広さを調べよう

第4学年
算数科学習指導案
指導者
1
単元名
「広さを調べよう」
2 単元の目標
(関心・意欲・態度)
(数学的な考え方)
(技能)
(知識・理解)
○○
○○
○面積のはかり方と表し方
・面積を数値化して表すことのよさや,計算によって求められることの便利さに気付
き, 身の回りの面積を求めるなど生活に生かそうとする。
・面積について,量や乗法の学習をもとに,単位の何こ分で数値化して表すことや,
辺の長さを用いて計算で求められることを考え,とらえることができる。
・長方形,正方形の面積を,公式を用いて求めることができる。
・面積について,単位と測定の意味や,長方形や正方形の面積は計算によって求
められることやその求め方を理解し,面積についての量感を身に付ける。
3 単元と児童
(1)児童について(男子5名 女子7名 計12名)
算数については,多くの児童が「好き」「楽しい」と答えている。その理由として,「問題が解けるとす
っきりするから」「分かると楽しくなるから」などをあげている。学習に意欲的に取り組んでおり,いろいろ
な方法で答えを求めようとしたり,最後までがんばって解こうとしたりする姿がみられる。また,自分の考
えを発表したいという児童が多い。しかし,一方で,自分の考えに自信がもてなかったり,恥ずかしいと
いう理由で発表に消極的な児童もいる。そこで,1学期からグループやペアでの話し合い活動を多く取
り入れ,発言する場を保障するようにしてきた。その結果,全体の場で発言する回数も増えてきてい
る。
4月に行った市学力調査では,「量と測定」領域の得点率は高かった。特に,「L」と「dL」や「m」と
「km」といった,単位の相互関係についてよく理解している。しかし,かさの加減計算をする問題の得
点率は
%と低い。レディネステストでは,直感や任意単位の考えを用いて広さを比較することは全
員ができている。しかし,直接比較の問題において,論理的に思考できる児童は約半数であった。
本校の研究の重点である学び合いに関しては,肯定的に受け止めている児童が多い。友だちの考
えを聞いたり,話し合ったりする活動を好きと答えており,友だちの発表を自分の考えと比べながら聞
こうという意識も見られる。しかし,共通点や相違点を明確にしたり,複数の考えの良いところを生か
し,更に良い考えを導き出したりなどの,学び合いの深まりは不十分である。
(2)単元について
これまでに,「量と測定」の内容として,長さ,かさ,重さなどの学習を行っており,「広さ」という抽象
的な概念については,本単元で初めて学習することになる。「面積」という概念を理解することは,子ど
もたちの日常生活の中にある「広い」「狭い」などの感覚的な見方から,定量的な見方へと変えていくこ
とにもなる。
測定は基準となる量を決めて,対象がその基準量のいくつ分にあたるかをはかって数値化する操作
である。その際に,基準となる量がそろっていればその結果の数値を一般化することができ,さらにそ
れが誰でもどこでも使えるようになったときに普遍単位として用いられることとなる。したがって,量と測
定の学習においては,基準量をどのように定めるかがポイントであり,普遍単位を導入するまでの過程
(直接比較→間接比較→任意単位による測定→普遍単位による測定)を大切にし,単位の必要性や
有用性に気づかせるようにする。
面積を測定する単位については,まずはc㎡を指導し,続いて㎡やk㎡などを指導する。c㎡を単位
として教室や体育館,運動場などの面積を表すと数値が大きくなり扱いにくいので,別の大きな単位
が必要だということを実感させた上で新たな単位を導入するようにする。
単元の後半には,身の回りにある様々なものの面積を実際に測定する活動を取り入れる。それによ
って,単位の大きさに対する量感を養うとともに,必要に応じて適切な面積の単位を用いることの利便
さに気付かせることで,面積の学習が日常生活において有用であることを実感させることができると考
えられる。
(3)指導について
本単元は,面積についてその単位と測定の意味を理解し,長方形及び正方形の面積の求め方に
ついて考え,公式を用いて面積を求めることができるようにすることをねらいとしている。
単元の導入では,児童の意欲を高めるとともに,複数の面積を比較するという必要感をもたせるた
めに,「陣取りゲーム」の活動を取り入れる。その中で,任意単位による比較から普遍単位を生み出す
よさを実感できるようにする。また,面積の単位「1c㎡」を扱う場面では,方眼を使って1c㎡を作り,指
と比較するなどして,どのくらいの広さなのかをとらえさせたい。長方形,正方形の面積を計算で求め
る場面では,長方形や正方形を1cmごとに区切り,1辺が1cmの正方形が何個並んでいるか数える活
動を取り入れる。どんな長方形や正方形でも,1c㎡の正方形の個数を求める計算と,縦横の長さをか
ける計算が常に等しくなることから公式化につなげていくようにする。
大きな面積の単位の学習では,1㎡をつくり,その上に何人乗れるかというような,より実感を伴う活
動を取り入れて,量感を養っていきたい。また,単元を通して,ペアやグループでの話し合いを適時取
り入れることで,お互いの考えを確かめ合ったり,説明が苦手な児童でも自信をもって学習に取り組ん
だりすることができるようにしたい。
本時は,複合図形の面積の求め方を考える。問題を提示する場面では,既習の長方形や正方形の
求め方を想起させ見通しをもたせるために,封筒に入れた複合図形を少しずつ提示していく。そして,
見通しがもてたところで自力解決に入り,様々な方法を考えさせる。その際には,図形に補助線や必
要な数値,記号などを書き込むことを確認し,発表の手がかりとなるようにする。短時間で自力解決が
できた児童に対しては,複数の方法で解いたり,ノートを見せ合いながら互いの考えを紹介し合ったり
するように促す。同じところや違うところを明らかにさせ話し合うことで,自分の考えをより深めることが
できるようにする。全体での学び合いの場面では,児童に式だけを提示させ,どのようにして求めたか
を他の児童が考える活動を取り入れるなど,考えを共有し,深め広げるような場を設定したい。
4
単元の関連
3年
4年
5年
どちらがひろいかな
・広さの概念と素地的活動
⑪面積のはかり方と表し方
・面積の意味
2
2
・面積の単位(㎝ ,m ,a,ha)と単
位の相互関係
・長方形,正方形の面積の求め
方と公式の意味
・複合図形の面積
②直方体や立方体の体積
・体積の意味
3
3
・体積の単位(㎝ ,m )と単位の
相互関係
・直方体,立方体の体積の求め
方と公式の意味
・複合図形の体積
・体積の概測
⑪四角形と三角形の面積
・平行四辺形や三角形,台形,
ひし形の面積の求め方と公式
(2)単元について
子どもたちはこれまでに,「量と測定」の内容として,長さ,かさ,重さなどの学習を行ってきた。こうし
た経験をふまえて,面積について学習していく。「広さ」という抽象的な概念については,本単元で初
めて学習することになる。「面積」という概念を通して,子どもたちの日常生活の中にある「広い」「狭い」
などの感覚的な見方を,定量的な見方へと変えていくことにもなる。測定は基準となる量を決めて,対
象がその基準量のいくつ分にあたるかをはかって数値化する操作である。その際に,基準となる量が
そろっていればその結果の数値を一般化することができ,さらにそれが誰でもどこでも使えるようにな
ったときに普遍単位として用いられることとなる。量と測定の学習においては,基準量をどのように定め
るかがポイントである。そして,普遍単位を導入するまで,直接比較→間接比較→任意単位による測
定→普遍単位による測定と4つの段階を踏ませていくことが大切である。
面積を測定する単位については,まずはc㎡を指導し,続いて㎡やk㎡などを指導する。c㎡を単位
として教室や体育館,運動場などの面積を表すと数値が大きくなり扱いにくいので,別の大きな単位
が必要だということを実感させた上で新たな単位を導入するようにする。
単元の後半には,身の回りにある様々なものの面積を実際に測定する活動を取り入れる。それによ
って,単位の大きさに対する量感を養うとともに,必要に応じて適当な面積の単位を用いることの利便
さに気付かせることで,面積の学習が日常生活において有用であることを実感させることができると考
えられる。
5
指導計画
次
1.広さの
表し方
12
時間
1
1
2.長方形
と正方形の
面積
2
1
時間扱い(本時5/12)
学習活動
・陣取りゲームで得られた図形の面積を比べる方法を考える。
・任意単位の考えで面積を比べる。
評価規準
関心・意欲・態度
既習の量の場合をもとに,
いろいろな方法で面積の比
べ方を考えようとしてい
る。(観察・ノート)
・陣取りゲームで得られた図形の面積を計算で求める方法を考
える。
・用語「面積」と面積を表す単位「1c㎡(平方センチメートル)」
の読み方と書き方を知る。
・長方形と正方形の面積と違いを求める。
面積の大きさを数値化して
表すことのよさに気付いて
いる。(観察・ノート)
・長方形,正方形の面積を計算で求める方法を考える。
・「公式」の意味を知り,長方形,正方形の面積の公式をまとめ
る。
・公式を用いて,長方形,正方形の面積を求める。
・公式を用いて長方形や正方形の面積を求めたり,辺の長さを
求めたりする。
・周りの長さが等しい長方形や正方形の面積を調べ,周りの長
さが等しくても面積が異なる図形があることをおさえる。
面積は計器による測定では
なく,縦横の辺の長さから
計算で求められることの便
利さに気付いている。
(観察・ノート)
・複合図形の面積の求め方を考え,数,式,図を用いて説明する。
・求めた面積について,ペアや全体で発表し,検討する。
3.大きな
面積の単位
個への対応
技能
知識・理解
面積の意味や単位の表し方
を理解している。
(評価問題)
面積の公式を用いて,面積を
求めることができる。
(評価問題)
・複合図形の面積の求め方を確認する。
・いろいろな複合図形の面積を求める。
・いくつかの方法の中から,より便利な方法を話し合う。
・より便利な方法で面積を求める。
支援が必要な子どもへの手だて
陣地の広さを比べられるように,実際に陣地を切り離
して比べるように助言する。
長さや重さの学習を想起させることで,広さも同じよう
に共通の単位が必要だという考えを引き出す。
1辺が1cmの正方形をならべていることから,辺の長
さと正方形の個数が等しくなることを確認する。
複合図形の面積の求め方を,
求積方法が既習である長方
形や正方形に分割するなど
して考え,図や式などを用い
て説明している。
(評価問題)
本
時
1
数学的な考え方
長方形や正方形の面積につ
いて,単位となる大きさをも
とにして数値化して考えて
いる。(ノート)
長方形や正方形の面積の公式を確認し,補助線の
引き方を導き出す。
いろいろな複合図形の面積
を求めることができる。
(評価問題)
長方形や正方形の面積の公式を確認したり,前時の
学習を想起させたりする。
1
・新聞紙で作った,周りの長さが同じ長方形と正方形の面積を
求める。
・面積の単位「㎡(平方メートル)」を知る。
・1㎡は何c㎡になるか調べる。
面積の単位「㎡」や㎡とc㎡ 1c㎡と100c㎡,1㎡の正方形を実際に比較して,関
の関係を理解している。
係を考えられるようにする。
(ノート)
辺の長さがmで表された長
方形や正方形の面積も,面
積の公式を適用して求めら
れることを理解している。
(ノート)
実際に1㎡の正方形を敷き詰めて見せ,正方形の並
んだ数と,辺の長さが同じことに気付かせる。
1
・教室には1㎡の正方形が何こ並ぶか調べる。
・辺の長さがmで表されていても,面積の公式が使えることを
確認する。
・紙を使って,1㎡の正方形を作り面積の量感をつかむ活動に
取り組む。
面積の単位(a,ha,k㎡)を知
り,それらの関係について
理解している。(ノート)
1㎡が1つの辺に何こ並ぶかを考えられるよう,辺の
長さに着目するよう助言する。
1
・1辺の長さを10mや100mにしたときの面積を考え,面
積の単位「アール(a)」「ヘクタール(ha)」を知り,それら
の関係について理解する。
・町の面積を調べ,面積の単位「平方キロメートル(k㎡)」を知
る。
・1k㎡は何㎡になるか調べる。
4.まとめ
・「たしかめよう」に取り組む。
学習内容を適用して,問題を
解決することができる。
(ノート)
1
・〔やってみよう〕身の回りのいろいろなものの面積を,見当を
付けてから調べる活動に取り組む。
1
・「しあげのもんだい」に取り組む。
1
学習内容を適切に適用して,
活動に取り組もうとしてい
る。(観察・発言)
これまでの学習を振り返り,必要に応じて具体物な
どを示しながら確かめさせる。
大きさの見当を付けたり,適 これまでの学習を振り返り,公式を確かめたり,必要
切な単位を選択したりする に応じて具体物などを示したりしながら考えさせる。
など豊かな感覚をもってい
る。(ノート)
基本的な学習内容を身に付
けている。(ノート)
具体物を操作させたり,公式を確かめさせたりしなが
ら,つまずきに応じて習熟させる。
6
本時の実際(本時5/12)
(1)ねらい 複合図形の面積の求め方を,求積方法が既習である長方形や正方形に分
割するなどして考え,図や式などを用いて説明することができる 。
(数学的な考え方)
(2)指導過程
段階
学習活動(形態)
つ 1 前 時 の 振 り 返 り を す る 。( 一 斉 )
か
・長方形の面積=たて×横=横×たて
む
・正方形の面積=1辺×1辺
( 5)
2
問 題 を 読 み 題 意 を と ら え る 。( 一 斉 )
教師の支援と評価
・前時に使用した教材を提示しながら,長方形と
正方形の面積の求め方を確認する。
・既習の長方形を想起できるように,封筒に入れ
た複合図形を少しずつ提示していく。
図のような形の面積を
もとめましょう。
・補助線を引いて長方形や正方形にすれば求めら
れることを確認し,見通しをもって課題に取り
組むことができるようにする。
・長方形や正方形の面積なら計算で求め
られる。
・ 全 部 方 眼 を か い て ,方 眼 の 数 を 数 え る 。
3
課 題 を 確 認 す る 。( 一 斉 )
・「 友 達 が 見 て も 分 か る よ う に , 必 要 な 数 値 や 記
号を書き込む」など,学習の約束を確認する。
で こ ぼ こ し た 形 の 面 積 は ,ど の よ う に す る と
もとめることができるか。
見 4 問 題 解 決 の 見 通 し を も つ 。( 個 ・ ペ ア ) ・ 短 時 間 で 自 力 解 決 が で き た 子 ど も に 対 し て は ,
通
・ 線を引くと,2つの長方形に分けられ る 。
他の方法で解いたり,ペアになってノートを見
す
・足りないところをあると思えば,長方
せ合いながら考えを紹介し合ったりするよう促
( 8)
形だと考えられる。
す。
・ 図 の 一 部 を 移 動 す る と , 1 つ の 長 方 形 ・ 戸 惑 っ て い る 子 ど も 対 し て は ,個 別 指 導 を し て ,
になる。
補助線の引き方を導き出す。
・同じ形が2つあると大きな1つの長方
形になる。
深 5 考 え を 発 表 し 合 う 。( 一 斉 )
・ 考 え を 共 有 し ,深 め 広 げ る こ と が で き る よ う に ,
め
・たし算法(分割)
式だけを提示した子どもの考えを,別の子ども
る
・ ひ き 算 法(大きい四角形とみなしてひ く )
に説明させる。
( 17) ・ い ど う 法 ( 等 積 変 形 )
・いろいろな考えを理解できるように,発表をき
・2倍法(倍積)
きながら,自分が思いつかなかった考えをノー
トに書くよう促す。
6 自分が思いつかなかった方法を説明し ・予測していた考えが出ない場合は,次時で活用
合 う 。( ペ ア )
す る こ と が で き る よ う に ,教 師 側 か ら 提 示 す る 。
・ 図 を 操 作 し て み せ な が ら ,「 等 積 変 形 」 や 「 倍
積」は,いつでも使えるわけではないことをお
さえる。
ま 7 考 え を ま と め る 。( 一 斉 )
と
め
でこぼこした形の面積は,長方形や
る
正方形をもとにすると,もとめるこ
( 6)
・それぞれの考えのよさや共通点について話し合
い,子どもの言葉を取り上げながら,まとめに
つなげる。
とができる。
確 8 評 価 問 題 を 解 く 。( 個 )
か
・自分の自信の方法で解く。
め
・自分が思いつかなかった方法で解く。
る
( 7) 9 習 熟 問 題 を 解 く 。( 個 )
振り返 る
( 2)
10
評価規準〈数学的な考え方〉
複合図形の面積の求め方を,求積方法が既習
で あ る 長 方 形 や 正 方 形 に分 割 す る など し て考 え ,
図や式などを用いて説明している。
(評価問題)
本時の感想を書き,次時の学習の見通 ・次時に面積を求める図形を提示し,意欲へつな
し を も つ 。( 一 斉 )
げる。