38 Mitsubishi Corporation Annual Report 2009 新産業金融事業グルー プ 組織 ■ 新産業金融事業グループ CEOオフィス ■ ■ ■ ■ ■ 新産業金融事業グループ コントローラーオフィス 投資金融事業本部 産業金融事業本部 開発建設プロジェクト本部 物流サービス本部 当期純利益(単位:10 億円) 24.2 前列左より 小林 健 常務執行役員 新産業金融事業グループ CEO 後列左より 坂田 保之 執行役員 産業金融事業本部長 武内 英史 7.0 常務執行役員 新産業金融事業グループ COO 兼 投資金融事業本部長 宮原 一郎 執行役員 開発建設プロジェクト本部長 –41.2 佐々木 伸 理事 物流サービス本部長 08.3 実績 09.3 実績 10.3 見通し グループ CEO メッセージ 2009 年 3 月期の活動内容について 式見做し売却益と、2009 年 3 月期に計上した上場株式減損を 当グループは、総合商社が得意とする「モノ」の知見に、 「金 除いた利益を比較すると、374 億円の減益となっています 。こ 融」を結びつけた商社型産業金融ビジネスを展開しています 。 れは、主にファンド投資や不動産関連収益が減少したことによ 主な事業は 、アセットファイナンスや企業のバイアウト投資か るものです 。 ら、リース、不動産(開発・金融)、物流、保険まで多岐にわたっ 2009 年3 月期の主な活動としては、事業基盤の確立に向け、 ています 。幅広い産業界との接点と、事業やモノに対する目利 金融関連ビジネスでは 、投資ファンド運営会社・丸の内キャピ き・知見を活かした金融ビジネスの展開力が、金融機関にはな タルの設立や、三菱 UFJリー スに対する増資引き受け、そして い当社の強みです 。 航空機リー ス事業をグロー バルかつ機動的に推進するための 当グル ープの事業は 、金融市場の みならず 、不動産市場や M C アビエ ーション・パ ートナ ー ズの設立を行いました 。また 物流の実体経済と密接な関係にあり、2008 年秋以降の金融・ 米国 Aladdin Capital Holdings へ の出資 、アント・キャピタル・ 経済危機による市況の急速な悪化の影響を大きく受けること パートナーズ (旧日興アントファクトリー ) や、英国ヘッジファン となりました 。その結果 、2009 年 3 月期の当期純利益は 412 ドの Capula Investment Management へ資本参加することで 、 億円の損失となり、2008 年 3 月期と比較して 654 億円の減少 当社がアセットマネジメントビジネスを展開する上での戦略的 となりました 。2008 年 3 月期に発生した三菱 UFJリー スの株 なパートナーシップを国内外に広げました 。不動産関連ビジネ Mitsubishi Corporation Annual Report 2009 スでは、当社の商業施設の開発・運営機能を活かし、不動産価値 ル マネジメントとともにバミューダにて保険ファンド専門の運 の再生を行うバリューアップ事業の第 1 号案件として、大阪の商 用会社ペンテリア ダイヤモンド キャピタル マネジメントを設 業施設「イーマ」を取得し、内装工事やテナントの入れ替えを図 立し、日本企業としては初めて本格的に保険ファンド事業に参 り、リニューアルオープンによる商業施設の再生を行いました。 入しました 。また、丸の内キャピタルでは、第 1 号案件としてタ カラトミー へ出資を行いました 。不動産関連ビジネスでは 、 今後の見通しと『 INNOVATION 2009 』について 2009 年春には、名古屋において、イオングループと共同し、新 金融市場や実体経済の混乱も 2010 年 3 月期に入って徐々に しい都市型ショッピングセンター「 mozo wondercity 」を開業 安定化の兆しが見られますが、市況の本格的回復までには、し させるなど、当社の持つ機能を発揮し、着実に実績を積み上げ ばらく時間を要するものと考えています 。 ています 。 こうした環境の中、2010 年 3 月期は 、当グル ープは保有資 2010 年 3 月期については、このような活動を通じ、またファ 産価値の維持・向上を図りながら 、金融・経済危機回復後の事 ンドや不動産関連分野の当期の損失の反動を見込み 、70 億円 業環境を見据え、それぞれの事業の足場固めと機能の強化・高 の当期純利益を計画しています 。 度化を行っていきます 。特に、不動産ビジネスにおいては、当 グループが保有する不動産開発・運営、金融、物流の機能を一 層融合させ 、高度化を図ることにより、当社の強みを活かした、 有機的なバリュー チェーンの構築を目指していきます 。 2009 年 4 月以降の主なトピックとしては、金融関連ビジネス 常務執行役員 新産業金融事業グループ CEO 小林 健 では、金融機能と保険機能とを融合させ 、ペンテリア キャピタ 事業を通じた社会・環境貢献 人と環境に配慮した mozo wondercity ターの敷地内で植樹祭を行い、約 2,500 名の地域の皆さまと 当社とイオンモ ー ルが共同で取り組んできた名古屋の ともに、地域に適した樹木を中心に約2 万本の苗木を植樹しま ショッピングセンター「 mozo wondercity( モゾ ワンダーシ した。こうした活動を通じて、ショッピングセンターを緑あふれ ティ)」が、2009 年 4 月 21 日にグランドオープンしました 。 る憩いの場とすべく努めています。 このショッピングセンターでは、 「 人と環境に配慮した SC 」 をスローガンとして掲げることにより、ユニバ ー サルデザ インの導入など、さまざまな施策を実施しています 。 大きな特長としては、高効率冷凍機(インバーターターボ 冷凍機) や電力会社が推奨する氷蓄熱空調システムを導入す ることにより、年間約 1,975トンの CO2 削減と電力の平準化を 実現したことがあげられます。そのほか、建物の外壁には合 計約 1,700m2 に及ぶ壁面緑化を実施し、緑化によるCO2 削減 や、外壁に緑の潤いを与えることによる、建物の圧迫感軽減 を図っています。また、2009 年 3 月には、ショッピングセン 人と環境に配慮したショッピングセンター mozo wondercity(モゾ ワンダーシティ) 39 40 Mitsubishi Corporation Annual Report 2009 新産業金融事業グルー プ 投資金融事業本部 ■ 投資ユニット ■ プライベートエクイティ投資ユニット 当本部では、国内外の金融市場を巡るさ まざまな環境変化の中、総合商社ならでは *1 各種金融商品の仕入から販売までを手掛け、これ らを仲介することにより顧客・投資家ニーズに応 える事業 *2 既存企業に出資し、経営をサポートすることで、企 業価値向上を通じてリターンを得る投資事業 *3 国債、社債、地方債などの金利関連商品に生じる、 価格の歪みを利用してリターンを得る投資分野 *4 機関投資家などから委託を受け、未公開株式など を取得し、経営をサポートする内外のファンドを選 別し、投資モニタリングを行う事業 宅・物流施設などを対象とした不動産私募 ファンドを組成・運用しています。 リース事業分野では、2008 年8 月にトル コの大手自動車リース会社 Ekim Turizm Ticaret Ve Sanayi A.S.(ブランド名Intercity) に対し、当社と三菱 U FJリースで共同して 合計 45% の出資をしました。また、国内 の多様な産業界との接点と、グローバルな オートリース事業再編の一環として、当社 ネットワークやノウハウを活かし、金融仲 と三菱 U FJリースの合弁企業である三菱 介・投資事業を展開しています。アセットマ オートリースが、三菱 UFJリースの 100% ネジメント事業*1 およびバイアウト投資事 子会社であるセントラルオートリースと事 業*2 を中心に、さまざまな顧客・投資家の 業統合しました。 ニーズに応えています。 エアライン分野では、これまで当社本体 アセットマネジメント事業においては、 2008 年 5 月にクレジット関連商品を専門と 丸の内キャピタルは、総額1, 000 億円のファンドを組成 して、主に国内企業への投資を行っています。 で展開してきた航空機リース事業と関連 サービス事業を営む子会社とを集約し、 する米国 Aladdin Capital Holdings へ出資 2008 年 8 月にMCアビエーション・パート (19.5% ) したのに続き、2008 年 10 月には ナーズを設立しました。同社は、資産残高 債券アービトラージ分野*3に強みを持つ英 産業金融事業本部 国の有力ヘッジファンド運用会社 Capula Investment Managementと資本提携を行 い、同社持分の 5%を取得しました。 バイアウト投資事業においては、三菱UFJ フィナンシャルグループと共同で、投資ファ ンド運営会社である丸の内キャピタルを 2008 年4 月に設立しました。同社はその第 1 号 案 件 として、2009 年 5 月にタカラト ミーと戦略的資本・事業提携を結び、丸の 内キャピタルの組成する投資ファンドがタ カラトミーに対し、約 15% 出資することと なりました。また、2008 年11 月には、アン ト・キャピタル・パートナーズ (旧日興アント ファクトリー) への出資を行いました。2009 年 2 月には、当社の子会社でプライベート エクイ ティファンド のゲート キーパー 事 業*4 を行っているエー・アイ・キャピタル が 、三井住友銀行と資本・業務提携を結 び、資産運用ビジネスの強化・発展に取り 組んでいます。 約 2,000 億円、保有・管理機数 100 機以上 の国内最大規模を誇る航空機専業リース会 ■ 金融企画ユニット ■ 不動産・事業金融ユニット 社です。 ■ リース事業ユニット 再保険金融分野では、業界優良プレイ ■ エアラインビジネスユニット ヤーであるペンテリア キャピタル マネジ 当本部は、グローバルな構造変化から生 じるさまざまな金融ニーズをビジネス機会 と捉え、 「モノ」 「サービス」への知見と、ア セットマネジメント、ファイナンスのノウハ ウを組み合せた商社型産業金融事業の創 メントとともに保険ファンド専門の運用会社 ペンテリア ダイヤモンド キャピタル マネ ジメントを設立しました。日本企業としては 初めて、人員派遣・経営参画まで踏み込ん で本格的に事業参入することになります。 出・拡大を目指しています。 不 動 産 金 融 分 野 では、三 菱 商 事・ ユービーエス・リアルティが、商業施設特化 型REITとしては業界トップの資産残高を保 有する日本リテールファンド投資法人と、物 流施設・インフラ施設などの幅広い産業用 不動産を保有する産業ファンド投資法人の、 二つのREITを運用しています。また、当社 100% 子会社であるダイヤモンド・リアル ティ・マネジメントでは、商業施設・賃貸住 MCアビエーション・パートナーズを設立し、航空機 リース事業を集約しました。 Mitsubishi Corporation Annual Report 2009 よび運営事業を通じて蓄積してきた、当社 物流事業では、三菱商事ロジスティクス 独自のノウハウや知見を最大限に活用し、 を中核に、アパレルなどの生活財や自動車・ テナントの入れ替えや建物・設備の更新な 化学品の工業財分野などの部品・製品物流 どに取り組んでいます。また、名古屋では において、最適な物流スキームの立案なら ■ 建設・設備ユニット イオンモールと共 同して旧「ワンダーシ びにオペレーションを実行することで、顧 ■ 海外不動産ユニット ティー 」を建て替え、新たなショッピングセ 客満足度の向上に努めています。 当本部は、商業施設・住宅・オフィス・医 ンターとして「 mozo wondercity 」を2009 不定期船事業では、石炭、穀物などの原 療施設・複合施設など、国内外の多様な不 年 4 月に開業させました。 料輸送において当社商流との連携を強化 開発建設プロジェクト本部 ■ 不動産開発事業ユニット ■ 都市・住宅開発ユニット 動産を対象とした開発機能に金融の観点を し、専用船事業や専航船(特定航路を運航) 付加し、開発から流動化まで一貫したバ 事業を通じて、日本への原料の安定供給に リューチェーンを構築しています。都市再 貢献しています。 生および不動産ディベロッパー分野のイノ 保険事業では、主に子会社を通じて各種 ベーターとして、バリューチェーンのさら 事業を展開しています。NEW CENTURY なる強化・高度化を図っていきます。 INSURANCEではキャプティブ再保険事 業を推進しています。また、エム・シーイン 不動産開発分野では 、三菱商事都市開 発とともに都市型商業施設をはじめとす 大阪の商業施設「イーマ」は、当社のバリューアップ事 業の第 1 号案件です。 シュアランスセンター は、総合リスクコン る不動産の開発・運営事業の推進に取り組 サルタントとして、法人・個人向けの保険ソ むほか、不動産証券化事業などを推進して リューションを提供しています。さらに保険 います。 都市・住宅開発分野では、従来からの住宅 物流サービス本部 ファンドのエオリア・ダイヤモンドでは、企 業が抱える自然災害などのリスクヘッジ ニーズと新たな投資ニーズを橋渡しする役 分譲事業に加え、収益不動産の投資・運営 ■ リスクエンジニアリングユニット や、短期売却型のオフィス開発、不動産企 ■ 物流事業ユニット 目を担い、機関投資家のみならず企業や保 画・コンサルティングにも注力しています。 ■ 不定期船事業ユニット ■ ターミナル事業ユニット 険会社からも注目されています。 建設・設備分野では、新聞印刷工場の建 設工事や設備納入のほか、PFI 事業・医療ソ リューションビジネス、大規模複合施設の 企画・設計、さらに東京電力との合弁会社 である日本ファシリティ・ソリューションとの 連携により、ESCO(省エネ)事業などを推 進しています。 海外では、主に米国の子会社DIAMOND R EALTY I NVESTM E NTSを通じて、ア パート・物流施設などへの投資を行ってい ます。 2009 年 3 月期においては、大阪梅田の 既 存 商 業 施 設「イーマ」を 取 得 し、リ ニューアルオープンを行いました。本件で は、30 年以上にわたる商業施設の開発お そのほか、物流業界を対象としたアセッ 当本部は、長年蓄積してきた物流・保険 トファイナンス事業や外航船舶の保有・運 業務におけるノウハウと、当社グループの 航事業、船腹仲介業、リスクコンサルティン 商流と一体となって構築した拠点網による グ、貿易保険業務なども提供しています。 物流事業・保険事業が強みです。物流現場 で培った知見に、金融ノウハウをからめた 付加価値の高いサービスを展開していま す。また、当グループ内他本部と連携し、 物流施設を含む産業不動産への投資を行う J-REIT の産業ファンド投資法人や、2009 年新たに立ち上げた日本企業初の保険ファ ンドのエオリア・ダイヤモンドの運用にも取 り組んでいます。 Mitsubishi Corporation LT( Thailand )は、海外物流の 重要拠点として、タイにおける自動車関連の物流事業 を展開しています。 41
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