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マケドニアの村々
過去を物語る生きた博物館
マケドニアの村々の手つかずの美しさ
ワイン街道
マケドニアワインの魅力
経済省観光局
マケドニア共和国
マケドニア
共和国
観光マップ
発行者:経済省
本文執筆:Danijela Trpcevska
写真撮影:www.dzingo.com
制作:Skenpoint
マケドニアの村々
過去を物語る生きた博物館
マケドニアの村々の手つかず
の美しさ
+
泡立つ湧き水、そびえ立つ緑の森、その
美しさで見る人をとりこにする山々の頂、
海抜 1,200 メートル地点に育つエコロジカ
ルなリンゴ。これらは、マケドニアの村々
がもつ価値のほんの一部にすぎません。山
ふところに抱かれた村々は、オリジナルな
建築や、住む人の暖かさや真心が魅力です。
いまも粉ひきに活躍している風車、古い糸
巻き、民族の歌や踊りの音色をかなでるバ
グパイプやフルートの制作。これらの要素
が相まって、マケドニアの村々というモザ
イクを構成しています。
プレスパ湖の眺めとともに目覚め、ユニークな
蛇の島ビッグシティ島を訪れる興奮を味わい、3
世紀も前の手作りの民族衣装に触れる。これ以上
エキサイティングな体験があるでしょうか?
朝はイチジクやマッシュでつくった地元のデザ
ートを味わい、昼食には vrshnik(パン焼き用の
鉄窯)の下で焼いた新鮮な gjomleze にトライし、
夜は寝る前にストルミツァ産のリキュールを飲
み、ベラシカ山の美しい眺めに視線を釘づけにす
る。そうすればあなたもマケドニアを実感するで
しょう。
マケドニアには、手つかずの美しさや
村々が豊富にあります。村には数世紀
も前の建築がいまも残っています。観
光客にとって最大の魅力は、プレスパ
地方やオフリド地方の湖岸の村々であ
り、ビストラ、コラブ、カラオルマン、
マ レシ ェヴ ォ、 オソ ゴヴ ォと いっ た
山々の珍しいスポットです。マケドニ
アのヴィレッジ・ツーリズム発展に向
けた主な資源としては、絵のように美
しい Brajcino 村でのエコツーリズム、
Ljubojno 、 Stenje 、 Dolno Dupeni 、
Trpejca、ペスタニ、ブコヴォ、Modric、
Drenok、Galichnik、Lazaropole など
のヴィレッジ・ツーリズム、Malesija 地
域や Azot 地域などがあります。観光と
しては村に宿泊する、森で果物狩りをす
る、草刈り、牛の乳しぼり、地元の料理
や新鮮な空気を楽しむなどに加えて、周
囲の山を散策して豊かな文化や修道院
に親しむこともできます。
ババ山のふところに隠れるように、
Pelister の新鮮な空気とプレスパの日を
浴びてたたずむ Brajcino 村は、多くの
点でユニークな存在です。プレスパ湖か
ら車でたったの 15 分、Pelister 国立公
園のすぐ近くです。
村にある 5 つの教会と修道院は 16 世紀の
建築で、当時の精神をいまに伝えます。村
独特の 19 世紀の建築もあります。新しい
冒険がしたくてじっとしていられない人
にとっては、Pelister 山の中腹、標高 2,200
メートル地点にあるビッグ・レイクまでの
6 時間のハイキングが魅力です。そこを起
点としてマガレヴォ、Nizepole、マロヴィ
ステの村々を訪れることもできます。いず
れも建築や地元の伝統料理が豊富です。
村にある 5 つの教会と修道院は 16 世紀の
建築で、当時の精神をいまに伝えます。村
独特の 19 世紀の建築もあります。
マケドニア西部の、一方にマヴロヴォとデ
バル、もう一方にアルバニア国境とキチェ
ヴォ地方をのぞむレカ地方も独自の美しさ
を備えています。レカという名は、ラディ
カ川とその支流マラ・レカからきています。
この地方の人々は昔からフレスコ画、絵画、
木版画、建築、モザイクなどの名人として
知られ、イタリアやヨーロッパで活躍して
います。
この地方に接してマヴロヴォ国立公園が
あります。ここではゴスティヴァル・バイ
オレットをはじめとする固有の植物種が見
られます。ビストラ山の真ん中にはロック
フィールドや展望台や斜面があり、羊の群
れに出会うこともあります。そこでは風味
豊かなチーズがつくられます。公園内には
36 の珍しい村があり、うち 14 はまったく
の無人です。
ひときわ絵のように美しい Galichnik 村
は、伝統行事「Galichnik 流結婚式」で有
名です。毎年、全国や海外から若いカップ
ルが訪れ、この地のきらびやかな民族衣装
をまとって、伝統的しきたりにのっとって
開催される大がかりな結婚式をあげます。
聖 Peter の日(7 月 12 日)の Galichnik に
は、儀式の進行に沿って演奏される zurle
や太鼓の音や歌声が響き渡ります。しきた
りどおり花嫁はまず、友人たちと一緒に水
汲みにいきます。
水や鳥がお好きなら、ビッグシティ島や
Ezerani や Podmocani を訪ねると面白いでし
ょう。Podmocani の博物館の民族衣装コレク
シ ョ ン は 非 常 に 充 実 し て い ま す 。 Jone
Eftimovski という人が所有する個人博物館で
す。最近、300 年前の民族衣装が加わってさ
らに充実しました。
クルビノヴォの近くの聖ゲオルギウス教会
を訪れるのもお忘れなく。1191 年の作のみご
となフレスコ画があるからです。独特の壁装
飾は、マケドニアの中世絵画の中でも一級品
です。ビッグシティ島には、過去のさまざま
な時代の名残が残っています。たとえば、聖
Peter 教会と聖 Dimitrij 教会は 14 世紀の建築
です。現在、島には foie 等の珍しい植物があ
ります。各種の鳥が観察できるのも、観光客
にとっては大きな魅力です。
その間、花婿は自宅の玄関でひげをそっ
てもらいます。舅と姑が花嫁を自宅から
連れ出して馬に乗せ、花婿の家へ連れ帰
ります。花嫁はそこでパンを焼き、ワイ
ンを添えて客に供します。
山のさらに奥深く、マラ川の急流にそ
そり立つのが、驚嘆すべき橋「ディアズ・
リープ(鹿の跳躍)
」です。ちょっと足を
止めてこの吊り橋を観賞しましょう。鉄
もコンクリートも使わない興味深い建築
手法です。言い伝えによれば 18 世紀、と
あるオスマン帝国の地方長官が、1 頭の鹿
が川を跳び越えるのを見て大いに喜び、
記念にこの橋を建てたといわれていま
す。また別の説によれば、恋人の名誉を
守ろうとして地方長官を殺した若者を記
念して建てられたともいいます。
自然のすばらしさをいちばん実感でき
るのは、洗礼者聖ヨハネ修道院かもしれ
ません。スケール石造りのこの建物は、
ビゴルスキ修道院として知られていま
す。1020 年の建築です。
Galichnik 村出身の木版画家、Petre
Filipovski-Garkata
と
Makarija
Frckovski の手になる有名なイコノス
タスがあります。
ラディカ川の渓谷はうっとりするよ
うな眺めです。澄んだ山の水、あたり
を囲む深い森、釣り愛好家にはたまら
ない、豊富にいるマス。科学者らの調
査の結果、ラディカ川の上流で 30 あま
りの洞窟が見つかっています。洞窟の
奥行きは 10 メートル。ひときわ美しい
のは Simka 洞窟で、長さ 500 メートル
にも及びます。
地元の人々にとって、滝は宗教祭日
を祝い、病気を癒し、冬に別れを告げ、
春の訪れを歓迎する場です。信じられ
ないかもしれませんが、マケドニアに
は約 150 もの滝があります。いちばん
高いのはコラブ山にあり、高さ 138 メ
ートルです。山頂のマル・コラブの下、
Zuzjne 村落跡のそばにあります。
うっそうたる森に隠され、人一倍
勇敢で粘り強い自然愛好家しか訪れな
い滝は、ユニークなイベントであり冒
険といえるでしょう。コラブ山、シャ
ラ山、ジャブラニツァ山にも滝があり
ますが、訪れる人がいちばん多いのは、
ベラシカ山の斜面にあるスモラレ滝と
コレシノ滝でしょう。スモラレ滝はマ
ケドニアとブルガリアとギリシャの国
境地点、海抜 650 メートルのところに
あります。Bleasica で最大の滝のひと
つです。高さ 35~40 メートルの岩から
水がなだれ落ちています。滝の周辺に
生い茂る草木や苔の緑は、決して色あ
せることがありません。冬には自然の
力で、みごとなつららが岩から垂れま
す。滝の前には穴がひとつあります。
地元の言い伝えによれば、マルコ王が
馬に乗ったまま滝の上から跳び下りた
ところ、馬の蹄が石に穴をうがったの
だといいます。スモラレの人はこの穴
をディラと呼んでいます。
スモラレ滝のそばにコレシノ滝があ
ります。
マケドニアの南東部、ババ川の下流です。滝
の高さは 21 メートル、幅約 16 メートル、
階段型の滝です。
2 つの滝のあいだの道路上、海抜 300 メー
トルのところにモクリノ湧水があります。こ
れらの滝はこの山でも強大な方で、1 秒間約
100 リットルの流量があります。すばらしい
眺めです。樹齢 100 年を超える木々から水
が湧き出し、古い太い木の根が地表に顔をの
ぞかせています。これらの湧き水は、昔から
モクリノ村の人々が集まる場所となってい
ます。
その近くにバンスコ温泉があります。ここ
にはローマ時代の浴場の遺跡や、氷河時代か
ら残るモノスピトヴォ湿原や、10 世紀に建
設された Veljusa 修道院とヴォドカ修道院
があります。ヴォドカ修道院は、サムエル帝
に仕える兵士たちがベラシカの戦いでビザ
ンチン帝国のバジル 2 世に敗れて目をつぶ
された場所としての方がはるかに有名です。
村の名はそこからきています。
マケドニアはカーニバルの国でもあります。
冬、新年の時期に開催するのが伝統で
すが、春にも開催されます。地域によ
って特徴があります。それぞれのカー
ニバルに、独自の特徴や色使いやシン
ボルがあります。ビトラ地方の愉快な
仮面は「ババリ」と呼ばれます。オフ
リド地方では「ヴァシリカリ」
、スコピ
エやカヴァダルツィでは「dzamalari」
です。
マケドニアの伝統のルーツにとびこ
んでみたい人にとって貴重なのが
「Vevcani カーニバル」です。村ができ
たときから 1400 年にわたって脈々と
続いています。1993 年、世界カーニバ
ル連盟に加盟しました。カーニバルの
あいだは 48 時間にわたって Vevcani
全域が巨大な劇場と化し、オープンス
テージにはじつに独創的で神秘的な仮
面が登場します。
カーニバルが始まったいきさつに興
味がおありですか?伝説によれば、
Vevcani でいちばん美しい若者が村
いちばんの美少女と婚約しましたが、若
者は外国へ出稼ぎにいきました。ところ
が外国で働くうち、高い建物から落ちて
顔にひどいけがをしました。冬、Vevcani
へ帰省しようとする友人たちに若者は、
顔を仮面で隠してくれと頼みました。フ
ィアンセが彼の傷のある顔にすぐ慣れる
ようにです。これが、ジャブラニツァ山
のふもとにある Vevcani のカーニバルの
起源です。さまざまな建築、色鮮やかな
自然、豊富な湧き水、そして自分たちの
村を「共和国」と呼ぶ住民の独立心が、
村のスピリットを味わいたくて訪れる多
くの観光客を魅了します。村には Vevcani
通貨があり、村に入るのにパスポートが
必要なほどです。
「ストルミツァ・カーニバル」はパガ
ン時代に始まったもので、この地方の特
徴となっています。カーニバルは何日も
続き、ストルミツァは国内外からの何千
人という好奇心あふれる観光客でいっぱ
いになります。
カーニバルの魔法を感じたければ、あなたも
パレードに参加し、仮面をかぶって伝統の一
部になろうとしてみてください。今年のベス
ト仮面コンテストでは、想像力と独創性であ
なたが優勝できるかもしれませんよ。カーニ
バル開催中は、ストルミツァ特産の有名な
papers とおいしい ajvar を味わうめったにな
いチャンスです。食前酒にはストルミツァ・
リキュールをどうぞ。
ホームメイドのパイとベイクトビーンズが
お好きならぜひ、シャラ山のふもと、テトヴ
ォにあるレソク村を訪れてみてください。海
抜 550 メートルのこの村ではまず、ソーセー
ジと風味豊かなワインからスタートして、レ
ソク産のベイクトビーンズ、それに地元料理
komat と turi-potpeci を召し上がってはどう
でしょう。美しい自然と広大なオークの森に
囲まれて、あるいはこの地方でもとりわけ美
しい部類に入るレソク修道院の庭で、土地の
料理を楽しめます。
マケドニア東部の山村ベロヴォでは、地元
産のジャガイモ料理と特殊な種類のスモモか
らつくったリキュールが歓迎してくれます。
国内でもとびきり高地に位置するこの村で
は、有名なベロヴォ風ブロス(スープ)、名
物のミートパイ、それに子羊の komitsko に
トライするのをお忘れなく。風邪をひきやす
い人や呼吸器系が弱い人は、ベロヴォで療養
するとよいでしょう。地元の人は若い松かさ
から松シロップをつくります。風邪薬として
使うのですが、デザートとして食べても美味
です。地元の習慣の中でも有名なのが、「眠
る処女マリア」の日を祝うお祭りです。大釜
で料理をつくり、健康と多産を願って供えま
す。伝統的な仮面舞踏会「Bamburci」も開
催されます。見どころは、松林と驚くほど新
鮮な空気とに囲まれた Mladost 湖です。
バルカン半島でいちばんの高地にある集
落、クル シェヴォの住民 は、名産の甘 い
celuvki とターキッシュ・ディライトを誇り
に思っていることでしょう。小さいけれども
革命的なこの街は、1903 年のイリンデン蜂
起の中心地となり、オスマン支配からの解放
を目指すバルカン半島最初の共和国の中枢
ともなったことで有名で、いまでも名だたる
過去の記憶を大切にしています。
クルシェヴォを見守ってきたのが、マ
ケドニウム、メクキンカメン、スリヴ
ァ、カレの遺跡です。これらの遺跡に
は重要な歴史的価値だけでなく、自
然・文化的な意義もあります。夏は森
の散策を楽しめます。冬はウィンター
スポーツの愛好家が街にあふれます。
クルシェヴォはパラグライダー・ファ
ンに人気のスポットでもあります。山
の地形が、冒険にうってつけの条件と
なるからです。
未踏の美しさや場所を探索したけれ
ば、プラコヴィカ山を訪ねるといいで
しょう。ここには Yurutsi の村々があ
ります。住民は独特の、あまり知られ
ていない文化や伝統を維持していま
す。カルビンツィ地方にあるこの村の
基本的特徴のひとつは家父長制です。
村の伝統建築や生活様式や衣装も有名
です。若い女性や少女は、色鮮やかな
愛らしい衣装を着ます。これらの村で
は alva、madzun、クスクスといった
おいしい料理を味わえます。
ワイン街道
マケドニアワインの魅力
ワインにはひとつひとつに物語がありま
す。葡萄栽培地の魔法にも、葡萄を積む手の
暖かさにも、奇跡の飲み物をつくりだすワイ
ンメーカーの技術にも、ワインの物語がしみ
こんでいます。マケドニア産ワインの物語に
は真心がこもり、親しみやすくて多彩です。
太陽の光とヴァルダル川の流れを浴びる、ど
こよりも肥沃な地方で栽培されるからです。
過去 10 年間にルネサンスを経験したマケド
ニア産ワインですが、葡萄がこの地に根づい
たのははるか昔のことです。マケドニア産ワ
インはゆっくりと、しかし着実に外国市場で
ブレークし始め、ヨーロッパ人の洗練された
舌を征服しつつあります。
考古学調査の結果、この地方では紀元前
4 世紀にすでにワインがつくられていたこ
とがわかっています。ネゴティノから 10
キロメートル離れたディサン村では、ワイ
ン製造用の古代の石器が見つかっていま
す。のちには石器にかわって木の樽が使わ
れるようになり、今日に至るまで自家製ワ
インの芳香を発散しています。国内のいく
つかの地域では、ワインの力のとりこにな
った人々が、父から息子へと何世代にもわ
たって神の飲み物のもつ癒しのパワーの
話を伝え、葡萄栽培の伝統を維持していま
す。
セ ル ビ ア の ア レ キ サ ン ダ ー ・
Karadzordzevic 王はマケドニアの温暖な
気候に惹かれ、1929 年、Demir Kapija に
ワインセラーを建てました。このワインセ
ラーはいまも健在で、過去の生き証人とな
っています。その近くには王の邸宅もあり
ます。いまでも外見も建築も壮麗です。
マケドニアのワインマップには南と
北の 2 ルートがあり、皆さんの訪問や
探索を歓迎しています。 それぞれの
ルートに物語があり、味わいがありま
す。注意深く耳を傾け、節度をもって
飲みさえすればいいのです。ワインの
語る物語を聴くためです。
「IN VINO
VERITAS(ワインの中に真実があ
る)
」ということわざにはそれなりの意
味があるのです。
ワインの産地
ヴァルダル川の流れを下流へとたどっ
ていくと、どこまで行っても葡萄畑が
広がっています。スコピエ、ヴェレス、
ヴィニカ、オフリド、テトヴォ、ゲヴ
ゲリヤ、どこも葡萄畑があります。
しかし、どこよりも目立つ有名な場所とい
えばチクヴェシュ地方です。その中心地カ
ヴァダルツィとネゴティノは、最大のワイ
ン生産地です。
マケドニアには 3 カ所のワイン生産地帯
と約 20 カ所のワイン生産スポットがあり
ます。国の中央部に位置する最大の生産地
が Povardarie で、マケドニアワインの
85%を生産しています。この地方にはスコ
ピエ、ヴェレス、チクヴェシュ、ゲヴゲリ
ヤ-Vlandovo、ストルミツァ、Ovcepolie、
Kocani-ヴィニカの各生産スポットがあり
ます。海抜 50~500 メートル地点で葡萄を
栽培しています。晴れた日と温暖な冬に恵
まれた地中海性・大陸性の気候が、上質な
ワインを生み出します。Plagonija-Polog 地
方には、プリレップ、ビトラ、プレスパ、
オフリド、キチェヴォ、テトヴォの各生産
スポットがあります。ここでは海抜 600~
700 メートル地点で葡萄を栽培していま
す。気候は、冬は湿気が高く寒冷で、夏は
乾燥して暑くなります。
マケドニアのワインマップの第 3 の地方
は、Pcinja-オソゴヴォ地方です。
いまでは、全国ほぼ至るところに散在す
る何百という大小のワイナリーが、秋にな
ると知識経験とエネルギーと愛情を注ぎま
す。その目的はただひとつ、昨年のワイン
の品質をしのいで、フランスのアルザス地
方の有名なワインにも負けないような可能
な限りおいしい新酒をつくりだすことで
す。
マケドニアの葡萄畑の 3 分の 2 近くが、
国内最大のワイン生産地、チクヴェシュ地
方にあります。この地方には、カヴァダル
ツィとネゴティノという 2 大中心都市があ
ります。チクヴェシュという名は、古代の
集落チクヴェシュからきたものです。この
地方の長く豊かな伝統は、古代マケドニア
時代に始まりました。当時は、葡萄酒の神
デュオニソスをたたえて「デュオニソスの
日々」が催されました。宴会が何日も続き、
大量のワインが飲み干されました。
ローマ時代、この地方では年 2 回、バッ
カスをたたえる「Bahinarii」が開催されま
した。何日も続く葡萄とワインのお祭りで
すが、のちに禁止されました。古代マケド
ニア人もローマ人も、葡萄栽培の伝統を大
切にしていました。その証拠が、チクヴェ
シュ地方の遺跡で発見された多数のモザイ
クです。葡萄栽培は農家の重要な生計の手
段として、中世もひきつづき発展しました。
中心となったのは修道院や教会の敷地で、
最高のワインはそうした場所で生産されま
した。
現在、チクヴェシュ地方には 1 万ヘクタ
ールに及ぶ葡萄畑があります。気候条件の
おかげで葡萄の糖度は 17~26[パーミル]、
酸度は 5~8%になります。これは、アルコ
ール度 11~13%の良質なワインをつくるに
は理想的な条件です。カヴァダルツィ地方
では、総耕地面積 18,523 ヘクタールのうち
4,264 ヘクタールを葡萄畑が占めています。
自然・地理的条件に加え、地中海性の気
候のおかげで、Belgradska rana、Julski
Muscat、カーディナル、Afus-ali といった
種類の葡萄が栽培可能です。ワインの種類
としては Vranec-Kartoshija、シャルドネ、
ブラック・バーガンディー、メルロー、白
ワインならシャルドネ、ジラヴカ、セミヨ
ン、ソーヴィニョン、イタリアン・アンド・
ライン・リースリングなど。
1 平方メートルあたりのワインセラー密
度がいちばん高いのがネゴティノで、いち
ばん高価なワインはここで生産されます。
この地方では前世紀前半に葡萄栽培が発達
し、一握りの著名な一族が高品質ワインを
生産しました。こうした伝統はいまも生き
ています。
9 月の第 1 週には、チクヴェシュ地方にお
おぜいの人が集まります。ワインの生産者
や愛好家が、カヴァダルツィのメインイベ
ントを目指してやってくるからです。ここ
では 1964 年以来、
「チクヴェシュ葡萄収穫
祭」が開催されています。これはエコノミ
ック・ツーリズムでもあり、大がかりな葡
萄摘みのスタートでもあります。最大のイ
ベントは、街路を行進するカーニバルのパ
レードです。この時期、カヴァダルツィは
巨大な散策路と化し、訪れた人は楽しい仲
間とともに新鮮なワイン、摘みたての葡萄、
焼き魚、残り火で焼いた肉などを堪能しま
す。
この地方で忘れてはならないのが、葡萄
と葡萄酒の守護者、聖 Triphun の祭りです。
言い伝えによれば、殉教者聖 Triphun はア
パメア市に近い Phrygia のカンパサダで生
まれたそうです。癒しの力をもち、病人を
癒し、邪悪な悪魔を追い払いました。奇跡
のわざの話は一帯に広まりました。噂はロ
ーマのゴルディアン帝の耳にも届きまし
た。皇帝は心の病にかかっていた娘のゴル
ディアナを治してもらおうと、聖 Triphum
を呼びました。彼はみごとに成功し、広く
名を知られるようになりましたが、Decie 帝
の時代に 21 歳という若さで亡くなりまし
た。キリストを否定してローマの神々にい
けにえをささげるのを拒否したため、苛烈
な拷問にあったのです。
世界ではセント・バレンタイン・デ
ーを祝いますが、わが国では 14 日の金
曜日に葡萄の木の枝刈り儀式がありま
す。肥沃で幸せな一年を願って行われ
るこの古いしきたりは、朝、教会の礼
拝で始まります。そこで葡萄の枝刈り
儀式を行ったあと、人々は聖別した葡
萄の枝を持ち帰ります。翌年はもっと
収穫が増えることを願って、葡萄に聖
水をふりかける人もいます。この日は
自家製のワインやリキュールを飲み、
伝統的なパイや肉料理を食べます。
マケドニアでは、世界で知られている
ほとんど全種類の葡萄が栽培されてい
ます。マケドニア産ワインは、スペイ
ン、イタリア、ギリシャ、フランスの
ワインと並んで南方ワインのひとつに
数えられています。栽培量の多い赤葡
萄はカベルネ、Game、メルロー、ピノ・
ノワール、Vranec、Prokupec です。白
葡萄ではリースリング、ソーヴィニョ
ン 、 Zilavka 、 Smederevka で す 。
Smederevka はもっぱらマケドニアで
しか栽培されておらず、白ワインの原
料になります。
赤ワインの原料は主に Vranec です。
国内外の専門家の多くは、Vranec は最
高級の赤ワインの原料となる最高品質
の葡萄だと考えています。Vranec は、
ヨーロッパで人気のエキゾチック・ワ
インのひとつとされています。ワイン
セラーで 3 年以上寝かせた成熟したワ
インです。アロマは強くなく、スモモ
の味がメインで、さくらんぼ果汁が少
量含まれています。このあたりが、マ
ケドニア産の他の高品質ワインと違う
ところです。マケドニアには約 50 のワ
イナリーがあります。世界のワインの
3%はマケドニア産と推定されていま
す。
マケドニアを初めて訪れる人は、バル
カン半島最古のワインセラーを楽し
み、愛情と技量と伝統がたっぷりしみ
こんだとても飲みやすい、香り高いワ
インを味わうことができます。ワイン
街道は、単に多数の大小のワイナリー
に出会えるルートというだけでなく、
素朴さや自然さや真心のこもったもて
なしで観光客を魅了するところでもあ
ります。
また、何千年も前のマケドニアの考
古学遺跡の秘密をすべて発見できるル
ートでもあります。ローマ時代やトル
コ時代の浴場では、入浴して温泉の治
療効果を実感したくなるでしょう。ワ
イン街道には、マケドニアの魅力と豊
かさが全部詰まっています。うっそう
たる森、手つかずの湖や川、エコロジ
カルな食べ物、五感を刺激する驚くほ
ど新鮮な空気。でも何より印象に残る
のは、巨大なワインセラーの中、発酵
した葡萄のリッチな香りを発散する何
千という樽に囲まれて体験するワイ
ン・テイスティングでしょう。マケド
ニアワインの魅力の物語の締めくくり
は、宿泊施設やワイン・テイスティン
グ用のレストランや民宿です。民宿で
は一晩泊まって伝統のマケドニア料理
を楽しめます。一度でも経験すれば、
葡萄液のしみこんだこの地方の甘く穏
やかな味わいを毎日でも感じていたい
と思うことでしょう。
経済省
電話:+389 2 3093 536; 3093 540
ファックス:+389 2 3093 523
マケドニア共和国
メールアドレス:[email protected]
http://www.exploringmacedonia.com