数学的な思考力・表現力を高める子を

平成27年度 横浜市小学校算数教育研究会 研究計画
1
研究主題
「数学的な思考力・表現力を高める子を育成する算数科学習」
~身に付ける力を明確にした授業づくり~
2
研究主題の設定について
(1)これまでの研究の成果と課題
本研究会では、平成24年度から26年度までの3年間にわたり、研究主題「数学的な思考力・
表現力を高める子を育成する算数科学習」~子どもが数学的に表現することができる授業を通して
~を設定して、「表現すること」に焦点をあてた研究を進めてきた。
その中で、
・数学的な表現を相互に関連付ける学習活動を充実させること
・各学年で身に付けさせたい表現方法とその系統を明らかにして授業を行うこと
・単元における数学的な考え方を明確に捉えて授業を行うこと
などが子どもの思考力・表現力を高めることに繋がることが明らかになった。
しかし、一方で
・数学的に表現することの必要感をもたせるための授業展開を工夫すること
・子どもの主体的な学びを引き出すための「問い」を設定すること
・子どもが主体的に学び、必要感をもって数学的に表現できるようにするための授業展開を
工夫すること
・表現することを意識するあまり、表現させることが授業の目的となってしまったこと
などの課題も明らかになった。
(2)研究の方向性
学習指導要領において「考える能力と表現する能力とは互いに補完し合う関係にある」と示され
ているが、本研究会でも思考することと表現することは表裏一体であると捉えている。筋道立てて
考えを進めたり、よりよい考えを創り出したりすることができる子どもは、自分の考えを進んで表
現し高めることができることが、これまでの研究から明らかになっていることから、思考力と表現
力を共に高めていけるように指導していく必要があると考えた。「表現力」をより確かなものにし
て表現の質を高めたりするためには、思考対象を明確にすることが求められていると言える。
そこで、平成27年度はこれまでの研究主題を継続しながらも「思考力」にも焦点をあてた研究
を進めることとした。
教師が十分に教材分析をした上で、子どもに何をしっかり教え、何を引き出すのかを明確にして
授業に臨むことが、子どもに思考すべき対象をはっきりと提示することに繋がり、それによって思
考力も表現力も共に高められると考える。そのためには、指導者が単元・授業において「子どもに
身に付けさせたい力」を明確にすることが重要であり、それを具現化するための授業展開~学びの
文脈~について検討することが必要になる。身に付ける力を明確にした授業づくりに向けて、その
単元の学習を通して身に付けるべき知識・技能は何か、数学的な考え方で重要なことは何か、さら
には学習や生活の中で活用できるどのような汎用的な能力を身に付けることができるのかなど、身
に付ける力を整理した上で、実践提案をもとに協議し、授業改善・授業力向上へ繋がることを目指
す。
1
3
研究の視点
研究主題「数学的な思考力・表現力を高める子を育成する算数科学習」に迫るために、次のような
研究の視点をもって進める。
視点1 単元における身に付ける力の明確化
授業を通して子どもがどのような力を付けるのかを明確にするために、授業者が学習指導要領や
解説書、横浜版学習指導要領などを丁寧に読み解くことが大切である。研究会では、どのような力
を設定したのかを提案し、その妥当性について協議していく。
身に付ける力を以下の3つの視点から整理する。
① 算数・数学固有の知識・技能
教科にはそれぞれ固有の知識・技能があり、これを確実に身に付けることが大切である。
しかし、単なる習得で終わることなく、それらが問題解決に活用できる状態で身に付けてお
く必要がある。
② 数学的な見方や考え方
数学的な思考や表現をより確かで深いものにするものであり、これを活用することで質の
高い課題解決を可能にして、学びが発展していく。
③ 算数・数学を通して身に付ける汎用的な能力
教科を超えて他教科や日常生活に活かせる見方や考え方、態度の育成を目指す。絶え間な
く変化し続ける社会、そして決められた正解のない世の中を生き抜いていく子どもたちには、
自ら問題解決し続けることが求められるが、これはそのために不可欠な力であるといえる。
例えば、2年「かけ算」の学習においては、次のように整理することができる。
① 算数・数学固有の知識・技能
・乗法の意味理解 ・1位数同士の計算
② 数学的な見方や考え方
・統合化 ・一般化 ・形式化
③ 汎用的な能力
・事象の観察を通して、数理的に処理すること
・場面が拡張された場合においても、論理的に思考し表現すること
視点2 子どもの的確な実態把握
国や横浜市の学力・学習状況調査等の問題・結果を分析し、子どもの実態を的確に捉え単元構成
をすることも併せて大切となる。「身に付ける力」の視点から子どもをとらえ「何ができていない
のか」「ここまではできるが、できないことは何か」「それにはどのような原因が考えられるか」
などを分析し協議していく。
視点3 思考力・表現力を育成するための指導の工夫
子どもの実態と対応させて身に付ける力の分析をしたら、その力をしっかりと身に付けられるよ
うな授業を具体的につくらなければならない。授業で子どもが思考対象といかに関わり、思考結果
が成果としてどのように表現されているかを振り返ることが大切である。身に付ける力をより確か
なものにしていくための授業展開について考えたい。
授業展開の事前検討を通して、設定した力を身につけるための指導の工夫が適切であるかを協議
する。そして、子どもが自ら問いをもち問題を解決していく中で、思考が深まり表現の質が高まる
ような指導のあり方を明らかにする。
視点1・2・3は具体的な授業づくりの過程で議論されるものである。どんなに授業がスムーズに
流れていても、身に付けるべき力が明確になっていなければ、子どもの思考は深まらず、適切な表現
もできない。逆に、身に付けるべき力が明確でも教材や発問の選択を間違えば、その力は身に付かな
い。授業展開の事前提案では、この3つの視点を適宜組み合わせながら協議することで研究主題の実
現を目指していくこととする。
2
4
研究の方法
(1)毎月の研究会の進め方
Ⅰ 実践報告(15:30~15:45)
1 提案者による実践報告
・授業の事前提案での研究討議を受けて変更した点や、授業における子どもの具体的な姿
について検討する。特に、「身に付ける力」の妥当性や「指導の工夫」を行った実践で
の子どもの反応については丁寧に提案する。
2 参会者による実践報告と質疑
・研究主題と視点に沿って、参会者の方の実践との比較と、報告に対しての質疑で進める。
3 講師の先生からの指導・講評(5分間)
Ⅱ 授業の事前提案(15:50~16:45)
1 提案者による概要説明
・単元における「身に付ける力」の捉えについて
・「思考力・表現力を育成するための指導の工夫」について
→身に付ける力を達成するための指導の工夫について
→児童のつまずきや実態に即した指導の工夫について
→指導の工夫と思考力・表現力の育成とのつながりについて
・単元計画について。
2 本時の模擬授業
・ポイントをしぼって模擬授業をする。
・参会者は予想される児童の反応を答える。
*授業のダイジェスト版とならないように心がける。
3 提案についての研究討議
・研究主題、部会テーマに沿って討議していく。
→身につける力は妥当性、児童の実態の把握と指導への反映、指導展開の工夫
4 講師の先生からの指導・講評(10分間)
Ⅲ 次回提案に向けての相談(16:45~)
1 次回の授業提案者と正副部会長・役員による相談
2 その後、必要に応じて正副部会長・役員が提案者と電話やメール等での提案内容の確認
(2)年間研究計画
月
日
種
別
内
容
4月22日
総会・講演会
5月13日
会員研究会1
6月10日
会員研究会2
7月
1日
会員研究会3
実践報告①
授業の事前提案②
9月
2日
会員研究会4
実践報告②
授業の事前提案③
10月7日
会員研究会5
実践報告③
授業の事前提案④
11月4日
会員研究会6
授業研究会事前研
12月2日
授業研究会(各学年部会
1月13日
会員研究会7
2月10日
第二次教育研究大会
3月
年度末総会
2日
研究計画提案
授業の事前提案①
6会場
実践報告④
3
)*できれば8会場
5 研究の内容
(1)提案の形式について
ア 授業スタイル提案資料
提案月日
学校名
提案者氏名
平成27年度 横浜市小学校算数教育研究会
◇月 ◇学年部会【授業スタイル提案】資料
1 単元名
2 学年・組・人数
3 単元について
(1) 身に付ける力
「
」
◇年◇組(◇名)
*学習を通して身に付けさせたい力について
3 つの視点から整理して記述する。
【算数・数学固有の知識・技能】
【数学的な見方や考え方】
【算数・数学を通して身に付ける汎用的な能力】
(2)子どもの実態
・本単元の内容に関する子どもの実態を文章で記述する。
横浜市学力・学習状況調査の結果や、実態調査などの客観的なデータ
をもとに、子どもの学習状況と課題を丁寧に分析する。
(3)思考力・表現力を育成するための指導の工夫
・設定した力を身に付けることができるための手立てや、子どもが問題
を解決していく中で思考が深まり表現の質が高まるような指導の工
夫について、具体的に記述する。
4 単元目標
5 指導と評価の計画
(1)評価規準
(2)指導計画
・横浜版学習指導要領指導資料(赤本)や評価の手引き
(緑本)を参考にする。
6 本時目標
7 本時展開案
・提案者の主張が明確になるように、A4(縦)1~2枚程度に簡潔にまとめる。
・最終的な板書のイメージを A4(横)1枚にまとめる。
8 板書計画
実際に書いた写真も可
※事前提案では、提案の前半(10分間)で上記項目の1~8について、提案の趣旨が明確になるよう
に説明をします。
※後半(10分間)では、本時展開の中で提案の中心となる部分について取り上げ、板書計画と照らし
合わせながら、授業スタイル(模擬授業形式)で提案します。
4
イ
実践報告資料
提案月日
学校名
提案者氏名
平成27年度 横浜市小学校算数教育研究会
◇月 ◇学年部会【実践報告】資料
1 単元名
「
」
2 学年・組・人数
◇年◇組(◇名)
3 単元について
(1)身に付ける力
(2)子どもの実態
(3)思考力・表現力を育成するための指導の工夫
4 単元目標
・事前検討と同じ資料を載せる
5 指導と評価の計画
が、協議での修正を加え、太
(1)評価規準
字で表すなど強調して 修正
(2)指導計画
点がわかるように記述す
6 本時目標
る。
7 本時展開案
8 板書計画
9 授業記録
時間
学習活動と教師の発問
分
1 学習課題を把握する。
T1「
」
・
子どもの活動
C1「
」
・特に身に付ける力に関わる部分や、提案の主張に関わる部分については、吹き出
しや強調をするなどして、分かりやすくなるように示す。
・必要に応じて、授業の様子が分かる画像(板書、子どもの活動など)や、子ども
のノートやワークシートなどを載せる。
9 考察
・「身に付ける力」について、それらのとらえが適切であったのかどうか、授業を
通して明らかとなった具体的な子どもの姿で記述する。
・また、「思考力・表現力を育成するための指導の工夫」についても、単元を通し
て取り組んだことや、本時の中で提案の中心として取り上げた部分について、具
体的な子どもの姿としてその成果や課題を記述する。
※実践報告では、授業の記録を参照しながら、考察の部分について報告をします。
※報告にあたっては、授業を通して明らかとなった具体的な子どもの姿が明確になるようにします。
5
≪提案の書式例≫
平成27年5月13日(水)
提案者 恒吉信一(富岡小学校)
平成27年度 横浜市小学校算数教育研究会
5月 4年部会【授業スタイル提案】資料
1 単元名
「面積のはかり方と表し方」
2 学年・組・人数 第4学年2組(31名)
3 単元について
(1) 身に付ける力
「広さ」の概念について、1年生では色板をずらす、回す、ひっくり返すなどの活動を通して、図形
の合成、分解の見方を身に付ける活動、2年生では、正方形や長方形の分解、合成を通して、直角三
角形について理解を図り、第3学年ではすべて合同な三角形や四角形で陣取りゲームなどの活動を通
して、図形についての見方や感覚を豊かにしてきている。
本単元では、面積を求める過程において、図形の構成要素に着目し、上記のことを基礎として
思考する中で、図形を合成・分解したり動的にとらえたりしながら、既習の求められる図形に
形を変えて、式にして数値化する力を育成していく。
複合図形の求積場面では、既習の長方形や正方形を見いだせるように、図形を合わせたり分けたり
動的に考えたり、求める図形以外の不要な面積も意識して併せて考えることができるようにする。そ
の過程において、子ども自らが式、図形、言葉を関連させて論理的に筋道立てて表現できる力が付く
よう学習展開を心がけたい。ここで培った力は、5年生の「直方体や立方体の体積」「四角形と三角
形の面積」などの学習や他教科の学習、日常の問題解決にも生かされるといえる。
【算数・数学固有の知識・技能】
○面積の意味
○普遍単位を知り、正方形や長方形、長方形を組み合わせた面積の計算
【数学的な見方や考え方】
○図形の構成要素に着目し、図形を合成・分解したり動的にとらえたりして考えること
○事象を理想化してとらえ、類推的に考えること
【算数・数学を通して身に付ける汎用的な能力】
○事象全体から問題に迫るために論理的に整理すること
○場面を読み取り既習を生かしながら、筋道立てて表現すること
(2) 子どもの実態
【平成26年度 横浜市学力学習状況調査の結果より】
未習の三角形の面積を求める際、同じ面積の正方形や長
方形に形を変え、かけ算を用いた求め方を考えることがで
きるという等積変形の課題である。
正答率は46%であり、25年度の直角三角形の倍積変
形では39%であった。
したがって、面積を求める際に、図形の構成要素に着目
して、柔軟に図形を分解・合成して、演算決定することに
課題があることが分かる。
このような課題の原因には、色板などの操作活動をする
経験が乏しく、教師自身が系統性を意識し、目的をもって
図形に触れさせていないことがあるからだと考える。
そこで本提案では、正方形や長方形の複合図形の求積の
際に、量の保存性の原理に則り、また、倍積などそこには
実際に存在しない図形を考慮し、図形を分解や合成、移動
1
することで既習の求積方法に帰着させて解決していく数学的な考え方を身に付けさせる。そ
の過程を子どもの言葉や操作で、筋道を立てて論理的に説明させていくことが必要である。
さらに図形の見方が豊かになり、量を測定する公式を作っていくときに大変有効であると考
える。
(3) 思考力・表現力を育成するための指導の工夫
① 図形についての見方や感覚を豊かにする。
本単元は「量と測定」の B 領域ではあるが、C 領域の図形についての見方や感覚をまず豊
かにすることが大切である。特に、図形の量の保存性(図形を変形、移動をさせても面積は
変わらないなど)の原理を学習する際に、その先の面積を測定しやすくするために、同じ面
積を分解、合成していることを伝えた上で、なぜ同じ体積だといえるかを説明させたり、あ
る図形から形の違う面積の同じ図形を作らせたりする活動をさせながら、図形の見方を豊か
にしていく。そうすることで、その後、自信をもって表現できるようになると思われる。
②必要のない部分の面積を意識させ、図形を動的にみせることで、筋道を立てて考え論理的に
表現することができる。
本時の前半では、図形を既習の理想な形に近づけるために、必要のない部分の面積を意識
させ、低学年から扱っている「ずらす、回す」など動的に見ることで課題解決する場面を設
定する。その見方に沿って、後半部分では、図形を観察し、具体的な操作をさせることで、
求積の手順を思考し、図、式、言葉がつながり、論理的に表現できるような展開にする。
4 単元目標
B(1)面積について単位と測定の意味を理解し、面積を計算によって求めることができるよ
うにする。
ア 面積の単位(平方センチメートル(cm2)、平方メートル(m2)、平方キロ
メートル(km2))について知ること。
イ 正方形及び長方形の面積の求め方を考えること。
5 指導と評価の計画
(1)評価規準
算数への関心・意欲・態度
面積の大きさを数値
化して表すことのよさ
に気付いている。
正方形や長方形の面
積の公式を導きだそう
としている。
数学的な考え方
正方形や長方形の面
積の求め方を考えてい
る。
日常の事象について
見通しをもち筋道を立
てて考え表現したり、
そのとから考えを深め
たりしている。
数量や図形についての技能
正方形や長方形の面
積を公式を用いて求め
ることができる。
数量や図形についての知識・理解
面積の単位(㎠、
㎡、㎢、a、ha)と測
定の意味について理解
している。
必要な部分の長さを
用いることで、正方形
や長方形の面積は計算
によって求めることが
できることを理解して
いる。
(2)指導計画 【全14時間】
指導内容
学習活動の概要
時
広さを比べる方法
・広さ比べをしながら、これまでに学習したさまざ
①
関 既習の量の場合を基に、いろいろな方法
□
まな測定方法(直接重ね合わせる、別なものに写し
で面積の比べ方を考えようとしている。
取って比べるなど)を振り返る。
2
指導上の留意点・評価基準
②
③
数値化の必要性
②
・どちらがどれだけ広いかを考えることで、長さや
単位面積の必要性
水の体積の測定と同じように、直接比較や間接比較
量の保存性
ではできなかった数値化する必要性に気付く。
知 面積の意味や面積の単位「平方センチメ
□
ートル(cm2)
」を理解している。
・ 大きさを表す単位として1㎠を知り、そのよさを
考える。1㎠ のいくつ分で面積を表すことができる
ことを理解する。
・方眼上で、いろいろな形の同じ面積から、なぜ、
同じ面積と言えるか説明する。
④
⑤
考 構成要素に着目して、同じ面積である理
□
由を説明している。
面積の求め方、公
・ 単位正方形の数を効率的に数えるためには、どの
関 面積は計器による測定でなく、縦横の辺
□
式
ようにしたらよいかを考え、かけ算を使って面積を
の長さから計算で求められることの便利
求める。
さに気づいている。
・ 縦と横に並んでいる単位正方形の数と辺の長さを
表す数が同じであることから長方形の面積=縦×横
技 面積の公式を用いて、長方形、正方形の
□
面積を求めることができる。
(横×縦)正方形の面積= 1 辺× 1 辺を導く。
複合図形の求積
⑥
⑦
【
本
時
】
関 どの考えも既習の長方形や正方形の形を
・ 長方形を組み合わせた図形の面積を、分割したり、 □
補ったりするなどのいろいろな考えで求める。
基にして求めていることに気づき、既習
・他者の考えを読み取り、図や式などで説明する。
を活用するよさを認めている。
・ 正方形や長方形を組み合わせた図形の面積の求め
方(長方形に分ける方法や全体から欠けた部分を
考 自分の考えを式、図、言葉と関連づけて
□
論理的に説明している。
引く方法)を、具体物を用いたり、言葉、数、式、
図を用いたりして考え、説明することで、より簡
単に面積を求める方法を理解し、筋道立てて説明
しようとする態度を育てる。
⑧ 面積の関数的な見
方
考 横(縦)の長さを固定して縦(横)の長
・横(縦)の長さを固定して縦(横)の長さを2 倍、 □
3 倍・・・したときの面積の変化を考え面積の公式
さを2 倍、3 倍・・・したときの面積の
の理解を深める。
変化を考えている。
知 辺の長さがmで表された長方形や正方形
⑨ 面積の単位「平方メ ・ 長方形の形をした教室と正方形の形をした理科室 □
ートル(m2)
」を知
の面積の求め方を考える。
の面積も、面積の公式を適用して求めら
り、辺の長さがm
・ 面積の単位「平方メートル(m2)
」を知る。
れることを理解している。
の場合も、長方形
・ 辺の長さがmで表されていても、面積の公式が使え
や正方形の面積
ることを確認する。
の公式が適用で
きることを理解
する。
⑩ ○面積の単位m2 と ・ 1m2は何cm2になるか調べる。
知 面積の単位m2 とcm2 の関係を理解してい
□
cm2の関係を理解
・ 紙を使って、1m2の正方形を作り面積の量感をつか
する。
む活動に取り組む。
⑪ 大きな面積の単位
⑫ と単位換算の理解
・ 1辺の長さを10mや100mにしたときの面積を考え、
る。
考 1cm2、100cm2、1m2、1a、1ha、1km2で表さ
□
面積の単位「アール(a)」
「ヘクタール(ha)」を知る。
れる正方形の1辺の長さと面積から、正方
・ 町の面積を調べ、面積の単位「平方キロメートル
形の1辺の長さが10倍になると面積は100
(km2)
」を知る。
2
倍になる関係を見出し、説明している。
2
知 面積の単位「a」
□
「ha」
「km2」と、その相互
・ 1km は何m になるか調べる。
関係を理解している。
⑬
⑭
知識・技能の定着
・4 年生で新しく学習した図形も面積を求められる
と次の学習への見
のかを考える。
通し
・ 問題を解いたり実測したりしてさらに面積につい
関 学習内容を適切に活用して、活動に取り
□
組もうとしている。
3
ての理解を深める。
技 学習内容を適用して、問題を解決するこ
□
とができる。
知 基本的な学習内容を身につけている。
□
6 本時目標
図形の構成要素に着目して、図形を合成・分解したり動的にとらえたりしながら、求積の
仕方を論理的に説明する。
7 本時展開案(本時7/14)
子どもの学習内容と教師の指導
1 問題場面1を把握し、解決の方法を思考する。
この畑の面積を求めましょう。
指導上の留意点・評価
・これまでの面積の学習をまとめた
ものを壁面に掲示しておく。
・複合図形の求積方法:分けてたす
(必要ないものをあるものとして)
付け加えて全体から引く →長方形
の面積公式が使えるように考える。
2
6
5
8
T この畑の面積求められそうですか。
C 中の長方形以外の部分を求めたいけど、斜めの部分がある
し、長さが分からないので面積が求められないです。
T 斜めの部分とはどこの部分ですか。
C (図を指しながら)こことこことここもです。
T みんなどう?
C よく分からない。長さもないから分からない。斜めだから
余計に分からないよ。
T では、長さがない求めにくい図形の面積の求め方を考えて
みましょう。
T 今まで学習したことを使えないかな。前の時間に学習した
この図形をよく観察すると何か気がつきませんか。
C 斜めの部分がなければできると思う。
C 小さな長方形を動かせば、斜めがなくなるし、同じ図形に
なるよ。
T 具体的に動かしてみてください。
C (小さい長方形を操作する)
T みんなどう?説明してください。
C 大きな長方形と小さな長方形の縦と横の長さがそれぞれ等
しいから、小さい長方形を動かせばよいと思います。
T でも、求めるのは小さい長方形の面積ではないですよね。
必要ですか。
C 後で引きますが、必要です。
T 必要ない部分も使うのですね。これで求められそうです
か。
4
・問題を明確にするために整理をす
る。
・筋道を立てて考えるために、既習を
想起させ、見通しをもつように支援
する。
・図形の構成要素に着目して、動的に
C できそう。
T 考えをノートにかいてください。
(自力解決)
T どのように考えましたか。
C 動かせば、以前に出てきた図形のようになり、式が同じに
なるから求められるよ。
C 中にあるないはずの小さな長方形を付け足して全体から引
くと大きな長方形は6×8=48㎠になり、そこから付け
足した小さな長方形の面積2×5=10㎠をひくと、
6×8-2×5=38 答え38m2 です。
2
6
2
①
見ると同じ式で求められることを押
さえる。
考長方形を組み合わせた図形の面積の
求め方を、求積方法が既習である長
方形に帰着して考え、図や式などを
用いて説明している。
・欠けている部分を動かすことで、図
形を動的にみる見方を示し、
「付け加
えて全体から引く」方法は、長方形
が内部にあるときはどんな形も使え
ることを押さえておく。
6
5
5
8
8
T ではこの考えで求められるのは、このときだけですか。
C (操作しながら)いえ、この時もこの時も大きい長方形の
内部にあるときは、この式で解けます。
T この問題で大切なことは何ですか。
C ないところを付け加えて全体から引くこと。
T この問題では、求められないところがありましたが・・・
C 長方形を動かして考えると斜めの求めにくい図形も求めら
れるよ。
T どうして動かしたの。
C 今まで習った求めることができる長方形の公式が使えるか
ら。
2 問題場面2を把握する。
A
I
D
E
F
・小さな長方形が内部にある時は、
すべて(大きな長方形の面積)-
(小さな長方形の面積)で求まる
ことを確認する。
い
○
H
あ
○
T
T
C
T
C
B
G
C
(長方形 ABCD の対角線上の点 E から各辺に垂直な
直線を引く)
あ がありますね。
直角三角形 ABC の中に○
あ と○
い ではどちらが広いと思いますか。
○
い
先生、○
はどこにありますか。
い
○はこちらです。
(ACD を見せる)
あ だと思います。
○
5
・直角三角形を意識するように、三
角形 ACD を隠した状態で見せる。
C
C
T
T
い だと思います。
○
辺の長さを知りたい。
辺の長さは分からないです。このままで考えてください。
図形をよく観察してください。問題1の結果を用いて考え
てみてください。
C よく分かりません。
T 問題1で大切な考えは何でしたか。
C 動かして考える。
T 動かしたいね。それでは、はさみで線にそって切ることだ
けはいいことにしましょう。今から配る紙は書き込みよう
だから、切らないでくださいね。
(切り取る)
あ と○
い どちらが大きいか重ねて分かりましたか。
T ○
あ と○
い を重ねても分かりません。
C ○
T それでは、問題1では他に何と書いていますか?
C 必要ない部分も考える。
T 必要ない部分はどこですか。この図で言うと(板書掲示)
C う、え、お、かです。
T 同じ広さの部分はないですか。
C うとえはぴったりと重なるし、長方形を対角線で切った図形な
・操作できるようにプリントを配
り、思考しやすいようにする。
・筋道を立てて考えるために、問題
1と同様に考えられないか、また
は結果を用いて説明できないかと
いった類推的な考え方をとれるよ
うに問いかける。
・気づいた人には、説明できるよう
に伝える。
あ 、○
い 、う 、え 、お 、か を記入し
・○
た拡大図を掲示する。
ので、同じ面積。
C おとかも重なるので同じです。
T では、言葉、説明できるように考えてください。
3 自力解決をする
三角形 ABC と三角形 CDA は長方形を対角線で分けてい
るので、等しい面積です。う とえ、おとかはそれぞれ切
ると重なるので同じ面積です。だから
あ の面積
三角形 ABC の面積-うの面積-おの面積=○
い の面積
三角形 CDA の面積-えの面積-かの面積=○
・机間巡視をして、わからない児童
がいたときは、図形の構成要素に
着もして、動的に見せ、等しい辺
の長さはどこで、同じ面積の図形
はどこか問いながら、考えを引き
出す。
A
う
B
A
=
―
―
あ
○
お
C
D
―
―
え
=
か
C
6
い
○
4 共同思考する。
T 分かったことを発表しましょう。
C はさみで切り、図から考えると辺の長さも角度も同じ図形
を合わせると、ぴったりと重なります。
(対応する図形は)そ
あ
い
れぞれ等しいから引き算をすると○と○の面積は等しいと言
えます。
T 面積の大きさ比べをしたり、面積を求める時の大切なポイ
ントは何ですか。
C 図形を動かしたり、回したり、重ねたりするとよい。
C 必要ない部分も考えるとよい。
5 学習を振り返る。
T 今日の学習で、どんなことが分かりましたか。
C 求めにくい図形があるときは、動かしたり、回したりする
とよい。
C 必要ない部分も考えるとよい。
C 求めにくい図形の面積の求め方は、動かしたり、回した
り、必要ない部分も考えたりするとよい。
7
考 自分の考えを式、図、言葉と関連
づけて論理的に説明している。
・長方形や直角三角形の構成要素を考
えながら、図や言葉や図の式などを用
いて説明できるよう支援する。
8 板書計画
A
求めにくい図形の面積の
求め方を考えよう。
6m
②
2m
m
①
5m
2m
m
6m
5m
8m
動かす!
まわす
I
D
等しい面積
求められない
い
○
E
F
①
え
H
う
か
あ
○
あ
○
8m
B
お
C
G
必要ない部分も考える
等しい面積
付け加えて全体から引く
6×8-2×5=38
①
②
2
答え38m
中にあるときはどんな時も
大-小
い
○
E
―
同じ面積
―
=
必要ない部分動かす
必要ない部分動かす
まわす、同じ面積
まわす、同じ面積
―
―
あ
○
同じ面積
=
まとめ
い
○
求めにくい図形の面積の求め方は、
動かしたり、回したり、必要ない
部分も考えたりするとよい。