東山梨地区算数教育部会研究報告

東山梨地区算数教育部会研究報告
【研究の経過と概要】
1
研究テーマ
「子どもとつくる楽しい授業の創造」
∼楽しく学び、高め合う算数学習をめざして∼
2
研究テーマにかかわって
新学習指導要領が完全実施になり2年目になる。算数科の目標の中にも、算数的活動の
一層の充実、数学的思考力・表現力、生活や学習の中に活用しようとする態度の育成が重
視されている。
本部会においても、ここ数年、算数的活動の中の作業的・体験的な算数的活動に着目し、
研究を進めてきた。それらの活動を取り入れた研究授業を行い、その研究の成果として、
児童の様子から算数的活動の中の作業的・体験的な活動を授業に取り入れることで、子ど
もたちの学習意欲を喚起し、体験を元に自分の考えを周りに発信しようとする態度を育て
ることに有効であることがわかった。
また、研究をすすめていく中で、楽しくかつ互いに高め合うような授業づくりをしてい
くには、どのようなことをしていけばよいかという課題が提示され、算数の授業の中で行
うコミュニケーション活動へと研究の幅が広がっていった。
よって本年度も、昨年度の研究テーマ「楽しく学び、高め合う算数学習をめざして」を
継続し、さらに数学的表現力を育成するためには、どのような算数的活動を仕組み、その
中でどのような過程や方法を用いて数学的コミュニケーションをさせていくのか、意図的
に指導していくことは何かということに着目して研究を進めていきたい、またわかりやす
く楽しい授業づくりに役立つ教材・教具についても、互いの実践を発表しながら、ともに
学習をしていきたい。
3
研究内容について
*研究授業を行う。
上記のテーマを視点に置きながら、さらに学級の実態に合う視点にポイントをしぼ
り、「わかる・楽しい授業づくり」に取り組む。
*共同授業案づくりをする。
(内容の検討、授業資料準備など)
*単元にかかわる資料を持ち寄り、理論研究をする。
*研究の視点にかかわった指導などについて、講師を招き学習会を行う。
*研究にかかわった実践を各自が行い、実践発表をする。
4
研究の経過について
〈2011年度〉
5月
6日 組織作り・研究テーマについて 授業者の決定
5月 11日 研究テーマおよび計画の決定
6月
1日 実践事例 持ち寄り学習会
6月 22日 実践事例 持ち寄り学習会
8月
1日 学習会「新学習指導要領に向けて」
講師 齋藤 功指導主事
先生(県教育委員会 義務教育課)
8月 31日 算数教育部会 小中合同研究授業
中学2年「1次関数」
勝沼中学校
小林教諭
9月 28日 4年「広さを調べよう」授業案検討
研究授業に関わる資料の持ち寄り検討
11月 30日 4年「広さを調べよう」授業案検討
1月 25日 4年「広さを調べよう」 研究授業会
山梨小学校
中根 淳教諭
2月 15日 研究のまとめ
〈2012年度〉
5月
7日 組織作り・研究テーマについて 授業者の決定
5月 16日 研究テーマおよび計画の決定
6月 20日 3年「形であそぼう
8月
タングラム」授業案検討
1日 学習会(タングラム作成)
3年「形であそぼう
8月 29日 3年「形であそぼう
タングラム」授業案検討
タングラム」奥野田小学校 堀井ますみ教諭
Ⅰ.実践への思い
本実践では,
「算数的活動を取り入れること」
「子ども同士が関わり合い,学習理解を深
める場の工夫」に重点をおいて授業計画を立てていった。子どもたちの発達段階を考え,
ゲーム的な活動や体験的な活動を取り入れるなど,子どもたちが主体的に学習に取り組め
るような学習計画とした。
手だてとして,
・1c㎡や1㎡,1a(アール)などの正方形づくりを実際に行い,子どもたちにとってあま
り聞き慣れていない単位について体験的な活動を通して,広さの量感を育てる。
・自分の考えを発表する場面においては,学級全体と個人との関わり合いの中で考えを交
流する場を設定する。児童の意見の交流が活発に行えるように,単に発表する活動では
なく,友達の考えを別の子が代わりに説明する様な場面も設け,友達の考えを解釈す
る学習も丁寧に行っていく。その際に,電子黒板を利用することで,児童の考えを交流
する際に視覚的な補助として支援を行う。
・単元の導入時には陣取りゲームなどの操作活動を取り入れるなど,子どもたちが意欲的
に学習に取り組めるように工夫をして,単元へのスムーズな導入とする。そして,面積
を比べる学習や長方形を組み合わせた図形の面積を求める学習においては,児童が答え
を導きだすための時間を十分確保し,多様な考えの交流から問題を解決することで,「わ
かる楽しさ」や「新しいことを発見する喜び」などを児童が感じられるように授業の展
開を工夫する。
Ⅱ.実践の内容
第4学年2組算数科学習授業案
授業者 中根 淳
1
単元名 「広さを調べよう」
2
単元について
子どもたちは第1学年で面積の意味や測定することの意味を理解する上で基礎となる学
習をしている。第4学年ではこうした経験をふまえて,面積について,単位と測定の意味
を理解し,長方形及び正方形の面積の求め方について考え,それらを用いて面積を求める
ことができるようにすることをねらいとしている。
本単元では,これまで学習してきた「長さ」や「かさ」,「重さ」の場合と同じように
「広さ」についても,直接比較や間接比較,任意単位による測定などの段階を経て,長方
形や正方形の面積の求め方を考え,公式を導き出し,その公式を使って長方形や正方形,
複合図形などの面積が求められるようにしたい。また,公式を使った形式的な学習にとど
まらず,1c㎡や1㎡の正方形づくりや,a(アール)やha(ヘクタール)など,子どもたち
にとってあまり聞き慣れていない単位についても実際に校庭に面積をとってみる活動など
を通して,広さの量感も育てていきたい。
3
児童の実態
【話すこと,聞くことなど表現に関する児童の実態】
本学級の児童は,明るく,元気がよく,学習時においては,多くの児童が意欲的に自分
の考えを発表することができる。しかし,学級会などで子どもたちだけの話し合いの様子
を見ていると,自分が言いたいことだけを一方的に言っている場面が多く見られる。また,
聞き手の様子を見ていても,だれかの指示や意見を鵜呑みにしてしまう児童が多く見られ,
意見の交換などはあまり活発には行われないことが多い。
話すことについては,アンケート調査から,できる・だいたいできると答える児童が多
く,発表することについては,積極的であることがわかる。また,その理由として,
「みん
なが聞いてくれるとうれしい」など他の児童から賞賛されることに高い満足感を示してい
る。しかし,話すことは好きな児童であるが,
「発表することは緊張する」「恥ずかしい」
などの理由で,発言に対して苦手意識を持ち始めている児童もみられる。そこで,学習に
おいては,ペアでの対話や小集団での話し合い活動を多く取り入れ,大勢の前で発言をす
ることに抵抗感のある児童も,自分の意見を発言することができるように話し合いの場を
工夫している。
【面積の学習における児童の実態】
直接図形を重ね合わせ比較する方法や,任意単位をもとにする広さの比較については,
多くの児童が高い理解を示している。一方で,縦と横の長さをもとにして,面積を比較す
る未習の問題については,ほとんどの子が不正解であった。多くの児童が,図形の周囲の
長さの和を広さとしてとらえていることが,誤答の回答からわかった。
本単元を学習していく際に,長方形や正方形の面積を測定する学習において,その中に
敷き詰めることができる1c㎡の正方形の個数を調べる活動を丁寧に行い,面積の意味に
ついて十分に理解をさせたい。
レディネステストの結果
①図形の広さを
②直接比較の考え方
直観で比較できるか
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
4
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
×
○
○
○
○
③任意単位の考え方
○
○
○
○
○
○
○
×
×
○
○
×
×
×
○
○
×
○
×
○
○
○
④未習内容
長方形,正方形の面積
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
×
×
○
×
×
×
×
×
○
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
○
単元の目標
◎面積について単位と測定の意味を理解し,面積を計算によって求めることができる
ようにするとともに,面積についての量感を豊かにする。
5
単元の評価規準
ア
算数への関心・
イ
数学的な考え方
意欲・態度
ウ
数量や図形につ
いての技能
○長方形,正方形の
エ
数量や図形につ
いての知識・理解
○面積を数値化して
○面積について,量
○面積について,単
表すことのよさ
や乗法学習を基
面積を,公式を用
位と測定の意味
や,計算によって
に,単位の何こ分
いて求めることが
や,長方形や正方
求められることの
で数値化して表す
できる。
形の面積は計算に
便利さに気づき,
ことや,辺の長さ
よって求められる
身の回りの面積を
を用いて計算で求
ことやその求め方
められることを考
を理解し,面積に
生かそうとする。
え,とらえること
ついての量感を身
ができる。
につける。
6
求めるなど生活に
指導計画(全11時間)
次
時
目標
学習内容
評価規準・評価方法
1
1
面積の比べ方をいろ
・陣取りゲームの活動を通
【関心・意欲・態度】
いろな方法で考え,
て単元の課題をとらえ,
既習の量の場合を基に,い
面積を比べることが
面積の比べ方を考える。
ろいろな方法で面積の比
・任意単位の考えで面積を
べ方を考えようとしてい
できる。
比べる。
る。
【技能】
任意単位を用いて,面積を
数値化して比べることが
できる。(ノート,発言)
2
面積の単位「平方セ
・陣取りゲームで得られた
【知識・理解】
ンチメートル(㎠)」
図形の面積の表わし方を
面積の意味や,面積の単位
を知り,面積の意味
考える。
「平方センチメートル
について理解する。
・面積の単位「平方センチ
(㎠)」を理解している。
メートル(㎠)」を知る。 (行動観察)
2
1
長方形,正方形の面
・長方形,正方形の面積を
2
積を計算で求める方
計算で求める方法を考え
面積は計器による測定で
法を理解し,面積を
る。
はなく,縦横の辺の長さか
求める公式をつくる
ことができる。
・公式の意味を知り,長方
【関心・意欲・態度】
ら計算で求められること
形,正方形の面積の公式
の便利さに気づいている。
をまとめる。
(ノート,発言)
・公式を用いて長方形や正
方形の面積を求める。
・公式を用いて長方形や正
【技能】
方形の面積を求めたり,
面積の公式を用いて,長方
辺の長さ求めたりする。
形,正方形の面積を求める
・周りの長さが等しい長方
形や正方形の面積を調
べ,周りの長さが等しく
ても面積が異なる図形が
ことができる。
(プリント)
あることをおさえる,
3
既習の長方形や正方
・長方形を組み合わせた図
【関心・意欲・態度】
形の面積を求める学
形の面積を,分割したり, どの考えも既習の長方形
習を活用して,長方
補ったりするなどのいろ
や正方形の形を基にして
形を組み合わせた図
いろな考えで求める。
求めることに気づき,既習
形の面積の求め方を
を活用するよさを認めて
考えている。
いる。(プリント)
4︵本時︶
・他者の考えを読み取り,
図や式などで説明する
【数学的な考え方】
長方形を組み合わせた図
形の面積の求め方を,求積
方法が既習である長方形
や正方形に分割するなど
して考え,図や式などを用
いて説明している。
(プリント,発言)
3
1
面積の単位「平方メ
・新聞紙で作った,周りの
ートル(㎡)」を知
長さが同じ長方形と正方
面積の単位「㎡」や㎡と㎠
り,㎠と㎡の関係を
形の面積を求める。
の関係を理解している。
理解する。
・面積の単位「平方メート
【知識・理解】
(ノート,発言)
ル(㎡)」を知る。
・1㎡は何㎠になるか調べ
る。
2
辺の長さがmの場合
も,長方形や正方形
・教室には1㎡の正方形が
何こ並ぶか調べる。
【知識・理解】
辺の長さがmで表わされ
の面積の公式が適用
・辺の長さがmで表わされ
できることを理解す
ていても,面積の公式が
も,面積の公式を適用して
る。
使えることを確認する。
求めることを理解してい
・紙を使って,1㎡の正方
形作り面積の量感をつか
む活動に取り組む。
た長方形や正方形の面積
る。(行動観察)
3
面積の単位「アール
・1辺の長さを10mや1
【数学的な考え方】
(a)」「ヘクタール
00mにしたときの面積
1㎠,100㎠,1㎡,1
(ha)」「平方キロメ
を考え,面積の単位「ア
a,1ha,1㎢で表わされ
ートル(㎢)」を知り,
ール(a)」「ヘクタール
る正方形の1辺の長さが
面積の単位の相互関
(ha)」を知る。
10倍になると面積は1
係を理解する。
・校庭に1aの面積を作り, 00倍になる関係を見出
量感をつかむ活動に取り
し,説明している。
組む。
(ノート,発言)
・町の面積を調べ,面積の
単位「平方キロメートル
【知識・理解】
(㎢)」を知る。
面積の単位とその相互関
・1㎢は何㎡になるか調べ
る。
4
1
学習内容を適用して
問題を解決する。
「力をつけるもんだい」に
取り組む。
係を理解している。
(ノート,発言)
【知識・理解】
学習内容を適切に活用し
て,活動に取り組もうとし
ている。
【技能】
学習内容を適用して,問題
を解決することができる。
(ノート,発言)
2
学習内容の定着を確
認し,理解を確実に
「しあげのもんだい」に
取り組む。
する。
【知識・理解】
基本的な学習内容を身に
つけている。
(ノート,発言)
7
本時の授業
(1)日時 1月 25日(水) 5校時
(2)場所 4年2組教室
(3)本時の目標
長方形や正方形の面積の公式を活用して,長方形を組み合わせた図形の面積の求め方
を考えている。
(4)展開
学習活動,発問,児童の反応
指導上の留意点
評価と支援の
手立て
つ
1
か
○計算で面積を求めることができる
む
前時までの学習を振り返る。
のは,どんな形でしたか。
・今までの学習から,計算で
面積が求められる図形を
・公式のたて,
横の長さは図
確認しておく。また,辺の のどこの長さ
5
・長方形,正方形
長さを数で表し,公式を使 を表している
分
○面積はどうやって求めましたか。
って計算することで,数と かを確認する。
・となり合った二つの辺の長さを表
して面積を表すことがで
す数をかける。
きることを確認しておく。
・長方形の公式はたて×横
・正方形の公式は一辺×一辺
深
め
2
課題を確認し,友だちの考えか
ら,面積の求め方を考える。
る
2
5
・図と式を関連させて説明で
きるようにさせる。
・必要に応じて,ペアで話し
図のような面積の
求め方を考えよう
分
考長方形を組
み合わせた図
形の面積につ
合う時間も設け,互いに説 いて,長方形や
明しあうことを通して自
正方形の面積
分の考えを明確にする。
の求め方を基
・電子黒板の操作は,必要に
に分割するな
応じ教師が行い,説明がス どして考え,
ムーズに行えるように支
図,式を用いて
援をする。
面積を求めて
・図や式で表された互いの表
いる。
現を読み取り,説明する活 (プリント)
動を仕組む。
○友だちがどのように考えたか,
友だちの代わりに説明しよう。
・分けた長方形
とその辺の長
さ,面積を求め
・二つの長方形に分けて,
面積を求めているね。
る式について,
図と式を対応
させながら説
明を加える。
・大きな長方形にして,たした小さ
い長方形を引いて求めた
んだね。
・分けた長方形を移動させて
面積を求めているよ。
・多様な考え方がでるが,そ
の中から,どの考え方がや
りすいかについても考え
る時間をとり,速く,簡単
に,正確にできる方法の良
ま
さに気づかせる。
と
3
め
○それぞれの求め方について共通す
・どの求め方も,長方形や正
既習の長方形
る
ることはないか考えましょう。
方形を基にしていること
や正方形の形
1
・どの考え方もみんな長方形にして
0
分
学習のまとめを行う
いる。
・図形を分けたり,移動したりして,
関どの考えも
に気づかせ,公式を用いて を基にして求
面積を簡単に求めること
めることに気
ができることをまとめる。 づき,既習を活
長方形にすれば面積を求められ
用するよさを
る。
認めている。
(プリント,発
ふくざつな図形も
長方形や正方形の形をもとにして
考えれば,面積を求めることができ
る。
言)
5
適用問題に取り組む
・学習したことを生かし,
○学習したことを使ってプリント
の問題を解いてみましょう。
問題解決にあたるが,
速く,簡単に,正確に求め
るためにはどの考え方が
適切か,児童が検討をつけ
てから問題に取り組める
ようにする。
ふ
6
学習感想を書く
・ わかったことなどを自分の
り
・長方形や正方形に分けて考えれば
言葉でまとめられるように
か
面積が求められることがわかった。
する。
え
る
5
分
板書計画
1/25 広さを調べよう
図のような面積の
求め方を考えよう
ふくざつな図形の面積も
長方形や正方形の形をも
とにして,面積を求める
ことができる。
児童の考え
Ⅲ.実践のまとめ
〈本時の目標・算数的活動に関わって〉
◎視覚に訴える多様な方法を用いたことによって,子どもたちが興味を持続しながら学
習することができていたのがよかった。説明の活動が充実していた。
◎図と式を関連させて説明できるようにする活動が取り入れてあったので,式から図に
補助線を入れたり,変形させたりと子どもたちの思考が深まっていた。
◎学習プリントに方眼のマスが入っていたので,子どもたちが,自力解決で戸惑うこと
なく補助線を引いたり等積変形をしたりと多様な考えがでていた。
◎算数的活動として,児童が説明しあったり,教えあったりする活動を取り入れること
により,児童同士が温かい関わり合いをもつことができた。
△多様な考えが子どもたちからたくさんでる中で,面積の求め方としてどれが一番適し
ているのか,もっとじっくりと考えさせる時間がほしかった。
△1c㎡に区切って面積を求めている児童がいたが,その求め方の良さをきちんと認め
ながらも,より良い求積方法が無いか,児童にしっかりと考えさせるきっかけをきち
んと示さなければならない。
△図形を長方形や正方形に分割して,面積を求めることは,子どもたちにきちんと定着
していたが,その中で,急に引き算の考え方を教師が提示したことで,子どもたちの
思考は混乱していたように思う。和の考え方から差の考え方に子どもの思考を変えて
いくためには,図形の工夫や発問の工夫が必要。
△考えを促す発問と,活動を活発に行わせるための指示を,もう少しはっきりと区別し
ていくことが必要である。
〈学び合い・コミュニケーションに関わって〉
◎電子黒板を使うことで,自己の考えがより視覚的に友達に伝えられていて,話合い活
動が活発に行われていた。
◎児童の相互理解を助けるものとして,ICTの活用が考えられることが研究の成果から
わかった。
◎ペアで話し合いを行う際に,子どもたちは自分の考えをしっかりと伝えることができ
ていた。
◎友達の考えをしっかりと聞き,自分の考えとの相違点を見つけだそうと,子どもたち
は一生懸命に学習に取り組んでいた。
△「足し算ではなく引き算で求めていた子がいるよ」という投げかけで,子どもたちに
図を考えさせていたが,子どもたちの実態に応じて,式を徐々に与えて図に結びつけ
ていけたらよかった。
△限られた時間の中で行うことなので仕方のないことだが,もっと子どもたちに発表さ
せて説明をさせる場面があってもよかった。
〈県(郡)の研究テーマについて〉
◎単元の導入時に取り入れた,陣取りゲームが児童の意欲を喚起するきっかけとなった。
また,長方形と正方形が組み合わさったような複雑な図形も,補助線を引いて,基本の
図形にして面積を考えたり,等積変形することで面積を求めたり,多様な考え方がある
ことを授業の中から学んでいた。多様な考え方を個に留めるのではなく,友達とともに
交流することで「わかる楽しさ」や「新しいことを発見する喜び」を感じとることがで
きていた。
◎授業時間の大半を算数的活動の時間にあて,児童が答えを導きだすための時間を十分確
保し,多様な考えの交流から問題を解決することができた。