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健診、検査、妊娠中の過ごし方

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JOMF NEWS LETTER
No.242 (2014.3)
イタリアでの出産
第1回
医療保険、健診、検査、妊娠中の過ごし方
海外出産・育児コンサルタント
Care the World 代表
ノーラ・コーリ
イタリアの医療への比較的高い満足度は、お産にしても、子どもが病気になった場
合においても、患者を優先する医療制度への信頼と安心感から来ているのだと感じました。
今回のシリーズでは著者のイタリア訪問を交え、さらには現地で出産、子育てを経験され
た日本人のご家族のインタビューをもとに、イタリアにおける妊娠と出産、そして子育て
の様子についてお伝えいたします。
【
妊娠がわかったら
】
妊娠したかを調べるにはまず市販の妊娠検査薬がよいでしょう。これらの妊娠検査薬は
薬局やスーパーマーケットでも売られています。
初診の予約はすぐにはとれないのがイタリアの特徴です。予約が 1 か月も先と言い
渡されるかもしれません。これは日本人に不安を与えるようですが、イタリアでは初期の
段階では流産の可能性があるため、たいてい 10 週目に入ってから予約を取るように勧め
ています。ただし日本人の中にそこまで待ちきれず、あえてプライベートドクターにかか
って早めに妊娠を確かめている人もいました。
ホームドクターのもとで妊娠が確定される
と妊娠証明書が発行されます。これを自分の居住
区の保健所に持っていきます。保健所では妊娠手
帳を渡してくれます。この妊娠手帳にはこれから
受ける診察の内容や検査票もついていますので是
非、受け取ってください。
Photo by Modena
検査票が含まれる妊娠手帳
【
病院選び
】
妊娠手帳を受け取ったら、次はどこの病院を利用するか、あるいはどこのドクター
にかかるか決めなくてはなりません。選択肢は大きく分けて公立病院のドクターか、私立
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クリニックのドクターとなります。公立病院の場合は、混雑が予想されますが、ほとんど
無料で診察を受けられる利点があります。ただしドクターは毎回違うかもしれないことと、
ほとんどのドクターはイタリア語しか話せないでしょう。
それに対し、プライベートの産婦人科医にかかる場合は予約を入れ、あまり待つこ
ともなく診察を受け、少なくとも英語が通
じるドクターを選べ、毎回決まったドクタ
ーに診てもらうことができ、きめ細かなサ
ービスが期待できます。しかし、診察料は
それなりに高価で、分娩時は私立病院ない
しは公立病院の分娩設備のあるところを利
用します。
Photo by Nora Kohri
病院の敷地内に教会があるのが
イタリアの病院の特徴の一つ
【
医療保険制度
】
日本ではお産は病気ではないということで、健康保険が適応されませんが、イタリ
アでは妊娠から出産まで公立病院を利用すれば、一部の検査や薬を除いてほとんどが健康
保険で賄われます。カバーされない分もそれほどの負担ではないそうです。そのため、
「イタリアでの出産は無料だった」と語っている方が多くいました。驚くことに旅行客が
産気づいたり、定住していないジプシーでも無料でお産ができるそうです。さらに少子化
を防ぐための対策として第二子以降の誕生には国から出産祝い金が出されます。
プライベートドクターにかかる場合、民間保険でカバーされている人もいましたが、
たいていの人は自費で払っていました。そのため、こだわりのある人は妊娠中はプライベ
ートドクターに診てもらい、出産は公立病院を利用していました。
【
健診の様子
】
<
健診日の心構え
>
公立病院でも予約が原則ですが、事務処理上、先に会計を済まさなくてはなりませ
ん。そして、会計の窓口にたどり着くまでも 1 時間ほど待たされたり、予約時間に間に
合っても待合室でさらに 1 時間ほど待たされたりすることもあります。そのため、混雑
が常に予想される公立病院では健診は 1 日がかりということもありますので、あらかじ
め時間に余裕をもって出向かなくてはなりません。
JOMF NEWS LETTER
<
健診の様子
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>
日本ではお産が近づくと健診の間隔が短くなるのが特徴ですが、イタリアではほと
んどの場合 1 か月に 1 度の健診が続きます。健診の内容は日本と比べると簡単であるの
が特徴です。血圧を測り、体重を測り、エコーで赤ちゃんの心音を確かめ、問診で体調を
確かめます。最後にドクターが次の健診までに済ませておく検査を渡してくれます。体重
管理においても日本ほど厳しくはなく、おおらかです。腹囲や子宮底の測定もイタリアで
はあまり一般的ではありません。
出産予定日は最終生理日から算出することもありますが、多くの場合、超音波検査
で胎児の成長具合を調べて最終決定をします。それまでは予定日を聞かれるよりは、最終
生理日を聞かれるでしょう。ちなみに妊娠期間は 9 か月という計算です。さらに妊娠初
期の段階で遺伝カウンセラーとの面談も予約できます。
<
ドクターはフレンドリー
>
イタリアでは患者とドクターは対等な関係であるという印象を受けました。また、
これらのドクターの多くが女医さんということ、さらには公立病院では助産師(多くが女
性)との健診もありますので、女性同士という安心感があるかもしれません。そのため、
わからないことはためらわず質問し、体の変化なども恥ずかしがらず伝えるとよいでしょ
う。多くのドクターはよほど耐えられない症状でない限り、腰の痛み、足のむくみ、夜眠
りづらいなどの誰にも起こりうる妊娠中の症状はどのようにうまく付き合っていったらよ
いかを教えてくれます。
ところで、イタリアはストライキで有名ですが、ドクターも例外ではありません。
予約を入れてあっても当日突然ストを言い渡されるかもしれません。ただし病院ですので、
ドクターの数は少なくても診察は行われています。さらに健診がクリスマスや夏休みにか
かると先送りになることもありますので覚えておきましょう。
< 薬 >
薬は妊娠初期の段階で葉酸を飲むように勧められます。他には総合ビタミン剤、必要に応
じて便秘を予防する薬などです。それほど多くは出されません。日本と違う点は錠剤の一粒が日
本のそれに比べて大きいことだと思います。
【
検査の特徴
】
検査においては血液検査、超音波検査など日本と内容は似ていますが、イタリアな
らではの部分もあります。たとえばヨーロッパの傾向として、トキソプラズマ抗体を調べ
ます。
トキソプラズマの検査で検査の結果が陰性に出ると、生肉、生魚、生ハムは避けるように、
生野菜はよく洗って食べるように、猫には触れないように、ガーデニングは要注意などの
指導があります。羊水検査は任意ですが、35 歳未満の妊婦は有料で、35 歳以上の妊婦は
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無料で受けられます。
検査方法に関してはシステムをよく理解していないと戸惑います。プライベートド
クターの場合は出された処方箋をもって公立病院などの出先の検査機関に出向きます。そ
のため、ドクターのオフィスで検査を受けることはほとんどありません。血液検査は予約
は必要なく、番号札をもらって順番に受けます。場所によっては障がい者、妊婦は優先さ
れ、該当の人たち用の番号札があるところもありますので気を付けてみてください。尿検
査で日本と違うところは薬局で採尿用の容器を購入し、自宅で採取して検査機関に持参す
るところです。結果の多くは後日となります。自宅安静を強いられると自宅まで血液検査
に出向いてくれるサービスもありますので覚えておくとよいでしょう。また検査機関が休
暇の時期にかかると結果が遅れることがありますので覚えておいてください。
専門の超音波技師による超音波検査は合計 3 回が一般的です。最初の 2 回は胎児の
成長を調べます。3 回目は胎児に異常がないかを調べます。3 回目の超音波検査では性別
を知ることができます。イタリア人のほとんどは性別を教えてもらっています。もし知り
たくなかったら事前に伝えておきましょう。
妊娠も後半に近づくと膣内の細菌の検査と心電図が行われます。さらに予定日を過ぎ
ると分娩監視装置をつけて赤ちゃんの心拍と子宮収縮の状況をチェックします。
【
麻酔医との診察
】
無痛分娩は日本では一般的ではありませんが、イタリアでは自然分娩を奨励するも
のの無痛分娩を希望する妊婦も多くいます。そのため、硬膜外麻酔を希望する、しないに
かかわらず、帝王切開になる可能性も含め、妊娠中に麻酔医との診察を勧めています。
【
ファッション重視の妊婦
】
イタリアでもミラノはファッションの中心地です。マタニティー・ウェアにおいて
もその特徴が表れているかと思いきや、ミラノ妊婦は意外とカジュアルでシンプルないで
たちでした。普通のお店で買える、ひとサイズ大きめのものをスカーフなどを用いてファ
ッショナブルに着こなしていました。スパッツの上に余裕のあるトップという組み合わせ
が多くみられました。日本では大きなおなかをむしろゆったりとした服でカバーする傾向
がありますが、彼女らは伸びる生地の服でおなかのカーブをあえて強調していました。妊
娠していることを誇らしげに表しているように思えました。靴にしても妊娠しているから
底の平らな靴をあえて選ぶのでなく、ヒールのあるものも含めて自分が履きたい靴を履い
ています。
妊婦用の下着や妊婦用のウェアは種類も少なく、サイズも限られていて高価である
印象を受けました。それに対して日本の産後は授乳用にも使えるブラジャーや妊娠中の下
着は縫製がしっかりしていて機能的だという評判でした。
【
妊娠中の過ごし方
】
イタリアでは妊娠中にまつわる言い伝えや習慣がいくつかありますので、ここにご
紹介しましょう。まずつわりの時期にはパウダー状のしょうがをお料理に加えるとつわり
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がやわらぐと伝えられています。また妊婦のおなかに向かってはさみ、ナイフなどの尖っ
たもの、人差し指ですら向けてはいけないと伝えられています。それはそのような行為に
よって胎盤がはがれることを恐れるからだそうです。
妊娠中を快適に過ごすにあたっての注意点もあります。まず妊娠線予防にはココナ
ッツバターのクリーム、あるいはアーモンドオイルを塗って柔軟な肌を保っています。ま
た、足がむくんだり、疲れたときにジェルを塗ることが勧められています。塗った後はす
っきりするようです。さらに妊娠糖尿病を防ぐためにはイタリアらしく、米よりパスタを
勧めていました。イタリア人の運転マナーは悪いことで有名ですが、そのためか妊婦用の
シートベルトも活躍しています。
来月はイタリアでのお産に向けての準備、出産と入院中の生活、産後についてお伝
えします。
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