生活産業グループ - Mitsubishi Corporation

生活産業グループ
前列
矢野 雅英
常務執行役員
生活産業グループ CEO
後列左より
尾川 勝也
理事
繊維本部長
加賀 道夫
執行役員
資材本部長
成田 恒一
執行役員
食品本部長
垣内 威彦
農水産本部長
組織
組織改編(2008 年 4 月 1日付)
生活産業グループ CEOオフィス
生活産業グループコントローラーオフィス
生活産業グループ監査室
■ 旧食糧本部に食品本部の生鮮品関連商権を移
管、生鮮三品(水産品・青果物・食肉)
を集約の
に呼称変更しました。
上、
『農水産本部』
リテイル事業ユニット
『繊維本部』
『 資材本
■ 旧ライフスタイル本部を
部』
に再編しました。
農水産本部
繊維本部
食品本部
資材本部
• 農産ユニット • 穀物ユニット • 水産ユニット
• 糖質ユニット • 油脂ユニット • 飼料畜産ユニット
• 食品事業ユニット • 飲料原料ユニット
• 酪農食品ユニット • 食品第一ユニット
• 食品第二ユニット
•ブランド・アパレルユニット •S.P.A. 第一ユニット
•S.P.A. 第二ユニット •S.P.A. 機能材ユニット
当期純利益
(単位:10 億円)
60
48.3
51.0
50.0
08.3実績
09.3見通し
45
30
15
• 生活資材ユニット • 紙・パッケージングユニット
• 住宅資材ユニット
0
07.3実績
グループ CEOメッセージ
2008 年 3 月期実績について
2008 年3 月期は、商品市況の上昇やサブプライム・ローン問題
益を果たしました。
により、日本の景気に減速懸念が出てきました。また、安心・安全・
また、当期は、アメリカの穀物集荷販売会社であるFGDIを子会
環境保護への意識の高まりから、企業の社会的責任を問われる問
社化して食料の調達力を強化したのに加え、日本農産工業・日東
題が相次いで発生するなど、消費市場は目まぐるしい環境変化に
富士製粉・日本食品化工の原料加工メーカー 3 社、および日本ケン
直面しました。そのような状況下、当グループは衣食住の分野にお
タッキー・フライド・チキンを子会社化することにより、調達から加
いて、消費者が望む安全な商品・サービスを安定的に調達・提供で
工、リテイルに至る食料バリューチェーンをさらに強固なものとしま
きる仕組みづくりに継続して取り組んできました。
した。また、衣料品や紙・包装資材、建設用資材分野においては、
当期純利益は、食料関連取引の好調、および資材関連会社への
中核子会社の機能強化により業容の拡大を図りました。
持分法適用の影響などにより510 億円となり、前期比27 億円の増
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Mitsubishi Corporation Annual Report 2008
グループ戦略および 2009 年 3 月期業績見通しについて
BRICsを中心とする新興市場の経済発展により、食料、森林資
拡大や、顧客の多様なニーズに柔軟に対応した流通・サービス機
源などの一次産品の世界的な需給バランスが大きく変化してきて
能の拡充により、収益基盤を一層強化します。また、成長が見込め
います。また、バイオ燃料の需要増加や投機的資金の流入もあり、
る海外市場においても、地域の特性や消費者のニーズに応じた事
穀物市況が高騰しています。一方、主要な対面市場である国内で
業展開を積極的に進めていきます。
は、安心・安全・環境保護などに対する消費者の関心がさらに高ま
2009 年 3 月期連結純利益につきましては、食料関連取引で利
るとともに、食料資源の確保という命題にも直面しています。
益増が見込まれるものの、事業拡大に伴う経費負担増などにより、
当グループでは、こうした環境変化に柔軟かつ迅速に対応すべ
前期比ほぼ横ばいの 500 億円となる見通しです。
く、2008 年 4 月に、食糧本部と食品本部を一部組み替えるととも
にライフスタイル本部を再編し、従来の3 本部から、農水産・食品・
繊維・資材という4 本部に再編成しました。これにGCEO 直轄のリ
テイル事業ユニットを加えた5 つの事業戦略単位で、グループを経
常務執行役員
営していきます。
生活産業グループ CEO
当グループの強みは 、バリューチェーンの川上から川下に至
矢野 雅英
るバランスのよい事業展開ですが、2009 年3 月期においては、
バリューチェーンの起点である一次産品の調達能力のさらなる
注力事業紹介 ―コーヒー事業―
日本は、アメリカ、ドイツに次ぐ世界第
は、川上分野である世界中のコーヒー生
また、2008 年 1 月にはアートコーヒー
三位のコーヒー輸入国です。レギュラー、
産国に張り巡らせた強固なネットワーク
をグループ化して 、川中分野である焙煎
インスタント、缶、チルドと飲料形態も多様
で す。ブラジ ルには生 豆 輸 出 業 者 MC
事業にも進出し、バリューチェーン強化に
であり、今後とも消費は拡大する見込み
Coffee Do Brasil(100% 子会社)を持
取り組んでいます。加えて、中国、マレー
です。当社では、
「安心・安全」かつ「おい
つなど、コーヒー生豆の日本の輸入シェア
シアにもコーヒー加工拠点を構え、拡大
しい」コーヒーを消費者に安定的に届ける
の約 20%を誇る輸入業者として 、日本の
が見込めるアジア市場への対応も進めて
ことが使命と考えています。
お客さまのきめ細かいニーズに対応して
います。
当社のコーヒービジネスの最大の強み
います。
コーヒー生豆
MC Coffee Do Brasil のブラジル工場
アートコーヒーの山梨工場
Mitsubishi Corporation Annual Report 2008
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の拡大を推進して安定供給の確保に努めて
やイギリス有数の食品メーカーである子会
いきます。また、引き続き成長が見込まれる
社プリンセスが進めている、効率的な流通
穀物・青果物・水産物・畜産物などを取り
アジア市場に対しても積極的に取り組んで
チャネルの拡充・整備を引き続きサポートし
扱い、原料調達から加工・流通までを中心
いきます。
ていく方針です。
農水産本部
にバリューチェーンを展開しています。
2008 年3 月期は、小麦などの穀物をはじ
めとした食料価格の高騰が注目される中、
当本部は、主に原料の生産・集荷の現場か
ら輸送・加工・製品の流通までを一貫して管
理するバリューチェーンの強化を推し進めて
きました。2007 年6 月にアメリカの穀物集
荷販売会社のFGDIを子会社化し、米国穀物
集荷・輸入事業の拡大に取り組んできまし
た。国内では、2007 年 4 月に米久の株式
を追加取得して筆頭株主となり、同年6 月に
は日東富士製粉・日本食品化工・日本農産
工業という小麦粉・澱粉・飼料メーカーの三
社を公開買付によって子会社化し、原料加
工分野の事業基盤の強化を進めました。
今後も国内外におけるバリューチェーンを
さらに太く強くする戦略のもと、国内ではグ
ループ企業の連結経営体制の拡充を図り、
加工事業を一層強化する一方、世界的な食
料需給の逼迫が続くと予想される中、アメリ
カなど主要産地での調達力の強化と調達先
FGDI
穀物の一大輸出国であるアメリカにおいて、穀物
集荷販売会社であるFGDIへの出資比率を75%に
高め、穀物集荷機能を強化しました。
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Mitsubishi Corporation Annual Report 2008
食品本部
食品原料の調達から製品販売まで、国内外
に幅広いネットワークを構築し、消費者の
多様なニーズに対応しています。
2008 年 3 月期の食品業界は、少子高齢
化による国内需要の縮小、世界的な需要急
拡大による原材料の高騰といった厳しい環
キリンMCダノンウォーターズ
フランス・ダノングループとユニセフが共同で推進
している「 Volvic 1ℓ for 10ℓ」プログラムを通じ、
マリ共和国での清潔で安全な水の供給活動を支援
しています。
境にありましたが、乳製品や水産関連取引
を中心に当本部の業績は好調に推移しまし
た。また、コーヒー焙煎・販売会社である
アートコーヒーをグループ化するなど加工機
繊維本部
能の強化などの施策も着実に実行しました。
衣類など身の回りの生活関連商品をはじ
今後も、需給バランスの変化、安全・安
め 、原料・素材、高機能材まで国内外の幅
心への対応に加え、消費者の環境問題に対
広い商品と総合的なサービスをお客さまに
する関心の高まりなど、業界環境は引き続
提供しています。
き大きく変化していく局面にあります。当本
当本部は衣類、靴、家具、雑貨などの生
部は、このような状況に的確に対応し、お
活関連分野の商品をはじめ、
「繊維」を切
客さまの 多 様なニ ー ズ に 応えつ つ 、バ
り口に綿・糸・織物などの原料・素材から、
リューチェーンを強化し、持続的成長を図
光ファイバーなどの高機能材までを取り扱
ります。特に需給の逼迫が予想される海外
う本部として 、柔軟で 、かつスピード感を
からの食品原料の調達については、コー
もって業界動向に対応できる組織を目指し
ヒー・ココア・果汁・酪農品といった商品の
ていきます。
供給先を拡げるとともに、既存の調達拠点
2008 年 3 月期は天候不順、原材料価格
との関係強化を進めることにより、安定的
の高騰、チャイナリスクの高まりなど市場の
かつ持続的な原料確保を目指します。ま
環境変化は目まぐるしく、国内の繊維業界
た、国内外の消費市場においては、菱食や
は全般的に苦戦を強いられた一年でした。
明治屋商事などの国内食品卸関連子会社
このような状況の中、当本部は柱である
OEM 事業を中心に、お客さまに対するブラ
ンド・新規事業提案や海外事業支援などを
資材本部
商品の紙・セメント・タイヤの世界需要は年
率 2∼4% の成長率で伸長する見通しであ
含む総合的なサポートを通じ、顧客満足度
製紙原料、セメント、木材などの川上の原
り、中長期的には事業を拡大していく十分
の向上に努めました。
料・素材から生活に身近な川下の各種製品
なチャンスがあります。
今後とも、アパレル分野についてはOEM
に至る幅広いバリューチェーンを構築して
かかる事業環境のもと、中核ビジネスの
機能のさらなる進化で国内外市場へ優れた
います。
徹底強化、事業投資先の企業価値向上、人
商品を供給していくとともに、環境関連製
当本部は、チップ・植林・パルプといった
材の育成・活用、新規ビジネスの開拓など
品、光通信素材などの高機能材分野では、
製紙原料、各種紙・包装製品を取り扱う紙
の各種施策を着実に実行することにより、
引き続き、海外の成長市場での事業拡大を
関連事業、セメント、シリカサンド、カオリ
持続的成長を達成していくことを目指して
積極的に推進していきます。
ン、木材・建材などを取り扱う住宅資材関
いきます。
連事業、タイヤ・ゴム工業資材などを取り扱
う生活資材関連事業をコアビジネスとして
います。
2008 年 3 月期は、各事業分野における
堅調な市況に支えられ、当初計画を上回る
収益をあげることができました。また、アメ
リカのセメント事業への追加投資を決定す
三菱商事アパレル展
企画情報発信の場として展示会を開催し、多数の
お客さまに好評をいただいています。今後もさら
なる進化と内容の充実に努めていきます。
リテイル事業ユニット
環境には厳しい面もありますが、主要取扱
アルパック フォレスト プロダクツ
同社はカナダにおいて持続可能な森林管理で地域
社会と共存するパルプ事業を展開する子会社で、
2007 年秋には、カナダの出版社が発表する「働き
やすい職場ベスト100」に選出されました。
残りを賭けた企業間の合従連衡が進行して
イル分野でのプラットフォームを一層強化し
いくなど、今後の変化のスピードはますます
ていく戦略を展開していきます。
るなど、将来への布石も打ちました。
今後は、原燃料費の高騰や円高など事業
小売・外食といったリテイル事業に投資し、
加速すると考えられます。
原材料の調達から経営や店舗開発に至るま
2008 年 3 月期は、消費動向や環境変化
での各種支援を行い、各投資先の企業価値
に対応したマーケティング施策が功を奏し、
向上をサポートしています。
ローソン、ライフコーポレーション、日本ケ
主要な対面市場である国内では、少子高
ンタッキー・フライド・チキンという主要関連
齢化に伴って消費の量的成長が鈍化する一
会社の業績は順調に推移しました。
方、多様化・分散化によってその質も大きく
今後も事業環境が大きく変化すると予測
変化しています。また、原材料価格の高騰
されますが、引き続き原材料調達・商品開
や店舗運営コストの上昇など、リテイル事業
発・店舗開発・物流・IT・マーケティングな
を取り巻く環境は厳しさを増しており、生き
どの幅広い機能を提供することにより、リテ
日本ケンタッキー・フライド・チキン
2007 年 12 月に日本ケンタッキー・フライド・チキ
ンの公開買付を行い、子会社化(議決権所有割合
しました。
65.39% )
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