NIC News Letter Volume11 Issue9 ネバダ・カリフォルニア大学国際教育機構 Japan( NIC) November, 2004 PUBLICATION OF NEVADA-CALIFORNIA INTERNATIONAL CONSORTIUM OF UNIVERSITIES AND COLLEGES (NIC), JAPAN 5-9-16 Shinjuku, Shinjuku-ku, Tokyo 160-0022 Japan Tel: 03-5379-5551 Fax: 03-5379-5550 http://www.nicuc.ac.jp e-mail: [email protected] 今月の提言:廣田和子(米国 TOEFL 理事会理事) ∼ 子供達の学力低下に対する今後を考える ∼ ここ数年、様々な形で行われている教育改革ですが、先日行われた教育意識調査では、8割以上の高校教員が 生徒の学力の大幅な低下を実感しているとのことです。同時に、進学校では受験勉強が熱心に行われる一方で、一 般校では「 学ぶ意義」を見出せない生徒の増加により授業が成り立たず、学校間のレベルの格差がますます広がっ ています。そんな学力低下と学校間格差が、教育者の間でも次第に問題視されるようになってきています。 この2つの問題の両方に通じることは、「何のために学ぶのか?」ということを教育者から生徒に伝えられていないと いう点です。進学校で行われている受験勉強にしても、入学試験突破だけを目的にしたものに他ならず、学びの本 質とはかけ離れたものであることは、私が言うまでもなく多くの人が実体験として持たれていると思います。いくら詰め 込み教育を行っても、普段の生活を通した自らの実体験が無いため、それを応用した学びには到達できません。朝 から晩まで同じ事の繰り返しを要求される生徒達は、自分で考えることをストップしてしまいます。しかもその学びに楽 しさが欠けているのですから、生徒達の学びに対する意識が離れてしまうのも当然です。日本の大学生の勉強時間 が世界中でも特に低いという結果にも、結局は繋がっているのだと思います。 そういえば最近、ベネッセが面白い調査結果を発表していました。日中韓の英語力を比較調査したものなのです が、韓国の高校生の方が日本の高校生よりも自分の英語力に自信があることが分かったそうです。しかも英語のレベ ルに関係なくです。その理由の一つとして、読んだり聞いたりした内容について自分の考えを書くことに重点を置くこ とで知識を思考に変え、学ぶことに関心を持たせていることが指摘されています。日本では適切な文法や単語を覚 えることに重点が置かれるため、そこに思考が入ってこないのです。欧米でも「読み」=インプットだけではなく、「読 み」は70%で、あとの30%を自分の考えを「書き」「話す」=アウトプットに重点を置いています。人は誰でも、自分の 意見や考えを聞いてもらいたいと思っています。アウトプットのない授業に生徒が面白みを感じないのは自然なこと なのです。学問とは思考であり、探求です。その2つが酵素となってインプットされた知識を消化し、対話を通してアウ トプットすることで昇華し、知恵となり、自信となるのです。これら一連の動作が伴わない教育では、学生達が自信を 得ることもできません。 哲学者フランシス・ベーコンも「読むことは人を豊かにし、書くことは人を確かにし、話すことは人を機敏にする」と 言っています。「読み・ 書き・ 話す」 すべてを学びに取り入れなければ、生徒達は成長しません。私はただ単純に詰め 込み教育を批判はしません。インプットはおろそかには出来ません。知識がなくては、深い思考は不可能だからです。 でもインプットだけでアウトプットがないのであれば、生徒達は消化不良を起こしてしまいます。インプットの量を増や すのと同時に、アウトプットにも重点を置くこと。これこそ、日本の教育現場に求められているものだと思います。 廣田和子(ひろた かずこ) 千葉県出身、教育学博士 高校卒業後、ロータリーインターナショナル特別奨学生として米国ミズーリ州オザークス大学へ留学。卒業後、米国にて青少年カウンセリ ング業務に従事。1988 年、ネバダ州立大学インターナショナル・ディビジョン・イン・ジャパン開設にともない常任理事就任、学生カウンセリ ングを担当。1994年、ネバダ・カリフォルニア大学国際教育機構 Japan常任理事、2003 年、同機構代表に就任。 1997年、文部科学省大臣 官房所轄・財団法人国際教育協会常務理事に就任。2000 年、ハーバード大学教育学大学院MLE課程修了。 2001 年、米国 TOEFL 理 事会理事に就任。約 20 年間、国際教育に携わり、5500 人以上の留学生を送り出す。現在、全国の中・ 高校生、及び教師を対象に国際教 育と英語教育のための啓蒙活動を展開中。 著書:「アメリカの教育」 (論文)、「若老女男大志抱ケ」 (新晃社)、「香里−18歳の天使」(草思社) など。 受賞: 国際教育への貢献に対し「ネバダ州立大学学長賞」 (1992年)、「アメリカ合衆国上院議員賞」(1997 年)、「ネバダ州知事賞」 ( 1998 年)など。 2 NIC News Letter 11 月 <ネバダ・カリフォルニア大学国際教育機構 Japan(NIC)> 廣田和子講演会報告 10 月、廣田代表が行った英語教育・国際教育講演会『英語学習のススメ ∼Keep on Dreaming ∼』についてご報告 いたします。 10 月 20 日(水) 奈良県立西大和学園高等学校 <対象:1年生、2年生、教員 計約 720 名> 台風 22 号が上陸した日でしたが、校長先生を初め先生方も多数参加して頂き、熱 気を帯びた講演会となりました。また、奈良新聞から取材も入り、翌日には『英語を 学んで日本を知ろう』とのタイトルで記事となりました。 10 月 21 日(木) 岐阜県立加茂高等学校 <対象:国際コースの全生徒、教職員、保護者 計約 100 名> 校長先生他多数の先生方と、保護者の参加もありました。皆さん熱心でメモをとる 姿も見られ、英語の先生からも質問が出たり盛況なうちに終了しました。また講演 が終了すると、代表生徒から講演の感想と感謝を表す言葉があり、とても感動的で した。岐阜と奈良での初めての講演会で、しかも連日での開催でしたが、生徒達へ 夢を叶えることの素晴らしさを伝えることができ、成功裏に終わりました。 10 月 28 日(水) 宮城県立富谷高等学校 <対象: 全校生徒、全教員、保護者 計約 1,000 名> 講演の中では、実際に廣田代表が壇上から降りてきて学生に将来の夢につ いて直接質問する場面もあり、インタラクティブな内容で講演は進みました。学 生が手を挙げて英語の勉強法について質問したり、廣田代表が講演の中で 話された「 自分の思いを勇気を出して言葉にする大切さ」を聞き、感極まった 女子生徒が目を潤ませたりするなど、生徒達の心に深く残った講演会となりま した。校長先生も今まで実施した講演会の中で一番素晴らしい内容だったとと ても感動されていました。 11 月は、以下の高校で講演を予定しております。 11 月 9 日(火) 鹿児島県立松陽高等学校 <全校生徒、全教員、保護者、地域 計約 1,200 名> 11 月 15 日(月) 愛知県滝高校 <高校 1 年生、保護者 計約 400 名> 11 月 19 日(金) 徳島県立富岡東高等学校 <高校 1・2 年生、教職員、計約 550 名> NIC News Letter 11 月 <ネバダ・カリフォルニア大学国際教育機構 Japan(NIC)> (続き) <キャンパス情報> NIC 在校生の濱本福代(第 17 期生)さん、夏休みのフィリピンでのボランティア・レポート NIC 在校生の濱本福代さん(第 17 期生:都立小平高等学校出身) は、夏休みにフィリピンでボランティア活動をし、そのレポートを NIC 同 窓会サイトで公開中です。 (一部抜粋) 第二次世界大戦中に日本とフィリピンとの間に起きた事柄を直に聞か せて頂く機会がありました。普段から広島や長崎など原爆投下の被害 側からの視点に慣れてしまっている私には、日本軍の行為はあまりにも 酷く、非人道的で言葉を失ってしまいました。しきりに出てくる ”war is over”という彼女の言葉に涙があふれ、今を生 きる一人の人間として自分には何ができるのだろう、と深く考えるきっかけをこの旅は与えてくれたのです。 過去に積み上げられた歴史を消すことはできない。だけれどもそれから学び、前進することが出来るのが人だと、私 は信じます。NI Cでの残りの生活を通し、どこまで自己実現できるのか。この濃い一年の中で変化を遂げる私達に、 可能性はどこまでも広がるように思えます。 * 濱本福代さんの「 夏休みフィリピン・ボランティア・ レポート」 http://kyouhokai.com/report/hamamoto-fukuyo.htm NI C生、ハロウィンパーティーにも全力投球! 10 月 29 日(金)、NI C校舎にて毎年恒例のハロウィンパーティーが開催 されました。学生はもちろんのこと、教職員も仮装し授業を行い、一日を過 ごしました。 仮装した学生たちの姿は十人十色。メイドや赤ちゃんからフランケンシュ タインやスーパーマンに扮した先生まで様々で、お互いの顔を確認するの がやっとといった場面も。中には手作りで衣装を準備した学生も・・・。 パーティーの合間には在校生が作詞・作曲を手掛けたイヤーソングを披 露。代表して歌っていた学生達の歌声に自然と周りが呼応して合唱になり、 NI C生の絆の強さを物語っていました。パーティーの締めくくりには仮装大 賞の発表。1 位に輝いたのは、志村けんの「バカ殿」に扮した女子学生。な りきり度も大賞並みで、学生で埋め尽くされた部屋の中でも終始周りの笑い を誘っておりました。 3 4 NIC News Letter 11 月 <ネバダ・カリフォルニア大学国際教育機構 Japan(NIC)> (続き) <イベント情報(ご取材可能。次ページの担当者までご一報ください。)> ● 平日の個別相談会 毎週月∼金曜日 ご希望の時間 場所: NI C新宿校舎 東京都新宿区新宿 5-9-16 ● オープンキャンパス 無料英語講習会+海外進学ガイダンス 11月7日( 日)・11月27日(土) 無料英語講習会では、一クラス 15 人程度の少人数で、『Note-taking & Discussion』、『 Reading・ Writing & Discussion』の授業を行います。すべて英語で行われるNICの授業を体験したい方、現在の英語力に自身の ない方など、総合的な英語力を高めたい方に、特にお薦めします。普段の英語の勉強とは全く異なるNIC の 英語教育を、肌で感じてください。 10:00∼11:00 Note-taking & Discussion 11:00∼11:30 Campus tour 11:40∼12:50 Reading, Writing & Discussion 13:00∼13:45 Luncheon Party 14:00∼17:00 海外進学ガイダンス進学ガイダンス今回は通常の海外進学ガイダンスに加えて、イングラの大学 場所: NI C新宿校舎 東京都新宿区新宿 5-9-16 ● 全国での海外進学ガイダンス (年内最後の地方ガイダンスです。ぜひご参加下さい) 11 月 20 日(土) 広島: 広島東急イン 14:00∼17:00 11 月 20 日(土) 名古屋: 名鉄グランドホテル 14:00∼17:00 11 月 21 日(日) 長野: ホテルメトロポリタン長野 13:00∼16:00 11 月 21 日(日) 福岡: ホテルクリオコート博多 13:00∼16:00 11 月 21 日(日) 大阪: 大阪東急ホテル 13:00∼16:00 11 月 23 日(祝) 札幌: 札幌アスペンホテル 13:00∼16:00 11 月 23 日(祝) 静岡: ホテルセンチュリー静岡 13:00∼16:00 11 月 27 日(土) 仙台: ホテルJALシティ仙台 14:00∼17:00 NIC News Letter 11 月 <NIC 姉妹校 レイクランド大学ジャパン・キャンパス> <キャンパス情報> LCJ 8 期生の金木宏心さん、慶応義塾ニューヨーク学院高等部で先生に レイクランド大学ジャパン・ キャンパス8 期生の金木宏心さん(福島県立福島高校出身)が、今年9 月よりニューヨーク にある慶応義塾ニューヨーク学 院高等部(Keio Academy of New York)で数学担当教員および学生寮のスーパーバ イザーとして就職しました。金木さんはジャパン・ キャンパスを卒業後、レイクランド大学本校で数学中等教育教職課 程へ進み、アメリカでの教職資格を取得。卒業後はレイクランド大学本校で1 年間のインターンシップを行い、念願で あった教職に就きました。 LCJ 8 期生の西村大樹さん、東京大学大学院へ進学 レイクランド大学ジャパン・ キャンパス8 期生の西村大樹さん(東京都巣鴨高校出身)が今年4 月より東京大学国際環 境協力コース修士課程へ進学しました。西村さんはジャパン・ キャンパス卒業後、カリフォルニア州のサンフランシス コ大学( University of San Francisco)3 年次へ編入しましたが、専攻分野を国際環境学に変更するためカリフォルニア 大学アーバイン(University of California Irvine)へ再編入。同大学を卒業し、より専門的に国際環境を学ぶために日 本に戻り、東京大学大学院へと進学しました。 <イベント情報(ご取材可能。下記の担当者までご一報ください。)> ● 東京での進学相談会( 在校生も参加) 11 月 7 日( 日) 13:00∼15:30 11 月 21 日(日) 13:00∼15:30 場所: レイクランド大学ジャパン・キャンパス 東京都新宿区新宿 6-27-45 Tel: 03-5285-5571 ● オープンハウス(体験授業) オープンハウスでは英語研修で行っているListening / Speaking, Reading, Writing の体験授業と在校生との 質疑応答を行います。また保護者向け進路相談会も行っております。 11 月 28 日(日) 12:00∼16:00 場所: レイクランド大学ジャパン・キャンパス 東京都新宿区新宿 6-27-45 Tel: 03-5285-5571 『NIC News Letter』についてのお問い合せは下記までお願いします ネバダ・カリフォルニア大学国際教育機構 Japan(NIC) 染谷 Tel: 03-5379-5551 レイクランド大学ジャパン・キャンパス 中山 Tel: 03-5285-5571 または ㈱コミュニケーションハウス 関 Tel: 03-5411-4841 HOMEPAGE 「NIC」http://nicuc.ac.jp 、 「 NIC 同窓会」http://kyouhokai.com 「レイクランド大学」http://www.japan.lakeland.edu 5
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