
環境・CSR アドバイザリーコミッティーメンバー(敬称略)
日本総合研究所
ESGリサーチセンター長
米国三菱商事
エグゼクティブアドバイザー
国連環境計画金融イニシアティブ
特別アドバイザー
足達 英一郎
ジェームズ・E・ブラム
末吉 竹二郎
日本サッカー協会 理事
地球環境イニシアティブ 理事
創コンサルティング代表取締役
イースクエア代表取締役社長
海野 みづえ
ピーター・D・ピーダーセン
キャスター
コンサべーション・インター
ナショナル・ジャパン
代表理事
岡田 武史
上智大学大学院教授・
地球環境研究所長
鬼頭 宏
勝 恵子
日比 保史
当社代表取締役
副社長執行役員
鍋島 英幸(議長)
99
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
三菱商事グループの東日本大震災への対応
2011 年 3 月 11 日に発生した東日本大震災に際し、三菱商事で
現在は、東日本大震災復興支援基金
( p.3 参照)
を活用し、被災
は、地震発生の 10 分後には災害対策本部を立ち上げ 、役員・従
者への支援を最優先に、総力を結集して復興支援を推進してい
業員の安全の確認、被害の状況、三菱商事グループのビジネス
ます。このほか電力不足への対応、BCP( Business Continuity
への影響などについて刻々と変わる情報を収集し、対応に当たり
の見直しにも取り組んでいます。
Plan=事業継続計画)
ました。大震災発生後は連日、災害対策本部会議を開催し、三菱
国難とも言われる厳しい状況下、三菱商事グループでは被災
商事グループ・取引先の被害状況、緊急物資の要請などの情報
地でのボランティア活動や節電など、社員一人ひとりが身近でで
を収集し、それに基づく対応策を検討し、実行に移しました。特に
きることを実践するとともに、ビジネスを通じて経済を回してい
被災地に対する緊急物資の支援を最優先課題に掲げ 、三菱商事
くことが、結果的に復興支援にもつながると考え、引き続き積極
グループの総合力を最大限に活用し、迅速に対応しました。
的に取り組んでいきます。
被災地でのボランティア活動
「震災復興支援チャリティー・オークション」
を開催
三菱商事は、仙台市の災害ボランティアセンターと協力
三菱商事が若手アーティストの育成とキャリア支援を目
し、被災地で 1 年間にわたり継続的にボランティア活動を
的として取り組んでいる
「三菱商事アート・ゲート・プログ
行っています。当社および三菱商事グループの社員が10
ラム」
を 4 月 16 日に三菱商事ビルにおいて開催しました。
人1 組となって、3 泊4 日の日程で被災地に入り活動してい
今回は
「震災復興支援チャリティー・オークション」
として、
ます。今後、延べ 1,200 人を派遣する予定です。
売上金のすべて
( 412 万円)
を被災地へ の義捐金としま
した。
また、5 月 4 日に六本木ヒルズアリーナで開催された
TOKYO M.A.P.S( J-WAVE 主催)会場内に、震災復興支
援チャリティー・バザーのブースを出店。これまでに三菱
商事アート・ゲート・プログラムに参加した若手アーティ
スト11 名が、お客様の似顔絵やドローイングを即興で描
き、注目を集めました。売上金は被災者の支援に役立てら
れます。
津波被害を受けた家屋
の片付けや泥の撤去を
行う社員ボランティア
100
震災復興支援チャリティー・オークション
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
三菱商事グループ各社の緊急支援対応
i-MiEV を無償貸与
エネルギー供給への取り組み
大震災後、被災地では燃料油不足、特にガソリン不足が深刻化
深刻なガソリン不足に悩む被災地域において、即効性のある
しました。石油製品卸の三菱商事石油は、国・地方自治体の要請
新たな災害支援となったのが、ガソリン補給不要の電気自動車。
を受け、3 月19 日から福島災害対策本部向けに、周辺地域では大
ガソリン不足が解消されず、自治体関係者が避難所を回る交通手
震災後初の出荷を行うこととし、原油や石油製品などの貯蔵・出
荷を行う小名浜石油
(福島県)
の社員がボランティアとして緊急出
荷に対応しました。また、三菱商事石油は、人道支援、社会貢献
段も限られた地域が多数ある中、三菱商事は、三菱自動車工業製
「 i-MiEV 」30 台を無償貸与しました。
4 月上旬より、要望のあった自治体(岩手県、宮城県、福島県、
を最優先し、民生用の灯油や病院向けA 重油および車両向けガソ
八戸市、気仙沼市、仙台市、北茨城市)
へ届け、自治体の要請に応
リンなどの石油製品の緊急供給を行いました。
じて、充電用の電源を確保するための電気工事も行いました。各
また三菱商事では、LNG 、LPG 、石油の緊急調達を実施しまし
地の災害対策本部と被災地を結ぶ足として活躍しています。
た。LNGについては、大震災発生当夜に
「 LNG 緊急調達本部」
を
立ち上げ、国内外のパートナーやお取引先の協力を得ながら電
力会社の LNG 調達をサポート、石油については、インドネシア、
アフリカ、近隣アジア諸国から、電力会社および被災地向けの緊
急調達を実施しました。
医療材料や医薬品の供給
エム・シー・ヘルスケア
( MCH )
は、医療材料や医薬品を全国の
被災した女川町(宮城県)
を走る
「 i-MiEV 」
サプライセンター で保管し、一元管理しています。被災地には
MCH が医療材料や医薬品の供給を受託している11 の提携病院
水の緊急供給、水インフラ施設の復旧への取り組み
被災地の大半に当たる約 350 の水処理施設に設備を納め、約
があり、津波の被害を受けた病院もありました。
MCHは、大震災直後に全国33カ所のサプライセンターから医
40 カ所以上で施設の運転管理を行っている
「水 ing* 」
は、本社と
療材料や医薬品を収集し、2 日後の 3 月13 日には5 人の社員が関
全国拠点から応援メンバー を増員し、被災地での緊急的な水供
東圏からトラックに物資を積み、被災地の一つである石巻地区に
給、水インフラ施設の復旧に向け、全社を挙げて取り組みました。
入りました。このトラック便が 、大震災後同地区に初めて入った
緊急的な水供給については、断水地域への供給や復旧工事作
医療関連のトラック便だと言われています。MCH の仙台サプラ
業への水供給のため、日量総計で約 600トンを供給できる非常
イセンターでは、システムが止まりましたが、手作業で物流や集
用給水装置を投入し、順次 、設置地区を拡大しました 。また 、
配を行いました。こうして被災地の多くの医療機関が医薬品など
水インフラの復旧については、大震災で最も被害を受けた大型
の物資不足に陥る中、MCH は供給を続けることができ、さらに
処理施設である宮城県の浄化センター において、率先して排水
は病院の求めに応じて全国から調達した生活物資などの供給も
作業や機器の応急処置を行ったほか、そのほかの地域において、
行いました。
し尿処理施設の復旧対応も実施しました。
阿武隈地区に
設置された
非常用給水装置
大震災直後の
仙台サプライ
センター
* 旧荏原エンジニアリングサービス。総合水事業会社を目指し、2010 年 4 月に荏原
「水 ing 」
に
製作所、日揮、三菱商事の共同経営体制となり、2011 年 4 月より社名を
変更しました。
101
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
国際諮問委員会
国際諮問委員会の目的・機能および最近の開催状況
当社の国際諮問委員会は、取締役会の機能強化を目的として
第 10 回を迎えた 2010 年 10 月の委員会では、アメリカ発の金融
2001 年に設置され、以降、毎年1 回開催されています。構成員は、
危機から2 年が経ち、世界経済は最悪期から脱しつつあるものの、
ガバナンス体制整備の観点から、グローバルなビジネスを展開す
先進国経済の不確実性が高まる中、当社の進むべき方向性につい
る当社の経営や企業戦略に対して、国際的な視点に立った提言・助
て議論が行われました。
言を行っています。それぞれの地域の政治・経済情勢についても
報告し、意見を交わしています。
構成委員(2010 年 10 月18 日現在)
前列左より
後列左より
エルミニオ・ブランコ・メンドーサ
ジョン・ボンド卿
メキシコ:元商工大臣
イギリス:エクストラータ会長
1985 年
1988 年
1994 年
商工省副大臣
北米自由貿易協定交渉責任者
商工大臣
( ~2000)
ジョセフ・S・ナイ
アメリカ:ハーバード大学特別功労教授および
オマーン国王国際関係学教授
1993 年
1994 年
1995 年
国家情報会議議長
国際安全保障担当国防次官補
ハーバード大学ケネディスクール学長
(∼ 2004)
ハーバード大学特別功労教授
1993 年
1998 年
2006 年
2011 年
HSBCホールディングス・グループ
チーフエグゼクティブ
HSBCホールディングス会長
ボーダフォングループ会長
エクストラータ会長
ハイメ・アウグスト・ゾベル・デ・アヤラ Ⅱ
フィリピン:アヤラコーポレーション会長 CEO
1987 年
1994 年
2006 年
ハーバード大学 MBA 取得
アヤラコーポレーション社長 CEO
アヤラコーポレーション会長 CEO
加藤 良三
(取締役)
槙原 稔
(特別顧問)
佐々木 幹夫
(相談役)
小島 順彦
(取締役会長)
小林 健
(代表取締役社長)
ラタン・N・タタ
インド:タタグループ会長
1975 年
1981 年
1991 年
ハーバード大学 AMP 修了
タタインダストリーズ会長
タタグループ会長
(注)
役職は、2011 年 8 月 1 日現在。
102
今野 秀洋
(取締役)
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
国際諮問委員からの手紙
2011 年 7 月
ラテン・アメリカの一部の国において、インフラ整備の遅れや貧
困などの社会問題、政治的不安定などの障害があることも事実で
2001 年、三菱商事に国際諮問委員会が設置されて以来、私は、
すが、これに逡巡し目の前にあるビジネスチャンスを逃すことはあ
委員会メンバーとして参加し、毎回、グローバルな観点から、組織
りません。三菱商事は、これまで世界中でビジネスを展開する中
や人材のあり方、新興国におけるビジネス展開などについて、活
で、現地の優良なパートナーと組み多くの実績を上げてきました。
発な議論を交わしてきました。さまざまな経歴を持つ委員会メン
ラテン・アメリカにおいてもその知見は必ず活きてきます。
バー が、異なる見地から重要なテーマについて議論し、経営に対
ラテン・アメリカに限らず、新興国でのビジネスにおいて忘れて
してさまざまな提言をしてきたことは、三菱商事がグローバルに
はならないのが、従業員が現地の商習慣に対する理解を深めるよ
ビジネスを展開する上で、有意義であったと思います。
う促進することの大切さです。それぞれの国や地域の歴史や文化
2010 年の第 10 回国際諮問委員会では、新興国が順調な経済成
を尊重するとともに、現地の優秀な人材の積極的な活用により、三
長を続ける一方で、先進国では、長引く失業問題や欧州の金融不
菱商事の成功はより確かなものとなるでしょう。ビジネスの可能性
安などを背景に成長に陰りが見える中、世界経済の中長期的な見
を考えると、例えば 、三菱商事が優れた技術を有する日本企業と
通しについて議論しました。さらに2010 年7 月に発表された『中期
パートナーシップを組んで、日本の高品質な製品をラテン・アメリ
経営計画 2012 』
についての議論を行い 、三菱商事の進む方向性
カで生産することも考えられます。日本製品は、省エネや環境面で
を共有しました。高い見識をお持ちのメンバーの方々のご意見は、
も評価が高く、必ず受け入れられると思います。雇用の創出や技
各地域の経済状況やビジネスを理解する上で貴重なものばかりで、
術移転を通じて、現地社会への貢献にも寄与することができます。
三菱商事の方向性を決定する上で、大いに役立つものでした。
三菱商事にとって、新興国市場への取り組みは今まで以上に重
要性を帯びており、ラテン・アメリカもその一つです。ラテン・アメ
私は 、ラテン・アメリカにおいて培った知見と人脈を活かし、こ
の地域における三菱商事のさらなる成功に貢献したいと考えてい
ます。
リカは、20カ国、人口5 億人以上を擁する巨大な消費市場であると
同時に、世界への資源供給元でもあります。ブラジルやコロンビ
ア、メキシコ、ベネズエラの原油、ブラジルの鉄鉱石、ペルーやチ
リの銅、アルゼンチンやブラジルの穀物などが供給されています。
ラテン・アメリカ地域外の国や地域との FTA(自由貿易協定)
を通じ
て、他地域との域内貿易も活発に行われており、近年、ビジネスを
行う上での政治的、経済的環境がますます充実してきています。
こうした中、三菱商事はブラジルを全社戦略地域として指定し、
さまざまなビジネスを進めていますが、高い成長が期待されるラ
テン・アメリカ全体の成長を取り込むためには、ブラジルのみなら
ず、経済的なつながりの深い周辺国の動向を常に注視していかな
ければなりません。例えば、北米の物流とエネルギーにおいて明
らかに優位な立場にあるメキシコでも、大きなビジネスチャンスを
できるだけ多く掴めるよう努力を続けていきます。ラテン・アメリ
エルミニオ・ブランコ・メンドーサ
カにおけるビジネスは、今後ますます競争が激しくなることでしょ
メキシコ:元商工大臣
う。特に、世界的な資源ナショナリズムの高まりを背景とした天然
資源獲得競争は、激化の一途を辿ることが予測されます。中国や
韓国などの企業は国を後ろ盾に積極的に参入しています。
103
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
取締役
(2011 年 7 月 1 日現在)
小島 順彦
小林 健 *
1965 年 5 月
1995 年 6 月
1996 年 2 月
1997 年 4 月
1998 年 4 月
1999 年 4 月
1971 年 7 月
2003 年 4 月
2004 年 6 月
2006 年 4 月
2007 年 4 月
2000 年 4 月
2001 年 4 月
2001 年 6 月
2004 年 4 月
2010 年 6 月
当社入社
取締役 社長室会事務局部長
取締役 業務担当取締役
常務取締役 職能担当役員
常務取締役 職能総括担当役員
(部門 A )
常務取締役 業務・開発総括
兼金融サービス本部長
常務取締役 新機能事業グループ CEO
取締役副社長 新機能事業グループ CEO
取締役 副社長執行役員
新機能事業グループ CEO
取締役社長
取締役会長
[現職]
2008 年 6 月
2010 年 4 月
2010 年 6 月
上田 良一 *
矢野 雅英
1973 年 4 月 当社入社
2003 年 4 月 執行役員 コントローラー
2006 年 3 月 執行役員 1971 年 4 月 当社入社
2004 年 4 月 執行役員 繊維本部長
2006 年 4 月 常務執行役員 生活産業グループ COO
北米統括兼米国三菱商事会社取締役社長
2006 年 4 月 常務執行役員 北米統括兼米国三菱商事会社取締役社長
2008 年 4 月 常務執行役員 兼ライフスタイル本部長
2008 年 4 月 常務執行役員 生活産業グループ CEO
2010 年 4 月 副社長執行役員 生活産業グループ CEO 、
国内統括
米州統括兼米国三菱商事会社取締役社長
2009 年 4 月 常務執行役員 コーポレート担当役員
( CFO )
2009 年 6 月 取締役 常務執行役員 コーポレート担当役員
( CFO )
2010 年 4 月 取締役 副社長執行役員 コーポレート担当役員
( CFO )
、
連結経営基盤整備担当[現職]
2010 年 6 月 取締役 副社長執行役員 生活産業グループ CEO 、国内統括 2011 年 4 月 取締役 副社長執行役員 鍋島 英幸 *
中原 秀人 *
1972 年 4 月
2004 年 4 月
2007 年 4 月
2007 年 6 月
1973 年 4 月 当社入社
2004 年 4 月 執行役員 欧州支社長兼欧州三菱商事会社
当社入社
執行役員 経営企画部長
常務執行役員 機械グループ CO-CEO
取締役 常務執行役員 機械グループ
CO-CEO
2008 年 6 月 取締役退任
常務執行役員 機械グループ CO-CEO
2010 年 4 月 副社長執行役員 ビジネスサービス部門
CEO 、コーポレート担当役員(広報)
、
チーフ・コンプライアンス・オフィサー、
環境・CSR 担当
2010 年 6 月 取締役 副社長執行役員 ビジネスサービス部門 CEO 、
コーポレート担当役員
(広報)
、
チーフ・コンプライアンス・オフィサー、
環境・CSR 担当
2011 年 4 月 取締役 副社長執行役員 コーポレート担当
役員
(広報、総務、法務、人事)
、
チーフ・コンプライアンス・オフィサー、
環境・CSR 担当
2011 年 7 月 取締役 副社長執行役員 コーポレート担当
役員
(広報、総務、法務、人事)
、
チーフ・コンプライアンス・オフィサー、
環境・CSR 担当、
チーフ・インフォメーション・オフィサー
[現職]
104
2007 年 6 月
当社入社
執行役員 シンガポール支店長
執行役員 プラントプロジェクト本部長
執行役員 船舶・交通・宇宙航空事業本部長
常務執行役員 新産業金融事業グループ CEO
取締役 常務執行役員 新産業金融事業グループ CEO
取締役退任 常務執行役員 新産業金融事業グループ CEO
副社長執行役員 社長補佐
取締役社長[現職]
東アジア統括兼三菱商事
(中国)
有限公司
取締役社長[現職]
取締役社長兼
英国三菱商事会社取締役社長
2006 年 4 月 執行役員 中国総代表兼三菱商事(中国)
有限公司取締役社長
2007 年 4 月 常務執行役員 中国総代表兼三菱商事
(中国)
有限公司取締役社長
2009 年 4 月 常務執行役員 コーポレート担当役員
(地域戦略)
、地域開発管掌
2009 年 6 月 取締役 常務執行役員 コーポレート担当
役員
(地域戦略)
、地域開発管掌
2010 年 4 月 取締役 常務執行役員 コーポレート担当
役員
(企画・業務)
2011 年 4 月 取締役 副社長執行役員 コーポレート担当
役員
(企画・業務)
[現職]
Mitsubishi Corporation
藤村 潔
永井 康雄 *
1972 年 4 月 当社入社
2003 年 6 月 監査役(常勤)
2007 年 6 月 執行役員 コーポレート担当役員( CIO 、
CISO )
、業務改革・内部統制担当補佐
2008 年 4 月 常務執行役員 コーポレート担当役員
( CIO 、業務改革・内部統制)
2008 年 6 月 取締役 常務執行役員 コーポレート担当
役員
( CIO 、業務改革・内部統制)
2009 年 4 月 取締役 常務執行役員 コーポレート担当
1977 年 4 月
2007 年 4 月
2010 年 4 月
2010 年 6 月
Annual Report 2011
当社入社
理事 重電機本部長
常務執行役員 国内統括
(副)
兼関西支社長
取締役 常務執行役員 国内統括
(副)
兼
関西支社長
2011 年 4 月 取締役 常務執行役員 国内統括兼
関西支社長[現職]
役員
(業務改革・内部統制)
、
IT サービス事業開発管掌( CIO )
2010 年 4 月 取締役 常務執行役員 監査・内部統制担当役員[現職]
野間口 有 **
伊藤 邦雄 **
1965 年 4 月
1995 年 6 月
2002 年 4 月
2003 年 6 月
2006 年 4 月
三菱電機
(株)
入社
同社取締役 常務取締役、専務取締役を経て
同社取締役社長
同社取締役 執行役社長
同社取締役会長
(2009 年 4 月 同社取締役、
2010 年 6 月 同社取締役退任)
2009 年 4 月 独立行政法人 産業技術総合研究所 理事長
[現職]
2007 年 6 月 当社取締役[現職]
1980 年 4 月
1992 年 4 月
2002 年 8 月
2004 年 12 月
2006 年 12 月
2007 年 6 月
佃 和夫 **
加藤 良三 **
1968 年 4 月
1999 年 6 月
2002 年 4 月
2003 年 6 月
2008 年 4 月
2008 年 6 月
三菱重工業
(株)
入社
同社取締役
同社常務取締役
同社取締役社長
同社取締役会長[現職]
当社取締役[現職]
一橋大学商学部講師 同大学助教授を経て
同大学教授
同大学大学院商学研究科長・商学部長
同大学副学長・理事
同大学大学院商学研究科教授[現職]
当社取締役[現職]
1965 年 4 月 外務省入省
2008 年 6 月
2008 年 7 月
2008 年 8 月
2009 年 6 月
アジア局長、総合外交政策局長、外務審議官、
アメリカ合衆国駐箚特命全権大使を経て
同省退官
日本プロフェッショナル野球組織
コミッショナー[現職]
当社特別顧問
当社取締役[現職]
今野 秀洋 **
1968 年 4 月 通商産業省(現 経済産業省)入省
2002 年 7 月
2003 年 2 月
2010 年 1 月
2010 年 6 月
商務流通審議官、貿易局長、通商政策局長、
経済産業審議官を経て
同省退官
独立行政法人 日本貿易保険 理事長
(2009 年 7 月退任)
当社特別顧問
当社取締役[現職]
*
**
代表取締役を示しています。
会社法第2条第15号に定める社外取締役を示しています。
105
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
監査役
(2011 年 7 月 1 日現在)
上野 征夫
中島 茂 *
1968 年 4 月
1998 年 6 月
2001 年 4 月
2001 年 10 月
当社入社
取締役 社長室会事務局部長
常務取締役 経営企画部長
常務執行役員 コーポレート担当役員兼経営企画部長
2005 年 4 月 取締役 副社長執行役員、
国内統括兼関西支社長
2007 年 4 月 取締役 副社長執行役員
コーポレート担当役員
(広報、総務、法務)
、
チーフ・コンプライアンス・オフィサー、
国内統括
2010 年 6 月 常任監査役(常勤)
[ 現職]
1979 年 4 月
1983 年 4 月
1984 年 11 月
2004 年 6 月
野間 治
辻山 栄子 *
1978 年 4 月 当社入社
1977 年 4 月
1980 年 8 月
1985 年 4 月
1991 年 4 月
2003 年 4 月
弁護士登録
中島経営法律事務所代表
[現職]
弁理士登録
当社監査役
[現職]
茨城大学人文学部専任講師
同大学人文学部助教授
(1985 年 3 月退職)
武蔵大学経済学部助教授
同大学経済学部教授
(2003 年 3 月退職)
早稲田大学商学部・大学院商学研究科教授
[現職]
2008 年 6 月 当社監査役[現職]
投資金融事業本部長、監査役室長を経て
2010 年 4 月 理事 監査役室長
2011 年 6 月 監査役(常勤)
[ 現職]
長友 英資 *
1971 年 4 月 東京証券取引所入所
2001 年 11 月(株)東京証券取引所 執行役員
2003 年 6 月 同社常務取締役 2005 年 12 月 同社常務取締役(最高自主規制責任者)
(2007 年 6 月退職)
2007 年 10 月(株)
ENアソシエイツ代表取締役[現職]
2008 年 4 月 早稲田大学大学院商学研究科客員教授
[現職]
2008 年 6 月 当社監査役[現職]
* 会社法第 2 条第 16 号に定める社外監査役を示しています。
監査役会からのメッセージ
当社監査役会は、3 名の社外監査役と社内出身の 2 名の常勤監
さらに主要な子会社および関連会社とは、往査や取締役など経
査役で構成されています。社外監査役はそれぞれの専門分野を
営陣との対話を行うとともに、常勤監査役と定期的に意見交換を
持ち 、取締役会・監査役会だけでなく会計監査人や取締役・執行
行う会を開催して当社経営方針を共有する場とすることにより、企
役員との対話などにも出席して実態を的確に把握することにより、
業集団としての監査の環境整備に努めています。
中立かつ客観的な観点から積極的に意見を出しています。常勤監
加えて、定期的に社外の有識者から専門家の立場でのお話を伺
査役 2 名は当社業務経験を活かしてその任に当たっています。常
う機会を設け、社外の目から見た意見を当社監査活動に役立てて
勤監査役のうち常任監査役は監査役会の議長のほか特定監査役
います。
も務めています。こうした監査役の活動を独立した立場で補佐す
こうした活動により、会社法等諸法令や当社定款・諸規則などに
る組織として監査役室を設置し、5 名の専任スタッフが機動的に対
基づいて取締役の意思決定の過程や職務執行状況の監査を実施
応する体制を整えています。
し、必要に応じて指摘・提言を行うことによって当社の健全で持続
社内の主要会議には監査役室員も含めて幅広く出席し、また国
内外主要拠点を含む社内各部局への往査や対話を行い、社内関係
者との円滑な意思疎通を通じて実態を正しく把握するよう心掛け
ています。監査役会は会計監査人および内部監査部門と定期的に
会合を持って意見交換を行い、緊密な連携に努めています。
106
的な成長を確保し、社会的信頼に応える企業統治体制の確立に寄
与したいと思います。
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
執行役員
(2011 年 7 月 1 日現在)
小林 健 **
常務執行役員
執行役員
社長
副社長執行役員
武内 英史
桑原 徹郎
谷 謙二
新産業金融事業グループ CEO
エネルギー事業グループ CEO 補佐
三菱商事ユニメタルズ
(株)
代表取締役社長
上田 良一 **
柳井 準
山口 力
エネルギー事業グループ CEO
コーポレート担当役員
( CFO )
、
連結経営基盤整備担当
東アジア統括補佐
兼 三菱商事
(上海)
有限公司取締役社長
安田 正介
矢野 雅英 *
東アジア統括
兼 三菱商事
(中国)
有限公司取締役社長
鍋島 英幸 **
コーポレート担当役員
(広報、総務、法務、人事)
、
チーフ・コンプライアンス・オフィサー、
環境・CSR 担当、
チーフ・インフォメーション・オフィサー
中部支社長
安倍 寛信
九州支社長
衣川 潤
金属グループ CEO
監査・内部統制担当役員
小宮 修
機械グループ CEO
生活産業グループ CEOオフィス室長
兼 農水産本部長
大河 一司
インフラプロジェクト本部長
藤山 知彦
コーポレート担当役員補佐
藤村 潔 *
垣内 威彦
河村 芳彦
IT サービス事業本部長
吉川 惠章
中東 CRO
廣田 康人
成田 恒一
コーポレート担当役員補佐
兼 総務部長
(株)
シグマクシス代表取締役社長
平野 肇
中原 秀人 **
小野 誠英
コーポレート担当役員
(企画・業務)
北米統括
兼 米国三菱商事会社取締役社長
インド三菱商事会社取締役社長
宮内 孝久
田邊 栄一
産業金融事業本部長
化学品グループ CEO
新産業金融事業グループ CEOオフィス
室長
西浦 完司
寺田 哲郎
中垣 啓一
石油事業本部長
廣本 裕一
非鉄金属本部長
真崎 宇弘
欧阿中東 CIS 統括
兼 欧州三菱商事会社取締役社長
エネルギー事業グループ E&P 担当
小島 信明
坂田 保之
地球環境事業開発部門 CEO
東アジア統括補佐
兼 香港三菱商事会社取締役社長
喜代吉 龍也
汎用化学品第一本部長
水野 正幸
アジア・大洋州統括
兼 ジャカルタ駐在事務所長
水野 和也
(株)
興人代表取締役社長
杉浦 康之
北川 靖彦
米国三菱商事会社 EVP
業務部長
白木 清司
内野 州馬
安野 健二
中南米統括
主計部長
兼 コーポレート担当役員補佐
シンガポール支店長
森山 透
生活産業グループ CEO
占部 利充
水原 秀元
コーポレート担当役員補佐
PT. Krama Yudha Tiga Berlian Motors
President, Director
一寸木 守一
伊勢田 純一
いすゞ事業本部長
天然ガス事業第二本部長
安藤 一郎
浅井 恵一
佐久間 浩
ビジネスサービス部門 CEO
環境・水事業本部長
新エネルギー・電力事業本部 副本部長
宮原 一郎
戸出 巌
開発建設プロジェクト本部長
鉄鋼原料本部長
白地 浩三
三須 和泰
自動車事業本部長
中国生活産業グループ統括
永井 康雄 **
国内統括
兼 関西支社長
松井 俊一
独国三菱商事会社取締役社長
兼 欧阿中東 CIS 統括補佐
尾畑 守伸
繊維本部長
* の執行役員は取締役を兼務しています。
** の執行役員は代表取締役を兼務しています。
107
Mitsubishi Corporation
Annual Report 2011
コーポレートデータ
(2011 年 3 月 31 日現在)
社名:三菱商事株式会社
(証券コード:8058)
連絡先:
創立年月日:1954 年 7 月1 日
三菱商事株式会社 IR 部
(設立年月日:1950 年 4 月1 日)
資本金:203,598,076,906 円
発行済株式総数:1,697,268,271 株
本店所在地:
三菱商事ビルディング
〒100-8086
東京都千代田区丸の内ニ丁目 3 番 1 号
(登記上の住所)
(代表)
電話:03-3210-2121
丸の内パークビルディング
〒100-8086
東京都千代田区丸の内ニ丁目 6 番 1 号
従業員数:
単体:
連結:
5,665 名
58,470 名
独立監査法人:
有限責任監査法人トーマツ
株主数:253,316 名
上場証券取引所:
東京、大阪、名古屋、ロンドン
株主名簿管理人・特別口座管理機関:
三菱 UFJ 信託銀行株式会社
〒137-8081
東京都江東区東砂七丁目 10 番 11 号
三菱 UFJ 信託銀行株式会社 証券代行部
フリーダイヤル:0120-232-711
ADR:
比率:1ADR=2 普通株
上場市場:OTC(店頭取引)
シンボル:MSBHY
CUSIP 番号:606769305
ADR 名簿管理人:
The Bank of New York Mellon
101 Barclay Street,
New York, NY 10286, U.S.A.
電話:
(201)680-6825
フリーダイヤル
(アメリカ内)
:888-269-2377
(888-BNY-ADRS )
URL:http://www.adrbnymellon.com
108
〒100-8086
東京都千代田区丸の内ニ丁目 3 番 1 号
(代表)
電話:03-3210-2121
ホームページ
最新のアニュアルレポート、会社業績、ニュースリリースなどの情
報は投資家向けホームページでご覧いただけます。
URL:http://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/ir/(日本語)
http://www.mitsubishicorp.com/jp/en/ir/(英語)
三菱商事 アニュアルレポート 2011
www.mitsubishicorp.com
Printed in Japan