JSS契約企業 海外安全担当者 各位 平成2 3 年1 月5 日( 2 0 1 1 年J S S 発第3 号) 株 式 会 社 ジ ェ イ ・ エ ス ・ エ ス 危機管理コンサルティング事業本部 JSS海外安全速報 モンテレー州都圏で警察官襲撃が相次ぐ 《メキシコ》 1. 年末以降、警察官襲撃事件等が多発 北東部ヌエボレオン州では年末以降、モンテレー州都圏を中心に警察官に対する襲撃や 当局と武装集団との間の銃撃戦などが次のとおり連日相次いでいる。 12月29日:午後8時10分頃、モンテレー市東部のルイスコルティネス大通りとノガル通 りの交差点付近にある警察署が武装集団に手榴弾や自動小銃などで襲撃され、 警察官4人と当直の医師1人が負傷、このうち3人がその後死亡した。 またほぼ同時刻、州都圏東部グアダルーペ市バルコネス・デ・サンミゲル地 区でパトカーが銃撃され、女性警察官1人が死亡したほか、同市内のコンステ ィトゥエンテス・デ・ヌエボレオン大通りとミゲルアレマン大通りの交差点付 近で警察官1人が射殺された。 1月 1日:午後6時50分頃、州都圏東部サンニコラス・デ・ロス・ガルサ市アステカ地 区でパトカーが、グアダルーペ市バルコネス・デ・サンミゲル地区で警察署が それぞれ武装集団に銃撃され、両事件合わせて交通警察官1人を含む警察官3 人が負傷した。 1月 2日:午後12時40分頃、モンテレー市南方約60kmにあるアエンデの「州捜査局 (AEI) 」の施設前で手榴弾が爆発し、軽微な物的被害が出た。 また午後8時過ぎ、モンテレー市南東方約37kmのカデレイタで車1台に乗っ た武装集団が警察署に向けて投擲した爆弾が爆発し、複数の車両が損壊した。 その数分後、州都圏北東部アポダカ市内でパトカーが車1台に乗った武装集 団に銃撃され、交通警察官1人が死亡した。 1月 3日:午後6時前、アポダカ市プエブロヌエボ地区で海軍パトロール部隊と武装集 団との間で銃撃戦が発生し、軍が麻薬組織「ロス・セタス」のメンバーと見ら れる容疑者5人を逮捕したが、銃撃戦で少なくとも兵士1人が負傷した。 その直後、州都圏のマリアノ・エスコベド国際空港に向かう道路を含むアポ ダカ市内の道路少なくとも5か所で、武装集団が強奪した車両を道路上で次々 と横向きに停めて交通を遮断した。 これに先立つ同日正午過ぎには、車数台に乗った武装集団を追跡中の軍用ト ラックの進路をパトカーで塞ぎ、 武装集団の逃走を手助けした容疑でサンニコ ラス・デ・ロス・ガルサ市の警察官3人が逮捕された。この行為によって軍用 1 Overseas Urgent Report トラックは道路沿いの商店に突っ込み、兵士3人と商店主1人が負傷した。 また同日午後5時30分過ぎ、モンテレー市北部フランシスコビジャ地区で、 武装集団が通行人を銃撃し、未成年者1人を含む3人を射殺、3人を負傷させた が、犯行動機などは不明である。 1月 4日:午前4時30分過ぎ、州都圏西部サンペドロ・ガルサ・ガルシア市カジェオリ エンテ地区で、パトカーが車1台に乗った武装集団に銃撃されたため、反撃し た警察官達との間で銃撃戦に発展したが、人的被害は出なかった。 一方、12月27日夜には、2009年7月に商店主の誘拐・恐喝容疑で共犯3人とともに逮捕 され、モンテレー市内のトポ・チコ刑務所に収監されていた女性容疑者(31歳)が病院へ移 送途中に武装集団に奪還された。 しかし女性は12月31日朝、同市内ミトラス地区の主要幹線道路ホセ・エレウテリオ・ゴ ンサレス大通り(別名:ゴンサリトス大通り)に架かる陸橋から首を吊られた遺体で発見 された。女性は発見当時、上半身裸で背中に男性の名前である“Yair”と書かれていた。 遺体発見に先立って、インターネット上で「ロス・セタス」に対抗する目的で麻薬組織 の「ラ・ファミリア」 、 「湾岸カルテル」 、 「シナロア・カルテル」が結成した同盟「La Nueva Federacion」が、 「“清算”のため(この女性を)殺害した」との声明を出し、 「これから 我々がモンテレーを支配する」 、 「(女性の)殺害はロス・セタスの一掃を望んでいた市民 にとって良いことだ」などとうそぶいた。 モンテレー州都圏では2010年2月下旬以降、隣のタマウリパス州で勃発した「湾岸カル テル」とその元殺し屋部隊「ロス・セタス」の抗争が波及したことによって、これまで比 較的良好であった同州都圏の治安が急速に悪化している。 ヌエボレオン州検事局によると、2010年1月初めから11月末までに州内で発生した殺人 事件は770件に上り、過去最多を記録した。同州における年間の殺人発生件数は2008年が 263件、2009年が267件であった。 またヌエボレオン州では2010年中、警察官・施設に対する手榴弾、自動小銃、車爆弾を 用いた襲撃が約50回も発生し、犯罪組織の手によって警察官や国軍兵士70人以上が殺害さ れたが、今回ほどの頻度で警察官襲撃事件等が相次ぐのは稀である。 2. 駐在員・出張者の留意事項 ① 麻薬組織による暴力事件は夜間に多発する傾向があるので、日没後の外出は極力避 ける。 ② 特に警察を標的とした襲撃事件が相次いでいることから、警察施設やパトカーなど には出来るだけ近づかない。 ③ 麻薬組織による道路封鎖や銃撃戦などに関する情報の事前把握に努めるとともに、 道路封鎖や銃撃戦が発生した場合は躊躇せず予定を変更する。 ④ 麻薬組織による道路封鎖は、交通量の多い大通りで発生することが多い。これを避 2 Overseas Urgent Report けようとして交通量の少ない裏通りなどを利用すると、誘拐、強盗などの犯罪に遭う 可能性が高まる結果となりかねないので、やはり裏通りは極力避ける。 ⑤ 道路封鎖に遭遇した場合に速やかにUターン等が出来るよう、走行中は常に前方に 十分な車間距離を保つ。 ⑥ 付近で銃撃戦が発生した場合は、 (a) 取り敢えず姿勢を低くし、地形地物を利用して物陰に隠れる。 (b) その場を離脱することが可能と判断した場合、極力低い姿勢を維持しつつ、直 ちに全力で銃撃戦の現場から遠ざかる。 以 上 本レポート内容の全部または一部の転送・転載・第三者への提供を厳禁します。 3 Overseas Urgent Report
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